JP2021172793A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021172793A
JP2021172793A JP2020080428A JP2020080428A JP2021172793A JP 2021172793 A JP2021172793 A JP 2021172793A JP 2020080428 A JP2020080428 A JP 2020080428A JP 2020080428 A JP2020080428 A JP 2020080428A JP 2021172793 A JP2021172793 A JP 2021172793A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
resin composition
semiconductor
thermal conductivity
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020080428A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7465714B2 (ja
Inventor
進 渡邉
Susumu Watanabe
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2020080428A priority Critical patent/JP7465714B2/ja
Publication of JP2021172793A publication Critical patent/JP2021172793A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7465714B2 publication Critical patent/JP7465714B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

【課題】熱伝導性、流動性に優れ、ガラス転移温度が高く、反りの小さい半導体封止用エポキシ樹脂組成物、並びに該半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)無機充填材と、を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm以下であり、前記(C)硬化促進剤がイミダゾール系化合物を含む、半導体封止用エポキシ樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置に関する。
近年、電子部品のプリント配線板への高密度実装化に伴い、IC、LSI等の半導体素子を含む半導体装置は、従来の挿入型パッケージから表面実装型パッケージにその主流が変わってきている。
表面実装型では、半導体素子のパッケージに対する占有体積も大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。
また、半導体素子の多機能化、大容量化によって、チップ面積の増大、多ピン化が進み、さらにパッド数の増加によって、パッドピッチ及びパッドサイズの縮小化、いわゆる狭パッドピッチ化も進み、それに伴い発熱量も増大している。
従来、高熱伝導樹脂の取り組みとして、半導体封止用樹脂組成物にメソゲン基を導入したエポキシ樹脂を用いたものが挙げられる(特許文献1)。しかしながら、半導体封止材としては十分でない。アゾメチン型のメソゲン基は熱伝導率が高いものの、融点が高く、硬化に高温を必要とする。そのため、ゲル化が早く、流動性が悪く、不均一な硬化物になる等の問題を有する。一方、テトラメチルビフェノール骨格のメソゲン基を有するエポキシ樹脂は、150℃における溶融粘度が低いものの熱伝導率は不十分であった。
また、硬化促進剤としてイミダゾール系を用いると、メソゲン基の配列を乱し熱伝導率が下がることから、リン系の硬化促進剤を用いることが一般的であった(特許文献2)。
特開平11−323162号公報 国際公開第2017/145411号
このような中、AP(Application Processor;アプリケーションプロセッサ)やGPU(Graphics Processing Unit;グラフィックスプロセッシングユニット)等の半導体装置に用いる封止材にあっては、高熱伝導性に加え、バンプギャップが狭くなる、多端子化によりワイヤーが細く本数が増えることから、反りの低減化、高流動性が要求されている。
本発明は、上記を鑑み、熱伝導性、流動性に優れ、ガラス転移温度が高く、反りの小さい半導体封止用エポキシ樹脂組成物、並びに該半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂中の塩素含有量を特定の範囲に規定することにより、高熱伝導性を有し、高流動性で、反りの小さい樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
〔1〕(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)無機充填材と、を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、
前記(A)エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm以下であり、前記(C)硬化促進剤がイミダゾール系化合物を含む、半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
〔2〕前記(A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂を含む、上記〔1〕に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
(3)前記ビフェニル型エポキシ樹脂が下記一般式(1)の構造を含む、上記〔2〕に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
Figure 2021172793

[一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
〔4〕前記(D)無機充填材の熱伝導率が、20W/m・K以上である、上記〔1〕に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物により、半導体素子が封止される、半導体装置。
〔6〕前記〔5〕に記載の半導体装置が、AP(Application Processor:アプリケーションプロセッサ)又はGPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)を含む、半導体装置。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物によれば、熱伝導性、流動性に優れ、ガラス転移温度が高く、反りの小さい半導体封止用エポキシ樹脂組成物、並びに該半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置を提供することができる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を備えた半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
[半導体封止用エポキシ樹脂組成物]
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)無機充填材と、を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm以下であり、前記(C)硬化促進剤がイミダゾール系化合物を含むことを特徴とする。
<(A)エポキシ樹脂>
本発明で使用する(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造、分子量等に制限されることなく一般に電子部品の封止材料として使用されているものを広く用いることができる。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビフェノールとエピクロロヒドリンとの反応により得られるビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等のビスフェノール類とエピクロロヒドリンとの反応により得られるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラックとエピクロロヒドリンとの反応により得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価カルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、多価アルコールとエピクロロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂環式グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ変性樹脂等の各種エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加アルコールのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加アルコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール類のジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
アミン型エポキシ樹脂としては、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
脂環式グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
トリアジン型エポキシ樹脂としては、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1−アリル−3,5−ビス(2,3−エポキシプロパン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンとプロピオン酸無水物との反応生成物と1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンから成る混合物、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンのエポキシ変性物等のトリアジン型エポキシ樹脂が挙げられる。
複素環式エポキシ樹脂としては、1,3,4,6−テトラグリシジルグリコールウリル型エポキシ樹脂等の複素環式エポキシ樹脂が挙げられる。
これらの中で、(A)成分であるエポキシ樹脂としては、高い熱伝導率、流動性の観点から、結晶性エポキシ樹脂が好ましく、熱伝導率の観点から、メソゲン基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
前記結晶性を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が挙げられる。
この中で、前記ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(1)で表される構造を含む。
Figure 2021172793

[一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)等が挙げられる。
一態様として、R、R、R及びRがメチル基、又は水素原子であることが好ましい。また、他の態様として、R〜Rのすべてが水素原子であることが好ましい。
前記エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
例えば、4,4’−ビフェニル型エポキシ樹脂とテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂を組み合わせてもよい。4,4’-ビフェニル型エポキシ樹脂とテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂との質量比が、好ましくは20:80〜80:20であり、より好ましくは30:70〜70:30である。4,4’−ビフェニル型エポキシ樹脂の質量比が大きいと流動性が高く、熱伝導率が高くなる。テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂の質量比が大きいと塩素抽出量が低くなる。
(A)成分のエポキシ樹脂の塩素含有量は600ppm以下である。(A)成分のエポキシ樹脂の塩素含有量は600ppm超であると、硬化促進剤としてイミダゾール系化合物を用いた場合には、結晶性又はメソゲンの配列を乱しやすくなり熱伝導率が低くなることがある。(A)エポキシ樹脂の塩素含有量は、好ましくは400ppm以下、より好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下であり、含まなくてもよい。前記(A)エポキシ樹脂の塩素含有量がこの範囲にあると、結晶性が増し、硬化促進剤としてイミダゾール系化合物を用いた場合でも、熱伝導率を高くすることができる。
前記塩素含有量を満たすビフェニル型エポキシ樹脂の市販品を例示すると、例えば、三菱ケミカル(株)製のYX−4000UH(エポキシ当量195、塩素含有量20ppm、一般式(1)においてR、R、R及びRがメチル基)、同YX−4000H(エポキシ当量195、塩素含有量20ppm、R、R、R及びRがメチル基)、同YL6121H(エポキシ当量172、塩素含有量500ppm、R、R、R及びRが水素原子である構造とR、R、R及びRがメチル基である構造が1:1の混合物)、同YL7979H(エポキシ当量172、塩素含有量150ppm、R、R、R及びRが水素原子である構造とR、R、R及びRがメチル基である構造が1:1の混合物)等が挙げられる。
ビフェニル型エポキシ樹脂の使用によって、無機充填材を多量に含有させても溶融粘度を最適範囲に維持することができ、また耐熱性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
(A)エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物全量に対して、0.5〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。(A)エポキシ樹脂の含有量が、エポキシ樹脂組成物全量に対して0.5質量%以上であれば成形性や密着性が良好であり、15質量%以下であれば適正な線膨脹係数を満足できる。
<(B)硬化剤>
本発明で使用する(B)成分の硬化剤は、前記(A)成分のエポキシ樹脂を硬化させることができるものであって、電子部品の封止材料として一般に用いられるものであれば特に制限されることなく使用できる。熱伝導性の観点から、塩素含有量は可能な限り含まないことが好ましい。
(B)成分の硬化剤は、フェノール系硬化剤を含むことが好ましい。フェノール系硬化剤は、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、及び保存安定性等のバランスの観点から好ましい。フェノール系硬化剤は、1分子当たり2個以上のフェノール性水酸基を有し、上記(A)成分のエポキシ樹脂を硬化させることができるものである。
フェノール樹脂硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、シクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中で、成形時における流動性を適切に調整でき、(D)成分の無機充填材等の充填性を向上しやすくする観点から、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノール系硬化剤以外の(B)硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、触媒型の硬化剤等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、脂肪族ポリアミンや芳香族ポリアミン等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物が挙げられる。
メルカプタン系硬化剤としては、ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテル等のポリメルカプタン化合物が挙げられる。
触媒型の硬化剤としては、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール等の3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;BF錯体等のルイス酸等が挙げられる。
(B)硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の0.5〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。また、(A)エポキシ樹脂の含有量が、エポキシ樹脂組成物全体の0.5質量%以上であれば成形性や密着性が良好であり、15質量%以下であれば適正な線膨脹係数を満足できる。
<(A)成分と(B)成分の含有比>
本発明の組成物における(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分の硬化剤の含有比は、例えば、(B)成分の硬化剤としてフェノール樹脂硬化剤を用いた場合は、(A)成分のエポキシ樹脂中のエポキシ基1個に対して、(B)成分のフェノール樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基が、好ましくは0.5個〜1.6個、より好ましくは0.6個〜1.4個となるように選定される。(A)エポキシ樹脂中のエポキシ基1個に対して(B)フェノール樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基が0.5個〜1.6個の範囲内であれば硬化物のガラス転移温度が良好となり十分な架橋密度を有し、強度の高い硬化物を得ることができる。
<(C)硬化促進剤>
本発明の(C)成分の硬化促進剤は(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分の硬化剤の反応を促進するものであり、(C)成分の硬化促進剤としてイミダゾール系化合物を含む。硬化促進剤をイミダゾール系化合物とすることで耐熱性及び適度な流動性が得られる。
イミダゾール系化合物の具体例としては、例えば、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−エチル−4′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール系化合物が挙げられる。これらの中で、吸湿性が低く、耐リフロー性に優れ、保管ライフが長く、反りが小さく、硬度が良好な半導体装置を得る観点から、フェニルイミダゾール系化合物が好ましく、この中で、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。
これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記(C)成分の硬化促進剤の含有量は、(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分の硬化剤の合計量100質量部に対して、通常0.5〜10質量部、好ましくは1〜9質量部、より好ましくは1.5〜8質量部の範囲で選定される。含有量が(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、0.5質量部以上では、硬化性の向上効果に優れ、また10質量部以下であると、組成物の流動性、成形性等が向上する。
<(D)無機充填材>
本発明で使用する(D)無機充填材としては、特に制限なく、例えば、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されている公知の無機充填材が挙げられる。
(D)無機充填材の具体例としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、破砕シリカ、合成シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア等の酸化物粉末;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物粉末;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物粉末;ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、ベリリア、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、等のその他粉末;これらを球形化したビーズ;単結晶繊維;ガラス繊維;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、熱伝導率の異なる2種以上の無機充填材を組み合わせることにより、無機充填材のトータルの熱伝導率を調整してもよい。
これらの中でも、熱膨張係数を低減する観点から、溶融シリカが好ましく、また、高熱伝導性を高める観点から、アルミナが好ましい。なかでも(d−1)球状アルミナ粉末や、(d−2)微細球状アルミナ粉末を用いると高熱伝導性が得られるため好ましい。
また、無機充填材の形状としては、特に制限はないが、成形時の流動性を向上させ、金型の摩耗を抑える観点から、球形が好ましい。
本発明に用いる(D)無機充填材の熱伝導率は、好ましくは20W/m・K以上である。無機充填材の熱伝導率がこの値であると、エポキシ樹脂組成物により得られる硬化物の熱伝導性を高くすることができる。該熱伝導率は30W/m・K以上がより好ましい。なお、熱伝導率の上限値は特に限定されないが、絶縁性の観点から、高熱伝導率を有する金属等は使用できない。また、本明細書でいう無機充填材の熱伝導率とは、熱伝導率が異なる複数の無機充填材を組み合わせて用いることで発現する複合の熱伝導率を含むものとする。
無機充填材の熱伝導率は、例えば、該無機充填材を焼結あるいは溶融後に冷却成形するなどして、板状の成形物を作製し、熱伝導率測定装置(京都電子工業(株)製、品番:TPA−501)を用い、ホットディスク法により測定することができる。
(D)無機充填材の体積平均粒子径は、0.01〜100μmであることが好ましく、0.03〜40μmであることがより好ましく、さらに好ましくは0.05〜30μmである。
また、2種類以上の無機充填材を含有させる場合は、粒子径に分布を持たせてもよく、例えば、前記の(d−1)球状アルミナ粉末と(d−2)微細球状アルミナ粉末を併用する場合は、(d−1)球状アルミナ粉末の平均粒子径が2μm以上100μm以下、(d−2)微細球状シリカ粉末の平均粒子径が0.01μm以上2μm未満であることが好ましい。さらに、それらの質量含有比は、(d−1)球状アルミナ粉末:(d−2)微細球状シリカ粉末が95:5〜70:30であることが、成形性や流動性を向上できる観点から好ましい。
なお、前記平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、(株)島津製作所製、装置名:SALD-3100)により測定された値である。
前記(D)無機充填材の含有量は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物全体の70質量%を超え、95質量%未満の範囲に設定することが好ましい。すなわち、(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、熱伝導性に優れ、逆に、(D)成分の含有量が上記上限値未満であると、半導体封止用エポキシ樹脂組成物の流動性が高いため成形性に優れる。
<添加剤>
また、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、必須成分である前記(A)〜(D)成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に任意成分としての添加剤を一般に含有することができる。添加剤としては、難燃剤;カップリング剤;合成ワックス、天然ワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩等の離型剤;カーボンブラック、コバルトブルー等の着色剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の改質剤;ハイドロタルサイト類等の安定剤;イオン捕捉剤;低応力剤;分散剤;消泡剤等が挙げられる。これらの各添加剤はいずれも、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
難燃剤の具体例としては、ハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属元素を含む難燃剤や、リン酸エステル等のリン系難燃剤等が挙げられる。
カップリング剤の具体例としては、エポキシシラン系、アミノシラン系、ウレイドシラン系、ビニルシラン系、アルキルシラン系、有機チタネート系、アルミニウムアルコレート系等のカップリング剤が挙げられる。流動性及び硬化性を向上させる観点からは、なかでも、アミノシラン系カップリング剤が好ましく、特に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、上記の任意成分の含有量は、組成物の全量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、(A)〜(D)成分の合計含有率は、80〜99.99質量%が好ましく、90〜99.99質量%がより好ましく、95〜99.99質量%が特に好ましい。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を調製するにあたっては、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、及び前記添加剤等の各種成分をミキサー等によって予備混合した後、ディスパース、ニーダー、3本ロールミル等により混練処理を行い、次いで、冷却固化させ、適当な大きさに粉砕することにより、調製することができる。
上記粉砕方法は特に制限されず、一般的な粉砕機を用いることができる。
粉砕機としては、好ましくは、カッティングミル、ボールミル、サイクロンミル、ハンマーミル、振動ミル、カッターミル、グラインダーミル、さらに好ましくは、スピードミルを挙げることができる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、タブレット状、粉粒状、シート状等成形方法に応じた形状に加工してもよい。
タブレット状の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造する方法は、得られた樹脂組成物を加圧して、タブレット状に成形する工程を有する。タブレット状に成形する方法としては、例えば、顧客の要求に合わせたタブレットのサイズの金型に投入し、圧縮成形機を使用して圧縮率80〜95%で圧縮成形する方法等が挙げられる。
粉粒状、の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造する方法は、上記粉砕工程で得られた粉砕物を、篩い分級、エアー分級等によって所定の粒度分布を持つ粒子集合体に調整する分級工程を行うことで得られる。例えば、7〜500メッシュ程度の篩を用いて分級する。
シート状の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造する方法は、封止用エポキシ樹脂組成物を溶剤希釈した後、フィルム化することにより得ることができる。例えば、溶剤希釈した封止用エポキシ樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶剤を除去することにより得ることができる。
シート状とすることで、例えば、枚葉状または巻き取り可能なロール状とすることができる。
次に、本発明の半導体装置について説明する。
本発明の半導体装置は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物により、半導体素子が封止されることが好ましい。
図1は、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を備えた半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
半導体装置は、裏面にはんだボール5を有する支持基板4上にバンプ3を介し半導体素子1を備え、半導体素子1とバンプ3との間、及びそれらの周囲(側面、上面)に、本発明の封止材用エポキシ樹脂組成物でなる封止材2が備わる構造を有する。
はんだボール5は配線板との接続用の端子として用いられ、バンプ3は半導体素子1と支持基板4に形成された配線とを接続するために用いられる。
本発明の半導体装置は、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形、圧縮成形、シート成形等により次のように製造することができる。
タブレット状半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いる場合は、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法によって、150〜250℃の間の封止温度で製造することができる。
粉粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いる場合は以下のようにして製造する。
まず、成形型の上型に半導体部品を実装した基板を供給するとともに、下型のキャビティ内に本発明の粉粒状半導体封止用エポキシ樹脂組成物を供給する。次いで、上下両型を所要の型締圧力にて型締めすることにより、下型キャビティ内で加熱溶融された樹脂組成物に半導体部品を浸漬する。この後、下型キャビティ内の加熱溶融された樹脂組成物をキャビティ底面部材で押圧し、減圧下、所要の圧力を加え、圧縮成形する。成形条件は、好ましくは、温度120〜200℃、圧力2〜20MPaである。このような成形条件で圧縮成形することにより、本発明の半導体装置が得られる。
シート状半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いる場合は、例えば、基材に搭載された半導体素子を上下金型のキャビティ内にセットし、ワイヤボンディング部の上に、シート状半導体封止用エポキシ樹脂組成物を載せた後、プレス機を用いて上下金型を型締めし、加圧しながら加熱してシート状半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化することにより、本発明の半導体装置が得られる。
本発明の半導体装置において適用できる半導体素子は、特に限定されるものではなく、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子、AP(Application Processor:アプリケーションプロセッサ)又はGPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)等の半導体素子、特に熱伝導率が高く、高い放熱性を有することから、AP又はGPU等の半導体装置の封止材に用いることが好ましい。
なお、本明細書では、「AP」及び「GPU」を単に半導体素子、又は半導体装置ということがある。
このように、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いることにより、高い放熱性を備え、狭部の充填性、反りが低減した半導体装置を得ることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において使用した材料は下記の通りである。また、「部」は特に断らない限り「質量部」を意味する。
(実施例1)
(A)成分としてエポキシ樹脂(a−1)2.66部;(B)成分として硬化剤(b−1)2.78部;(C)成分として硬化促進剤(c−1)0.20部、;(D)成分として無機充填材(d−1)77.00部、無機充填材(d−2)17.00部、カーボンブラック(d−3)0.30部;添加剤として離型剤0.10部、難燃剤0.30部、低応力剤0.20部、並びにシランカップリング剤0.30部、を常温(20℃)で混合し、次いで、ミキシング2軸ロールを用い120℃で加熱混練し半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
(実施例2〜6、及び比較例1〜4)
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の種類とその含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び比較のための樹脂組成物を得た。
半導体封止用エポキシ樹脂組成物の調製に使用した、表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<エポキシ樹脂>
〔(A)成分〕
・(a−1)YX−4000UH:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量195、塩素含有量20ppm、三菱ケミカル(株)製、商品名
・(a−2)YX−4000H:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量195、塩素含有量400ppm、三菱ケミカル(株)製、商品名
・(a−3)YX−4000:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量195、塩素含有量1000ppm、三菱ケミカル(株)製、商品名
・(a−4)YL6121H:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量172、塩素含有量500ppm、三菱ケミカル(株)製、商品名
・(a−5)YL7979:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量172、塩素含有量150ppm、三菱ケミカル(株)製、商品名
<硬化剤>
〔(B)成分〕
・(b−1)MEHC−7851SS:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、水酸基当量205、明和化成(株)製、商品名
・(b−2)BRG−556:フェノールノボラック樹脂、水酸基当量104、昭和高分子(株)製、商品名
<硬化促進剤>
〔(C)成分〕
・(c−1)2P4MHZ:四国化成工業(株)製、商品名、
・(c−2)PP−200:北興化学工業(株)製、商品名、トリフェニルホスフィン
<無機充填材>
〔(D)成分〕
・(d−1)DAB−80SA:球状アルミナ、デンカ(株)製、平均粒子径10.3μm
・(d−2)AO−502:微細球状アルミナ、(株)アドマテックス製、平均粒子径0.7μm
・(d−3)MA−100RMJ:カーボンブラック、三菱ケミカル(株)製
<添加剤>
〔離型剤〕
・カルナバ:天然カルナバワックス、東洋ペトロライト(株)製、商品名
〔難燃剤〕
・FP−100:環状ホスファゼンオリゴマー、(株)伏見製薬所製、商品名
〔低応力剤〕
・Ricon 657:エポキシ基含有ポリブタジエン、クレイバレー(株)製、商品名〔シランカップリング剤〕
・XS−1075:フェニルアミノシラン、JNC(株)製
なお、実施例及び比較例で用いた無機充填材について、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、製品名:LA−920)を用いて、レーザ回折散乱方式によりメジアン径を測定し、これを平均粒子径とした。
前記実施例及び比較例で得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びそれらの成形品について、下記に示す方法で各種特性を評価した。結果を表1に示す。
<半導体封止用エポキシ樹脂組成物の評価>
(1)熱伝導率
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、175℃、成形圧力100kg/cm、加圧時間10分間の条件でトランスファー成形して作製した円盤状試験片(直径100mm、厚さ26mm)について、迅速熱伝導率計(京都電子工業(株)製、製品名:Kemtherm QTM−3)を用いて測定した。
(2)ゲル化時間GT
JIS C 2161 7.5.1に規定されるゲル化時間A法に準拠して、150℃の熱盤上で1.5gの半導体封止用エポキシ樹脂組成物を直径約40〜50mmの円板状に広げ、金属製のへらを用いて60回/分の速度でかき混ぜ、エポキシ樹脂組成物が増粘し、最終的にゲル状になってかき混ぜられなくなるまでの時間を測定した。
(3)スパイラルフロー(流動性)
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、成形温度175℃、成形圧力9.8MPaの条件でトランスファー成形することでスパイラルフロー(樹脂組成物の流動距離)を測定した。
(4)フロー粘度
半導体封止用エポキシ樹脂組成物のフロー粘度を、フローテスタ((株)島津製作所製、型名:CFT−500)を用いて、温度175℃、ノズル長1.0mm、ノズル径0.5mm、プランジャー圧力10kgfの試験条件で測定した。
(5)ガラス転移温度
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度180℃、成形圧力8.0MPa、成形時間2分間の条件でトランスファー成形して、長さ15mm×幅4mm×厚さ3mmの成形品を作製し、さらに、175℃、8時間の後硬化を行って、試験片を得た。得られた試験片について、熱機械分析装置((株)島津製作所製、型名:TMA/SS150)を用いて、大気中で、昇温速度5℃/minの条件で、圧縮測定により分析を行い、熱機械分析(TMA)曲線を得た。得られたTMA曲線の40〜80℃の接線(平均線膨張係数α1)及び220〜240℃の接線(平均線膨張係数α2)の交点における温度を読み取り、この温度をガラス転移温度(単位:℃)とした。
(6)成形及び後硬化による成形収縮率
熱硬化性プラスチック一般試験方法(JIS K6911−1995 5.7成形収縮率及び加熱収縮率(成形材料))に準じて成形収縮率を測定した。
得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力8.0MPa、硬化時間2分間の条件でトランスファー成形して、成形収縮率測定用テストピース(環状帯外径φ80mm)を得た。この成形収縮率測定用テストピースの環状帯外径4ヶ所(表裏各2個所)の寸法を測定した。成形収縮率(%)は下記式によって算出し、成形による成形収縮率(成形収縮率As)とした。
さらに、前記成形収縮率(成形収縮率As)測定用テストピースについて175℃、8時間の後硬化を行った後、前記と同様にして、成形収縮率(%)を算出し、後硬化による成形収縮率(成形収縮率PMC)とした。
成形収縮率(%)=((D−d)/D+(D−d)/D+(D−d)/D+(D−d)/D)/4*100
ここで、d1〜4:それぞれの測定線に沿って測ったテストピース環状帯の外径(mm)
1〜4:20±2℃の室温で測ったd1〜4に対応する金型のみぞの外径(mm)
(7)曲げ強度及び曲げ弾性率
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度180℃、成形圧力8.0MPa、成形時間2分間の条件でトランスファー成形して、長さ45mm×幅4mm×厚さ3mmの成形品を作製し、さらに、175℃、8時間の後硬化を行って、試験片を得た。得られた試験片について、動的粘弾性試験装置(ティーエーインスツルメント社製、型名:DMA Q800)を用いて、大気中で、昇温速度5℃/min、周波数10Hzの条件で、分析を行い、260℃における曲げ強度及び曲げ弾性率を求めた。この値を、熱時曲げ強度及び熱時曲げ弾性率(単位:GPa)とした。
(8)塩素抽出量
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、下記の条件で成形し、得られた成形品を粉砕して、180℃×2h熱水抽出し、イオンクロマトグラフィー(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)社製、型名:ICS−1100)を用いて、塩素抽出量(イオン量)を測定した。
(成形条件)
金型温度:175±3℃、成形圧力:2.94±0.2Mpa(ゲージ圧)、注入時間:12±6s、硬化時間:180s、樹脂温度:90±5℃、ポストキュア:175℃×8h
(9)比重
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度180℃、成形圧力8.0MPa、成形時間2分間の条件でトランスファー成形して、φ50mm×厚さ3mmの成形品を作製し、さらに、175℃、8時間の後硬化を行って、試験片を得た。その試験片の比重を、JIS K 6991に準拠して測定した。
(10)吸水率
(9)で得られた試験片の吸水率を121℃、0.25MPaの飽和水蒸気にて24時間処理(Pressure Cooker Test)した前後の質量増加率から算出した(単位:%)。
(11)反りの評価
調製した封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、10mm×10mm、厚さ150μmのチップを搭載した評価用パッケージ(15mm×15mm、封止厚み:250μm、全体厚:380μm)を作製した。175℃で8時間のポストキュアを行った後、加熱装置に配置して装置内の温度を25℃から昇温(昇温速度10℃/25秒)して260℃に達した後に25℃まで降温(降温速度10℃/25秒)させる試験を行った。
25℃における評価用パッケージの反りの状態と、反りの接地面からの最大高さ(mm)を測定した。smile型の反りを生じている場合の最大高さはマイナス値、cry型の反りを生じている場合の最大高さはプラス値として、以下の基準で評価した。
〇:発生した反りの絶対値が2mm未満
×:発生した反りの絶対値が2mm以上
(12)充填性
上記の反り評価で用いた評価用パッケージ内に備えるチップ上の封止材を目視で観察し、該封止材の未充填箇所の有無を評価した。
〇:未充填箇所なし
×:未充填箇所あり
Figure 2021172793
エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm以下でイミダゾール系化合物の硬化促進剤を用いた実施例1〜6は、エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm超でイミダゾール系化合物の硬化促進剤を用いた比較例1、と比較し、熱伝導率が高く、エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm以下でリン系の硬化促進剤を用いた比較例2及び3、エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm超でリン系の硬化促進剤を用いた比較例4、と比較し、熱伝導率が高く、フロー粘度が低く、成形収縮率が小さいことがわかる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特に熱伝導率が高く、高い放熱性を有し、狭部充填性が高く、反り量が少ないことから、発熱量の大きいAP又はGPU等の半導体装置の封止材に適用することができる。
1:半導体素子
2:封止材
3:バンプ
4:支持基板
5:はんだボール

Claims (6)

  1. (A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)無機充填材と、を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、
    前記(A)エポキシ樹脂の塩素含有量が600ppm以下であり、前記(C)硬化促進剤がイミダゾール系化合物を含む、半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記(A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記ビフェニル型エポキシ樹脂が下記一般式(1)の構造を含む、請求項2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2021172793

    [一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
  4. 前記(D)無機充填材の熱伝導率が、20W/m・K以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物により、半導体素子が封止される、半導体装置。
  6. 請求項5に記載の半導体装置が、AP(Application Processor:アプリケーションプロセッサ)又はGPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)を含む、半導体装置。
JP2020080428A 2020-04-30 2020-04-30 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Active JP7465714B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020080428A JP7465714B2 (ja) 2020-04-30 2020-04-30 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020080428A JP7465714B2 (ja) 2020-04-30 2020-04-30 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021172793A true JP2021172793A (ja) 2021-11-01
JP7465714B2 JP7465714B2 (ja) 2024-04-11

Family

ID=78279175

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020080428A Active JP7465714B2 (ja) 2020-04-30 2020-04-30 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7465714B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007217469A (ja) 2006-02-14 2007-08-30 Kyocera Chemical Corp 封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP5031403B2 (ja) 2007-03-01 2012-09-19 京セラケミカル株式会社 封止用エポキシ樹脂組成物、樹脂封止型半導体装置及びその製造方法
JP2013014700A (ja) 2011-07-05 2013-01-24 Kyocera Chemical Corp 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた積層型半導体装置
JP6123277B2 (ja) 2011-12-28 2017-05-10 日立化成株式会社 樹脂組成物、樹脂組成物シート及び樹脂組成物シートの製造方法、金属箔付樹脂組成物シート、bステージシート、半硬化の金属箔付樹脂組成物シート、メタルベース配線板材料、メタルベース配線板、led光源部材、並びにパワー半導体装置
JP6331500B2 (ja) 2013-03-08 2018-05-30 三菱ケミカル株式会社 エポキシ樹脂組成物および硬化物
JP6311263B2 (ja) 2013-10-10 2018-04-18 日立化成株式会社 エポキシ樹脂組成物、接着シート及び半導体装置
KR102380821B1 (ko) 2017-09-15 2022-03-31 삼성전자주식회사 팬-아웃 반도체 패키지

Also Published As

Publication number Publication date
JP7465714B2 (ja) 2024-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019151685A (ja) トランスファーコンプレッションモールド法用半導体封止用樹脂組成物及び半導体装置
JP6880567B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置の製造方法
JP6832193B2 (ja) 樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置
JP5663250B2 (ja) 半導体封止用樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置
JP2013014700A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた積層型半導体装置
JP2004210901A (ja) 液状エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP2016040383A (ja) 電子部品封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電子部品装置
JP2021059741A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置の製造方法
JP6389382B2 (ja) 半導体封止用樹脂シート及び樹脂封止型半導体装置
JP2024012392A (ja) エポキシ樹脂組成物、及び電子部品装置
JP6888870B2 (ja) 半導体封止用樹脂組成物及び半導体装置
KR101997351B1 (ko) 에폭시 수지 조성물
JPWO2019131097A1 (ja) ボールグリッドアレイパッケージ封止用エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物及び電子部品装置
JP2013067694A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP7465714B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5407767B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
WO2018150779A1 (ja) 樹脂組成物、樹脂シート及び半導体装置並びに半導体装置の製造方法
JP7002866B2 (ja) 粉粒状半導体封止用樹脂組成物及び半導体装置
JP5275697B2 (ja) 封止用エポキシ樹脂組成物およびその製造方法
JP6351927B2 (ja) 封止用樹脂組成物及び半導体装置の製造方法
JP2020139070A (ja) 封止用樹脂組成物及びその製造方法、並びに半導体装置
TWI796507B (zh) 片狀密封用樹脂組合物、及半導體裝置
JP5929977B2 (ja) 液状エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
KR100896481B1 (ko) 열전도성이 우수한 언더필용 에폭시 조성물
JP2017128657A (ja) 封止用エポキシ樹脂組成物、半導体装置及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231010

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7465714

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150