JP2008268692A - ディスプレイ用フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、電磁波遮蔽機能と外光によるコントラスト低下防止機能とを備え、かつ生産効率の向上と構成の簡略化により低価格化が図られたディスプレイ用フィルターを提供する。
【解決手段】
透明基材の一方の面に導電性メッシュパターンを有する導電層を設けるとともに、該透明基材の他方の面に感光性樹脂または感光性銀塩を含む感光層を設け、次いで、該感光層を導電層側から前記導電性メッシュパターンをマスクとして露光し、露光された感光層を現像することで、外光遮蔽層のメッシュパターンが、面方向に垂直な方向に投影した場合に導電層のメッシュパターンと実質的に重なるディスプレイ用フィルターを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ用フィルター及びその製造方法に関し、詳細には少なくとも電磁波遮蔽機能と外光によるコントラストの低下を防止する機能とを有するディスプレイ用フィルターに関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)などのディスプレイは、明瞭なフルカラー表示が可能な表示装置である。ディスプレイには、通常、外光の反射やギラツキの防止、ディスプレイから発生する電磁波の遮蔽、ディスプレイの保護などを目的とした光学フィルムがディスプレイの視認側に配置される。特にPDPはその構造や動作原理上、強度な電磁波が発生するために、PDPに適用される光学フィルムには導電性メッシュや導電性薄膜からなる導電層(電磁波遮蔽層)が設けられている。
そして、近年では、外光によるコントラストの低下を抑制するために、透明基材上にストライプ状の光吸収部を多数平行に並べて配置したシートと上記の光学フィルムとを組み合わせたディスプレイ用フィルターが提案されている(例えば、特許文献1、2)。これらの特許文献によれば、光吸収部は、紫外線硬化性樹脂からなる基盤層に楔形溝を形成し、この楔形溝に光を吸収できる黒色物質を含む紫外線硬化性樹脂を充填して形成される。
また、外光の反射を防止したフィルムが特許文献3〜5に開示されている。特許文献3には透明板上に感光性樹脂組成物で形成された縞または格子状突起を有する外光反射防止遮光スクリーンが開示され、特許文献4には透明支持体上に設けた銀塩感光層を露光・現像して点、縞、格子状、ハニカム状のパターンを形成したライトコントロールフィルムが開示され、特許文献5には物理現像で形成された金属銀からなる遮光パターンの上に設けられた感光性樹脂層を、前記遮光パターンをマスクとして露光した後現像して感光性樹脂の固化物からなる遮光壁を形成した視野制御シートが開示されている。
特開2006−189867号公報 特開2006−201577号公報 特公平2−19449号公報 特開平11−72603号公報 特開2005−331819号公報
しかし、上記特許文献1、2に係る光吸収部を有するシートの製造には、樹脂から成る基盤層の形成、基盤層への楔形溝の形成、楔形溝への黒色物質含有樹脂の充填など多くの工程が必要である。加えてこのシートをディスプレイ用フィルターに適用するためには、電磁波遮蔽機能や反射防止等を有する光学フィルムと上記シートとを接着材で貼合する工程が必要である。これらのフィルターは層構成が複雑となり、コストアップの要因になる。また、たとえば光吸収部を有するシートを、電磁波遮蔽機能を発現する導電性メッシュパターンを有する光学フィルムと貼り合わせる場合、該光吸収部を有するシートのストライプもしくは格子状のパターンと光学フィルムの導電性メッシュパターンとのずれ具合によってはモアレが発生することがある。このモアレを回避のためには貼り合わせ角度の調整が必要であり、この貼り合わせ角度の調整は、生産効率の低下、歩留まりの低下を招く要因となっている。すなわち、上記の光吸収部を有するシートと光学フィルムとを組み合わせたディスプレイ用フィルターの製造には多くの工程が必要であり、生産効率の低下を招いている。
さらに、パターンの異なる光吸収部を有するシートと導電性メッシュパターンを有する光学フィルムを貼り合わすことは、開口面積を減少させ、その結果、光線透過率の低下を招き、視認性の低下を招くことにもなる。また、従来、外光によるコントラストの低下を効果的に抑制するために、光吸収部の高さを100μm程度もしくはそれ以上に設計されていたが、このように高い光吸収部を設けるためには、光吸収部が形成される基盤層の厚みを大きくしなければならず、その結果、コストやディスプレイ用フィルターの取り扱い性の点で不利となり、更に光吸収部の形成過程においても深い溝の形成及び溝への黒色物質の充填等、光吸収部の製造工程の面でも不利であった。
そして、特許文献3、4に記載された外光反射防止フィルムも、それら単体では本発明が目的とするディスプレイ用フィルターの性能は得られず、上述したような光学フィルターと組み合わせる必要があり、従って上記の特許文献1、2と同様の課題がある。
特許文献5の視野制御シートは、金属銀からなる遮光パターンが導電性を有するが、列状に配列されているので、本発明が目的とする電磁波遮蔽効果は得ることはできない。また、外光によるコントラスト低下を効果的に抑制するには上述したように遮光壁の高さを比較的高くしなければならず、このような比較的高い遮光壁を折れや破損から保護するために、遮光壁と遮光壁の空隙に樹脂等を充填する必要があり、生産性やコスト面で不利となること、及び空隙に樹脂を充填して埋める場合は気泡が混入しやすく透明度が低下するという不都合が生じる。
同様に特許文献3の外光反射防止フィルムも、高さが数十μm〜数百μmという比較的高い縞または格子状の突起が透明板上に形成されており、上記の特許文献5と同様の問題がある。
更に、特許文献3、5のように、感光性樹脂で突起あるいは遮光壁を形成する方法は、その高さが大きくなると、露光・現像によって得られる突起あるいは遮光壁の形状、サイズ等の正確な再現が難しくなるという問題がある。
そこで、本発明は、電磁波遮蔽機能と外光によるコントラスト低下防止機能とを備え、かつ生産効率の向上と構成の簡略化により低価格化を実現したディスプレイ用フィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するための本発明は、以下のいずれかの構成を特徴とするものである。
(1)透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられた、導電性メッシュパターンを有する導電層と、該透明基材の他方の面に設けられた、遮光性メッシュパターンを有する外光遮蔽層とを有し、かつ、該外光遮蔽層のメッシュパターンは、面方向に垂直な方向に投影した場合に前記導電層のメッシュパターンと実質的に重なることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
(2)前記外光遮蔽層が感光性銀塩または感光性樹脂を含む感光層を露光・現像して形成されたものである、前記(1)に記載のディスプレイ用フィルター。
(3)前記外光遮蔽層が感光性樹脂を含む感光層であり、更に着色材料を含有する、前記(2)に記載のディスプレイ用フィルター。
(4)前記導電性メッシュパターンは、垂直方向のピッチが100〜3000μm、水平方向のピッチが10〜100μmのメッシュパターンである、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
(5)透明基材の一方の面に導電性メッシュパターンを有する導電層を設けるとともに、該透明基材の他方の面に感光性樹脂または感光性銀塩を含む感光層を設け、次いで、該感光層を導電層側から前記導電性メッシュパターンをマスクとして露光し、露光された感光層を現像することを特徴とするディスプレイ用フィルターの製造方法。
(6)透明基材の一方の面に感光性銀塩を含む感光層(A)を設けるとともに、該透明基材の他方の面に感光性樹脂または感光性銀塩を含む感光層(B)を設け、次いで、それら感光層(A)、(B)を、どちらか一方の側から予め作製されたメッシュパターンのマスクを介して同時に露光し、もしくは、どちらか一方の側からレーザー光でメッシュパターンに同時に露光し、その後、露光された前記感光層(A)、(B)をそれぞれ現像するとともに、感光層(A)を現像することで形成されたメッシュパターンを金属メッキもしくは物理現像することを特徴とするディスプレイ用フィルターの製造方法。
本発明によれば、電磁波遮蔽機能と外光によるコントラスト低下防止機能とを備え、かつ生産効率の向上と構成の簡略化により低価格化を図ることができるディスプレイ用フィルターを提供することができる。
更に、本発明は、従来の外光遮蔽シートと導電性メッシュを含む光学フィルムとの貼り合わせによって生じる透過率の低下やモアレ回避にともなう生産効率低下等の課題を解決することができる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられた、導電性メッシュパターンを有する導電層と、該透明基材の他方の面に設けられた、遮光性メッシュパターンを有する外光遮蔽層とを有し、かつ、該外光遮蔽層のメッシュパターンが、面方向に垂直な方向に投影した場合に前記導電層のメッシュパターンと実質的に重なることを特徴とするものである。
具体的には、透明基材の一方の面に導電性メッシュパターンの導電層を有し、かつ他方の面に、面方向に垂直な方向に投影した場合に該導電層のメッシュパターンと重なる遮光性メッシュパターンの外光遮蔽層を有するシート(以降、単に外光遮蔽シートと称す)を少なくとも含むディスプレイ用フィルターを例示できる。以下、この態様を図1に基づいて本発明を説明する。なお、本発明において、導電性メッシュパターンとは、導電性金属、導電性金属化合物、導電性カーボン等の導電性物質で形成されたメッシュパターンであり、詳しくは後述するが、上記導電性メッシュパターンを有する導電層の面抵抗値は10Ω/□以下が好ましい。また、遮光性メッシュパターンとは、有色もしくは着色されたメッシュパターンであり、好ましくは、グレイ色または黒色のメッシュパターンである。グレイ色または黒色のメッシュパターンは外光を吸収して遮光するので好ましい。遮光性メッシュパターンの光学濃度は、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましい。光学濃度の上限は5程度である。メッシュパターンの光学濃度は、例えば顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて下記の関係式より求められる。
光学濃度(OD値) = log10 (I0/I)
ここで、I0は入射光強度、I は透過光強度である。
外光遮蔽シートは、たとえば図1の模式断面図に示すように、透明基材1と、透明基材1の一方の面に導電性メッシュパターンを有する導電層(以降、導電性メッシュ2と称す)、透明基材1の他方の面に、導電層のメッシュパターンと投影的に重なる遮光性メッシュパターンを有する外光遮蔽層(以降、外光遮蔽メッシュ3と称す)とが形成されてなり、電磁波遮蔽機能と外光によるコントラストの低下を防止する機能とを有する。
本発明において、外光遮蔽層のメッシュパターンと、導電層のメッシュパターンとが、面方向に垂直な方向に投影した場合に実質的に重なるとは、図1の矢印の方向から外光遮蔽シート100に垂直光を当てたときの導電性メッシュ2と外光遮蔽メッシュ3の投影像が実質的に重なることを意味するものであるが、線幅が数μmから数十μmのメッシュの投影像から判断することが容易でない場合は、外光遮蔽シートの拡大断面写真(例えば電子顕微鏡で撮影)から2つのメッシュの重なり具合を判断すればよい。図2は外光遮蔽シートの拡大断面の模式図であるが、導電性メッシュ2と外光遮蔽メッシュ3の2つのメッシュの重なり具合は、導電性メッシュ2を構成する細線の中心線(CL2)と外光遮蔽メッシュ3を構成する細線の中心線(CL3)のずれ具合によって判断される。実質的に重なるとは、これらの2つのメッシュのそれぞれの中心線(CL2とCL3)のずれが4μm以下であることを意味する。好ましくは、2つの中心線のずれは3μm以下であり、特に好ましくは2μm以下である。
透明基材を挟んで一方の面に導電性メッシュ、他方の面に該導電性メッシュと投影的に実質的に重なる外光遮蔽メッシュを設けた構成にすることによって、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが一体となって外光によるコントラストの低下を防止するのに寄与し、また、従来の貼り合わせフィルターに対して透過率(透明性)を高めることができる。導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとの重なり具合が上記の範囲を超えると、外光によるコントラスト低下の防止効果が十分に得られないばかりかディスプレイ用フィルターの透明性も低下するという不都合が生じる。
また、詳しくは後述するが、上記の本発明の構成にすることによって、外光遮蔽層の高さ(厚み)を従来のように高くしなくても外光遮蔽効果が得られるので、生産性及び材料コストの面で有益であり、更に外光遮蔽シートに他の機能層あるいは機能性フィルムを積層するときの透明化が容易となる。
そして、導電性メッシュは電磁波遮蔽性能を有するので、電磁波遮蔽性能とコントラストの向上を簡単な層構成で同時に実現することができる。
さらに本発明の有益な点は、以下に説明するように、外光遮蔽メッシュを簡単な方法で作製することができる点であり、加えて導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとを同時に作製することも可能になる点にある。これによって、ディスプレイ用フィルターの生産コストを大幅に低減することができる。
以下に、外光遮蔽メッシュの作製方法を具体的に説明する。外光遮蔽メッシュは、感光性樹脂あるいは感光性銀塩を含む感光層を露光・現像することによって作製することができる。透明基材の導電性メッシュとは反対面に感光性樹脂あるいは感光性銀塩を含む感光層を設け、導電性メッシュをマスクとして導電性メッシュ側から感光層を露光し現像することによって、導電性メッシュと投影的に重なる外光遮蔽メッシュを作製することができる。
上記の方法で外光遮蔽メッシュを作製するための感光性樹脂及び感光性銀塩は、ポジ型である。即ち、透明基材の一方の面に予め形成された導電性メッシュをマスクとして透明基材の反対面に設けられた感光層を露光する際、導電性メッシュの細線部分は光が遮断されて透過しないのでその部分の感光層は未露光となり、一方、導電性メッシュの開口部は光が透過するのでその部分の感光層は露光される。導電性メッシュと投影的に重なるメッシュパターンを得るためには、感光層の未露光部でメッシュパターンを形成する必要があり、従ってポジ型の感光性樹脂あるいは感光性銀塩が用いられる。なお、この場合、予め形成される導電性メッシュは公知の方法によればよい。
外光遮蔽メッシュを作製する他の方法として、感光性銀塩を用いて導電性メッシュを作製する方法を利用して、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとを同時に作製する方法がある。この方法は、透明基材の一方の面に設けられた導電性メッシュを作製するための感光性銀塩を含む感光層と、透明基材の他方の面に設けられた、外光遮蔽メッシュを作製するための感光性樹脂あるいは感光性銀塩を含む感光層とを同時に、所定のメッシュパターンのマスクを介してあるいはレーザー光で直接に露光し、現像する方法であり、これによって導電性メッシュと投影的に重なる外光遮蔽メッシュを作製することができる。ここで、露光はどちらか一方の側からのみ行われる。また、現像処理は、導電性メッシュ側と外光遮蔽メッシュ側とを同時に、あるいは別々に行うことができる。
上記の導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとを同時に作製する方法に用いられる感光性樹脂及び感光性銀塩は、露光に用いられるマスクのパターンあるいはレーザーの露光パターンによってポジ型かネガ型かが適宜選択される。即ち、未露光部分(光が当たらなかった部分)でメッシュパターンを形成する場合はポジ型が用いられ、露光部分(光が当たった部分)でメッシュパターンを形成する場合はネガ型が用いられる。ただし、この2つのメッシュを同時に作製する方法においては、導電性メッシュ側と外光遮蔽メッシュ側とで同じ型(ネガ型/ポジ型)の感光層が用いられる。
次に外光遮蔽メッシュを作製するために用いられる感光性樹脂及び感光性銀塩について詳細に説明する。
感光性樹脂は、エネルギー線(例えば電子線、紫外線、可視光線、赤外線等)が当たることで、架橋などにより分子量が増加し、耐現像液溶解性が極めて高くなるもの(ネガ型)と、逆にエネルギー線が当たると分解などにより耐現像液溶解性が低くなるもの(ポジ型)とに分けられる。感光性樹脂は、カラーフィルター、ブラックマトリクス、プリント配線板、平版印刷版等の多くの分野で用いられており、本発明においても従来から公知の感光性樹脂を用いることができる。感光性樹脂を含む感光層は、露光、現像によって、感光層の未硬化部分(ネガ型は未露光部、ポジ型は露光部)が溶解除去されるので、メッシュパターンのみが残る。
ポジ型感光性樹脂としては、例えばナフトキノンジアジド、ベンゾキノンジアジドなどのキノンジアジド類や、ジアゾメチルドラム酸、ジアゾジメドン、3−ジアゾ−2,4−ジオンなどのジアゾ化合物や、o−ニトロベンジルエステル、オニウム塩、オニウム塩とポリフタルアルデヒド、コリン酸t−ブチルの混合物の様な光分解剤(溶解抑制剤)と、OH基を持ちアルカリに可溶なハイドロキノン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのモノマーや、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂、スチレンとマレイン酸、マレイミドの共重合物、フェノール系とメタクリル酸、スチレン、アクリロニトリルの共重合物などのポリマーの混合物や縮合物、あるいはポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ヘキサフルオロブチル、ポリメタクリル酸ジメチルテトラフルオロプロピル、ポリメタクリル酸トリクロロエチル、メタクリル酸メチル−アクリルニトリル共重合体、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリα−シアノアクリレート、ポリトリフルオロエチル−α−クロロアクリレートなどが挙げられる。この中でも汎用性の面から、ノボラック樹脂の混合・縮合物が好ましく用いられる。さらに好ましくは、ノボラック樹脂とキノンジアジドの混合・縮合物が用いられる。外光遮蔽メッシュを感光性樹脂で形成する場合、該感光性樹脂には後述するように着色剤を添加するのが好ましく、そのため比較的長波長のエネルギー線、具体的には350〜440nm付近の波長を有する近紫外線領域で感応する感光性樹脂が好ましく、ノボラック樹脂/キノンジアジド系は、436nmの波長を有する紫外線で感応し、一般的な高圧水銀灯で露光することができる点からも好ましい。
ネガ型感光性樹脂としては、例えば特開平3−282404号公報に記載されているようなネガ型感光性樹脂を用いることができる。具体的にはネガ型ジアゾ樹脂とバインダーからなる感光性樹脂組成物、光重合性モノマーと光重合開始剤とバインダーを含む光重合性樹脂、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物等が挙げられる。その中でも特に好ましいのは光重合性樹脂である。また、感光性樹脂としてはアルカリ水溶液により現像可能なものと、有機溶剤により現像可能なものが知られているが、公害防止、労働安全性の確保の観点からアルカリ水溶液現像可能なものが好ましい。
上述した感光性樹脂を用いて外光遮蔽メッシュを作製する場合は、感光性樹脂に着色剤を含有させるのが好ましい。着色剤としては、黒色顔料等の各種顔料や染料が用いることができる。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンや鉄等の黒色金属粒子等が挙げられる。黒色顔料以外の青色、紫色、黄色、赤色の各種顔料及び/又は染料を単独あるいは混合して用いることができる。着色剤の含有量は、感光性樹脂を含む感光層の樹脂固形分に対して1〜40質量%の範囲が適当であり、2〜30質量%の範囲が好ましく、3〜20質量%の範囲がより好ましい。上記の着色剤の含有比率の範囲は、感光性樹脂を含む感光層の露光適性及び作製された外光遮蔽メッシュの外光遮蔽の観点から好ましく、上記の範囲より比率が小さくなると外光遮蔽が低下し、一方上記比率が大きくなると逆に露光の光量が十分に感光層に行き渡らなくなって所望のメッシュパターンが得られない場合がある。
前述したように外光遮蔽メッシュの光学濃度は0.5以上が好ましく、このような外光遮蔽メッシュは、例えば上記したように感光性樹脂に着色剤を含有させることによって形成することができる。具体的には、感光性樹脂を含む感光層の光学濃度が0.5以上になるように調製する。
外光遮蔽メッシュの作製に用いられる感光性銀塩としては、ハロゲン化銀写真感光材料、例えば銀塩写真フィルム、印画紙、印刷製版用フィルム等で用いられているハロゲン化銀などの無機銀塩、及び熱現像感光材料等で用いられている有機銀塩を用いることができる。好ましくはハロゲン化銀などの無機銀塩である。特に、印刷製版用フィルムに用いられているような超硬調ハロゲン化銀は、シャープな形状のメッシュパターンを形成できるので好ましい。
これらの感光性銀塩は、露光・現像することによって黒化銀画像が形成されるので黒化銀画像を外光遮蔽メッシュとしてそのまま用いることができる。通常、感光性銀塩を含む感光層は、ゼラチン等の高分子ポリマーからなるバインダー中にハロゲン化銀等の銀塩が分散された構成になっており、現像後も感光層はそのままの状態で存在するので、現像によって形成された外光遮蔽メッシュとなる黒化銀は、感光層中に埋設された状態で存在する。
また、ハロゲン化銀にもネガ型とポジ型があるので、メッシュパターンの形成方法に応じて使い分けることができる。ハロゲン化銀写真感光材料の分野では、特に断らない限り、ネガ型であり、光が当たった部分(露光部分)が現像されて黒化銀となり、未露光部のハロゲン化銀は、定着処理によって溶解除去される。一方、ポジ型の感光性銀塩は、光が当たらない部分(未露光部)が現像処理によって黒化銀となる。このようにして形成された黒化銀からなるメッシュパターンの光学濃度は、感光層に含まれる感光性銀塩の塗布量を調整することによって容易に調整することができる。
上述した感光性樹脂や感光性銀塩を含む感光層を露光するのに用いる光源としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源、殺菌灯、蛍光灯などの発光管光源、アルゴンイオンレーザ、ヘリウム・ネオンレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、エキシマーレーザ、窒素レーザ等のレーザ光源などが挙げられる。
次に、感光性銀塩を用いて導電性メッシュを作製する方法について説明する。この方法には、物理現像によって銀メッシュを形成する方法と、化学現像によって銀メッシュを形成する方法があり、本発明はいずれの方法も用いることができる。前者の方法はWO2004/7810号公報等に記載されており、後者の方法は特開2004−221564号、特開2006−12935号公報等に記載されている。これらの方法で形成された銀メッシュを導電性メッシュとして用いてもよいが、導電性をさらに高めるために銀メッシュに導電性金属粒子を担持させることが好ましい。銀メッシュに導電性金属粒子を担持させる方法として、銅やニッケル等で金属メッキを施す方法あるいは物理現像を施す方法が挙げられる。これによって導電性を高めて電磁波遮蔽性能の向上が図られる。なお、物理現像とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
導電性メッシュは、上記した感光性銀塩を用いる方法以外にも、公知の作製方法で作製することができる。一般的に知られている方法として、銅箔等の金属膜をプラスチックフィルムに接着材を介して貼り合わせた金属膜積層フィルムを、フォトリソグラフ法、スクリーン印刷法等を利用してエッチングレジストパターン作製した後、金属膜をエッチングする方法がある。
上記フォトリソグラフ法は、金属膜積層フィルムの金属膜に紫外線等の照射により感光する感光層を設け、この感光層にフォトマスク等を用いて像様露光し、現像してレジスト像を形成する方法である。上記スクリーン印刷法は、金属膜積層フィルムの金属膜表面にエッチングレジストインクをパターン印刷し、硬化させてレジスト像を形成する方法である。上記のエッチングする方法としては、ケミカルエッチング法等がある。ケミカルエッチングとは、エッチングレジストで保護された導体部分以外の不要導体をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。
導電性メッシュを得るための更に他の方法としては、1)金属薄膜(上記の金属箔を積層する以外の方法で形成された金属薄膜)をエッチング加工する方法、2)印刷で直接メッシュパターンを形成する方法、3)印刷パターン上に金属膜積層後に現像する方法、及び4)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法なども挙げられる。以下にそれぞれの方法を詳細に説明する。
上記1)の方法は、プラスチックフィルム上に粘着材あるいは接着材からなる接着層を介さずに金属薄膜を形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフ法あるいはスクリーン印刷法等を利用してエッチングレジストパターンを作製した後、金属薄膜をエッチングする方法である。金属薄膜の形成は、金属(例えば銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金など)をスパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、あるいはメッキ等の公知の方法を用いて行うことができる。
上記2)の方法としては、プラスチックフィルムに導電性ペースト等をメッシュパターンに印刷する方法や、プラスチックフィルムに触媒インク等でメッシュパターンを印刷し、これに金属メッキを施す方法がある。後者の1つの方法として、パラジウムコロイド含有ペーストからなる触媒インクを用いてメッシュパターンに印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して導電性メッシュパターンを形成する方法がある。
上記3)の方法は、プラスチックフィルム上に剥離可能な樹脂でメッシュパターンとは逆パターンの印刷を施し、その印刷パターン上に金属薄膜を上記1)と同様の方法で形成した後、現像して樹脂とその上の金属膜を剥離して金属のメッシュパターンを形成する方法である。剥離可能な樹脂として、水、有機溶剤あるいはアルカリに可溶な樹脂やレジストを用いることができる。この方法は、特開2001−185834号公報、特開2001−332889号公報、特開2003−243881号公報、特開2006−140346号公報、特開2006−156642号公報等に記載されており、参照することができる。
上記4)の方法は、上記1)と同様の方法でプラスチックフィルム上に形成された金属薄膜をレーザーアブレーション方式で金属メッシュを作製する方法である。
レーザーアブレーションとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象である。この現象を利用することで固体表面を加工することが出来る。レーザー光は直進性、集光性が高い為、アブレーションに用いるレーザー光の波長の約3倍程度の微細な面積を選択的に加工することが可能であり、レーザーアブレーション法により高い加工精度を得ることが出来る。
かかるアブレーションに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザーを用いることが出来る。例えばガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることが出来る。また、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調波光源(SHG)、第三高調波光源(THG)、第四高調波光源(FHG)を用いることが出来る。
かかる固体レーザーの中でも、プラスチックフィルムを加工しないという観点から、波長が254nmから533nmの紫外線レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくはNd:YAG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット) などの固体レーザーのSHG(波長533nm)、さらに好ましくはNd:YAG などの固体レーザーのTHG(波長355nm)の紫外線レーザーを用いることが好ましい。
かかるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることが出来るが,加工精度の点からパルスレーザーを用い,さらに望ましくはパルス幅がns以下のQスイッチ方式のパルスレーザーを用いることが好ましい。
また、この方法の場合、金属薄膜の上(視認側)に更に0.01〜0.1μmの金属酸化物層を形成した後に、金属薄膜と金属酸化物層とをレーザーアブレーションするのが好ましい。金属酸化物としては銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタン、すずなどの金属酸化物を用いることができるが、価格や膜の安定性などの点から銅酸化物が好ましい。金属酸化物の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めっき法等を用いることができる。
本発明において、メッシュパターンを有する導電層は、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽するための層であり、導電層の面抵抗値は低い方が好ましい。導電層の面抵抗値は、10Ω/□以下が好ましく、5Ω/□以下がより好ましく、特に3Ω/□以下が好ましい。面抵抗の下限値は0.01Ω/□程度である。導電層の面抵抗値は、4端子法により測定することができる。
本発明は、前述したように外光遮蔽メッシュと導電性メッシュが一体となって外光を遮蔽してコントラストの低下を防止するので、その意味において導電性メッシュは黒化処理するのが好ましい。黒化処理は、酸化処理や黒色印刷により行うことができる。例えば、特開平10−41682号公報、特開2000−9484号公報、特開2005−317703号公報等に記載の方法を用いることができる。
次に、本発明に用いられる導電性メッシュのメッシュパターンについて説明する。係るメッシュパターンとしては、格子状パターン、5角形以上の多角形からなるパターン(例えば6角形)等が挙げられる。
本発明は、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュが一体となって外光によるコントラストの低下を防止するのに寄与する。従って、電磁波遮蔽と外光遮蔽とを両立させるという観点から導電性メッシュのパターンが設計される。以下、本発明に好適なメッシュパターンについて図面を用いて説明する。
図3は、本発明における導電性メッシュの一例を示す平面図である。図3のパターンと従来の導電性メッシュパターンとの相違点は、従来のパターンはほぼ正方形のパターンが一般的であるが、図3のパターンは長方形である点である。図3に示すメッシュパターンにおいて、ディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着したときに水平方向となるメッシュ線11のピッチ(HP)は、外光遮蔽効果を高めるために可能な範囲で小さくすることが好ましく、一方、垂直方向となるメッシュ線12のピッチ(VP)は適切な電磁波遮蔽性能が得られる範囲で大きくするのが好ましい。
上記の水平方向となるメッシュ線11のピッチ(HP)を外光遮蔽効果を高めるために可能な範囲で小さくするとは、メッシュパターンの作製の容易性と作製精度、及びディスプレイ用フィルターの透過率の確保を考慮した上で可能な範囲で小さくするという意味である。即ち、メッシュ線11のピッチ(HP)を小さくするとメッシュパターンを精度良く作製するのが難しくなり、またディスプレイ用フィルターの光透過率も低下するので、これらのことを考慮して可能な範囲で小さく設計される。一方、垂直方向となるメッシュ線12のピッチ(VP)は適切な磁波遮蔽効果が得られる範囲で大きくするのが好ましいが、これは、メッシュ線12のピッチ(VP)を大きくすることによってディスプレイ用フィルターの光透過率が向上するので水平方向のメッシュ線11のピッチ(HP)を小さくすることによって生じる透過率の低下を補うという意味がある。
具体的には、水平方向のメッシュ線11のピッチ(HP)は、10〜100μmの範囲が好ましく、20〜90μmの範囲がより好ましく、特に30〜80μmの範囲が好ましい。一方、垂直方向のメッシュ線12のピッチ(VP)は、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、特に300μm以上が好ましい。メッシュ線12のピッチ(VP)の上限は電磁波遮蔽性能の観点から3000μm以下が好ましく、2000μm以下がより好ましく、特に1000μm以下が好ましい。
水平方向のピッチ(HP)と垂直方向のピッチ(VP)とは、上記の範囲内において好ましい関係がある。即ち、水平方向のピッチ(HP)に対する垂直方向のピッチ(VP)の比率(VP/HP)は、2〜20の範囲が好ましく、3〜15の範囲がより好ましい。
本発明における導電層のメッシュパターンの他の態様を図4、図5に示す。図4は、図3の長方形の格子状メッシュパターンをモディファイしたパターンであり、図5は6角形からなるパターンである。図4のパターンは、点線で示す長方形の格子状パターンのそれぞれの長方形の4辺の中心点を結んだ菱形の格子状パターンである。図4のパターンは図3の長方形の格子状パターンから派生しているので、このパターンの水平方向のピッチ(HP)と垂直方向のピッチ(VP)は、図4に示すように定義する。図4のパターンにおける水平方向のピッチ(HP)は、図3の態様と同様に、10〜100μmの範囲が好ましく、20〜90μmの範囲がより好ましく、特に30〜80μmの範囲が好ましい。図4における垂直方向のピッチ(VP)も図3と同様に、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、特に300μm以上が好ましく、上限は3000μm以下が好ましく、2000μm以下がより好ましく、特に1000μm以下が好ましい。
図5は6角形からなるパターンであるが、この6角形は正6角形ではなく、水平方向に細長い6角形である。この6角形のパターンにおいても、水平方向のピッチ(HP)と垂直方向のピッチ(VP)は図6に示すように定義され、これらのピッチの好ましい範囲は、上記した図4のパターンと同じである。
図3のメッシュパターンは、上方からの室内照明灯による外光遮蔽に有効であり、図4のメッシュパターンは、図3のメッシュパターンに比べて室内照明灯の遮蔽効果は若干低下するが屋外から入る斜光の遮蔽効果がある。従って、図4のメッシュパターンは、屋外からの光が射し込むリビングルーム等に設置されたディスプレイのフィルターとして好適である。図5のメッシュパターンは、室内照明灯と屋外からの斜光に対して図3と図4の中間的な効果がある。
本発明において、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュのメッシュパターンは、面方向に垂直な方向に投影した場合重なるので、上記したメッシュ線のピッチは、外光遮蔽メッシュに関しても同様である。
また、メッシュ線の幅についても導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとは実質的に同一にとなる。導電性メッシュと外光遮蔽メッシュの線幅は、導電性メッシュに有効な電磁波遮蔽性能を付与するという観点、外光を有効に遮蔽するという観点、及びディスプレイ用フィルターの光透過率を確保するという観点から設計される。従ってメッシュ線の線幅は、有効な電磁波遮蔽性能と外光遮蔽性能を得るという観点からは3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、特に10μm以上がより好ましい。また、ディスプレイ用フィルターの透過率を確保するという観点からは50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、特に30μm以下が好ましい。
一方、メッシュ線の厚みは、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとは、それぞれの目的に応じて個別の仕様で設計することができる。
導電性メッシュの場合は、有効な電磁波遮蔽性能を得るという観点から0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。メッシュ線の厚みの上限は、材料コスト、メッシュ作製の容易性、及び透明化の容易性の観点から20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、特に10μm以下が好ましい。ここで、透明化の容易性とは、導電性メッシュ上に他の機能層(例えば反射防止層や防眩層)や機能性フィルム(例えば反射防止フィルムや防眩性フィルム)を積層あるいは接着層を介して貼合する場合、メッシュの凹部に気泡が混入しやすく、この気泡の混入が透明性を低下させる。従って、メッシュ凹部に気泡が混入しないように貼り合わせる必要があるが、導電性メッシュの厚みが大きくなると凹部の深さも大きくなり気泡混入防止には不利となる。
外光遮蔽メッシュの厚みについては、本発明は、前述したように導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが一体になって外光を遮蔽するので、従来のように外光遮蔽メッシュの高さに左右されずに有効に外光を遮蔽するという利点があり、従って外光遮蔽メッシュの厚みは、20μm以下、更には15μm以下であっても十分な外光遮蔽効果が得られる。外光遮蔽メッシュの厚みの下限は、外光遮蔽のためにはメッシュ線自体の透過率を小さくすることが好ましく、この観点から0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。上記したように、メッシュ線の厚みを厚くすることは材料コスト及び透明化の容易性等の点で不利であり、従って外光遮蔽メッシュの厚みについては、1〜15μmの範囲がより好ましく、更に1〜10μmの範囲が好ましい。
次に、透明基材の厚みと外光遮蔽効果の関係について説明する。前述したように本発明においては、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが一体になって外光遮蔽に寄与するが、その意味において、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュに挟まれた位置にある透明基材の厚みについても、外光遮蔽の観点から好ましい範囲が存在する。これについて、以下に詳細に説明する。
ディスプレイを室内で観賞する場合、明所コントラストを低下させる原因となる外光は室内照明灯である。室内におけるディスプレイ、観賞者及び照明灯の位置関係を図13に示す。鑑賞者22は、ディスプレイ21から発せられる直進光DLを観賞するように位置し、照明灯23はディスプレイ21からの直進光DLに対して角度θの位置にある。照明灯23から角度θで入射する外光RLは、ディスプレイ21に当たって乱反射し、その一部が直進光(散乱直進光)として、ディスプレイ21から発せられる直進光DLと一緒に鑑賞者22に届く。ここで、ディスプレイ21から発せられる直進光DLに対して外光RLの散乱直進光の比率が大きくなると明所コントラストが低下して鮮明な画像を観賞することができなくなる。従って明所コントラストの低下を防止するためには、外光RLがディスプレイ21に入射する量を軽減する必要がある。
外光RLの入射角度θについては、外光遮蔽層の遮蔽限界(入射角度θが小さい外光、即ちディスプレイに対して垂直に近い外光は遮蔽することができなくなる)、及び室内におけるディスプレイと照明灯の現実的な位置関係を考慮して、35度以上に設定するのが適当である。したがって、本発明では、入射角度が35度以上の外光を効率よく遮蔽するという発明コンセプトの基に、透明基材の厚みと外光遮蔽効果の関係を導き出した。
本発明は、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが一体になって外光を遮蔽するが、この意味について図14で説明する。図14(a)は、透明基材1の一方の面にのみ外光遮蔽層が設けられた従来の構成であり、外光遮蔽面積は外光遮蔽メッシュの幅Wに相当する部分のみである。一方、図14(b)は、透明基材1を挟んで導電性メッシュ2と外光遮蔽メッシュ3とが設けられた本発明の構成であり、外光遮蔽面積は導電性メッシュの幅Wと外光遮蔽メッシュの幅Wの合計、即ち2Wとなり、従来の構成の2倍の外光遮蔽が可能となる。
上記の2Wの外光遮蔽効果を享受するためには、透明基材の厚みと導電性メッシュの幅(本発明では、導電性メッシュの幅と外光遮蔽メッシュの幅は実質的に同一となるので、ここではこれらを代表して導電性メッシュの幅とする)との関係で好ましい範囲があることを見いだした。即ち、下記式1の関係にあることが好ましい。
T×tanθ≧W ・・・・式1
なお、式1において、Tは透明基材の厚み、Wは導電性メッシュの幅、θは図13に示す外光RLの入射角度を表す。
ここで、外光の入射角度θは、前述したように35度以上に設定するのが適当であるが、θに35度を入れると、
T×0.70≧W
T≧W/0.7
T≧1.43×W
となる。したがって、本発明では、T≧1.43×Wの関係を満足するように、W、Tを設定するのがより好ましく、かかる関係式に基づいて設定されたW、Tであれば、入射角度が35度を越えるいずれの場合も、上記式1の関係を満足することになる。例えば、導電性メッシュの幅Wが20μmの場合、透明基材の厚みTは28.6μm以上が好ましい範囲となる。
一方、外光遮蔽シートを作製するときには、透明基材を介して感光層を露光するので、透明基材の厚みが大きくなりすぎると、露光、現像によって形成されたメッシュパターンのシャープ性が低下するので、透明基材の厚みは300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、特に150μm以下が好ましい。また、後述するように、透明基材(例えば、プラスチックフィルム)が1枚のみで構成されるディスプレイ用フィルターにおいては、ディスプレイ用フィルターの強度(剛性)を確保するという観点から透明基材の厚みは50μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましい。
導電性メッシュ(外光遮蔽メッシュ)の幅Wと水平方向のピッチHPとの関係についても外光遮蔽率と透過率(開口率)の観点から好ましい範囲が存在する。上記したように、T×tanθ≧W のときに2Wの外光遮蔽効果を享受することができるが、導電性メッシュの幅Wと水平方向のピッチ(HP)とで外光遮蔽率を表すと、2W/HPとなり、この2W/HPは0.4以上が好ましい。一方、透過率、即ち導電性メッシュの水平方向の開口率は、導電性メッシュの幅Wと水平方向のピッチHPとで表すと、(HP−W)/HPとなり、この(HP−W)/HPは、0.4以上が好ましい。
上記の外光遮蔽率(2W/HP≧0.4)からWとHPの関係はW/HP≧0.2となり、開口率((HP−W)/HP≧0.4)の関係からWとHPの関係は以下のようになる。
(HP−W)/HP≧0.4
1−W/HP≧0.4
−W/HP≧0.4−1
−W/HP≧−0.6
W/HP≦0.6
上記した外光遮蔽率と開口率に係る2つの関係式を同時に満足するWとHPとの関係は、0.2≦W/HP≦0.6となる。この関係から、例えばHPが60μmの場合のWの好ましい範囲は、12μm≦W≦36μmとなる。
本発明は、上述したように透明基材の一方の面に導電性メッシュ、他方の面に外光遮蔽メッシュが形成されるが、係る透明基材としては、アクリル樹脂板やポリカボネート樹脂板等の樹脂板、ガラス板、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂からなるプラスチックフィルム等を用いることができる。これらの中でもプラスチックフィルムが好ましく用いられる。
透明基材に用いられるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等からなるものが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂からなるものが好ましく、特にポリエステル樹脂からなるものが好ましく用いられる。
プラスチックフィルムには、導電層や外光遮蔽層との接着性強化のための下引き層(プライマー層)を設けておくのが好ましい。下引き層に用いる樹脂は、ポリエステル共重合体、アクリル共重合体、各種ウレタン、メラミン、ポリアミド、エポキシなどから選択することができ、これらに公知の方法で架橋剤などを添加して接着性向上や耐溶剤性向上などの特性を付与することができる。
後述するように、本発明のディスプレイ用フィルターに各種色素(染料や顔料)を含有させて色調補正や近赤外線遮蔽機能を付与する場合には、これらの色素が紫外線によって劣化するのを防止するために、透明基材に紫外線吸収剤を含有させて紫外線遮蔽機能を付与するのが好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターには、更に他の機能を付与することができる。例えば、反射防止機能、防眩機能、ハードコート機能、防汚機能、近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、可視光透過率調整機能、衝撃緩和機能等を、ディスプレイの種類等に応じて付与することができる。これらの機能は、その機能を有する独立した機能層として付与しても良いし、あるいは、透明基材、導電層、及び外光遮蔽層に上述した機能を付与しても良い。
反射防止機能を有する層(反射防止層)は、ディスプレイの画像表示に影響を与える蛍光灯などの外光の反射や映り込みを防止するものである。反射防止層は、表面の視感反射率が5%以下であることが好ましく、4%以下がより好ましく、特に3%以下であることが好ましい。ここで視感反射率は、分光光度計等を使用して可視領域波長(380〜780nm)の反射率を測定し、CIE1931システムに準じて計算された視感反射率(Y)である。
このような反射防止層としては、高屈折率層と低屈折率層とを低屈折率層が視認側になるように2層以上積層したものを用いることが好ましい。高屈折率層の屈折率は1.5〜1.7の範囲が好ましく、特に1.55〜1.69の範囲が好ましい。低屈折率層の屈折率は1.25〜1.49の範囲が好ましく、特に1.3〜1.45の範囲が好ましい。尚、屈折率は、JIS K 7105:1981年に基づき、アッベ屈折率計を用いて測定することができる。
高屈折率層を形成する材料としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどを重合硬化させたもの、あるいはシリコーン系、メラミン系、エポキシ系の架橋性樹脂原料を架橋硬化させたもの等の有機系材料、酸化インジウムを主成分としこれに二酸化チタンなどを少量含ませたもの、あるいはAl2 3 、MgO、TiO2 等の無機系材料が挙げられる。これらの中でも、有機系材料が好ましく用いられる。以下に本発明の高屈折率層の好ましい態様を説明する。
本発明において、高屈折率層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂、含リン系樹脂、含スルフィド樹脂、含ハロゲン樹脂などの樹脂成分を単体または混合系で用いることが出来るが、特に、硬度と耐久性などの点から、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂を用いるのが好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点から、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリレート系樹脂は、活性エネルギー線照射によって容易にラジカル重合が起こり、形成される膜の耐溶剤性や硬度が向上するので好ましい。かかる(メタ)アクリレート系樹脂として、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エステルトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
高屈折率層には、更にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(モノマー)を使用することができる。具体的には、酸性官能基含有モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和カルボン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のリン酸(メタ)アクリル酸エステル、2−スルホエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合などの極性を持った結合を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
高屈折率層には、塗布した樹脂成分の硬化を進めるために開始剤を含有させてもよい。該開始剤としては、塗布したバインダー成分を、ラジカル反応、アニオン反応、カチオン反応等による重合および/または架橋反応を開始あるいは促進せしめるものであり、従来から公知の各種光重合開始剤が使用可能である。かかる光重合開始剤としては、具体的には、ソジウムメチルジチオカーバメイトサルファイド、ジフェニルモノサルファイド、ジベンゾチアゾイルモノサルファイド及びジサルファイド等のサルファイド類や、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体や、ヒドラゾン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、ベンゼンジアゾニウム塩等のジアゾ化合物や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−クロロアントラキノン等の芳香族カルボニル化合物や、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、D−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、p−ジエチルアミノ安息香酸イソプロピル等のジアルキルアミノ安息香酸エステルや、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物や、9−フェニルアクリジン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9−アセチルアミノアクリジン、ベンズアクリジン等のアクリジン誘導体や、9,10−ジメチルベンズフェナジン、9−メチルベンズフェナジン、10−メトキシベンズフェナジン等のフェナジン誘導体や、6,4’,4”−トリメトキシ−2、3−ジフェニルキノキサリン等のキノキサリン誘導体や、2,4,5−トリフェニルイミダゾイル二量体、2−ニトロフルオレン、2,4,6−トリフェニルピリリウム四弗化ホウ素塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、3,3’−カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等が挙げられる。
また、高屈折率層には、上記開始剤の酸素阻害による感度の低下を防止するために、光重合開始剤にアミン化合物を共存させてもよい。このようなアミン化合物としては、例えば、脂肪族アミン化合物や、芳香族アミン化合物等の不揮発性のものであれば、特に限定されないが、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等が好ましい。
また、高屈折率層には、金属酸化物微粒子を含有させてもよい。これによって帯電防止効果が得られる。金属酸化物微粒子としては錫含有酸化アンチモン粒子(ATO)、亜鉛含有酸化アンチモン粒子、錫含有酸化インジウム粒子(ITO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子等が好ましく、より好ましくは錫含有酸化インジウム粒子(ITO)、錫含有酸化アンチモン粒子(ATO)である。
かかる金属酸化物粒子は、平均粒子径(BET法により測定される非表面積(JIS R1626:1996年)に基づく球相当径分布から計算される算術平均粒子径(JIS Z8819−1:1999年およびZ8819−2:2001年)が0.5μm以下の粒子が好適に使用されるが、より好ましくは、0.001〜0.3μm、更に好ましくは0.005〜0.2μmの粒子径のものが用いられる。該平均粒子径が、この範囲を超えると高屈折率層の透明性を低下させ、この範囲未満では、該粒子が凝集し易くヘイズ値が増大する場合がある。金属酸化物粒子の含有量は、高屈折率層を構成する樹脂成分に対して、0.1〜20質量%の範囲が好ましい。
更に、高屈折率層には、重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、分散剤等の各種添加剤を含有することができる。
高屈折率層の厚みは、0.01〜20μmの範囲が好ましく、0.05〜10μmの範囲がより好ましい。
反射防止層を構成する低屈折率層は、含フッ素ポリマー、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル、含フッ素シリコーン等の有機系材料、MgF2 、CaF2 、SiO2 等の無機系材料で構成することができる。以下に低屈折率層の好ましい態様を例示する。
低屈折率層の1つの好ましい態様として、MgF2やSiO2等の薄膜を真空蒸着法やスパッタリング、プラズマCVD法等の気相法により形成する方法、或いはSiO2ゾルを含むゾル液からSiO2ゲル膜を形成する方法等が挙げられる。
低屈折率層の他の好ましい態様として、シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーを主成分とする構成を採用することができる。なお、ここで言う「結合」とは、シリカ系微粒子のシリカ成分とマトリックスのシロキサンポリマーが反応して均質化している状態を意味する。シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーは、該シリカ系微粒子の存在下、多官能性シラン化合物を溶剤中、酸触媒により、公知の加水分解反応によって、一旦シラノール化合物を形成し、公知の縮合反応を利用することによって得ることができる。
かかる多官能性シラン化合物としては、多官能性フッ素含有シラン化合物を含むことが低屈折率化、防汚性の点から好ましく、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランなどの3官能性フッ素含有シラン化合物、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性フッ素含有シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点から、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシランが、より好ましい。
かかる多官能性フッ素非含有シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性シラン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点からビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが、より好ましい。
また、上述のシリカ系微粒子としては、平均粒子径1nm〜200nmのシリカ系微粒子であることが好ましく、特に好ましくは、平均粒子径1nm〜70nmである。平均粒子径が1nmを下回ると、マトリックス材料との結合が不十分となり、硬度が低下することがある。一方、平均粒子径が200nmを越えると、粒子を多く導入して生じる粒子間の空隙の発生が少なくなり、低屈折率化の効果が十分発現しないことがある。さらに、かかるシリカ系微粒子の中でも、内部に空洞を有する構造のものが、屈折率を低下させるために、特に好ましく使用される。
かかる内部に空洞を有するシリカ系微粒子とは、外殻によって包囲された空洞部を有するシリカ系微粒子、多数の空洞部を有する多孔質のシリカ系微粒子等が挙げられ、いずれも好適に用いられる。このような例としては例えば、特許第3272111号公報に開示されている方法によって製造でき、微粒子内部の空洞の占める体積、すなわち微粒子の空隙率としては、5%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。空隙率は、例えば、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。また、該微粒子自体の屈折率は、1.20〜1.40であるのが好ましく、1.20〜1.35であるのがより好ましい。このようなシリカ系微粒子としては、例えば特開2001−233611号公報に開示されているものや、特許第3272111号公報等の一般に市販されているものを挙げることができる。
低屈折率層の厚みは、0.01〜1μmの範囲が好ましく、0.02〜0.5μmの範囲がより好ましい。
防眩機能を有する層(防眩層)は、画像のギラツキを防止するものであり、表面に微小な凹凸を有する膜が好ましく用いられる。防眩層としては、例えば、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂に粒子を分散させて支持体上に塗布および硬化させたもの、あるいは、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を表面に塗布し、所望の表面状態を有する型を押し付けて凹凸を形成した後に硬化させたものなどが用いられる。防眩層は、ヘイズ値(JIS K 7136:2000年)が0.5〜20%であることが好ましい。防眩層の厚みは、0.01〜20μmが好ましい。
上記した反射防止機能と防眩機能はそれぞれ独立した層として設けても良く、また両者の機能を併せ持つ層として設けても良い。
ハードコート機能を有する層(ハードコート層)は、傷防止のために設けられる。ハードコート層は硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が1H以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
ハードコート層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
また、反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
また、市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
ハードコート層形成組成物を構成するアクリル化合物の代表的なものを例示すると、1分子中に3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる混合物を主たる構成成分とし、活性エネルギー線硬化または熱硬化によって得られるハードコート層が、硬度、耐摩耗性および可撓性に優れている点で好ましく用いられる。(メタ)アクリロイルオキシ基が多すぎる場合には、単量体は高粘度となり取り扱いし難くなり、また、高分子量とならざるを得なくなって塗布液として用いることが困難となるので、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基は好ましくは10個以下である。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーとしては、1分子中に3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物などを挙げることができる。具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。これらの単量体およびプレポリマーは、1種または2種以上を混合して使用することができる。特にこれらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物は、後述するイソシアネートとの併用により、ハードコート層と隣接層との接着性を向上させることができるので特に好ましい。
これらの1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合は、ハードコート層構成成分総量に対して20〜90質量%が好ましく、より好ましくは30〜80質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。
上記単量体およびプレポリマーの使用割合が20質量%未満の場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜を得るという点で不十分な場合がある。また、その使用割合が90質量%を超える場合は、硬化による収縮が大きく、硬化被膜に歪が残ったり、被膜の可撓性が低下したり、硬化被膜側に大きくカールするなどの不都合を招く場合がある。
また、これらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。使用割合が10質量%未満の場合には、ハードコート層と隣接層との接着性を向上させる効果が小さい。使用割合が80質量%を超える場合は、ハードコート層内の架橋密度が低下して、硬度が低下する傾向がある。
次に、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用することができる。
また、分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メタ)アクリレート等を用いることができる。
すなわち、(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなど;
(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど;(c)多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど;(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど;(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類など、および;(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類など。
分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、およびt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドンなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上混合して使用してもよい。
これらの1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、ハードコート層構成成分総量に対して10〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。単量体の使用割合が50質量%を超える場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られにくくなる場合がある。また、その使用割合が10質量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下したり、基材フィルム上に設けた積層膜との接着性が低下する場合がある。
本発明において、ハードコート形成組成物を硬化させる方法としては、例えば、活性エネルギー線として紫外線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、前記ハードコート組成物に、光重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
光重合開始剤または熱重合開始剤の使用量は、ハードコート層形成組成物100質量部に対して、0.01〜10質量部が適当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また220℃以上の高温で熱硬化させる場合には、熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
本発明におけるハードコート層形成組成物は、ポリイソシアネート化合物を含有していることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等の少なくとも2量体以上のものが挙げられる。これらポリイソシアネート化合物は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
これらのポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体は、前記したハードコート層形成組成物に混合されて塗布される。上記ポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量は、接着性、表面硬度、耐湿熱性および虹彩模様低減の点で、ハードコート層形成組成物に対し、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。配合量が0.5質量%未満の場合には、接着性向上効果が不足したり、虹彩模様の低減が不十分な場合があり、また配合量が50質量%を超えると表面硬度が低下する場合がある。
上記ポリイソシアネートを添加したハードコート層形成組成物には、その硬化効率を高める目的で有機金属触媒を含有させることも好ましい。
有機金属触媒は、特に限定されるものではなく、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機4A族元素(チタン、ジルコニウムまたはハフニウム)化合物などが挙げられるが、安全性を考慮した場合、非錫系金属触媒である有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、および、有機チタン化合物から選ばれたものが好ましく適用される。有機錫化合物としては、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウリレートなどのジブチル錫脂肪酸塩、ジオクチル錫ジラウリレートなどのジオクチル錫脂肪酸塩が例示できる。
有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ハフニウム化合物、有機チタン化合物としては、これらの金属のオルトエステルとβ−ケトエステル(βジケトン)の反応生成物が例示され、具体的にはジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、アルミニウムテトラ−n−プロポキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、アルミニウムテトラ−n−ブトキシドなどの金属オルトエステルと、アセチルアセトン、メチルアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどのβケトエステル(βジケトン)との反応生成物を挙げることができる。金属オルトエステルとβジケトエステル(βジケトン)の混合モル比率は4:1〜1:4程度が好ましく、より好ましくは2:1〜1:4である。4:1より金属オルトエステルが多い場合は触媒の反応性が高すぎてポットライフが短くなりやすく、1:4よりβジケトエステルが多い場合は触媒活性が低下するため好ましい態様では無い。本発明における有機金属系触媒のハードコート組成物中の含有量は0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜2質量%である。0.001質量%より少ない場合には触媒添加効果が低く、10質量%より多くすることは経済的見地から好ましくない。
上記した組成物の好ましい態様としては、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物10〜80質量%、イソシアネート化合物1〜30質量%および必要に応じて有機金属系触媒0.001〜10質量%の範囲とするのが望ましい。さらに必要に応じて1〜2個のエチレン性不飽和結合を有する単量体を50質量%以下添加しても良い。
本発明において、ハードコート層中には、更に各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサンを基本骨格とし、ポリオキシアルキレン基が付加されたものが好ましく、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
またハードコート層上にさらに積層膜を設ける場合には、接着性を阻害しないアクリル系レベリング剤を適用するのが好ましい。このようなレベリング剤としては「ARUFON−UP1000シリーズ、UH2000シリーズ、UC3000シリーズ(商品名):東亜合成化学(株)製)などを好ましく用いることができる。レベリング剤の添加量はハードコート組成物100質量部に対し、0.01〜5質量部の範囲とするのが望ましい。
本発明で用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができる。またさらに、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、さらに好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
ハードコート層の厚さは、0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。ハードコート層の厚さが0.1μm未満の場合には十分硬化していても薄すぎるために、表面硬度が十分でなく、傷が付きやすくなる傾向にある。一方、ハードコート層の厚さが20μmを超える場合には、折り曲げなどの応力により、硬化膜にクラックが入りやすくなる傾向にある。
ハードコート層には、前述した反射防止層を構成する高屈折率層としての機能を付与することができる。ハードコート層の高屈折率化は、ハードコート層形成用樹脂組成物中に高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加することにより、あるいは高屈折率成分の分子や原子を含んだ樹脂を用いることにより図られる。
前記高屈折率を有する超微粒子は、その粒径が5〜50nmで、屈折率が1.65〜2.7程度のものが好ましく、具体的には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO2(屈折率2.3〜2.7)、CeO2(屈折率1.95)、Sb2 5(屈折率1.71)、SnO2、ITO(屈折率1.95)、Y23(屈折率1.87)、La23(屈折率1.95)、ZrO2(屈折率2.05)、Al23(屈折率1.63)等の微粉末が挙げられる。
前記屈折率を向上させる樹脂に含まれる分子及び原子としては、F以外のハロゲン原子、S、N、Pの原子、芳香族環等が挙げられる。
また、ハードコート層に反射防止機能あるいは防眩機能を付与することができる。反射防止機能を有するハードコート層の表面の視感反射率としては5%以下であることが好ましく、4%以下がより好ましく、特に3%以下であることが好ましい。このハードコート層は、例えば、特開平1−197570号後方、特開2001−316604号後方に記載されているようにフッ素含有化合物を用いることによって形成することができる。防眩機能を有するハードコート層は、例えば、上述したハードコート層形成組成物にシリカ等の微粒子を含有することによって形成することができる。
防汚機能を有する層(防汚層)は、ディスプレイ用フィルターの表面を人が触ることによる油脂性物質の付着や環境からのごみや埃の付着を防止し、あるいは付着しても除去しやすくするための層である。防汚層としては、例えば、フッ素系コート剤、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等の層が用いられる。防汚層の厚さは、1〜10nmの範囲が好ましい。
近赤外線遮蔽機能は、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が15%以下となるように調整するのが好ましい。近赤外線遮蔽機能は、前述した反射防止層、防眩層、ハードコート層、防汚層等の各種機能層、あるいはプラスチックフィルムに近赤外線吸収色素(染料や顔料)を混錬することによって付与してもよいし、近赤外線遮蔽層を新たに設けてもよい。あるいは、後述する接着層に近赤外線遮蔽機能を持たせてもよい。近赤外線遮蔽機能は、近赤外線吸収色素を用いることによって、あるいは導電性薄膜のような金属の自由電子によって近赤外線を反射する層を設けることによって付与することができる。本発明においては、近赤外線吸収色素を樹脂バインダー中に分散もしくは溶解した塗料を塗布乾燥して形成した近赤外線遮蔽層を用いること、あるいは接着層に上記近赤外線吸収色素を含有させる態様が好ましく用いられる。近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等の公知の色素が挙げられる。
色調調整機能は、ディスプレイから発光される特定波長の光を吸収して色純度や白色度を向上させるための機能である。特に赤色発光の色純度を低下させるオレンジ光を遮蔽するのが好ましく、波長580〜620nmの範囲に吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。更に、白色度を向上させるために波長480〜500nmに吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。色調調整機能は、上記した波長の光を吸収する色素を含有する層を新たに設けてもよいし、上述の近赤外線遮蔽層あるいは接着層に色素を含有させてもよい。
可視光透過率調整機能は、可視光の透過率を調整するための機能であり、染料や顔料を含有させて調整することができる。可視光透過率調整機能は、プラスチックフィルム、近赤外線遮蔽層、接着層に付与してもよいし、あるいは新たに可視光透過率調整層を設けてもよい。
本発明のディスプレイ用フィルターには、接着層を設けることができる。かかる接着層としては、反射防止層等の機能層を有するプラスチックフィルム(光学機能性フィルム)と上述した外光遮蔽シートとを貼り合わせるための接着層、あるいはディスプレイ用フィルターをディスプレイに貼り付けるための接着層等が挙げられる。接着層には、前述したように近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能を付与することができる。また、ディスプレイ用フィルターをディスプレイに貼り付けるための接着層に、ディスプレイを衝撃から保護するための衝撃緩和機能を付与することは好ましい態様である。接着層に衝撃緩和機能を付与するには、接着層の厚みを100μm以上にすることが好ましく、300μm以上がより好ましく、特に500μm以上が好ましい。上限の厚みは、接着層のコーティング適性を考慮して3000μm以下が好ましい。
接着層には、公知の粘着材あるいは接着材を用いることができる。粘着材としては、アクリル、シリコン、ウレタン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニルなどが挙げられる。接着材としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
本発明のディスプレイ用フィルターのさらに好ましい態様について以下に説明する。本発明のディスプレイ用フィルターは、前述した反射防止機能、防眩機能、及びハードコート機能の中から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を有するのが好ましく、更に近赤外線遮蔽機能を併せ持つのが好ましい。本発明のディスプレイ用フィルターのさらに好ましい構成について図面を用いて説明する。
図6は、本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す模式断面図である。このディスプレイ用フィルターは、外光遮蔽シート100の導電性メッシュ2側に、プラスチックフィルム5上に光学機能層6を有する光学機能性フィルム200が接着層4を介して貼合され、外光遮蔽シート100の外光遮蔽メッシュ3側に接着層7が積層された構成になっている。ここで、光学機能層6は、反射防止機能、防眩機能、及びハードコート機能の中の少なくとも1つの機能を有する機能層であり、接着層7はディスプレイ用フィルターをディスプレイに直接あるいはガラス板や樹脂板等を介して貼り付けるための粘着材層である。
光学機能層6は、単一層であっても複数層であってもよいが、好ましくは複数機能を有する単一層あるいは複数層構成である。複数機能を有する単一層としては、前述したような、反射防止機能を有するハードコート層、防眩機能を有するハードコート層が例示される。複数層構成としては、a)ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、b)高屈折率ハードコート層/低屈折率層、c)ハードコート層/防眩層、d)ハードコート層/防眩性反射防止層、等が例示される。
本発明に係るディスプレイ用フィルターには、更に近赤外線遮蔽機能を付与するのが好ましく、たとえば図6の構成において、独立した近赤外線遮蔽層を光学機能性フィルム200のプラスチックフィルム5の光学機能層6とは反対面に塗工形成する態様、接着層4あるいは接着層7に近赤外線吸収色素を含有させることによって近赤外線遮蔽機能を付与する態様、または透明基材1あるいはプラスチックフィルム5に近赤外線吸収色素を含有させることによって近赤外線遮蔽機能を付与する態様を採用することができる。また、感光性銀塩を含む感光層を用いて導電性メッシュもしくは外光遮蔽メッシュを作製する場合は、感光性銀塩を含む感光層に近赤外線吸収色素を含有させることができる。
なお、上記の構成は、外光遮蔽シート100の導電性メッシュ2側に光学機能性フィルム200を積層しているが、外光遮蔽シート100を反転して外光遮蔽メッシュ3側に光学機能性フィルム200を積層してもよい。
図6のディスプレイ用フィルターを製造するに際して、外光遮蔽シート100と光学機能性フィルム200とを接着層4を介在させて貼合する工程は、長尺の外光遮蔽シートと長尺の光学機能性フィルムとを連続生産ラインにてロール・ツー・ロール方式等で連続的貼合することが生産性を高める上で好ましい。更にこの貼合工程を減圧下で行うのも好ましい。貼合工程を減圧下で行うことによって、導電性メッシュの凹部への気泡の混入が抑制され、加えて上述したように導電性メッシュの厚みを小さくすることによって気泡混入の抑制を更に完全なものとすることができ、その結果ディスプレイ用フィルターの透明化が図られる。
外光遮蔽シート100と接着層7の積層についても上記と同様に、接着層7が離型フィルムに予め塗工された長尺の接着材シートと長尺の外光遮蔽シートとを減圧下で連続貼合するのが好ましい。尚、外光遮蔽シート100に接着層7を直接に塗工することも好ましい態様である。
上記した減圧下での連続貼合は、ロール状長尺シートの巻き出し、搬送、貼合、積層シートの巻き取り等の一連の工程を減圧室(減圧チャンバー)の中で行うのが好ましい。減圧の程度は、貼合速度等によって適宜設定されるが、15kPa以下が好ましく、10kPa以下がより好ましく、特に5kPa以下が好ましい。気圧の下限は50Pa程度が適当である。
次に、1つの透明基材(プラスチックフィルム等)からなるディスプレイ用フィルターの態様を図7(ディスプレイ用フィルターの模式断面図)にて説明する。係るディスプレイ用フィルターは、外光遮蔽シート100の導電性メッシュ2側に光学機能層6を設け、外光遮蔽メッシュ3側に接着層7を設けた構成になっている。ここで、光学機能層6及び接着層7は、前述の図6と同義である。
図7の構成において、光学機能層6はプラスチックフィルム及び接着層を介在せずに導電性メッシュ2からなる導電層上に積層されており、光学機能層6の積層に際し、光学機能層6は導電性メッシュ2上に直接に塗工形成するか、もしくは導電性メッシュを平坦化するための中間樹脂層(例えば、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等の硬化性樹脂)を介して塗工形成するのが好ましい。特に導電性メッシュ上に光学機能層を直接に塗工形成するのが好ましい。
導電性メッシュ2上に光学機能層6を直接に塗工形成するためには、導電性メッシュの厚みは小さい方が、均一な塗工面を形成する上で好ましい。導電性メッシュの厚みを小さくすることによってメッシュの凹凸の深さが小さくなるので、光学機能層を均一に塗工することができる。この観点から、導電性メッシュの厚みは7μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、特に3μm以下が好ましい。
図7の構成は、外光遮蔽シート100の導電性メッシュ2側に光学機能層6を積層しているが、外光遮蔽シート100を反転して外光遮蔽メッシュ3側に光学機能層6を積層してもよい。上述した光学機能層を直接に塗工形成する態様においては、外光遮蔽メッシュ上に光学機能層を塗工形成する方が好ましい。即ち、光学機能層を構成する反射防止層、防眩層、及びハードコート層は前述したように硬化性樹脂等の樹脂を主成分としており、外光遮蔽メッシュを感光性樹脂で形成することによって、金属からなる導電性メッシュに比べて、光学機能層の塗工界面での相溶性が高くなるので塗工性が向上する。外光遮蔽メッシュ上に光学機能層を直接に塗工形成する態様において、外光遮蔽メッシュの厚みは7μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、特に3μm以下が好ましい。
また、外光遮蔽メッシュを感光性銀塩で形成する態様も、外光遮蔽メッシュ上に光学機能層を直接に塗工するのに好適である。即ち、外光遮蔽メッシュは導電性メッシュのようにメッキ処理等の必要がなく、感光性銀塩で形成された黒化銀画像をそのまま外光遮蔽メッシュとして適用することができ、この外光遮蔽メッシュとなる黒化銀は感光層に埋設されているので感光層表面はほぼ平滑な面であり、従ってこの感光層上に塗工される光学機能層の塗工性が向上する。
更に、感光層上にポリマーラテックスを主成分とするオーバーコート層を予め積層しておくことによって、光学機能層の塗工性及び密着性が向上する。ここでポリマーラテックスとしては、アクリル系、スチレン系、アクリル/スチレン系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、スチレン/ブタジエン系のポリマーラテックスが挙げられる。硬化性樹脂を主成分とする光学機能層との密着の観点より官能基の一部にアクリレート基を含有するものがより好ましく用いられる。
光学機能層を導電性メッシュあるいは外光遮蔽メッシュ上に直接に塗工する場合、光学機能層の合計の厚み(乾燥状態での厚み)は、上記メッシュの厚みに対して130%以上が好ましく、150%以上がより好ましい。この範囲にすることによって上記メッシュの開口部(凹部)を十分に埋めて均一化することができる。上記比率の上限は2000%程度である。光学機能層の合計厚みとしては、1〜20μmの範囲が好ましく、2〜10μmの範囲がより好ましい。光学機能層の厚みが上記範囲を超えて大きくなると、塗工速度、乾燥あるいは硬化速度が低下することによる生産効率ダウン、及び原材料費の増大を招く。また更に光学機能層の厚みが厚くなると、層自体に亀裂が入りやすくなるという不都合が生じる場合がある。光学機能層の厚みが上記範囲より小さくなると、均一な塗工面を得るのが難しくなり、また光学機能層としての本来の機能を発揮できなくなる場合がある。
光学機能層は、前述したように塗工形成するのが好ましく、塗布方式としては、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リーバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、スプレー法、ロールコーティング法等の公知のウェットコーティング法を用いることができる。光学機能層を塗工形成するに際し、長尺の外光遮蔽シートに連続的に塗工するのが好ましい。
図7の構成においても図6と同様に近赤外線遮蔽機能を付与するのが好ましく、独立した近赤外線遮蔽層を導電性メッシュ2上あるいは外光遮蔽メッシュ3上に塗工形成する態様、接着層7に近赤外線吸収色素を含有させることによって近赤外線遮蔽機能を付与する態様、または透明基材1に近赤外線吸収色素を含有させることによって近赤外線遮蔽機能を付与する態様を採用することができる。導電性メッシュ2上に近赤外線遮蔽層を設ける場合は、この近赤外線遮蔽層は前述した光学機能層を塗工形成するための中間樹脂層としての機能を併せ持つことができる。
上記したように図7のディスプレイ用フィルターは、プラスチックフィルム等からなる透明基材が1層のみの極めてシンプルな構成のディスプレイ用フィルターであり、材料コスト及び生産工数の面で極めて有益なディスプレイ用フィルターと言える。このシンプルな構成のディスプレイ用フィルターは、本発明によって初めて実現できるものである。
本発明のディスプレイ用フィルターをプラズマディスプレイ用前面フィルターに適用する場合は、ディスプレイ用フィルターをプラズマディスプレイに装着し筐体に組み立てたときに導電層と筐体の外部電極とを電気的に接続するための電極をディスプレイ用フィルターに設ける必要がある。従って、ディスプレイ用フィルターに導電層に導通した電極を形成する必要がある。かかる電極の形成方法として、ディスプレイ用フィルターの周辺部(画像表示領域の外周)に額縁状に導電層を剥き出しにする方法があるが、この方法は導電層上あるいは外光遮蔽層上に光学機能層を連続的に積層する製造方法には適用することができない。従って本発明においては、ディスプレイ用フィルターの周辺部に光学機能層側からレーザーを照射して、導電層に達する空隙を形成し、導電層を露出する方法が好ましく用いられる。以下、レーザーを用いた電極形成方法について詳細に説明する。
図8はディスプレイ用フィルターの平面図であり、図9は図8のA−Aの模式断面図である。ディスプレイ用フィルターの周辺部に、4辺の側辺に略平行に直線状に細長い空隙8が設けられている。このディスプレイ用フィルターの構成は図7と同一であり、図9において空隙8は光学機能層6の表面から光学機能層6を貫通して導電性メッシュ2に達しており、導電性メッシュ2が露出している。この導電性メッシュの露出部が電極となる。
図8に示すように、空隙を連続した直線状に設ける場合、ディスプレイ用フィルターの1辺の長さに対して空隙の長さは、適切な電磁波遮蔽層性能を確保するという観点から60%以上が好ましく、特に70%以上が好ましい。上限は100%である。
図10は、空隙を直線状に不連続(破線状)に設けた態様の平面図である。ディスプレイ用フィルターの周辺部に、4辺の側辺に略平行に空隙8が破線状に設けられている。このような不連続な空隙を設ける態様は、空隙を形成することによってディスプレイ用フィルターの強度が損なわれる場合に有効である。即ち、図7の構成において、外光遮蔽シート100を反転させた場合、図11に示すように導電性メッシュ2に到達する空隙8を連続した直線状に形成すると、空隙の外周と内部をつなぐのは接着層7のみとなり、その結果ディスプレイ用フィルターの強度が著しく低下する。このディスプレイ用フィルターの強度低下を回避するために、不連続な空隙を形成するのが好ましい。
従って、不連続な空隙の仕様、例えば、ディスプレイ用フィルターの1辺当たりに設けられる合計の空隙長さの比率、空隙1個当たりの長さ、空隙と空隙の間隔、空隙の個数等の仕様は、電磁波遮蔽性能とディスプレイ用フィルターの強度を確保するという観点から設計される。以下に不連続な空隙の好ましい仕様について説明する。
ディスプレイ用フィルター1辺当たりに形成される空隙の合計長さは、ディスプレイ用フィルター1辺の長さに対して、10〜90%が好ましく、20〜80%がより好ましく、特に30〜80%が好ましい。ディスプレイ用フィルター1辺当たりの空隙部分の数は3〜50個が好ましく、5〜40個の範囲がより好ましい。ディスプレイ用フィルター1辺当たりの空隙部分の合計の長さ(A)と空隙部分と空隙部分の距離(間隔)の合計長さ(B)の比率(A/B)は、0.2〜9の範囲が好ましく、0.3〜8の範囲がより好ましく、特に0.4〜4の範囲が好ましい。また、空隙1個当たりの長さは、0.5cm以上が好ましく、1cm以上がより好ましく、上限は10cm以下が好ましく、5cm以下がより好ましい。空隙と空隙の間隔は、0.5〜10cmの範囲が好ましく、0.5〜8cmの範囲がより好ましい。
空隙8は、ディスプレイ用フィルターの周辺部に設けられるが、ここで、ディスプレイ用フィルターの周辺部とは、かかるディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着した際に、ディスプレイの画像表示領域の外周に相当する部分のことを言い、好ましくはディスプレイ用フィルターの端部から1mm以上内側で、画像表示領域に相当する部分から1mm以上外側の範囲である。
ディスプレイ用フィルターは通常長方形であり、空隙は少なくとも対向する2辺の端縁部に設けるのが好ましく、4辺の端縁部にそれぞれ形成するのがより好ましい。空隙は、側辺に略平行に直線状に細長く溝状に形成するのが好ましい。空隙の幅は、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、更に2mm以下が好ましい。空隙の幅の下限としては、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。空隙の幅が4mmを越えて大きくなると、導電層の露出面が大きくなり導電層が酸化劣化しやすくなるという問題、後述するように生産効率が低下するという問題、及び後述するように空隙に導電性材料を配置したときに導電性材料が剥離しやすくなるという問題が生じる場合がある。一方、空隙の幅が0.3mmより小さくなるとディスプレイ筐体(外部電極)との導通が不十分になり十分な電磁波遮蔽効果が得られない場合がある。
ここで、空隙の幅は、ディスプレイ用フィルターにおける表面開口幅を意味するものである。空隙の幅の測定法は特に限定されないが、例えば空隙部の断面写真を顕微鏡等で撮影し、その断面写真から求めることができる。この断面写真から測定する方法は、空隙の幅が1mm以下の場合に好適である。
以下に空隙の形成方法について説明する。本発明においては、導電層の上に位置する光学機能層やプラスチックフィルム等を物理的な方法で剥離することなく空隙を形成することが好ましい。たとえば、レーザーを用いることによって光学機能層やプラスチックフィルム等の有機物を蒸発あるいは燃焼させることによって空隙を形成することができる。レーザーを照射する方法は、ディスプレイ用フィルターに物理的な接触なしに空隙が形成できること、ほぼ一定の幅で空隙を形成できること、及び空隙の深さ方向の制御が精度よくできるという利点がある。このようなレーザーの出力源としては、ヨウ素、YAG、COなどがあるが、特にCOレーザーは、空隙幅及び空隙深さが精度よく制御できること、及び金属からなる導電層は破壊せずに光学機能層やプラスチックフィルム等を蒸発・燃焼させて空隙を形成できる点で好ましい。
空隙形成方法として、ナイフ等のカッター刃を用いてディスプレイ用フィルター表面から切り込みを入れる方法があるが、この方法では0.3mm以上の幅の空隙は形成できないので導通が取れないこと、及び導電性メッシュが切断されて導通が不十分になる場合がある。空隙形成の他の方法として、超音波半田コテを用いて光学機能層等を除去する方法があるが、この方法は高温のコテ先をディスプレイ用フィルターに接触させるのでプラスチックフィルムが熱変形を起こす可能性があること、及び導電層の露出を完全にかつ安定的に行うことが難しいという問題がある。更に他の方法として、ドライエッチングする方法があるが、この方法は装置が大がかりとなること、及び操作中に高温となりディスプレイ用フィルターが変形することがある。
上述に鑑み、導電性メッシュの上に積層された光学機能層やプラスチックフィルム等を貫通し導電性メッシュが露出するような空隙を形成する方法として、レーザーを用いる方法が極めて有益である。
空隙をレーザー照射で形成する場合、空隙の幅及び深さは、レーザーの焦点位置、レーザーの出力、及びレーザーの走査速度(ヘードスピード)を調整することによって制御することができる。空隙の幅は更に走査回数を調整することによって制御することができるが、1回の走査でも本発明が所望とする空隙を形成することができる。空隙の幅は4mm以下が好ましいことは前述した通りであるが、幅が4mmを越える空隙を形成するためにはレーザーの走査回数を多くする必要があり、生産効率が低下する。
空隙は、レーザーを用いて光学機能層を蒸発あるいは燃焼させて形成するので、導電層を完全に露出することが可能となる。図9の構成のディスプレイ用フィルターにおいては、導電層上には光学機能層等の薄層が配置されるのみで、導電層からフィルター表面までの距離(Ta)は小さくなるように設計され、上述したような4mm以下の狭幅の空隙を形成するのみでアース効率を十分に確保することができる。この場合、導電層からディスプレイ用フィルター表面までの距離は、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、下限は光学機能層の設計上1μm以上が好ましい。
また、空隙の幅(Wa)と導電層表面からディスプレイ用フィルター表面までの距離(Ta)との間に好ましい関係がある。即ち、空隙の幅(Wa)に対する距離(Ta)の比率(Ta/Wa)×100は、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、特に3%以下が好ましい。下限は0.03%程度が適当である。
本発明においては、更に空隙に導電性材料を配置することが好ましく、これによって外部電極との導通を更に安定的に確保することができる。
空隙に導電性材料を配置する1つの態様として、空隙に導電性ペーストやはんだ等の流動性の導電性材料を塗布あるいは充填する態様がある。導電性ペーストとしては、銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などを含有する金属ペーストを用いることができる。
空隙に導電性材料を配置する他の態様として、空隙に挿入することができるように加工された導電性固体を配置する態様がある。導電性固体としては導電性金属あるいは非導電体の表面に導電性金属を被覆したものが用いられる。
空隙に導電性材料を配置する更に他の態様として、導電性粘着テープを空隙の上から貼り付ける態様がある。導電性粘着テープを貼り付けた後にヒートシーラー等で導電性粘着テープを加熱加圧するのが好ましい。本発明のディスプレイ用フィルターは、フィルター最表面から導電層表面までの距離が短いため、導電性粘着テープを加熱加圧することで、導電性粘着テープを導電層と接触させることができる。導電性粘着テープは、金属箔の一方の面に導電性粒子を分散させた粘着層を設けたものであって、この粘着層には、アクリル系、ゴム系、シリコーン系粘着剤や、エポキシ系、フェノール系樹脂に硬化剤を配合したものを用いることができるが、特に架橋型導電粘着剤であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とするポリマーとその架橋剤とを含む後架橋型接着層であるものが好ましい。
図12は、空隙に導電性材料を配置したディスプレイ用フィルターの模式断面図である。空隙8に導電性ペースト等からなる導電性材料9が塗布されて、導電性メッシュ2と電気的に接続された電極が形成されている。空隙に導電性材料を配置する態様は、導電層表面からディスプレイ用フィルターの表面までの距離(Ta)が比較的大きい場合に特に有効である。即ち、図12の構成のように、導電性メッシュ2の上に透明基材1、外光遮蔽メッシュ2、及び光学機能層6を有し、上記距離(Ta)が30μmを越える場合に、空隙8に導電性材料9を配置するのが好ましい。この場合、導電性材料としては導電性ペーストやはんだが好ましい。
上述した空隙の形成工程及び空隙に導電性材料を配置する工程は、ディスプレイ用フィルターの光学機能層側表面に更にカバーフィルムを積層した状態で行うのが好ましい。カバーフィルムは光学機能層等の表面層を保護する等の目的で設けられるものであり、最終的には剥離除去されるものである。カバーフィルムの上からレーザーを照射して空隙を形成することによって、レーザー照射時に発生する有機物の分解物残渣がディスプレイ用フィルターへ再付着するのを防止するという利点があり、またカバーフィルムが存在する状態で空隙に導電性ペースト等の導電性材料を充填することによって、光学機能層等の表面層に導電性材料が付着するのを防止する効果、及び表面層から盛り上がった電極を容易に形成することができるという利点がある。
カバーフィルムとしては、各種プラスチックフィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられ、これらの中でもポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムが好ましく用いられる。カバーフィルムの厚みは、10〜100μmが好ましい。
カバーフィルムは、最終的にはディスプレイ用フィルターから剥離除去されるので、剥離可能な粘着材または接着材が用いられる。あるいは、カバーフィルムとして粘着性を有するフィルムを用いる場合には、粘着材等は不要である。カバーフィルムはディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着する前もしくは装着した後に剥離除去するのが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
図7の構成のプラズマディスプレイ用フィルター(PDP用前面フィルター)を作製した。
<外光遮蔽シートの作製>
透明基材としてのプラスチックフィルム(厚み100μmのPETフィルム)を用い、このプラスチックフィルムの一方の面に導電性メッシュからなる導電層、他方の面に外光遮蔽メッシュからなる外光遮蔽層を有する外光遮蔽シートを作製した。以下に導電性メッシュと外光遮蔽メッシュの作製方法を示す。
<導電性メッシュの作製>
前記PETフィルムの一方の面に、抵抗加熱による真空蒸着法(真空度:3×10−3Pa)にて銅蒸着を行い、厚み0.3μmの銅の金属薄膜を形成した。次いでスパッタリング法(真空度:0.5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:酸素100%)にて、上記金属薄膜の上に厚み0.05μmの酸化銅(金属酸化物層)を形成した。作製したフィルムの金属薄膜/金属酸化物層面側へ、波長355nmのNd:YAGレーザーの第3高調波を照射し、図3に示すような格子状メッシュパターンの導電性メッシュを作製した。導電性メッシュの仕様を以下に示す。
<導電性メッシュの仕様>
厚み;0.35μm
線幅;20μm
水平方向の線ピッチ;60μm
垂直方向の線ピッチ;500μm。
<外光遮蔽メッシュの作製>
ポジ型感光性樹脂(ノボラック樹脂/キノンジアジド系樹脂溶液;シプレイ・ファーイースト(株)製)に着色剤としてカーボンブラックを樹脂固形分に対して8質量%の割合で含有する塗工液を調製し、前記PETフィルムの導電性メッシュとは反対面に上記塗工液を乾燥厚みが3μmになるように塗工して感光性樹脂を含む感光層を形成した。次いで、導電性メッシュをマスクとして導電性メッシュ側から紫外線を照射して上記感光層を露光した後アルカリ水溶液で現像して、厚みが3μmである以外は導電性メッシュと同一仕様で導電性メッシュと投影的に重なるメッシュパターンからなる外光遮蔽メッシュを作製した。
<光学機能層の塗工>
上記の導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが形成されたPETフィルムの導電性メッシュ上に、下記のハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層を順次塗工した。
<ハードコート層>
市販のハードコート剤(JSR製“デソライトZ7528”)をイソプロピルアルコールで固形分濃度30%に希釈した塗料を、マイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して硬化させ、乾燥厚みが3μmのハードコート層を設けた。
<高屈折率層>
錫含有酸化インジウム粒子(ITO)6質量部、多官能アクリレート2質量部、メタノール18質量部とポリプロピレングリコールモノエチルエーテル54質量部、イソプロピルアルコール20質量部の混合物を攪拌して塗膜屈折率1.67の高屈折率塗料を調製した。この塗料をハードコート層上にマイクログラビアコーターを用いて塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して、塗工層を硬化させ、乾燥厚みが約0.1μmの高屈折率層を形成した。
<低屈折率層>
一次粒子径50nmの外殻を有する中空シリカ粒子(空隙率40%)144質量部、イソプロピルアルコール560質量部からなるシリカスラリーを準備し、メチルトリメトキシシラン219質量部、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン158質量部、上述シリカスラリー704質量部、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル713質量部を攪拌混合し、燐酸1質量部と水130質量部を配合して、30℃±10℃で攪拌しながら60分加水分解し、さらに温度を80℃±5℃に上げて60分攪拌しながら重合し、シリカ粒子含有ポリマーを得た。次に、このシリカ粒子含有ポリマー1200質量部、イソプロピルアルコール5244質量部を攪拌混合した後、硬化触媒としてアセトキシアルミニウムを15質量部添加して再度攪拌混合し、屈折率1.35の塗料を調整した。この塗料を高屈折率層上に小径グラビアコーターで塗工し、130℃で乾燥、硬化して、乾燥厚みが約0.1μmの低屈折率層を形成した。
<カバーフィルムの積層>
低屈折率層の上に、カバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を積層した。
<近赤外線遮蔽層の積層>
前記外光遮蔽シートの外光遮蔽メッシュ上に、オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ近赤外線遮蔽層(近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料を、乾燥膜厚みが15μmになるように塗工した層)を設けた。
<接着層の積層>
上記のようにして塗工形成した近赤外線遮蔽層上に、ディスプレイパネルに直接に貼り付けるための接着層(ウレタン系粘着材;300μm)を積層して、本発明の前面フィルターを作製した。
<電極の形成>
上記のようにして作成した前面フィルターを長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断した後、この前面フィルターをレーザーカッター(コマックス製のCOレーザーカッター)に固定して、フィルターの4辺の端部にカバーフィルム側から直線状にレーザーを照射して直線状の空隙(幅0.8mm;カバーフィルム剥離後に測定)を形成した。この空隙は、カバーフィルム表面から導電層に達しており導電層が露出していた。次いで、この空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して、導電層と電気的に接続された電極を形成した。
<前面フィルターのPDPへの装着>
上記で作製した前面フィルターをプラズマディスプレイパネルに装着し、カバーフィルムを剥離した後、筐体を組み立てた。表示画像の状態を観察したところ、本発明の前面フィルターは外光遮蔽シートを有しない前面フィルターに比べ、明るく鮮明で明所コントラストが向上していた。また、プラスディスプレイから発生される電磁波及び近赤外線も前面フィルターによって有効に遮蔽されており、周辺機器やリモコンへの影響もなかった。
(実施例2)
図7の外光遮蔽シート100を反転した構成のプラズマディスプレイ用フィルター(PDP用前面フィルター)を作製した。
<外光遮蔽シートの作製>
透明基材としてプラスチックフィルム(厚み100μmのPETフィルム)を用い、このプラスチックフィルムの一方の面に導電性メッシュからなる導電層、他方の面に外光遮蔽メッシュからなる外光遮蔽層を有する外光遮蔽シートを作製した。以下に導電性メッシュと外光遮蔽メッシュの作製方法を示す。
<導電性メッシュの作製>
前記PETフィルムの一方の面に、パラジウムコロイド含有ペーストを図4に示すような菱形格子状メッシュパターンに印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して厚みが5μmの導電性メッシュを形成した。導電性メッシュの仕様を以下に示す。
<導電性メッシュの仕様>
厚み;5μm
線幅;30μm
水平方向の線ピッチ;90μm
垂直方向の線ピッチ;500μm。
<外光遮蔽メッシュの作製>
実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂とカーボンブラックを含有する塗工液を調製し、上記PETフィルムの導電性メッシュとは反対面に上記塗工液を乾燥厚みが3μmになるように塗工して感光性樹脂を含む感光層を形成した。次いで、導電性メッシュをマスクとして導電性メッシュ側から紫外線を照射して上記感光層を露光した後アルカリ水溶液で現像して、厚みが3μmである以外は導電性メッシュと同一仕様で導電性メッシュと投影的に重なるメッシュパターンからなる外光遮蔽メッシュを作製した。
<前面フィルターの作製>
上記の導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが形成されたPETフィルムの外光遮蔽メッシュ上に、実施例1と同様の光学機能層を塗工形成し、更に光学機能層上に実施例1と同様のカバーフィルムを積層した。但し、ハードコート層の乾燥厚みを6μmに変更した。一方、上記外光遮蔽シートの導電性メッシュ上には、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素とを含有するアクリル樹脂系粘着剤からなる粘着シート(厚み200μm)を減圧下(1kPa)で貼合した。
<電極の形成>
上記のようにして作製した前面フィルターを長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断した後、この前面フィルターをレーザーカッター(コマックス製のCOレーザーカッター)に固定して、フィルターの4辺の端部に不連続な直線状にカバーフィルム側からレーザーを照射して破線状(空隙1個当たりの長さ、及び空隙と空隙の間隔は均等)の空隙(幅0.8mm;カバーフィルムを剥離後に測定)を形成した。この空隙は、カバーフィルム表面から導電層に達しており導電層が露出していた。次いで、この空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して、導電層と電気的に接続された電極を形成した。不連続な空隙の仕様を以下に示す。
<長辺側の空隙仕様>
空隙の幅;1.3mm
空隙の1個当たりの長さ;2.1cm
空隙と空隙の間隔;4cm
1辺当たりの空隙の個数;16
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;35%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);0.56
<短辺側の空隙仕様>
空隙の幅;1.3mm
空隙の1個当たりの長さ;2.2cm
空隙と空隙の間隔;4cm
1辺当たりの空隙の個数;8
辺の長さに対する空隙合計長さの比率;36%
1辺当たりの空隙の合計長さ(A)と空隙と空隙の間隔の合計長さ(B)の比率(A/B);0.62。
<前面フィルターのPDPへの装着>
上記のようにして作製した前面フィルターをプラズマディスプレイパネルに装着し、カバーフィルムを剥離した後、筐体を組み立てた。表示画像の状態を観察したところ、本発明の前面フィルターは外光遮蔽シートを有しない前面フィルターに比べ、明るく鮮明で明所コントラストが向上していた。また、プラスディスプレイから発生される電磁波及び近赤外線も前面フィルターによって有効に遮蔽されており、周辺機器やリモコンへの影響もなかった。
(実施例3)
図7の外光遮蔽シート100を反転した構成のプラズマディスプレイ用フィルター(PDP用前面フィルター)を作製した。
<外光遮蔽シートの作製>
透明基材としてプラスチックフィルム(厚さ100μmのPETフィルム)を用い、このプラスチックフィルムの一方の面に導電性メッシュからなる導電層、他方の面に外光遮蔽メッシュからなる外光遮蔽層を有する外光遮蔽シートを作製した。以下に導電性メッシュと外光遮蔽メッシュの作製方法を示す。
<導電性メッシュの作製>
前記PETフィルムの一方の面に接着剤層(エポキシ系接着材;厚さ20μm)を介して銅箔(厚さ10μm)を積層して銅箔付きフィルムを作製した。この銅箔付きフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、図3に示すような格子状パターンの導電性メッシュを形成した。この導電性メッシュを更に黒化処理(酸化処理)した。導電性メッシュの仕様を以下に示す。
<導電性メッシュの仕様>
厚み;10μm
線幅;20μm
水平方向の線ピッチ;80μm
垂直方向の線ピッチ;500μm。
<外光遮蔽メッシュの作製>
実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂とカーボンブラックを含有する塗工液を調製し、上記PETフィルムの導電性メッシュとは反対面に上記塗工液を乾燥厚みが3μmになるように塗工して感光性樹脂を含む感光層を形成した。次いで、導電性メッシュをマスクとして導電性メッシュ側から紫外線を照射して上記感光層を露光した後アルカリ水溶液で現像して、厚みが3μmである以外は導電性メッシュと同一仕様で導電性メッシュと投影的に重なるメッシュパターンからなる外光遮蔽メッシュを作製した。
<前面フィルターの作製>
上記の導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが形成されたPETフィルムの外光遮蔽メッシュ上に、実施例1と同様の光学機能層を塗工形成し、更に光学機能層上に実施例1と同様のカバーフィルムを積層した。但し、ハードコート層の乾燥厚みを6μmに変更した。一方、上記PETフィルムの導電性メッシュ上には、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素とを含有するアクリル樹脂系粘着剤からなる粘着シート(厚み200μm)を減圧下(1kPa)で貼合した。
<電極の形成>
実施例2と同様にして前面フィルターに破線状の電極を形成した。
<前面フィルターのPDPへの装着>
上記のようにして作製した前面フィルターをプラズマディスプレイパネルに装着し、カバーフィルムを剥離した後、筐体を組み立てた。表示画像の状態を観察したところ、本発明の前面フィルターは外光遮蔽シートを有しない前面フィルターに比べ、明るく鮮明で明所コントラストが向上していた。また、プラスディスプレイから発生される電磁波及び近赤外線も前面フィルターによって有効に遮蔽されており、周辺機器やリモコンへの影響もなかった。
(実施例4)
図7の外光遮蔽シート100を反転した構成のプラズマディスプレイ用フィルター(PDP用前面フィルター)を作製した。
<外光遮蔽シートの作製>
透明基材としてのプラスチックフィルム(厚み100μmのPETフィルム)の一方の面に感光性銀塩を用いて導電性メッシュを作製し、他方の面にネガ型感光性樹脂を用いて外光遮蔽メッシュを作製した。以下に導電性メッシュと外光遮蔽メッシュの作製方法を示す。
<感光性銀塩を含む感光層の塗工>
水媒体中の銀60gに対してゼラチン7.5gを含む、球相当径平均0.05μmの沃臭化銀粒子(AgI=2モル%)を含有する乳剤を調製した。また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6をそれぞれ濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し)、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と界面活性剤を加えて、感光層の塗工液を調製した。前記PETフィルムの一方の面に、上記感光層の塗工液を銀の塗布量が1g/m2となるように塗工した。
<ネガ型感光性樹脂を含む感光層の塗工>
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体を11質量部、重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを10部、光重合開始剤してビス[4−[N−[4−(4,6−ビストリクロルメチル−S−トリアジン−2−イル)フェニル]カルバモイル]フェニル]セバケートを0.5質量部、カーボンブラックを1.7質量部、および溶剤を含む塗工液を調製した。
この塗工液を、上記のPETフィルムの感光性銀塩を含む感光層が塗工された面とは反対面に、乾燥厚みが3μmとなるように塗工した。
<露光、現像>
感光層が両面に塗工された上記PETフィルムの感光性銀塩を含む感光層側より、予め作製しておいたマスク(図3のメッシュパターン)を介して紫外線露光した後、先ず、感光性銀塩を含む感光層を現像、定着処理し、続いて感光性樹脂を含む感光層を現像して、導電性メッシュ作製のために銀メッシュと外光遮蔽メッシュを作製した。それぞれの現像処理液を以下に示す。
<感光性銀塩を含む感光層の現像液及び定着液>
[現像液]
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
[定着液]
富士フィルム(株)製の「スーパーフジフィックス」
<感光性樹脂を含む感光層の現像液>
0.05質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液。
<導電性メッシュの作製>
上記のようにして作製した銀メッシュに、メッキ液(硫酸銅0.06モル/L,ホルマリン0.22モル/L,トリエタノールアミン0.12モル/L,ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α‘−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuメッキ液)で45℃にて無電解銅メッキ処理を施した後、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行なって導電性メッシュを得た。
<導電性メッシュパターンの仕様>
パターン;図3に示すような格子状パターン
厚み;5μm
線幅;20μm
水平方向の線ピッチ;60μm
垂直方向の線ピッチ;500μm
<外光遮蔽メッシュパターンの仕様>
厚みが3μmである以外は、上記導電性メッシュパターンと同一である。
<前面フィルターの作製>
上記の導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが形成されたPETフィルムの外光遮蔽メッシュ上に、実施例1と同様の光学機能層を塗工形成し、更に光学機能層上に実施例1と同様のカバーフィルムを積層した。但し、ハードコート層の乾燥厚みを6μmに変更した。一方、上記PETフィルムの導電性メッシュ上には、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素とを含有するアクリル樹脂系粘着剤からなる粘着シート(厚み200μm)を減圧下(1kPa)で貼合した。
<電極の形成>
実施例2と同様にして前面フィルターに破線状の電極を形成した。
<前面フィルターのPDPへの装着>
上記のようにして作製した前面フィルターをプラズマディスプレイパネルに装着し、カバーフィルムを剥離した後、筐体を組み立てた。表示画像の状態を観察したところ、本発明の前面フィルターは外光遮蔽シートを有しない前面フィルターに比べ、明るく鮮明で明所コントラストが向上していた。また、プラスディスプレイから発生される電磁波及び近赤外線も前面フィルターによって有効に遮蔽されており、周辺機器やリモコンへの影響もなかった。
(実施例5)
図7の外光遮蔽シート100を反転した構成のプラズマディスプレイ用フィルター(PDP用前面フィルター)を作製した。
<外光遮蔽シートの作製>
透明基材としてのプラスチックフィルム(厚み100μmのPETフィルム)の両面にそれぞれ、同じ感光性銀塩を含む感光層を塗工して、導電性メッシュと外光遮蔽メッシュを作製した。以下に導電性メッシュと外光遮蔽メッシュの作製方法を示す。
<感光性銀塩を含む感光層の塗工>
実施例4と同様に、感光性銀塩を含む感光層の塗工液を調製した。そして、前記PETフィルムの一方の面に、導電性メッシュを作製するための上記感光層の塗工液を銀の塗布量が1g/m2となるように塗工した。上記PETフィルムの他方の面には、外光遮蔽メッシュを作製するために、実施例4の感光性銀塩を含む感光層の銀とゼラチンの比率を調整した塗工液を乾燥厚みが3μmで銀量が1.5g/m2となるように塗工し、この感光層の上に下記のオーバーコート層を乾燥厚みが0.3μmとなるように積層した。
<オーバーコート層>
ポリマーラテックス(メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマー)と、このポリマーラテックスに対して20質量%のゼラチンを含む。
<露光、現像>
感光層が両面に塗工された上記のPETフィルムの一方の側(ここでは、導電性メッシュとなる側)から予め作製しておいたマスク(図4のメッシュパターン)を介して紫外線露光した後、実施例4と同様にして両面の感光層を現像、定着処理を施して、導電性メッシュ作製のために銀メッシュと外光遮蔽メッシュを作製した。ここで、外光遮蔽メッシュとなる黒化銀は、感光層に中に埋設された状態で存在する。
<導電性メッシュの作製>
上記のようにして作製した銀メッシュに、実施例4と同様にしてメッキ処理と酸化処理を施して導電性メッシュを得た。
<導電性メッシュパターンの仕様>
パターン;図4に示すような格子状パターン
厚み;5μm
線幅;20μm
水平方向の線ピッチ;80μm
垂直方向の線ピッチ;500μm
<外光遮蔽メッシュパターンの仕様>
厚みが3μmである以外は、上記導電性メッシュパターンと同一である。
<前面フィルターの作製>
上記の導電性メッシュと外光遮蔽メッシュとが形成されたPETフィルムの外光遮蔽メッシュ側のオーバーコート層上に、実施例1と同様の光学機能層を塗工形成し、更に光学機能層上にカバーフィルムを積層した。但し、ハードコート層の乾燥厚みを6μmに変更した。一方、外光遮蔽シートの導電性メッシュ上には、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素とを含有するアクリル樹脂系粘着剤からなる粘着シート(厚み200μm)を減圧下(1kPa)で貼合した。
<電極の形成>
実施例2と同様にして前面フィルターに破線状の電極を形成した。
<前面フィルターのPDPへの装着>
上記のようにして作製した前面フィルターをプラズマディスプレイパネルに装着し、カバーフィルムを剥離した後、筐体を組み立てた。表示画像の状態を観察したところ、本発明の前面フィルターは外光遮蔽シートを有しない前面フィルターに比べ、明るく鮮明で明所コントラストが向上していた。また、プラスディスプレイから発生される電磁波及び近赤外線も前面フィルターによって有効に遮蔽されており、周辺機器やリモコンへの影響もなかった。
本発明のディスプレイ用フィルターの一実施態様を示す外光遮蔽シートの模式断面図である。 本発明のディスプレイ用フィルターの一実施態様を示す外光遮蔽シートの拡大断面の模式図である。 本発明における導電性メッシュの一実施態様を示す外光遮蔽シートの平面図である。 本発明における導電性メッシュの他の実施態様を示す外光遮蔽シートの平面図である。 本発明における導電性メッシュのさらに他の実施態様を示す外光遮蔽シートの平面図である。 本発明の一実施態様を示すディスプレイ用フィルターの模式断面図である。 本発明の他の実施態様を示すディスプレイ用フィルターの模式断面図である。 電極が形成されたディスプレイ用フィルターの平面図である。 図8のA−Aの模式断面図である。 電極が形成されたディスプレイ用フィルターの平面図である。 空隙が形成された本発明のディスプレイ用フィルターの模式断面図である。 図11における空隙に導電性材料が配置された本発明のディスプレイ用フィルターの模式断面図である。 室内におけるディスプレイ、鑑賞者及び照明灯の位置関係を示す図である。 従来の構成と本発明の構成における外光遮蔽効果の差を示す図である。
符号の説明
1 透明基材
2 導電性メッシュ
3 外光遮蔽メッシュ
4 接着層
5 プラスチックフィルム
6 光学機能層
7 接着層
8 空隙
9 導電性材料
11 水平方向のメッシュ線
12 垂直方向のメッシュ線
21 ディスプレイ
22 鑑賞者
23 照明灯
100 外光遮蔽シート
200 光学機能性フィルム

Claims (6)

  1. 透明基材と、該透明基材の一方の面に設けられた、導電性メッシュパターンを有する導電層と、該透明基材の他方の面に設けられた、遮光性メッシュパターンを有する外光遮蔽層とを有し、かつ、該外光遮蔽層のメッシュパターンは、面方向に垂直な方向に投影した場合に前記導電層のメッシュパターンと実質的に重なることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
  2. 前記外光遮蔽層が感光性銀塩または感光性樹脂を含む感光層を露光・現像して形成されたものである、請求項1に記載のディスプレイ用フィルター。
  3. 前記外光遮蔽層が感光性樹脂を含む感光層であり、更に着色材料を含有する、請求項2に記載のディスプレイ用フィルター。
  4. 前記導電性メッシュパターンは、垂直方向のピッチが100〜3000μm、水平方向のピッチが10〜100μmのメッシュパターンである、請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
  5. 透明基材の一方の面に導電性メッシュパターンを有する導電層を設けるとともに、該透明基材の他方の面に感光性樹脂または感光性銀塩を含む感光層を設け、次いで、該感光層を導電層側から前記導電性メッシュパターンをマスクとして露光し、露光された感光層を現像することを特徴とするディスプレイ用フィルターの製造方法。
  6. 透明基材の一方の面に感光性銀塩を含む感光層(A)を設けるとともに、該透明基材の他方の面に感光性樹脂または感光性銀塩を含む感光層(B)を設け、次いで、それら感光層(A)、(B)を、どちらか一方の側から予め作製されたメッシュパターンのマスクを介して同時に露光し、もしくは、どちらか一方の側からレーザー光でメッシュパターンに同時に露光し、その後、露光された前記感光層(A)、(B)をそれぞれ現像するとともに、感光層(A)を現像することで形成されたメッシュパターンを金属メッキもしくは物理現像することを特徴とするディスプレイ用フィルターの製造方法。
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