JP7253438B2 - カーテンバーナーおよび熱処理設備 - Google Patents

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Description

本発明は、カーテンバーナーおよび熱処理設備に関する。
自動車部品や他の機械部品の表面硬化処理方法として例えばガス浸炭処理が知られている。ガス浸炭処理は、浸炭室や焼入れ室等の処理室を備えたガス浸炭設備によって行われ、被処理品は、所定の雰囲気で満たされた処理室内で加熱や浸炭、焼入れといった所定の熱処理が施される。例えば浸炭室では、カーボンポテンシャルが所定の数値範囲内となるように制御された雰囲気下で被処理品の浸炭処理が行われる。
ガス浸炭設備は、被処理品の熱処理中において処理室内が所定の雰囲気に保たれるように、処理室の内部空間と外部空間とを隔てるための扉を備えている。この扉は、熱処理が完了した被処理品が処理室から搬出される際、または、これから熱処理が施される被処理品が処理室に搬入される際に開放される。扉が開放された際には、処理室への外気の流入や処理室内の雰囲気の流出が生じるが、ここで処理室内の雰囲気が大きく変化してしまうと、被処理品の浸炭品質に好ましくない影響を与えることが起こり得る。例えば浸炭室内に外気が流入すると、外気中の酸素ガスが浸炭室内の浸炭性ガスと反応することで、カーボンポテンシャルが低下し、所望の浸炭品質が担保できない場合もある。このような問題は、ガス浸炭設備に限らず、処理室内を所定の雰囲気で満たして被処理品の熱処理を行う他の雰囲気熱処理設備においても同様に生じ得る。
このため、従来の熱処理設備においては、被処理品の搬出口または搬入口となる処理室の開口部付近にカーテンバーナーが設けられることが一般的である。カーテンバーナーは、帯状の炎で処理室の開口部を覆うことによって処理室への外気の流入や処理室内の雰囲気の流出を抑えることができる。例えば処理室内に流入しようとする外気中の酸素ガスは、カーテンバーナーの燃焼反応によって消費されるため、処理室内の雰囲気変化を抑えることができる。カーテンバーナーに関する技術として、特許文献1には、連続ガス浸炭設備における油槽室の出側にカーテンバーナーが設けられることが開示されている。また、特許文献2には、雰囲気熱処理炉の出入口の下部にカーテンバーナーが設けられることが開示されている。
特開2008-208420号公報 特開2004-053053号公報
カーテンバーナーは、ガスを吐出するための複数のガス吐出口を有したガス管を備えており、各ガス吐出口は、ガス管の長手方向に沿って間隔をおいて形成されている。このようなカーテンバーナーが作動した際には、ガス管の内側を流れる可燃ガスが各ガス吐出口からガス管の外側に吐出され、吐出された可燃ガスが着火することで帯状の炎が生成される。
ところで、ガス管内においては可燃ガスの供給源から離れるほど配管抵抗によって可燃ガスの圧力が減衰していく。このため、可燃ガスの供給源に近い位置にあるガス吐出口と、可燃ガスの供給源から離れた位置にあるガス吐出口では、ガス管内における可燃ガスの圧力に差が生じる。ガス管内における可燃ガスの圧力が大きいほど、ガス吐出口から吐出される可燃ガスの量が多くなって生成される炎の高さも高くなることから、ガス管内で可燃ガスの圧力差がある状態では、ガス吐出口の位置によって炎の高さにバラツキが生じてしまう。
カーテンバーナーで雰囲気遮断を行うためには、生成される帯状の炎で処理室の開口部全体を覆う必要があることから、上記のように炎の高さにバラツキがある場合は、炎の高さが相対的に低い部分であっても十分に開口部を覆うことができるよう可燃ガスの供給量を増加させる必要がある。しかしながら、炎の高さが低い部分を基準として可燃ガスの供給量を増加させると、処理室の開口部を覆うための高さとしては既に十分な高さとなっている部分では、炎の高さがさらに高くなる。処理室の開口部の上端よりも高い位置にある炎は、雰囲気遮断には寄与しないため、このような状態で操業を続けることは、可燃ガスを余分に消費していることになり、省エネルギーの観点から好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カーテンバーナーのガス管内における可燃ガスの圧力差を小さくし、カーテンバーナーの炎の高さのバラツキを抑えることを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一態様は、熱処理設備の処理室の開口部を覆うためのカーテンバーナーであって、可燃ガスを吐出するガス吐出部を有するガス管を備え、前記ガス吐出部は、可燃ガス供給源に接続される内管と、前記内管の周囲を覆う外管と、を有し、前記内管は、第1のガス吐出口を有し、前記外管は、前記ガス吐出部における管長手方向に沿って間隔をおいて複数形成された第2のガス吐出口を有し、前記ガス吐出部の管長手方向に垂直な断面における前記外管の内面形状が多角形状であることを特徴としている。
別の観点による本発明の一態様は、熱処理設備の処理室の開口部を覆うためのカーテンバーナーであって、可燃ガスを吐出するガス吐出部を有するガス管を備え、前記ガス吐出部は、可燃ガス供給源に接続される内管と、前記内管の周囲を覆う外管と、を有し、前記内管は、第1のガス吐出口を有し、前記外管は、前記ガス吐出部における管長手方向に沿って間隔をおいて複数形成された第2のガス吐出口を有し、前記ガス吐出部の管長手方向に垂直な断面における前記第2のガス吐出口の総断面積と前記第1のガス吐出口の総断面積の比(前記第2のガス吐出口の総断面積/前記第1のガス吐出口の総断面積)が1.5以下であることを特徴としている。
また、別の観点による本発明の一態様は、熱処理設備の処理室の開口部を覆うためのカーテンバーナーであって、可燃ガスを吐出するガス吐出部を有するガス管を備え、前記ガス吐出部は、可燃ガス供給源に接続される内管と、前記内管の周囲を覆う外管と、を有し、前記内管は、第1のガス吐出口を有し、前記外管は、前記ガス吐出部における管長手方向に沿って間隔をおいて複数形成された第2のガス吐出口を有していることを特徴としている。
別の観点による本発明の一態様は、被処理品の熱処理を行う熱処理設備であって、前記被処理品が通過する開口部を有した処理室と、前記開口部の近傍に設けられた、上記のカーテンバーナーと、を備え、前記カーテンバーナーの前記第2のガス吐出口は、前記開口部の正面視において前記開口部側に向いていることを特徴としている。
カーテンバーナーのガス管内における可燃ガスの圧力差を小さくし、カーテンバーナーの炎の高さのバラツキを抑えることができる。
本発明の一実施形態に係るカーテンバーナーを備えたガス浸炭設備の一部を示す図である。 油槽を被処理品の出側から見た図である。 カーテンバーナーのガス管を上から見た図である。 カーテンバーナーのガス管を下から見た図である。 外管を除いたカーテンバーナーのガス管を上から見た図である。 外管を除いたカーテンバーナーのガス管を下から見た図である。 図3中のA-A断面を示す図である。 ガス管内における可燃ガスの流れを模式的に示した図である。 ガス管の構造例を示す図である。 ガス管の構造例を示す図である。 ガス管の構造例を示す図である。 別の実施形態に係る外管を除いたカーテンバーナーのガス管を下から見た図である。 図12中のB-B断面を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、熱処理設備の一例であるガス浸炭設備1の一部を示す図である。図1では、処理室の一例である浸炭室10と、別の処理室の一例である油槽11の周辺のみが図示されている。本実施形態のガス浸炭設備1は、いわゆる連続処理式の熱処理設備であり、順次投入される熱処理対象の被処理品Wに対して連続的に浸炭焼入れ処理が施される。なお、図中のX方向はガス浸炭設備1の長手方向、Y方向はガス浸炭設備1の幅方向、Z方向はガス浸炭設備1の高さ方向を示している。本実施形態のガス浸炭設備1では、図1中の左から右に向かって被処理品Wが搬送される。
本実施形態の浸炭室10は、側壁に被処理品Wが通過する開口部(以下“搬送口10a”)を有しており、浸炭室10の外側には搬送口10aを覆う昇降式の扉12が設けられている。扉12の開放時には、浸炭室10の搬送口10aを介して被処理品Wが浸炭室10から油槽11に搬送される。油槽11は、浸炭室10とは反対側の側壁に被処理品Wが通過する開口部(以下“搬出口11a”)を有しており、油槽11の外側には搬出口11aを覆う昇降式の扉13が設けられている。扉13の開放時には、搬出口11aを介して被処理品Wが油槽11から搬出される。
本実施形態のようなガス浸炭設備1で被処理品Wの浸炭処理を行う場合、扉12および扉13が閉じられ、各処理室内が所定の雰囲気で満たされる。例えば浸炭室10内は、カーボンポテンシャルが所定の数値範囲を満たすような雰囲気で満たされる。また、例えば油槽11内は、被処理品Wが酸化しないように低酸素雰囲気で満たされる。
なお、本実施形態のガス浸炭設備1は、浸炭室10と油槽11が隣接した構成であるが、ガス浸炭設備1の構成は、本実施形態で説明するものに限定されない。ガス浸炭設備1は、例えば浸炭処理が終了した被処理品Wを浸炭室10から一度搬出し、浸炭室10に対して間隔をおいて配置された油槽11まで被処理品Wを搬送する構成であってもよい。また、ガス浸炭設備1は熱処理設備の一例であり、熱処理設備は、処理室内を所定の雰囲気とした状態で熱処理を行う設備であれば特に限定されない。
図1、図2に示されるように本実施形態のガス浸炭設備1は、油槽11の外側にカーテンバーナー20を備えている。カーテンバーナー20は、図2のような搬出口11aの正面視において、搬出口11aの下方に配置され、Z方向の上方に向かって炎を出すように設けられている。なお、油槽11の搬出口11aを覆う観点では、カーテンバーナー20は、例えば搬出口11aの正面視において搬出口11aの上方に配置され、Z方向の下方に向かって炎を出すように設けられていてもよい。また、カーテンバーナー20は、例えば搬出口11aの正面視において搬出口11aの側方に配置され、搬出口11a側に向かって炎を出すように設けられていてもよい。また、本実施形態のカーテンバーナー20は、搬出口11a付近における雰囲気遮断を行うために設けられているが、カーテンバーナー20は、搬出口11aに限らず、被処理品Wが通過する処理室の開口部近傍に適宜設けられるものである。すなわち、カーテンバーナー20の設置位置は、処理室の開口部近傍に設けられ、開口部の正面視において開口部側に炎を出すように設けられていれば、特に限定されない。
図3~図6に示されるように、カーテンバーナー20は、可燃ガスが流れるガス管21を有し、当該ガス管21の、可燃ガスが吐出する部分であるガス吐出部21aでは、管構造が二重管構造となっている。すなわち、ガス管21のガス吐出部21aは、内管30と、内管30の周囲を覆う外管40とを有している。なお、ガス管21のガス吐出部21a以外の部分は、単管構造となっており、内管30は外部に露出している。
図5および図6に示されるように本実施形態の内管30は、平面視でL字状に形成されており、ガス吐出部21aにおいては直線状に形成されている。内管30の両端部30a、30bのうち、一端部30aは例えばガスボンベなどの可燃ガスの供給源である可燃ガス供給源50に接続されており、他端部30b(可燃ガス供給源50とは反対側の端部)は開放されていない閉じた形状となっている。図3および図4に示されるように外管40は、可燃ガス供給源50側の端部40aが内管30に対して隙間なく接合されており、可燃ガス供給源50とは反対側の端部40bは開放されていない閉じた形状となっている。なお、“内管30が可燃ガス供給源50に接続されている”とは、内管30が可燃ガス供給源50に直結されていることに限定されず、他の配管などを介して間接的に可燃ガス供給源50に接続されている状態も含まれる。
図7はガス吐出部21aにおける管長手方向(本実施形態ではY方向)に垂直な断面を示す図である。図7に示されるように、本実施形態の内管30は、ガス吐出部21aにおける管長手方向に垂直な断面の形状が円形となっている。内管30は、可燃ガス供給源50から導入される可燃ガスを吐出する第1のガス吐出口31を有しており、第1のガス吐出口31は、図6に示されるようにガス吐出部21aにおける管長手方向に沿って複数形成されている。本実施形態の第1のガス吐出口31は、ガス吐出部21aにおける管長手方向に沿って等間隔で直線状に一列設けられており、各第1のガス吐出口31はZ方向の下方に向いている。
本実施形態の外管40は、ガス吐出部21aにおける管長手方向(本実施形態ではY方向)に垂直な断面の形状が四角形となっている。外管40は、可燃ガスを吐出する第2のガス吐出口41を有しており、第2のガス吐出口41は、図3に示されるようにガス吐出部21aにおける管長手方向に沿って複数形成されている。本実施形態の第2のガス吐出口41は、管長手方向に沿って等間隔で直線状に二列設けられており、各第2のガス吐出口41はZ方向の上方に向いている。また、本実施形態においては、二列存在する第2のガス吐出口41の列のうち、一方の列に属する第2のガス吐出口41の、管長手方向における位置と、他方の列に属する第2のガス吐出口41の、管長手方向における位置が互いに異なっており、各第2のガス吐出口41の配置は、いわゆる千鳥配置となっている。
本実施形態のカーテンバーナー20は以上のように構成されている。このような内管30と、内管30の周囲を覆う外管40とを有するガス吐出部21aを備えたカーテンバーナー20においては、可燃ガス供給源50から内管30に導入された可燃ガスが、図8のように、まず内管30の第1のガス吐出口31を介して内管30の内側から外側に吐出される。このとき、内管30の内側では可燃ガス供給源50に近いほど可燃ガスの圧力が大きくなっているため、可燃ガス供給源50により近い位置にある第1のガス吐出口31から吐出される可燃ガスの量が多くなっている。ここで内管30から吐出される可燃ガスは、内管30の外側、かつ、外管40の内側の空間に流れ込み、外管40の第2のガス吐出口41を介してガス管21の外側に吐出される。すなわち、本実施形態のカーテンバーナー20においては、内管30から吐出される可燃ガスがガス管21の外側には直接吐出されず、外管40の内面に当たって外管40の内面に沿って流れていく。可燃ガスがこのように流れることによって、内管30の内側において可燃ガスの圧力が高い部分があったとしても、当該部分から吐出された可燃ガスが外管40内で拡散し、その結果、外管40内における可燃ガスの圧力差が小さくなる。これにより、ガス管21が単管構造の場合に比べて、ガス吐出部21aから吐出される可燃ガスの吐出量がより均一になり、炎の高さのバラツキが小さくなる。
したがって、本実施形態のようなカーテンバーナー20によれば、被処理品Wの搬出口11aを覆うための炎の高さを調節する際に、帯状の炎の中で炎の高さが低い部分を基準として可燃ガスの供給量を調節しても、他の部分の炎の高さが搬出口11aに対して過剰に高くなるようなことがなくなる。これにより、可燃ガスの消費量を抑えることが可能となる。なお、本実施形態では、ガス管21の管構造が二重管構造であったが、多重管構造であれば、二重管構造に限定されない。また、可燃ガスの吐出圧や可燃ガスの種類、内管30の大きさや外管40の大きさは、熱処理の種類や被処理品Wの処理室の開口部の大きさ、カーテンバーナー20の設置位置等に応じて適宜定められる。
また、ガス管21の内管30の形状や外管40の形状は特に限定されない。例えば図9のように、ガス吐出部21aの管長手方向における外管40の断面形状は円形であってもよい。このような場合であっても、内管30から吐出された可燃ガスが一度外管40の内側に流れ込むことによって、外管40内における可燃ガスの圧力差を小さくすることができる。
外管40内における可燃ガスの圧力差をより小さくする観点からは、ガス吐出部21aの管長手方向に垂直な断面における内管30の外面と外管40の内面との隙間に図8のように狭い空間と広い空間が設けられるよう外管40の内面形状が多角形状であることが好ましい。外管40の内面形状が多角形状であることにより、外管40内の狭い空間ではガス流れが阻害され、その他の広い空間ではガスが一時的に滞留する。これにより、広い空間内でのガス圧力が均等化しやすくなる。これに対し、図9のように内管30と外管40の断面形状が共に円形である場合は、両者の隙間は一定であるため、図8の場合に比べると、ガス圧力の均等化の効果は小さくなる。図8のような管構造によれば、内管30の第1のガス吐出口31から外管40の第2のガス吐出口41までの間に、狭い空間と広い空間が複数存在するため、図9のような管構造よりも外管40内において可燃性ガスの圧力差を小さくすることができる。外管40の内面形状を多角形状とする場合、内管30と外管40の間に狭い空間と狭い空間を形成することができれば、外管40の内面形状は特に限定されないが、外管40の内面形状は三角形~八角形であることが好ましく、四角形であることがより好ましい。
なお、内管30と外管40の間に狭い空間と広い空間を形成するという観点では、ガス吐出部21aの管長手方向に垂直な断面において、内管30と外管40の間の隙間が管周方向において一定でなければよい。例えば内管30と外管40の断面形状が共に円形であったとしても、内管30の外面に突起が設けられていたり、または外管40の内面に突起が設けられている場合には、内管30と外管40の間に狭い空間と広い空間を形成することが可能である。また例えば円形断面の内管30と楕円形断面の外管40の組み合わせであっても、内管30と外管40の間に狭い空間と広い空間を形成することが可能である。
ガス管21の周方向における第1のガス吐出口31の向きは特に限定されない。図7に示される例では、第1のガス吐出口31の向きが第2のガス吐出口41の向きに対して180°回転した位置となっていたが、例えば図10のように、第1のガス吐出口31の向きは、第2のガス吐出口41の向きに対して周方向に90°回転した位置にあってもよい。また、例えば図11のように、ガス管21の周方向における第1のガス吐出口31の向きと第2のガス吐出口41の向きは互いに同一であってもよい。このような構成のカーテンバーナー20であっても、内管30から吐出された可燃ガスがガス管21の外側に直接吐出される場合に比べて、管長手方向における可燃ガスの圧力差を小さくすることができる。外管40内における可燃ガスの圧力差をより小さくするという観点からは、ガス管21の周方向における、第1のガス吐出口31の向きと第2のガス吐出口41の向きが互いに異なっていることが好ましい。また、ガス管21の周方向における、第1のガス吐出口31の向きと第2ガス吐出口の向きは90°~180°異なっていることが好ましく、120°以上異なっていることがより好ましい。また、外管40内における可燃ガスの圧力差をさらに小さくするという観点では、ガス管21の周方向における第1のガス吐出口31の向きと第2のガス吐出口41の向きが互いに異なっていると共に、ガス吐出部21aの管長手方向に垂直な断面における外管内面の形状が多角形状であることがより好ましい。
第1のガス吐出口31の数および形成位置、第2のガス吐出口41の数および形成位置等も特に限定されない。例えば図12に示されるように、内管30の第1のガス吐出口31は2列設けられていてもよい。この場合、第1のガス吐出口31の列が一列分増える場合、図13のようなガス吐出部21aの管長手方向に垂直な断面を見ると、図7の場合と比べて第1のガス吐出口31の断面積が増加することになる。このようにガス吐出口の断面積に着目した場合、(第2のガス吐出口41の総断面積/第1のガス吐出口31の総断面積)で算出される、第2のガス吐出口41の総断面積と第1のガス吐出口31の総断面積の比である断面積比は、1.5以下であることが好ましい。断面積比が1.5以下であれば、内管30から吐出された可燃ガスが外管40内で拡散しやすくなり、外管40内における可燃ガスの圧力差をより小さくすることができる。なお、第1のガス吐出口31の総断面積は、複数の第1のガス吐出口31の各々の断面積の総和であり、第1のガス吐出口31の断面積は、第1のガス吐出口31の穴中心を含むように切断された、ガス吐出部21aにおける管長手方向に垂直な断面で測定される。また、第2のガス吐出口41の総断面積は、複数の第2のガス吐出口41の各々の断面積の総和であり、第2のガス吐出口41の断面積は、第2のガス吐出口41の穴中心を含むように切断された、ガス吐出部21aにおける管長手方向に垂直な断面で測定される。
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
下記表1に示す構造のガス管を用いてガス吐出シミュレーションを実施し、温度が20℃、流量が0.1kg/secの空気をガス管に流し、ガス管内の圧力バラツキ(最大圧力と最小圧力の差)を測定した。
Figure 0007253438000001
比較例1のガス管は単管構造であり、実施例1~6のガス管は二重管構造である。実施例1の管構造は図7と同様の構造であり、実施例2の管構造は図9と同様の構造であり、実施例3の管構造は図11と同様の構造であり、実施例4の管構造は図10と同様の構造であり、実施例5の管構造は図13と同様の構造である。実施例6の管構造は、内管に形成された第1のガス吐出口の数が実施例1の管構造の半分の数となっている。なお、表1中の“第1のガス吐出口と第2のガス吐出口の角度”は、ガス管の周方向における、第1のガス吐出口の向きと第2のガス吐出口の向きのなす角である。また、実施例1~6の管構造における圧力バラツキは、内管の外側、かつ、外管の内側の空間の圧力値に基づいて算出されている。
表1に示されるように、実施例1~6の管構造であれば、比較例1の管構造に対して圧力バラツキを小さくすることができる。したがって、カーテンバーナーのガス吐出部を二重管構造とすることで、ガス管内における圧力差を小さくすることができ、生成される炎の高さのバラツキを抑えることができる。
実施例1と実施例2の比較によれば、ガス管内における圧力バラツキをより小さくするためには、外管断面の内面形状は多角形状であることが好ましい。また、実施例1、実施例3および実施例4の比較によれば、ガス管内における圧力バラツキをより小さくするためには、ガス管の周方向における第1のガス吐出口の向きと第2のガス吐出口の向きは互いに異なっていることが好ましい。また、実施例1、実施例5および実施例6の比較によれば、ガス管内における圧力バラツキをより小さくするためには、第2のガス吐出口と第1のガス吐出口の断面積比は、1.5以下であることが好ましい。
本発明は、例えばガス浸炭設備の油槽出側のカーテンバーナーとして利用することができる。
1 ガス浸炭設備
10 浸炭室
10a 搬送口
11 油槽
11a 搬出口
12 扉
13 扉
20 カーテンバーナー
21 ガス管
21a ガス吐出部
30 内管
30a 内管の端部
30b 内管の端部
31 第1のガス吐出口
40 外管
40a 外管の端部
40b 外管の端部
41 第2のガス吐出口
50 可燃ガス供給源
W 被処理品

Claims (6)

  1. 熱処理設備の処理室の開口部を覆うためのカーテンバーナーであって、
    可燃ガスを吐出するガス吐出部を有するガス管を備え、
    前記ガス吐出部は、
    可燃ガス供給源に接続される内管と、
    前記内管の周囲を覆う外管と、を有し、
    前記内管は、第1のガス吐出口を有し、
    前記外管は、前記ガス吐出部における管長手方向に沿って間隔をおいて複数形成された第2のガス吐出口を有し
    前記ガス吐出部の管長手方向に垂直な断面における前記外管の内面形状が多角形状である、カーテンバーナー。
  2. 熱処理設備の処理室の開口部を覆うためのカーテンバーナーであって、
    可燃ガスを吐出するガス吐出部を有するガス管を備え、
    前記ガス吐出部は、
    可燃ガス供給源に接続される内管と、
    前記内管の周囲を覆う外管と、を有し、
    前記内管は、第1のガス吐出口を有し、
    前記外管は、前記ガス吐出部における管長手方向に沿って間隔をおいて複数形成された第2のガス吐出口を有し、
    前記ガス吐出部の管長手方向に垂直な断面における前記第2のガス吐出口の総断面積と前記第1のガス吐出口の総断面積の比(前記第2のガス吐出口の総断面積/前記第1のガス吐出口の総断面積)が1.5以下である、カーテンバーナー。
  3. 熱処理設備の処理室の開口部を覆うためのカーテンバーナーであって、
    可燃ガスを吐出するガス吐出部を有するガス管を備え、
    前記ガス吐出部は、
    可燃ガス供給源に接続される内管と、
    前記内管の周囲を覆う外管と、を有し、
    前記内管は、第1のガス吐出口を有し、
    前記外管は、前記ガス吐出部における管長手方向に沿って間隔をおいて複数形成された第2のガス吐出口を有している、カーテンバーナー。
  4. 前記ガス吐出部の管周方向における前記第1のガス吐出口の向きと前記第2のガス吐出口の向きが互いに異なっている、請求項1~3のいずれか一項に記載のカーテンバーナー。
  5. 前記ガス吐出部の管周方向における前記第1のガス吐出口の向きと前記第2のガス吐出口の向きが90°~180°異なっている、請求項1~のいずれか一項に記載のカーテンバーナー。
  6. 被処理品の熱処理を行う熱処理設備であって、
    前記被処理品が通過する開口部を有した処理室と、
    前記開口部の近傍に設けられた、請求項1~5のいずれか一項に記載されたカーテンバーナーと、を備え、
    前記カーテンバーナーの前記第2のガス吐出口は、前記開口部の正面視において前記開口部側に向いている、熱処理設備。
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