JP2010052996A - 多結晶シリコン製造用容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン融液と直接接触する容器内表面にコート材層等を設けることなく、製造するシリコンインゴットに対する剥離性および不純物汚染防止性に優れた多結晶シリコン製造用容器を提供する。
【解決手段】シリカ質の外層と、前記外層よりもシリカ純度が高いシリカ質の内層とからなる容器において、前記内層を、厚さが1mm以上2mm以下とし、純度99.5%以上、最大粒径100μm以下のシリカ原料粉末を焼成して形成する。
【選択図】なし
【解決手段】シリカ質の外層と、前記外層よりもシリカ純度が高いシリカ質の内層とからなる容器において、前記内層を、厚さが1mm以上2mm以下とし、純度99.5%以上、最大粒径100μm以下のシリカ原料粉末を焼成して形成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、太陽電池用基板等に使用される多結晶シリコンインゴットを凝固製造する際に用いられる容器に関する。
クリーンなエネルギー源として注目されている太陽電池は、その使用材料に応じて種々に分類されるが、中でも、コストと性能のバランスの面から、多結晶シリコンを基板とするものが主流である。
太陽電池に用いられる多結晶シリコンは、高温度で加熱溶融させたシリコン融液を容器内に注湯して凝固させたり、また、シリコン原料を容器内に入れて一旦溶融した後に再び凝固させたりすることによって製造される。
太陽電池に用いられる多結晶シリコンは、高温度で加熱溶融させたシリコン融液を容器内に注湯して凝固させたり、また、シリコン原料を容器内に入れて一旦溶融した後に再び凝固させたりすることによって製造される。
このように、シリコン原料を溶融して鋳造するために用いられる容器としては、溶融石英ガラス製やカーボン製のものが一般的である。
しかしながら、これらの容器に、直接、シリコン融液を充填させて鋳造すると、シリコンが凝固する際に、容器内表面にシリコンが固着する。
シリコンは凝固時に膨張するため、シリコンインゴットと容器とが固着していると、インゴットに圧縮応力が生じ、この応力により、インゴットにムラが生じる。また、インゴットの膨張に耐えられずに容器が割れ、その際、インゴットにも割れが生じる等により、シリコンインゴットの歩留まりが低下する。
また、シリコンと直接接触する容器内表面から、該容器の材料成分がシリコンインゴット中に不純物成分として移動し、シリコン特性を低下させる。
しかしながら、これらの容器に、直接、シリコン融液を充填させて鋳造すると、シリコンが凝固する際に、容器内表面にシリコンが固着する。
シリコンは凝固時に膨張するため、シリコンインゴットと容器とが固着していると、インゴットに圧縮応力が生じ、この応力により、インゴットにムラが生じる。また、インゴットの膨張に耐えられずに容器が割れ、その際、インゴットにも割れが生じる等により、シリコンインゴットの歩留まりが低下する。
また、シリコンと直接接触する容器内表面から、該容器の材料成分がシリコンインゴット中に不純物成分として移動し、シリコン特性を低下させる。
これに対しては、容器内表面に窒化ケイ素、シリカ、炭化ケイ素等の高純度粉を数十〜数百μmの厚みで塗布しておくことにより、シリコンインゴットの容器からの離型性を向上させ、シリコンインゴットに発生する応力を緩和し、シリコンインゴット製造の歩留まりを向上させる方法が用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
上記のようなコート材等により容器内表面を形成することは有効な方法である。
しかしながら、容器の内層の状態や使用条件によっては、溶解前に剥離する場合があり、コート材等の離型能力や不純物汚染防止能力が十分に得られず、高純度かつ高品質のシリコンインゴットの製造が困難となるという課題を有していた。
しかしながら、容器の内層の状態や使用条件によっては、溶解前に剥離する場合があり、コート材等の離型能力や不純物汚染防止能力が十分に得られず、高純度かつ高品質のシリコンインゴットの製造が困難となるという課題を有していた。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、シリコン融液と直接接触する容器内表面に設けたコート材層等が剥離した場合であっても、製造するシリコンインゴットに対する剥離性および不純物汚染防止性に優れた多結晶シリコン製造用容器を提供することを目的とするものである。
本発明に係る多結晶シリコン製造用容器は、シリカ質の外層と、前記外層よりもシリカ純度が高いシリカ質の内層とからなる容器であって、前記内層は、厚さが1mm以上2mm以下であり、純度99.5%以上、最大粒径100μm以下のシリカ原料粉末が焼成されて形成されていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、シリコン融液と直接接触する容器内表面に設けたコート材層等が剥離した場合であっても、高純度かつクラック発生のない多結晶シリコンインゴットを歩留よく鋳造することができる。
このような構成とすることにより、シリコン融液と直接接触する容器内表面に設けたコート材層等が剥離した場合であっても、高純度かつクラック発生のない多結晶シリコンインゴットを歩留よく鋳造することができる。
前記多結晶シリコン製造用容器においては、前記内層の表面に、窒化ケイ素粉末の焼結体からなる離型層が形成されていることが好ましい。
この場合、前記離型層の少なくとも表面にある窒化ケイ素粉末が、該粉末の表層に酸窒化ケイ素を有していることが好ましい。
これにより、シリコンインゴットのクラック発生や不純物汚染をより効果的に防止することができる。
この場合、前記離型層の少なくとも表面にある窒化ケイ素粉末が、該粉末の表層に酸窒化ケイ素を有していることが好ましい。
これにより、シリコンインゴットのクラック発生や不純物汚染をより効果的に防止することができる。
あるいはまた、前記内層の表面に、表層に酸窒化ケイ素を有するシリカ粉末の焼結体からなる離型層が形成されていることが好ましい。
また、前記内層の破壊強度が2MPa以上7MPa以下であることが好ましい。
内層が、このような範囲内の強度であれば、前記離型層にクラックや剥離が生じた場合であっても、内層が剥離層として機能し得る。
内層が、このような範囲内の強度であれば、前記離型層にクラックや剥離が生じた場合であっても、内層が剥離層として機能し得る。
本発明に係る多結晶シリコン製造用容器によれば、シリコン融液と直接接触する容器内表面に設けたコート材層等にクラックや剥離が生じた場合であっても、製造される多結晶シリコンインゴットに、クラック発生や不純物汚染等の悪影響を及ぼすことがない。
したがって、前記多結晶シリコン製造用容器を用いれば、高純度かつクラック発生のない多結晶シリコンインゴットを歩留まりよく鋳造することができる。
したがって、前記多結晶シリコン製造用容器を用いれば、高純度かつクラック発生のない多結晶シリコンインゴットを歩留まりよく鋳造することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る多結晶シリコン製造用容器は、シリカ質の外層と、前記外層よりもシリカ純度が高いシリカ質の内層とからなる容器である。そして、前記容器の内層は、厚さが1mm以上2mm以下であり、純度99.5%以上、最大粒径100μm以下のシリカ原料粉末が焼成されて形成されていることを特徴としている。
このような内層構成とすることにより、シリコン融液と直接接触する容器内表面に設けたコート材層等にクラックや剥離が生じて、製造される多結晶シリコンインゴットが容器内表面に固着し、インゴット取り出しの際に内層が剥離した場合においても、シリコンインゴットに、クラック発生や不純物汚染等の悪影響を及ぼすことがない。
このため、従来のように、シリコン原料溶融前に前記コート材層等の剥離が生じても、シリコンインゴットを歩留まりよく製造することができる。
本発明に係る多結晶シリコン製造用容器は、シリカ質の外層と、前記外層よりもシリカ純度が高いシリカ質の内層とからなる容器である。そして、前記容器の内層は、厚さが1mm以上2mm以下であり、純度99.5%以上、最大粒径100μm以下のシリカ原料粉末が焼成されて形成されていることを特徴としている。
このような内層構成とすることにより、シリコン融液と直接接触する容器内表面に設けたコート材層等にクラックや剥離が生じて、製造される多結晶シリコンインゴットが容器内表面に固着し、インゴット取り出しの際に内層が剥離した場合においても、シリコンインゴットに、クラック発生や不純物汚染等の悪影響を及ぼすことがない。
このため、従来のように、シリコン原料溶融前に前記コート材層等の剥離が生じても、シリコンインゴットを歩留まりよく製造することができる。
上記のように、本発明に係る多結晶シリコン製造用容器は、全体がシリカ質からなる容器であり、内層の方が外層よりも高純度である。
シリカ層は、高純度の方が融点が高く、焼結が進みにくいため、破壊強度が低い。このため、容器内表面にシリコンインゴットが固着した場合においても、該シリコンインゴットを容器から取り出す際、より破壊強度が低い内層において剥離することとなる。このように、シリコンインゴットに固着して容器から剥離された内層は、純度99.5%以上の高純度シリカであるため、容器内表面からのシリコンインゴットに対する不純物汚染のおそれはほとんどなく、悪影響を及ぼすことはない。
シリカ層は、高純度の方が融点が高く、焼結が進みにくいため、破壊強度が低い。このため、容器内表面にシリコンインゴットが固着した場合においても、該シリコンインゴットを容器から取り出す際、より破壊強度が低い内層において剥離することとなる。このように、シリコンインゴットに固着して容器から剥離された内層は、純度99.5%以上の高純度シリカであるため、容器内表面からのシリコンインゴットに対する不純物汚染のおそれはほとんどなく、悪影響を及ぼすことはない。
上記のように、結晶シリコンインゴットを容器から取り出す際、内層を剥離層として機能することを可能にするためには、内層の破壊強度が2MPa以上7MPa以下であることが好ましい。
多結晶シリコン製造用容器の厚さは、通常、20mm程度であり、本発明においても、15〜25mmとする。全体の厚さが、この程度である場合、内層の厚さは、1mm以上2mm以下であることが好ましい。
前記内層の厚さが2mmを超える場合、容器製造のための焼成時において、内層と外層の組成(シリカ純度)の差に起因する焼成収縮の違いにより、内層に内部応力が蓄積して、内層が変形したり、剥離したりするおそれがある。
一方、前記厚さが1mm未満の場合、容器製造のための焼成時における内層と外層の焼成収縮の違いにより、内層にクラックが生じるおそれがある。内層にクラックが生じると、多結晶シリコン製造時に、シリコン融液がクラックに侵入して、外層にまで染み出して固着し、得られる多結晶シリコンインゴットにクラックが生じたり、破損したりする場合がある。
前記内層の厚さが2mmを超える場合、容器製造のための焼成時において、内層と外層の組成(シリカ純度)の差に起因する焼成収縮の違いにより、内層に内部応力が蓄積して、内層が変形したり、剥離したりするおそれがある。
一方、前記厚さが1mm未満の場合、容器製造のための焼成時における内層と外層の焼成収縮の違いにより、内層にクラックが生じるおそれがある。内層にクラックが生じると、多結晶シリコン製造時に、シリコン融液がクラックに侵入して、外層にまで染み出して固着し、得られる多結晶シリコンインゴットにクラックが生じたり、破損したりする場合がある。
内層の形成に用いられるシリカ原料粉末には、最大粒径100μm以下の粉末を用いる。
前記最大粒径が100μmを超える場合、焼結により充填密度が高くなり、内層の比重が高くなるため、破壊強度が大きくなり、製造した多結晶シリコンインゴットを容器から取り出す際に、内層の部分で剥離させることが困難となる。
前記シリカ原料粉末は、その粒子間の隙間を通して、シリコン融液が内層に侵入しないようにする観点から、平均粒径が小さい方が好ましく、また、最大粒径は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは、20μm以下である。
なお、最小粒径は、粉砕装置からの不純物混入を防止する、比表面積の増加を抑制する等の観点から、0.01μm以上であることが好ましい。
前記最大粒径が100μmを超える場合、焼結により充填密度が高くなり、内層の比重が高くなるため、破壊強度が大きくなり、製造した多結晶シリコンインゴットを容器から取り出す際に、内層の部分で剥離させることが困難となる。
前記シリカ原料粉末は、その粒子間の隙間を通して、シリコン融液が内層に侵入しないようにする観点から、平均粒径が小さい方が好ましく、また、最大粒径は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは、20μm以下である。
なお、最小粒径は、粉砕装置からの不純物混入を防止する、比表面積の増加を抑制する等の観点から、0.01μm以上であることが好ましい。
前記シリカ原料粉末には、電気溶融またはガス溶融により製造されたシリカ純度が99.5%以上の溶融シリカ原料を用いる。
内層に使用するシリカ原料粉末は、高純度であるほど好ましく、半導体用の高純度溶融石英ガラスを用いることが好ましい。これにより、所望の破壊強度が得られ、また、アルカリ金属等による多結晶シリコンインゴットに対する不純物汚染を抑制することができる。
内層に使用するシリカ原料粉末は、高純度であるほど好ましく、半導体用の高純度溶融石英ガラスを用いることが好ましい。これにより、所望の破壊強度が得られ、また、アルカリ金属等による多結晶シリコンインゴットに対する不純物汚染を抑制することができる。
前記溶融シリカ原料は、粒径が大きい場合は、ボールミルやクラッシャー等により、粉砕して用いる。ボールミルを用いる場合は、湿式および乾式のいずれでもよく、メディアとしては、アルミナ、ケイ石、シリカガラス等が用いられる。
クラッシャー等による粗粉砕を行う場合は、磁選やアンダーカット等により、ライニングから混入するFe等の不純物成分を抑制することができる。
このようにして、最大粒径100μm以下となるように調整したシリカ原料粉末を用いて、前記内層を形成する。
クラッシャー等による粗粉砕を行う場合は、磁選やアンダーカット等により、ライニングから混入するFe等の不純物成分を抑制することができる。
このようにして、最大粒径100μm以下となるように調整したシリカ原料粉末を用いて、前記内層を形成する。
なお、前記外層の構成材料には、内層よりもシリカ純度が低いシリカ原料粉末を用いることができる。この粉末の最大粒径は1000μm以下であることが好ましい。また、最小粒径は0.1μm以上であることが好ましい。
前記最大粒径が1000μmを超える場合、脱粒によるピンホール等が発生しやすい。
一方、最小粒径が0.1μm未満である場合、素地充填性に劣り、厚肉品の成形が困難となる。
前記最大粒径が1000μmを超える場合、脱粒によるピンホール等が発生しやすい。
一方、最小粒径が0.1μm未満である場合、素地充填性に劣り、厚肉品の成形が困難となる。
前記内層および外層は、いずれも、シリカ原料粉末を分散媒中に分散させて、スラリーを調製し、これを用いて鋳込成形される。
前記スラリーは、水またはアルコール等の分散媒中に、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース等の有機系バインダ等も適宜添加して、撹拌・混合し、均等なスラリーとして調製することが好ましい。なお、これらの添加剤は、焼成時に焼失するため、シリカ純度に影響を及ぼすことはない。
前記スラリーは、水またはアルコール等の分散媒中に、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース等の有機系バインダ等も適宜添加して、撹拌・混合し、均等なスラリーとして調製することが好ましい。なお、これらの添加剤は、焼成時に焼失するため、シリカ純度に影響を及ぼすことはない。
前記2層の成形方法には、種々の方法があるが、例えば、非吸水型枠等を用い、内層または外層のいずれかを鋳込成形し、着肉を確認した後、2層目として外層または内層を鋳込成形する方法、外層を鋳込成形し、脱型後、内層を塗布成形する方法等を用いることができる。
焼成は、大気中、1000〜1200℃で行うことが好ましい。
焼成は、大気中、1000〜1200℃で行うことが好ましい。
上記のような外層および内層からなる多結晶シリコン製造用容器においては、前記内層の表面に、窒化ケイ素粉末の焼結体からなる離型層が形成されていることが好ましい。
このような離型層を形成することにより、シリコンインゴットのクラック発生や不純物汚染をより効果的に防止することができる。
前記窒化ケイ素粉末の焼結体の原料粉末としては、例えば、宇部興産株式会社製のSN−E10等を用いることができる。
このような離型層を形成することにより、シリコンインゴットのクラック発生や不純物汚染をより効果的に防止することができる。
前記窒化ケイ素粉末の焼結体の原料粉末としては、例えば、宇部興産株式会社製のSN−E10等を用いることができる。
この場合、前記離型層の少なくとも表面にある窒化ケイ素粉末が、該粉末の表層に酸窒化ケイ素(Si2N2OまたはSiOxNy(x>0,y>0))を有していることが好ましい。前記酸窒化ケイ素は、窒化ケイ素粉末表面の全体を覆っていても、粉末の表層の一部のみに存在していてもよい。
あるいはまた、前記内層の表面に、表層に酸窒化ケイ素(Si2N2OまたはSiOxNy(x>0,y>0))を有するシリカ粉末の焼結体からなる離型層を形成してもよい。
前記シリカ粉末としてVAD法等により製造したものを用いた場合、Fe等の不純物含有量が少ないため、製造されるシリコンインゴットの汚染を一層抑制することができる。
あるいはまた、前記内層の表面に、表層に酸窒化ケイ素(Si2N2OまたはSiOxNy(x>0,y>0))を有するシリカ粉末の焼結体からなる離型層を形成してもよい。
前記シリカ粉末としてVAD法等により製造したものを用いた場合、Fe等の不純物含有量が少ないため、製造されるシリコンインゴットの汚染を一層抑制することができる。
前記外層および内層の合計厚さが15〜25mmである場合、前記離型層の厚さは0.2mm以上1mm以下であることが好ましい。
前記厚さが0.2mm未満である場合、該離型層の強度が不十分となり、シリコンインゴット取り出しの際の離型層の剥離量が多くなる。
一方、前記厚さが1mmを超える場合、内層との材質の相違に起因する熱膨張係数の差により、前記離型層にクラックや剥離が生じやすくなり、この場合も、シリコンインゴット取り出しの際の離型層の剥離量が多くなる。
前記離型層の厚さは、0.3mm以上0.7mm以下であることがより好ましい。
前記厚さが0.2mm未満である場合、該離型層の強度が不十分となり、シリコンインゴット取り出しの際の離型層の剥離量が多くなる。
一方、前記厚さが1mmを超える場合、内層との材質の相違に起因する熱膨張係数の差により、前記離型層にクラックや剥離が生じやすくなり、この場合も、シリコンインゴット取り出しの際の離型層の剥離量が多くなる。
前記離型層の厚さは、0.3mm以上0.7mm以下であることがより好ましい。
前記離型層の形成方法は、種々の方法があるが、例えば、原料粉末を分散媒中に分散させて、スラリーを調製し、これを用いて、外層および内層を成形した後の内層表面に、スプレー塗布し、その後、焼成することにより、離型層を有する多結晶シリコン製造用容器を作製することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
シリカ純度99.7%の電気溶融シリカ原料を粉砕して得た粒径0.1〜1000μmの粉末を用いてスラリーを調製し、これを用いて多結晶シリコン製造用容器の外層を厚さ14.0mmで作製した。
さらに、半導体グレードの高純度溶融シリカ原料を粉砕して得た粒径0.01〜20μmの粉末を用いて、バインダおよび純水と撹拌混合してスラリーを調製し、これを用いて、前記外層の内表面に、内層を厚さ1.0mmで形成し、容器を成形した。
この容器の成形体を、室温、湿度70%雰囲気下で乾燥させた後、1000℃で焼成し、多結晶シリコン製造用容器を作製した。
[実施例1]
シリカ純度99.7%の電気溶融シリカ原料を粉砕して得た粒径0.1〜1000μmの粉末を用いてスラリーを調製し、これを用いて多結晶シリコン製造用容器の外層を厚さ14.0mmで作製した。
さらに、半導体グレードの高純度溶融シリカ原料を粉砕して得た粒径0.01〜20μmの粉末を用いて、バインダおよび純水と撹拌混合してスラリーを調製し、これを用いて、前記外層の内表面に、内層を厚さ1.0mmで形成し、容器を成形した。
この容器の成形体を、室温、湿度70%雰囲気下で乾燥させた後、1000℃で焼成し、多結晶シリコン製造用容器を作製した。
[実施例2]
実施例1で作製した容器の内層の表面に、平均粒径0.5μmの窒化ケイ素(Si3N4)粉末と純水を撹拌混合して得たスラリーをエアブラシにより均一に塗布し、乾燥させた後、酸素雰囲気下、1200℃で焼成し、窒化ケイ素焼結体からなる離型層を厚さ0.2μmで形成した。
実施例1で作製した容器の内層の表面に、平均粒径0.5μmの窒化ケイ素(Si3N4)粉末と純水を撹拌混合して得たスラリーをエアブラシにより均一に塗布し、乾燥させた後、酸素雰囲気下、1200℃で焼成し、窒化ケイ素焼結体からなる離型層を厚さ0.2μmで形成した。
[実施例3]
実施例1で作製した容器の内層の表面に、表層に酸窒化ケイ素(Si2N2O)を有する平均粒径0.05μmのシリカ(SiO2)粉末と純水を撹拌混合して得たスラリーをエアブラシにより均一に塗布し、乾燥させた後、酸素雰囲気下、1200℃で焼成し、シリカ焼結体からなる離型層を厚さ0.2μmで形成した。
実施例1で作製した容器の内層の表面に、表層に酸窒化ケイ素(Si2N2O)を有する平均粒径0.05μmのシリカ(SiO2)粉末と純水を撹拌混合して得たスラリーをエアブラシにより均一に塗布し、乾燥させた後、酸素雰囲気下、1200℃で焼成し、シリカ焼結体からなる離型層を厚さ0.2μmで形成した。
[比較例1〜3]
内層を表1の比較例1〜3に示す構成とし、それ以外については、実施例1と同様にして、多結晶シリコン製造用容器を作製した。
内層を表1の比較例1〜3に示す構成とし、それ以外については、実施例1と同様にして、多結晶シリコン製造用容器を作製した。
上記実施例および比較例において得られた各多結晶シリコン製造用容器(600mm×600mm、高さ400mm)について、下記に示す評価を行った。
外層の曲げ強さ(JIS R−2213準拠)、内層の破壊強度(内層−外層の密着力)(ASTM D4541準拠)を測定した。
また、得られた多結晶シリコン製造用容器内に、シリコン原料100kgを投入し、アルゴン雰囲気中、1500℃で融解した後、50時間かけて室温まで冷却し、結晶化させた。
冷却後、容器から多結晶シリコンインゴットを取り出す際の離型性の評価を行った。
また、製造したシリコンインゴットの特性としてキャリアライフタイムの評価も行った。
これらの評価結果を表1にまとめて示す。
外層の曲げ強さ(JIS R−2213準拠)、内層の破壊強度(内層−外層の密着力)(ASTM D4541準拠)を測定した。
また、得られた多結晶シリコン製造用容器内に、シリコン原料100kgを投入し、アルゴン雰囲気中、1500℃で融解した後、50時間かけて室温まで冷却し、結晶化させた。
冷却後、容器から多結晶シリコンインゴットを取り出す際の離型性の評価を行った。
また、製造したシリコンインゴットの特性としてキャリアライフタイムの評価も行った。
これらの評価結果を表1にまとめて示す。
表1に示したように、いずれの容器も、外層の強度は同等であったが、本発明に係る容器は、離型層を形成しない場合(実施例1)、インゴットの固着が一部に見られたが、離型層を形成した場合(実施例2,3)は、離型性に優れ、キャリアライフタイムも良好であり、太陽電池等に用いる上での特性にも優れていることが認められた。
Claims (5)
- シリカ質の外層と、前記外層よりもシリカ純度が高いシリカ質の内層とからなる容器であって、前記内層は、厚さが1mm以上2mm以下であり、純度99.5%以上、最大粒径100μm以下のシリカ原料粉末が焼成されて形成されていることを特徴とする多結晶シリコン製造用容器。
- 前記内層の表面に、窒化ケイ素粉末の焼結体からなる離型層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコン製造容器。
- 前記離型層の少なくとも表面にある窒化ケイ素粉末が、該粉末の表層に酸窒化ケイ素を有していることを特徴とする請求項2記載の多結晶シリコン製造容器。
- 前記内層の表面に、表層に酸窒化ケイ素を有するシリカ粉末の焼結体からなる離型層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコン製造容器。
- 前記内層の破壊強度が2MPa以上7MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多結晶シリコン製造用容器。
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WO2012046673A1 (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-12 | Jx日鉱日石金属株式会社 | シリコンインゴット製造用容器 |
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2008
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