JP2010280529A - 多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】室温およびシリコン溶融温度付近のいずれにおいても、十分な強度を有し、大型化にも対応することができ、かつ、該ルツボを用いて製造する多結晶シリコンインゴットに対する不純物汚染の防止効果にも優れた多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法を提供する。
【解決手段】スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉と平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉とを分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形し、焼成する。
【選択図】なし
【解決手段】スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉と平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉とを分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形し、焼成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、太陽電池用基板等に使用される高純度の多結晶シリコンインゴットを製造する際にシリコン原料の溶融に用いられる多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法に関する。
クリーンなエネルギー源として注目されている太陽電池は、その使用材料に応じて種々に分類されるが、中でも、コストと性能のバランスの面から、多結晶シリコンを基板とするものが主流である。
太陽電池に用いられる多結晶シリコンは、ルツボ内で高純度のシリコン原料を溶融させ、又は、高温で溶融させたシリコン融液を該ルツボ内に注湯して、その後、凝固させることにより、多結晶シリコンインゴットとして製造される。
太陽電池に用いられる多結晶シリコンは、ルツボ内で高純度のシリコン原料を溶融させ、又は、高温で溶融させたシリコン融液を該ルツボ内に注湯して、その後、凝固させることにより、多結晶シリコンインゴットとして製造される。
上記のようなシリコン原料を溶融して鋳造するために用いられるルツボとしては、溶融シリカ製、カーボン製や窒化ホウ素製のものが一般的である。
しかしながら、これらのルツボにシリコン融液を充填すると、該シリコン融液と直接接触するルツボ内表面から、該ルツボの材料成分がシリコン融液中に不純物成分として移動し、得られる多結晶シリコンインゴットの特性を低下させる。
しかしながら、これらのルツボにシリコン融液を充填すると、該シリコン融液と直接接触するルツボ内表面から、該ルツボの材料成分がシリコン融液中に不純物成分として移動し、得られる多結晶シリコンインゴットの特性を低下させる。
これに対しては、ルツボ内壁面に、離型材として窒化ケイ素、シリカ、炭化ケイ素等の高純度粉を厚さ数十〜数百μmで塗布しておくことにより、不純物成分の混入を抑制し、また、シリコンインゴットに発生する応力を緩和することができることが知られている。
また、例えば、特許文献1〜3には、溶融シリカ粉末からなるルツボにおいて、ルツボの構成材料であるシリカや溶融シリカ砂に不可避的に含まれるボロンがシリコン融液中に混入し、シリコンインゴットの純度を低下させることを抑制するために、ストロンチウムや4a、5a、6a族元素を添加することが記載されている。
また、例えば、特許文献1〜3には、溶融シリカ粉末からなるルツボにおいて、ルツボの構成材料であるシリカや溶融シリカ砂に不可避的に含まれるボロンがシリコン融液中に混入し、シリコンインゴットの純度を低下させることを抑制するために、ストロンチウムや4a、5a、6a族元素を添加することが記載されている。
しかしながら、従来のルツボには、前記ボロン以外に、不純物金属成分としてFe,Al等も含まれている。このため、ルツボ内でシリコンを溶融凝固させる際に、多結晶シリコンインゴット内にFe,Al等の金属不純物が拡散してしまう問題があった。
さらに、近年、シリコン融液の充填量を増大させてスループットを向上させるために、ルツボの大型化が求められるところ、上記のような従来のルツボは、室温付近(10〜50℃程度)においても、大型化に対応するには十分な強度を有しているとは言えず、ハンドリング時に破損するおそれがあった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、室温およびシリコン溶融温度付近のいずれにおいても、十分な強度を有し、大型化にも対応することができ、かつ、該ルツボを用いて製造する多結晶シリコンインゴットに対する不純物汚染の防止効果にも優れた多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法は、スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉と平均粒径1μm未満のアルミナ粉(アルミナ微粉)と平均粒径1μm未満のシリカ粉(シリカ微粉)とを分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形し、焼成することを特徴とする。
上記のようなスラリーを用いた製造方法によれば、室温付近で十分な強度を有し、かつ、シリコン溶融温度付近(1400〜1600℃程度)でも十分な強度を有し、しかも、製造する多結晶シリコンインゴットに対して、該ルツボの構成材料由来の不純物金属成分の拡散を防止することができる多結晶シリコン製造用ルツボが得られる。
上記のようなスラリーを用いた製造方法によれば、室温付近で十分な強度を有し、かつ、シリコン溶融温度付近(1400〜1600℃程度)でも十分な強度を有し、しかも、製造する多結晶シリコンインゴットに対して、該ルツボの構成材料由来の不純物金属成分の拡散を防止することができる多結晶シリコン製造用ルツボが得られる。
また、本発明に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法の他の態様は、スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、鋳込み型表面の少なくとも前記ルツボの内壁面を成形する部分に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを前記鋳込み型に流し込んで成形し、焼成することを特徴とする。
このように、予め、アルミナ微粉とシリカ微粉とを表面に塗布した鋳込み型を用いた場合にも、上記製造方法と同様の特性および効果を有する多結晶シリコン製造用ルツボを得ることができる。
このように、予め、アルミナ微粉とシリカ微粉とを表面に塗布した鋳込み型を用いた場合にも、上記製造方法と同様の特性および効果を有する多結晶シリコン製造用ルツボを得ることができる。
さらに、本発明に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法の他の態様は、スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形、乾燥し、得られたルツボ成形体の少なくとも内壁面に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、焼成することを特徴とする。
このように、スリップキャスト法により成形したルツボ内壁面にアルミナ微粉とシリカ微粉とを表面に塗布した場合にも、上記製造方法と同様の特性および効果を有する多結晶シリコン製造用ルツボを得ることができる。
このように、スリップキャスト法により成形したルツボ内壁面にアルミナ微粉とシリカ微粉とを表面に塗布した場合にも、上記製造方法と同様の特性および効果を有する多結晶シリコン製造用ルツボを得ることができる。
上記製造方法においては、前記平均粒径1μm未満のアルミナ粉に代えて、平均粒径1μm未満の水酸化アルミニウム粉を用いてもよい。
前記水酸化アルミニウム粉は、焼成により、シリカ微粉と反応してムライト相を生成するため、前記アルミナ粉を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
前記水酸化アルミニウム粉は、焼成により、シリカ微粉と反応してムライト相を生成するため、前記アルミナ粉を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
本発明に係る製造方法を用いることにより、室温付近およびシリコン溶融温度付近のいずれにおいても、好適な強度を有する多結晶シリコン製造用ルツボを製造することができる。
したがって、本発明によれば、多結晶シリコン製造用ルツボの大型化を可能とし、シリコン融液の充填量を増大させることができるため、多結晶シリコンインゴット製造におけるスループットの向上を図ることができる。
さらに、本発明により得られたルツボを用いれば、製造される多結晶シリコンインゴットに対して、該ルツボの構成材料に由来する不純物金属成分による汚染を抑制することができ、高純度の多結晶シリコンインゴットを得ることができる。
したがって、本発明によれば、多結晶シリコン製造用ルツボの大型化を可能とし、シリコン融液の充填量を増大させることができるため、多結晶シリコンインゴット製造におけるスループットの向上を図ることができる。
さらに、本発明により得られたルツボを用いれば、製造される多結晶シリコンインゴットに対して、該ルツボの構成材料に由来する不純物金属成分による汚染を抑制することができ、高純度の多結晶シリコンインゴットを得ることができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法は、スリップキャスト法による製造方法に適用される方法である。
スリップキャスト法とは、セラミックス製造における成形方法の一つとして知られている方法であり、原料粉末と分散媒、分散剤、バインダ等を混合・分散して調製したスリップ(泥漿又はスラリーともいう)を石膏等の多孔質体で作製された型に注型し、該型の毛細管現象によってスリップ中の液体を吸収させて、前記型表面に固体粒子を堆積させて着肉成形する方法である。
本発明に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法は、スリップキャスト法による製造方法に適用される方法である。
スリップキャスト法とは、セラミックス製造における成形方法の一つとして知られている方法であり、原料粉末と分散媒、分散剤、バインダ等を混合・分散して調製したスリップ(泥漿又はスラリーともいう)を石膏等の多孔質体で作製された型に注型し、該型の毛細管現象によってスリップ中の液体を吸収させて、前記型表面に固体粒子を堆積させて着肉成形する方法である。
まず、本発明の第1の態様に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法について述べる。
第1の態様に係る製造方法は、スリップキャスト法において、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉と平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉とを分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形し、焼成するものである。
すなわち、本発明は、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉に、アルミナおよびシリカの平均粒径1μm未満の各微粉を添加したスラリーを用いて成形することを特徴とするものである。
第1の態様に係る製造方法は、スリップキャスト法において、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉と平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉とを分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形し、焼成するものである。
すなわち、本発明は、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉に、アルミナおよびシリカの平均粒径1μm未満の各微粉を添加したスラリーを用いて成形することを特徴とするものである。
スラリーに上記のようなアルミナ微粉およびシリカ微粉を添加することにより、スリップキャスト法による成形の際、スラリー中の前記微粉が鋳込み型表面に先に堆積し、着肉するため、得られるルツボの表面に前記微粉が偏在する。前記微粉が偏在するルツボの成形体表面は、焼成時に、比較的低温(1200℃付近)からムライト相とクリストバライト相が生成する。すなわち、結晶化が始まる。
このように、ルツボ表面が低温時から結晶化することにより、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることができる。
また、低温時から結晶化が開始したルツボ表面においては、Fe,Al等の不純物金属成分の拡散速度が遅くなるため、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物が、ルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することができる。
このように、ルツボ表面が低温時から結晶化することにより、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることができる。
また、低温時から結晶化が開始したルツボ表面においては、Fe,Al等の不純物金属成分の拡散速度が遅くなるため、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物が、ルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することができる。
一方、前記スラリー中の平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉は、前記微粉に比べて粒径が大きいため、スリップキャスト法による成形の際、前記微粉よりも堆積速度が遅く、ゆっくりと着肉する。したがって、ルツボ内部を構成する骨材としての機能を担うものである。
このような比較的大きい粒子である溶融シリカ粉が混在することによって成形体充填密度が向上し、室温付近においても、十分な強度が担保され、ルツボの大型化の要求を満たすことができる。
このような比較的大きい粒子である溶融シリカ粉が混在することによって成形体充填密度が向上し、室温付近においても、十分な強度が担保され、ルツボの大型化の要求を満たすことができる。
上記第1の態様に係る製造方法で用いられるアルミナ微粉の平均粒径は1μm未満である。
前記平均粒径が1μm以上の場合、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉よりも先に鋳込み型表面に堆積し、着肉することが難しく、また、シリカ微粉とともに、ルツボ表面の結晶化を促進することが困難となる。
前記アルミナ微粉の平均粒径は0.3μm未満であることが好ましく、より好ましくは、0.01μm未満である。
前記平均粒径が1μm以上の場合、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉よりも先に鋳込み型表面に堆積し、着肉することが難しく、また、シリカ微粉とともに、ルツボ表面の結晶化を促進することが困難となる。
前記アルミナ微粉の平均粒径は0.3μm未満であることが好ましく、より好ましくは、0.01μm未満である。
また、前記シリカ微粉の平均粒径も1μm未満である。
前記平均粒径が1μm以上の場合、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉よりも先に鋳込み型表面に堆積し、着肉することが難しく、また、アルミナ微粉とともに、ルツボ表面の結晶化を促進することが困難となる。
前記シリカ微粉の平均粒径は0.1μm未満であることが好ましい。
前記平均粒径が1μm以上の場合、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉よりも先に鋳込み型表面に堆積し、着肉することが難しく、また、アルミナ微粉とともに、ルツボ表面の結晶化を促進することが困難となる。
前記シリカ微粉の平均粒径は0.1μm未満であることが好ましい。
上記第1の態様に係る製造方法においては、前記アルミナ微粉に代えて、平均粒径1μm未満の水酸化アルミニウム粉を用いてもよい。
水酸化アルミニウムは加熱によりアルミナとなるため、水酸化アルミニウム微粉は、前記アルミナ微粉と同様に用いることができる。
前記水酸化アルミニウム粉の平均粒径が1μm以上の場合、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉よりも先に鋳込み型表面に堆積し、着肉することが難しく、また、シリカ微粉とともに、ルツボ表面の結晶化を促進することが困難となる。
水酸化アルミニウムは加熱によりアルミナとなるため、水酸化アルミニウム微粉は、前記アルミナ微粉と同様に用いることができる。
前記水酸化アルミニウム粉の平均粒径が1μm以上の場合、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉よりも先に鋳込み型表面に堆積し、着肉することが難しく、また、シリカ微粉とともに、ルツボ表面の結晶化を促進することが困難となる。
また、前記スラリー中に添加される溶融シリカ粉の平均粒径は1μm以上40μm以下である。
前記平均粒径が1μm未満の場合、粉末粒子が微細すぎて、ルツボ成形体の強度を保持するための骨材として役割を十分に果たすことが困難となる。
一方、前記平均粒径が40μmを超える場合、粉末粒子が粗すぎて、粒子間に空隙が生じ、これに起因して、ルツボが破損しやすくなる。
前記平均粒径が1μm未満の場合、粉末粒子が微細すぎて、ルツボ成形体の強度を保持するための骨材として役割を十分に果たすことが困難となる。
一方、前記平均粒径が40μmを超える場合、粉末粒子が粗すぎて、粒子間に空隙が生じ、これに起因して、ルツボが破損しやすくなる。
前記溶融シリカ粉は、半導体用の高純度溶融シリカを用いることが好ましい。これにより、ルツボの構成材料に含まれるアルカリ金属等による多結晶シリコンインゴットに対する不純物汚染を抑制することができる。
前記スラリーの調製は、水又はアルコール等の分散媒中に、ルツボの構成材料である前記溶融シリカ粉とアルミナ微粉とシリカ微粉とを添加し、さらに、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース等の有機系バインダや分散剤等も適宜添加して撹拌・混合することにより行う。
なお、前記バインダや分散剤等のルツボの構成材料以外の添加剤には、焼成時に焼失し、溶融シリカ純度に影響を及ぼさないものを用いる。
なお、前記バインダや分散剤等のルツボの構成材料以外の添加剤には、焼成時に焼失し、溶融シリカ純度に影響を及ぼさないものを用いる。
前記アルミナ微粉の添加量は、前記スラリーのルツボの構成材料中0.2重量%以上10重量%以下であることが好ましい。
また、前記シリカ微粉の添加量は、前記スラリーのルツボの構成材料中0.3重量%以上15重量%以下であることが好ましい。
前記アルミナ又はシリカ微粉の添加量が少なすぎると、これらの微粉が鋳込み型表面に堆積し、十分な厚さで着肉し、結晶化することが困難となる。
一方、前記アルミナ又はシリカ微粉の添加量が多すぎると、相対的に溶融シリカ粉の添加量が少なくなるため、骨材成分が不十分となり、ルツボの強度が低下する。
また、前記シリカ微粉の添加量は、前記スラリーのルツボの構成材料中0.3重量%以上15重量%以下であることが好ましい。
前記アルミナ又はシリカ微粉の添加量が少なすぎると、これらの微粉が鋳込み型表面に堆積し、十分な厚さで着肉し、結晶化することが困難となる。
一方、前記アルミナ又はシリカ微粉の添加量が多すぎると、相対的に溶融シリカ粉の添加量が少なくなるため、骨材成分が不十分となり、ルツボの強度が低下する。
次に、本発明の第2の態様に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法について述べる。
第2の態様に係る製造方法は、前記第1の態様と同様に、スリップキャスト法を用いるものであるが、鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを前記鋳込み型に流し込んで成形し、焼成するものである。
このように、第2の態様に係る製造方法は、スラリーを鋳込み型に流し込む前に、該鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分、すなわち、ルツボ内に充填されるシリコン融液と接触する鋳込み型表面部分に、アルミナおよびシリカの平均粒径1μm未満の各微粉を予め塗布しておくことを特徴とするものである。
第2の態様に係る製造方法は、前記第1の態様と同様に、スリップキャスト法を用いるものであるが、鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを前記鋳込み型に流し込んで成形し、焼成するものである。
このように、第2の態様に係る製造方法は、スラリーを鋳込み型に流し込む前に、該鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分、すなわち、ルツボ内に充填されるシリコン融液と接触する鋳込み型表面部分に、アルミナおよびシリカの平均粒径1μm未満の各微粉を予め塗布しておくことを特徴とするものである。
上記のように、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを鋳込み型に流し込む前に、鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に、アルミナおよびシリカの微粉のみを塗布しておくことにより、これらの微粉を前記ルツボの内壁面に確実に偏在させることができる。
したがって、上記第1の態様と同様に、低温時からルツボ内壁面(表面)を結晶化させることができ、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることができ、また、ルツボ内壁面において、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物金属成分が、ルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することができる。
したがって、上記第1の態様と同様に、低温時からルツボ内壁面(表面)を結晶化させることができ、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることができ、また、ルツボ内壁面において、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物金属成分が、ルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することができる。
一方、前記スラリーを構成する平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉は、スリップキャスト法による成形の際、予め塗布した前記アルミナおよびシリカの微粉の上から着肉し、ルツボ内部を構成する骨材としての機能を担う。
したがって、上記第1の態様と同様に、比較的大きい粒子であるシリカ粉によって、室温付近においても、十分な強度が担保され、ルツボの大型化の要求を満たすことができる。
したがって、上記第1の態様と同様に、比較的大きい粒子であるシリカ粉によって、室温付近においても、十分な強度が担保され、ルツボの大型化の要求を満たすことができる。
上記第2の態様に係る製造方法において用いるアルミナ微粉、シリカ微粉および溶融シリカ粉には、上記第1の態様と同様の構成からなる粉末材料を使用することができる。
また、上記第1の態様に係る製造方法と同様に、前記アルミナ微粉に代えて、平均粒径1μm未満の水酸化アルミニウム粉を用いてもよい。
また、上記第1の態様に係る製造方法と同様に、前記アルミナ微粉に代えて、平均粒径1μm未満の水酸化アルミニウム粉を用いてもよい。
前記鋳込み型表面に塗布されるアルミナ微粉とシリカ微粉との割合(重量比)は、結晶化の観点から、72:28〜36:64の範囲内であることが好ましい。
前記鋳込み型表面に塗布されるアルミナおよびシリカ微粉の厚さは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
前記塗布厚さが0.1mm未満の場合、ルツボ表面の結晶化を促進せず、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることが困難となり、また、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物が、ルツボ内壁面からルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することが困難となる。
一方、前記塗布厚さが5mmを超える場合、相対的にルツボの骨材成分である溶融シリカ粉がルツボ構成材料中で占める割合が小さくなるため、ルツボの強度が低下する。
前記塗布厚さが0.1mm未満の場合、ルツボ表面の結晶化を促進せず、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることが困難となり、また、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物が、ルツボ内壁面からルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することが困難となる。
一方、前記塗布厚さが5mmを超える場合、相対的にルツボの骨材成分である溶融シリカ粉がルツボ構成材料中で占める割合が小さくなるため、ルツボの強度が低下する。
前記アルミナおよびシリカ微粉を鋳込み型に塗布する方法は、特に限定されるものではない。例えば、接着剤等を用いて前記微粉を鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に接着してもよく、又は、前記微粉を水やアルコール等の分散媒に添加して調製したスラリーを用いて、スプレーコート、刷毛塗り、もしくは、かける、浸漬する等の方法を用いることもできる。均一な厚さで塗布する観点から、特に、スプレーコートにより塗布することが好ましい。
前記鋳込み型のアルミナおよびシリカ微粉の塗布箇所は、少なくともルツボの内壁面を成形する部分であるが、それ以外の部分、すなわち、ルツボの外壁面を成形する部分にも塗布しても差し支えない。
上記のようにして、前記微粉を塗布した鋳込み型は、塗布箇所を室温〜数百℃で乾燥させた後、前記溶融シリカ粉のスラリーを流し込む。
次に、本発明の第3の態様に係る多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法について述べる。
第3の態様に係る製造方法は、前記第1、第2の態様と同様に、スリップキャスト法を用いるものであるが、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形、乾燥し、得られたルツボ成形体の少なくとも内壁面に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、焼成するものである。
第3の態様に係る製造方法は、前記第1、第2の態様と同様に、スリップキャスト法を用いるものであるが、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形、乾燥し、得られたルツボ成形体の少なくとも内壁面に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、焼成するものである。
上記のように、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形した後に、ルツボの内壁面となる部分に、アルミナおよびシリカの微粉を塗布することにより、これらの微粉を前記ルツボの内壁面に確実に偏在させることができる。
したがって、上記第1、第2の態様と同様に、低温時からルツボ内壁面(表面)を結晶化させることができ、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることができ、また、ルツボ内壁面において、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物金属成分が、ルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することができる。
したがって、上記第1、第2の態様と同様に、低温時からルツボ内壁面(表面)を結晶化させることができ、シリコン溶融温度付近での強度を向上させることができ、また、ルツボ内壁面において、該ルツボの構成材料中に含まれる不純物金属成分が、ルツボ内に充填されるシリコン融液に拡散することを抑制することができる。
一方、前記スラリーを構成する平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉は、スリップキャスト法による成形の際、ルツボを構成する骨材としての機能を担う。
したがって、上記第1、第2の態様と同様に、比較的大きい粒子であるシリカ粉によって、室温付近においても、十分な強度が担保され、ルツボの大型化の要求を満たすことができる。
したがって、上記第1、第2の態様と同様に、比較的大きい粒子であるシリカ粉によって、室温付近においても、十分な強度が担保され、ルツボの大型化の要求を満たすことができる。
上記第3の態様に係る製造方法において用いるアルミナ微粉、シリカ微粉および溶融シリカ粉には、上記第1、第2の態様と同様の構成からなる粉末材料を使用することができる。
この場合も、上記第2の態様と同様に、前記ルツボ成形体の内壁面に塗布されるアルミナ微粉とシリカ微粉との割合(重量比)は、72:28〜36:64の範囲内であることが好ましく、また、前記ルツボ成形体の内壁面に塗布されるアルミナおよびシリカ微粉の厚さは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
この場合も、上記第2の態様と同様に、前記ルツボ成形体の内壁面に塗布されるアルミナ微粉とシリカ微粉との割合(重量比)は、72:28〜36:64の範囲内であることが好ましく、また、前記ルツボ成形体の内壁面に塗布されるアルミナおよびシリカ微粉の厚さは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
また、上記第1、第2の態様に係る製造方法と同様に、前記アルミナ微粉に代えて、平均粒径1μm未満の水酸化アルミニウム粉を用いてもよい。
前記アルミナおよびシリカ微粉をルツボ成形体に塗布する方法は、特に限定されるものではない。例えば、接着剤等を用いて前記微粉をルツボ成形体の少なくとも内壁面に接着してもよく、又は、前記微粉を水やアルコール等の分散媒に添加して調製したスラリーを用いて、スプレーコート、刷毛塗り、もしくは、かける、浸漬する等の方法を用いることもできる。均一な厚さで塗布する観点から、特に、スプレーコートにより塗布することが好ましい。
前記ルツボ成形体へのアルミナおよびシリカ微粉の塗布箇所は、少なくとも内壁面であるが、それ以外の部分、すなわち、ルツボ成形体の外壁面に塗布しても差し支えない。
なお、上記第1〜第3の態様のいずれにおいても、使用される鋳込み型は、一般に、スリップキャスト法に適用される材質のものでよく、また、その形状は、一体型であっても、コの字状の大小2つの外型と内型を組み合わせて用いるセパレート型(入れ子型)のものであってもよい。
また、上記第1〜第3態様のいずれの製造方法においても、鋳込み型にスラリーを流し込むことにより得られた成形体は、通常行われる方法で焼成することにより、多結晶シリコン製造用ルツボが得られる。具体的には、90〜130℃で乾燥させた後、900〜1100℃で焼成することにより、焼成体であるルツボが得られる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
平均粒径7μmの溶融シリカ粉99.43重量%と、平均粒径0.1μmのアルミナ粉0.21重量%と、平均粒径0.07μmのシリカ粉0.36重量%とを、水を分散媒として添加混合し、スラリーを調製した。
このスラリーを石膏型に流し込んで成形し、得られた成形体を、大気中、1070℃で焼成し、肉厚15mm、上面開口部が694mm×694mmの矩形状、高さ420mmのルツボを作製した。
[実施例1]
平均粒径7μmの溶融シリカ粉99.43重量%と、平均粒径0.1μmのアルミナ粉0.21重量%と、平均粒径0.07μmのシリカ粉0.36重量%とを、水を分散媒として添加混合し、スラリーを調製した。
このスラリーを石膏型に流し込んで成形し、得られた成形体を、大気中、1070℃で焼成し、肉厚15mm、上面開口部が694mm×694mmの矩形状、高さ420mmのルツボを作製した。
[実施例2]
平均粒径0.1μmのアルミナ粉36.8重量%と平均粒径0.07μmのシリカ粉63.2重量%を、水を分散媒として添加混合したスラリーを調製した。このスラリーを鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に、スプレーコートにて厚さ1mmで塗布した。
この鋳込み型に、平均粒径7μmの溶融シリカ粉を、水を分散媒として添加混合して調製したスラリーを流し込み、実施例1と同様にして、ルツボを作製した。
平均粒径0.1μmのアルミナ粉36.8重量%と平均粒径0.07μmのシリカ粉63.2重量%を、水を分散媒として添加混合したスラリーを調製した。このスラリーを鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に、スプレーコートにて厚さ1mmで塗布した。
この鋳込み型に、平均粒径7μmの溶融シリカ粉を、水を分散媒として添加混合して調製したスラリーを流し込み、実施例1と同様にして、ルツボを作製した。
[実施例3]
実施例2における平均粒径0.1μmのアルミナ粉に代えて、平均粒径0.9μmの水酸化アルミニウム粉を用いて、スラリーを調製した。このスラリーを鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に、スプレーコートにて厚さ0.5mmで塗布した。
それ以外については、実施例2と同様にして、ルツボを作製した。
実施例2における平均粒径0.1μmのアルミナ粉に代えて、平均粒径0.9μmの水酸化アルミニウム粉を用いて、スラリーを調製した。このスラリーを鋳込み型表面の少なくともルツボの内壁面を成形する部分に、スプレーコートにて厚さ0.5mmで塗布した。
それ以外については、実施例2と同様にして、ルツボを作製した。
[実施例4]
平均粒径7μmの溶融シリカ粉のみを、水を分散媒として添加混合してスラリーを調製し、それ以外は、実施例1と同様にして、ルツボ成形体を作製した。
次に、平均粒径0.1μmのアルミナ粉36.8重量%と平均粒径0.07μmのシリカ粉63.2重量%を、水を分散媒として添加混合したスラリーを調製した。このスラリーを前記ルツボの内壁面に、スプレーコートにて厚さ1mmで塗布した。
平均粒径7μmの溶融シリカ粉のみを、水を分散媒として添加混合してスラリーを調製し、それ以外は、実施例1と同様にして、ルツボ成形体を作製した。
次に、平均粒径0.1μmのアルミナ粉36.8重量%と平均粒径0.07μmのシリカ粉63.2重量%を、水を分散媒として添加混合したスラリーを調製した。このスラリーを前記ルツボの内壁面に、スプレーコートにて厚さ1mmで塗布した。
[比較例1]
平均粒径7μmの溶融シリカ粉のみを、水を分散媒として添加混合してスラリーを調製し、それ以外は、実施例1と同様にして、ルツボを作製した。
平均粒径7μmの溶融シリカ粉のみを、水を分散媒として添加混合してスラリーを調製し、それ以外は、実施例1と同様にして、ルツボを作製した。
上記実施例および比較例において作製した各ルツボについて、室温(20℃)およびシリコン溶融温度付近(1500℃)における強度の測定を、熱間曲げ強さ測定により行った。熱間曲げ強さ測定条件は、20mm×20mm×100mmに加工した試料を、室温で75mm間隔にセットし、加熱炉を100℃/時間にて昇温し、1500℃到達後1時間保持し、その後、2500N/分での破壊試験を行うものとした。試験数は、各試料および各条件につき、3回(n=3)とした。
次に、上記実施例および比較例において作製した各ルツボを用いて、シリコンを溶融凝固することにより、多結晶シリコンインゴットを作製した。
得られた多結晶シリコンインゴットの側面中央部表面から8mm×15mm×4mmの試料を切り出し、フッ硝酸溶解後、ICP−MSを用いて、不純物金属成分であるFeおよびAlの含有量を測定することにより、シリコン純度の評価を行った。
これらの評価結果を表1にまとめて示す。
得られた多結晶シリコンインゴットの側面中央部表面から8mm×15mm×4mmの試料を切り出し、フッ硝酸溶解後、ICP−MSを用いて、不純物金属成分であるFeおよびAlの含有量を測定することにより、シリコン純度の評価を行った。
これらの評価結果を表1にまとめて示す。
表1に示した結果から分かるように、実施例1〜4で作製したルツボは、室温(20℃)およびシリコン溶融温度付近(1500℃)のいずれにおいても、良好な強度を保持していることが認められた。また、これらのルツボを用いて作製した多結晶シリコンインゴットは、Fe,Alの含有量が少なく、ルツボの構成材料由来の不純物金属成分の混入が抑制されていることが認められた。
Claims (4)
- スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、
平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉と平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉とを分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形し、焼成することを特徴とする多結晶シリコン溶融ルツボの製造方法。 - スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、
鋳込み型表面の少なくとも前記ルツボの内壁面を成形する部分に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを前記鋳込み型に流し込んで成形し、焼成することを特徴とする多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法。 - スリップキャスト法により多結晶シリコン製造用ルツボを製造する方法において、
平均粒径1μm以上40μm以下の溶融シリカ粉を分散させたスラリーを鋳込み型に流し込んで成形、乾燥し、得られたルツボ成形体の少なくとも内壁面に、平均粒径1μm未満のアルミナ粉と平均粒径1μm未満のシリカ粉を塗布した後、焼成することを特徴とする多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法。 - 前記平均粒径1μm未満のアルミナ粉に代えて、平均粒径1μm未満の水酸化アルミニウム粉を用いることを特徴とする請求項1〜3記載の多結晶シリコン製造用ルツボの製造方法。
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- 2009-06-04 JP JP2009134662A patent/JP2010280529A/ja active Pending
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