JP2008208420A - 熱処理方法及び熱処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】油槽室に外気が流入することを抑制する。
【解決手段】熱処理室14において被処理体2を高温の状態で処理した後、熱処理室14と油槽室102との間に設けられている搬入出口25を開口させ、搬入出口25を通じて熱処理室14から油槽室102に被処理体2を移動させる。そして、油槽室102において被処理体2を油槽103に浸漬させて油冷し、油槽103から被処理体2を取り出す。その後、油槽室搬出口111を開口させ、油槽室搬出口111を通じて油槽室102から被処理体2を搬出させる。かかる工程において、搬入出口25を開閉する際、油槽103に被処理体2を浸漬させる際、油槽室搬出口111を開閉する際に、油槽室に不活性ガスを供給するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば鋼材等の被処理体を熱処理する熱処理方法及び熱処理設備に関する。
従来、鋼材等の被処理体を熱処理する熱処理設備の一例として、複数の熱処理室(予熱室、浸炭室、拡散室、降温室等)と、油焼入れ(油冷)を行う油槽室とを備え、各熱処理室に被処理体を順番に移動させながら、予熱処理、浸炭処理、拡散処理、降温処理等を連続的に行い、その後、油槽室において被処理体を油槽に浸漬させ、油焼入れを行う連続ガス浸炭設備が知られている(特許文献1、2参照)。
このような連続ガス浸炭設備では、例えば降温室(最も下流側の熱処理室)と油槽室が互いに隣接させて設けられており、その間には、被処理体を降温室から油槽室に搬入させるための搬入出口と、搬入出口を開閉させる搬入出口扉が設けられている。油槽室の下部には、被処理体を浸漬させる油槽が設置されている。さらに、油槽室から連続ガス浸炭設備の外部に被処理体を搬出させる油槽室搬出口、油槽室搬出口を開閉させる油槽室搬出口扉が備えられている。また、油槽室の天井部には、油槽室の排気を行うエキセス(排気機構)が設けられている。
また、搬入出口扉には、降温室側と油槽室側とを連通させる連通孔が設けられている。即ち、熱処理時、降温室内は外部の圧力に対して陽圧に設定されるが、降温室内の処理ガスは、搬入出口扉によって搬入出口を閉じた状態でも、連通孔を通じて油槽室に適宜流入させることができ、さらに、エキセスを通じて排気することができる。この排気量を調節することで、降温室の圧力、ひいては、予熱室、浸炭室、拡散室等の圧力も調整できるようになっている。
ところで、油槽室内の雰囲気温度や圧力は急激に変動しやすく、エキセスにおいては、油槽室内の排気と外気の取り込みとが、交互に繰り返される。例えば、降温室内の雰囲気温度が油槽室内よりも高温になっている状態(例えば約850℃程度)で、搬入出口を開くと、降温室から油槽室に輻射熱が与えられ、油槽室内が急激に加熱される。すると、油槽室内のガスが膨張しようとし、油槽室内の圧力が急激に高くなり、連続ガス浸炭設備の外部の圧力に対して陽圧になる。そのため、油槽室内のガスがエキセスを通じて多量に排気される。その後、搬入出口を閉じると、降温室の輻射熱が油槽室に与えられなくなり、油槽室内の雰囲気温度及び圧力が急激に低下する。すると、排気は行われなくなり、外気がエキセスを通じて油槽室内に流入するようになる。次に、被処理体を油槽内のオイルに浸漬させると、被処理体が高温状態(約850℃程度)から急冷され、油槽内のオイルは急激に加熱される。すると、油槽内のオイルが沸騰してオイルベーパが発生し、油槽室内の圧力が急激に高くなる。このときも、油槽室内のガス(オイルベーパ等)がエキセスを通じて排気される。その後、油槽室内の雰囲気温度もオイルの温度も下がり、オイルベーパが発生しなくなると、油槽室内の圧力が低下し、排気が行われなくなり、外気が再びエキセスを通じて油槽室内に流入するようになる。
特開2006−152417号公報 特開2005−248226号公報
しかしながら、従来の熱処理方法にあっては、外気がエキセスを通じて油槽室に流入すると、油槽室や熱処理室の雰囲気が乱され、熱処理の性能に悪影響を及ぼすおそれがあった。例えば鋼材の連続浸炭処理では、外気中の酸素(O)が油槽室内の被処理体に接触すると、被処理体の表面が酸化して変色(酸化着色)し、被処理体の品質が低下する問題があった。また、油槽室に流入した外気が搬入出口を通じて熱処理室に侵入すると、外気中の酸素が熱処理室の浸炭性ガスと反応して、熱処理室のCP(カーボンポテンシャル)が低下する問題があった。その場合、熱処理室での処理時間を長くするか、処理ガスの供給量を多くしてCPを上げる必要があり、非効率的であった。
なお、油槽室や熱処理室に外気が流入することを抑制する方法、または、油槽室や熱処理室に流入した外気を排出させる方法としては、例えば、熱処理室内に供給する処理ガスの供給流量を増加させることにより、熱処理室から搬入出口扉の連通孔又は搬入出口を通じて油槽室に導入される処理ガスの流量、及び、油槽室からエキセスを通じて排気されるガスの流量を多くし、油槽室を処理ガスによってパージすることも考えられる。しかしながら、この場合、処理ガスの消費量が多くなり、処理ガスに要するコストが高くなる問題がある。また、例えば連続ガス浸炭設備のように、複数の熱処理室を有する熱処理設備では、各熱処理室の間の処理ガスの流れを考慮しながら、油槽室に処理ガスを流入させる必要があり、この場合、各熱処理室の熱処理雰囲気(例えば各熱処理室の組成、CP等)の制御が難しくなる問題があった。特に、各熱処理室のCPの制御に限界があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、油槽室に外気が流入することを抑制できる熱処理方法及び熱処理設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によれば、熱処理室において高温の状態で処理した被処理体を油槽室において油冷する熱処理方法であって、前記熱処理室において被処理体を高温の状態で処理し、前記熱処理室と前記油槽室との間に設けられている被処理体の搬入出口を開口させ、前記搬入出口を通じて前記熱処理室から前記油槽室に被処理体を移動させ、前記油槽室において被処理体を油槽に浸漬させて油冷し、前記油槽から被処理体を取り出し、油槽室搬出口を開口させ、前記油槽室搬出口を通じて前記油槽室から被処理体を搬出させ、前記搬入出口を開閉する際、前記油槽に被処理体を浸漬させる際、及び/又は、前記油槽室搬出口を開閉する際に、前記油槽室に不活性ガスを供給することを特徴とする、熱処理方法が提供される。
この熱処理方法にあっては、前記油槽室内の圧力が前記油槽室の外部の圧力に対して陰圧にならないように、前記油槽室に不活性ガスを供給しても良い。
また、前記熱処理室の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高温にした状態、かつ、前記油槽室搬出口を閉塞した状態で、前記搬入出口を開閉するようにしても良い。例えば、前記熱処理室から前記油槽室に被処理体を移動させた後、前記搬入出口の開度を次第に小さくする間に、又は、前記搬入出口を閉塞してから前記油槽に被処理体を浸漬させる前に、前記不活性ガスの供給を開始し、その後、前記油槽に被処理体を浸漬させてから、前記不活性ガスの供給を停止させ、前記油槽から被処理体を取り出すようにしても良い。また、前記搬入出口及び前記油槽室搬出口を閉塞した状態で、前記油槽に被処理体を浸漬させても良い。
前記油槽室搬出口の外側において可燃ガスを燃焼させ、前記油槽室搬出口の外側の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高温にした状態、かつ、前記搬入出口を閉塞した状態で、前記油槽室搬出口を開閉するようにしても良い。また、前記油槽室搬出口を通じて前記油槽室から被処理体を搬出させた後、前記油槽室搬出口の開度を次第に小さくする間に、前記不活性ガスの供給を開始し、前記油槽室搬出口を閉塞してから、前記不活性ガスの供給を停止させても良い。
さらに、前記油槽室の排気を行う排気機構を開閉するようにしても良い。例えば、前記排気機構を開き、前記熱処理室の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高温にした状態で、前記搬入出口を開口し、その後、前記排気機構を閉じた状態で、前記搬入出口の開度を次第に小さくするようにしても良い。また、前記排気機構を閉じた状態で、前記油槽に被処理体を浸漬させ、前記油槽に被処理体を浸漬させた後、前記排気機構を開き、その後、前記油槽から被処理体を取り出すようにしても良い。さらに、前記排気機構を開き、前記油槽室搬出口の外側の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高くした状態で、前記油槽室搬出口を開口し、その後、前記排気機構を閉じた状態で、前記油槽室搬出口の開度を次第に小さくしても良い。
前記不活性ガスは窒素ガスであっても良い。前記熱処理室は、被処理体のガス浸炭を行う熱処理炉の降温室であっても良い。
さらに、本発明によれば、被処理体を高温の状態で処理する熱処理室と、前記熱処理室において処理された被処理体を油冷する油槽室とを備える熱処理設備であって、被処理体を前記熱処理室から前記油槽室に搬入する搬入出口と、前記搬入出口を開閉する搬入出口扉と、被処理体を前記油槽室から搬出させる油槽室搬出口と、前記油槽室搬出口を開閉する油槽室搬出口扉とを備え、前記油槽室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給路を設け、前記不活性ガス供給路は、前記搬入出口を開閉する際、前記油槽室において被処理体を油槽に浸漬させる際、及び/又は、前記油槽室搬出口を開閉する際に、前記油槽室に不活性ガスを供給することを特徴とする、熱処理設備が提供される。
この熱処理設備においては、前記油槽室搬出口の外側に、可燃ガスを噴射するバーナを設けても良い。また、前記油槽室の排気を行う排気機構を備え、前記排気機構を開閉可能に構成しても良い。
前記不活性ガスは窒素ガスであっても良い。前記熱処理室は、被処理体のガス浸炭を行う熱処理炉の降温室であっても良い。
本発明によれば、油槽室に不活性ガスを供給することで、油槽室に外気が流入することを防止でき、油槽室や熱処理室の雰囲気が外気によって乱されること、熱処理に悪影響が生じることを防止できる。例えば鋼材の連続浸炭処理においては、外気中の酸素によって油槽室内の被処理体が酸化着色することを防止できる。さらに、外気中の酸素が熱処理室の浸炭性ガスと反応すること、即ち、熱処理室のCPが低下することを防止できる。
また、熱処理室内に供給する処理ガスの供給流量(即ち、熱処理室内から搬入出口扉の連通孔又は搬入出口を通じて油槽室に供給される処理ガスの流量)を増加させなくても、油槽室に外気が流入することを防止できる。従って、処理ガスの消費量を抑制し、処理ガスに要するコストの低減を図ることができる。
以下、本発明にかかる実施形態を、熱処理設備としての連続ガス浸炭設備1に基づいて、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、連続ガス浸炭設備1は、鋼材品である被処理体2をX方向(略水平方向)に沿った搬送方向Dに搬送しながら被処理体2を高温の状態で処理する(予熱処理、浸炭処理、拡散処理、降温処理からなるガス浸炭を行う)熱処理炉3と、被処理体2の油冷(油焼入れ処理)を行う油冷部4とを備えている。
熱処理炉3の炉体5内には、複数の熱処理室として、被処理体2の予熱処理(昇温)を行う予熱室11、浸炭処理を行う浸炭室12、浸炭処理後の拡散処理を行う拡散室13、拡散処理後の降温処理を行う降温室14が、入口側から出口側に向かう搬送方向Dにおいてこの順に並べて設けられている。炉体5の入口側には、被処理体2を連続ガス浸炭設備1の外部から炉体5内(予熱室11)に搬入するための搬入口21、及び、搬入口21を開閉する搬入口扉22が設けられている。炉体5の出口側には、被処理体2を炉体5内(降温室14)から搬出して油冷部4(後述する油槽室102)に搬入するための搬入出口25、及び、搬入出口25を開閉する搬入出口扉26が設けられている。
炉体5の内部において、予熱室11と浸炭室12の間、浸炭室12と拡散室13の間、拡散室13と降温室14の間には、壁体31、32、33(仕切壁)がそれぞれ備えられている。即ち、炉体5の内部は3つの壁体31、32、33によって4つの熱処理室に仕切られている。各壁体31、32、33には、被処理体2をX方向に通過させる通過口41、42、43がそれぞれ開口されている。各通過口41、42、43は、開閉扉51、52、53によってそれぞれ開閉される。炉体5の下部には、被処理体2を搬送する搬送機構として、複数のローラ55aを備えたローラコンベア55が設けられている。
搬入出口25は、降温室14と油冷部4(後述する油槽室102)との間に設けられている。搬入出口扉26は、図示の例では搬入出口25を降温室14の外側(油槽室102側)から閉塞するように設けられている。また、搬入出口25を閉塞する閉塞位置と、閉塞位置から上昇して搬入出口25を開口させる開口位置との間で、Z方向(鉛直方向)に昇降移動するようになっている。また、搬入出口扉26には、降温室14側と油冷部4側(後述する油槽室102)とを連通させる連通孔26aが設けられている。
さらに、熱処理炉3には、エンリッチガスとして例えば都市ガスなどの炭化水素系のガス(C)を供給するエンリッチガス供給路71、変成ガスとしてのRXガス(例えばCO、CO、H、N等を含有するガス)を供給するRXガス供給路72、空気を供給する空気供給路73、窒素ガス(N)を供給する窒素ガス供給路74が接続されている。
エンリッチガス供給路71は、浸炭室12にエンリッチガスを供給する供給流路71a、拡散室13にエンリッチガスを供給する供給流路71b、降温室14にエンリッチガスを供給する供給流路71cを備えている。RXガス供給路72は、予熱室11にRXガスを供給する供給流路72a、浸炭室12にRXガスを供給する供給流路72b、拡散室13にRXガスを供給する供給流路72c、降温室14にRXガスを供給する供給流路72dを備えている。空気供給路73は、予熱室11に空気を供給する供給流路73a、浸炭室12に空気を供給する供給流路73b、降温室14に空気を供給する供給流路73dを備えている。窒素ガス供給路74は、予熱室11に窒素ガスを供給する供給流路74a、浸炭室12に窒素ガスを供給する供給流路74b、降温室14に窒素ガスを供給する供給流路74cを備えている。
また、熱処理炉3には、炉体5内の排気を行うエキセス81(入口側排気機構)が設けられている。エキセス81は、例えば予熱室11の天井部に設けられており、予熱室11内のガスを連続ガス浸炭設備1の外部に排出するようになっている。なお、このエキセス81は、例えば予熱室11が外部の圧力に対して陰圧になった場合等には、予熱室11に対する外気(連続ガス浸炭設備1の外部の雰囲気)の取り入れを行う外気取り入れ路として機能することも可能である。即ち、エキセス81は、予熱室11の排気及び予熱室11に対する外気の取り入れを行うガス流路として機能することが可能である。なお、エキセス81の開度、即ち、予熱室11の排ガスの排気量又は外気の流入量は、調節可能にしても良い。
さらに、熱処理炉3には、炉体5内の雰囲気を攪拌する攪拌機構85(ファン)が、予熱室11、浸炭室12、拡散室13、降温室14の天井部にそれぞれ設けられている。また、図示はしないが、炉体5内の雰囲気を加熱するヒータが、予熱室11、浸炭室12、拡散室13、降温室14にそれぞれ設けられている。
油冷部4は、油冷部筐体101の内部に油槽室102(冷却室)が形成された構成になっており、油槽室102の下部には、オイル(冷却液)を貯留する油槽103が設けられている。また、油冷部4には、被処理体2を油槽室102内で搬送方向Dに搬送、及び、油槽103の上方と油槽103との間でZ方向に昇降移動させる搬送昇降機105(エレベータ)が設けられている。
油冷部筐体101の出口側には、被処理体2を油槽室102から連続ガス浸炭設備1の外部に搬出させる油槽室搬出口111と、油槽室搬出口111を開閉する油槽室搬出口扉112が設けられている。油槽室搬出口扉112は、図示の例では油槽室搬出口111を油槽室102の外側から閉塞するように設けられている。また、油槽室搬出口111を閉塞する閉塞位置と、閉塞位置から上昇して油槽室搬出口111を開口させる開口位置との間で、Z方向に昇降移動するようになっている。
さらに、油槽室搬出口111の外側(油槽室搬出口扉112の外側)には、外気に対して可燃ガス(炭化水素系のガス、C)を噴射するバーナ117(搬出部用バーナ)が設けられている。バーナ117は、図示の例では油槽室搬出口111の下縁部近傍に設けられている。即ち、複数の噴射口を油槽室搬出口111の下縁部に沿って並べるように設けられている。また、上方に向かって可燃ガスを噴射するように指向している。かかる構成により、油槽室搬出口111を通じて油槽室102に侵入しようとする外気に対して、可燃ガスを噴射し、外気中の酸素(O)を可燃ガスの燃焼に消費させるようになっている。なお、バーナ117としては、例えばいわゆるカーテンバーナを用いても良い。
また、油冷部4には、前述したRXガス供給路72と、窒素ガス供給路74が接続されている。即ち、油槽室102にRXガスを供給する供給流路72eと、油槽室102に不活性ガス(低酸素濃度ガス)としての窒素ガスを供給する不活性ガス供給路としての供給流路74eが設けられている。供給流路72eには、供給流路72eを開閉する開閉弁115が介設されている。供給流路74eには、供給流路74eを開閉する開閉弁116が介設されている。
さらに、油冷部4には、油槽室102の排気を行う排気機構としてのエキセス120(出口側排気機構)が設けられている。エキセス120は、例えば油槽室102の天井部に設けられており、油槽室102内のガスを連続ガス浸炭設備1の外部に排出するようになっている。なお、このエキセス120は、例えば油槽室102が外部の圧力に対して陰圧になった場合等には、油槽室102に対する外気の取り入れを行う外気取り入れ路として機能することも可能である。即ち、エキセス120は、油槽室102の排気及び油槽室102に対する外気の取り入れを行うガス流路として機能することも可能である。なお、エキセス120の開度、即ち、油槽室102の排ガスの排気量又は外気の流入量は、調節可能にしても良い。
次に、以上のように構成された連続ガス浸炭設備1を用いた被処理体2の熱処理方法について説明する。
先ず、被処理体2が搬入される前の連続ガス浸炭設備1において、予熱室11、浸炭室12、拡散室13、降温室14、油槽室102内の雰囲気(雰囲気温度、圧力、組成、CP(カーボンポテンシャル)等)が、それぞれ所定の処理条件に調節される。例えば、予熱室11の温度は約930℃程度、浸炭室12の温度は約930℃〜950℃程度、拡散室13の温度は約930℃〜950℃程度、降温室14の温度は約850℃程度に調節される。また、予熱室11のCP値は約0.8%程度、浸炭室12のCP値は約1.2%程度、拡散室13のCP値は約0.8%程度、降温室14のCP値は約0.8%程度に調節される。なお、CPとは、熱処理雰囲気の浸炭能力を示す値であり、熱処理雰囲気中のCO、Oの分圧(PCO/PO2 1/2)で表される。
予熱室11、浸炭室12、拡散室13、降温室14、油槽室102の雰囲気の調節は、図示しないヒータの発熱量、エンリッチガス供給路71によるエンリッチガスの供給流量、RXガス供給路72によるRXガスの供給流量、空気供給路73による空気の供給流量、窒素ガス供給路74による窒素ガスの供給流量、熱処理炉3のエキセス81による排気量、油冷部4のエキセス120による排気量等がそれぞれ調整されることにより行われる。
また、熱処理炉3の搬入口21、通過口41、42、43、搬入出口25、油冷部4の油槽室搬出口111は、搬入口扉22、開閉扉51、52、53、搬入出口扉26、油槽室搬出口扉112によってそれぞれ閉じられている。
さらに、連続ガス浸炭設備1内のガスは、例えば図2に示すように、降温室14側から入口側に向かって移動することができる。即ち、通過口41、42、43は、完全には密閉されておらず、例えば開閉扉51、52、53の上方等には、炉体5内のガスが通過可能な隙間が形成されており、炉体5内のガスを、降温室14から開閉扉53、52、51の上方を通じて拡散室13、浸炭室12、予熱室11の順に流し、予熱室11からエキセス81によって連続ガス浸炭設備1の外部に排気することができる。このように、炉体5内のガスが拡散室13側から浸炭室12側に向かって流れるようにすると、浸炭室12のCP値を拡散室13等のCP値に対して高い値に維持しやすくなる。また、降温室14と油槽室102は、連通孔26aを通じて互いに連通しているので、降温室14内の処理ガス(エンリッチガス、RXガス等)を油槽室102に流入させ、油槽室102からエキセス120によって連続ガス浸炭設備1の外部に排気することもできる。こうして、連続ガス浸炭設備1内には、降温室14から予熱室11側(エキセス81)に向かうガスの流れと、降温室14から油槽室102(エキセス120)に向かうガスの流れが形成され、これにより、各熱処理室の熱処理雰囲気が適宜調節される。
以上のように、連続ガス浸炭設備1内の雰囲気が所定の処理条件に調節された状態において、熱処理炉3の搬入口21が開かれ、被処理体2が搬入口21を通じて予熱室11に搬入され、搬入口21が閉じられる。なお、搬入口21を開閉させる際、炉体5の内部(予熱室11)には、連続ガス浸炭設備1の外部の雰囲気(外気)が流入してしまうが、上記のように通過口41、42、43を開閉扉51、52、53によって閉塞した状態にしておくと、外気が予熱室11から通過口41、42、43を通じて浸炭室12、拡散室13、降温室14に流入することを防止できる。即ち、外気中の酸素(O)が浸炭性ガスと反応してCPが低下することを防止でき、浸炭室12、拡散室13、降温室14の熱処理雰囲気を好適に維持することができる。
熱処理炉3に搬入された被処理体2は、ローラコンベア55によって、予熱室11、浸炭室12、拡散室13、降温室14に順次搬送され、高温の状態で処理される。即ち、予熱室11における予熱処理、浸炭室12における浸炭処理、拡散室13における拡散処理、降温室14における降温処理が順次施される。
なお、被処理体2を予熱室11から浸炭室12に移動させた後は、他の被処理体2を搬入口21から予熱室11に搬入し、続けて処理することができる。即ち、熱処理炉3では、複数の被処理体2を並行して連続的に処理することができる。
降温室14における降温処理が終了すると、油冷部4における処理が行われる。図3は、油冷部4において行われる工程を示している。図4〜図9は、油冷部4の状態を順番に示している。
先ず、搬入出口扉26が搬入出口25から離隔させられ、搬入出口25が開口され、油槽室102が降温室14に対して連通させられる(図4参照)。そして、被処理体2が搬入出口25を通じて降温室14から油槽室102に移動させられ、搬送昇降機105上に受け渡される。
なお、油冷部4においては、搬入出口25を開く前に、油槽室搬出口111を油槽室搬出口扉112によって閉じた状態で、窒素ガス供給路74(供給流路74e)から油槽室102内に窒素ガスを供給して、油槽室102を窒素ガスによってパージし、油槽室102から酸素(O)を排出するようにしても良い。即ち、油槽室102を実質的に無酸素状態にしても良い。そうすれば、油槽室102に残留した外気中の酸素によって被処理体2が酸化着色すること、また、降温室14に酸素が流入してCPが低下することを防止できる。
このように、被処理体2を油槽室102に搬入する際に搬入出口25が開口されるとき、降温室14内の雰囲気温度は、油槽室102内の雰囲気温度よりも高温になっている。即ち、降温室14と油槽室102の温度差が大きい状態になっている。かかる状態で、搬入出口25が開口されると、降温室14の輻射熱が搬入出口25を通じて油槽室102に与えられ、油槽室102内のガスが急激に加熱され、膨張しようとする。また、搬入出口25が開閉される際、油槽室搬出口111は閉塞された状態になっているため、油槽室102内のガスは、油槽室搬出口111を通じて油槽室102の外部に逃げることはできない。そのため、油槽室102内の圧力が、搬入出口25が開口される前の圧力よりも急激に上昇し、連続ガス浸炭設備1の外部の圧力に対して陽圧になる。一方、エキセス120は開かれたままであり、油槽室102内のガスは、実質的にエキセス120を通じてのみ、外部に逃げることができる。従って、エキセス120の排気により、油槽室102内の圧力が低減される。これにより、降温室14に油槽室102内のガスが流入(逆流)することを防止できる。
油槽室102に被処理体2が搬入されると、搬入出口25が搬入出口扉26によって閉塞される(図5参照)。また、搬入出口25が閉塞される際は、窒素ガス供給路74(供給流路74e)から油槽室102内に窒素ガスを供給することが好ましい。これにより、油槽室102の圧力が急激に低下することを防止できる。油槽室102内のガス(窒素ガス、処理ガス等)は、エキセス120を通じて外部に排ガスとして排気される。
即ち、搬入出口25が搬入出口扉26によって閉塞されると、降温室14の輻射熱が搬入出口扉26によって遮られ、油槽室102に与えられなくなり、油槽室102内の雰囲気温度が急激に低下する。そのため、油槽室102内のガスが収縮しようとし、油槽室102内の圧力が、搬入出口25が開口されていたときの圧力に対して急激に低下し、連続ガス浸炭設備1の外部の圧力に対して陰圧になるおそれがある。この場合、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に多量に吸い込まれるおそれがある。しかしながら、搬入出口25が開閉される際、油槽室102内に窒素ガスを供給することにより、油槽室102内の圧力が急激に低下することを防止でき、油槽室102が連続ガス浸炭設備1の外部の圧力に対して陰圧になること、即ち、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを抑制できる。これにより、油槽室102を実質的に無酸素状態に維持できる。
なお、搬入出口25を開閉する際の油槽室102に対する窒素ガスの供給は、例えば、搬入出口25の閉塞が開始されてから、搬入出口25が閉塞されるまでの間(即ち、搬入出口扉26が開口位置から下降し始めてから閉塞位置に配置されるまでの間、搬入出口25の開度が次第に小さくなる間)に開始しても良く、その後、搬入出口扉26が閉塞位置に配置され、搬入出口25が搬入出口扉26によって閉塞されてからも、油槽室102に対する窒素ガスの供給を継続しても良く、さらに、後述するように、被処理体2が油槽103に完全に浸漬させられた後、被処理体2が油槽103から取り出される前に、油槽室102に対する窒素ガスの供給を停止させても良い(図3参照)。そうすれば、搬入出口25の開度が小さくなる間(降温室14から油槽室102に与えられる熱量が減少していく間)においても、また、後述するように、被処理体2が油槽103に浸漬させられている間においても、油槽室102内の圧力が低下すること、油槽室102が陰圧になることを抑制できる。従って、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを、より確実に防止できる。
また、油槽室102に対する窒素ガスの供給を行っている間でも、降温室14の雰囲気を維持するため、降温室14から油槽室102に処理ガスが流れるようにすることが好ましい。即ち、油槽室102に対する窒素ガスの供給流量は、油槽室102のガスが降温室14に逆流することを抑制でき、かつ、油槽室102に外気が流入することを抑制できる程度にすると良い。
こうして、搬入出口25が搬入出口扉26によって閉塞された後、被処理体2は、油槽室102において搬送昇降機105の作動によって下降させられ、油槽103に貯留されているオイルに浸漬させられる(図6参照)。これにより、被処理体2が油冷される。即ち、降温室14において約850℃程度(オーステナイト化温度以上)の高温の状態で処理された被処理体2が、オイルによって冷却されることにより、焼入れが施される。なお、被処理体2がオイルに浸漬される際も、窒素ガス供給路74(供給流路74e)から油槽室102内に窒素ガスを供給することが好ましい。これにより、油槽室102の圧力が急激に低下することを防止できる。油槽室102内のガスは、エキセス120を通じて外部に排気される。
油槽103のオイルに被処理体2が浸漬させられると、被処理体2は高温状態(約850℃程度)から急冷され、油槽103内のオイルは急激に加熱され、沸騰する。そのため、被処理体2がオイルに浸漬させられた直後は、油槽103からオイルベーパが多量に発生する。一方、被処理体2がオイルに浸漬させられる際、搬入出口25と油槽室搬出口111はそれぞれ閉塞されているため、油槽室102内のガス(窒素ガス、処理ガス、オイルベーパ等)は、搬入出口25や油槽室搬出口111を通じて油槽室102の外部に逃げることはできない。そのため、油槽室102内の圧力が、被処理体2がオイルに浸漬させられる前の圧力に対して急激に上昇し、外部の圧力に対して陽圧になる。また、エキセス120は開かれたままであり、油槽室102内のガスは、実質的にエキセス120を通じてのみ、外部に逃げることができる。従って、エキセス120の排気により、油槽室102内の圧力が低減される。
オイルベーパが発生し始めてから暫くすると、油槽室102内の温度も油槽103のオイルの温度も低下し、オイルベーパの発生量が減少する(図7参照)。この場合、オイルベーパが多量に発生していたとき(被処理体2がオイルに浸漬させられた直後)と比較して、油槽室102内の圧力が大きく低下し、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれるおそれがある。しかしながら、窒素ガス供給路74から油槽室102内に窒素ガスが供給されることにより、油槽室102内の圧力が低下することを抑制できる。即ち、油槽室102が連続ガス浸炭設備1の外部の圧力に対して陰圧になること、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを防止でき、油槽室102を実質的に無酸素状態に維持できる。
なお、油槽室102に対する窒素ガスの供給は、前述したように、搬入出口25の開度を次第に小さくする間から継続して行っても良く、被処理体2がオイルに浸漬している間(オイルベーパの発生量が減少していく間)も、油槽室102に対する窒素ガスの供給を継続し、被処理体2がオイルから取り出される前(搬送昇降機105及び被処理体2が上昇させられる前)に、停止させても良い。そうすれば、オイルベーパの発生量が減少する間、油槽室102内の圧力が低下することを確実に抑制できる。即ち、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを、確実に防止できる。
こうして、油槽103のオイルに浸漬されることにより、被処理体2が油焼入れ処理された後、搬送昇降機105の作動により、被処理体2が引き上げられ、油槽103から取り出される(図8参照)。一方、油槽室搬出口111の外側近傍においては、バーナ117から可燃ガスが噴射され、可燃ガスが燃焼させられる。即ち、油槽室搬出口111の外側の雰囲気温度は、油槽室102内の雰囲気温度よりも高温となる。かかる状態で、油槽室搬出口扉112が油槽室搬出口111から離隔させられ、油槽室搬出口111が開口される。そして、被処理体2が油槽室搬出口111を通じて油槽室102から搬出される。
ここで、油槽室搬出口111が開口されると、外気が油槽室搬出口111を通じて油槽室102に侵入できる状態になるが、油槽室搬出口111の近傍においては、外気中の酸素(O)がバーナ117から噴射された可燃ガス(C)の燃焼に消費させられ、二酸化炭素(CO)と水蒸気(HO)が生成される。即ち、被処理体2を酸化させるおそれがある活性状態の酸素が低減され、被処理体2を酸化させるおそれがない不活性の状態(二酸化炭素と水蒸気の状態)にされる。つまり、油槽室搬出口111が開かれて外気が油槽室102に侵入したとしても、その外気は、活性状態の酸素が低減された状態になっている。従って、油槽室102内の酸素(O)濃度が上昇することを抑制し、油槽室102内を実質的に無酸素状態に維持できる。
また、油槽室搬出口111が開かれると、バーナ117の可燃ガスの燃焼による輻射熱が油槽室102に与えられ、油槽室102内のガスが急激に加熱され、膨張しようとする。一方、油槽室搬出口111が開閉される際、搬入出口25は閉塞された状態になっているため、油槽室102内のガスは、搬入出口25を通じて降温室14側に逃げることができない。そのため、油槽室102内の圧力は、油槽室搬出口111が開口される前の圧力に対して急激に上昇し、外部の圧力に対して陽圧になる。一方、エキセス120は開かれたままであり、油槽室102内のガスは、エキセス120を通じて外部に逃げることができる。従って、エキセス120の排気により、油槽室102内の圧力が低減される。
油槽室102から被処理体2が搬出されると、油槽室搬出口111が油槽室搬出口扉112によって閉塞される(図9参照)。また、油槽室搬出口111が閉塞される際は、窒素ガス供給路74(供給流路74e)から油槽室102内に窒素ガスを供給することが好ましい。これにより、油槽室102の圧力が急激に低下することを防止できる。油槽室102内のガス(窒素ガス、処理ガス等)は、エキセス120を通じて外部に排気される。
即ち、油槽室搬出口111が油槽室搬出口扉112によって閉塞されると、バーナ117の熱が油槽室搬出口扉112によって遮られ、油槽室102に与えられなくなり、油槽室102内の温度が急激に低下する。そのため、油槽室102内のガスが収縮しようとし、油槽室102内の圧力は、油槽室搬出口111が開口されていたときの圧力に対して急激に低下するおそれがある。この場合、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に多量に吸い込まれるおそれがある。しかしながら、油槽室搬出口111が開閉される際、油槽室102内に窒素ガスを供給することにより、油槽室102内の圧力が急激に低下することを防止でき、油槽室102が連続ガス浸炭設備1の外部の圧力に対して陰圧になること、即ち、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを抑制できる。これにより、油槽室102を実質的に無酸素状態に維持できる。
なお、油槽室搬出口111を開閉する際の油槽室102に対する窒素ガスの供給は、例えば、油槽室搬出口111の閉塞が開始されてから、油槽室搬出口111が閉塞されるまでの間(即ち、油槽室搬出口扉112が開口位置から下降し始めてから閉塞位置に配置されるまでの間、油槽室搬出口111の開度が次第に小さくなる間)に開始しても良く、その後、油槽室搬出口扉112が閉塞位置に配置され、油槽室搬出口111が閉塞されてからも、油槽室102に対する窒素ガスの供給を継続し、油槽室搬出口111が閉塞されてから暫くしたら停止させても良い。そうすれば、油槽室搬出口111の開度が小さくなる間(バーナ117から油槽室102に与えられる熱量が減少していく間)も、油槽室102内の圧力が低下すること、油槽室102が陰圧になることを抑制できる。従って、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを、より確実に防止できる。
ちなみに、被処理体2が搬出された後の油槽室102には、降温室14で処理された次の被処理体2(2’)を搬入することができる。このとき、上述したように、油槽室102は実質的に無酸素状態にされているので、搬入出口25を開口させても、降温室14に酸素が流入することを防止できる。即ち、降温室14のCPが低下すること、及び、被処理体2’が酸化着色することを防止できる。
以上説明したように、かかる連続ガス浸炭設備1を用いた熱処理方法によれば、窒素ガス供給路74(供給流路74e)から油槽室102に窒素ガスを供給することによって、油槽室102内の圧力が外部の圧力に対して陰圧にならないように、即ち、外部の圧力に対して等圧以上になるようにすることができる。これにより、油槽室102に外気が流入することを防止でき、油槽室102や炉体5内(降温室14等)の雰囲気が外気によって乱されること、被処理体2の熱処理に悪影響が生じることを防止できる。
例えば、外気中の酸素(O)が油槽室102内に流入することを防止し、油槽室102を実質的に無酸素状態に維持できる。これにより、被処理体2に酸素が接触すること、即ち、被処理体2が酸化によって変色(酸化着色)することを防止できる。従って、被処理体2の品質を向上させることができる。さらに、酸素が油槽室102から降温室14に侵入して浸炭性ガスと反応すること、即ち、降温室14等のCPが低下することを防止でき、ひいては、予熱室11、浸炭室12、拡散室13のCPが低下することを防止できる。従って、熱処理炉3の処理性能が低下することを防止でき、熱処理炉3における処理時間の短縮、熱処理炉3における処理ガスの供給量の削減を図ることができる。
特に、降温室14内に供給する処理ガス(エンリッチガス、RXガス等)の供給流量(即ち、降温室14から搬入出口扉26の連通孔26a又は搬入出口25を通じて油槽室102に供給される処理ガスの流量)を増加させなくても、窒素ガス供給路74(供給流路74e)から油槽室102に窒素ガスを供給することによって、油槽室102に外気が流入することを防止できる。従って、処理ガスの消費量を抑制し、処理ガスに要するコストの低減を図ることができる。
さらに、油槽室102内の無酸素状態を維持するために降温室14から油槽室102に流すガスの流量を考慮することなく、熱処理炉3内のガスの流れを形成することができる。これにより、炉内5の雰囲気制御を自由に行い易くなる。例えば、降温室14から油槽室102に流すガスの流量(後流しの流量)を従来よりも減少させ、降温室14や均熱室13から浸炭室12側に流すガスの流量(前流しの流量)を、従来よりも増加させることが可能になる。換言すれば、後流しの流量に対する前流しの流量の比率を向上させることができる。これにより、例えば、浸炭室12のCPを従来の1.0%程度から1.2%程度にまで高め、拡散室13のCPを従来の1.0%程度から0.8%程度にまで低くすること等が、容易に実現できるようになる。即ち、浸炭雰囲気のCPと拡散雰囲気のCPとの差を大きくすることが容易になる。この場合、浸炭処理の効率と拡散処理の効率を共に向上させ、連続ガス浸炭処理設備1における処理全体の処理時間の短縮を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上の実施形態では、搬入出口25の開度を次第に小さくする間から被処理体2が油槽103に完全に浸漬させられた後まで、及び、油槽室搬出口111を開閉する際の2つの場合において、油槽室102に対する窒素ガスの供給を行うとしたが、油槽室102に窒素ガスを供給するタイミングは、これらには限定されない。また、窒素ガスの供給開始と供給停止のタイミングも、以上の実施形態で例示したものには限定されない。要するに、油槽室102の圧力が外部に対して陰圧にならないように、窒素ガスの供給を制御すれば良い。即ち、少なくとも油槽室102において外気の吸い込みが起こるおそれがあるときに、窒素ガスを供給すれば良い。
例えば図10に示すように、搬入出口25を開閉する際の油槽室102に対する窒素ガスの供給は、搬入出口25の開度を小さくする間(搬入出口扉26が開口位置から閉塞位置に移動するまでの間)ではなく、搬入出口扉26の閉塞が開始される前(即ち、搬入出口扉26が開口位置から下降する前)に開始しても良い。油槽室搬出口111を開閉する際の油槽室102に対する窒素ガスの供給は、油槽室搬出口111の開度を小さくする間(油槽室搬出口扉112が開口位置から閉塞位置に移動するまでの間)ではなく、油槽室搬出口111の閉塞が開始される前(即ち、油槽室搬出口扉112が開口位置から下降する前)に開始しても良い。これらの場合も、油槽室102内の圧力が低下すること、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを防止できる。
また、以上の実施形態では、搬入出口25の開度を次第に小さくする間から被処理体2が油槽103に完全に浸漬させられた後まで、窒素ガスを連続的に供給する例を説明したが、例えば図11に示すように、搬入出口25を閉塞した後、窒素ガスの供給を一旦停止させ、その後、被処理体2が油槽103に下降する直前(被処理体2が油槽103の外(上方)にあるとき)に、窒素ガスの供給を再開し、その後、搬送昇降機105及び被処理体2が油槽103に移動して、被処理体2が油槽103に完全に浸漬した後に、窒素ガスの供給を停止させても良い。即ち、搬入出口25を開閉する際、被処理体2を油槽103に移動させる際、油槽室搬出口111を開閉する際の3つのタイミングに分けて、窒素ガスを供給するようにしても良い。この場合も、油槽室102内の圧力が低下すること、外気がエキセス120を通じて油槽室102内に吸い込まれることを防止できる。
また、例えば図12に示すように、搬入出口25が開閉される際は、窒素ガスを供給せず、搬入出口25が閉塞された後、被処理体2が油槽103に浸漬する前(被処理体2が油槽103の外(上方)にあるとき)に、窒素ガスの供給を開始し、その後、搬送昇降機105及び被処理体2が油槽103に移動して、被処理体2が油槽103に完全に浸漬した後に、窒素ガスの供給を停止させても良い。即ち、被処理体2を油槽103に移動させる際、及び、油槽室搬出口111を開閉する際の2つの場合に、窒素ガスを供給するようにしても良い。
また、以上の実施形態では、油冷部4に設けたエキセス120の開度調節については特に説明しなかったが、エキセス120は、開閉可能に構成しても良いし、あるいは、開度を調節可能にしても良い。例えば油槽室102内の圧力に応じて、エキセス120の開閉を切り換えたり、エキセス120の開度を調節しても良い。
図13は、エキセス120を開閉可能な構成にした場合の一例を示している。図13に示す例において、エキセス120は、エキセス本体121と、エキセス本体121の上方に設けられた筒状体122とを備えている。エキセス120の内部には、油槽室102の排ガス又は外気を通過させるガス流路123(排気路)が設けられている。さらに、エキセス120には、ガス流路123を開閉させるガス流路開閉器125、ガス流路123を通じて取り入れられる外気に対して可燃ガス(炭化水素系のガス、C)を噴射するバーナ126、127(エキセス用バーナ)が設けられている。
エキセス本体121は、長さ方向をZ方向(略鉛直方向)に向けて立設された略円筒状をなし、下端部開口は、油冷部筐体101の天井に開口されている。筒状体122も、長さ方向をZ方向に向けて立設された略円筒状をなしているが、内径はエキセス本体122の内径よりも大きくなっている。エキセス本体121の上端部開口(開口121a)と、筒状体122の下端部開口は、互いに接続されている。即ち、これらエキセス本体121の内部空間と筒状体122の内部空間とによって、ガス流路123が構成されている。
ガス流路開閉器125は、筒状体122の内部に配置されている蓋体131、蓋体131を支持する蓋体支持部材132、蓋体支持部材132を昇降させる蓋体昇降装置133を備えている。蓋体131は、略水平に配置された略円形の板状をなし、筒状体122の内径より小さく、エキセス本体121の内径より大きい直径を有している。即ち、蓋体131の下面によって開口121aを閉塞できる大きさになっている。蓋体支持部材132は、蓋体131を上方から支持し、ガス流路123の外部において、蓋体昇降装置133に接続されている。蓋体昇降装置133は、エキセス本体121、筒状体122の外側に設けられ、エキセス本体121に対して固定されている。蓋体昇降装置133としては、例えばシリンダ機構を用いても良い。
バーナ126は、可燃ガスを噴射する複数の噴射口126aを備えている。噴射口126aは、バーナ126の内周側において、筒状体122の上端部開口に沿って、環状に並べて設けられている。バーナ127はバーナ126の上方に設けられ、可燃ガスを噴射する複数の噴射口127aを備えている。噴射口127aは、噴射口126aの上方において、バーナ127の内周側に、筒状体122の上端部開口に沿って、環状に並べて設けられている。なお、バーナ126、127としては、例えばリングバーナ、カーテンバーナ等を用いても良い。
かかるエキセス120においては、蓋体昇降装置133の作動により、蓋体支持部材132及び蓋体131が、エキセス本体121の開口121aから一体的に持ち上げられると、蓋体131の下面が開口121aから上方に離隔させられ、開口121aが開口される。すると、エキセス本体121の内部空間が筒状体122の内部空間に対して連通させられ、ガス流路123が開いた状態にされる。一方、蓋体支持部材132及び蓋体131が一体的に下降させられ、蓋体131によって開口121aが閉塞されると、エキセス本体121の内部空間が筒状体122の内部空間から遮断され、ガス流路123が閉塞される。こうして、エキセス120を蓋体131の移動によって開閉させることができる。
エキセス120は、通常の状態では開いた状態、即ち、排気が可能な状態にしておくことが好ましいが、油槽室102の圧力に応じて、エキセス120の開閉を切り替えても良い。例えば、油槽室102の圧力が低下するとき、即ち、例えば降温室14の温度を油槽室102の温度よりも高温にした状態で搬入出口25が開口された後に搬入出口25が閉塞されるとき、被処理体2を油槽103に浸漬させるとき、バーナ117から可燃ガスを噴射して燃焼させながら油槽室搬出口111が開口された後に油槽室搬出口111が閉塞されるときなどは、エキセス120を閉じた状態にしても良い。そうすれば、外気がエキセス120を通じて油槽室102に流入することを、より確実に防止できる。
例えば図14に示すように、エキセス120を開いた状態で、搬入出口25を開口させ、その後、エキセス120を閉じた状態とし、かかる状態で搬入出口25の閉塞を開始させ、搬入出口25の開度を次第に小さくしても良い。そうすれば、搬入出口25を開口するとき(即ち、油槽室102の圧力が上昇するとき)は、エキセス120によって排気を円滑に行うことができ、搬入出口25の開度を次第に小さくする間(即ち、油槽室102の圧力が低下するとき)は、外気の流入を防止できる。
また、搬入出口25を閉塞した後は、エキセス120を閉じた状態で、被処理体2を油槽103に浸漬させても良い。そして、オイルベーパの発生量が少なくなった後に、エキセス120を開き、その後、油槽103から被処理体2を取り出すようにしても良い。そうすれば、被処理体2を油槽103に浸漬させた後(即ち、油槽室102の圧力が低下するとき)、オイルベーパの発生量が少なくなったときに、外気の流入を防止できる。
さらに、エキセス120を開いた状態で、油槽室搬出口111を開口させ、その後、エキセス120を閉じた状態とし、かかる状態で油槽室搬出口111の閉塞を開始させ、油槽室搬出口111の開度を次第に小さくしても良い。そうすれば、油槽室搬出口111を開口するとき(即ち、油槽室102の圧力が上昇するとき)は、エキセス120によって排気を円滑に行うことができ、油槽室搬出口111の開度を次第に小さくする間(即ち、油槽室102の圧力が低下するとき)は、外気の流入を防止できる。なお、油槽室搬出口111を閉塞した後は、エキセス120を再び開くようにしても良い。
エキセス120が開かれるときは、バーナ126、127から可燃ガスを噴射させても良い。そうすれば、筒状体122の近傍に存在する外気中の酸素(O)をバーナ126、127から噴射される可燃ガス(C)の燃焼に消費させ、二酸化炭素(CO)と水蒸気(HO)にすることができる。即ち、前述したように、油槽室102には窒素ガスが適宜供給されるので、エキセス120が開かれていても、外気がエキセス120を通じて油槽室102に吸い込まれるおそれは少ないが、仮に外気がエキセス120を通じて油槽室102に侵入したとしても、その外気は、バーナ126、127から供給された可燃ガスの燃焼により、活性状態の酸素が低減された状態になる。従って、バーナ126、127から噴射される可燃ガスを燃焼させることにより、油槽室102内の酸素(O)濃度が上昇することを、より確実に防止できる。
図15は、エキセス120の開度を調節可能にした場合の一例を示している。図15に示す例において、エキセス120は、上記のエキセス120と同様に、エキセス本体121、筒状体122、ガス流路123(第一のガス流路)、ガス流路開閉器125、バーナ126、127を備えている。さらに、油槽室102の排ガス又は外気を通過させる第二のガス流路141、及び、油槽室102の排ガスを着火させるためのパイロットバーナ142を備えている。
第二のガス流路141の一端部(下端部)は、エキセス本体121の側壁に開口されている。即ち、開口121aの下方において、ガス流路123に接続されている。第二のガス流路141の他端部(上端部)は、筒状体122の側壁に開口されている。即ち、開口121aとバーナ126、127の間において、ガス流路123に接続されている。なお、第二のガス流路141の流路断面積は、ガス流路123の流路断面積よりも小さくなっている。パイロットバーナ142は、バーナ126、127の下方において、第二のガス流路141の他端部近傍に設けられている。
かかるエキセス120においては、ガス流路123は開閉可能になっているが、第二のガス流路141は、常に開かれた状態となる。また、エキセス120の開度は、2段階に調節可能である。即ち、ガス流路123が開かれると、エキセス120の開度は大きくなり、排ガスはガス流路123及び第二のガス流路141を通じて排気される。ガス流路123が閉じられると、エキセス120の開度は小さくなり、排ガスは第二のガス流路141のみを通じて排気される。
エキセス120は、通常の状態では開度を大きくした状態、即ち、ガス流路123による排気が可能な状態にしておくことが好ましいが、油槽室102の圧力に応じて、開度(ガス流路123の開閉)を切り替えても良い。例えば、油槽室102の圧力が低下するとき(搬入出口25が閉塞されるとき、被処理体2を油槽103に浸漬させるとき、油槽室搬出口111が閉塞されるとき等。換言すれば、前述した図14に示した例において、エキセス120が閉じられるとき)は、蓋体131を下降させて開口121aを閉じ、エキセス120の開度を小さくすると良い。そうすれば、外気がエキセス120を通じて油槽室102に流入しにくくなり、外気の流入をより確実に防止できるようになる。
また、油槽室102を排気するときは、パイロットバーナ142を作動させ、油槽室102からの排ガスを着火させるようにしても良い。そうすれば、排ガスに含まれている可燃性ガス(炭化水素系のガス(CH)、一酸化炭素ガス(CO)等)を燃焼させ、二酸化炭素と水蒸気にし、外部に安全な状態で排出させることができる。
以上の実施形態では、熱処理設備は被処理体2の連続浸炭処理を行う連続ガス浸炭設備であるとし、被処理体は鋼材であるとし、熱処理炉は熱処理室として予熱室11、浸炭室12、拡散室13、降温室14を備えた連続式のガス浸炭を行う熱処理炉3であるとしたが、これらはかかるものに限定されず、本実施形態は、様々な熱処理を行う熱処理設備において適用できる。例えば、被処理体は鉄系合金以外の他の合金からなるものであっても良い。熱処理炉は、窒化処理あるいは浸炭窒化処理を行う連続炉、即ち、熱処理室として例えば浸炭窒化室、窒化室などを備える雰囲気熱処理炉であっても良い。
さらに、以上の実施形態では、油槽室102に隣接している熱処理室は降温室14であり、降温室14と油槽室102の間に搬入出口25が設けられているとしたが、油槽室102に隣接する熱処理室は降温室14には限定されず、例えば、降温処理の後に均熱処理を行う均熱室等であっても良い。
また、不活性ガスは窒素ガスであるとしたが、窒素ガスには限定されず、例えばアルゴンガス(Ar)等を含むものであっても良い。
本発明は、例えば鋼材等の浸炭処理、窒化処理等を行う熱処理方法に適用できる。
連続ガス浸炭設備の構成を示した概略縦断面図である。 連続ガス浸炭設備内のガスの流れを説明する概略縦断面図である。 連続ガス浸炭設備での処理を説明するフロー図である。 搬入出口を開口するときの油冷部の状態を示した説明図である。 搬入出口を閉塞するときの油冷部の状態を示した説明図である。 被処理体を油槽に浸漬させた直後の油冷部の状態を示した説明図である。 被処理体を油槽に浸漬させてから暫く経過したときの油冷部の状態を示した説明図である。 油槽室搬出口を開口するときの油冷部の状態を示した説明図である。 油槽室搬出口を閉塞するときの油冷部の状態を示した説明図である。 別の実施形態にかかる連続ガス浸炭設備での処理を説明するフロー図であり、窒素ガスの供給を開始するタイミングを変更した例を示す説明図である。 別の実施形態にかかる連続ガス浸炭設備での処理を説明するフロー図であり、窒素ガスの供給を行うタイミングを変更した例を示す説明図である。 別の実施形態にかかる連続ガス浸炭設備での処理を説明するフロー図であり、窒素ガスの供給を開始するタイミングを変更した例を示す説明図である。 エキセスを開閉可能にした構成を説明する縦断面図である。 エキセスを開閉するタイミングの例を示した説明図である。 エキセスの開度を調節可能にした構成を説明する縦断面図である。
符号の説明
1 連続ガス浸炭設備
2 被処理体
3 熱処理炉
4 油冷部
11 予熱室
12 浸炭室
13 拡散室
14 降温室
25 搬入出口
26 搬入出口扉
102 油槽室
103 油槽
111 油槽室搬出口
112 油槽室搬出口扉
117 バーナ
120 エキセス

Claims (18)

  1. 熱処理室において高温の状態で処理した被処理体を油槽室において油冷する熱処理方法であって、
    前記熱処理室において被処理体を高温の状態で処理し、
    前記熱処理室と前記油槽室との間に設けられている搬入出口を開口させ、
    前記搬入出口を通じて前記熱処理室から前記油槽室に被処理体を移動させ、
    前記油槽室において被処理体を油槽に浸漬させて油冷し、
    前記油槽から被処理体を取り出し、
    油槽室搬出口を開口させ、前記油槽室搬出口を通じて前記油槽室から被処理体を搬出させ、
    前記搬入出口を開閉する際、前記油槽に被処理体を浸漬させる際、及び/又は、前記油槽室搬出口を開閉する際に、前記油槽室に不活性ガスを供給することを特徴とする、熱処理方法。
  2. 前記油槽室内の圧力が前記油槽室の外部の圧力に対して陰圧にならないように、前記油槽室に不活性ガスを供給することを特徴とする、請求項1に記載の熱処理方法。
  3. 前記熱処理室の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高温にした状態、かつ、前記油槽室搬出口を閉塞した状態で、前記搬入出口を開閉することを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱処理方法。
  4. 前記熱処理室から前記油槽室に被処理体を移動させた後、前記搬入出口の開度を次第に小さくする間に、又は、前記搬入出口を閉塞してから前記油槽に被処理体を浸漬させる前に、前記不活性ガスの供給を開始し、
    その後、前記油槽に被処理体を浸漬させてから、前記不活性ガスの供給を停止させ、前記油槽から被処理体を取り出すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理方法。
  5. 前記搬入出口及び前記油槽室搬出口を閉塞した状態で、前記油槽に被処理体を浸漬させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理方法。
  6. 前記油槽室搬出口の外側において可燃ガスを燃焼させ、前記油槽室搬出口の外側の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高温にした状態、かつ、前記搬入出口を閉塞した状態で、前記油槽室搬出口を開閉することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の熱処理方法。
  7. 前記油槽室搬出口を通じて前記油槽室から被処理体を搬出させた後、前記油槽室搬出口の開度を次第に小さくする間に、前記不活性ガスの供給を開始し、
    前記油槽室搬出口を閉塞してから、前記不活性ガスの供給を停止させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の熱処理方法。
  8. 前記油槽室の排気を行う排気機構を開閉することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の熱処理方法。
  9. 前記排気機構を開き、前記熱処理室の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高温にした状態で、前記搬入出口を開口し、
    その後、前記排気機構を閉じた状態で、前記搬入出口の開度を次第に小さくすることを特徴とする、請求項8に記載の熱処理方法。
  10. 前記排気機構を閉じた状態で、前記油槽に被処理体を浸漬させ、
    前記油槽に被処理体を浸漬させた後、前記排気機構を開き、
    その後、前記油槽から被処理体を取り出すことを特徴とする、請求項8又は9に記載の熱処理方法。
  11. 前記排気機構を開き、前記油槽室搬出口の外側の雰囲気温度を前記油槽室の雰囲気温度よりも高温にした状態で、前記油槽室搬出口を開口し、
    その後、前記排気機構を閉じた状態で、前記油槽室搬出口の開度を次第に小さくすることを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の熱処理方法。
  12. 前記不活性ガスは窒素ガスであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の熱処理方法。
  13. 前記熱処理室は、被処理体のガス浸炭を行う熱処理炉の降温室であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の熱処理方法。
  14. 被処理体を高温の状態で処理する熱処理室と、前記熱処理室において処理された被処理体を油冷する油槽室とを備える熱処理設備であって、
    被処理体を前記熱処理室から前記油槽室に搬入する搬入出口と、
    前記搬入出口を開閉する搬入出口扉と、
    被処理体を前記油槽室から搬出させる油槽室搬出口と、
    前記油槽室搬出口を開閉する油槽室搬出口扉とを備え、
    前記油槽室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給路を設け、
    前記不活性ガス供給路は、前記搬入出口を開閉する際、前記油槽室において被処理体を油槽に浸漬させる際、及び/又は、前記油槽室搬出口を開閉する際に、前記油槽室に不活性ガスを供給することを特徴とする、熱処理設備。
  15. 前記油槽室搬出口の外側に、可燃ガスを噴射するバーナを設けたことを特徴とする、請求項14に記載の熱処理設備。
  16. 前記油槽室の排気を行う排気機構を備え、
    前記排気機構は、開閉可能に構成されていることを特徴とする、請求項14又は15に記載の熱処理設備。
  17. 前記不活性ガスは窒素ガスであることを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の熱処理設備。
  18. 前記熱処理室は、被処理体のガス浸炭を行う熱処理炉の降温室であることを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の熱処理設備。
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