JP2008214428A - 封止用エポキシ樹脂組成物、樹脂封止型半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂組成物、樹脂封止型半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板と半導体素子との空隙部に封止樹脂を確実に充填し得て、ボイド等の発生もなく、しかも短時間で半導体素子全体を封止でき、さらに耐湿性に優れ、信頼性の高い半導体装置を得ることができる封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】配線回路基板4上に半導体素子2をフェースダウンで配置するとともにフリップチップ接合して搭載し、最大粒径が30μm以下、かつ、レーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布の頻度値が、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μm超:40〜50質量%であり、粒径が1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(d1)と数換算平均粒径(d2)の比が、5.0≦d1/d2≦9.0の関係を満たす無機質充填材を含有する封止用エポキシ樹脂組成物及びそれにより封止した樹脂封止型半導体装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体の封止に適した封止用エポキシ樹脂組成物、その樹脂組成物により封止された半導体装置及びその製造方法に関し、特に、配線回路基板上に半導体素子をフェースダウンで配置するとともにフリップチップ接合して搭載し、半導体素子のフリップチップ接合部に形成される間隙及び半導体素子の背面側を同一のエポキシ樹脂組成物で封止された半導体装置について、最適な封止用エポキシ樹脂組成物、半導体装置及びその製造方法に関する。
近年の電子部品のプリント配線板への高密度実装化に伴い、半導体装置は従来のピン挿入型のパッケージから、表面実装型のパッケージが主流になっている。表面実装型タイプのIC、LSI等は、高実装密度化した薄型、小型のパッケージになっており、素子のパッケージに対する占有体積も大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなってきている。また素子の多機能化、大容量化によって、チップ面積の増大、多ピン化が進み、さらにはパッド数の増大によって、パッドピッチの縮小化とパッド寸法の縮小化、いわゆる狭パッドピッチ化も進んでいる。
また、さらなる小型軽量化に対応すべく、パッケージの形態もQFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)といったものから、より多ピン化に対応しやすく、かつ、より高密度実装が可能なCSP(Chip Size Package)やBGA(Ball Grid Array)へ移行しつつある。これらのパッケージは近年、高速化、多機能化を実現するために、フェースダウン型、積層(スタックド)型、フリップチップ型、ウェハーレベル型等、新しい構造のものが開発されている。
ここで、フリップチップ方式の実装方式においては、半導体素子の信頼性を向上させるため、半導体素子と配線回路基板の空隙部に液状のエポキシ樹脂組成物を注入し、硬化させた後、エポキシ樹脂組成物で半導体素子を封止するのが一般的である。
しかしながら、この方法は毛管現象を利用して半導体素子と配線回路基板の空隙部に液状のエポキシ樹脂組成物を充填することから、充填に非常に長い時間を要すること、また、上記工程の後に半導体素子全体をエポキシ樹脂組成物で封止するため、封止するために複数の工程が必要となり、生産性が低下してしまうといった問題があった。
そのような状況において、この点を改善するために、半導体素子と配線回路基板の間隙部との充填と半導体素子全体の封止とを同時に行う半導体パッケージ及びその製造方法の提案がいくつかなされている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特開平7−74194号公報 特開2003−105064号公報 特開2004−327554号公報
しかしながら、それを実現する樹脂の特性が十分でなく、封止の際に未充填部分が生じたり、ボイドが発生する等の製品である半導体装置の信頼性に関し、不十分となる場合が多かった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、封止の工程を一工程で行うに際して、半導体素子と配線回路基板との空隙部に封止樹脂を確実に充填し、ボイド等の発生もなく、しかも短時間で半導体素子全体を封止できる封止用樹脂組成物、さらに耐湿性に優れ、信頼性の高い樹脂封止型半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂組成物中に、無機質充填材として、特定の粒度分布の頻度値や平均粒径の関係を有するものを用いることで、これがフリップチップ接合による半導体装置の封止に適したものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)フェノール樹脂と、(C)硬化促進剤と、(D)無機質充填材と、を必須成分とし、(D)無機質充填材は、その最大粒径が30μm以下で、レーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布の頻度値が、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μm超:40〜50質量%であり、粒径1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(d1)と数換算平均粒径(d2)の比が、5.0≦d1/d2≦9.0の関係を満たし、かつ、(D)無機質充填材の含有量が樹脂組成物中に50〜95質量%であることを特徴とするものである。
ここで、この封止用エポキシ樹脂組成物は、高化式フロー測定装置を用いた測定において、175℃、剪断応力 1.23×10Paでの最低溶融粘度(η1)が3.5〜9.0Pa・sであり、175℃、剪断応力 2.45×10Paでの最低溶融粘度(η2)が0.3〜0.7Pa・sであって、最低溶融粘度η1及びη2が次の式(1)を満足し、
Figure 2008214428
かつ、前記樹脂組成物の175℃における硬化時間が30〜60秒であることが好ましい。
また、本発明の樹脂封止型半導体装置は、配線回路基板上に半導体素子をフェースダウンで配置するとともにフリップチップ接合して搭載し、半導体素子のフリップチップ接合部に形成される間隙及び半導体素子の背面側を同一の樹脂組成物で封止した半導体装置であって、半導体素子背面の封止樹脂の厚み(T1)及び配線回路基板と半導体素子との間隙の封止樹脂の厚み(T2)が次の式(2)及び(3)の関係を満たし、
Figure 2008214428
Figure 2008214428
半導体素子を封止する樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤及び(D)無機質充填材を必須成分とし、(D)無機質充填材は、その最大粒径が30μm以下で、レーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布の頻度値が、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μm超:40〜50質量%であり、粒径1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(d1)と数換算平均粒径(d2)の比が、5.0≦d1/d2≦9.0の関係を満たし、かつ、前記(D)無機質充填材の含有量が樹脂組成物中に50〜95質量%であることを特徴とするものである。
また、本発明の樹脂封止型半導体装置の製造方法は、配線回路基板上に半導体素子をフェースダウンで配置するとともにフリップチップ接合して搭載し、半導体素子のフリップチップ接合部に形成される間隙及び半導体素子の背面側を同一の樹脂組成物で封止する半導体装置の製造方法であって、半導体素子背面の封止樹脂の厚み(T1)及び配線回路基板と半導体素子との間隙の封止樹脂の厚み(T2)が次の式(2)及び(3)の関係を満たし、
Figure 2008214428
Figure 2008214428
半導体素子を封止する樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤及び(D)無機質充填材を必須成分とし、(D)無機質充填材は、その最大粒径が30μm以下で、レーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布の頻度値が、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μm超:40〜50質量%であり、粒径が1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(d1)と数換算平均粒径(d2)の比が、5.0≦d1/d2≦9.0の関係を満たし、かつ、(D)無機質充填材の含有量が樹脂組成物中に50〜95質量%であることを特徴とするものである。
本発明の封止用エポキシ樹脂樹脂組成物及びこれを用いた樹脂封止型半導体装置の製造方法によれば、半導体素子の背面のモールド封止及び配線回路基板と半導体素子との間隙の双方への同時充填する半導体装置において、充填性に優れ、ボイド等のない高信頼性の樹脂封止半導体装置を製造することができ、また、本発明の樹脂封止型半導体装置は、耐リフロー性、耐湿性、高温放置特性に優れており動作信頼性の高いものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤及び(D)無機質充填材を必須成分とするものであり、これら各成分を中心に、以下、説明する。
本発明で使用する(A)エポキシ樹脂としては、1分子当り2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、半導体封止用の成形材料に一般に用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有する多官能のエポキシ樹脂、トリ又はテトラ(ヒドロキシフェニル)アルカンのエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、流動性、耐リフロー性の観点より、下記一般式(I)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂
Figure 2008214428
(式中、R〜Rは水素原子又はメチル基であり、nは0〜2の整数を示す。)であることが好ましい。
この一般式(I)のビフェニル型エポキシ樹脂を他のエポキシ樹脂と併用する場合には、エポキシ樹脂成分全体に対するこのビフェニル型エポキシ樹脂の割合は、少なくとも30質量%であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。
また、これらエポキシ樹脂中の全塩素含有量は1500ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましい。また、120℃で50質量%エポキシ樹脂濃度における20時間での抽出水塩素が5ppm以下であることが好ましい。全塩素含有量が1500ppmを超え、抽出水塩素が5ppmを超えると、半導体の耐湿信頼性が低下するおそれがある。
本発明に用いる(B)フェノール樹脂としては、1分子当り2個以上のフェノール性水酸基を有し、エポキシ樹脂を硬化せしめる硬化剤であり、半導体封止用成形材料に一般に用いられるものであれば、特に制限されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アラキラル型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、シクロペンタジエン型フェノール樹脂やトリフェノールアルカン型のフェノール樹脂等を挙げることができる。これらを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
その中でも、下記一般式(II)で示されるアラルキル型フェノール樹脂
Figure 2008214428
(ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜10の置換若しくは非置換の一価の炭化水素基であり、mは0〜10の整数を示す。)が好ましく、一般式(II)中のRが水素原子で、mの平均値が0〜8であるアラルキル型フェノール樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。
この一般式(II)のアラキラル型フェノール樹脂硬化剤を他のフェノール樹脂硬化剤と併用する場合には、硬化剤成分全体に対するアラルキル型フェノール樹脂硬化剤の割合は、少なくとも30質量%であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。
フェノール樹脂もエポキシ樹脂同様、120℃の温度で抽出される塩素イオンやナトリウムイオン等はいずれも10ppm以下、望ましくは5ppm以下であることが好ましい。
上記した(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂の混合割合は、エポキシ基1個に対しフェノール性水酸基が0.5〜1.6個であることが好ましく、0.6〜1.4個であることが特に好ましい。0.5個未満では水酸基が不足し、エポキシ基の単独重合の割合が多くなり、ガラス転移温度が低くなる場合がある。また、1.6個を超えるとフェノール性水酸基の比率が高くなり、反応性が低下するほか、架橋密度が低く十分な強度が得られないものとなる場合がある。
本発明に用いる(C)硬化促進剤は、この種の封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されるものであれば特に制限されることなく使用することができ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−ウンデシルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−エチル−4´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロ化合物及びこれらの塩、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等の有機ホスフィン化合物等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、イミダゾール類が好ましく、流動性及び成形性が良好であるという観点からは、2−ヘプタデシルイミダゾールが特に好ましい。
この(C)硬化促進剤の配合量は、樹脂組成物中に、0.1〜5.0質量%の範囲で加えることが好ましい。これは、0.1質量%未満では十分に硬化させることが困難となり、一方、5.0質量%を超えると耐湿信頼性が劣化する傾向があるためである。
本発明に用いられる(D)無機質充填材としては、この種の封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されるものであれば特に制限されることなく使用することができ、例えば、ボールミル等で粉砕した溶融シリカや火炎溶融することで得られる球状シリカ、ゾルゲル法等で製造される球状シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミ、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート等が挙げられる。半導体素子が発熱の大きい素子の場合、熱伝導率ができるだけ大きくかつ膨張係数の小さなアルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミ、窒化ケイ素等を使用することが望ましく、このとき溶融シリカ等とブレンドして使用してもよい。
なお、この(D)無機質充填剤の形状には特に限定はなく、フレーク状、樹枝状、球状等の無機質充填剤が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。中でも球状のものが低粘度化、高充填化には最も望ましいものである。
本発明の(D)無機質充填材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した、最大粒径が30μm以下で、粒度分布の頻度値は、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μm超:40〜50質量%であり、かつ1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(d1)と数換算平均粒径(d2)の比が、5.0≦d1/d2≦9.0の間にあることが必要である。
粒度分布の頻度値並びにd1及びd2の比をこのような範囲とすることで、樹脂組成物としたときの所望の樹脂粘度特性、流動特性とすることができる。この範囲を逸脱すると、粒子充填構造のバランスが崩れ、所望の樹脂粘度特性、流動特性を達成できなくなる可能性が強くなり、特に、半導体素子背面のモールド封止及び半導体素子と配線回路基板との間隙の双方への同時充填性の達成が困難となる。
また、本発明の無機質充填材は、レーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布が、3μm未満、3〜10μm及び10μm超の粒度域の全ての粒度域において極大値を示す多峰性の粒度分布を有し、3μm未満の粒度域における極大値の頻度値(fa)と10μmを超える粒度域における極大値の頻度値(fc)との比(fa/fc)が0.3〜1.0であることが好ましい。
粒度分布をこのような範囲とすることで、さらに好ましい樹脂粘度特性、流動特性とすることができ、半導体素子背面のモールド封止及び半導体素子と配線回路基板との間隙への優れた同時充填性を達成することができる。
本発明の(D)無機質充填材の配合量は、樹脂組成物中に50〜95質量%含むものであり、75〜95質量%であることが好ましく、85〜92質量%であることが特に好ましい。50質量%未満では、樹脂組成物の膨張係数を十分に下げることができない上、吸水率も多くなり、半田リフローの際の温度でパッケージにクラックが入ってしまう可能性が高く、一方、95質量%を超えると粘度が高くなりすぎ、成形できなくなってしまう可能性が高い。
ここで、本発明に用いる樹脂組成物中に、(E)カップリング剤を配合してもよく、このカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。このようなカップリング剤を添加した場合には、封止樹脂の耐久性、耐熱性等が改善し、より装置信頼性を向上させることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、同種のものを2以上組み合わせて用いることもできる。
樹脂組成物中に添加する(E)カップリング剤としては、シランカップリング剤を用いることが好ましく、シランカップリング剤としては、例えば、1級アミノ基や2級アミノ基又は3級アミノ基を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、フェニルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられる。
これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクテルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられる。
また、上記カップリング剤の中でも、充填性の観点からは2級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。2級アミノ基を有するシランカップリング剤は分子内に2級アミノ基を有するシラン化合物であれば特に制限はないが、たとえば、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリエトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルべンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
このカップリング剤の全配合量は、樹脂組成物中に0.03〜5.0質量%であることが好ましく、0.10〜2.5質量%であることがより好ましい。0.03質量%未満では配線板との接着性が低下する傾向があり、5.0質量%を超えると揮発分が多くなり、ボイド等充填性に関する成形不良が発生しやすくなる傾向があるとともにパッケージの成形性が低下する傾向がある。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物には、従来から公知のシリコーンゴムやゲル等の粉末、シリコーン変性エポキシ樹脂やフェノール樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンよりなる熱可塑性樹脂等を低応力化剤として添加してもよい。さらに、難燃化のため臭素化エポキシ樹脂や酸化アンチモン等を添加することもできる。
また、粘度を下げる目的のために、従来公知のn−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジエポキシド、フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールのような希釈剤を添加することができる。また、カーボンブラック等の着色剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイル等の濡れ向上剤や消泡剤等も場合によっては添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法としては、上記した諸原料を高速混合機等を用い、均一に混合した後、二本ロールや連続混練装置等で十分混練すればよい。混練温度としては50〜110℃が望ましい。混練後、薄くシート化し、冷却、粉砕することでエポキシ樹脂組成物を製造することができる。
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物は、半導体装置の製造における、半導体素子背面のモールド封止及び配線回路基板と半導体素子の間隙の双方への同時充填性、また、リフロー時の信頼性等の観点より、高化式フロー測定装置における175℃、剪断応力 1.23×10Paにおける最低溶融粘度(η1)が3.5〜9.0Pa・sであり、175℃、剪断応力2.45×10Paにおける最低溶融粘度(η2)が0.3〜0.7Pa・sであり、かつ最低溶融粘度η1、η2が下記式(1)を満足し、かつ175℃における硬化時間が30〜60秒であることが好ましい。
Figure 2008214428
次に、本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法について説明する。
本発明の樹脂封止型半導体装置の製造方法は、配線回路基板上に半導体素子をフェースダウンで配置するとともにフリップチップ接合して搭載し、半導体素子のフリップチップ接合部に形成される間隙及び半導体素子の背面側を同一の樹脂組成物で封止した半導体装置の製造方法であって、半導体素子背面のモールド樹脂の厚み(T1)及び前記配線回路基板と半導体素子との間隙(T2)が次の式(2)及び(3)の関係を満たすものである。
Figure 2008214428
Figure 2008214428
このように封止樹脂のトータルの厚みが薄く、しかもそのT1とT2との関係が式(2)及び(3)を満たすような薄型の半導体装置を、上記説明した樹脂組成物を用いることで封止時の樹脂組成物の充填性を優れたものとして、信頼性の高い半導体装置を効率的に製造することができる。
まず比較のため、従来型の半導体装置について図3を用いて説明する。図3は従来型の半導体装置21を示したものである。この半導体装置21は、フリップチップ接合に対応するものであり、フリップチップ接合は、半導体素子22に半田や金等のバンプ23を形成し、配線回路基板24に半導体素子22をフェースダウンで搭載し、配線回路基板24の端子にこのバンプ23を接合することによって、バンプ23と端子とを金属結合させて、直接、電気的に接続するようにしたものである。図3に示した通り、半導体素子22の表面を湿度から保護したり、バンプ23を機械的ストレスから保護したりするために、通常は、半導体素子22と配線回路基板24との間の微細な間隙を樹脂で埋めるアンダーフィルと呼ばれる封止が行われている。
このアンダーフィルに用いられるアンダーフィル材25は、液状の封止用樹脂組成物を毛管現象によって注入させた後、加熱硬化させることによって形成されることが一般的である。その後、半導体素子のマーキング及びピックアップ性向上のため、半導体背面側にもモールド封止材26をモールド成形により形成して、半導体素子を封止するものである。なお、配線回路基板には外部接続用の半田ボール27が設けられている。
このような従来の半導体装置の製造方法は、アンダーフィル封止の工程とモールド封止の工程の両方が必要となり、生産性が低下するという問題があり、またアンダーフィル材25とモールド封止材26との間に界面ができるため、界面剥離が発生しやすいこと等、耐熱性の問題で、懸念点が多い。
次に、本願発明の樹脂封止型半導体装置について図1を用いて説明する。図1は本発明の樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。本発明の樹脂封止型半導体装置1は、半導体素子2背面のモールド封止及びフリップチップ接合部(半導体素子と配線回路基板との間隙)の封止を、双方への同時充填により製造された半導体装置であり、フリップチップ接合に対応するものである。
フリップチップ接合は、従来と同様に、半導体素子2に半田や金等のバンプ3を形成し、配線回路基板4に半導体素子2をフェースダウンで搭載し、配線回路基板4の端子にこのバンプ3を接合することによって、バンプ3と端子とを金属結合させて直接、電気的に接続するようにしたものである。図1に示した通り、半導体素子2の表面を湿度から保護したり、バンプ3を機械的ストレスから保護したりするために半導体素子2と配線回路基板4との間隙と、半導体素子のマーキング及びピックアップ性向上のため半導体背面側とを樹脂により封止するが、本発明においては、これらの封止を所定の上記説明した本発明の封止用エポキシ樹脂組成物からなる封止材5を用いて同時に行うものである。なお、配線回路基板には外部接続用の半田ボール6が設けられている。
また、本発明の半導体装置1は、その半導体素子2の背面側の封止材の厚み(T1)及び半導体素子2と配線回路基板4との間隙の封止材の厚み(T2)が共に薄い薄型の半導体装置に関するものであり、また双方の厚み差が発生した場合においては特に、大きな問題となっている双方の充填速度に起因する未充填が生じることを解消することも可能としたものである。
すなわち、本発明の半導体装置1の構造は、T1及びT2が、式(2)及び(3)の仕様を満たす薄型の半導体装置を対象としたものである。
なお、本図には例示しなかったが、半導体素子をバンプを介し多段に積み上げた構造及び半導体素子を多面に広げたマルチタップタイプの構造をも、本発明は含有するものである。
次に、半導体装置1を製造する過程において、半導体素子2のフリップチップ接合部の間隙及び半導体素子2の背面側を封止成形する方法について説明する。図2はトランファー成形前に、トランスファー成形金型内に半導体素子を搭載した配線回路基板を設置した状態を示すものである。トランスファー成形金型は、上下一対の型板11,12から形成され、上型板11の下面と下型板12上面にはそれぞれ、型板を型締めした際にキャビティ13を形成するように凹部が設けてあり、このキャビティ13にゲート14が接続してある。また、このゲート14と反対側には真空ポンプ(図示省略)に連結される吸引路15が接続してある。この成形金型においては、上下の型板11,12を型締めしたときにキャビティ13からの空気漏れがパッキンで(図示省略)防止できるようにしてある。
まず、半導体素子2を配線回路基板4にフェースダウンで配置すると共にバンプ3でフリップチップ接合し、半導体素子2を搭載した配線回路基板4を作成する。次に、成形金型を開いて、搭載した半導体素子2が上になるように配線回路基板4を下型板12にセットした後、下型板12の上に上型板11を閉じる。そして、上下の型板11,12間がパッキンで密閉され、且つ上下の型板のクランプが行なわれない状態で、真空ポンプを作動させて吸引路15を通してキャビティ13内の脱気を行なうと同時に、成形金型のポット(図示省略)に封止用の樹脂組成物のタブレットを投入してポット内の空気漏れを防ぎ、1〜5秒保持して真空度を高めた後、上下の型板をクランプし、ポットのプランジャを作動させて、ランナーからゲート14を介して溶融した封止用の樹脂組成物を成形金型のキャビティ13内に注入する。
ここで、本発明の対象とする半導体装置1は、上下の型板11,12をクランプして成形金型を型締めした状態で、キャビティ13内にセットした配線回路基板4に搭載されている半導体素子2の背面とキャビティ13の対向する内面との間の隙間寸法T1と、この半導体素子1のフリップチップ接合部の間隙寸法T2は、既に説明した式(2)及び(3)の関係を満たすものである。
上記のように成形金型のキャビティ13内を減圧状態にして、封止用のエポキシ樹脂組成物をキャビティ13内に注入すると、エポキシ樹脂組成物はB矢印のように半導体素子2のフリップチップ接合部の間隙に流入すると共に、A矢印のように半導体素子2の背面とキャビティ12の内面との隙間に流入し、半導体素子2のフリップチップ接合部の間隙にエポキシ樹脂組成物を封止材として充填してアンダーフィル封止すると同時に、同一の封止材で半導体素子2の背面や側面をモールド封止することができるものであり、半導体素子2のフリップチップ接合部の間隙及び半導体素子2の背面や側面を境界面を生じさせることなく封止材で封止した、図1で示した半導体装置1を製造することができるものである。
このとき、キャビティ13内は減圧されているため、半導体素子2のフリップチップ接合部の微小な間隙や、半導体素子2の背面とキャビティ13の内面との間の微小な隙間に、空気溜り等が生じることなく封止材料を良好に流入させることができ、充填不良が発生することなく、短時間で封止材を充填して封止を行なうことができるものである。
通常、バンプ3は、半田バンプ及び金バンプが用いられ、金バンプを用いた方がより薄型化が可能である。金バンプを用いた半導体素子のフリップチップ接合の間隙寸法T2は10〜80μm程度が一般的であるが。このような微小な隙間に封止材料を充填して微小な厚みで封止材を成形する場合、通常の常圧でのトランスファー封止成形では未充填となり、微小な厚みで封止材を成形することは困難である。従って、本発明では減圧状態でトランスファー成形による封止を行うことが好ましく、このとき、キャビティ内の減圧度を20torr以下に設定するのが好ましく、キャビティ内の減圧度は低いほど好ましい。
ここで、半導体素子2の背面とキャビティ13の内面との隙間寸法T1が半導体素子のフリップチップ接合部の間隙寸法T2と差違が大きい場合(T2≫T1)は、溶融した封止材料のキャビティ内での流れは、半導体素子のフリップチップ接合部の間隙に流入するB矢印の流れが先に進行し、半導体素子の背面とキャビティの内面との隙間の周囲が封止材料で囲まれて未充填が生じ易くなり、半導体素子の背面に封止不良が発生するおそれがある。
逆に半導体素子の背面とキャビティの内面との隙間寸法T1と半導体素子のフリップチップ接合部の間隙寸法T2が(T1≫T2)の場合は、溶融した封止材料のキャビティ内での流れは、半導体素子の背面とキャビティの内面との隙間に流入するA矢印の流れが先に進行し、半導体素子のフリップチップ接合部の間隙の周囲が封止材料で囲まれて未充填が生じ易くなり、半導体素子のフリップチップ接合部の間隙に封止不良が発生するおそれがある。したがって、T1、T2の関係が上記した式(2)及び(3)を満たすようにするものである。
本発明の半導体装置の製造方法によって、半導体装置の薄型化及びT1、T2で表される間隙差が多少大きくても、封止を確実に安定して行い、従来の成形性が極めて困難となっていたその改善を達成するものである。
本発明の半導体装置の製造方法において、樹脂組成物による封止は公知のトランスファー成形法等によって行うことができ、また成形条件としては165〜185℃、1〜5分の条件を採用することができる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(参考例)
[無機質充填材の調整]
平均粒径1μmの球状溶融シリカ(アドマファイン株式会社製、商品名:SO−31R)、平均粒径6μmの球状溶融シリカ(瀬戸窯業株式会社製、商品名:ES−03)、平均粒径15μmの球状溶融シリカ(龍森株式会社製、商品名:MSR−2212)、の各種粒度分布の球状溶融シリカを混合することで表1に示した無機質充填材の調整品1〜6を作成した。
Figure 2008214428
なお、物性測定は下記方法により行った。
粒度分布及び平均粒径:シーラスレーザータイプ920の粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、3μm未満、3〜10μm、10μm超の各粒度域における割合を算出した。またそれぞれの1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径及び数換算平均粒径を求め、その比、質量平均粒径(d1)/数平均粒径(d2)を算出した。
(実施例1〜8,比較例1〜6)
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、参考例で調整した無機質充填材、シランカップリング剤、その他添加剤として、表2及び3に示した各成分を配合し、それぞれ十分に混合、混練することで実施例1〜8及び比較例1〜6の15種類のエポキシ樹脂組成物を作成した。
Figure 2008214428
Figure 2008214428
なお、実施例、比較例で用いた無機質充填材以外の原材料を下記に挙げる。
1)OCN型エポキシ樹脂:住友化学工業株式会社製、商品名:ECSN−190、エポキシ当量 195,軟化点 65℃
2)ビフェニル型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YX−4000H、エポキシ当量 196、融点 106℃
3)臭素化エポキシ樹脂:東都化成株式会社製、商品名:YDB−400、エポキシ当量 375,軟化点 80℃、臭素含有量 48質量%
4)フェノールノボラック樹脂:明和化成株式会社製:商品名:H−1、軟化点 80℃、水酸基当量 106
5)フェノール・アラルキル樹脂:三井化学株式会社製、商品名:XL−225、軟化点 70℃、水酸基当量 175
6)ビフェニルフェノール樹脂:明和化成株式会社製、商品名:MEH−7851、軟化点 80℃、水酸基当量 199
7)硬化促進剤:2−ヘプタデシルイミダゾール
8)シランカップリング剤:γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン
9)カーボンブラック:三菱化学株式会社製、商品名:MA−600
10)カルナバワックス:セラリカ野田社製、商品名:精製カルナバワックスNo.1
11)三酸化アンチモン:東湖産業株式会社製、商品名:HTT−200
次に、共晶半田バンプ(融点183℃)を設けた10mm×10mm×厚さ0.25mmの半導体素子を、厚さ0.2mmのBT樹脂プリント配線板の片面に4列×4列のマトリックスアレイ配置でフリップチップ接合した。このときの半導体素子とインターポーザーとの間のフリップチップの接合部の間隔は70μmであった。この半導体素子を搭載した配線回路基板を成形金型にセットして、クランプした。この成形金型としては、封止材料であるエポキシ樹脂組成物を注形する注形空間の高さが0.39mmのキャビティが形成された金型を用いた。
キャビティ内を真空ポンプで引いて減圧した状態で、表2に示した配合で得られたそれぞれの樹脂組成物を用いて6.9MPaの成形圧で3分間トランスファー成形して、半導体素子を一括封止した。その後、成形金型から取り出し、175℃、8時間後硬化を行った後、個別化ダイシングカットした。このとき半導体素子背面のオーバーコート封止樹脂の厚みT1は70μmであることを確認した。
さらに、この樹脂組成物及び半導体装置を用い、各種評価を行った。その結果を表4及び5に示す。
Figure 2008214428
Figure 2008214428
なお、物性測定は下記方法により行った。
*1 スパイラルフロー:成形温度175℃、成形圧力100kg/cmでトランスファー成形することでスパイラルフローを測定した。
*2 ゲルタイム:175℃の熱板でエポキシ樹脂組成物がゲルになるまでの時間を測定した。
*3 最低溶融粘度:高化式フローテスターを用い、10kgの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度175℃で、剪断応力 1.23×10Paにおける最低溶融粘度(η1)及び、剪断応力 2.45×10Paにおける最低溶融粘度(η2)を測定した。また、その対数比 Log(η1/η2)を求め、併せて示した。
*4 樹脂充填性:成形したパッケージの半導体素子とのオーバーコート樹脂部及びアンダーフィル部の充填性を確認するため、超音波探傷装置を用い、内部ボイドの数を数えた。また、外部ボイドは目視観察することでボイドの数を数えた。評価は20サンプル試験をしたうちボイドの生じたサンプル数である。
*5 耐リフロー性試験:半導体装置を85℃/85%RHにて72時間吸湿させた後、240℃の赤外線リフロー炉中で90秒間加熱する試験を行い、半導体パッケージのクラックの有無を調べた(サンプル数=20)。
*6 耐湿信頼性試験:半導体装置を85℃,85%RHの条件下で72時間吸湿させた後、240℃、90秒間のベーパーリフローを行った。さらに、この装置を65℃、95%RHの条件下で500時間吸湿させた後、不良の有無を調べた(サンプル数=20)。
*7 高温放置信頼性試験:耐湿性試験に用いたものと同じ種類の半導体装置を180℃の恒温槽中に1000時間まで放置し、接合部不良の有無を調べた(サンプル数=20)。
本発明の樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。 本発明の樹脂封止型半導体装置をトランスファー成形により製造する成形前に、成形金型内に半導体素子を搭載した配線回路基板を配置した概略断面図である。 従来の樹脂封止型半導体装置の概略断面図である。
符号の説明
1…半導体装置、2…半導体素子、3…バンプ、4…配線回路基板、5…封止材、6…半田ボール、T1…半導体素子の背面側の封止材の厚み、T2…半導体素子と配線回路基板との間隙の封止材の厚み、11…上型板、12…下型板、13…キャビティ、14…ゲート、15…吸引路、21…半導体装置、22…半導体素子、23…バンプ、24…配線回路基板、25…アンダーフィル材、26…モールド封止材、27…半田ボール

Claims (10)

  1. (A)エポキシ樹脂と、(B)フェノール樹脂と、(C)硬化促進剤と、(D)無機質充填材と、を必須成分とし、
    前記(D)無機質充填材は、その最大粒径が30μm以下で、レーザー回折粒度分布測定装置で測定した粒度分布の頻度値が、3μm未満:15〜30質量%、3〜10μm:25〜35質量%、10μm超:40〜50質量%であり、粒径1μm以上の粒子を対象とした質量換算平均粒径(d1)と数換算平均粒径(d2)の比が、5.0≦d1/d2≦9.0の関係を満たし、かつ、前記(D)無機質充填材の含有量が樹脂組成物中に50〜95質量%であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物が、高化式フロー測定装置を用いた測定において、175℃、剪断応力 1.23×10Paでの最低溶融粘度(η1)が3.5〜9.0Pa・sであり、175℃、剪断応力 2.45×10Paでの最低溶融粘度(η2)が0.3〜0.7Pa・sであって、前記最低溶融粘度η1及びη2が次の式(1)を満足し、
    Figure 2008214428
    かつ、前記樹脂組成物の175℃における硬化時間が30〜60秒であることを特徴とする請求項1記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記(A)エポキシ樹脂が、下記一般式(I)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂
    Figure 2008214428
    (式中、R〜Rはそれぞれ水素原子又はメチル基であり、nは0〜2の整数を示す。)を含有する請求項1又は2記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(B)フェノール樹脂が、下記一般式(II)で示されるアラキラル型フェノール樹脂
    Figure 2008214428
    (ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜10の置換若しくは非置換の一価の炭化水素基であり、mは0〜10の整数を示す。)を含有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. さらに、前記樹脂組成物が(E)カップリング剤を必須成分とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記(E)シランカップリング剤が、2級アミノ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項5記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
  7. 配線回路基板上に半導体素子をフェースダウンで配置するとともにフリップチップ接合して搭載し、前記半導体素子のフリップチップ接合部に形成される間隙及び前記半導体素子の背面側を同一の樹脂組成物で封止した半導体装置であって、
    前記半導体素子背面の封止樹脂の厚み(T1)及び前記配線回路基板と前記半導体素子との間隙の封止樹脂の厚み(T2)が次の式(2)及び(3)の関係を満たし、
    Figure 2008214428
    Figure 2008214428
    前記半導体素子を封止する樹脂組成物が、請求項1乃至6のいずれか1項記載の封止用エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
  8. 配線回路基板上に半導体素子をフェースダウンで配置するとともにフリップチップ接合して搭載し、前記半導体素子のフリップチップ接合部に形成される間隙及び前記半導体素子の背面側を同一の樹脂組成物で封止する半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体素子背面の封止樹脂の厚み(T1)及び前記配線回路基板と前記半導体素子との間隙の封止樹脂の厚み(T2)が次の式(2)及び(3)の関係を満たし、
    Figure 2008214428
    Figure 2008214428
    前記半導体素子を封止する樹脂組成物が、請求項1乃至6のいずれか1項記載の封止用エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする樹脂封止型半導体装置の製造方法。
  9. 前記半導体素子の封止を、トランスファー成形により行うことを特徴とする請求項8記載の樹脂封止型半導体装置の製造方法。
  10. 前記トランスファー成形において、成形金型のキャビティ内を減圧状態にして封止を行うことを特徴とする請求項9記載の樹脂封止型半導体装置の製造方法。
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