JP2007304516A - 反射フィルム及び反射板 - Google Patents

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孝之 渡邊
Kazunari Katsuhara
一成 勝原
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未来 西田
Jun Takagi
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Abstract

【課題】 優れた光反射性を有し、かつ寸法安定性に優れた反射フィルムを提供する
【解決手段】 少なくとも、主成分として脂肪族ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類の樹脂、微粉状充填剤、および発泡剤を含有する樹脂組成物AからなるA層を有する実質無延伸のフィルムであり、該フィルムの700nmの波長の光に対する反射率が98%以上であることを特徴とする反射フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射フィルム及びこの反射フィルムを備えて成る反射板に関し、特に、液晶表示装置、照明器具、照明看板等の反射板等に使用される反射フィルムに関するものである。
近年、液晶表示装置用の反射板、投影用スクリーンや面状光源の部材、照明器具用反射板および照明看板用反射板等の分野で、反射フィルムが使用されている。例えば、液晶ディスプレイの反射板では装置の大画面化及び表示性能の高度化の要求から、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させるために、高い反射性能の反射フィルムが求められている。
また、ノートブック型のコンピュータなどの表示装置としては、薄型化が可能で、しかも画像が見易い、バックライトユニット及び液晶表示素子を備えた液晶表示装置が用いられている。このようなバックライトユニットには、透光性を有する導光板の一側端部に蛍光管のような線状光源を併設するエッジライト方式が多く用いられる。このようなエッジライト方式では、導光板の一方の面を光拡散物質で部分的に被覆し、その面の全面をさらに反射材で被覆して面光源を構成するものが多い。このような反射材には、高い反射性能が要求される。
反射フィルムとして、特開平4−239540号公報に、芳香族ポリエステル系樹脂に充填剤を添加して形成されたシートを延伸することによってシート内に微細な気泡を形成させ、光散乱反射を生じさせた白色ポリエステルフィルムが開示されているが、これは要求されるような高い光反射性を有するものではなかった。
また、特開平11−174213号公報には、ポリプロピレン樹脂に無機充填剤を添加して延伸させた多孔性シートが開示されているが、無機充填剤を60重量%以上添加して延伸することが必要であり、製膜性に劣るという問題があった。
また、特開平6−298957号公報には、特定の屈折率を有する樹脂と無機充填剤とを混合し、延伸させたフィルムが開示されており、特開平7−230004号公報、特開平7−287110号公報、および、特開平8−262208号公報には、ポリオレフィン系樹脂に無機充填剤を混合して延伸させた反射シートが開示されており、特開平11−149816号公報には、ポリオレフィンに硫酸バリウムを混合し、延伸させた反射フィルムが開示されているが、延伸性を改良するための工夫、例えば、加工助剤を添加する等の工夫が必要であった。さらにまた、延伸によって反射率は向上するものの、その配向緩和現象に起因する経時的もしくは加熱環境下による寸法変化が大きい等の問題も生じた。
特開平4−239540号公報 特開平11−174213号公報 特開平6−298957号公報 特開平7−230004号公報 特開平7−287110号公報 特開平8−262208号公報 特開平11−149816号公報
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、優れた光反射性を有し、かつ寸法安定性に優れた反射フィルムを提供することにある。
本発明の反射フィルムは、
(1)少なくとも、主成分として脂肪族ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類の樹脂、微粉状充填剤、および発泡剤を含有する樹脂組成物AからなるA層を有する実質無延伸のフィルムであり、該フィルムの700nmの波長の光に対する反射率が98%以上であることを特徴とする。
(2)ここで、前記樹脂組成物A中に含有される微粉状充填剤の含有量が、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましい。
(3)また、本発明の反射フィルムは、前記A層の他に、樹脂組成物BからなるB層をさらに有し、該樹脂組成物B中に含有される微粉状充填剤の量は、前記樹脂組成物A中に含有される微粉状充填剤の量よりも少なくすることができる。
(4)また、前記樹脂組成物Bが、さらに発泡剤を含有することができる。
(5)さらに、前記微粉状充填剤が酸化チタンであることができる。
(6)ここで、前記酸化チタン中のバナジウム含有量が5ppm以下であり、表面が、シリカ、アルミナ、および、ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物で被覆されていることが好ましい。
(7)また、本発明の反射フィルムは、前記発泡剤が、無機系の化学発泡剤であることが好ましい。
(8)本発明の反射フィルムは、80℃で180分間処理を行った後の熱収縮率が、縦方向(MD)及び横方向(TD)が共に−0.1%より大きく、1.0%未満であることができる。
本発明の反射板は上記(1)〜(8)のいずれかの反射フィルムを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、高い光反射性を有し、かつ、寸法安定性に優れた反射フィルムを得ることができる。また、本発明の反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆することにより、光反射性等の特性に関しバランスのとれた、優れた液晶表示装置、照明器具、照明看板等に使用される反射板を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、本発明においてシートとは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりに小さく平らな製品をいう。ところで、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K 6900)。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かでなく、明確には区別しにくので、本願においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
(A層)
本発明の反射フィルムは、少なくとも、主成分として脂肪族ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類の樹脂、微粉状充填剤、および発泡剤を含有する樹脂組成物AからなるA層を有する実質無延伸のフィルムである。
(脂肪族ポリエステル系樹脂)
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂としては、化学合成されたもの、微生物により発酵合成されたもの、及び、これらの混合物を用いることができる。化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリε−カプロラクタム等、ラクトンを開環重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合体等、二塩基酸とジオールとを重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール等ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、前記脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部、例えば全エステル結合の50%以下がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えられた脂肪族ポリエステル等が挙げられる。また、微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等が挙げられる。
フィルム内に微粉状充填剤を含有する反射フィルムは、ベース樹脂と微粉状充填剤等との界面における屈折散乱を利用して光反射性を発現する。この屈折散乱効果は、ベース樹脂と微粉状充填剤との屈折率の差が大きくなるに従って大きくなる。したがって、ベース樹脂としては、微粉状充填剤との屈折率差が大きくなるように、屈折率の小さい樹脂を用いることが好ましく、芳香環を含み、屈折率が約1.55以上である芳香族ポリエステルよりも、屈折率が1.52未満である脂肪族ポリエステルを用いることが好ましく、脂肪族ポリエステルの中でも屈折率の小さい乳酸系重合体(屈折率が1.46未満)を用いることがより好ましい。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂の融点は、100℃以上、170℃以下であることが好ましい。融点が100℃以上、170℃以下であれば、高温環境下において反射率が低下したり、寸法安定性が低下することがない。
本発明において、乳酸系重合体とは、D−乳酸またはL−乳酸の単独重合体またはそれらの共重合体をいい、具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、更にはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、またこれらの混合体も含まれる。
乳酸系重合体は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法で製造することが出来る。例えば、縮合重合法では、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
本発明に用いられる乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比が、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15であるか、またはD−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85であることが好ましく、さらに好ましくは、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、または、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95である。D−乳酸とL−乳酸との構成比が100:0もしくは0:100である乳酸系重合体は非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。すなわち、フィルムを延伸したり熱処理したりする際に、樹脂が結晶化して耐熱性及び機械的物性が向上するので好ましい。一方、D−乳酸とL−乳酸とで構成された乳酸系重合体は、柔軟性が付与され、フィルムの成形安定性及び延伸安定性が向上するので好ましい。したがって、得られる反射フィルムの耐熱性と、成形安定性及び延伸安定性とのバランスを勘案すると、本発明に用いられる乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比が、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、又は、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であることが、より好ましい。
本発明においては、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なる乳酸系重合体をブレンドしてもよい。この場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。D−乳酸とL−乳酸のホモポリマーと、共重合体とをブレンドすることにより、ブリードのし難さと耐熱性の発現とのバランスをとることができる。
本発明に用いられる乳酸系重合体は高分子量であることが好ましく、例えば、重量平均分子量が5万以上であることが好ましく、6万以上、40万以下であることが更に好ましく、10万以上、30万以下であることが特に好ましい。乳酸系重合体の重量平均分子量が5万未満であると、得られたフィルムは機械的性質に劣る場合がある。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、昭和高分子社のビオノーレ3000シリーズ、三菱化学社のGS−Pla等が市販品として入手可能である。
また、乳酸系重合体としては、三井化学社のレイシアシリーズ、NatureWorks社のNatureWorksシリーズ等が市販品として入手可能である。
(ポリオレフィン系樹脂)
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のモノオレフィン重合体、および、それらの共重合体を主成分とするもの等が挙げられる。具体的には、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、および、これらの混合物等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン系樹脂に、エチレン・プロピレンゴム等を分散複合化させたポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等も挙げられる。
これらのポリオレフィン系樹脂には、チーグラー触媒のようなマルチサイト触媒を用いて製造されたものも、あるいは、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒を用いて製造されたものも含まれる。これらの中では、シートへの成形性、得られたシートの耐熱性等を勘案すると、エチレン−α−オレフィン共重合体等の線形低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、および、エチレン−プロピレン共重合体が特に好ましい。
これらの樹脂は、単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。また、シートの成形性等を考慮すると、メルトインデックスは、ポリエチレン系樹脂の場合、0.2〜7g/10min程度(190℃、荷重2.16kg)、ポリプロピレン系樹脂の場合、1〜10g/10min程度(230℃、荷重2.16kg)、ポリ4−メチルペンテン系樹脂の場合、10〜70g/10min程度(260℃、荷重5.0kg)であることが好ましい。本発明において、メルトインデックスは、ASTM D−1238に規定される方法に基づいて測定したものである。ただし、測定は、かっこ内に示した各条件で測定した。
(微粉状充填剤)
本発明に用いられる微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等を挙げることができる。
有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも一種が好ましい。得られる反射フィルムの光反射性を勘案すれば、ベース樹脂との屈折率差が大きいものが好ましく、すなわち、無機質微粉体としては屈折率が大きいもの、基準としては1.6以上のものが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、または酸化チタンを用いることが好ましく、これらの中でも上記酸化チタンが特に好ましい。酸化チタンを用いることにより、より少ない充填量でフィルムに高い反射性能を付与することができ、また、薄肉でも高い反射性能のフィルムを得ることができる。
なお、微粉状充填剤として、前記の如く例示した無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて使用してもよい。また、異なる微粉状充填剤同士を併用することができ、例えば、酸化チタンと他の微粉状充填剤とを併用してもよい。
また、微粉状充填剤の樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用してもよい。
微粉状充填剤は、粒径が0.05μm以上、15μm以下であることが好ましく、より好ましくは粒径が0.1μm以上、10μm以下である。微粉状充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、樹脂への分散性が良好で、均質なフィルムが得られる。また粒径が15μm以下であれば、樹脂と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、高い反射性能のフィルムが得られる。
本発明における酸化チタンとして、具体的には、例えば、アナタース型酸化チタン及びルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンが挙げられる。ベース樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。
さらに、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いるのが特に好ましい。ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないものの意である。本発明では、酸化チタンに含まれるバナジウムが5ppm以下である酸化チタンを高純度酸化チタンと称すことにする。
高純度酸化チタンとしては、例えば塩素法プロセスにより製造されるものが挙げられる。塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1,000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、まず、四塩化チタンを生成させる。次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼することにより、高純度酸化チタンを得ることができる。なお、酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
本発明に用いられる酸化チタンは、その表面が不活性無機酸化物で被覆処理されていることが好ましい。酸化チタンの表面を不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、フィルムの耐光性を高めることができる。不活性無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、およびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましい。これらの不活性無機酸化物を用いれば、酸化チタンを用いた場合に発揮する高い光反射性を損なうことなくフィルムの耐光性を高めることができる。また、2種類以上の不活性無機酸化物を併用することが更に好ましく、中でもシリカを必須とする組み合わせが特に好ましい。
あるいはまた、酸化チタンの樹脂への分散性を向上させるために、酸化チタンの表面をシロキサン化合物、シランカップリング剤等からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機化合物や、ポリオール、ポリエチレングリコール等からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機化合物で表面処理してもよい。
微粉状充填剤として酸化チタンを用いる場合には、粒径が0.1μm以上、1.0μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、0.5μm以下であることがさらに好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、樹脂への分散性が良好で、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1.0μm以下であれば、樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されて、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
微粉状充填剤の含有量は、フィルムの光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、フィルム全体の質量に対して、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上、50質量%以下であることがさらに好ましい。微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができて、フィルムに高い光反射性を付与することができる。また、微粉状充填剤の含有量が60質量%以下であれば、フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
(発泡剤)
本発明で用いられる発泡剤としては、物理型発泡剤や、熱分解型発泡剤および反応型発泡剤等の化学発泡剤を用いることができる。物理型発泡剤としては、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類のもの、例えばジクロルエタン、ジクロルメタン等の塩化水素類のもの、例えばフロン等のフッ化塩化単価水素類のものを挙げることができる。さらに、空気、炭酸ガス、窒素ガス等の無機系のものも挙げることができる。一方、化学発泡剤のうち反応型発泡剤としては、例えばイソシアネート化合物、炭酸水素ナトリウムと酸を組合せたもの、亜鉛粉末と酸を組合せたもの、過酸化水素とイースト菌を組合せたものを挙げることができる。熱分解型発泡剤としては、例えばアゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、テトラゾール化合物等の有機系のもの、例えば、亜硝酸塩、水素化物、炭酸もしくは炭酸水素酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、および、アンモニウム塩等の無機系のものを挙げることができる。
本発明で用いられる発泡剤は、これと組合わせて樹脂組成物を形成する、樹脂の溶融加工温度を考慮して選ぶことが好ましい。すなわち、樹脂の溶融加工温度に対して、5℃以上、20℃以下の反応温度、もしくは分解温度を有する発泡剤を組合わせて使用すると、光反射性を付与するのに十分な気泡を形成させることができる。
本発明においては、反射フィルムの着色や、黄変等に起因する反射率の低下を防止する観点から、無機系の化学発泡剤が好ましく、中でも、その外観が白色である、例えば炭酸もしくは炭酸水素酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、および、アンモニウム塩の発泡剤を用いることが好ましい。これらを用いれば、得られるフィルムの着色を防ぎ、高い反射性能を付与することができる。
本発明における発泡剤の含有量は、樹脂組成物中、0.001質量%以上、1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上、0.5質量%以下であることがより好ましい。発泡剤の含有量が、0.001質量%以上であれば、フィルムに高い反射性能を付与するのに十分な気泡を形成させることができるので好ましい。また、発泡剤の含有量が、1質量%以下であれば、形成させた気泡同士が合体するのを防いで、高い反射性能を付与するのに適した緻密な気泡を維持させることができるので好ましい。
また、本発明においては、発泡剤を樹脂組成物にそのまま配合することができるが、発泡剤をポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、およびABS樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂に対して、5質量%〜50質量%練りこんで得られるペレット状のマスターバッチもしくはコンセントレートとして、樹脂組成物に配合することもできる。
(他の成分)
本発明に係る反射フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内で上記以外の樹脂を含有していてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、加水分解防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、及びその他の添加剤を含有していてもよい。
例えば、樹脂として、乳酸系重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いた場合、より高温度で高湿度な環境に対する耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤であるカルボジイミド化合物等を添加することができる。カルボジイミド化合物としては、例えば、下記一般式の基本構造を有するものが好ましいものとして挙げられる。

―(N=C=N−R−)

式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間で適当な整数が選択される。
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及び、これらの単量体が、カルボジイミド化合物として挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で使用しても、あるいは、二種以上組み合わせて使用してもよい。
カルボジイミド化合物の添加量は、脂肪族ポリエステル系樹脂100質量部に対してカルボジイミド化合物を0.5質量部〜10.0質量部添加することが好ましい。カルボジイミド化合物の添加量が0.5質量部以上であれば、得られるフィルムに耐加水分解性の改良効果が十分に発現される。また、カルボジイミド化合物の添加量が10.0質量部以下であれば、得られるフィルムの着色が少なく、高い光反射性が得られる。
(B層)
本発明の反射フィルムは、上記組成物AからなるA層の他に、樹脂組成物BからなるB層を有してもよく、この樹脂組成物Bは微粉状充填剤を含有することができ、さらに上記発泡剤を含有することができる。本実施形態に係る反射フィルムの積層構成は特に制限されないが、積層構成を例示すると、A層/B層の二層構成、A層/B層/A層、或いはB層/A層/B層の三層構成を挙げることができ、さらに多層構造とすることもできる。本発明において、積層構成を形成する方法としては、例えば、押出ラミネート、サンドラミ、共押出等の方法があり、さらには、A層とB層との間に接着剤(接着性シートを含む)を介在させる方法、A層とB層とを接着剤を使用せずに熱融着する方法等の積層方法があるが、特に限定されるものではない。
樹脂組成物Bを構成する樹脂としては、フィルム状に成形できる熱可塑性樹脂であればよく、良好な寸法安定性および平面性を付与できる樹脂という理由でポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂などが好ましい。樹脂組成物Aを構成する樹脂と同じ樹脂を選択してもよい。
樹脂組成物A中に含有させる微粉状充填剤として酸化チタンを用いた場合、反射フィルムに高い光反射性を付与するためには、ベース樹脂に酸化チタンを多量に含有させた方が好ましいが、酸化チタンを多量に含有させた反射フィルムは製造時に酸化チタン粒子の脱落やメヤニが発生することがある。この脱落粒子やメヤニは、反射フィルムの表面外観を損なうため、安定して生産を行うことができない場合がある。そこで、本発明においては、例えばフィルム内部にA層を配置して、酸化チタンを多く含有させて反射性能を調整して、外表面にB層を配置してその微粉状充填剤の含有量をA層の酸化チタンの含有量より少なくすることにより、フィルムの表面特性、加工性等を調整することができる。この場合、樹脂組成物B中の微粉状充填剤としては、酸化チタンを用いてもよいし、酸化チタン以外の微粉状充填剤を用いてもよい。
また、含有される微粉状充填剤の量が多くなるとフィルムの機械的強度が低下する傾向にあるが、本発明における積層構成の反射フィルムのように、A層に含有される微粉状充填剤の量とB層に含有される微粉状充填剤の量との間に含有量差を設ければ、すなわち、A層に多量の微粉状充填剤を含有させて、B層にそれより少ない量の微粉状充填剤を含有させることにより、高い光反射性を付与しつつ、機械的強度の低下を抑制することができる。
樹脂組成物B中の微粉状充填剤の含有量は、表面特性、加工性の調整の観点から、樹脂組成物B中、30質量%以下であることが必要であり、20質量%以下であることが好ましい。この場合、樹脂組成物B中の微粉状充填剤の含有量は0質量%であってもよい。表面光沢、液晶表示装置に組み込んで使用した場合の画面の輝度ムラ等を考慮すると、微粉状充填剤の含有量は5質量%以上であることが好ましく、例えば5質量%以上、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、20質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂組成物Bは、さらに発泡剤を含有することができる。この場合、発泡剤の種類としては、樹脂組成物Aで用いたものと同様の発泡剤を選択することができる。
(他の成分)
本発明においてB層を設ける場合、本発明の効果を損なわない範囲内で、樹脂組成物B中に上記以外の樹脂を含有させてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、加水分解防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、およびその他の添加剤を含有させてもよい。
本発明の反射フィルムが、A層およびB層を有する積層構造の場合には、B層の厚みが反射フィルム全体の厚みの5%以上、60%以下であることが好ましい。B層の厚みがフィルム全体の厚みの5%以上であれば、表面特性、加工性の調整を目的とする外層の機能を付与することができる。また60%以下であれば十分な反射性能を維持することができる。
(反射率)
本発明の反射フィルムは、波長が700nmの光に対する表面の反射率が98%以上であることが好ましい。かかる反射率が98%以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面に充分な明るさを与えることができる。
ところで、近年、液晶ディスプレイはパソコン用ディスプレイの他、自動車用カーナビゲーションシステムや車載用小型テレビ等にも使用されるようになり、反射フィルムとしては高温度、高湿度に耐えるものが必要になってきた。そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、反射フィルムに高温多湿環境下での耐久性、寸法安定性を付与するには、実質無延伸のフィルムとすることによって達成できることを見出した。本発明において、実質無延伸とは、面積倍率が1.2未満であることを言う。実質無延伸にすることによって、高温多湿環境下での寸法変化を最小限に抑えることができるようになる。
(熱収縮率)
本発明においては、これらの要求に対応する具体的な熱的特性として、80℃で180分間保持された後の熱収縮率が、縦方向(MD)および横方向(TD)でそれぞれ−0.1%より大きく、1.0%未満であることが好ましく、−0.1%より大きく、0.7%未満であることが更に好ましい。ここで縦方向とは、フィルムの流れ方向(フィルムの引取り方向)と同一の方向をいい、横方向とはフィルムの流れ方向に直角な方向をいうものとする。
反射フィルムの熱収縮率が上記範囲内であれば、大型の液晶テレビ等の裏に使用されても、経時的に変形を生じることがなく、フィルムの平面性を保つことができる。
以下に、本発明の反射フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。
まず、主成分として脂肪族ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類の樹脂に、微粉状充填剤、および発泡剤を配合し、さらに必要に応じて添加剤等を配合して、樹脂組成物Aを作製する。積層構成をとる場合には、ベース樹脂に、必要に応じて微粉状充填剤、発泡剤、その他の添加剤を配合して、樹脂組成物Bを作製する。具体的には、ベース樹脂に、微粉状充填剤、および発泡剤、さらに必要に応じて添加剤等を加えてなるもの、および、積層構成をとる場合には、ベース樹脂に、必要に応じて微粉状充填剤、発泡剤、その他の添加剤を加えてなるものを作製して、それぞれ、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えば乳酸系重合体の場合には170℃〜230℃)で混練することにより樹脂組成物Aを、また積層構成をとる場合には、樹脂組成物Bを得ることができる。または、ベース樹脂、酸化チタン等の微粉状充填剤、発泡剤、添加剤等を別々のフィーダー等により所定量添加することにより樹脂組成物を得ることができる。あるいは、予め、酸化チタン等の微粉状充填剤、発泡剤、添加剤等をベース樹脂に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチとベース樹脂とを混合して所望の濃度の樹脂組成物とすることもできる。
次に、このようにして作製した樹脂組成物A、および必要に応じて作製した樹脂組成物Bをそれぞれ溶融し、フィルム状に形成する。例えば、樹脂組成物を乾燥した後、押出機に(積層構成の場合には、樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bをそれぞれの押出機に)供給し、樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。あるいは、樹脂組成物を乾燥せずに押出機に供給しても良い。ただし、樹脂として脂肪族ポリエステル系樹脂を用いる場合には、事前に乾燥することが好ましく、乾燥しない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。押出温度等の条件は、樹脂の種類等に応じて適宜、設定されることが好ましいが、脂肪族ポリエステル系樹脂のように、分解によって分子量が低下する樹脂は、このことを考慮して設定されることが必要である。例えば、押出温度は乳酸系重合体の場合であれば、170℃〜230℃の範囲が好ましい。その後、溶融した樹脂組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。この冷却ロールの温度は特に限定されるものではないが、例えば40℃以上、100℃以下の範囲であることが好ましい。
本発明の反射フィルムは、フィルム押出時のドラフト比(引き落とし度合い)は低いことが好ましく、ドラフト比が20以下であることが好ましい。このドラフト比は、反射フィルムの熱寸法性に影響を及ぼすものであり、ドラフト比が大きいとフィルムの引き取り方向(MD)の収縮率が大きくなり、その直交方向(TD)に膨張が起こることがある。なお、本発明において、ドラフト比とは、下記式で示されるものをいう。

ドラフト比(引き落とし度合い)=(フィルム厚み)/吐出リップ開度
本発明においては、反射フィルムに耐久性および寸法安定性を付与するために、熱固定を行うことが好ましい。特に、結晶性樹脂の場合には、押出製膜フィルムを熱処理することによって、さらに寸法安定性を向上させることができる。フィルムを熱固定するための処理温度は、例えば乳酸系重合体の場合には、90〜160℃であることが好ましい。また、例えばポリオレフィン系樹脂の場合には、40〜160℃であることが好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましくは1秒〜30分である。
本発明の反射フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常は30μm〜5000μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜3000μm程度の範囲内であることが好ましい。特に、小型、薄型の反射板用途の反射フィルムとしては、厚みが30μm〜100μmであることが好ましい。かかる厚みの反射フィルムを用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
本発明の反射フィルムを用いて液晶ディスプレイ等に用いられる反射板を形成することができる。例えば、反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。例えば、金属板もしくは樹脂板の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射フィルムを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持することができる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
(測定および評価方法)
(1)酸化チタン中のバナジウム含有量(ppm)
容器に酸化チタンの試料を0.6gはかりとり、硝酸10mlを加えてマイクロウェーブ試料分解装置内で分解し、得られた溶液を25mlにメスアップして、ICP発光分光分析装置を用いて定量分析を行った。マイクロウェーブ試料分解装置は、アステック社製のMDS−2000型を用いて、分解操作は表1の設定で行った。また測定波長は311.07nmとした。
Figure 2007304516
(2)平均粒径
(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用い、断面積2cm、高さ1cmの試料筒に試料3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気透過の時間より算出した。
(3)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長700nmの光に対する反射率を測定した。なお、測定前に、アルミナ白板の反射率が100%となるように光度計を設定した。
(4)熱収縮率(%)
フィルムのMDおよびTDのそれぞれに200mm幅の標線を入れ、サンプルとして切り出した。この切り出したサンプルフィルムを、温度80℃の熱風循環オーブンの中に入れて180分間保持し、その後、フィルムが収縮した収縮量を測定した。オーブンに入れる前のサンプルフィルムの原寸(200mm)に対する収縮量の比率を%値で表示し、これを熱収縮率とした。
[実施例1]
重量平均分子量18万の乳酸系重合体(NW3001D:NatureWorks社製/D体含有量1.5%)のペレット、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を、70質量%/30質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を、0.5質量部、1質量部添加して、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を205℃に加熱された押出機に供給した。この組成物を二軸押出機を用いて205℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化して、厚さ300μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、反射率、熱収縮率の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例2]
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(ゼラス5063:三菱化学社製)、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を75質量%/25質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)を、0.5質量部添加して、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を210℃に加熱された押出機に供給した。この組成物を二軸押出機を用いて210℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化した後、80℃で20分間熱処理をして、厚さ1800μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例3]
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(ゼラス5063:三菱化学社製)、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を75質量%/25質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)を、0.5質量部添加して、表裏層用の樹脂組成物Aを作製した。また、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(ゼラス5063:三菱化学社製)、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を80質量%/20質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)を、0.5質量部添加して、中層用の樹脂組成物Bを作製した。その後、樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bを、それぞれ210℃に加熱された二軸押出機A、二軸押出機Bに供給して混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりA層/B層/A層の3層構成となるようにシート状に押出し、冷却固化した後、80℃で20分間熱処理をして、厚さ1800μm(A層:400μm,B層:1000μm)の反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
[実施例4]
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(ゼラス5063:三菱化学社製)、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を75質量%/25質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)を、0.5質量部添加して、中層用の樹脂組成物Aを作製した。また、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(ゼラス5063:三菱化学社製)、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を80質量%/20質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)を、0.5質量部添加して、表裏層用の樹脂組成物Bを作製した。その後、樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bを、それぞれ210℃に加熱された二軸押出機A、二軸押出機Bに供給して混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりB層/A層/B層の3層構成となるようにシート状に押出し、冷却固化した後、80℃で20分間熱処理をして、厚さ1800μm(A層:1000μm,B層:400μm)の反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例1]
重量平均分子量18万の乳酸系重合体(NW3001D:NatureWorks社製/D体含有量1.5%)のペレット、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を、70質量%/30質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を、1質量部添加して、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を205℃に加熱された二軸押出機に供給した。この組成物を二軸押出機を用いて205℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化して、厚さ300μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、反射率、熱収縮率の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例2]
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(ゼラス5063:三菱化学社製)、100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)を、1質量部添加して、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を210℃に加熱された押出機に供給した。この組成物を二軸押出機を用いて210℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化した後、80℃で20分間熱処理をして、厚さ1800μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。
その結果を表2に示す。
[比較例3]
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(ゼラス5063:三菱化学社製)、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を95質量%/5質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、無機系化学発泡剤コンセントレート(ポリスレンEE−207:永和化成工業社製)を、0.5質量部添加して、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を210℃に加熱された押出機に供給した。この組成物を二軸押出機を用いて210℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化した後、80℃で20分間熱処理をして、厚さ1800μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
[比較例4]
重量平均分子量18万の乳酸系重合体(NW3001D:NatureWorks社製/D体含有量1.5%)のペレット、平均粒径が0.25μmのルチル型酸化チタン(アルミナおよびシリカで被覆、バナジウム含有量が0.5ppm)を70質量%/30質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を1質量部添加して、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を205℃に加熱された押出機に供給した。この組成物を二軸押出機を用いて205℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイよりシート状に押出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MDに2.5倍、TDに2.8倍の二軸に延伸した後、140℃で1秒間熱処理し、厚さ230μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2007304516
表2から明らかなように、実施例1〜4の本発明の反射フィルムは、700nmの波長における光の反射率が98%以上であって、高い光反射性を有していることがわかった。さらに、実施例1〜4のフィルムは縦方向および横方向のそれぞれの熱収縮率が−0.1%より大きく、1.0%未満であって寸法安定性に優れていた。すなわち、実施例1〜4の本発明の反射フィルムは、全ての評価において優れた結果が得られることがわかった。
一方、比較例1〜3の反射フィルムは、700nmの波長における反射率が98%未満で、実施例1〜4の反射フィルムに劣ることがわかった。また、比較例4の反射フィルムは、700nmの波長における反射率が98%以上であるものの、縦方向の熱収縮率が1.0%以上で、寸法安定性の点において実施例1〜4の反射フィルムに劣ることがわかった。



Claims (9)

  1. 少なくとも、主成分として脂肪族ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種類の樹脂、微粉状充填剤、および発泡剤を含有する樹脂組成物AからなるA層を有する実質無延伸のフィルムであり、該フィルムの700nmの波長の光に対する反射率が98%以上であることを特徴とする反射フィルム。
  2. 前記樹脂組成物A中に含有される微粉状充填剤の含有量が、10質量%以上、60質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射フィルム。
  3. 前記A層の他に、樹脂組成物BからなるB層をさらに有し、該樹脂組成物B中に含有される微粉状充填剤の量は、前記樹脂組成物A中に含有される微粉状充填剤の量よりも少ないことを特徴とする請求項1または2に記載の反射フィルム。
  4. 前記樹脂組成物Bが、さらに発泡剤を含有することを特徴とする請求項3に記載の反射フィルム。
  5. 前記微粉状充填剤が酸化チタンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の反射フィルム。
  6. 前記酸化チタン中のバナジウム含有量が5ppm以下であり、表面が、シリカ、アルミナ、および、ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類の不活性無機酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項5に記載の反射フィルム。
  7. 前記発泡剤が、無機系の化学発泡剤であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の反射フィルム。
  8. 80℃で180分間処理を行った後の熱収縮率が、縦方向(MD)及び横方向(TD)が共に−0.1%より大きく、1.0%未満であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の反射フィルム。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の反射フィルムを備えていることを特徴とする反射板。



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