JP2008204974A - ディスプレイ用フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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順一 菅
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Abstract

【課題】フィルターの強度を低下させず、かつ高い電磁波遮蔽効果が得られる電極が形成されたディスプレイ用フィルターを提供する。
【解決手段】反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層が導電層上に設けられた積層体100を備え、該積層体100の少なくとも1辺の端縁部に、機能層側表面から少なくとも導電層に達し、かつ側辺に略平行に直線状で不連続な空隙1を有するディスプレイ用フィルターであって、該空隙1は幅が0.3〜4mmで、積層体1辺当たりの空隙1の合計長さが積層体の辺の長さLに対して10〜90%であることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ用フィルター及びその製造方法に関する。
液晶ディスプレイ(以下、LCD)、プラズマディスプレイ(以下、PDP)などのディスプレイは、明瞭なフルカラー表示が可能な表示装置である。ディスプレイには、通常、外光の反射の防止、ディスプレイから発生する電磁波の遮蔽、ディスプレイの保護などを目的とした前面フィルター(以降、単にフィルターと称す)がディスプレイの視認側に配置される。特にPDPはその構造や動作原理上、強度な電磁波が発生するため、人体や他の機器に与える影響が懸念されており、電磁波遮蔽機能と反射防止機能が付与されたフィルターが通常用いられている。
一般的なフィルターは、反射防止機能等を有する機能性フィルムと導電層(電磁波遮蔽層)が設けられたプラスチックフィルム(電磁波遮蔽フィルム)とを接着層を介して積層して形成されている。また、このようなフィルターには、更にフィルターの導電層とディスプレイ筐体(外部電極)とを電気的に接続するための電極が通常設けられている。
このような導電層上に機能性フィルムが積層されたフィルターに電極を形成する方法の1つとして、導電層の外周端縁部を剥き出しにする方法が知られている。この方法では、フィルター端部の導電層剥き出し部分が電極となる。この導電層剥き出し部分(以降、剥き出し電極という)は、導電層を有する電磁波遮蔽フィルムより一回り小さいサイズの機能性フィルムを該電磁波遮蔽フィルムに積層することによって形成され、十分な電磁波遮蔽性能を確保するためには、長方形状のフィルターの4辺に電極を設けることが好ましい。しかしながら、上記したような方法で剥き出し電極を4辺に設けるためには、電磁波遮蔽フィルムと機能性フィルムとを共にシートの状態で取り扱わなければならず、この枚葉積層方式(シート・ツー・シート積層方式)は生産性に劣るという欠点があった。
生産性を上げるためには、連続生産ラインで連続的に製造する方式、例えばロール・ツー・ロールの積層方式が有効である。即ち、電磁波遮蔽フィルムと機能性フィルムとを連続生産ラインでロール・ツー・ロールで積層して長尺ロールの積層体を製造し、このロール状積層体をシート状フィルターに切断加工し、次いでこのシート状フィルターに電極を形成する方法である。ロール・ツー・ロール積層方式の場合、電磁波遮蔽フィルムより幅の狭い機能性フィルムを貼り合わすことによって、ロールの幅方向両端部にロールの巻き方向(流れ方向)に平行な剥き出し電極を設けることができる。しかし、ロールの流れ方向に垂直な電極については、シート状に切断加工した後、電極を形成する必要がある。
また、上記のような機能層を有するフィルターに電極を形成する他の方法として、特許文献1には、レーザー等で5〜20mmの間隔の2本の切り込み線を入れ、機能性フィルム等を帯状に剥離して導電層を露出させる方法、及び露出した部分に粘着材が残留して粘着性が残るのを防止するために露出部分に導電塗料を薄く塗布する方法が提案されている。さらに、特許文献2には、ナイフ等のカッター刃を用いて積層体表面から切り込みを入れ、該切り込みに導電性材料を埋める方法も提案されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載された電極形成方法では、イ)比較的幅広の帯状露出部(帯状空隙)が形成されるためにフィルターの強度が低下すること、ロ)導電層上に積層された機能性フィルム等を剥離除去する工程が必要であること、ハ)導電層と機能性フィルムとの間の粘着材層が完全に剥離除去されず外部電極との導通が不十分になること、ニ)機能性フィルム等を剥離除去する際に導電層の導電性メッシュが破断すること、ホ)機能性フィルム等の剥離性を上げるために剥離可能な粘着材を使用することによって導電層と機能性フィルムとの間の積層強度(接着強度)が不足すること、等の問題がある。
また、特許文献2に記載された方法は、0.3mm以上の幅の空隙(導電層露出部)を形成できないので十分な導通を取りにくいこと、及び導電性層が切断されて導通が不十分になる場合があるという問題がある。
さらに、導電層露出部を形成する他の方法として、超音波半田コテを用いて機能層を除去する方法があるが、この方法は高温のコテ先をディスプレイ用フィルターに接触させるので、基材となるプラスチックフィルムが熱変形を起こす可能性があること、及び導電層の露出を完全にかつ安定的に行うことが難しいという問題がある。また、ドライエッチングにより導電層露出部を形成する方法もあるが、この方法は装置が大がかりとなること、及び操作中に高温となりプラスチックフィルムが変形しやすいという問題がある。
このように、従来から機能層を有するフィルターの導電層に電極形成部を設けるには何らかの問題を伴い、電磁波遮蔽効果や強度を低下させず、かつ生産性向上に寄与できる電極形成方法が要望されている。
なお、特許文献3、4には不連続な電極を設ける旨が記載されているが、これら文献は、いずれも、導電層の露出部に電極となる導通性部材をいかに設けるかを記載しているだけであって、該露出部を設ける上での上記問題やその解決策を示唆するものではない。
特開2004−327720号公報 特開平9−230797号公報 特開2000−36687号公報 特開2005−183742号公報
本発明の目的は、フィルターの強度を低下させずに高い電磁波遮蔽効果が得られ、更に、生産性向上に有用なディスプレイ用フィルター、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下のいずれかの構成によって基本的に達成される。
(1)反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層が導電層上に設けられた積層体を備え、該積層体の少なくとも1辺の端縁部に、機能層側表面から少なくとも導電層に達し、かつ側辺に略平行に直線状で不連続な空隙を有するディスプレイ用フィルターであって、該空隙は幅が0.3〜4mmで、積層体1辺当たりの空隙の合計長さが該積層体1辺の長さに対して10〜90%であることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
(2)前記空隙は、0.5〜10cmの間隔で設けられている、前記(1)に記載のディスプレイ用フィルター。
(3)前記空隙に導電性材料が配置されている、前記(1)または(2)に記載のディスプレイ用フィルター。
(4)反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を導電層上に設け積層体を得る工程(A)と、該積層体を所定サイズに切断する工程(B)と、該積層体の切断後の少なくとも1辺の端縁部に相当する位置に、機能層側表面からレーザーを照射して、少なくとも導電層に達しかつ直線状で不連続な空隙を形成する工程(C)とを含むディスプレイ用フィルターの製造方法であって、前記空隙を、幅が0.3〜4mmで、かつ、切断後の積層体1辺当たりの空隙合計長さが該積層体1辺の長さに対して10〜90%となるように形成することを特徴とするディスプレイ用フィルターの製造方法。
(5)更に、前記空隙に導電性材料を配置する工程を含む、前記(4)に記載のディスプレイ用フィルターの製造方法。
(6)前記積層体を得る工程(A)が、更に機能層上にカバーフィルムを積層する工程を含み、前記空隙を形成する工程(C)において、該カバーフィルムの表面からレーザーを照射する、前記(4)または(5)に記載のディスプレイ用フィルターの製造方法。
本発明によれば、フィルターの強度を低下させずに高い電磁波遮蔽効果が得られ、さらに生産性を向上することができるディスプレイ用フィルターおよびその製造方法を提供することができる。
本発明のディスプレイ用フィルターを構成する積層体は、導電層上に、反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層(以降、単に機能層と称す)を有する。上記機能層は、導電層の上に直接に積層されていてもよいし、接着層、プラスチックフィルム、あるいはその他の機能層(例えば、近赤外線遮蔽層、色調調整層、外光遮蔽層等)を介在した状態で積層されていてもよい。また、導電層のもう一方の面(機能層が設けられる面の反対面)には、プラスチックフィルム、接着層、あるいは上記したその他の機能層を有していてもよい。本発明のディスプレイ用フィルターは、ディスプレイに装着した際、反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層が視認側(観賞側)になるように配置される。
以下、反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層について詳細に説明する。本発明の機能層は単一層であっても複数層で構成されていてもよく、また防汚機能等の他の機能を併せ持った層であってもよい。
反射防止機能を有する層(反射防止層)は、ディスプレイの画像表示に影響を与える蛍光灯などの外光の反射や映り込みを防止するものである。反射防止層は、表面の視感反射率が5%以下であることが好ましく、4%以下がより好ましく、特に3%以下であることが好ましい。ここで視感反射率は、分光光度計等を使用して可視領域波長(380〜780nm)の反射率を測定し、CIE1931システムに準じて計算された視感反射率(Y)である。
このような反射防止層としては、高屈折率層と低屈折率層とを低屈折率層が視認側になるように2層以上積層したものを用いることが好ましい。高屈折率層の屈折率は1.5〜1.7の範囲が好ましく、特に1.55〜1.69の範囲が好ましい。低屈折率層の屈折率は1.25〜1.49の範囲が好ましく、特に1.3〜1.45の範囲が好ましい。
高屈折率層を形成する材料としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどを重合硬化させたもの、あるいはシリコーン系、メラミン系、エポキシ系の架橋性樹脂原料を架橋硬化させたもの等の有機系材料、酸化インジウムを主成分としこれに二酸化チタンなどを少量含ませたもの、あるいはAl2 3 、MgO、TiO2 等の無機系材料が挙げられる。これらの中でも、有機系材料が好ましく用いられる。以下に本発明の高屈折率層の好ましい態様を説明する。
本発明において、高屈折率層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂、含リン系樹脂、含スルフィド樹脂、含ハロゲン樹脂などの樹脂成分を単体または混合系で用いることが出来るが、特に、硬度と耐久性などの点から、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂を用いるのが好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点から、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリレート系樹脂は、活性エネルギー線照射によって容易にラジカル重合が起こり、形成される膜の耐溶剤性や硬度が向上するので好ましい。かかる(メタ)アクリレート系樹脂として、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エステルトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
高屈折率層には、更にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(モノマー)を使用することができる。具体的には、酸性官能基含有モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和カルボン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のリン酸(メタ)アクリル酸エステル、2−スルホエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合などの極性を持った結合を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
高屈折率層には、塗布した樹脂成分の硬化を進めるために開始剤を含有させてもよい。該開始剤としては、塗布したバインダー成分を、ラジカル反応、アニオン反応、カチオン反応等による重合および/または架橋反応を開始あるいは促進せしめるものであり、従来から公知の各種光重合開始剤が使用可能である。かかる光重合開始剤としては、具体的には、ソジウムメチルジチオカーバメイトサルファイド、ジフェニルモノサルファイド、ジベンゾチアゾイルモノサルファイド及びジサルファイド等のサルファイド類や、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体や、ヒドラゾン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、ベンゼンジアゾニウム塩等のジアゾ化合物や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−クロロアントラキノン等の芳香族カルボニル化合物や、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、D−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、p−ジエチルアミノ安息香酸イソプロピル等のジアルキルアミノ安息香酸エステルや、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物や、9−フェニルアクリジン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9−アセチルアミノアクリジン、ベンズアクリジン等のアクリジン誘導体や、9,10−ジメチルベンズフェナジン、9−メチルベンズフェナジン、10−メトキシベンズフェナジン等のフェナジン誘導体や、6,4’,4”−トリメトキシ−2、3−ジフェニルキノキサリン等のキノキサリン誘導体や、2,4,5−トリフェニルイミダゾイル二量体、2−ニトロフルオレン、2,4,6−トリフェニルピリリウム四弗化ホウ素塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、3,3’−カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等が挙げられる。
また、高屈折率層には、上記開始剤の酸素阻害による感度の低下を防止するために、光重合開始剤にアミン化合物を共存させてもよい。このようなアミン化合物としては、例えば、脂肪族アミン化合物や、芳香族アミン化合物等の不揮発性のものであれば、特に限定されないが、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等が適切である。
また、高屈折率層には、金属酸化物微粒子を含有させてもよい。これによって帯電防止効果が得られる。金属酸化物微粒子としては錫含有酸化アンチモン粒子(ATO)、亜鉛含有酸化アンチモン粒子、錫含有酸化インジウム粒子(ITO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子等が好ましく、より好ましくは錫含有酸化インジウム粒子(ITO)、錫含有酸化アンチモン粒子(ATO)である。
かかる金属酸化物粒子は、平均粒子径(BET法により測定される非表面積(JIS R1626:1996年)に基づく球相当径分布から計算される算術平均粒子径(JIS Z8819−1:1999年およびZ8819−2:2001年))が0.5μm以下の粒子が好適に使用されるが、より好ましくは、0.001〜0.3μm、更に好ましくは0.005〜0.2μmの粒子径のものが用いられる。該平均粒子径が、この範囲を超えると高屈折率層の透明性を低下させ、この範囲未満では、該粒子が凝集し易くヘイズ値が増大する場合がある。金属酸化物粒子の含有量は、樹脂成分に対して、0.1〜20質量%の範囲が好ましい。
更に、高屈折率層には、重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、分散剤等の各種添加剤を含有することができる。
高屈折率層の厚みは、0.01〜20μmの範囲が好ましく、0.05〜10μmの範囲がより好ましい。
反射防止層を構成する低屈折率層は、含フッ素ポリマー、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル、含フッ素シリコーン等の有機系材料、MgF2 、CaF2 、SiO2 等の無機系材料で構成することができる。以下に低屈折率層の好ましい態様を例示する。
低屈折率層の1つの好ましい態様として、MgF2やSiO2等の薄膜を真空蒸着法やスパッタリング、プラズマCVD法等の気相法により形成する方法、或いはSiO2ゾルを含むゾル液からSiO2ゲル膜を形成する方法等が挙げられる。
低屈折率層の他の好ましい態様として、シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーを主成分とする構成を採用することができる。なお、ここで言う「結合」とは、シリカ系微粒子のシリカ成分とマトリックスのシロキサンポリマーが反応して均質化している状態を意味する。シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーは、該シリカ系微粒子の存在下、多官能性シラン化合物を溶剤中、酸触媒により、公知の加水分解反応によって、一旦シラノール化合物を形成し、公知の縮合反応を利用することによって得ることができる。
かかる多官能性シラン化合物としては、多官能性フッ素含有シラン化合物を含むことが低屈折率化、防汚性の点から好ましく、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランなどの3官能性フッ素含有シラン化合物、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性フッ素含有シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点から、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシランが、より好ましい。
かかる多官能性フッ素非含有シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性シラン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点からビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが、より好ましい。
また、上述のシリカ系微粒子としては、平均粒子径1nm〜200nmのシリカ系微粒子であることが好ましく、特に好ましくは、平均粒子径1nm〜70nmである。平均粒子径が1nmを下回ると、マトリックス材料との結合が不十分となり、硬度が低下することがある。一方、平均粒子径が200nmを越えると、粒子を多く導入して生じる粒子間の空隙の発生が少なくなり、低屈折率化の効果が十分発現しないことがある。さらに、かかるシリカ系微粒子の中でも、内部に空洞を有する構造のものが、屈折率を低下させるために、特に好ましく使用される。
かかる内部に空洞を有するシリカ系微粒子とは、外殻によって包囲された空洞部を有するシリカ系微粒子、多数の空洞部を有する多孔質のシリカ系微粒子等が挙げられ、いずれも好適に用いられる。このような例としては例えば、特許第3272111号公報に開示されている方法によって製造でき、微粒子内部の空洞の占める体積、すなわち微粒子の空隙率としては、5%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。空隙率は、例えば、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。また、該微粒子自体の屈折率は、1.20〜1.40であるのが好ましく、1.20〜1.35であるのがより好ましい。このようなシリカ系微粒子としては、例えば特開2001−233611号公報に開示されているものや、特許第3272111号公報等の一般に市販されているものを挙げることができる。
低屈折率層の厚みは、0.01〜1μmの範囲が好ましく、0.02〜0.5μmの範囲がより好ましい。
防眩機能を有する層(防眩層)は、画像のギラツキを防止するものであり、表面に微小な凹凸を有する膜が好ましく用いられる。防眩層としては、例えば、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂に粒子を分散させて支持体上に塗布および硬化させたもの、あるいは、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を表面に塗布し、所望の表面状態を有する型を押し付けて凹凸を形成した後に硬化させたものなどが用いられる。防眩層は、ヘイズ値(JIS K 7136:2000年)が0.5〜20%であることが好ましい。防眩層の厚みは、0.01〜20μmが好ましい。
本発明の機能層として、反射防止機能と防眩機能を併せ持つ層を用いることは好ましい態様の1つである。また、本発明の機能層は、以下のハードコート機能を単独で用いることもできるが、ハードコート機能と反射防止機能あるいは防眩機能を併せ持つのも好ましい態様の1つである。
ハードコート機能を有する層(ハードコート層)は、傷防止のために設けられる。ハードコート層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
また、反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
また、市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
ハードコート層形成組成物を構成するアクリル化合物の代表的なものを例示すると、1分子中に3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる混合物を主たる構成成分とし、活性エネルギー線硬化または熱硬化によって得られるハードコート層が、硬度、耐摩耗性および可撓性に優れている点で好ましく用いられる。(メタ)アクリロイルオキシ基が多すぎる場合には、単量体は高粘度となり取り扱いし難くなり、また、高分子量とならざるを得なくなって塗布液として用いることが困難となるので、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基は好ましくは10個以下である。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーとしては、1分子中に3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物などを挙げることができる。具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。これらの単量体およびプレポリマーは、1種または2種以上を混合して使用することができる。特にこれらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物は、後述するイソシアネートとの併用により、ハードコート層と隣接層との接着性を向上させることができるので特に好ましい。
これらの1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合は、ハードコート層構成成分総量に対して20〜90質量%が好ましく、より好ましくは30〜80質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。
上記単量体およびプレポリマーの使用割合が20質量%未満の場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜を得るという点で不十分な場合がある。また、その使用割合が90質量%を超える場合は、硬化による収縮が大きく、硬化被膜に歪が残ったり、被膜の可撓性が低下したり、硬化被膜側に大きくカールするなどの不都合を招く場合がある。
また、これらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。使用割合が10質量%未満の場合には、ハードコート層と隣接層との接着性を向上させる効果が小さい。使用割合が80質量%を超える場合は、ハードコート層内の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
次に、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用することができる。
また、分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メタ)アクリレート等を用いることができる。
すなわち、(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなど;
(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど;(c)多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど;(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど;(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類など、および;(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類など。
分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、およびt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドンなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上混合して使用してもよい。
これらの1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、ハードコート層構成成分総量に対して10〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。単量体の使用割合が50質量%を超える場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られにくくなる場合がある。また、その使用割合が10質量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下したり、基材フィルム上に設けた積層膜との接着性が低下する場合がある。
本発明において、ハードコート形成組成物を硬化させる方法としては、例えば、活性エネルギー線として紫外線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、前記ハードコート組成物に、光重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
光重合開始剤または熱重合開始剤の使用量は、ハードコート層形成組成物100質量部に対して、0.01〜10質量部が適当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また220℃以上の高温で熱硬化させる場合には、熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
本発明におけるハードコート層形成組成物は、ポリイソシアネート化合物を含有していることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等の少なくとも2量体以上のものが挙げられる。これらポリイソシアネート化合物は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
これらのポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体は、前記したハードコート層形成組成物に混合されて塗布される。上記ポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量は、接着性、表面硬度、耐湿熱性および虹彩模様低減の点で、ハードコート層形成組成物に対し、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。配合量が0.5質量%未満の場合には、接着性向上効果が不足したり、虹彩模様の低減が不十分な場合があり、また配合量が50質量%を超えると表面硬度が低下する場合がある。
上記ポリイソシアネートを添加したハードコート層形成組成物には、その硬化効率を高める目的で有機金属触媒を含有させることも好ましい。
有機金属触媒は、特に限定されるものではなく、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機4A族元素(チタン、ジルコニウムまたはハフニウム)化合物などが挙げられるが、安全性を考慮した場合、非錫系金属触媒である有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、および、有機チタン化合物から選ばれたものが好ましく適用される。有機錫化合物としては、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウリレートなどのジブチル錫脂肪酸塩、ジオクチル錫ジラウリレートなどのジオクチル錫脂肪酸塩が例示できる。
有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ハフニウム化合物、有機チタン化合物としては、これらの金属のオルトエステルとβ−ケトエステル(βジケトン)の反応生成物が例示され、具体的にはジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、アルミニウムテトラ−n−プロポキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、アルミニウムテトラ−n−ブトキシドなどの金属オルトエステルと、アセチルアセトン、メチルアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどのβケトエステル(βジケトン)との反応生成物を挙げることができる。金属オルトエステルとβジケトエステル(βジケトン)の混合モル比率は4:1〜1:4程度が好ましく、より好ましくは2:1〜1:4である。4:1より金属オルトエステルが多い場合は触媒の反応性が高すぎてポットライフが短くなりやすく、1:4よりβジケトエステルが多い場合は触媒活性が低下するため好ましい態様では無い。本発明における有機金属系触媒のハードコート組成物中の含有量は0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜2質量%である。0.001質量%より少ない場合には触媒添加効果が低く、10質量%より多くすることは経済的見地から好ましくない。
上記した組成物の好ましい態様としては、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物10〜80質量%、イソシアネート化合物1〜30質量%および必要に応じて有機金属系触媒0.001から10質量%の範囲とするのが望ましい。さらに必要に応じて1〜2個のエチレン性不飽和結合を有する単量体を50質量%以下添加しても良い。
本発明において、ハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサンを基本骨格とし、ポリオキシアルキレン基が付加されたものが好ましく、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
またハードコート層上にさらに積層膜を設ける場合には、接着性を阻害しないアクリル系レベリング剤を適用するのが好ましい。このようなレベリング剤としては「ARUFON−UP1000シリーズ、UH2000シリーズ、UC3000シリーズ(商品名):東亜合成化学(株)製)などを好ましく用いることができる。レベリング剤の添加量はハードコート組成物100質量部に対し、0.01〜5質量部の範囲とするのが望ましい。
本発明で用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができる。またさらに、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、さらに好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
ハードコート層の厚さは、0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。ハードコート層の厚さが0.1μm未満の場合には十分硬化していても薄すぎるために、表面硬度が十分でなく、傷が付きやすくなる傾向にある。一方、ハードコート層の厚さが20μmを超える場合には、折り曲げなどの応力により、硬化膜にクラックが入りやすくなる傾向にある。
ハードコート層には、前述した反射防止層を構成する高屈折率層としての機能を付与することができる。ハードコート層の高屈折率化は、ハードコート層形成用樹脂組成物中に高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加することにより、あるいは高屈折率成分の分子や原子を含んだ樹脂を用いることにより図られる。
前記高屈折率を有する超微粒子は、その粒径が5〜50nmで、屈折率が1.65〜2.7程度のものが好ましく、具体的には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO2(屈折率2.3〜2.7)、CeO2(屈折率1.95)、Sb2 5(屈折率1.71)、SnO2、ITO(屈折率1.95)、Y23(屈折率1.87)、La23(屈折率1.95)、ZrO2(屈折率2.05)、Al23(屈折率1.63)等の微粉末が挙げられる。
前記屈折率を向上させる樹脂に含まれる分子及び原子としては、F以外のハロゲン原子、S、N、Pの原子、芳香族環等が挙げられる。
さらに、本発明のディスプレイ用フィルターには、上述した機能層とは別の機能層を設けることも好ましく、例えば近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能を付与することも好ましい。
近赤外線遮蔽機能は、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が15%以下となるように調整するのが好ましい。近赤外線遮蔽機能は、プラスチックフィルムに近赤外線吸収色素や顔料を混錬することによって付与してもよいし、近赤外線遮蔽層を新たに設けてもよい。あるいは、後述する接着層に近赤外線遮蔽機能を持たせてもよい。近赤外線遮蔽機能は、近赤外線吸収色素や顔料を用いることによって、あるいは導電性薄膜のような金属の自由電子によって近赤外線を反射する層を設けることによって付与することができる。本発明においては、近赤外線吸収色素や顔料を樹脂バインダー中に分散もしくは溶解した塗料を塗布乾燥して形成した近赤外線遮蔽層を用いること、あるいは接着層に上記近赤外線吸収色素や顔料を含有させる態様が好ましく用いられる。近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等の公知の色素が挙げられる。
色調調整機能は、ディスプレイから発光される特定波長の光を吸収して色純度や白色度を向上させるための機能である。特に赤色発光の色純度を低下させるオレンジ光を遮蔽するのが好ましく、波長580〜620nmの範囲に吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。更に、白色度を向上させるために波長480〜500nmに吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。色調調整機能は、上記した波長の光を吸収する色素を含有する層を新たに設けてもよいし、上述の近赤外線遮蔽層あるいは接着層に色素を含有させてもよい。
可視光透過率調整機能は、可視光の透過率を調整するための機能であり、染料や顔料を含有させて調整することができる。可視光透過率調整機能は、プラスチックフィルム、近赤外線遮蔽層、接着層に付与してもよいし、あるいは新たに透過率調整層を設けてもよい。
本発明のディスプレイ用フィルターには、接着層を設けることができる。かかる接着層としては、機能層を有するプラスチックフィルム(機能性フィルム)と導電層を有するプラスチックフィルム(電磁波遮蔽フィルム)を貼り合わせるための接着層、あるいはディスプレイ用フィルターをディスプレイに貼り付けるための接着層等が挙げられる。接着層には、前述したように近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能を付与することができる。また、ディスプレイ用フィルターをディスプレイに貼り付けるための接着層に、ディスプレイを衝撃から保護するための衝撃緩和機能を付与することは好ましい態様である。接着層に衝撃緩和機能を付与するには、接着層の厚みを100μm以上にすることが好ましく、300μm以上がより好ましく、特に500μm以上が好ましい。上限の厚みは、接着層のコーティング適性を考慮して3000μm以下が好ましい。
接着層には、公知の接着材あるいは粘着材を用いることができる。粘着材としては、アクリル、シリコン、ウレタン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニルなどが挙げられる。接着材としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
続いて、本発明は、導電層からの電極取り出しのために積層体の周辺部に空隙を形成するが、後述するようにレーザーを用いて機能層を燃焼・蒸発して空隙を形成するのが好ましく、機能層はレーザー照射によって燃焼・蒸発が可能な構成にするのが好ましい。従って、機能層は有機物を含む構成にするのが好ましく、機能層を構成する全組成に対して樹脂等の有機系材料を30質量%以上含有するのが好ましく、50質量%以上含有するのがより好ましく、特に70質量%以上含有するのが好ましい。
前述したように本発明の機能層は単一層であっても、複数層であってもよいが、好ましくは複数層構成である。機能層の複数層構成としては、a)ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、b)高屈折率ハードコート層/低屈折率層、c)ハードコート層/防眩層、d)ハードコート層/防眩性反射防止層、等が例示される。
本発明における導電層は、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽するための層である。導電層の面抵抗値は、低い方が好ましく、10Ω/□以下が好ましく、5Ω/□以下がより好ましく、特に3Ω/□以下が好ましい。面抵抗値の下限値は0.01Ω/□程度である。導電層の面抵抗値は、4端子法により測定することができる。
導電層としては、導電性メッシュ、導電性薄膜などを用いることができる。
導電性メッシュとしては、例えば合成繊維または金属繊維のメッシュに金属被覆した繊維メッシュ、金属を格子状もしくはランダムメッシュ状にパターン化した金属メッシュなどを用いることができる。金属メッシュとしては、例えば、金属膜を形成した後にパターンエッチング処理した金属エッチング膜、導電性ペーストをパターン印刷したもの、半導体ペーストをパターン印刷した後導電加工したもの、導電性ペーストを感光パターニングしたもの、半導体ペーストを感光パターニングした後導電加工を施したものなどが挙げられる。
導電性薄膜としては、金属薄膜や酸化物半導体膜、それらの積層体などを用いることができる。金属薄膜の材料としては、銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などが用いられる。金属薄膜の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、メッキ等の公知の方法を用いることができる。酸化物半導体膜の材料としては、亜鉛、チタン、インジウム、スズ、ジルコニウム、ビスマス、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物、硫化物、またはこれら酸化物の混合物などが用いられる。酸化物半導体の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式塗工等の公知の方法を用いることができる。
本発明に用いられる導電層としては、導電性メッシュが好ましい。導電性メッシュは、スパッタ法や真空蒸着法等によって形成された金属薄膜からなる導電層に比べて、低い面抵抗値が得られるという利点がある。
導電性メッシュを得るための方法としては、銅箔等の金属膜をプラスチックフィルムに接着材を介して貼り合わせた金属膜積層フィルムを、フォトリソグラフ法、スクリーン印刷法等を利用してエッチングレジストパターン作製した後、金属膜をエッチングする方法がある。
フォトリソグラフ法は、金属膜積層フィルムの金属膜に紫外線等の照射により感光する感光層を設け、この感光層にフォトマスク等を用いて像様露光し、現像してレジスト像を形成する方法である。
スクリーン印刷法は、金属膜積層フィルムの金属膜表面にエッチングレジストインクをパターン印刷し、硬化させてレジスト像を形成する方法である。
エッチングする方法としては、ケミカルエッチング法等がある。ケミカルエッチングとは、エッチングレジストで保護された導体部分以外の不要導体をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。
導電性メッシュを得るための他の方法としては、1)金属薄膜(上記の金属箔を積層する以外の方法で形成された金属薄膜)をエッチング加工する方法、2)印刷パターン上にメッキする方法、3)感光性銀塩を用いる方法、4)印刷パターン上に金属膜積層後に現像する方法、及び5)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法なども挙げられる。以下にそれぞれの方法を詳細に説明する。
上記1)の方法は、プラスチックフィルム上に粘着材あるいは接着材からなる接着層を介さずに金属薄膜を形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフ法あるいはスクリーン印刷法等を利用してエッチングレジストパターンを作製した後、金属薄膜をエッチングする方法である。金属薄膜の形成は、金属(例えば銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金など)をスパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、あるいはメッキ等の公知の方法を用いて行うことができる。
上記2)の方法は、プラスチックフィルムに触媒インク等でメッシュパターンを印刷し、これに金属メッキを施す方法である。この1つの方法として、パラジウムコロイド含有ペーストからなる触媒インクを用いてメッシュパターンに印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して導電性メッシュパターンを形成する方法がある。
上記3)の方法は、ハロゲン化銀などの銀塩乳剤層をプラスチックフィルムにコーティングし、フォトマスク露光あるいはレーザー露光の後、現像処理して銀のメッシュを形成する方法である。形成された銀メッシュは更に銅、ニッケル等の金属でメッキするのが好ましい。この方法は、国際公開第04/7810号パンフレット、特開2004−221564号公報、特開2006−12935号公報等に記載されており、参照することができる。
上記4)の方法は、プラスチックフィルム上に剥離可能な樹脂でメッシュパターンとは逆パターンの印刷を施し、その印刷パターン上に金属薄膜を上記1)と同様の方法で形成した後、現像して樹脂とその上の金属膜を剥離して金属のメッシュパターンを形成する方法である。剥離可能な樹脂として、水、有機溶剤あるいはアルカリに可溶な樹脂やレジストを用いることができる。この方法は、特開2001−185834号公報、特開2001−332889号公報、特開2003−243881号公報、特開2006−140346号公報、特開2006−156642号公報等に記載されており、参照することができる。
上記5)の方法は、上記1)と同様の方法でプラスチックフィルム上に形成された金属薄膜をレーザーアブレーション方式で金属メッシュを作製する方法である。
レーザーアブレーションとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象である。この現象を利用することで固体表面を加工することが出来る。レーザー光は直進性、集光性が高い為、アブレーションに用いるレーザー光の波長の約3倍程度の微細な面積を選択的に加工することが可能であり、レーザーアブレーション法により高い加工精度を得ることが出来る。
かかるアブレーションに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザーを用いることが出来る。例えばガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることが出来る。また、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調波光源(SHG)、第三高調波光源(THG)、第四高調波光源(FHG)を用いることが出来る。
かかる固体レーザーの中でも、プラスチックフィルムを加工しないという観点から、波長が254nmから533nmの紫外線レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくはNd:YAG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット) などの固体レーザーのSHG(波長533nm)、さらに好ましくはNd:YAG などの固体レーザーのTHG(波長355nm)の紫外線レーザーを用いることが好ましい。
かかるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることが出来るが,加工精度の点からパルスレーザーを用い,さらに望ましくはパルス幅がns以下のQスイッチ方式のパルスレーザーを用いることが好ましい。
また、この方法の場合、金属薄膜の上(視認側)に更に0.01〜0.1μmの金属酸化物層を形成した後に、金属薄膜と金属酸化物層とをレーザーアブレーションするのが好ましい。金属酸化物としては銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタン、すずなどの金属酸化物を用いることができるが、価格や膜の安定性などの点から銅酸化物が好ましい。金属酸化物の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めっき法等を用いることができる。
本発明に用いることができる導電性メッシュのメッシュパターンとしては、格子状パターン、5角形以上の多角形からなるパターン、円形パターン、あるいはこれらの複合パターンが挙げられ、更にランダムパターンも好ましく用いられる。メッシュの線幅及び線間隔(ピッチ)は、開口率が70%以上となるように設計するのが好ましく、線幅としては5〜40μmが好ましく、線間隔(ピッチ)は100〜500μmの範囲が好ましい。導電層の厚みは、0.1〜20μmの範囲が適当である。
本発明において、導電性メッシュは黒化処理するのが好ましい。黒化処理は、酸化処理や黒色印刷により行うことができる。例えば、特開平10−41682号公報、特開2000−9484号公報、特開2005−317703号公報等に記載の方法を用いることができる。黒化処理は、導電性メッシュの少なくとも視認側の表面と両側面を行うのが好ましく、更には導電性メッシュの両面及び両側面を黒化処理するのが好ましい。
また、ディスプレイ用フィルターに用いられる積層体を連続生産ラインで効率よく製造するためには、導電層は連続メッシュであることが好ましい。連続メッシュとは、メッシュパターンが途切れることなく形成されたものであり、例えば、少なくとも導電層を有する積層体を長尺ロール状で製造した場合に、ロールの巻き方向にメッシュが連続的に形成されていることである。このような連続メッシュを用いることにより、積層体ロールをカットしてシート状のディスプレイ用フィルターを製造するときに、歩留まり及び生産性が向上する。また、連続メッシュは、いろんなサイズのディスプレイへの対応が容易であること、及び、ディスプレイ用フィルターの製造過程において欠陥が発生した場合は、欠陥部分のみの限られた量の廃棄ですむこと等の利点がある。
本発明のディスプレイ用フィルターにおいては、導電層の支持体としてあるいは機能層の支持体としてプラスチックフィルムを1枚もしくは2枚用いるのが好ましい。かかるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。プラスチックフィルムの厚みとしては、50〜300μmの範囲が適当であるが、コストの観点及びディスプレイ用フィルターの剛性を確保するという観点から90〜250μmの範囲が特に好ましい。
本発明に用いられるプラスチックフィルムには、導電層あるいは機能層との密着性(接着強度)強化のための下引き層(プライマー層)を設けておくのが好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターは、機能層の上に更に防汚層を設けることができる。防汚層は、ディスプレイ用フィルターに、人が指で触ることによって油脂性物質が付着するのを防止したり、大気中のごみや埃が付着するのを防止したり、あるいはこれらの付着物が付着しても除去しやすくするための層である。かかる防汚層としては、例えば、フッ素系コート剤、シリコーン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が用いられる。防汚層の厚さは、1〜10nmの範囲が好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターは前述した構成の積層体からなり、積層体の機能層側表面から機能層を貫通して少なくとも導電層に達する空隙を、積層体の少なくとも1辺の端縁部に有する。ディスプレイ用フィルターの強度や取り扱い性の観点から、空隙は積層体を貫通しないのが好ましい。
本発明が対象とするディスプレイ用フィルターには、ディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着し筐体に組み立てたときに導電層と筐体の外部電極とを電気的に接続するための電極を設ける必要がある。上記した空隙は導電層が露出しており、この導電層の露出部が電極となる。
本発明において、空隙は積層体の端縁部に設けられるが、ここで、積層体の端縁部とは、かかる積層体からなるディスプレイ用フィルターをディスプレイに設置した際に、ディスプレイの画像表示領域の外周に相当する部分のことを言い、好ましくはディスプレイ用フィルターの端部から1mm以上内側で、画像表示領域に相当する部分から1mm以上外側の範囲である。
本発明が対象とするディスプレイ用フィルターは通常長方形であり、従って、それを構成する上記積層体も長方形である。空隙は、少なくとも対向する2辺の端縁部に設けるのが好ましく、更に積層体の4辺の端縁部にそれぞれ形成するのがより好ましい。
ここで、本発明における空隙は、幅が0.3〜4mmで、側辺に略平行な直線状でかつ不連続に形成される。空隙は破線状に設けるのが好ましく、ほぼ等間隔の破線状に設けるのがより好ましい。積層体の1辺当たりの空隙の合計長さは、積層体の辺の長さに対して10〜90%である。上記比率は、更に20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。また、上記比率の上限は80%以下が好ましい。
本発明において、空隙の幅は、積層体における表面開口幅を意味するものである。1辺当たり5箇所の空隙の幅を測定して平均する。測定法は特に限定されないが、例えば空隙部の断面写真を顕微鏡等で撮影し、その断面写真から求めることができる。この断面写真から測定する方法は、空隙の幅が1mm以下の場合に好適である。
本発明における空隙が、導電層と筐体とを接続する電極の役目をすることは前述した通りであり、ディスプレイから発生する電磁波を遮断するためには、1辺の全長に渡って連続した電極を形成することが最良であることは言うまでもない。一方、この切り欠き溝が辺のほぼ全長に渡って形成されると、ディスプレイ用フィルターの端縁部の強度低下を招き取り扱い性に不都合が生じ、さらにフィルター表面に設けられるカバーフィルム剥離除去時に生産効率低下を招くなど問題がある。また、空隙を単発的に点在させただけでは十分な電磁波遮蔽効果が得られない。しかしながら、本発明においては、上述のような構成、すなわち電極となる導電層を露出するための切り欠き状溝(空隙)を、積層体の端部から内よりに断続的に、好ましくは合計長さが所定長になるように形成することによって、ディスプレイ用フィルターの強度を低下させることなく電磁波を有効に遮断することが可能で、かつ当該フィルターを生産効率良く形成することもできるのである。
以下、図面を用いて本発明の不連続な空隙について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す、ディスプレイ用フィルターを構成する積層体100の平面図である。また、図2は、図1に示す積層体100のY−Y線模式断面図である。
積層体100は、図2に示すように、プラスチックフィルム2の上に導電層3が形成された電磁波遮蔽フィルムと、プラスチックフィルム4の上に機能層5が積層された機能性フィルムとが接着層6を介して貼り合わされた構成になっている。プラスチックフィルム2の裏面には、該ディスプレイ用フィルターをディスプレイに直接的もしくはガラス板や樹脂板を介して間接的に貼り付けるための接着層7が設けられている。
そして、積層体100の4辺の端縁部それぞれには、空隙1が形成されている。空隙1は、機能層側表面から機能層5、プラスチックフィルム4、及び接着層6を貫通して導電層3に達しており、導電層3が露出している。
図面に向かって右側の辺側の端縁部を参照して具体的に説明する。右側の辺側の端縁部には空隙1a、1b、1c、及び1dが直線状かつ不連続に形成されている。右側の辺の長さLに対して、空隙1a、1b、1c、及び1dの合計長さは前述したように10〜90%である。
以下、空隙の長さ、間隔、個数等の好ましい範囲について説明するが、これらの範囲はいずれも、電磁波遮蔽性能の確保とディスプレイ用フィルターの強度の確保を両立する上で好ましい範囲である。
空隙1個当たりの長さは、0.5cm以上が好ましく、1cm以上がより好ましく、上限は10cm以下が好ましく、5cm以下がより好ましい。空隙と空隙の間隔pは、0.5〜10cmの範囲が好ましく、0.5〜8cmの範囲がより好ましい。
空隙は、図1に示すように破線状に設けるのが好ましく、1辺当たりの空隙の数は3〜50個が好ましく、5〜40個の範囲がより好ましい。また、1辺当たりの空隙の合計の長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B)は、0.2〜9の範囲が好ましく、0.3〜8の範囲がより好ましく、特に0.4〜4の範囲が好ましい。
また、本発明において、空隙の幅wは0.3〜4mmである。空隙の幅wが0.3mmより小さくなるとディスプレイ筐体(外部電極)との導通が不十分になり十分な電磁波遮蔽効果が得られず、一方4mmより大きくなるとディスプレイ用フィルターの強度低下、導電層の露出面が大きくなり導電層が酸化劣化しやすくなるという問題、及び後述するように空隙形成工程の効率低下及び空隙に充填する電極ペースト等の導電性材料の剥離脱落等を招く。このような観点から、空隙の下限幅は0.4mm以上が好ましく、一方上限幅は3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、更に1.5mm以下が好ましい。
さらに、本発明においては、空隙の幅(W)と導電層表面から積層体表面までの距離(T)との間に好ましい関係がある。即ち、空隙の幅(W)に対する距離(T)の比率(T/W)は、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、特に3%以下が好ましい。一方、上記比率の下限としては0.1%程度が好ましい。上記の範囲は、筐体側の外部電極と導電層との導通をより確かなものとする。
本発明のディスプレイ用フィルターを構成する積層体の他の態様を図3、4に示す。図3、4は図2と同様に空隙部分の模式断面図である。図3の積層体200は、支持体となるプラスチックフィルムが1枚のみで構成され、プラスチックフィルム2の上に設けられた導電層3上に、プラスチックフィルムや接着層を介さずに機能層5が積層されたものである。プラスチックフィルム2の反対面には、図2の態様と同様に接着層7が積層されている。空隙1は、機能層側表面から機能層5を貫通して導電層3に達しており、導電層3が露出している。
図4の積層体300は、図3と同様に、支持体となるプラスチックフィルムが1枚のみで構成され、該プラスチックフィルムの一方の面に導電層、他方の面に機能層が形成されたものである。導電層3のプラスチックフィルムとは反対側の面には接着層7が積層されている。空隙1は、機能層5及びプラスチックフィルム2を貫通して導電層3に達しており、導電層3が露出している。
次に空隙の形成方法について説明する。本発明においては、導電層の上に位置する機能層等を物理的な方法で剥離することなく空隙を形成することが好ましく、係る空隙形成方法としてレーザーを用いる方法が好ましく用いられる。レーザーは照射によって機能層等の有機物を蒸発あるいは燃焼させるので、物理的に切断、剥離することなしに空隙を形成することができる。また、レーザーを照射する方法は、上記したようにディスプレイ用フィルターに物理的な接触なしに空隙が形成できること、ほぼ一定の幅で空隙を形成できること、及び空隙の深さ方向の制御が精度よくできるという利点がある。このようなレーザーの出力源としては、ヨウ素、YAG、COなどがあるが、特にCOレーザーは、空隙幅及び空隙深さを精度よく制御できること、及び金属からなる導電層を破壊せずに機能層を蒸発・燃焼させて空隙を形成できる点で好ましい。
空隙をレーザー照射で形成する場合、空隙の幅及び深さは、レーザーの焦点位置、レーザーの出力、及びレーザーの走査速度(ヘードスピード)を調整することによって制御することができる。空隙の幅は更に走査回数を調整することによって制御することができるが、1回の走査でも本発明が所望とする空隙を形成することができる。空隙の幅が4mm以下が好ましいことは前述した通りであるが、幅が4mmを越える空隙を形成するためにはレーザーの走査回数を多くする必要があり、生産効率が低下する。
本発明においては、更に空隙に電極となる導電性材料を配置することが好ましく、これによって更に外部電極との導通を安定的に確保することができる。この空隙に導電性材料を配置する態様は、上記の(T/W)が上記した比率より大きい場合に特に有効である。
空隙に導電性材料を配置する1つの態様として、空隙に導電性ペーストやはんだ等の流動性の導電性材料を塗布あるいは充填する態様がある。導電性ペーストとしては、銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などを含有する金属ペーストを用いることができる。
空隙に導電性材料を配置する他の態様として、空隙に挿入することができるように加工された導電性固体を配置する態様がある。導電性固体としては導電性金属あるいは非導電体の表面に導電性金属を被覆したものが用いられる。
空隙に導電性材料を配置する更に他の態様として、導電性粘着テープを空隙の上から貼り付ける態様がある。この場合、導電性粘着テープを貼り付けた後にヒートシーラー等で導電性粘着テープを加熱加圧するのが好ましい。本発明のディスプレイ用フィルターは、フィルター最表面から導電層表面までの距離が短いため、導電性粘着テープを加熱加圧することで、導電性粘着テープを導電層と接触させることができる。
導電性粘着テープは、金属箔の一方の面に導電性粒子を分散させた粘着層を設けたものであって、この粘着層には、アクリル系、ゴム系、シリコン系粘着剤や、エポキシ系、フェノール系樹脂に硬化剤を配合したものを用いることができるが、特に架橋型導電粘着剤であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とするポリマーとその架橋剤とを含む後架橋型接着層であるものが好ましい。
上記のような、積層体に設けられた空隙に電極となる導電性材料を配置したディスプレイ用フィルターの模式断面図を図5に示す。空隙1に導電性ペースト等からなる導電性材料8が塗布されて、導電層3と電気的に接続された電極が形成されている点以外は図2に示した態様を同じ構成である。
積層体に設けられた空隙に導電性材料を配置するに際しては、生産性を考慮する場合、ディスペンサー等で簡単に空隙に塗布できることから導電性ペーストやはんだ(以降、導電性ペースト等という)が好ましい。導電層として導電性メッシュを用い、空隙の形成をレーザー照射で行った場合、導電性メッシュを破壊せずに導電性メッシュを貫通し導電性メッシュの下側の層(例えば、図2、3のプラスチックフィルム2、図4の接着層7)まで達する空隙を形成することができ、この空隙に導電性ペースト等を充填することによって導電性メッシュの下側にも導電性ペースト等が入り込む。その結果、導電性メッシュと導電性ペースト等との接触面積が増大し、導電層と外部電極との導通性が更に向上する。なお、空隙の形成において、上記したように導電層を貫通する空隙を形成する場合であっても、積層体は貫通しないのが好ましい。
上述したように空隙に電極となる導電性材料を配置する態様においても、空隙を不連続にすることは有益である。本発明の空隙は従来の電極に対して比較的狭幅であり、この狭幅の空隙に電極となる導電性材料、特に導電性ペーストやはんだ等を配置することは、広幅の空隙に導電性材料を配置する場合に比べて、ディスプレイ用フィルターの取り扱いや輸送時における導電性材料の折れや剥離脱落等の危険性がかなり小さくなるが、更に空隙を不連続にすることによって上記危険性をほぼ完全に回避することができる。上述したような、1辺の長さに対する不連続な空隙の合計長さの比率、空隙の1個当たりの長さ、空隙と空隙の間隔、1辺当たりの空隙の個数、及び空隙の合計長さ(A)と間隔の合計長さ(B)の比率等の好ましい範囲は、いずれも上記した空隙に配置した導電性材料の折れや剥離脱落に対して有益である。そして、不連続にすることで用いる導電性材料も低減できるので、さらに好ましい。
上述した空隙の形成や該空隙への導電性材料の配置は、ディスプレイ用フィルターの機能層側表面に更にカバーフィルムが積層された状態で行うのが好ましい。カバーフィルムは機能層等の表面層を保護する等の目的で設けられるものであり、最終的には剥離除去されるものである。カバーフィルムの上からレーザーを照射して空隙を形成することによって、レーザー照射時に発生する有機物の分解物残渣がディスプレイ用フィルターへ再付着するのを防止するという利点があり、またカバーフィルムが存在する状態で空隙に導電性ペースト等の導電性材料を充填することによって、機能層等の視認部となる部分に導電性材料が付着するのを防止する効果、及び表面層から盛り上がった電極を周辺に導電性ペーストがはみ出すことなく容易に形成することができるという利点がある。
本発明に用いられるカバーフィルムとしては、各種プラスチックフィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられ、これらの中でもポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムが好ましく用いられる。カバーフィルムの厚みは、10〜100μmが好ましい。
カバーフィルムは、最終的にはディスプレイ用フィルターから剥離除去されるので、剥離可能な粘着材または接着材が用いられる。あるいは、カバーフィルムとして粘着性を有するフィルムを用いる場合には、粘着材等は不要である。カバーフィルムはディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着する前もしくは装着した後に剥離除去するのが好ましい。
積層体にカバーフィルムが積層された状態で空隙形成を実施した場合、ディスプレイ用フィルターの端縁部はカバーフィルムが切断された状態となる。上述したようにカバーフィルムは最終的に剥離除去されるが、この端縁部での切断が辺のほぼ全長に渡っていると、カバーフィルムが2枚以上に分断された状態になり、1回の剥離作業でカバーフィルムを完全に剥離することが困難となり剥離作業の効率が著しく低下する。この意味においても、本発明の不連続な空隙は有益である。即ち、不連続な空隙とすることによって、カバーフィルムの分断が回避され、1回の剥離でカバーフィルムを完全に除去することが可能となる。上述したような、1辺の長さに対する不連続な空隙の合計長さの比率、空隙の1個当たりの長さ、空隙と空隙の間隔、1辺当たりの空隙の個数、及び空隙の合計長さ(A)と間隔の合計長さ(B)の比率等の好ましい範囲は、いずれも上記したカバーフィルムの剥離除去においても有益である。
次に、本発明のディスプレイ用フィルターの製造方法について説明する。
本発明のディスプレイ用フィルターの製造工程は、少なくとも、導電層上に機能層を設け積層体を得る工程(A)と、該積層体の少なくとも1辺の端縁部に機能層側表面から少なくとも導電層に達する直線状で不連続な空隙を形成する工程(C)からなる。そして、本発明の製造工程には、積層体を所望するディスプレイフィルターの大きさに合わせて、所定サイズに切断する工程(B)も含まれる。
このとき、空隙は、製品フィルターにおける少なくとも1辺の端縁部に相当する位置に、上記したような幅、長さを有するように形成されればよく、該積層体を所定サイズに切断した後に形成されても、切断する前に形成されてもよい。
上記積層体を得る工程(A)は、導電層上に直接もしくは間接的に機能層が積層する工程、導電層の機能層とは反対面に接着層等を積層する工程、及び機能層側表面にカバーフィルムを積層する工程を含むことができる。ここで、導電層上に機能層を間接的に積層するとは、例えば、プラスチックフィルム、接着層、近赤外線遮蔽層等の他の機能層を両者の間に介在させて積層すること言う。
上記空隙を形成する工程(C)は、積層体の機能層側表面からレーザーを照射して形成するのが好ましい。また更に、空隙形成工程の後に空隙に導電性材料を配置する工程を行うのが好ましい。機能層側表面にカバーフィルムを積層する場合は、空隙の形成、及び導電性材料の配置はカバーフィルムの表面側から実施するのが好ましい。
レーザーを用いて電極を形成する方法を適用する場合は、積層体をディスプレイに装着した後に実施することができる。即ち、積層体をディスプレイに装着した後、積層体の端縁部にレーザーを照射して空隙を形成し、本発明のディスプレイ用フィルターを完成させた後、ディスプレイ筐体を組み立てることができる。
なお、積層体の端縁部に形成された空隙には、更に導電性ペースト等の導電性材料をディスペンサー等で塗布し、電極を形成してもよいが、この場合、電極形成は、ディスプレイ筐体を組み立てた後に行っても、ディスプレイ筐体組み立て前、たとえば、ディスプレイ用フィルター製造工程において空隙形成後に続けて行ってもよい。
また、積層体にカバーフィルムが設けられている場合には、空隙を形成した後あるいは導電性ペースト等の導電性材料を空隙に塗布して電極を形成した後にカバーフィルムを剥離し、その後、ディスプレイ筐体を組み立てることが好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターを構成する積層体の製造は、ロール・ツー・ロール方式等による連続生産ラインで連続的に行うのが好ましい。これによって、枚葉積層方式(シート・ツー・シート方式)に比べて大幅に生産効率が向上する。この場合、積層体を連続生産ラインで製造してロール状積層体を得て、所定サイズにシート状に切断した後に、空隙を形成することが好ましい。なお、前述したカバーフィルムを機能層側の表面に積層する場合は、そのカバーフィルムも、ロール・ツー・ロール方式等による連続生産ラインで連続的に積層することが好ましい。
前述したような本発明に係る積層体の構成としては、図2、図3、及び図4に示すようなものが挙げられるが、以下、これらの積層体を有するディスプレイ用フィルターの製造方法について説明する。
図2の積層体は、プラスチックフィルム2の上に導電層3を有してなる電磁波遮蔽フィルムと、別のプラスチックフィルム4の上に機能層5を有してなる機能性フィルムとを、接着層を介して貼り合わせたものである。この積層体の製造において、たとえば導電層として導電性メッシュを用いた電磁波遮蔽フィルムと機能性フィルムとを貼り合わせる場合は、減圧雰囲気下で連続的に行うのが好ましい。具体的には、減圧状態を維持できる真空チャンバーの中で貼合を行うことが好ましい。減圧下で貼合することにより、導電性メッシュの凹部への気泡の混入を効果的に防止することができ、ヘイズ値の低い透明な積層体を得ることができる。貼合を行う際の気圧は、気泡の混入を効果的に防止するために、15kPa以下が好ましく、特に10kPa以下が好ましい。気圧の下限は、設定気圧に到達するまでの時間等の観点から100Pa程度が好ましい。従来、気泡が混入した場合は、積層体をオートクレーブ等で長時間(一般的には30分以上)加熱加圧して、積層体内部に混入した気泡を微細化または拡散することによって透明化する必要があったが、減圧雰囲気下で貼合して積層体を製造することによって、気泡の混入を防ぎ、オートクレーブ処理が省略できるので、生産性が大幅に向上する。
そして、上記のように電磁波遮蔽フィルムと機能性フィルムとを貼り合わせる場合、電磁波遮蔽フィルムより狭幅の機能性フィルムおよび接着層を用いることによって、長尺方向(巻き方向あるいは搬送方向)に平行な端縁部に導電層の剥き出し電極を形成することができる。しかしながら、この場合、長尺方向に直交する方向の電極は、たとえば当該積層体をシート状に切断した後に形成しなければならない。そこで、直交方向の電極形成には上述したような方法を用い、直線状でかつ不連続な電極を形成することが好ましい。図6に、その結果得られる、剥き出し電極11と、側辺に略平行に直線状でかつ不連続に設けた電極とを有する積層体の一例を示す。図6に示す積層体の平面図において、対向する2つの長辺には剥き出し電極11、対向する2つの短辺には、該辺に略平行な直線状かつ不連続な電極12が形成されている。
勿論、電磁波遮蔽フィルムと機能性フィルムとを貼り合わせる場合であっても、同幅の電磁波遮蔽フィルムと機能性フィルムとを貼り合わせ、その後、上述したような方法を用いて、ディスプレイ用フィルター全辺に直線状でかつ不連続な電極を形成してもよい。
また、上記したように生産効率を高めるため、広幅のロール状積層体を製造して幅方向に複数枚のディスプレイ用フィルターが取れるようにした場合は、剥き出し電極を対向する2辺に形成することが不可能となるので、上述したような直線状かつ不連続な電極が、ディスプレイ用フィルターの3辺もしくは4辺に設けられる。上記したような広幅のロール状積層体を用いることは生産効率アップの上で好ましく、従って、本発明の電極形成は生産効率向上に有益である。
次に、図3の積層体は、基材となる1枚のプラスチックフィルム2の上に導電層や機能層が形成されたものであり、このような積層体の製造においては、プラスチックフィルム2の上に設けられた導電層3の上に機能層5を連続生産ラインで塗工形成するのが好ましく、これによって更に生産性が向上する。そして、このような方法の場合、長尺方向に平行な電極は、機能層を導電層より狭幅に塗工することによって形成することができるが、長尺方向に直交する方向の電極はシート状に切断した後に形成しなければならない。そこで、直交方向の電極形成には上述したような方法用い、直線状でかつ不連続な電極を形成することが好ましい。その結果、図6と同様な電極配置の構成とすることができる。
勿論、プラスチックフィルム上に設けられた導電層の上に機能層を連続生産ラインで塗工形成する場合であっても、導電層と同一幅の機能層を塗工形成することもできる。この場合は、上述したような方法を用いて4辺に直線状でかつ不連続な電極を形成すればよい。また、広幅のロール状積層体については、上述したような直線状かつ不連続な電極を、ディスプレイ用フィルターの3辺もしくは4辺に設ければよい。
図4の積層体についても、図3の積層体と同様、基材となる1枚のプラスチックフィルムに対して導電層や機能層が設けられている。この積層体は、導電層の支持体としてのプラスチックフィルムが導電層と機能層との間に存在するので、機能層5を塗工形成する際に導電層の端縁部を剥き出しにすることは困難である。従って、上述したような方法を用いて4辺に直線状でかつ不連続な電極を形成するのが好ましい。この積層体は、導電層に対して機能層と反対側の面にプラスチックフィルムが存在しないので、機能層側から導電層に達する空隙を形成した場合、ディスプレイ用フィルターの強度が特に低下する。したがって、不連続な電極は有益である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
<導電層の形成>
厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U34)に、抵抗加熱による真空蒸着法(真空度:3×10−3Pa)にて銅蒸着を行い、厚み0.3μmの銅の金属薄膜を形成した。次いでスパッタリング法(真空度:0.5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:酸素100%)にて、上記金属薄膜の上に厚み0.05μmの酸化銅(金属酸化物層)を形成した。作製したフィルムの金属薄膜/金属酸化物層面側へ、波長355nmのNd:YAGレーザーの第3高調波を照射し、線幅10μm、線ピッチ150μm、開口率87%の格子状メッシュパターンからなる導電層をPETフィルム上に形成した。
<機能層の塗工>
上記の導電層が形成されたPETフィルムの導電層上に、下記のハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層を導電層と同一幅で順次塗工した。
<ハードコート層>
市販のハードコート剤(JSR製“デソライトZ7528”)をイソプロピルアルコールで固形分濃度30質量%に希釈した塗料を、マイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して硬化させ、厚み3μmのハードコート層を設けた。
<高屈折率層>
錫含有酸化インジウム粒子(ITO)6質量部、多官能アクリレート2質量部、メタノール18質量部とポリプロピレングリコールモノエチルエーテル54質量部、イソプロピルアルコール20質量部の混合物を攪拌して塗膜屈折率1.67の高屈折率塗料を調製した。この塗料をハードコート層上にマイクログラビアコーターを用いて塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して、塗工層を硬化させ、厚さ約0.1μmの高屈折率層を形成した。
<低屈折率層>
一次粒子径50nmの外殻を有する中空シリカ粒子(空隙率40%)144質量部、イソプロピルアルコール560質量部からなるシリカスラリーを準備し、メチルトリメトキシシラン219質量部、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン158質量部、上述シリカスラリー704質量部、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル713質量部を攪拌混合し、燐酸1質量部と水130質量部を配合して、30℃±10℃で攪拌しながら60分加水分解し、さらに温度を80℃±5℃に上げて60分攪拌しながら重合し、シリカ粒子含有ポリマーを得た。次に、このシリカ粒子含有ポリマー1200質量部、イソプロピルアルコール5244質量部を攪拌混合した後、硬化触媒としてアセトキシアルミニウムを15質量部添加して再度攪拌混合し、屈折率1.35の塗料を調整した。この塗料を高屈折率層上に小径グラビアコーターで塗工し、130℃で乾燥、硬化して、厚さ約0.1μmの低屈折率層を形成した。
<近赤外線遮蔽層の積層>
前記PETフィルムの導電層とは反対面に、オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ近赤外線遮蔽層(近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料を、乾燥膜厚みが12μmになるように塗工した層)を設けた。
<接着層の積層>
セパレートフィルム上に紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(日立化成ポリマー(株)製のハイボン(登録商標))をスリットダイコーターで、厚みが300μmになるように塗布した後、UV照射装置を用いて塗布膜を硬化し、続いて別のセパレートフィルムを貼り付けて、2枚のセパレートフィルムにサンドウィッチされた接着層を得た。次に、上記で作製した積層体の近赤外線遮蔽層の上に、一方のセパレートフィルムを剥離しながら接着層を積層した。
上記のようにして作製した積層体の構成を以下に示す。
<積層体の構成>
接着層/近赤外線遮蔽層/PETフィルム/導電層/機能層。
<空隙の形成>
上記のようにして作成した積層体を長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断してシート状積層体を作製した後、このシート状積層体をレーザーカッター(コマックス製のCOレーザーカッター)に固定して、積層体の4辺それぞれの端部から10mm内側の箇所を直線状かつ不連続にレーザーで照射して、破線状(空隙1個当たりの長さ、及び空隙と空隙の間隔は均等)で、かつ機能層表面から導電層に達する空隙を形成して、本発明のディスプレイ用フィルターを得た。なお、レーザーの走査回数は1辺当たり2回とした。形成された空隙の仕様を以下に示す。
<長辺側の空隙仕様>
空隙の幅;1.3mm
空隙の1個当たりの長さ;2.1cm
空隙と空隙の間隔;4cm
1辺当たりの空隙の個数;16
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;35%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);0.56
<短辺側の空隙仕様>
空隙の幅;1.3mm
空隙の1個当たりの長さ;2.2cm
空隙と空隙の間隔;4cm
1辺当たりの空隙の個数;8
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;36%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);0.62
<電磁波遮蔽性能の評価>
市販のプラズマディスプレイテレビの前面フィルターを取り外し、上記で得られたディスプレイ用フィルターをディスプレイに貼り付け、筐体を組み立てた。リケン製3m法電波暗室にSchwarzbeck製アンテナを設置し、Rohde & Schwarz 製EMIテストレシーバおよびAgilent Technologies製スペクトラムアナライザを用いて、プラズマディスプレイテレビから放射される周波数30〜88MHzの放射エミッションを測定した。その結果、FCC規格class Bを満たすための許容値(40dB以下)をクリヤーしていた。
<ディスプレイ用フィルターの取り扱い性>
ディスプレイ用フィルターをディスプレイに貼り付ける工程において空隙形成部分からの折れ等が発生するかどうかを見たが、問題はなかった。
(実施例2)
実施例1と同様にしてシート状積層体を作製し、実施例1と同様に積層体に空隙を形成した。但し、空隙の仕様を以下のように変更した。
<長辺側の空隙仕様>
空隙の幅;1.3mm
空隙の1個当たりの長さ;3cm
空隙と空隙の間隔;1cm
1辺当たりの空隙の個数;23
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;72%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);3.14
<短辺側の空隙仕様>
空隙の幅;1.3mm
空隙の1個当たりの長さ;3cm
空隙と空隙の間隔;1cm
1辺当たりの空隙の個数;13
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;70%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);3.25
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価したところ、40dB以下をクリヤーしていた。また、実施例1と同様に取り扱い性を評価したが問題はなかった。
(実施例3)
機能層上にカバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を積層した以外は、実施例1と同様にして積層体、及びシート状積層体を作製した。
続いて、実施例1と同様にしてカバーフィルムの表面から空隙を形成した。但し、レーザーの走査回数は1回とした。空隙の幅(カバーフィルム剥離後の幅)は0.8mmで、その他の空隙仕様は実施例1と同様である。
その後、空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して、破線状の不連続な電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価した。但し、ディスプレイ用フィルターをプラズマディスプレイに貼り付けた後にカバーフィルムを剥離除去し、筐体を組み立てた。測定結果は40dB以下をクリヤーしていた。また、実施例1と同様に取り扱い性を評価したが問題はなかった。
また、カバーフィルムの剥離作業においても、1回の剥離で完全にカバーフィルムを剥離することができた。
また、空隙に塗布、充填された導電性ペーストの剥離・脱落を評価するために、ディスプレイ用フィルターを強制的に一旦丸めた後解くという作業を3回繰り返したが、導電性ペーストの剥離・脱離はなかった。
(比較例1)
実施例1と同様にしてシート状積層体を作製した。機能層の上からレーザーを照射して、端部から5mmの位置と10mmの位置に2本の切り込み線を4辺それぞれに辺の全長に渡って入れた。この5mmの間隔で設けた2本の切り込み線に沿って機能層を物理的に剥離し、導電層を露出させることを試みたが、機能層のみを剥離することはできなかった。また、強引に機能層を剥離すると導電層も一緒に剥離し、導電層から電極を取り出すことができなかった。また、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターの取り扱い性を評価したが、端縁部の強度が低下しており端縁部の折れが発生した。
(比較例2)
実施例1と同様にシート状積層体を作製し、実施例1と同様にレーザーを用いて以下の仕様の空隙を作製した。
<長辺側の空隙仕様>
空隙の幅;0.8mm
空隙の1個当たりの長さ;1cm
空隙と空隙の間隔;14cm
1辺当たりの空隙の個数;7
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;7%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);0.08
<短辺側の空隙仕様>
空隙の幅;0.8mm
空隙の1個当たりの長さ;1cm
空隙と空隙の間隔;16cm
1辺当たりの空隙の個数;4
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;7%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);0.08
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価しところ、40dBを越えていた。
(実施例4)
厚みが約100μmのPETフィルムに反射防止層(表面層)を有する機能性フィルム(東レ(株)製の反射防止フィルム「リアルック」(登録商標))の反射防止層の上に更にカバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を積層したカバーフィルム付き機能性フィルムを用意した。
次に、上記カバーフィルム付き機能性フィルムの反射防止層が設けられた面とは反対側の面に、パラジウムコロイド含有ペーストを、線幅30μm、線間隔250μmの格子状メッシュパターンを有するスクリーンを用いて印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して、無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施してメッシュ状の導電層を形成した。
次に、導電層の表面に、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素とを含有するアクリル樹脂系接着剤からなる接着層を厚さ25μmで形成した。
上記のようにして作製したカバーフィルム付き積層体の構成を以下に示す。
<積層体の構成>
接着層(近赤外線吸収色素含有)/導電層/PETフィルム/機能層/カバーフィルム。
上記積層体を長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断してシート状積層体を作製した後、実施例1と同様にしてカバーフィルム表面からレーザーを照射(1辺当たり1回の走査)して、カバーフィルム表面から導電層に達する空隙を形成した。空隙の幅(カバーフィルム剥離後の幅)は0.8mmで、その他の空隙仕様は実施例1と同様である。
続いて、空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して破線状の電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価した。但し、ディスプレイ用フィルターをプラズマディスプレイに貼り付けた後にカバーフィルムを剥離除去し、筐体を組み立てた。測定結果は40dB以下をクリヤーしていた。また、実施例1と同様に取り扱い性を評価したが問題はなかった。
さらに、カバーフィルムの剥離作業においても、1回の剥離で完全にカバーフィルムを剥離することができた。また、空隙に塗布、充填された導電性ペーストの剥離・脱落を実施例3と同様に評価したが、問題なかった。
(比較例3)
カバーフィルムを積層しない以外は、実施例4と同様にしてシート状積層体を作製した。機能層の上からレーザーを照射して、端部から5mmの位置と10mmの位置に2本の切り込み線を4辺それぞれに辺の全長に渡って入れた。この5mmの間隔で設けた2本の切り込み線に沿って機能層とPETフィルムを物理的に剥離し、導電層を露出させることを試みたが、機能層とPETフィルムのみを剥離することはできなかった。また、強引に機能層とPETフィルムを剥離すると導電層も一緒に剥離し、導電層から電極を取り出すことができなかった。また、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターの取り扱い性を評価したが、端縁部の強度が低下しており端縁部の折れが発生した。
(比較例4)
カバーフィルムを積層しない以外は、実施例4と同様にしてシート状積層体を作製した。4辺それぞれに端部から10mm内側に辺のほぼ全長に渡ってナイフで切り込み線を入れた。この切り込み線の幅は0.1mm以下であった。更にこの切り込み線の上から実施例4と同様に導電性ペーストを塗布した。
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価しところ、40dBを越えていた。また、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターの取り扱い性を評価したが、端縁部の強度が低下しており端縁部の折れが発生した。
(実施例5)
<機能性フィルムの作製>
厚みが約100μmのPETフィルムの一方の面に反射防止層を有し、PETフィルムの他方の面に近赤外線遮蔽層を有する機能性フィルム(住友大阪セメント(株)社製のクリアラス(登録商標))の反射防止層の面にカバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を積層し、更に、近赤外線遮蔽層の面に、粘着材(巴川製紙所社製アクリル粘着剤「TD43A」、粘着材厚み25μm)を連続生産ラインでロール・ツー・ロール方式で積層した。積層体の幅は530mmである。
<電磁波遮蔽フィルムの作製>
厚みが約10μmの銅箔が、厚みが約125μmのPETフィルムに接着剤層を介して積層された銅箔フィルムを、フォトリソグラフ法を利用したエッチングレジストパターン形成方法によって加工し、線幅が約15μm、線間隔が約300μmの格子状の導電性メッシュ(導電層)が形成された電磁波遮蔽フィルムを用意した。電磁波遮蔽フィルムは、幅が554mmのロールである。
<積層体の作製>
上記で作製した機能性フィルムに電磁波遮蔽フィルムの導電層が向き合うように、機能性フィルムに積層した粘着材層を介して、連続生産ラインでロール・ツー・ロール方式で貼合した。この貼合は気圧3kPaの減圧雰囲気下で行った。
次に、機能性フィルムと電磁波遮蔽フィルムとの積層体の裏面(電磁波遮蔽フィルムのPETフィルム面)に、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(日立化成ポリマー(株)製のハイボン(登録商標))をスリットダイコーターで、厚みが300μmになるように塗布した。塗布後、UV照射装置を用いて塗布膜を硬化し、続いてセパレートフィルム(東レフィルム加工(株)製のセラピール(登録商標)、厚み38μm)を貼り付けた。
<積層体の構成>
接着層/PETフィルム/接着層/導電層/接着層/近赤外線遮蔽層/PETフィルム/機能層/カバーフィルム。
このようにして作製されたロール状積層体を964mmの長さに切断して、所定サイズ(長辺:964mm、短辺:554mm)のシート状積層体を得た。
続いて、シート状積層体の短辺側端部から10mm内側に、実施例1と同様にしてカバーフィルムの上からレーザーを照射して(1辺当たり1回の走査)して、空隙の幅(カバーフィルム剥離後の幅)が0.8mmで、その他の空隙仕様は実施例1と同様な空隙を短辺側の2辺のみに形成した。
次いで、空隙にディスペンサーで導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト(登録商標))を塗布して本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
このディスプレイ用フィルターの長辺側は、両端部からそれぞれ約10mmの幅で導電層が剥き出しとなっており、この剥き出し部を電極とした。このディスプレイ用フィルターの電極は、図6に示したように、長辺側が剥き出し電極、短辺側が本発明の電極で構成されている。
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価した。但し、ディスプレイ用フィルターをプラズマディスプレイに貼り付けた後にカバーフィルムを剥離除去し、筐体を組み立てた。測定結果は40dB以下をクリヤーしていた。また、実施例1と同様に取り扱い性を評価したが問題はなかった。
さらに、カバーフィルムの剥離作業においても、1回の剥離で完全にカバーフィルムを剥離することができた。また、空隙に塗布、充填された導電性ペーストの剥離・脱落を実施例3と同様に評価したが、問題なかった。
(実施例6)
機能性フィルムと電磁波遮蔽フィルムの幅を同一(554mm)にする以外は、実施例5と同様にしてロール状積層体及びシート状積層体を作製した。そして、このシート状積層体に、空隙幅を0.8mmにする以外は実施例2と同じ仕様の空隙を4辺に形成した。次いで、空隙に実施例5と同様に導電性ペーストを塗布して本発明のディスプレイ用フィルターを作製した。
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価した。但し、ディスプレイ用フィルターをプラズマディスプレイに貼り付けた後にカバーフィルムを剥離除去し、筐体を組み立てた。測定結果は40dB以下をクリヤーしていた。また、実施例1と同様に取り扱い性を評価したが問題はなかった。
さらに、カバーフィルムの剥離作業においても、1回の剥離で完全にカバーフィルムを剥離することができた。また、空隙に塗布、充填された導電性ペーストの剥離・脱落を実施例3と同様に評価したが、問題なかった。
(比較例5)
実施例6と同様にしてシート状積層体を作製した。カバーフィルムの上からレーザーを照射して、端部から5mmの位置と10mmの位置に2本の切り込み線を4辺それぞれに辺の全長に渡って入れた。この5mmの間隔で設けた2本の切り込み線に沿って機能層、PETフィルム及び接着層を帯状に物理的に剥離して幅が5mmの空隙を形成し、その空隙に導電性ペーストを塗布して電極を形成した。
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターについて実施例1と同様にして電磁波遮蔽性能を評価しところ、40dBを越えていた。この結果は、導電層(導電性メッシュ)の破断あるいは導電層上の粘着材の残留が起因していると考えられる。
また、カバーフィルムの剥離作業は、カバーフィルムが4辺の端縁部で分断されているために、数回の剥離作業が必要であった。さらに、空隙の幅が広いこと及び空隙が連続的にほぼ全長に渡って形成されているために、導電性ペーストが多量に必要となり、また空隙に塗布充填された導電性ペーストが部分的に剥離・脱落した。
本発明の一実施形態を示す、ディスプレイ用フィルターの平面図である。 図1のY−Y線模式断面図である。 本発明の他の実施形態を示すディスプレイ用フィルターの模式断面図である。 本発明の他の実施形態を示すディスプレイ用フィルターの模式断面図である。 空隙に導電性材料を配置したディスプレイ用フィルターの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明における他の電極構成を示すディスプレイ用フィルターの平面図である。
符号の説明
1 空隙
2、4 プラスチックフィルム
3 導電層
5 機能層
6、7 接着層
8 導電性材料
11 剥き出し電極
12 電極
100、200、300 積層体

Claims (6)

  1. 反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層が導電層上に設けられた積層体を備え、該積層体の少なくとも1辺の端縁部に、機能層側表面から少なくとも導電層に達し、かつ側辺に略平行に直線状で不連続な空隙を有するディスプレイ用フィルターであって、該空隙は幅が0.3〜4mmで、積層体1辺当たりの空隙の合計長さが該積層体1辺の長さに対して10〜90%であることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
  2. 前記空隙は、0.5〜10cmの間隔で設けられている、請求項1に記載のディスプレイ用フィルター。
  3. 前記空隙に導電性材料が配置されている、請求項1または2に記載のディスプレイ用フィルター。
  4. 反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を導電層上に設け積層体を得る工程(A)と、該積層体を所定サイズに切断する工程(B)と、該積層体の切断後の少なくとも1辺の端縁部に相当する位置に、機能層側表面からレーザーを照射して、少なくとも導電層に達しかつ直線状で不連続な空隙を形成する工程(C)とを含むディスプレイ用フィルターの製造方法であって、前記空隙を、幅が0.3〜4mmで、かつ、切断後の積層体1辺当たりの空隙合計長さが該積層体1辺の長さに対して10〜90%となるように形成することを特徴とするディスプレイ用フィルターの製造方法。
  5. 更に、前記空隙に導電性材料を配置する工程を含む、請求項4に記載のディスプレイ用フィルターの製造方法。
  6. 前記積層体を得る工程(A)が、更に機能層上にカバーフィルムを積層する工程を含み、前記空隙を形成する工程(C)において、該カバーフィルムの表面からレーザーを照射する、請求項4または5に記載のディスプレイ用フィルターの製造方法。
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