JP2016040383A - 電子部品封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電子部品装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い熱放散性能を有する両面冷却構造のパッケージにおいて、パッケージ内部での界面剥離等が生じず、デバイスとしての信頼性を向上させることのできる低収縮性に優れた電子部品封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(E)成分を含有し、下記の(D)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物全体の82〜88重量%であり、下記の(E)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物中の有機成分全体の5〜15重量%であり、かつエポキシ樹脂組成物のゲルタイムが15〜25秒である電子部品封止用エポキシ樹脂組成物である。
(A)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が100〜200g/eqであるエポキシ樹脂。
(B)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜200g/eqであるフェノール樹脂。
(C)硬化促進剤。
(D)無機質充填剤。
(E)シリコーン化合物。
【選択図】なし
【解決手段】下記の(A)〜(E)成分を含有し、下記の(D)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物全体の82〜88重量%であり、下記の(E)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物中の有機成分全体の5〜15重量%であり、かつエポキシ樹脂組成物のゲルタイムが15〜25秒である電子部品封止用エポキシ樹脂組成物である。
(A)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が100〜200g/eqであるエポキシ樹脂。
(B)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜200g/eqであるフェノール樹脂。
(C)硬化促進剤。
(D)無機質充填剤。
(E)シリコーン化合物。
【選択図】なし
Description
本発明は、低収縮性に優れた電子部品封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電子部品装置に関するものである。
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)や、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のようなパワーデバイスに、駆動回路や自己保護機能を組み込んだパワーモジュールのパッケージング形態は、従来、シリコーンゲルを用いたケースタイプのパッケージが主流であった。このようなケースタイプのパッケージは、簡便な封止方法で小さな投資金額により生産が可能であって、高い信頼性と多くの市場実績を有している。
しかしながら、構成材料が多く、パッケージの寸法が大きいことや生産性が悪く、製造コストが比較的高価なものになるという問題があった。そこで、近年では、パワーモジュールの分野においても樹脂封止によるプラスチックパッケージが注目されている。上記プラスチックパッケージの樹脂封止には、生産性および製品の信頼性に優れるという観点から、エポキシ樹脂組成物が用いられており、個別半導体パッケージの分野においては、良好な実績を収めてきた。
また、パワーデバイスは大電流を扱うため発熱が大きいことから、パワーモジュールのパッケージ自体には高い熱放散性が求められている。従来は、パッケージの片面にヒートスプレッダを有する構造が主流であったが、さらなる熱放散性能の向上のニーズから、近年では、パッケージの両面にヒートスプレッダを有する両面冷却構造の半導体装置が開発されている(特許文献1参照)。この両面冷却構造の半導体装置では、両面にヒートスプレッダを有するためパッケージが反りにくく、各部材の線膨張係数の差による応力が開放され難いという特性を備えている。従って、結果、特に電子部品を封止してなる封止樹脂(硬化体)と各構成部材との界面において剥離が生じやすいという問題がある。
一方、封止樹脂の低線膨張係数化やパッケージの反り発生の低減化の技術として、ボールグリッドアレイ(BGA)等の片面封止タイプのパッケージでは、封止樹脂のガラス転移温度を高くして線膨張係数を基板のそれに近づけることにより反りの発生を抑制することが提案されている(特許文献2参照)。または、封止材料にシリコーン化合物を添加して線膨張係数を小さくすることによりパッケージの反りの発生を低減する方法が検討されてきた(特許文献3参照)。
このように、片面封止タイプのパッケージに関しては、線膨張係数の低減により反りの発生がある程度抑制されることとなったが、上記両面冷却構造のパッケージに関しては、先に述べたように、各部材の線膨張係数の差による応力が開放され難いことから封止樹脂と各構成部材との界面において剥離が生じやすい傾向にあり、上記剥離の発生による信頼性の低下を抑制するため、両面冷却構造のパッケージにおいてはさらに高いレベルの低線膨張係数化が要望されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、各種電子部品装置、特に発熱量の大きいパワーモジュールを備えた高い熱放散性能を有する両面冷却構造のパッケージにおいて、パッケージ内部での界面剥離等が生じず、デバイスとしての信頼性を向上させることのできる低収縮性に優れた電子部品封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電子部品装置の提供をその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、下記の(A)〜(E)成分を含有する電子部品封止用エポキシ樹脂組成物であって、下記の(D)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物全体の82〜88重量%であり、下記の(E)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物中の有機成分全体の5〜15重量%であり、かつエポキシ樹脂組成物のゲルタイムが15〜25秒である電子部品封止用エポキシ樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が100〜200g/eqであるエポキシ樹脂。
(B)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜200g/eqであるフェノール樹脂。
(C)硬化促進剤。
(D)無機質充填剤。
(E)シリコーン化合物。
(A)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が100〜200g/eqであるエポキシ樹脂。
(B)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜200g/eqであるフェノール樹脂。
(C)硬化促進剤。
(D)無機質充填剤。
(E)シリコーン化合物。
そして、本発明は、上記電子部品封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、電子部品を樹脂封止してなる電子モジュールを備えた電子部品装置を第2の要旨とする。
本発明者らは、低収縮性に優れた封止材料を得るために鋭意検討を重ねた。その結果、上記特定範囲のICI粘度で、かつ特定範囲のエポキシ当量であるエポキシ樹脂〔(A)成分〕と、上記特定範囲のICI粘度で、かつ特定範囲の水酸基当量であるフェノール樹脂〔(B)成分〕とをシリコーン化合物〔(E)成分〕とともに用い、さらに無機質充填剤〔(D)成分〕の含有量を特定範囲となる高充填とし、また上記シリコーン化合物〔(E)成分〕を封止材料であるエポキシ樹脂組成物の有機成分全体の特定範囲となるように設定し、しかもエポキシ樹脂組成物のゲルタイムが短時間となるように封止材料を調製すると、低収縮性であり、両面冷却構造のパッケージであってもパッケージ内部での界面剥離等が生じず、デバイスとして高い信頼性を付与することのできる封止用エポキシ樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
このように、本発明は、特定範囲のICI粘度で、かつ特定範囲のエポキシ当量であるエポキシ樹脂〔(A)成分〕と、特定範囲のICI粘度で、かつ特定範囲の水酸基当量であるフェノール樹脂〔(B)成分〕とを、硬化促進剤〔(C)成分〕,無機質充填剤〔(D)成分〕,シリコーン化合物〔(E)成分〕とともに用い、さらに無機質充填剤〔(D)成分〕の含有量を特定範囲となる高充填とし、また上記シリコーン化合物〔(E)成分〕を封止材料であるエポキシ樹脂組成物の有機成分全体の特定範囲となるように設定し、しかもエポキシ樹脂組成物のゲルタイムが特定範囲となる電子部品封止用エポキシ樹脂組成物である。このため、封止材料が低収縮性に優れ、特に両面冷却構造のパッケージであってもパッケージ内部での界面剥離等が生じず、デバイスとして高い信頼性を付与することができる。
上記シリコーン化合物〔(E)成分〕が、特定の構造式で表されるシリコーン化合物であると、パッケージの外観およびエポキシ樹脂組成物の流動性の向上に関して、より一層効果的である。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の電子部品封止用エポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」と略すことがある)は、特定のエポキシ樹脂(A成分)と、特定のフェノール樹脂(B成分)と、硬化促進剤(C成分)と、無機質充填剤(D成分)と、シリコーン化合物(E成分)とを用いて得られるものであって、通常、粉末状もしくはこれを打錠したタブレット状になっている。
〈A:特定のエポキシ樹脂〉
上記特定のエポキシ樹脂(A成分)は、ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が100〜200g/eqであるエポキシ樹脂である。特に好ましくはICI粘度が0.02〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が150〜200g/eqである。すなわち、ICI粘度が高すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が悪くなるためにパッケージ成形時の充填性が悪化し、ICI粘度が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。また、エポキシ当量が高すぎると、エポキシ樹脂組成物硬化体の線膨張係数が大きくなり、本発明の低収縮性を備えた封止材料が得られない。そして、エポキシ当量が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。このような特定のエポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらエポキシ樹脂の中でも、耐熱性の観点から、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、特に好ましくはトリフェニルメタン型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の混合物である。
上記特定のエポキシ樹脂(A成分)は、ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が100〜200g/eqであるエポキシ樹脂である。特に好ましくはICI粘度が0.02〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が150〜200g/eqである。すなわち、ICI粘度が高すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が悪くなるためにパッケージ成形時の充填性が悪化し、ICI粘度が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。また、エポキシ当量が高すぎると、エポキシ樹脂組成物硬化体の線膨張係数が大きくなり、本発明の低収縮性を備えた封止材料が得られない。そして、エポキシ当量が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。このような特定のエポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらエポキシ樹脂の中でも、耐熱性の観点から、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、特に好ましくはトリフェニルメタン型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の混合物である。
本発明においては、上記特定のエポキシ樹脂(A成分)とともに、特定のエポキシ樹脂(A成分)以外の各種エポキシ樹脂を併用してもよいが、その場合は特定のエポキシ樹脂(A成分)がエポキシ樹脂全体の70重量%以上であることが好適である。
なお、上記ICI粘度は、例えば、つぎのようにして測定される。すなわち、150℃に設定した熱盤上に測定試料を載置し、粘度測定用のコーンを下げ、測定試料を熱盤とコーンで挟み込む。そして、上記コーンを回転させた際の粘性抵抗を測定し、これをICI粘度とする。なお、ICI粘度計は、例えば、ASTM D4287に記載されている。
〈B:特定のフェノール樹脂〉
上記特定のエポキシ樹脂(A成分)とともに用いられる特定のフェノール樹脂(B成分)は、上記エポキシ樹脂(A成分)を硬化させる作用を有するものである。そして、この特定のフェノール樹脂は、ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜200g/eqであるフェノール樹脂である。特に好ましくはICI粘度が0.05〜0.08Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜160g/eqである。すなわち、ICI粘度が高すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が悪くなるためにパッケージ成形時の充填性が悪化し、ICI粘度が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。また、水酸基当量が高すぎると、エポキシ樹脂組成物硬化体の線膨張係数が大きくなり、本発明の低収縮性を備えた封止材料が得られない。そして、水酸基当量が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。このような特定のフェノール樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらフェノール樹脂の中でも、耐熱性の観点から、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂を用いることが好ましく、特に好ましくはノボラック型フェノール樹脂である。
上記特定のエポキシ樹脂(A成分)とともに用いられる特定のフェノール樹脂(B成分)は、上記エポキシ樹脂(A成分)を硬化させる作用を有するものである。そして、この特定のフェノール樹脂は、ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜200g/eqであるフェノール樹脂である。特に好ましくはICI粘度が0.05〜0.08Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜160g/eqである。すなわち、ICI粘度が高すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が悪くなるためにパッケージ成形時の充填性が悪化し、ICI粘度が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。また、水酸基当量が高すぎると、エポキシ樹脂組成物硬化体の線膨張係数が大きくなり、本発明の低収縮性を備えた封止材料が得られない。そして、水酸基当量が低すぎると、入手困難であり現実的ではない。このような特定のフェノール樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらフェノール樹脂の中でも、耐熱性の観点から、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂を用いることが好ましく、特に好ましくはノボラック型フェノール樹脂である。
本発明においては、上記特定のフェノール樹脂(B成分)とともに、特定のフェノール樹脂(B成分)以外の各種フェノール樹脂を併用してもよいが、その場合は特定のフェノール樹脂(B成分)がフェノール樹脂全体の70重量%以上であることが好適である。
なお、上記特定のフェノール樹脂(B成分)におけるICI粘度は、前述の特定のエポキシ樹脂(A成分)と同様、例えば、つぎのようにして測定される。すなわち、150℃に設定した熱盤上に測定試料を載置し、粘度測定用のコーンを下げ、測定試料を熱盤とコーンで挟み込む。そして、上記コーンを回転させた際の粘性抵抗を測定し、これをICI粘度とする。なお、ICI粘度計は、例えば、ASTM D4287に記載されている。
上記A成分とB成分の配合割合は、B成分中のフェノール性水酸基1当量に対してA成分のエポキシ当量が0.6〜1.2となるよう設定することが、その反応性の観点から好ましい。さらに、上記反応性の観点から、より好ましくは0.7〜1.1当量である。
〈C:硬化促進剤〉
上記A成分およびB成分とともに用いられる硬化促進剤(C成分)としては、例えば、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤、ホウ素系硬化促進剤、リン−ホウ素系硬化促進剤等があげられる。具体的には、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートやトリフェニルホスフィン等の有機リン系硬化促進剤、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールやフェニルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5等の三級アミン系硬化促進剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、市場での汎用性やコストの点から、イミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤が好ましく用いられる。
上記A成分およびB成分とともに用いられる硬化促進剤(C成分)としては、例えば、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤、ホウ素系硬化促進剤、リン−ホウ素系硬化促進剤等があげられる。具体的には、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートやトリフェニルホスフィン等の有機リン系硬化促進剤、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールやフェニルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5等の三級アミン系硬化促進剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、市場での汎用性やコストの点から、イミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤が好ましく用いられる。
上記硬化促進剤(C成分)の含有量は、例えば、硬化促進剤がイミダゾール系硬化促進剤の場合、上記特定のフェノール樹脂(B成分)の添加総量に対して5〜15重量%に設定することが好ましく、より好ましくは7〜13重量%の範囲である。すなわち、硬化促進剤の含有量が少なすぎると、硬化性が悪化する傾向がみられ、逆に硬化促進剤の含有量が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下するために、パッケージ成形時の充填性が悪化する傾向がみられるからである。
〈D:無機質充填剤〉
上記A〜C成分とともに用いられる無機質充填剤(D成分)としては、例えば、石英ガラス、タルク、シリカ粉末(溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等)、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化珪素粉末等の各種粉末があげられる。これら無機質充填剤は、破砕状、球状、あるいは摩砕処理したもの等いずれのものでも使用可能である。そして、これら無機質充填剤は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化体の熱線膨張係数が低減することにより内部応力を低減することができ、その結果、封止後の基板の反りを抑制することができるという点から、上記シリカ粉末を用いることが好ましく、上記シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を用いることが、高充填性、高流動性という点から特に好ましい。上記溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末があげられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。
上記A〜C成分とともに用いられる無機質充填剤(D成分)としては、例えば、石英ガラス、タルク、シリカ粉末(溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等)、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化珪素粉末等の各種粉末があげられる。これら無機質充填剤は、破砕状、球状、あるいは摩砕処理したもの等いずれのものでも使用可能である。そして、これら無機質充填剤は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化体の熱線膨張係数が低減することにより内部応力を低減することができ、その結果、封止後の基板の反りを抑制することができるという点から、上記シリカ粉末を用いることが好ましく、上記シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を用いることが、高充填性、高流動性という点から特に好ましい。上記溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末があげられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。
また、無機質充填剤(D成分)の平均粒子径は、1〜30μmの範囲であることが好ましく、特に好ましくは2〜20μmの範囲のものである。なお、上記無機質充填剤(D成分)の平均粒子径は、例えば、母集団から任意の測定試料を取り出し、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
そして、上記無機質充填剤(D成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の82〜88重量%の範囲に設定する必要があり、特に好ましくは84〜86重量%である。すなわち、無機質充填剤(D成分)の含有量が少なすぎると、エポキシ樹脂組成物の硬化体の線膨張係数が大きくなり、低収縮性なる特性効果が得られない。一方、無機質充填剤(D成分)の含有量が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下するために、パッケージ成形時の充填性が悪化するからである。
〈E:シリコーン化合物〉
上記A〜D成分とともに用いられるシリコーン化合物(E成分)としては、パッケージの外観とエポキシ樹脂組成物の流動性の観点から、下記の一般式(1)で表されるシリコーン化合物を用いることが好ましい。
上記A〜D成分とともに用いられるシリコーン化合物(E成分)としては、パッケージの外観とエポキシ樹脂組成物の流動性の観点から、下記の一般式(1)で表されるシリコーン化合物を用いることが好ましい。
上記式(1)において、好ましくは全てのRがエポキシ基置換有機基となるシリコーン化合物である。
具体的には、市販品と入手可能なシリコーン化合物として、東レ・ダウコーニング社製のSF8421EG(エポキシ当量9000、粘度3000mm2/s)、東レ・ダウコーニング社製のFZ−3730(エポキシ当量5000、粘度2500mm2/s)、東レ・ダウコーニング社製のBY16−869(エポキシ当量7000、粘度800mm2/s)、東レ・ダウコーニング社製のBY16−870(エポキシ当量1500、粘度600mm2/s)、信越化学工業社製のX−22−4741(エポキシ当量2500、粘度350mm2/s)、信越化学工業社製のKF−1002(エポキシ当量4300、粘度4500mm2/s)、信越化学工業社製のX−22−343(エポキシ当量500〜550、粘度25mm2/s)等があげられる。上記シリコーン化合物は、工業製品または試薬として購入可能な化合物を用いてもよいし、公知の方法にて合成された化合物を用いても差し支えない。
上記シリコーン化合物(E成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物中の有機成分全体の5〜15重量%でなければならない。特に好ましくは8〜12重量%である。すなわち、シリコーン化合物(E成分)の含有量が少な過ぎると、エポキシ樹脂組成物の硬化体の線膨張係数が大きくなり、逆に多過ぎると、エポキシ樹脂組成物硬化体の強度が低下するからである。
〈各種添加剤〉
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記A〜E成分以外に、必要に応じて、上記エポキシ樹脂組成物の機能を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。例えば、接着性付与剤、静電気対策のための導電性付与剤、難燃剤、イオン捕捉剤、酸化防止剤、低応力化剤、離型剤、流動性付与剤、吸湿剤、顔料等があげられる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記A〜E成分以外に、必要に応じて、上記エポキシ樹脂組成物の機能を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。例えば、接着性付与剤、静電気対策のための導電性付与剤、難燃剤、イオン捕捉剤、酸化防止剤、低応力化剤、離型剤、流動性付与剤、吸湿剤、顔料等があげられる。
上記離型剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸カルシウム等の化合物があげられ、例えば、カルナバワックスや酸化ポリエチレン系ワックス等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記難燃剤としては、有機リン系化合物、酸化アンチモン、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記顔料には、静電除去効果を有するカーボンブラック等を用いることができる。
さらに、上記各種添加剤以外に、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の各種カップリング剤を適宜用いることができる。
〈エポキシ樹脂組成物の作製〉
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、上記A〜E成分および必要に応じて他の各種添加剤を所定の割合にて配合し、混練機にかけ加熱状態で溶融混練する。ついで、これを室温に冷却固化させた後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程により目的とするエポキシ樹脂組成物を製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、上記A〜E成分および必要に応じて他の各種添加剤を所定の割合にて配合し、混練機にかけ加熱状態で溶融混練する。ついで、これを室温に冷却固化させた後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程により目的とするエポキシ樹脂組成物を製造することができる。
このようにして得られるエポキシ樹脂組成物は、ゲルタイムが15〜25秒でなければならない。すなわち、ゲルタイムが長すぎると、エポキシ樹脂組成物の線膨張係数が大きくなり、反りの発生が大きくなる。また、ゲルタイムが短すぎると、封止時の充填性が低下するからである。このように得られるエポキシ樹脂組成物の物性の一つであるゲルタイムの範囲を設定することにより、良好な反りの発生抑制と充填性の付与が可能となる。上記エポキシ樹脂組成物のゲルタイムの調整方法の一つとして、例えば、特定のフェノール樹脂(B成分)の添加総量に対する硬化促進剤(C成分)の配合量を調整する方法や、混練条件を調整する方法等があげられる。
なお、上記ゲルタイムは、例えば、つぎのようにして測定される。すなわち、エポキシ樹脂組成物0.5gを175℃の熱板上に載置し、直径1.5mmのガラス棒で撹拌しながら、樹脂の糸引きが見られなくなるまでの時間をゲル化時間(ゲルタイム:秒)とする。
〈電子部品装置〉
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて硬化反応により得られる硬化物は、耐熱性に特に優れることから、各種電子部品、例えば、半導体封止材料以外に、プリント配線板用積層板およびプリント配線板、半導体搭載モジュール等の電子材料等に好適に用いられる。そして、上記のようにして得られるエポキシ樹脂組成物を用いての電子部品の封止方法は、特に制限するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法により行なうことができ、電子部品を樹脂封止することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて硬化反応により得られる硬化物は、耐熱性に特に優れることから、各種電子部品、例えば、半導体封止材料以外に、プリント配線板用積層板およびプリント配線板、半導体搭載モジュール等の電子材料等に好適に用いられる。そして、上記のようにして得られるエポキシ樹脂組成物を用いての電子部品の封止方法は、特に制限するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法により行なうことができ、電子部品を樹脂封止することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いてなる電子部品装置の一例として、電子部品を樹脂封止してなる電子モジュールの両面に、ヒートスプレッダを有する両面冷却構造のパッケージがあげられる。詳しくは、半導体素子等の電子部品を内部に有する電子モジュールの両面に、上記電子モジュールを挟持するように一対の絶縁部材および上記一対の絶縁部材を挟持するように各絶縁部材のさらに外周面に一対の冷却部材を備えた電子部品装置があげられる。そして、本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記電子部品を樹脂封止してなる電子モジュールの封止樹脂部分(硬化体)の形成材料(封止材料)として有用である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、エポキシ樹脂組成物の作製に先立って、下記に示す各成分を準備した。
〔エポキシ樹脂a1〕
トリフェノールメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量170g/eq、ICI粘度0.1Pa・s:日本化薬社製、EPPN−501HY)
〔エポキシ樹脂a2〕
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量198g/eq、ICI粘度0.02Pa・s:日本化薬社製、EOCN−1020)
〔エポキシ樹脂a3〕
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量284g/eq、ICI粘度0.07Pa・s:日本化薬社製、NC−3000)
トリフェノールメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量170g/eq、ICI粘度0.1Pa・s:日本化薬社製、EPPN−501HY)
〔エポキシ樹脂a2〕
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量198g/eq、ICI粘度0.02Pa・s:日本化薬社製、EOCN−1020)
〔エポキシ樹脂a3〕
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ当量284g/eq、ICI粘度0.07Pa・s:日本化薬社製、NC−3000)
〔フェノール樹脂b1〕
ノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量105g/eq、ICI粘度0.06Pa・s:明和化成社製、H−4)
〔フェノール樹脂b2〕
フェノールビフェニレン型フェノール樹脂(水酸基当量210g/eq、ICI粘度0.26Pa・s:明和化成社製、MEH−7851M)
ノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量105g/eq、ICI粘度0.06Pa・s:明和化成社製、H−4)
〔フェノール樹脂b2〕
フェノールビフェニレン型フェノール樹脂(水酸基当量210g/eq、ICI粘度0.26Pa・s:明和化成社製、MEH−7851M)
〔無機質充填剤〕
溶融球状シリカ粉末(平均粒子径20μm)
溶融球状シリカ粉末(平均粒子径20μm)
〔硬化促進剤〕
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成社製、2P4MHZ)
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成社製、2P4MHZ)
〔離型剤〕
酸化ポリエチレンワックス(酸価17:クラリアント社製、PED521)
酸化ポリエチレンワックス(酸価17:クラリアント社製、PED521)
〔シランカップリング剤〕
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−803)
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−803)
〔シリコーン化合物〕
アルキレン基含有オルガノポリシロキサン(エポキシ当量9000g/eq、粘度3000mm2/s:東レ・ダウコーニング社製、SF8421EG)
アルキレン基含有オルガノポリシロキサン(エポキシ当量9000g/eq、粘度3000mm2/s:東レ・ダウコーニング社製、SF8421EG)
〔難燃剤〕
水酸化アルミニウム(昭和電工社製、HP−360)
水酸化アルミニウム(昭和電工社製、HP−360)
〔イオン捕捉剤〕
ジルコニウム化合物(東亞合成社製、IXE−100)
ジルコニウム化合物(東亞合成社製、IXE−100)
〔顔料〕
カーボンブラック(三菱化学社製、#3030B)
カーボンブラック(三菱化学社製、#3030B)
〔実施例1〜6、比較例1〜9〕
後記の表1〜表2に示す各成分を同表に示す割合で常温にて配合し、80〜120℃に加熱したロール混練機に5分間かけて溶融混練し溶融混合物を得た。つぎに、この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕することにより目的とするエポキシ樹脂組成物を作製した。
後記の表1〜表2に示す各成分を同表に示す割合で常温にて配合し、80〜120℃に加熱したロール混練機に5分間かけて溶融混練し溶融混合物を得た。つぎに、この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕することにより目的とするエポキシ樹脂組成物を作製した。
このようにして得られた実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を用い、下記に示す方法に従って、特性を測定・評価した。これらの結果を後記の表1〜表2に併せて示す。
〔線膨張率〕
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形(175℃×2分間)によりテストピースとなる硬化物(直径80mm×厚み8mm)を作製した。上記テストピースからマイクロメーター(ミツトヨ社製、クーラントプルーフマイクロメーター)を用いて成形収縮率(X)を求め、下記の計算式に従い、成形後から室温冷却時(25℃)の線膨張率(Y)を求めた。
Y=X/(成形温度−成形収縮率の測定温度)
その結果、硬化物の成形後から室温冷却時における線膨張率(Y)を下記の基準に基づいて評価した。
○:線膨張率が25.0ppm/K未満。
×:線膨張率が25.0ppm/K以上。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形(175℃×2分間)によりテストピースとなる硬化物(直径80mm×厚み8mm)を作製した。上記テストピースからマイクロメーター(ミツトヨ社製、クーラントプルーフマイクロメーター)を用いて成形収縮率(X)を求め、下記の計算式に従い、成形後から室温冷却時(25℃)の線膨張率(Y)を求めた。
Y=X/(成形温度−成形収縮率の測定温度)
その結果、硬化物の成形後から室温冷却時における線膨張率(Y)を下記の基準に基づいて評価した。
○:線膨張率が25.0ppm/K未満。
×:線膨張率が25.0ppm/K以上。
〔ゲルタイム〕
得られたエポキシ樹脂組成物0.5gを175℃の熱板上に載置し、直径1.5mmのガラス棒で撹拌しながら、樹脂の糸引きが見られなくなるまでの時間をゲルタイム(秒)とし、このゲル化するまでの時間を測定した。その測定結果に基づき、下記の基準にて評価した。
○:ゲルタイムが15〜25秒。
×:ゲルタイムが上記範囲外。
得られたエポキシ樹脂組成物0.5gを175℃の熱板上に載置し、直径1.5mmのガラス棒で撹拌しながら、樹脂の糸引きが見られなくなるまでの時間をゲルタイム(秒)とし、このゲル化するまでの時間を測定した。その測定結果に基づき、下記の基準にて評価した。
○:ゲルタイムが15〜25秒。
×:ゲルタイムが上記範囲外。
〔スパイラルフロー〕
スパイラルフロー測定用金型を用い、175±5℃,120秒,70kg/cm2の条件でEMMI 1−66の方法に準じて、スパイラルフロー(SF)値(cm)を測定した。その測定結果に基づき、下記の基準にて評価した。
○:50cm以上。
×:50cm未満。
スパイラルフロー測定用金型を用い、175±5℃,120秒,70kg/cm2の条件でEMMI 1−66の方法に準じて、スパイラルフロー(SF)値(cm)を測定した。その測定結果に基づき、下記の基準にて評価した。
○:50cm以上。
×:50cm未満。
〔曲げ強さ〕
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形(175℃×2分間)により硬化物(JIS K6911に準拠)を作製した。そして、上記硬化物を用いオートグラフ(島津製作所社製、曲げ試験機AG−500)により曲げ強さを測定した。その測定結果に基づき、下記の基準にて評価した。
○:100MPa以上。
×:100MPa未満。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形(175℃×2分間)により硬化物(JIS K6911に準拠)を作製した。そして、上記硬化物を用いオートグラフ(島津製作所社製、曲げ試験機AG−500)により曲げ強さを測定した。その測定結果に基づき、下記の基準にて評価した。
○:100MPa以上。
×:100MPa未満。
上記結果から、全ての実施例品は、線膨張率が25.0ppm/K未満と低く、線膨張係数の低減化が図られたことがわかる。さらに、ゲルタイムも適正な範囲であり、スパイラルフロー値も50cm以上と良好な流動性を示し、曲げ強さ測定値も高く強度的にも優れたものであることは明らかである。
これに対して、無機質充填剤の含有量が所定範囲を下回るよう少ない配合量とした比較例1品、および、シリコーン化合物を配合していない比較例2品は、線膨張率が25.0ppm/K以上であり、線膨張係数の低減化を確認することができない。また、シリコーン化合物の含有量が所定範囲を上回るようシリコーン化合物を多く配合した比較例3,6品は、曲げ強さに劣る結果となった。そして、ゲルタイムが所定範囲を外れ長い値となる比較例4品は、当然ながら硬化性に問題のある封止材料であるといえる。さらに、シリコーン化合物を配合していない比較例5品、および、無機質充填剤の含有量が所定範囲を上回るよう無機質充填剤を多く配合した比較例7品は、スパイラルフロー値が短く流動性に劣るものである。そして、エポキシ当量が所定範囲を外れ上回る値のエポキシ樹脂を用いた比較例8品は、線膨張率が25.0ppm/K以上であり、線膨張係数の低減化を確認することができない。また、ICI粘度が所定範囲を外れ上回る値であり、かつ水酸基当量が所定範囲を外れ上回る値のフェノール樹脂を用いた比較例9品は、線膨張係数の低減化を確認することができず、スパイラルフロー値が短く流動性に劣るものである。
本発明の電子部品封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、大電流を扱う絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)や、MOSFET等のパワーデバイスにおける封止材料として有用である。
Claims (7)
- 下記の(A)〜(E)成分を含有する電子部品封止用エポキシ樹脂組成物であって、下記の(D)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物全体の82〜88重量%であり、下記の(E)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物中の有機成分全体の5〜15重量%であり、かつエポキシ樹脂組成物のゲルタイムが15〜25秒であることを特徴とする電子部品封止用エポキシ樹脂組成物。
(A)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、エポキシ当量が100〜200g/eqであるエポキシ樹脂。
(B)ICI粘度が0.008〜0.1Pa・sで、かつ、水酸基当量が100〜200g/eqであるフェノール樹脂。
(C)硬化促進剤。
(D)無機質充填剤。
(E)シリコーン化合物。 - 上記(A)成分が、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の混合物である請求項1または2記載の電子部品封止用エポキシ樹脂組成物。
- 上記(B)成分が、ノボラック型フェノール樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品封止用エポキシ樹脂組成物。
- 電子部品封止用エポキシ樹脂組成物が、電子部品を樹脂封止してなる電子モジュールの両面にヒートスプレッダを有する両面冷却構造の電子部品装置における電子モジュールの封止材料である請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子部品封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、電子部品を樹脂封止してなる電子モジュールを備えた電子部品装置。
- 電子部品装置が、電子モジュールの両面にヒートスプレッダを有する両面冷却構造のパッケージ形態である請求項6記載の電子部品装置。
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