JP4025671B2 - シリコン鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコン鋳造用鋳型の製造方法に関し、特に太陽電池用シリコン基板の製造に好適に用いることができるシリコン鋳造用鋳型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来から太陽電池を形成するための半導体基板の一種として多結晶シリコンが用いられている。このような多結晶シリコンは高温で加熱溶融させたシリコン融液を鋳型内に注湯して凝固させることによって形成したり、シリコン原料を鋳型内に入れて溶解した後に凝固させることによって形成している。
【0003】
このような鋳型としては、通常、分割可能な黒鉛製鋳型の内表面に離型材を塗布したものが用いられ、離型材としては窒化珪素(Si3N4)粉末、炭化珪素(SiC)粉末、シリカ(SiO2)粉末などが用いられる。一般に、窒化珪素、炭化珪素、酸化珪素等の粉末を適当なバインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合して攪拌してスラリーとし、これを鋳型内壁に塗布若しくはスプレー等の手段でコーティングすることが公知の技術として知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記に開示されている窒化珪素のみから形成される離型材皮膜は皮膜自体の強度が脆弱であり、また黒鉛製鋳型との付着性が弱いので、シリコン融液を注湯する際に離型材皮膜が破損して鋳型にシリコン融液が接触して浸入し、シリコンが鋳型に固着して取り外せなくなるという問題があった。また、シリコンと黒鉛の熱膨張係数の違いによって冷却時にシリコンインゴットに欠けが発生するという問題があった。また、シリコン融液と窒化珪素との反応が活性なため、微細な窒化珪素が融液内に混入して窒化珪素系の析出物を生成させるという問題があった。
【0005】
また、シリカ(SiO2)を黒鉛製鋳型の内表面に塗布してシリコンを鋳造することも提案されている(例えば特許文献1参照)。シリカを離型材として用いる場合、離型材皮膜が強固になってシリコン融液の鋳型への浸入は防止できるが、シリカは黒鉛と付着性が良いため、またシリカはシリコンの鋳塊とも付着性がよいため、シリカが鋳型に付着して鋳型の再使用が困難になったり、鋳型が離型材を介してシリコンの鋳塊に固着して脱型するときにシリコンの鋳塊の一部に欠けが発生するという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために、鋳型表面からシリカ層/窒化珪素とシリカの混合層/窒化珪素層となる多層皮膜を形成することも提案されている(例えば特許文献2参照)。このように、多層構造化して機能分離すれば、シリコン鋳塊と離型材との剥離性および鋳型と離型材との固着性の両方を兼ね備えた鋳型を製造し得るが、皮膜形成のための時間的または経済的ロスを生じる。
【0007】
そこで、上記問題を解決するために、窒化珪素とシリカを特定比率で混合した単独層を形成することも提案されている(例えば特許文献3参照)。具体的には、窒化珪素とシリカを28:72〜75:25の重量比率で混合した離型材を黒鉛鋳型に塗布して乾燥して形成するものであり、シリカ成分がガラス化して窒化珪素粉体を固着させる効果を引き出せる。
【0008】
しかしながら、この技術によるとシリカの一部が窒化珪素に置換しているものの、離型材中のシリカと黒鉛が部分的に接触しているため、シリコンの融点付近で黒鉛の酸化が促進して鋳型の基材の損傷を早めることになる。特にシリカの比率が高いほどこの問題は顕著に表われる。
【0009】
また、離型材最表面層にシリカ粒子が過剰に存在するので、シリコン融液と混合層中のシリカとの接触が盛んになって融液中の酸素濃度が増加する。融液中の酸素はウエハーにした後のデバイス工程における種々の処理工程において析出物として顕在化して品質に影響を及ぼすことから、酸素濃度を適度に最適化する必要があるが、シリコン融液と長時間に渡って接触する離型材層に多量のシリカが存在することは本来望ましくはない。
【0010】
また、従来離型材に使用するシリカは平均粒径が20μm程度のものであった(例えば特許文献3参照)。このようなシリカは石英ガラスを粉砕し、分級することによって得ることができる。しかし、このようなシリカを使用すると窒化珪素粒子間の空隙にシリカ紛が細密に充填されないので、鋳型加熱中に溶融したシリカが効率よく窒化珪素粒子間の空隙に入りこむ効率が軽減される。これにより鋳型材強度が弱くなるという問題がある。この問題を回避するには、上記シリカを更に粉砕し微細化するという方法がある。しかしこの方法によれば、コンタミが多く混入しウエハーにした後のデバイス工程において品質に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、鋳型内にシリコン融液を注湯する際、その後に凝固する際、或いは鋳型に入れたシリコン原料を溶解する際に、離型材が剥離してシリコン融液中に混入したり、離型材が鋳型に付着して鋳型が再使用できなくなったり、鋳型材を黒鉛にした場合の酸化消耗を抑えたり、鋳塊中の酸素濃度の増加を抑えたシリコン鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
【0012】
〔特許文献1〕
特開2002−292449号公報
〔特許文献2〕
特開平7−206419号公報
〔特許文献3〕
特開平9−175809号公報
〔非特許文献1〕
15th Photovoltaic Specialist Conf.(1981),P576〜P580,“A NEW DIRECTIONAL SOLIDIFICATION TECHNIQUE FOR POLYCRYSTALINE SOLAR GRADE SILICON”
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係るシリコン鋳造用鋳型の製造方法では、鋳型内表面に離型材皮膜を形成するシリコン鋳造用鋳型の製造方法において、前記離型材皮膜は窒化珪素と、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカとを含有してなり、この微細シリカを前記窒化珪素との総量の10〜90重量%となるように混合してなることを特徴とする。
【0014】
上記シリコン鋳造用鋳型の製造方法では、前記微細シリカを前記窒化珪素との総量の10〜20重量%となるように混合してなることが望ましい。
【0015】
また、請求項3に係るシリコン鋳造用鋳型の製造方法では、鋳型内表面に離型材皮膜を形成するシリコン鋳造用鋳型の製造方法において、前記離型材被膜はシリコンジイミドの熱分解法によって得られる粉末を酸化処理して表面に非晶質シリカ層を形成した窒化珪素と、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカとを含有してなり、この微細シリカを前記窒化珪素との総量の5〜90重量%となるように混合してなることを特徴とする。
【0016】
また、上記シリコン鋳造用鋳型の製造方法では、前記微細シリカを前記窒化珪素との総量の5〜20重量%となるように混合してなることが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の製造方法で得られるシリコン鋳造用鋳型を示す図であり、鋳型1と離型材2から構成される。
【0019】
(鋳型1)
例えば黒鉛などから成り、一つの底部材101と四つの側部材102とを組み合わせた分割と組み立てが可能な分割型鋳型などで構成される。黒鉛以外にもシリカで形成することも可能である。この場合には底と側面を一体で成形した鋳型にする場合が多い。底部材101と側部材102は、ボルト(不図示)や、底部材101と側部材102が嵌合する枠部材(不図示)で固定することによって分割可能に組み立てられる。また、鋳型部材への離型材スラリーの接着性、定着性を向上させるために、底部材101および側部材102の少なくとも一面には凹凸加工を施すことが好ましい。
【0020】
(離型材2)
本発明で使用する離型材2は、窒化珪素201と微細シリカ202を有機バインダー水溶液で攪拌混合したスラリーとして使用する。
【0021】
<窒化珪素201>
窒化珪素はシリコンジイミドの熱分解法で得られる球状粉体を用いる。この窒化珪素は粒径が0.1〜1.0μm程度の球状粉体である。
【0022】
更にこの粉末を電気炉で酸化雰囲気下、700℃〜1200℃で加熱処理を施し、表面に非晶質シリカ層201aを形成することがより好ましい。このように、シリコンジイミドの熱分解法で得られる窒化珪素の球状粉体を酸化雰囲気下、700℃〜1200℃で加熱処理すると、表面に1〜100nm程度の厚みを有する非晶質シリカ層201aが形成される。
【0023】
酸化改質した窒化珪素粒子201表面のSi−OH(シラノール基)と、微細シリカ粒子202表面のSi−OH(シラノール基)間でSi−O−Si(シロキサン結合)が生じるので、窒化珪素201同士の密着性が大幅に改善され、離型材皮膜2が強固なものになる。その結果、鋳型1内にシリコン融液を注湯する際、或いはその後に凝固する際に、離型材皮膜2が剥離したり欠落してシリコン融液内に混入したり、微細な窒化珪素201がシリコン融液内に巻き込まれることを防げる。
【0024】
なお、例えば金属珪素の直接窒化法で得られる窒化珪素は、直接窒化反応時に生成する粗大粒子の未粉砕粒子を多く含み、粒度分布の幅が広いため、加熱焼成後の凝集粒子及び/又は融着粒子の粒径制御が困難となるので好ましくない。
【0025】
<微細シリカ202>
微細シリカとしては、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質球状シリカ微粉末(所謂、フュームドシリカ微粉末、或いはフューズドシリカ)を用いる。このような水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質球状シリカ微粉末は粒径0.01〜0.1μm程度の微粉末である。
【0026】
このように鋳型1の内表面に形成する離型材層2として、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカ202と窒化珪素201の混合スラリーを用いるので、図2に示すように粗大窒化珪素201の周囲に微細シリカ201が取り巻き、窒化珪素粒子201同士が強固に結合する効果を誘発する。
【0027】
なお、珪酸ソーダ(Na2O・nSiO2)水溶液の加水分解法やイオン交換法で得られる非晶質球状シリカ微粉末はアルカリ金属不純物を多く含み、シリコン鋳塊汚染の原因となるので好ましくない。
【0028】
また、離型材皮膜中の微細シリカの重量比率は窒化珪素との総量の10〜90重量%の範囲で用いるが、もっとも好適には微細シリカを10〜20重量%添加するのが望ましい。微細シリカのこの重量比率が90重量%よりも大きくなると、離型材皮膜が鋳型1に付着して剥がれなくなり、鋳型1の再使用が困難になる。また、鋳型1が離型材を介してシリコンの鋳塊に付着し、シリコンの鋳塊から鋳型を剥離するときに、シリコンの一部に欠けが発生する。また、微細シリカの重量比率が10%より小さくなると、窒化珪素と微細シリカの固着効果が低減し、離型材のシリコン融液への混入が多発するので好ましくない。
【0029】
また、窒化珪素としてその表面を酸化改質した窒化珪素を用いる場合は、離型材皮膜中の微細シリカの重量比率は窒化珪素との総量の5〜90重量%の範囲で用い、もっとも好適には微細シリカを5〜20重量%添加するのが望ましい。窒化珪素としてその表面を酸化改質した窒化珪素を用いる場合は、使用する微細シリコンの量を少なくできる。微細シリカのこの重量比率が90重量%よりも大きくなると、離型材皮膜が鋳型1に付着して剥がれなくなり、鋳型1の再使用が困難になる。また、鋳型1が離型材を介してシリコンの鋳塊に付着し、シリコンの鋳塊から鋳型を剥離するときに、シリコンの一部に欠けが発生する。また、この場合の微細シリカの重量比率が5%より小さくなると、窒化珪素と微細シリカの固着効果が低減し、離型材のシリコン融液への混入が多発するので好ましくない。
【0030】
微細シリカを微細シリカを10〜20重量%、窒化珪素としてその表面を酸化改質した窒化珪素を用いる場合は5〜20重量%の低比率で使用すると、微細シリカが鋳型に付着して鋳型の再使用が困難になったり、鋳型が離型材を介してシリコンの鋳塊に付着して脱型するときにシリコンの鋳塊の一部に欠けが発生するという問題を防げると同時に、溶解シリコンとの反応が軽減されることによってシリコン融液中の酸素濃度が低下するので、太陽電池素子化したデバイスの光電特性に悪影響を及ぼすことが軽減される。
【0031】
また、離型材皮膜中の微細シリカとして、水素ガスと酸素ガスとによって形成される高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質球状微細シリカを使用するので、微細シリカの添加比率が5〜20重量%と少なくても高揺変性を付与し、鋳型への離型材皮膜形成が容易になる。
【0032】
ところで、特開2001−198648号公報に、珪酸ソーダのイオン交換法で得られる微細シリカ(所謂コロイダルシリカ)と窒化ケイ素粉末を混合して得られた混合素地と微細溶融シリカ砂のスタッコ層からなる離型材皮膜を形成する例が開示されているが、この発明は内部残留応力の少ないシリコンインゴットを製作すべく湿式法によって得られる微細球状シリカを用いることを考案した発明であり、本発明のように、離型材皮膜を強化する目的で四塩化珪素から気相法によって得られる微細球状シリカを用いるのとは異なる。
【0033】
本発明によるシリカを用いることにより従来問題であった窒化珪素粉体間の固着力不足を有効に回避することができる。また水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカを使用していることから、従来の石英ガラスを粉砕して得るシリカと異なりコンタミの問題が発生することはない。
【0034】
(離型材皮膜形成)
本発明による離型材皮膜の形成には、刷毛、箆で鋳型材に塗布してホットプレート上で乾燥させる方法を用いることが好ましいが、例えばスプレーなどを用いて鋳型内表面に塗布して乾燥するなどして形成する方法、また例えば加熱板やシリコンラバーダイアフラムを備えたラミネート装置を用いて加熱圧着させる方法も可能である。
【0035】
以上のように、本発明による離型材皮膜を形成すると、(1)窒化珪素系異物混入の抑制(2)光電特性の向上(3)経済性に優れたシリコンインゴット鋳造鋳型を提供できる。
【0036】
なお、本発明に係るシリコンインゴット鋳造用鋳型は以上の実施形態に何等制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変更することができる。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
シリコンジイミドの熱分解法によって得られた平均粒子径が0.5μmの窒化珪素と四塩化珪素の水素・酸素燃焼法で得られた平均粒径が0.05μmの非晶質シリカ微粉末を表1に示す重量比で秤量し、8%のポリビニルアルコール水溶液で攪拌混合して得られた離型材スラリーを黒鉛製鋳型の内表面に箆で塗布して離型材皮膜を形成した。この鋳型を8.0Torrに減圧したアルゴン雰囲気中に置き、黒鉛ヒータを使って1000℃に加熱した状態で鋳型内にシリコン融液68kgを注湯して7時間かけて徐々に凝固させた。冷却後固化したシリコンの鋳塊を鋳型から取り出してスライスしてシリコン基板とし、鋳型からの離型材皮膜の剥離およびシリコンインゴット中の析出物の有無を調べた。また、比較として従来の平均粒径20μmの石英ガラスを粉砕して分級して得られた微細シリカと平均粒径0.5μmの窒化珪素を重量比10:90で秤量し、8%のポリビニルアルコール水溶液で攪拌混合して得られた離型材スラリーを用いた場合についても同様に調べた。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1の従来例と条件No.3の試料とを比較すると、窒化珪素と微細シリカの重量比は90:10で同じであるが、従来例ではシリコインゴット中の析出物がみられたのに対し、本発明による四塩化珪素の水素・酸素燃焼法で得られた平均粒径が0.05μmの非晶質シリカ微粉末を使用した条件No.3では鋳型からの離型材の剥離やシリコンインゴット中の析出物は見られなかった。
【0040】
また、表1から明らかなように、条件3〜7の鋳型を用いた場合、離型材皮膜の破損や鋳型からの剥離、シリコンインゴット中への混入、さらにはシリコンインゴットのスライス歩留を低下させる析出物の発生を改善または有効に抑制することができる。したがって、離型材皮膜中の微細シリカの重量比率は10〜90重量%に設定しなければならない。
【0041】
(実施例2)
シリコンジイミドの熱分解法によって得られた平均粒子径が0.5μmの窒化珪素を酸化雰囲気下でバッチ式電気炉(酸化炉)で1000℃で加熱処理した窒化珪素と、四塩化珪素の水素・酸素燃焼法で得られた平均粒径が0.05μmの非晶質シリカ微粉末とを表2に示す重量比で秤量し、8%のポリビニルアルコール水溶液で攪拌混合して得られた離型材スラリーを黒鉛製鋳型プレートの内表面に箆で塗布して離型材皮膜を形成した。この鋳型を8.0Torrに減圧したアルゴン雰囲気中に置き、黒鉛ヒータを使って1000℃に加熱した状態で鋳型内にシリコン融液68kgを注湯して7時間かけて徐々に凝固させた。冷却後固化したシリコンの鋳塊を鋳型から取り出してスライスしてシリコン基板とし、鋳型からの離型材皮膜の剥離やシリコンインゴット中への離型材皮膜の混入の有無、およびシリコンインゴット中の析出物の有無を調べた。また、酸化処理しないシリコンジイミドの熱分解法によって得られた平均粒子径が0.5μmの窒化珪素と、四塩化珪素の水素・酸素燃焼法で得られた平均粒径が0.05μmの非晶質シリカ微粉末とを95:5で秤量し、8%のポリビニルアルコール水溶液で攪拌混合して得られた離型材スラリーを用いた場合についても同様に調べた。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表1の比較例と条件No.2を比較すると、窒化珪素と微細シリカの重量比は95:5で同じであるが、従来例ではシリコインゴット中の析出物がみられたのに対し、本発明により表面に非晶質微細シリカ層を形成した窒化珪素を使用した条件No.2では鋳型からの離型材の剥離やシリコンインゴット中の析出物は見られなかった。
【0044】
表2から明らかなように、条件2〜7の鋳型を用いた場合、離型材皮膜の破損や鋳型からの剥離、シリコンインゴット中への混入、さらにはシリコンインゴットのスライス歩留を低下させる析出物の発生を改善または有効に抑制することができる。したがって、離型材皮膜中の微細シリカの重量比率は5〜90重量%に設定したほうがよい。
【0045】
さらに、表1と表2の結果を比較すると、表1に示すように、窒化珪素の表面に非晶質シリカ層を形成しなかった場合には、微細シリカの重量比が10%以上必要であったのに対し、表2に示すように窒化珪素の表面に非晶質シリカ層を形成した場合には、微細シリカの重量比が5%以上あればよく、使用できる重量比の幅が広くなった。すなわち、使用する微細シリカの重量比を小さくすることが可能になった。
【0046】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るシリコン鋳造用鋳型の製造方法では、離型材皮膜が窒化珪素と、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカとを含有してなり、この微細シリカを前記窒化珪素との総量の10〜90重量%となるように混合してなることから、粗大窒化珪素の周囲に微細シリカが有効的に取り巻き、窒化珪素粒子同士が強固に結合するため、鋳型からの離型材の剥離や、シリコインゴット中への析出といった問題を有効に抑制することができる。また、離型材皮膜中の微細シリカが水素ガスと酸素ガスとによって形成される高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質球状微細シリカを使用するので、微細シリカの添加比率が少なくとも高揺変性を付与し鋳型への離型材皮膜の形成が容易になる。
【0047】
また、請求項3に係るシリコン鋳造用鋳型の製造方法によれば、離型材被膜がシリコンジイミドの熱分解法によって得られる粉末を酸化処理して表面に非晶質シリカ層を形成した窒化珪素と、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカとを含有してなり、この微細シリカを前記窒化珪素との総量の5〜90重量%となるように混合してなることから、酸化改質した窒化珪素粒子表面のSi−OH(シラノール基)と微細シリカ粒子表面のSi−OH(シラノール基)との間でSi−O−Si(シロキサン結合)が生じ、窒化珪素同士の密着性が大幅に改善され、離型材皮膜が強固なものになる。その結果、鋳型内にシリコン融液を注湯する際、或いはその後に凝固する際に、離型材皮膜が剥離して欠落してシリコン溶湯内に混入したり、微細な窒化珪素がシリコン溶湯内に巻き込まれることを防げる。
【0048】
また、前記微細シリカを10〜20重量%、窒化珪素としてその表面を酸化改質した窒化珪素を用いる場合は5〜20重量%の低比率で使用すると、微細シリカが鋳型に付着して鋳型の再使用が困難になったり、鋳型が離型材を介してシリコンの鋳塊に付着して脱型するときにシリコンの鋳塊の一部に欠けが発生するという問題を防げると同時に、溶解シリコンとの反応が軽減されることによりシリコン融液中の酸素濃度が低下するので、太陽電池素子化したデバイスの光電特性に悪影響を及ぼすことを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で得られるシリコン鋳造用鋳型を示す図である。
【図2】本発明の離型材層を模試的に示す図である。
【符号の説明】
1 鋳型
101 底部材
102 側部材
2 離型材
201 窒化珪素
201a 窒化珪素表面に形成されたシリカ層
202 微細シリカ
Claims (4)
- 鋳型内表面に離型材皮膜を形成するシリコン鋳造用鋳型の製造方法において、前記離型材皮膜は窒化珪素と、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカとを含有してなり、この微細シリカを前記窒化珪素との総量の10〜90重量%となるように混合してなることを特徴とするシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記微細シリカを前記窒化珪素との総量の10〜20重量%となるように混合してなることを特徴とする請求項1に記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
- 鋳型内表面に離型材皮膜を形成するシリコン鋳造用鋳型の製造方法において、前記離型材被膜はシリコンジイミドの熱分解法によって得られる粉末を酸化処理して表面に非晶質シリカ層を形成した窒化珪素と、水素ガスと酸素ガスとの高温火炎中に四塩化珪素を噴射して加熱処理して得られる非晶質微細シリカとを含有してなり、この微細シリカを前記窒化珪素との総量の5〜90重量%となるように混合してなることを特徴とするシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記微細シリカを前記窒化珪素との総量の5〜20重量%となるように混合してなることを特徴とする請求項3に記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
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