JP2008230932A - シリコン鋳造用鋳型およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化アルミニウムまたは酸化セリウムを含む粉末を溶媒に分散させてスラリーとし、該スラリーをシリコン鋳造用鋳型内面に塗布して乾燥させる工程を経ることにより、内面に離型層が形成されたシリコン鋳造用鋳型を作製する。
【選択図】なし
Description
太陽電池に用いられる多結晶シリコンは、高温度で加熱溶融させたシリコン融液を鋳型内に注湯して凝固させたり、また、シリコン原料を鋳型内に入れて一旦溶融した後に再び凝固させることによって形成される。
すなわち、本発明は、より離型性の向上が図られ、かつ、内面層の剥離や脱落も防止され、クラック発生のないシリコンインゴットを歩留よく鋳造することができるシリコン鋳造用鋳型およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
このような粉末による離型層が形成された鋳型によれば、鋳造されるシリコンインゴットの離型性の向上を図ることができ、かつ、内面層の剥離や脱落も防止することができる。
前記粉末の酸化アルミニウムを含むことによる酸素濃度が、上記範囲内であれば、窒化アルミニウム粒子間の接着性の向上を図ることができ、かつ、シリコン融液中に溶け込む酸素量を十分抑制することができる。
このような製造方法によれば、上記のような本発明に係るシリコン鋳造用鋳型を簡便に作製することができる。
また、本発明に係る製造方法によれば、上記のようなシリコン鋳造用鋳型を好適に製造することができる。
本発明に係るシリコン鋳造用鋳型は、その内面に、窒化アルミニウムまたは酸化セリウムを含む粉末が塗布されていることを特徴とするものである。
これらの粉末を用いて、鋳型内面に離型層を構成することにより、従来の窒化珪素粉末を用いた離型層と比べて、鋳造されるシリコンインゴットの離型性が向上し、かつ、内面層の剥離や脱落も防止することができる。
これら以外の金属酸化物は、離型性に劣り、シリコンインゴットにクラックが発生するおそれがあるため、離型層として適さない。
ただし、酸化セリウムは、窒化アルミニウムと比較して、融点が低いため、これらの材料の種類は、鋳造されるシリコンインゴットの用途に応じて、適宜区別して使用することが好ましい。
また、鋳型内面に、窒化アルミニウムと酸化セリウムの2層構造を形成してもよく、この場合、これらの2層の積層の順序は、鋳造されるシリコンインゴットの用途に応じて、適宜設計すればよい。
平均粒径が50μmを超える場合は、粒子間の隙間が大きくなり、鋳造の際、シリコン融液が、離型層に侵入して、鋳型内面に到達し、シリコン融液と鋳型との固着を招くこととなる。
したがって、離型層に用いられる粉末は、その粒子間の隙間を通して、シリコン融液が該離型層内に侵入しないようにする観点から、平均粒径が小さい方が好ましい。
前記酸素濃度が0.2重量%未満である場合、窒化アルミニウム粒子間の接着性が不十分となり、シリコンが溶融する前に、窒化アルミニウム層が剥離・脱落するおそれがある。
一方、前記酸素濃度が10重量%を超える場合は、酸化物層がシリコン融液と反応し、酸化物が分解し、生成した酸素がシリコン融液中に多く溶け込むことになる。この酸素濃度の高いシリコンは、太陽電池として用いた場合、変換効率の低下を招く。
具体的には、上記スラリーは、水またはアルコール等の分散媒中に、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース等の有機系バインダ等も適宜添加して、撹拌・混合し、均等なスラリーとして調製することが好ましい。
このスラリーを、スプレーやはけ塗り等により鋳型内面に塗布して、皮膜として形成した後、バインダ成分等の脱脂処理のため、加熱処理を施す。これにより、内面に離型層が接着した鋳型が得られる。
[実施例1]
平気粒径1.8μm、純度99%以上の窒化アルミニウム(AlN)粉末50重量%とバインダ3重量%とをエタノールに分散させ、スラリーを調製した。
このスラリーを、スプレーガンを用いて、石英製鋳型(600mm×600mm、高さ400mm)内面に吹きつけ、乾燥し、膜厚500μmの窒化アルミニウム粉末層(酸素濃度0.4重量%)を形成した。
この鋳型を、大気中、700℃で熱処理し、バインダを除去した。
冷却後、鋳型からシリコンインゴットを取り出す際の離型性の評価を行った。この結果を表1に示す。
平均粒径0.5μm、純度99%以上の窒化ケイ素(Si3N4)粉末50重量%とバインダ3重量%とをエタノールに分散させ、スラリーを調製した。
このスラリーを、スプレーガンを用いて、石英製鋳型(600mm×600mm、高さ400mm)内面に吹きつけ、乾燥し、膜厚500μmの窒化ケイ素粉末層を形成した。
この鋳型を、大気中、700℃で熱処理し、バインダを除去した。
得られた鋳型を用いて、実施例1と同様にして、シリコンインゴットを製造し、その際の離型性の評価を行った。この結果を表1に示す。
離型層の構成材料として、窒化アルミニウム粉末に替えて、表1の実施例2、比較例2〜10に示した材料を用いて、それ以外については、実施例1と同様にして、鋳型を製造し、各鋳型を用いて、実施例1と同様にして、シリコンインゴットを製造し、その際の離型性の評価を行った。この結果を表1にまとめて示す。
Claims (6)
- 鋳型内面に、窒化アルミニウムまたは酸化セリウムを含む粉末が塗布されていることを特徴とするシリコン鋳造用鋳型。
- 鋳型内面に、窒化アルミニウムと酸化セリウムの2層構造が形成されていることを特徴とする請求項1記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記粉末は、平均粒径が50μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記粉末が窒化アルミニウム粉末である場合、該粉末が酸化アルミニウムも含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のシリコン鋳造用鋳型。
- 前記粉末は、酸素濃度が0.2重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項4記載のシリコン鋳造用鋳型。
- シリコン鋳造用鋳型の内面に離型層を形成する際、窒化アルミニウムまたは酸化セリウムを含む粉末を溶媒に分散させてスラリーとし、該スラリーを前記鋳型内面に塗布して乾燥させる工程を備えていることを特徴とするシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
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