JP2008225326A - 反射フィルム及び反射板 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い反射性能を実現することができ、かつ、高温環境下で保存されても寸法変化の少ない反射フィルムを提供すること。
【解決手段】反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂および微粒状充填剤を含有する樹脂組成物Aを主成分とするA層と、日本工業規格JIS K7210に基づく300℃におけるメルトフローレート(MFR)が30〜80g/10minであるポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物Bを主成分とするB層とを有する。また、脂肪族ポリエステル系樹脂は乳酸系重合体であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射フィルムおよび反射板に関し、特に、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等に用いる反射板等に利用される反射フィルムおよび反射板に関するものである。
近年、液晶表示装置用反射板、投影用スクリーンや面状光源の部材、照明器具、照明看板用反射板等の分野で、反射フィルムが使用されている。例えば、液晶ディスプレイの反射板では装置の大型化及び表示性能の高度化の要求から、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させるために、高い反射性能の反射フィルムが求められている。
また、大型液晶テレビ等の反射板として反射フィルムが組み込まれる場合には、反射フィルムが光源に長時間晒された状態で使用されるため、このような高温環境下で長時間経過しても波打ちやシワが発生することのない耐熱性を有し、特に、高温環境下で保存された後でも寸法安定性を有する耐熱性に優れた反射フィルムが求められている。
例えば、特開2006−145914号公報には、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含有してなる層とガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性樹脂を含有してなる層とを積層してなる反射フィルムが開示されているが、ここでは少なくともフィルムが延伸されることを前提としているため、寸法安定性がまだ不十分であった(例えば、特許文献1参照)。
また、本発明者らは、優れた反射性能を実現し得る反射フィルムとして、脂肪族ポリエステル系樹脂に酸化チタンなどの微粉状充填剤を加えてなる反射フィルムを提案している(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、近年においては製品の高輝度化の要求から、より一層高い反射性能を有する反射フィルムが求められるようになっており、また、優れた寸法安定性を併せ持つ反射フィルムが求められているが、これらの要求を満たす反射フィルムは未だ存在していない。
特開2006−145914号公報 国際公開公報 WO2004/104077
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明は、高い反射性能を実現することができ、しかも高温環境下で保存された場合でも寸法変化の少ない反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明の反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂および微粒状充填剤を含有する樹脂組成物Aを主成分とするA層と、日本工業規格JIS K7210に基づく300℃におけるメルトフローレート(MFR)が30〜80g/10minであるポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物Bを主成分とするB層とを有することを特徴とする。
本発明において、前記A層および前記B層を有する積層体は共押出により得られることが好ましい。
また、前記A層および前記B層は、いずれも実質無延伸であることが好ましい。
本発明においては、前記樹脂組成物Bは更に微粉状充填剤を含有することが好ましい。
また、前記脂肪族ポリエステル系樹脂は乳酸系重合体であることが好ましい。
本発明の反射板は、上記いずれかの反射フィルムを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、高い光反射性を有し、高温環境下でも寸法変化が少ない反射フィルムを得ることができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の反射フィルム(以下「本反射フィルム」という)は、脂肪族ポリエステル系樹脂および微粉状充填剤を含有する樹脂組成物Aを主成分とするA層と、ポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物Bを主成分とするB層とを有する。ただし、このポリカーボネート系樹脂は、日本工業規格 JIS K7210に基づく試験方法で300℃におけるメルトフローレート(MFR)が30g/10min以上、80g/10min以下である。このA層は、主に光反射性を反射フィルムに付与し得る層であり、このB層は、主に耐熱性および寸法安定性を反射フィルムに付与し得る層である。
ここで、「主成分」とは、主成分となる樹脂組成物(樹脂組成物Aまたは樹脂組成物B)の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容することを意味するものとし、特に主成分となる樹脂組成物(樹脂組成物Aまたは樹脂組成物B)の含有割合を特定するものではないが、主成分となる樹脂組成物(各樹脂組成物が2成分以上からなる場合には、これらの合計量)は樹脂組成物中、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上(100質量%を含む)である。
なお、本発明において上記以外でも「主成分」と表示した場合には、特にことわりがない限り上記と同様の意味を有するものとする。
また、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものを称し(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、通常はその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品を言う。しかし、シートとフィルムとの境界は定かではなく、本発明においては文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と表記した場合には、特にことわりがない限り「X以上Y以下」を意図し、「Xより大きくYよりも小さいことが好ましい」旨の意図も包含する。
本発明の反射フィルムを構成するA層は、フィルム状あるいは薄膜上の層であり、上記したように脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含有する樹脂組成物Aを主成分とする樹脂組成物を用いて成る。
(脂肪族ポリエステル系樹脂)
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、化学合成されたもの、微生物により発酵合成されたもの、及び、これらの混合物等を用いることができる。
化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ラクトンを開環重合して得られるポリε−カプロラクトン等、二塩基酸とジオールとを重合して得られるポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合体等、ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるポリ乳酸、ポリグリコール等が挙げられる。また、上記した脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部、例えば50%以下がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えられた脂肪族ポリエステル等を用いることもできる。これらは単独で、あるいは、2種類以上を混合して使用することができる。
微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等が挙げられる。
A層に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂は、分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であれば紫外線吸収を起こさないので、紫外線に晒されることによって、或いは、液晶表示装置等の光源から発せられた紫外線によって、フィルムが劣化したり、黄変したりすることがない。したがって、フィルムの光反射性が経時的に低下することを抑えることができる。
A層内での光屈折散乱を利用して高い光反射性を得るためには、脂肪族ポリエステル系樹脂としては、微粉状充填剤との屈折率の差が大きくなるような脂肪族ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。かかる観点から、A層のベース樹脂としては、上記脂肪族ポリエステルの中でも、屈折率(n)が1.52未満の脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。屈折率(n)が1.52未満の脂肪族ポリエステル系樹脂をベース樹脂として含有すれば、該ベース樹脂と微粉状充填剤との界面における屈折散乱を利用してより一層優れた光反射性を得ることができる。この屈折散乱効果は、ベース樹脂と微粉状充填剤との屈折率差が大きくなるにしたがって大きくなることから、脂肪族ポリエステル系樹脂としては屈折率がより小さい方が好ましく、この観点から、屈折率が1.46未満(一般的には1.45程度)である乳酸系重合体は最も好適な一例である。
乳酸系重合体としては、D−乳酸またはL−乳酸の単独重合体またはそれらの共重体を用いることができる。具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、L−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、またこれらの混合体も含まれる。
本反射フィルムに用いられる乳酸系重合体は、そのDL比、すなわちD−乳酸とL−乳酸との含有比率が、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15であるか、またはD−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85であることが好ましい。D−乳酸とL−乳酸との含有比率をこのような比率に調整することにより、得られる反射フィルムの耐熱性と、成形安定性および延伸安定性とのバランスをとることができる。さらに好ましくはD−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、または、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95である。
乳酸系重合体は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法で製造することができる。例えば、縮合重合法では、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
なお、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なる乳酸系重合体をブレンドしてもよい。この場合、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が上記DL比の範囲内に入るように調整するのが好ましい。
乳酸系重合体は高分子量であるものが好ましく、例えば、重量平均分子量が1万以上であるものが好ましく、6万以上であるものが更に好ましく、あるいはまた、40万以下であるものが更に好ましく、中でも10万以上であるものが特に好ましく、あるいはまた、30万以下であるものが特に好ましい。乳酸系重合体の重量平均分子量が1万未満では、得られたフィルムの機械的物性が劣る場合がある。
(微粉状充填剤)
微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等を挙げることができる。有機質微粉体は、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等からなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。無機質微粉体は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等からなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
反射フィルムの光反射性をより一層向上させるという観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂との屈折率差が大きい微粉状充填剤を選択することが好ましい。すなわち、屈折率のより大きい微粉状充填剤を選択することが好ましく、基準としては屈折率が1.6以上の微粉状充填剤を使用することが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンまたは酸化亜鉛を使用することが好ましく、中でも酸化チタン、あるいは、酸化チタンと上記した酸化チタン以外の微粉状充填剤とを組み合わせて使用することが好ましい。微粉状充填剤として酸化チタンを用いることにより、酸化チタン以外の微粉状充填剤を使用した場合よりも少ない添加量でフィルムに高い反射性能を付与することができ、また、フィルムの厚みが薄くても高い反射性能を反射フィルムに付与することができる。
本反射フィルムに用いられる酸化チタンは、アナタース型酸化チタンやルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンであることが好ましい。中でも、フィルムを構成するベース樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えばルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。屈折率差が大きいほど、ベース樹脂と酸化チタンとの境界面で光の屈折散乱作用が大きくなり、フィルムに光反射性を容易に付与することができる。
フィルムに高い光反射性を付与するためには、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタンを用いることが好ましい。したがって、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いることが特に好ましい。ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ない酸化チタンを言い、中でも特に酸化チタンに含まれるニオブ含有量が500ppm以下である高純度酸化チタンが好ましい。このような高純度酸化チタンは、例えば塩素法プロセスにより製造されることができる。塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1,000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、四塩化チタンを生成させる。次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼することにより、高純度酸化チタンを得ることができる。なお、酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
本反射フィルムに用いられる酸化チタン(高純度酸化チタンを含む)は、その表面が、シリカ、アルミナ、及びジルコニアの中から選ばれた少なくとも一種類の不活性無機酸化物で被覆処理されていることが好ましい。このような不活性無機酸化物で被覆処理された酸化チタンは、酸化チタンの高い光反射性を損なうことなく、フィルムの耐光性を高めることができ、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができるので、好ましい。さらに二種類或いは三種類の不活性無機酸化物を併用して被覆処理された酸化チタンがより好ましく、中でもシリカを必須とする複数の不活性無機酸化物の組み合わせ、すなわちシリカと他の不活性無機酸化物(例えばアルミナ及びジルコニア)とを組み合わせて併用して被覆処理された酸化チタンが特に好ましい。不活性無機酸化物の酸化チタンへの表面処理量は、酸化チタン粒子全体の質量中、0.5質量%〜5質量%であることが好ましい。
なお、微粉状充填剤として、上記の如く例示した無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて使用してもよい。また、無機質微粉体同志の中で異なる種類の微粉状充填剤を、あるいは、有機質微粉体同士の中で異なる微粉状充填剤を併用しても良い。例えば、酸化チタンと他の微粉状充填剤、高純度酸化チタンと他の微粉状充填剤とを併用してもよい。
また、微粉状充填剤の樹脂への分散性を向上させるために、その表面が、シリコーン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理された微粉状充填剤を使用してもよい。表面処理剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア等からなる群から選ばれた少なくとも一種の無機化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、ポリオール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも一種の有機化合物等を用いることができる。また、これらの無機化合物と有機化合物とを組み合わせて併用してもよい。表面処理剤の微粉状充填剤への表面処理量は、微粉状充填剤粒子全体の質量中、0.01質量%〜5質量%であることが好ましい。
微粉状充填剤の粒径は、0.05μm〜15μmであることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上である。また、微粉状充填剤の粒径は10μm以下であることがより好ましい。微粉状充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が低下することがないので、均質なフィルムが得られる。また粒径が15μm以下であれば、空隙が形成される場合にはその空隙が粗くなることはなく、高い光反射率のフィルムが得られる。さらに、微粉状充填剤として酸化チタンを用いる場合には、粒径が0.1μm〜1μmであることが好ましく、0.2μm以上であることが更に好ましく、あるいは、0.5μm以下であることが更に好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が良好であり、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1μm以下であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
A層に含まれる微粉状充填剤の含有量は、フィルムの光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、A層全体の質量に対して10〜60質量%であることが好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、あるいは、55質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。A層に含まれる微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができるので、フィルムに高い光反射性を付与することができる。また、微粉状充填剤の含有量が60質量%以下であれば、フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
A層は実質無延伸であることが好ましい。このように実質無延伸であれば、寸法安定性を更に向上させることができる。また、A層は空隙を有することができ、例えばA層に発泡剤等を添加して発泡させることによってA層中に空隙を形成することができる。このように、A層が空隙を有する場合には、脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱効果に加えて、脂肪族ポリエステル系樹脂と空隙との屈折率差による屈折散乱効果も上乗せされるので、更なる反射性能の向上を図ることができる。
<B層>
本反射フィルムを構成するB層は、ポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物Bを主成分とする。このB層は、本反射フィルムに耐熱性、寸法安定性を付与する役割を果たす。
本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂としては、二価フェノールと、ホスゲン、炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とを反応させることによって製造されるものが挙げられる。例えば、塩化メチレン等の溶媒中において、二価フェノールとホスゲン等のカーボネート前駆体とを反応させることにより、あるいは溶媒の存在下または不存在下で、二価フェノールと炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とのエステル交換反応を実行すること等によって得ることができる。
二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物が好ましく使用され、ビスフェノールAが特に好ましく使用される。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメート等が挙げられ、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価のフェノールのジハロホルメートおよびそれらの混合物等が挙げられる。
なお、本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールの1種類を用いたホモポリマーであってもよいし、あるいはまた、2種類以上を用いたコポリマーであってもよい。また、多官能性芳香族化合物を二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート系樹脂であってもよい。さらには、各種のポリカーボネート系樹脂の2種類以上の混合物であってもよい。
本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂のメルトフルローレート(MFR)は、日本工業規格 JIS K7210に基づいて、測定温度300℃、荷重1.2kgの条件により測定した値が、30〜80g/10minであることが好ましく、40〜70g/10minであることが更に好ましい。ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレート(MFR)が小さすぎると、溶融成形時に押出温度を高くしなければならず、その結果、ポリカーボネート系樹脂自体が劣化したり、A層を構成する脂肪族ポリエステル系樹脂、微粉状充填剤等を劣化させて反射率の低下を引き起こすことがある。さらには、押出温度が脂肪族ポリエステル系樹脂の分解温度以上になると、共押出しによる成形が困難になるのでフィルムの成形ができなくなる場合もある。他方で、ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレート(MFR)が大きすぎると、溶融成形によるフィルム形成が不安定になる場合がある。したがって、ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレート(MFR)が上記範囲内であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と共押し成形することができ、かつ、A層およびB層を構成するベース樹脂および微粉状充填剤を劣化させることもなく、反射性能が高く、外観良好であり、耐熱性に優れた反射フィルムを実現することができる。
B層は微粉状充填剤を含有していてもよい。B層を構成する樹脂に微粉状充填剤を加えることで本反射フィルムの反射率をさらに向上させることが可能となる。微粉状充填剤としては、A層に使用される微粉状充填剤と同様のものを使用することができる。反射性能の向上の観点からは、微粉状充填剤として酸化チタンを使用することが好ましく、特に高純度酸化チタンを使用することが好ましい。また、その中でも不活性無機酸化物で被覆処理した酸化チタン、或いは表面処理をした酸化チタンを使用することが好ましい。B層が微粉状充填剤として酸化チタンを含有している場合には、酸化チタンは紫外線を吸収するのでポリカーボネート系樹脂の紫外線劣化を防ぐ効果も発揮する。B層が微粉状充填剤としてマイカやガラス粉等を含有する場合には、ポリカーボネート系樹脂の剛性付与の効果も期待できるので、反射フィルム自体の強度を向上させる効果も有する。
B層に微粉状充填剤を含有させる場合のその含有量は、フィルムの光反射性、機械物性、生産性等を考慮すると、B層全体の質量に対して5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
B層はポリカーボネート系樹脂を含有する層であり、ポリカーボネート系樹脂はガラス転移温度(Tg)が100℃以上で耐熱性に優れた材料である。したがって、B層を有する本発明の反射フィルムは耐熱性評価の基準とされる80℃における寸法変化を小さくすることができる。
しかも、更にB層を構成する樹脂の溶融粘度をA層を構成する樹脂の溶融粘度に近づけることによって、A層とB層の共押出が可能になり、また、A層およびB層を構成する樹脂、微粉状充填剤等の劣化を抑えて、反射フィルムに高い反射性能を付与することができる。
B層は実質無延伸であることが好ましい。A層およびB層が実質無延伸であれば、高い反射性能を実現することができ、しかも加熱環境下で保存した場合でも寸法変化の少ない反射フィルムを実現することができる。
(他の成分)
本反射フィルムを構成する各層(例えば、A層、B層等)は、それぞれ、本発明の効果を損なわない範囲内で上記以外の樹脂を含有していてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、加水分解防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、及びその他の添加剤を含有していてもよい。
<積層体>
本反射フィルムは、A層およびB層が積層された構造を有する。高い反射性能を有するA層と高い耐熱性を有するB層とを積層した反射フィルムは、両者の特徴を併せ持つようになり、例えば大型液晶テレビ等に用いる反射板を構成する反射フィルムに要求される耐熱性を満たすことができる。具体的には、80℃加熱環境下での寸法安定性をより高い水準に高めることができる。
本反射フィルムの積層構成および積層比は、特に制限されるものではないが、好ましい積層構成を例示すると、光が照射される側(反射使用面側)から順に積層されてなる層構成が、B層/A層/B層、A層/B層/A層の二種三層構成であることが好ましい。なお、本発明においては、A層及びB層以外の層(異なる層の場合も含む)を1層以上更に含んでいても良く、また、2層以上のA層及び/又は2層以上のB層を含んでいてもよい。A層およびB層の積層方法としては、例えば、A層とB層とを共押出法により積層することが好ましい。
本反射フィルムにおいて、A層の占める厚み比率は、反射フィルム全体の厚みに対して25〜80%であることが好ましく、特に、50%以上80%以下であることが好ましい。A層の占める厚み比率が25%以上であれば、反射フィルムに光反射性を十分に付与することができ、80%以下であれば耐熱性を十分に確保することができる。
本反射フィルムにおいて、B層の占める厚み比率は、反射フィルム全体の厚みに対して20〜75%であることが好ましく、特に、50%以上75%以下であることが好ましい。B層の占める厚み比率が20%以上であれば、反射フィルムの耐熱性を十分に確保することができ、75%以下であれば反射フィルムに光反射性能を十分に付与することができる。
<反射フィルム>
(厚み)
本発明の反射フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、通常は30μm〜1500μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜1500μm程度の範囲内であることが好ましい。
小型、薄型の反射板用途の反射フィルムとしては、厚みが30μm〜200μmであることが好ましい。かかる厚みの反射フィルムを用いれば、例えば、ノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
他方、大型液晶テレビ等の反射フィルムおよび反射板としては、厚みが75μm〜1500μmであることが好ましい。
(反射率)
本反射フィルムは、波長が約550nmの光に対する表面の反射率が95%以上であることが好ましく、97%以上であることが更に好ましい。かかる反射率が95%以上であれば、反射フィルムは良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面に充分な明るさを与えることができる。
(熱的特性)
本反射フィルムは、80℃で180分間加熱した後の熱収縮率が、縦方向(MD)及び横方向(TD)ともに−0.1%より大きく且つ0.7%未満であることが好ましい。かかる熱収縮率が0%より大きいことが更に好ましく、あるいはまた、0.5%未満であることが更に好ましい。
例えば、反射フィルムが大型液晶テレビ等の反射板に組み込まれる場合には、光源に晒された状態で長時間使用されることになるので、その使用期間中にわたって、波打やシワの発生を抑える必要がある。したがって、耐熱性、すなわち加熱環境下での寸法安定性が要求される。例えば、反射フィルムを80℃で180分間加熱した後の熱収縮率が縦方向(MD)及び横方向(TD)ともに−0.1%より大きく且つ0.7%未満であれば、反射フィルムの平面性を維持することができる。
<製造方法>
以下に、本反射フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、本発明はこれらの製造方法に限定されるものではない。
先ず、脂肪族ポリエステル系樹脂に、微粉状充填剤、および、必要に応じてその他の添加剤を配合した樹脂組成物Aを作製する。具体的には、乳酸系重合体に軟質系樹脂と微粉状充填剤を加え、更に加水分解防止剤等を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えば、乳酸系重合体の場合には170℃〜230℃)で溶融混練させて樹脂組成物を得ることができる。または、乳酸系重合体、微粉状充填剤、更に必要に応じて加水分解防止剤等を、別々のフィーダー等により所定量添加することにより樹脂組成物を得ることができる。あるいは、予め、微粉状充填剤、加水分解防止剤等を乳酸系重合体に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと乳酸系重合体とを混合して、所望の濃度の樹脂組成物とすることもできる。
一方で、上記と同様にして特定のポリカーボネート系樹脂に必要に応じて微粉状充填剤等を添加して樹脂組成物Bを作製する。
次に、得られた樹脂組成物Aを主成分とする樹脂組成物および樹脂組成物Bを主成分とする樹脂組成物を用いてA層およびB層を作製する。例えば、樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bをそれぞれ別の押出機で加熱して溶融し、これをダイ内で積層させて押し出す共押出成形法により積層体を形成することができる。この押出方法としては、Tダイ法等、任意の方法を採用できる。溶融押出しされ積層された樹脂は、冷却ロール、空気、水等で冷却されて反射フィルムを形成することができる。本発明においては、溶融押出温度は、樹脂組成物Aは170℃〜230℃であり、樹脂組成物Bは200℃〜250℃で溶融混練押出機にて溶融させ、溶融した二つの樹脂組成物をTダイのスリット状の塗出口から押出し、冷却ロールに密着固化させてフィルムを形成することができる。
(熱処理)
本反射フィルムは、100℃〜130℃の温度範囲で熱処理を行うことが好ましい。熱処理を施すことによって、フィルムの結晶化を促進させることができ、耐熱性(寸法安定性)を更に向上させるとともに耐加水分解性も向上させることができる。
<用途>
本反射フィルムは、高度な反射性能と高い耐熱性(寸法安定性)を兼ね備えているので、パソコンやテレビ等のディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に用いられる反射フィルムとして好適であるだけでなく、大型液晶テレビ等のように、特に優れた耐熱性(寸法安定性)が要求される反射板にも好適に用いられることができる。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値及び評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
(測定及び評価方法)
(1)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長400nm、550及び700nmの光に対する反射率を測定した。その際、反射フィルムの反射使用面側(光が照射される側)から光を照射した。ただし、測定前にアルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に基づいて、ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレート(MFR)を測定した。ただし、測定条件は、温度300℃、荷重1.2kgである。
(3)熱収縮率(%)
反射フィルムを適当な大きさに切断し、そのMD及びTDのそれぞれに200mm幅の標線を入れて評価用サンプルとした。この評価用サンプルを温度80℃の熱風循環オーブンの中に入れて3時間保持した後、標線間でのサンプルの収縮量を測定した。オーブンに入れる前のサンプル標線間原寸(200mm)に対する収縮量の比率を熱収縮率(%)とした。
(4)耐熱性
LPL(LG Philips LCD Co., Ltd)社製の32インチ液晶テレビのバックライトに組み込まれる反射フィルムの固定枠に、実際に取り付けられる方法で反射フィルムを液晶テレビに取り付けて、80℃で3時間加熱した。その後、反射フィルムの外観を肉眼で観察し、下記基準に基づき評価を行った。

評価基準:
A 加熱後のフィルムの外観に全く変化が見られない
B 加熱後のフィルムに目視で変化が認められたが、高さが0.5mm未満の計測不能な凹凸であった。
C 加熱後のフィルムに、0.5mm以上1mm未満の高さの凹凸が認められた
D 加熱後のフィルムに、1mm以上の高さの凹凸が認められた
[実施例1]
(酸化チタンAの作製)
ハロゲン化チタンを気相酸化するという、いわゆる塩素法プロセスにより酸化チタンを得た。得られた酸化チタンの表面をアルミナで表面処理した後、トリメチロールエタンで表面処理して酸化チタンAを作製した。ただし、アルミナによる表面処理量(表面被覆量)は3質量%、トリメチロールエタンによる表面処理量(表面被覆量)は0.3質量%であった。
(樹脂組成物Aの作製)
重量平均分子量20万のポリ乳酸(NW4032D:Nature Works社製、D体含有量1.5%)のペレット、および、酸化チタンAを、50質量%:50質量%の割合で混合して混合物を作製した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を2.5質量部添加して混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して、いわゆるマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸とを60質量%:40質量%の割合で混合して樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物Bの作製)
メルトフローレート(MFR)(測定条件:300℃、1.2kg)が60であるポリカーボネート系樹脂(ユーピロンH4000、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を用意した。
(反射フィルムの作製)
得られた樹脂組成物Aを200℃に加熱された押出機2台に、樹脂組成物Bを220℃に加熱された押出機に供給した。3台の押出機から、溶融状態の樹脂組成物を、押出機に備えられたTダイを用いてシート状に押出し、冷却固化して厚みが250μmのフィルム(A層/B層/A層、厚み比が1:3:1)を形成した。その後、得られたフィルムを110℃で10分間熱処理して反射フィルムを作製した。
得られたフィルムについて、反射率、熱収縮率の測定、および、耐熱性評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様にして樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bを作製し、層構成をB層/A層/B層となるように変更した以外は実施例1と同様にして、すなわち、樹脂組成物Aを1台の押出機に、樹脂組成物Bを2台の押出機に供給して、厚み250μmのフィルムを形成した。その後、得られたフィルムを110℃で10分間熱処理を行って反射フィルムを作製した。
得られた反射フィルムについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1]
重量平均分子量20万のポリ乳酸(NW4032D:Nature Works社製、D体含有量1.5%)のペレット、および、酸化チタンAを50質量%:50質量%の割合で混合して混合物を作製した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を2.5質量部添加して混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して、いわゆるマスターバッチを作製した。このマスターバッチと上記ポリ乳酸とを60質量%:40質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。
この樹脂組成物Aを200℃に加熱された押出機に供給し、溶融状態の樹脂組成物をTダイを用いてシート状に押出、冷却固化して、フィルムを形成した。得られたフィルムを温度65℃でロール延伸にてMDに2.5倍、温度65℃でテンター延伸にてTDに2.8倍に延伸して二軸延伸し、次いで、140℃で熱処理して厚さ250μmの反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、樹脂組成物Bの替わりに、メルトフローレート(MFR、300℃、1.2kg)が10であるポリカーボネート系樹脂(ユーピロンS2000、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を用い、B層の押出機の温度条件を280℃にした以外は実施例1と同様にして、反射フィルムを形成しようと試みたが、押出が不安定でフィルムを形成することができなかった。
Figure 2008225326
表1から明らかなように、ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレートが30〜80g/10minである樹脂組成物を用いた実施例1および実施例2は、反射率、熱収縮率、および、耐熱性評価のすべてにおいて優れた結果を示すことが分かった。
一方、B層を積層していない比較例1の反射フィルムは、耐熱性の劣ったものであり、本発明外のポリカーボネートを使用した比較例2は、フィルムの形成が困難なものであることが分かった。
本発明によれば、A層における脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱により高い反射性能を実現することができるので、特に優れた光反射性を有する反射フィルムを得ることができる。また、特定のポリカーボネートを含有するB層を積層した反射フィルムは、脂肪族ポリエステルの耐熱性の乏しさを補い、加熱環境下における反射フィルムの浪打ち、撓みを抑制することができる。本発明によれば、高い光反射性を実現し、しかも加熱環境下での寸法変化が少ない反射フィルムを実現することができる。
本発明の反射フィルムは、パソコンやテレビなどのディスプレイ、照明器具、照明看板等に用いられる反射フィルムとして好適であり、中でも大型液晶テレビ等のように、優れた耐熱性が要求される用途の反射フィルムとして好適である。

Claims (6)

  1. 脂肪族ポリエステル系樹脂および微粒状充填剤を含有する樹脂組成物Aを主成分とするA層と、日本工業規格JIS K7210に基づく300℃におけるメルトフローレート(MFR)が30〜80g/10minであるポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物Bを主成分とするB層とを有することを特徴とする反射フィルム。
  2. 前記A層および前記B層を有する積層体が共押出により得られることを特徴とする請求項1に記載の反射フィルム。
  3. 前記A層および前記B層は、いずれも実質無延伸であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射フィルム。
  4. 前記樹脂組成物Bが更に微粉状充填剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の反射フィルム。
  5. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂が乳酸系重合体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の反射フィルム。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の反射フィルムを備えていることを特徴とする反射板。
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JP2018180551A (ja) * 2010-03-23 2018-11-15 株式会社朝日ラバー 可撓性反射基材、その製造方法及びその反射基材に用いる原材料組成物

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