JP2005154717A - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 反りが小さく、耐半田クラック性に優れた、エリア実装型半導体封止用に適したエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供すること。
【解決手段】 (A)ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂と(B)ビスフェノールA型結晶性エポキシ樹脂との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(C)ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、(D)トリアリールホスホニオフェノラート、及び(E)全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%の無機充填剤を全エポキシ樹脂組成物中に0.01〜1重量%含むことを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及び基板の片面に半導体素子が搭載されこの半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが前記エポキシ樹脂組成物を用いて封止されてなることを特徴とする半導体装置。
【解決手段】 (A)ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂と(B)ビスフェノールA型結晶性エポキシ樹脂との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(C)ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、(D)トリアリールホスホニオフェノラート、及び(E)全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%の無機充填剤を全エポキシ樹脂組成物中に0.01〜1重量%含むことを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及び基板の片面に半導体素子が搭載されこの半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが前記エポキシ樹脂組成物を用いて封止されてなることを特徴とする半導体装置。
Description
本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関するものであり、特にプリント配線板や金属リードフレームの片面に半導体素子を搭載し、その搭載面側の実質的に片面のみが樹脂封止されたエリア実装型半導体装置に用いられるものである。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高機能化の市場動向において、半導体の高集積化が年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、新規にエリア実装型半導体装置が開発され、従来構造の半導体装置から移行し始めている。エリア実装型半導体装置としては、ボールグリッドアレイ(以下、BGAという)、あるいは更に小型化を追求したチップサイズパッケージ(以下、CSPという)が代表的であるが、これらは従来のクワッドフラットパッケージ(以下、QFPという)、スモールアウトラインパッケージ(以下、SOPという)に代表される表面実装型半導体装置では限界に近づいている多ピン化・高速化への要求に対応するために開発されたものである。エリア実装型半導体装置の構造としては、ビスマレイミド・トリアジン(以下、BTという)樹脂/銅箔回路基板に代表される硬質回路基板あるいはポリイミド樹脂フィルム/銅箔回路基板に代表されるフレキシブル回路基板の片面上に半導体素子を搭載し、その素子搭載面、即ち基板の片面のみが樹脂組成物等で成形・封止されている。また基板の素子搭載面の反対面には半田ボールを2次元的に並列して形成し、半導体装置を実装する回路基板との接合を行う特徴を有している。更に素子を搭載する基板としては、上記有機回路基板以外にもリードフレーム等の金属基板を用いる構造も考案されている。
これらエリア実装型半導体装置の構造は基板の素子搭載面のみを樹脂組成物で封止し、半田ボール形成面側は封止しないという片面封止の形態をとっている。ごく希に、リードフレーム等の金属基板等では、半田ボール形成面でも数十μm程度の封止樹脂層が存在することもあるが、素子搭載面では数百μmから数mm程度の封止樹脂層が形成されるため、実質的に片面封止となっている。このため有機基板や金属基板と樹脂組成物の硬化物との間での熱膨張・熱収縮の不整合あるいは樹脂組成物の成形・硬化時の硬化収縮による影響により、これらの半導体装置では成形直後から反りが発生しやすい。また、これらの半導体装置を実装する回路基板上に半田接合を行う場合、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿により半導体装置内部に存在する水分が高温で急激に気化することによる応力で半導体装置にクラックが発生する。さらに、近年、環境問題から従来よりも高融点の無鉛半田の使用が増加しており、この半田の適用により実装温度を従来よりも約20℃高くする必要があり、実装後の半導体装置の信頼性が現状より著しく低下する問題が生じている。このようなことからエポキシ樹脂組成物のレベルアップによる半導体装置の信頼性の向上要求が加速的に強くなってきており、樹脂の低粘度化と無機充填剤の高充填化が進んでいる。
また、成形時に低粘度で高流動性を維持するために、溶融粘度の低い樹脂の使用(例えば、特許文献1参照。)や、また無機充填材の配合量を高めるために無機充填剤をシランカップリング剤で表面処理する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしこれらは種々ある要求特性のいずれかのみを満足するものが多く、実装時の耐クラック性と低粘度化が両立できる手法は未だ見出されておらず、反りが小さく、耐クラック性に優れた樹脂を用いて、更に無機充填剤の配合量を高めて信頼性を満足させ、流動性と硬化性を損なわない更なる技術が求められていた。
本発明は、反りが小さく、耐半田クラック性に優れ、特にエリア実装型半導体封止用に適したエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
本発明は、
[1] (A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂、(C)一般式(3)で表されるフェノール樹脂、(D)一般式(4)で表される硬化促進剤、及び(E)無機充填剤を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(E)成分を全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
[1] (A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂、(C)一般式(3)で表されるフェノール樹脂、(D)一般式(4)で表される硬化促進剤、及び(E)無機充填剤を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(E)成分を全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
[2] 第[1]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、
[3] 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみの封止に用いるものであって、(A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂、(C)一般式(3)で表されるフェノール樹脂、(D)一般式(4)で表される硬化促進剤、及び(E)無機充填剤を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(E)成分を全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%含むことを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[3] 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみの封止に用いるものであって、(A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂、(C)一般式(3)で表されるフェノール樹脂、(D)一般式(4)で表される硬化促進剤、及び(E)無機充填剤を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(E)成分を全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%含むことを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[4] 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが第[3]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されていることを特徴とするエリア実装型半導体装置、
である。
である。
本発明に従うと、無機充填材の高充填化と高流動性との両立が可能となり、特にエリア実装型の半導体装置においては、低そりと耐半田特性等の高信頼性との両立が可能となるという、顕著な効果が得られるものである。
本発明は、(A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂、(C)一般式(3)で表されるフェノール樹脂、(D)一般式(4)で表される硬化促進剤、及び(E)無機充填剤を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(E)成分を全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%含むことにより、反りが小さく、耐半田クラック性に優れ、特にエリア実装型半導体封止用に適したエポキシ樹脂組成物が得られるものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
以下、各成分について詳細に説明する。
本発明で用いられる一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、エポキシ基間に疎水性で剛直なビフェニレン骨格を有しており、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は吸湿率が低く、ガラス転移温度(以下、Tgという)を越えた高温域での弾性率が低く、半導体素子、有機基板、及び金属基板との密着性に優れる。また架橋密度が低い割には耐熱性が高いという特徴を有している。
一般式(1)中のnは平均値で、1〜5の正数、好ましくは1〜3の正数である。nが下限値を下回るとエポキシ樹脂組成物の硬化性が低下する可能性がある。nが上限値を越えると粘度が高くなりエポキシ樹脂組成物の流動性が低下する可能性がある。一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)としては、例えばフェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられるが、式(1)の構造であれば特に限定するものではない。
一般式(1)中のnは平均値で、1〜5の正数、好ましくは1〜3の正数である。nが下限値を下回るとエポキシ樹脂組成物の硬化性が低下する可能性がある。nが上限値を越えると粘度が高くなりエポキシ樹脂組成物の流動性が低下する可能性がある。一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)としては、例えばフェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられるが、式(1)の構造であれば特に限定するものではない。
本発明に用いられる一般式(2)で示される結晶性エポキシ樹脂は、常温では結晶性の固体であるが、融点以上では極めて低粘度の液状となり、無機充填材を高充填化できるので、これを用いたエポキシ樹脂組成物は、耐半田性に優れる特性を有する。一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられるが、式(2)の構造であれば特に限定するものではない。
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)と一般式(2)で示されるエポキシ樹脂(B)との配合の重量比[(A)/(B)]は、10/90〜90/10、好ましくは重量比[(A)/(B)]=20/80〜70/30、特に好ましくは30/70〜50/50である。重量比[(A)/(B)]が上限値を超えると充分な高流動性が得られないため好ましくない。一方、重量比[(A)/(B)]が下限値を下回るとエポキシ樹脂組成物の硬化物の低吸湿化ができず、耐半田クラック性が低下してしまうため好ましくない。また、重量比[(A)/(B)]が下限値を下回るとICパッケージの反り量が大きくなるため好ましくない。
また本発明では、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂、及び一般式(2)で示される結晶性エポキシ樹脂を用いることによる特徴を損なわない範囲で、他のエポキシ樹脂を併用してもよい。併用できるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー全般を言う。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ビフェニル骨格等を有する)、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。他のエポキシ樹脂を併用する場合の配合量としては、全エポキシ樹脂に対して、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂と一般式(2)で示されるエポキシ樹脂との合計量が、70〜100重量%であることが好ましい。一般式(1)で示されるエポキシ樹脂と一般式(2)で示されるエポキシ樹脂との合計量が下限値を下回ると、吸湿率の増大、耐クラック性の低下が起こる可能性がある。
本発明で用いられる一般式(3)で示されるフェノール樹脂は、フェノール性水酸基間に疎水性で剛直なビフェニレン骨格を有しており、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は吸湿率が低く、Tgを越えた高温域での弾性率が低く、半導体素子、有機基板、及び金属基板との密着性に優れる。また架橋密度が低い割には耐熱性が高いという特徴を有している。従って、このフェノール樹脂を用いた樹脂組成で封止された半導体装置は、耐クラック性に優れる。
一般式(3)中のnは平均値で、1〜5の正数、好ましくは1〜3の正数である。nが下限値を下回るとエポキシ樹脂組成物の硬化性が低下する可能性がある。nが上限値を越えると、粘度が高くなりエポキシ樹脂組成物の流動性が低下する可能性がある。一般式(2)で示されるフェノール樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
一般式(3)で示されるフェノール樹脂としては、例えばフェノールビフェニルアラルキル樹脂などが挙げられるが、式(3)の構造であれば特に限定するものではない。
一般式(3)中のnは平均値で、1〜5の正数、好ましくは1〜3の正数である。nが下限値を下回るとエポキシ樹脂組成物の硬化性が低下する可能性がある。nが上限値を越えると、粘度が高くなりエポキシ樹脂組成物の流動性が低下する可能性がある。一般式(2)で示されるフェノール樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
一般式(3)で示されるフェノール樹脂としては、例えばフェノールビフェニルアラルキル樹脂などが挙げられるが、式(3)の構造であれば特に限定するものではない。
本発明で用いられる一般式(3)で示されるフェノール樹脂を用いることによる特徴を損なわない範囲で他のフェノール樹脂を併用してもよい。併用する場合は、分子中にフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般で、極力低粘度のものを使用することが望ましく、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格を有する)、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。半導体封止用エポキシ樹脂組成物としての耐湿信頼性を考慮すると、イオン性不純物であるNaイオンやClイオンが極力少ない方が好ましい。他のフェノール樹脂を併用する場合の配合量としては、全フェノール樹脂に対して、一般式(3)で示されるフェノール樹脂の配合量が、70〜100重量%であることが好ましい。一般式(3)で示されるフェノール樹脂の配合量が下限値を下回ると、吸湿率の増大、半田処理後の基材との密着性や耐半田性の低下が起こる可能性がある。
全エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比については、エポキシ基数/フェノール性水酸基数=0.7〜1.5の範囲が好ましく、この範囲を外れると、樹脂組成物の硬化性の低下、或いは硬化物のガラス転移温度の低下、耐湿信頼性の低下等が生じる可能性があるので好ましくない。一般式(1)で示されるエポキシ樹脂及び一般式(2)で示されるエポキシ樹脂、一般式(3)で示されるフェノール樹脂とを組合せて用いた場合には、吸湿後の半田処理での耐クラック性、反り等の点で最も高い効果が得られる。
本発明に用いられる硬化促進剤である一般式(4)に示す化合物は、例えば第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、前記トリ芳香族置換ホスフィンと前記ジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。一般式(4)に示す化合物としては、好ましくはXが水素又はメチル基であり、かつYが水素又はヒドロキシル基であるものが好ましい。しかし、これらに限定されるものではなく、単独で用いても併用してもよい。本発明に用いる硬化促進剤の配合量は、全エポキシ樹脂組成物中に0.05〜0.3重量%が好ましく、下限値未満だと目的とする硬化性が得られず、上限値を越えると流動性が損なわれるおそれがあり好ましくない。本発明に用いられる硬化促進剤を使用すると、従来の硬化促進剤よりもICパッケージの反り量を低減することができる。
(Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基、Yは水素又はヒドロキシル基を表す。m、nは1〜3の整数。)
本発明に用いられる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。特に溶融シリカが好ましい。溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、配合量を高め、且つエポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状シリカを主に用いる方がより好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布をより広くとるよう調整することが望ましい。全無機充填材の配合量としては、成形性、信頼性のバランスから全エポキシ樹脂組成物中に80〜94重量%が好ましい。上記下限値を下回ると、成形硬化時の硬化収縮及び成形温度から室温までの熱収縮が増大するため反りが大きくなり、また吸湿率が増大するため耐半田クラック性が低下する可能性があるので好ましくない。また、上限値を越えると流動性が低下し成形性が悪くなる可能性があるので好ましくない。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。更に、必要に応じて無機充填材をカップリング剤やエポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂で予め処理して用いてもよく、処理の方法としては、溶媒を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や、直接無機充填材に添加し、混合機を用いて処理する方法等がある。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分、その他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、ニーダー等の押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。特に本発明のエポキシ樹脂組成物は、エリア実装型半導体装置用に最適である。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分、その他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、ニーダー等の押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。特に本発明のエポキシ樹脂組成物は、エリア実装型半導体装置用に最適である。
以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
エポキシ樹脂1:フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000P、エポキシ当量274、軟化点58℃) 1.47重量部
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型結晶性エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YL6810、エポキシ当量171、融点45℃) 3.41重量部
フェノール樹脂1:フェノールビフェニルアラルキル樹脂(明和化成(株)・製、MEH−7851SS、水酸基当量203、軟化点65℃) 5.12重量部
実施例1
エポキシ樹脂1:フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000P、エポキシ当量274、軟化点58℃) 1.47重量部
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型結晶性エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YL6810、エポキシ当量171、融点45℃) 3.41重量部
フェノール樹脂1:フェノールビフェニルアラルキル樹脂(明和化成(株)・製、MEH−7851SS、水酸基当量203、軟化点65℃) 5.12重量部
球状溶融シリカ(平均粒径30μm) 89.00重量部
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン 0.40重量部
カルナバワックス 0.20重量部
カーボンブラック 0.30重量部
を、常温においてミキサーで混合し、70〜120℃で2本ロールにより混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン 0.40重量部
カルナバワックス 0.20重量部
カーボンブラック 0.30重量部
を、常温においてミキサーで混合し、70〜120℃で2本ロールにより混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。単位はcm。
金線変形率:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間90秒で、352pBGA(基板は厚さ0.56mmのビスマレイミド・トリアジン樹脂/ガラスクロス基板、半導体装置のサイズは30mm×30mm、厚さ1.17mm、半導体素子のサイズ15mm×15mm、厚さ0.35mm)を成形し、175℃、2時間で後硬化した。室温まで冷却後、軟X線透視装置で観察し、金線の変形率を(流れ量)/(金線長)の比率で表した。単位は%。
パッケージ反り量:金線変形率の評価で成形した352pBGAパッケージをパッケージのゲートから対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値をパッケージ反り量とした。単位はμm。
耐半田クラック性:前記の352pBGAを成形し、175℃、2時間で後硬化してサンプルを得た。各10個のサンプルを別々に60℃、相対湿度60%の環境下で120時間と85℃、相対湿度60%の環境下で168時間処理し、その後IRリフロ−(260℃)で10秒間処理した。超音波探傷装置を用いて観察し、内部クラック及び各種界面剥離の有無を調べた。不良パッケージの個数がn個であるとき、n/10と表示する。
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。単位はcm。
金線変形率:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間90秒で、352pBGA(基板は厚さ0.56mmのビスマレイミド・トリアジン樹脂/ガラスクロス基板、半導体装置のサイズは30mm×30mm、厚さ1.17mm、半導体素子のサイズ15mm×15mm、厚さ0.35mm)を成形し、175℃、2時間で後硬化した。室温まで冷却後、軟X線透視装置で観察し、金線の変形率を(流れ量)/(金線長)の比率で表した。単位は%。
パッケージ反り量:金線変形率の評価で成形した352pBGAパッケージをパッケージのゲートから対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値をパッケージ反り量とした。単位はμm。
耐半田クラック性:前記の352pBGAを成形し、175℃、2時間で後硬化してサンプルを得た。各10個のサンプルを別々に60℃、相対湿度60%の環境下で120時間と85℃、相対湿度60%の環境下で168時間処理し、その後IRリフロ−(260℃)で10秒間処理した。超音波探傷装置を用いて観察し、内部クラック及び各種界面剥離の有無を調べた。不良パッケージの個数がn個であるとき、n/10と表示する。
実施例2〜11、比較例1〜9
表1及び表2の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を製造し、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1及び表2に示す。実施例1以外で用いた成分について、以下に示す。
エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX4000K、軟化点105℃、エポキシ当量185)
表1及び表2の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を製造し、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1及び表2に示す。実施例1以外で用いた成分について、以下に示す。
エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX4000K、軟化点105℃、エポキシ当量185)
フェノール樹脂2:式(6)で示されるナフトールアラルキル樹脂(軟化点87℃、水酸基当量210)
フェノール樹脂3:フェノールアラルキル樹脂(三井化学(株),XLC−LL,軟化点75℃、水酸基当量175)
フェノール樹脂4:フェノールノボラック樹脂(軟化点80℃、水酸基当量105)
トリフェニルホスフィン
1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7(以下、DBUと略す。)
γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン
フェノール樹脂4:フェノールノボラック樹脂(軟化点80℃、水酸基当量105)
トリフェニルホスフィン
1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7(以下、DBUと略す。)
γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン
本発明により得られる半導体封止用エポキシ樹脂を用いた半導体装置は反り量が小さく、耐半田クラック性に優れている。そのため、プリント配線板や金属リードフレームの片面に半導体素子を搭載し、その搭載面側の実質的に片面のみを樹脂封止されたいわゆるエリア実装型半導体装置に対して、本発明により得られる半導体封止用エポキシ樹脂を適用することで、その信頼性を向上させることが可能である。
Claims (4)
- (A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂、(C)一般式(3)で表されるフェノール樹脂、(D)一般式(4)で表される硬化促進剤、及び(E)無機充填剤を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(E)成分を全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
- 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみの封止に用いるものであって、(A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表される結晶性エポキシ樹脂、(C)一般式(3)で表されるフェノール樹脂、(D)一般式(4)で表される硬化促進剤、及び(E)無機充填剤を必須成分とし、(A)成分と(B)成分との重量比[(A)/(B)]が10/90〜90/10であり、(E)成分を全エポキシ樹脂組成物中に対し80〜94重量%含むことを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが請求項3記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されていることを特徴とするエリア実装型半導体装置。
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-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004107586A patent/JP2005154717A/ja active Pending
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