JP2010026206A - ディスプレイ用フィルター及びその製造方法並びにディスプレイ用画像表示パネルの製造方法 - Google Patents

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隆一 若原
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高代志 桐本
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Abstract

【課題】ディスプレイの組み立て工程において、最表面にカバーフィルムが積層されたディスプレイ用フィルターのカバーフィルムの剥離除去を遅らせることができる、ディスプレイ用フィルター、及びディスプレイ用フィルターの製造方法、並びにディスプレイ用画像表示パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】ディスプレイ用画像表示パネルに装着するディスプレイ用フィルターであって、該ディスプレイ用フィルターは、少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有し、かつ該カバーフィルムは、画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部あるいは一部に切り込み線を有することを特徴とする、ディスプレイ用フィルター。
【選択図】図1a

Description

本発明は、ディスプレイ用フィルター及びその製造方法、並びにディスプレイ用画像表示パネルの製造方法に関し、詳しくはカバーフィルムを有するディスプレイ用フィルター、及びその製造方法、並びにカバーフィルムを有するディスプレイ用フィルターを具備したディスプレイ用画像表示パネルの製造方法に関する。
有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのディスプレイは、明瞭なフルカラー表示が可能な表示装置である。ディスプレイには、通常、外光の反射の防止、ディスプレイから発生する電磁波の遮蔽、ディスプレイの保護などを目的とした前面フィルター(ディスプレイ用フィルター)がディスプレイの視認側に配置されている。
特にプラズマディスプレイはその構造や動作原理上、強度な電磁波が発生するために、電磁波を遮蔽する機能と、外光の反射やギラツキを防止するための、反射防止機能や防眩機能が付与されたディスプレイ用フィルターが通常用いられている。上記の反射防止機能や防眩機能は、通常、視認側(観賞側)の最表面になるように配置されている。以降、反射防止機能や防眩機能を有する層を機能性表面層と言う。
また、ディスプレイ用フィルターを構成する、上記の機能性表面層を保護するために、機能性表面層上にカバーフィルムを積層することが知られている(例えば、特許文献1、2)。
カバーフィルムはディスプレイ用フィルターの最表面に剥離可能に積層され、そして、ディスプレイ用フィルターをディスプレイ用画像表示パネル(以降、単に画像表示パネルと称す)に貼り付ける前あるいは貼り付けた後にカバーフィルムは剥離除去される。
ディスプレイ用フィルターが貼り付けられた画像表示パネルは、通常、以下のようにしてプラズマディスプレイ装置に組み込まれる。即ち、駆動回路ブロックを配置した金属製のシャーシ部材の前面に、上記画像表示パネルが保持されてパネルモジュールが形成され、更にパネルモジュールを収納するように、前面カバー及びバックカバーからなる筐体が組み立てられてプラズマディスプレイ装置が完成する。
通常、ディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルの画像表示領域とその周辺部の非画像表示領域を覆うように貼り付けられるが、電磁波遮蔽層(導電層)を有するディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに装着する場合、非画像表示領域において、ディスプレイ用フィルターの導電層と筐体の外部電極とを電気的に接続し、ディスプレイ用フィルターの導電層にアースを取ることが行われる。
上記のディスプレイ用フィルターの導電層と筐体の外部電極とを電気的に接続するために、ディスプレイ用フィルターの外周端縁部(非画像表示領域に相当する部分)に導電層に接続された電極を形成することが行われている。かかる電極の形成方法として、導電層上に積層される機能性フィルム(プラスチックフィルム上に機能性表面層を積層したフィルム)のサイズを導電層のサイズより小さくして、外周端縁部に機能性フィルムが被覆されない部分を設けて、外周端縁部の導電層を部分的に露出させることが、従来から行われている。
そして、ディスプレイ用フィルター側に設けられた電極は、ガスケット等を介して筐体の外部電極と接続される。
上記した、従来から一般的に行われている電極の形成方法について、具体的に説明する。従来から一般的に知られているディスプレイ用フィルターは、機能性表面層を有する機能性フィルムと、プラスチックフィルム上に導電層が設けられた電磁波遮蔽フィルムとを粘着剤等を介して積層して形成されている。上記の機能性フィルムと電磁波遮蔽フィルムとの積層に際し、電磁波遮蔽フィルムの外周端縁部において導電層が剥き出し状態になるように、電磁波遮蔽フィルムより小さいサイズの機能性フィルムを貼り合わせることによって、ディスプレイ用フィルターの外周端縁部に導電層が剥き出し状態の電極(剥き出し電極)が形成される。
上記した剥き出し電極を、ディスプレイ用フィルターの外周端縁部の4辺に設けるためには、電磁波遮蔽フィルムと機能性フィルムとをシート同士で積層する必要がある。しかしながら、この積層方式は生産性に劣るという欠点がある。
これに対して、ロール状の電磁波遮蔽フィルムとロール状の光学機能性フィルムとを連続的に積層する方式(ロール積層方式)、あるいは、ロール状の電磁波遮蔽フィルムの導電層上に直接に機能性表面層を連続的にコーティングする方式は、生産性を大きく向上させることができる。
しかしながら、上記したロール積層方式、あるいはコーティング方式は、生産ラインの搬送方向に平行な両端部には導電層の剥き出し電極を形成することは可能であるが、生産ラインの搬送方向に対して直交する方向には、剥き出し電極を形成することはできない。
そこで、剥き出し電極の形成に代えて、機能性フィルムあるいは機能性表面層にレーザーを照射し、機能性フィルムあるいは機能性表面層を除去して、導電層を露出する方法が知られている(例えば、特許文献3、4)。
そして、上記特許文献3、4には、機能性フィルムあるいは機能性表面層の上に積層されたカバーフィルムの上からレーザーを照射して、導電層が露出した電極を形成することが記載されている。
上記特許文献3、4のようにして形成された電極の周囲にはカバーフィルムが存在することになる。また、上記の特許文献4には、電極を覆うように導電性粘着テープを貼り付けることが記載されているが、導電性粘着テープを貼り付けるときには、電極周辺のカバーフィルムはじゃまになるので剥離する必要がある。カバーフィルムは、ディスプレイ用フィルターのほぼ全面に一体的に積層されているので、電極周辺部分のみを剥離することはできず、よって、導電性粘着テープを貼り付ける前に、全カバーフィルムを剥離する必要がある。
また、上記の導電性粘着テープを貼り付けない場合であっても、電極が形成されたディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼り付けた後、筐体を組み立てる前に、筐体の前面カバーに覆われる部分(非画像表示領域)のカバーフィルムは、剥離する必要がある。カバーフィルムは、ディスプレイ用フィルターのほぼ前面に一体的に積層されているので、筐体の前面カバーに覆われる部分のみを剥離することはできず、よって、筐体を組み立てる前に、全カバーフィルムを剥離する必要がある。
カバーフィルムの剥離は、機能性表面層の保護という観点から、ディスプレイの製造工程の中でも、できるだけ後の工程で行うのが好ましい。しかしながら、上記したように、電極の周辺にカバーフィルムが存在する場合は、比較的早い時期に、カバーフィルムを剥離しなければならなかった。
特開2005−128090号公報 特開2008−34590号公報 WO2007/023828号公報 WO2008/029709号公報
従って、本発明の目的は、ディスプレイの組み立て工程において、最表面にカバーフィルムが積層されたディスプレイ用フィルターのカバーフィルムの剥離除去を遅らせることができる、ディスプレイ用フィルター、及びディスプレイ用フィルターの製造方法、並びにディスプレイ用画像表示パネルの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1)ディスプレイ用画像表示パネルに装着するディスプレイ用フィルターであって、
該ディスプレイ用フィルターは、少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有し、
かつ該カバーフィルムは、画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部あるいは一部に切り込み線を有することを特徴とする、ディスプレイ用フィルター。
2)前記ディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分に、前記導電層とディスプレイの外部電極とを接続するための電極を有する、前記1)に記載のディスプレイ用フィルター。
3)前記ディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分の少なくとも一部に、カバーフィルム表面から導電層に達する空隙を有する、前記1)に記載のディスプレイ用フィルター。
4)前記空隙に導電性材料が配置された、前記3)に記載のディスプレイ用フィルター。
5)前記空隙に導電性粘着テープが貼り付けられた、前記3)に記載のディスプレイ用フィルター。
6)前記空隙に配置された導電性材料の上に導電性粘着テープが貼り付けられた、前記4)に記載のディスプレイ用フィルター。
7)ディスプレイ用画像表示パネルに貼り付けるためのディスプレイ用フィルターの製造方法であって、
少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有するディスプレイ用フィルターを得る工程、
画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部もしくは一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、カバーフィルムに切り込み線を形成する工程を有することを特徴とする、ディスプレイ用フィルターの製造方法。
8)更に、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分の少なくとも一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、導電層に達する空隙を形成する工程を有する、前記7)に記載のディスプレイ用フィルターの製造方法。
9)ディスプレイ用画像表示パネルの製造方法であって、
少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有するディスプレイ用フィルターを、カバーフィルムが最表層になるように画像表示パネルに貼合する工程、
画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部もしくは一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、カバーフィルムに切り込み線を形成する工程を有することを特徴とする、ディスプレイ用画像表示パネルの製造方法。
10)更に、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分の少なくとも一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、導電層に達する空隙を形成する工程を有する、前記9)に記載のディスプレイ用画像表示パネルの製造方法。
本発明は、カバーフィルムが積層されたディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼り付ける工程、更には画像表示パネルに筐体を組み立てる工程の中で、カバーフィルムの剥離を後の工程で行うことを可能にし、それによって、画像表示パネルの製造工程あるいはディスプレイの組み立て工程において、ディスプレイ用フィルターの機能性表面層が傷つけられる機会が軽減される。
本発明のディスプレイ用フィルターは、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有する。ここで、カバーフィルムは、ディスプレイ用フィルターの製造工程、ディスプレイ用画像表示パネルの製造工程、及びディスプレイの組み立て工程において、機能性表面層を保護する目的で機能性表面層の上に配置されるが、最終的には剥離除去されるものである。従って、カバーフィルムは、剥離可能に積層される。ここで、剥離可能とは、機能性表面層を傷つけないで、比較的容易に剥離できることを意味し、またカバーフィルムを剥離するときに機能性表面層側にカバーフィルムの粘着剤が残留しないことが重要である。
本発明のディスプレイ用フィルターを、ディスプレイ装置の画像表示パネル(ディスプレイ用画像表示パネル、以降、単に画像表示パネルと称す)に装着したとき、機能性表面層及びカバーフィルムは、鑑賞者側(外気側)に配置される。カバーフィルムは、最終的には剥離除去されるものであるが、画像表示パネルの画像表示領域に相当する領域のカバーフィルムは、画像表示領域の傷付きなどを防止する観点からできるだけ後の工程で剥離除去することが好ましい。
従って、本発明は、ディスプレイ用フィルターの画像表示領域に相当する領域と非画像表示領域に相当する領域の境界線近傍に、カバーフィルムに切り込み線を設けることを特徴とし、これによって、少なくとも画像表示領域に相当する領域のカバーフィルムの剥離を遅らせることが可能になる。
即ち、ディスプレイ用フィルターの画像表示領域に相当する領域と非画像表示領域に相当する領域の境界線近傍に、カバーフィルムに切り込み線を設けることによって、非画像表示領域に相当する領域のカバーフィルムのみを剥離し、画像表示領域に相当する領域のカバーフィルムを残すことが可能となる。
これによって、ディスプレイ用フィルターの非画像表示領域に形成された電極に導電性粘着テープを貼り付ける作業の前に、電極が形成された非画像表示領域のカバーフィルムのみを剥離除去し、画像表示領域のカバーフィルムは残すことができる。また、画像表示パネルにディスプレイ用フィルターを貼り付けた後、画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てる作業の前に、前面カバーで覆われる非画像表示領域のカバーフィルムのみを剥離除去し、画像表示領域のカバーフィルムを残すことができる。
本発明において、ディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルの画像表示領域の全面と非画像表示領域の少なくとも一部を被覆するように、画像表示パネルに貼り付けられる。通常、ディスプレイ用フィルターのサイズは、平面形状が長方形の画像表示領域の4辺に対して、それぞれ1〜30mm程度大きいサイズに、好ましくは5〜25mm程度大きいサイズに設計される。
本発明のディスプレイ用フィルターは、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有するが、このディスプレイ用フィルターの構成について、図面を用いて詳細に説明する。
図1(a)は、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムが、それぞれほぼ同一サイズに積層されている態様の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A模式断面図である。基材1の上に導電層2が形成され、導電層2の上に機能性表面層3が積層され、更にその上にカバーフィルム4が積層されている。カバーフィルム4には、切り込み線5が設けられている。切り込み線5は、画像表示領域と非画像表示領域の境界線に沿って設けられている。ここで、切り込み線5の内側が画像表示領域で、外側が非画像表示領域となる。
本発明において、カバーフィルムに設けられる切り込み線は、画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部あるいは一部に沿って設けられるが、ここで画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分とは、厳密な境界線を指すものではなく、境界線近傍という意味である。よって、本発明のディスプレイ用フィルターのカバーフィルムに設けられる切り込み線は、画像表示領域と非画像表示領域の境界線に完全に一致した態様、該境界線から多少外れて非画像表示領域内のみに有する態様、該境界線から多少外れて画像表示領域内のみに有する態様、ある辺について画像表示領域に切込み線を有し、さらに別の辺については非画像表示領域に切込み線を有する態様のいずれであってもよい。
なお、画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分は、より好ましくは厳密な境界線よりも10mm内側(10mm画像表示領域側)から10mm外側(10mm非画像表示領域側)の領域であり、特に好ましくは、厳密な境界線よりも5mm内側(5mm画像表示領域側)から5mm外側(5mm非画像表示領域側)の領域である。
本発明において、非画像表示領域(切り込み線5の外側)の4辺それぞれに、導電層2と電気的に接続された電極6を形成することが好ましい。ここで、電極6は、レーザーをカバーフィルム4の表面から照射して、導電層2に達する空隙(細長い溝)を形成し、導電層を部分的に露出させることによって形成することが好ましい。この溝状に形成された導電層の露出部に導電性ペースト等の導電性材料を塗布して、電極とすることもできる。電極の形成方法について、詳細を後述する。
また、本発明は、ディスプレイ用フィルター側に電極を設けない態様も包含する。係る態様は、非画像表示領域の機能性表面層を貫通もしくは擦傷して導電層と接触することが可能な形状または手段を備えたガスケットを、ディスプレイ用フィルターと筐体の前面カバーとの間に介在させる態様である。具体的には、この態様は、ガスケットに設けられた突起等を機能性表面層に突き刺して突起と導電層を接触させて電極を取り出す方法である。詳細は後述する。
また、本発明は、従来の剥き出し電極と、上記したレーザーを用いて形成した電極とを組み合わせた態様、あるいは、従来の剥き出し電極と、上記したガスケットを用いた電極取り出し方法とを組み合わせた態様、または上記したレーザーを用いて形成した電極と、ガスケットを用いた電極取り出し方法とを組み合わせた態様を含む。
従来の剥き出し電極と、レーザーを用いて形成した電極とを組み合わせた態様としては、例えば、図2に示すように、ディスプレイ用フィルターの対向する2辺(長辺側の2辺)に、剥き出し電極7を設け、もう一方の対向する2辺(短辺側の2辺)にレーザーを用いて電極を形成した態様がある。この場合、カバーフィルム4の切り込み線5は、レーザーで電極を形成する短辺側に設けることは必須であるが、剥き出し電極を形成した長辺側には必ずしも設ける必要はない。剥き出し電極7の境界線8と、画像表示領域と非画像表示領域との境界線がほぼ同じ場合は、カバーフィルムに切り込み線を設ける必要はない。
本発明のディスプレイ用フィルターを構成する各構成層について詳細に説明する。
本発明にかかる機能性表面層は、反射防止機能、防眩機能、ハードコート機能、及び防汚機能の中から選ばれる少なくとも1つの機能を有することが好ましい。上記機能性表面層は単一層であっても複数層で構成されていてもよく、また複数の機能を併せ持った層であってもよい。
本発明にかかる機能性表面層は、カバーフィルムを剥離除去したときに、鑑賞者側の最表面となるように配置される。
機能性表面層は、導電層上に直接に積層しても良いし、あるいはプラスチックフィルムに機能性表面層が形成された機能性フィルムを、粘着剤等を介して導電層上に積層しても良い。
本発明においては、導電層上に機能性表面層を直接に積層するのが好ましく、特に導電層上に直接に機能性表面層を塗工形成するのが好ましい。
導電層上に機能性表面層を直接に積層することによって、さらには直接に塗工形成することによって、ディスプレイ用フィルターの基材を1枚のみにすることが可能になることから原材料コストが低下し、貼合工程が不要となることから生産効率が向上し、さらに、前述したレーザーによる電極形成が容易に行えるようになる。
以下に機能性表面層を構成する反射防止機能、防眩機能、ハードコート機能、防汚機能を有する層について具体的に説明する。
反射防止機能を有する層(反射防止層)は、ディスプレイの画像表示に影響を与える蛍光灯などの外光の反射や映り込みを防止するものである。反射防止層は、表面の視感反射率が5%以下であることが好ましく、4%以下がより好ましく、特に3%以下であることが好ましい。ここで視感反射率は、分光光度計等を使用して可視領域波長(380〜780nm)の反射率を測定し、CIE1931システムに準じて計算された視感反射率(Y)である。
このような反射防止層としては、高屈折率層と低屈折率層とを低屈折率層が視認側になるように2層以上積層したものを用いることができる。高屈折率層の屈折率は1.5〜1.75の範囲が好ましく、特に1.55〜1.70の範囲が好ましい。低屈折率層の屈折率は1.25〜1.49の範囲が好ましく、特に1.3〜1.45の範囲が好ましい。
高屈折率層を形成する材料としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどを重合硬化させたもの、あるいはシリコーン系、メラミン系、エポキシ系の架橋性樹脂原料を架橋硬化させたもの等の有機系材料、酸化インジウムを主成分としこれに二酸化チタンなどを少量含ませたもの、あるいはAl2 3 、MgO、TiO2 等の無機系材料が挙げられる。これらの中でも、有機系材料が好ましく用いられる。以下に本発明の高屈折率層の好ましい態様を説明する。
本発明において、高屈折率層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂、含リン系樹脂、含スルフィド樹脂、含ハロゲン樹脂などの樹脂成分を単体または混合系で用いることが出来るが、特に、硬度と耐久性などの点から、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂を用いるのが好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点から、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリレート系樹脂は、活性エネルギー線照射によって容易にラジカル重合が起こり、形成される膜の耐溶剤性や硬度が向上するので好ましい。
かかる(メタ)アクリレート系樹脂として、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エステルトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
高屈折率層には、更にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(モノマー)を使用することができる。具体的には、酸性官能基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和カルボン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のリン酸(メタ)アクリル酸エステル、2−スルホエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合などの極性を持った結合を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
高屈折率層には、塗布した樹脂成分の硬化を進めるために開始剤を含有させてもよい。該開始剤としては、塗布した樹脂成分を、ラジカル反応、アニオン反応、カチオン反応等による重合および/または架橋反応を開始あるいは促進せしめるものであり、従来から公知の各種光重合開始剤が使用可能である。
かかる光重合開始剤としては、具体的には、ソジウムメチルジチオカーバメイトサルファイド、ジフェニルモノサルファイド、ジベンゾチアゾイルモノサルファイド及びジサルファイド等のサルファイド類や、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体や、ヒドラゾン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、ベンゼンジアゾニウム塩等のジアゾ化合物や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−クロロアントラキノン等の芳香族カルボニル化合物や、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、D−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、p−ジエチルアミノ安息香酸イソプロピル等のジアルキルアミノ安息香酸エステルや、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物や、9−フェニルアクリジン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9−アセチルアミノアクリジン、ベンズアクリジン等のアクリジン誘導体や、9,10−ジメチルベンズフェナジン、9−メチルベンズフェナジン、10−メトキシベンズフェナジン等のフェナジン誘導体や、6,4’,4”−トリメトキシ−2、3−ジフェニルキノキサリン等のキノキサリン誘導体や、2,4,5−トリフェニルイミダゾイル二量体、2−ニトロフルオレン、2,4,6−トリフェニルピリリウム四弗化ホウ素塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、3,3’−カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等が挙げられる。
また、高屈折率層には、上記開始剤の酸素阻害による感度の低下を防止するために、光重合開始剤にアミン化合物を共存させてもよい。このようなアミン化合物としては、例えば、脂肪族アミン化合物や、芳香族アミン化合物等の不揮発性のものであれば、特に限定されないが、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等が好ましい。
また、高屈折率層には、屈折率を高めるために金属酸化物微粒子を含有させることが好ましい。また、金属酸化物微粒子を含有させることによって帯電防止効果も得られる。金属酸化物微粒子としては、屈折率が1.6以上のものが好ましく用いられる。係る金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられ、これらの金属酸化物微粒子は単独で用いても良いし、複数併用しても良い。また、金属酸化物粒子の屈折率の上限は、価格および入手の容易さなどから3以下が好ましい。さらに好ましい範囲としては、1.7以上2.8以下である。
金属酸化物微粒子の平均一次粒子径としては、200nm以下が好ましく、更に好ましい金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は、3〜150nmの範囲である。なお、本発明の平均一次粒子径とは、金属酸化物微粒子が単独で存在した場合の粒子径を示し、最も頻度の高い粒子径を示すものをいう。金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。具体的には、日機装株式会社製「ナノトラック」を用いて測定することができる。
高屈折率層中の金属酸化物粒子の含有量は、樹脂成分100質量%に対して、5〜90質量%の範囲が好ましい。
更に、高屈折率層には、重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、分散剤等の各種添加剤を含有することができる。
高屈折率層の厚みは、0.05〜10μmの範囲が好ましく、0.08〜5μmの範囲がより好ましい。
反射防止層を構成する低屈折率層は、含フッ素ポリマー、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル、含フッ素シリコーン等の有機系材料、MgF2 、CaF2 、SiO2 等の無機系材料で構成することができる。以下に低屈折率層の好ましい態様を例示する。
低屈折率層の1つの好ましい態様として、MgF2やSiO2等の薄膜を真空蒸着法やスパッタリング、プラズマCVD法等の気相法により形成する方法、或いはSiO2ゾルを含むゾル液からSiO2ゲル膜を形成する方法等が挙げられる。
低屈折率層の他の好ましい態様として、シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーを主成分とする構成を採用することができる。なお、ここで言う「結合」とは、シリカ系微粒子のシリカ成分とマトリックスのシロキサンポリマーが反応して均質化している状態を意味する。シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーは、該シリカ系微粒子の存在下、多官能性シラン化合物を溶剤中、酸触媒により、公知の加水分解反応によって、一旦シラノール化合物を形成し、公知の縮合反応を利用することによって得ることができる。
かかる多官能性シラン化合物としては、多官能性フッ素含有シラン化合物を含むことが低屈折率化、防汚性の点から好ましく、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランなどの3官能性フッ素含有シラン化合物、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性フッ素含有シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点から、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシランが、より好ましい。
多官能性シラン化合物として多官能性フッ素非含有シラン化合物を用いることができる。かかる多官能性フッ素非含有シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性シラン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点からビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが、より好ましい。
また、上述のシリカ系微粒子としては、平均粒子径1nm〜200nmのシリカ系微粒子であることが好ましく、特に好ましくは、平均粒子径1nm〜70nmである。平均粒子径が1nmを下回ると、マトリックス材料との結合が不十分となり、硬度が低下することがある。一方、平均粒子径が200nmを越えると、粒子を多く導入して生じる粒子間の空隙の発生が少なくなり、低屈折率化の効果が十分発現しないことがある。さらに、かかるシリカ系微粒子の中でも、内部に空洞を有する構造のものが、屈折率を低下させるために、特に好ましく使用される。
かかる内部に空洞を有するシリカ系微粒子とは、外殻によって包囲された空洞部を有するシリカ系微粒子、多数の空洞部を有する多孔質のシリカ系微粒子等が挙げられ、いずれも好適に用いられる。このような例としては例えば、特許第3272111号公報に開示されている方法によって製造でき、微粒子内部の空洞の占める体積、すなわち微粒子の空隙率としては、5%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。空隙率は、例えば、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。また、該微粒子自体の屈折率は、1.20〜1.40であるのが好ましく、1.20〜1.35であるのがより好ましい。このようなシリカ系微粒子としては、例えば特開2001−233611号公報に開示されているものや、特許第3272111号公報等の一般に市販されているものを挙げることができる。
低屈折率層の厚みは、0.01〜0.4μmの範囲が好ましく、0.02〜0.2μmの範囲がより好ましい。
防眩機能を有する層(防眩層)は、画像のギラツキを防止するものであり、表面に微小な凹凸を有する膜が好ましく用いられる。防眩層としては、例えば、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂に、平均粒子径が1〜10μm程度の粒子を分散させて支持体上に塗布および硬化させたもの、あるいは、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を表面に塗布し、所望の表面状態を有する型を押し付けて凹凸を形成した後に硬化させたものなどが用いられる。防眩層は、ヘイズ値(JIS K 7136;2000年)が0.5〜20%であることが好ましい。また、防眩層表面の中心線平均粗さRa値は、100〜1000nmの範囲が好ましく、特に200〜700nmの範囲が好ましい。ここで中心線平均粗さRa値は、JIS B0601−1982の方法に基づき、表面粗さ測定器SE―3400((株)小坂研究所製)を用いて測定することができる。
本発明の機能層として、反射防止機能と防眩機能を併せ持つ層を用いることは好ましい態様の1つである。
ハードコート機能を有する層(ハードコート層)は、傷防止のために設けられる。ハードコート層は硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が、H以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
ハードコート層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いることができる。
また、反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
また、市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
ハードコート層形成組成物を構成するアクリル化合物の代表的なものを例示すると、1分子中に3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる混合物を主たる構成成分とし、活性エネルギー線硬化または熱硬化によって得られるハードコート層が、硬度、耐摩耗性および可撓性に優れている点で好ましく用いられる。(メタ)アクリロイルオキシ基が多すぎる場合には、単量体は高粘度となり取り扱いし難くなり、また、高分子量とならざるを得なくなって塗布液として用いることが困難となるので、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基は好ましくは10個以下である。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーとしては、1分子中に3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物などを挙げることができる。具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。これらの単量体およびプレポリマーは、1種または2種以上を混合して使用することができる。特にこれらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物は、後述するイソシアネートとの併用により、ハードコート層と隣接層との接着性を向上させることができるので特に好ましい。
これらの1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して20〜90質量%が好ましく、より好ましくは30〜80質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。
上記1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して20質量%未満の場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜を得るという点で不十分な場合がある。また、上記1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して90質量%を超える場合は、硬化による収縮が大きく、硬化被膜に歪が残ったり、被膜の可撓性が低下したり、硬化被膜側に大きくカールするなどの不都合を招く場合がある。
また、これらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して10質量%未満の場合には、ハードコート層とその隣接層との接着性を向上させる効果が小さい場合がある。少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して80質量%を超える場合は、ハードコート層内の架橋密度が低下して、ハードコート層の硬度が低下する傾向がある。
次に、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用することができる。
また、分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メタ)アクリレート等を用いることができる。
すなわち、(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなど;
(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど;
(c)多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど;
(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど;
(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類など、および;
(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類など。
分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、およびt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドンなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上混合して使用してもよい。
これらの1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して10〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して50質量%を超える場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られにくくなる場合がある。また、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して10質量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下したり、基材フィルム上に設けた積層膜との接着性が低下する場合がある。
本発明において、ハードコート形成組成物を硬化させる方法としては、例えば、活性エネルギー線として紫外線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、前記ハードコート層形成組成物に、光重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
光重合開始剤または熱重合開始剤の使用量は、ハードコート層形成組成物総量に対して0.01〜10質量%が適当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また220℃以上の高温で熱硬化させる場合には、熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
本発明におけるハードコート層形成組成物は、ポリイソシアネート化合物を含有していることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等の少なくとも2量体以上のものが挙げられる。これらポリイソシアネート化合物は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
これらのポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体は、前記したハードコート層形成組成物に混合されて塗布される。上記ポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量は、接着性、表面硬度、耐湿熱性および虹彩模様低減の点で、ハードコート層形成組成物総量に対し、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。上記ポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量が、ハードコート層形成組成物総量に対して0.5質量%未満の場合には、接着性向上効果が不足したり、虹彩模様の低減が不十分な場合があり、またポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量が、ハードコート層形成組成物総量に対して50質量%を超えると、表面硬度が低下する場合がある。
上記ポリイソシアネートを添加したハードコート層形成組成物は、その硬化効率を高める目的で有機金属系触媒を含有させることも好ましい。
有機金属系触媒は、特に限定されるものではなく、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機4A族元素(チタン、ジルコニウムまたはハフニウム)化合物などが挙げられるが、安全性を考慮した場合、非錫系金属触媒である有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、および、有機チタン化合物から選ばれたものが好ましく適用される。有機錫化合物としては、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウリレートなどのジブチル錫脂肪酸塩、ジオクチル錫ジラウリレートなどのジオクチル錫脂肪酸塩が例示できる。
有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ハフニウム化合物、有機チタン化合物としては、これらの金属のオルトエステルとβ−ケトエステル(βジケトン)の反応生成物が例示され、具体的にはジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、アルミニウムテトラ−n−プロポキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、アルミニウムテトラ−n−ブトキシドなどの金属オルトエステルと、アセチルアセトン、メチルアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどのβケトエステル(βジケトン)との反応生成物を挙げることができる。金属オルトエステルとβジケトエステル(βジケトン)の混合モル比率は4:1〜1:4程度が好ましく、より好ましくは2:1〜1:4である。4:1より金属オルトエステルが多い場合は触媒の反応性が高すぎてポットライフが短くなりやすく、1:4よりβジケトエステルが多い場合は触媒活性が低下するため好ましい態様では無い。上記有機金属系触媒の配合量は、ハードコート形成組成物総量に対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜2質量%である。上記有機金属系触媒の配合量が、ハードコート形成組成物総量に対して0.001質量%より少ない場合には触媒添加効果が低く、10質量%より多くすることは経済的見地から好ましくない。
上記したハードコート層形成組成物の好ましい態様としては、ハードコート層形成組成物総量に対して、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物10〜80質量%、イソシアネート化合物1〜30質量%および必要に応じて有機金属系触媒0.001から10質量%の範囲とするのが望ましい。さらに必要に応じて1〜2個のエチレン性不飽和結合を有する単量体を0質量%以上50質量%以下添加しても良い。
本発明において、ハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサンを基本骨格とし、ポリオキシアルキレン基が付加されたものが好ましく、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
またハードコート層上にさらに積層膜を設ける場合には、接着性を阻害しないアクリル系レベリング剤を適用するのが好ましい。このようなレベリング剤としては「ARUFON−UP1000シリーズ、UH2000シリーズ、UC3000シリーズ(商品名):東亜合成化学(株)製)などを好ましく用いることができる。レベリング剤の添加量はハードコート形成組成物総量に対して、0.01〜5質量%の範囲とするのが望ましい。
本発明で用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができる。またさらに、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、さらに好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
ハードコート層の厚さは、0.5〜15μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。ハードコート層の厚さが0.5μm未満の場合には十分硬化していても薄すぎるために、表面硬度が十分でなく、傷が付きやすくなる傾向にある。一方、ハードコート層の厚さが20μmを超える場合には、折り曲げなどの応力により、硬化膜にクラックが入りやすくなる傾向にある。
ハードコート層には、前述した反射防止層を構成する高屈折率層としての機能を付与することができる。ハードコート層の高屈折率化は、ハードコート層形成用樹脂組成物中に、前述した金属酸化物微粒子を添加することにより、あるいは高屈折率成分の分子や原子を含んだ樹脂を用いることにより図られる。
上記の屈折率を向上させる樹脂に含まれる分子及び原子としては、F以外のハロゲン原子、S、N、Pの原子、芳香族環等が挙げられる。
防汚機能を有する(防汚層)は、ディスプレイ用フィルターに、人が指で触ることによって油脂性物質が付着するのを防止したり、大気中のごみや埃が付着するのを防止したり、あるいはこれらの付着物が付着しても除去しやすくするための層である。かかる防汚層としては、例えば、フッ素系コート剤、シリコーン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が用いられる。防汚層の厚さは、1〜10nmの範囲が好ましい。
前述したように本発明の機能性表面層は単一層であっても、複数層であってもよい。複数構成の機能性表面層としては、a)ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、b)高屈折率ハードコート層/低屈折率層、c)ハードコート層/防眩層、d)ハードコート層/防眩性反射防止層、等が例示される。尚、上記a)〜d)の構成において、右側に記載の層が視認側に配置される。
また、機能性表面層が単一層の場合は、複数の機能を併せ持つのが好ましい。かかる単一層の例としては、e)反射防止性ハードコート層(反射防止機能とハードコート機能を有する単一層)、f)防眩性ハードコート層(防眩機能とハードコート機能を有する単一層、g)防眩性反射防止ハードコート層(防眩機能と反射防止機能とハードコート機能を有する単一層)、h)防眩性反射防止層(防眩機能と反射防止機能を有する単一層)、等が例示される。
防汚層は、上記した複数構成あるいは単一構成の表面に、これらの層の機能を阻害しない程度に、薄膜(1〜10nm)で形成することができる。
機能性表面層を塗工形成するための塗布方式としては、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リーバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、スプレー法、ロールコーティング法等の公知のウェットコーティング法を用いることができる。
本発明における導電層は、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽するための層であり、導電層の面抵抗値は、低い方が好ましい。導電層の面抵抗値としては、5Ω/□以下が好ましく、3Ω/□以下がより好ましく、特に1Ω/□以下が好ましい。また、面抵抗は低いほど電磁波シールド性が向上するために好ましいが、現実的な下限は0.01Ω/□程度と考えられる。導電層の面抵抗値は、4端子法により測定することができる。
本発明にかかる導電層としては、金属薄膜あるいは導電性メッシュを用いることができる。本発明においては、導電性メッシュを有する導電層が好ましく、少なくとも画像表示領域は導電性メッシュからなる導電層がより好ましい。この場合、画像表示領域及び非画像表示領域ともに導電性メッシュで形成されていても良いし、画像表示領域が導電性メッシュで、非画像表示領域が金属ベタで形成されていても良い。
本発明における導電性メッシュの製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、1)基材上に導電性インキをパターン状に印刷する方法。2)メッキの触媒核を含むインキでパターン印刷した後にメッキを施す方法、3)導電性繊維を用いる方法、4)基材上に金属箔を接着剤で貼り合わせた後にパターニングする方法、5)基材上に気相製膜法あるいはメッキ法により金属薄膜を形成した後にパターニングする方法、6)感光性銀塩を用いる方法、及び7)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記の導電性メッシュの製造方法について詳細に説明する。
1)透明基材上に導電性インキをパターン状に印刷する方法は、透明基材上に導電性インキを、スクリーン印刷、グラビア印刷等の公知の印刷法によりパターン状に印刷する方法である。
2)メッキの触媒核を含むインキでパターン印刷した後にメッキを施す方法は、例えば、パラジウムコロイド含有ペーストからなる触媒インキを用いてパターン状に印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して導電性メッシュパターンを形成する方法である。
3)導電性繊維を用いる方法は、導電性繊維からなる編布を接着剤または粘着材を介して貼り合わせる方法である。
4)透明基材上に金属箔を接着剤で貼り合わせた後にパターニングする方法は、透明基材上に金属箔(銅、アルミニウム、又はニッケル等)を接着剤または粘着材を介して貼り合わせた後、この金属箔をフォトリソグラフィー法あるいはスクリーン印刷法などを利用してレジストパターンを作製した後、金属箔をエッチングする方法である。上記のレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィー法が好ましく、フォトリソグラフィー法は、金属箔上に感光性レジストを塗工又は感光性レジストフィルムをラミネートし、パターンマスクを密着させて露光後、現像液で現像してエッチングレジストパターンを形成し、さらに適当なエッチング液でパターン部以外の金属を溶出させて所望の導電性メッシュを形成する方法である。
5)透明基材上に気相製膜法あるいはメッキ法により金属薄膜を形成した後にパターニングする方法は、透明基材上に金属薄膜(銅、アルミニウム、銀、金、パラジウム、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などからなる金属)を、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相製膜法、あるいはメッキ法によって形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフィー法あるいはスクリーン印刷法などを利用してレジストパターンを作製した後、金属薄膜をエッチングする方法である。上記のレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィー法が好ましく、フォトリソグラフィー法は、金属薄膜上に感光性レジストを塗工又は感光性レジストフィルムをラミネートし、パターンマスクを密着させて露光後、現像液で現像してエッチングレジストパターンを形成し、さらに適当なエッチング液でパターン部以外の金属を溶出させて所望の導電性メッシュを形成する方法である。この方法では、接着剤や粘着剤を介さずに、透明基材上に金属薄膜を形成することが好ましい。
6)感光性銀塩を用いる方法は、ハロゲン化銀などの銀塩乳剤層を透明基材上にコーティングし、フォトマスク露光あるいはレーザー露光の後、現像処理して銀のメッシュを形成する方法がある。形成された銀メッシュはさらに銅、ニッケルなどの金属でメッキするのが好ましい。この方法は、WO2004/7810号公報、特開2004−221564号公報、特開2006−12935号公報などに記載されており、参照することができる。
7)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法は、上記5)と同様の方法で透明基材上に形成された金属薄膜をレーザーアブレーション方式で、金属薄膜のメッシュパターンを作製する方法である。
レーザーアブレーションとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象である。この現象を利用することで固体表面を加工することが出来る。レーザー光は直進性、集光性が高い為、アブレーションに用いるレーザー光の波長の約3倍程度の微細な面積を選択的に加工することが可能であり、レーザーアブレーション法により高い加工精度を得ることが出来る。
かかるアブレーションに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザーを用いることが出来る。例えばガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることが出来る。また、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調波光源(SHG)、第三高調波光源(THG)、第四高調波光源(FHG)を用いることが出来る。
かかる固体レーザーの中でも、プラスチックフィルムを加工しないという観点から、波長が254nmから533nmの紫外線レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくはNd:YAG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット) などの固体レーザーのSHG(波長533nm)、さらに好ましくはNd:YAG などの固体レーザーのTHG(波長355nm)の紫外線レーザーを用いることが好ましい。
かかるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることが出来るが,加工精度の点からパルスレーザーを用い,さらに望ましくはパルス幅がns以下のQスイッチ方式のパルスレーザーを用いることが好ましい。
金属薄膜の上(視認側)に更に0.01〜0.1μmの金属酸化物層を形成した後に、金属薄膜と金属酸化物層とをレーザーアブレーションするのが好ましい。金属酸化物としては銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタン、すずなどの金属酸化物を用いることができるが、価格や膜の安定性などの点から銅酸化物が好ましい。金属酸化物の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めっき法等を用いることができる。
上記した導電性メッシュの製造方法の中でも、厚みが比較的小さい導電性メッシュ(例えば厚みが8μm以下の導電性メッシュ)を容易に製造することができ、かつ高い電磁波シールド性を確保できるという観点から、上記の2)、5)、6)及び7)の製造方法が好ましく用いられる。
また、機能性表面層の塗工性、及び機能性表面層と導電層との密着性の観点からは、上記の2)、5)及び7)の製造方法で製造された導電性メッシュが好ましく用いられる。特に、上記5)の製造方法は、機能性表面層の塗工性が良好であり、かつ導電性メッシュの製造コストが低いことから、特に好ましく用いられる。
上記5)の製造方法について、更に詳細に説明する。
透明基材上に金属薄膜を形成する方法としては、気相製膜法が好ましい。上記の気相製膜法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等が挙げられるが、これらの中でも、スパッタリング及び真空蒸着が好ましい。金属薄膜を形成するための金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタンなどの金属の内、1種または2種以上を組合せた合金あるいは多層のものを使用することができる。これらの中でも、良好な電磁波シールド性が得られ、メッシュパターン加工が容易で、かつ低価格であるなどの点から、銅が好ましく用いられる。
また、金属薄膜の金属として銅を用いる場合は、基材と銅薄膜との間に、5〜100nmの厚みのニッケル薄膜をさらに用いるのが好ましい。これによって、基材と銅薄膜の接着性が向上する。なお、このような態様における導電性メッシュの厚みとは、ニッケル薄膜層及び銅薄膜層の和の厚みを意味するものとする。
金属薄膜上にレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィーが好ましく用いられる。かかるフォトリソグラフィー法は、金属薄膜上に感光性レジスト層を積層し、該レジスト層をメッシュパターン状に露光し、現像してレジストパターンを形成し、次いで、金属薄膜をエッチングしてメッシュパターン化し、メッシュ上のレジスト層を剥離除去する方法である。
感光性レジスト層としては、露光部分が硬化するネガレジスト、あるいは逆に露光部分が現像によって溶解するポジレジストを用いることができる。感光性レジスト層は金属薄膜上に直接に塗工して積層してもよいし、あるいはフォトレジストからなるフィルムを貼り合わせてもよい。フォトレジスト層を露光する方法としては、フォトマスクを介して紫外線等で露光する方法、もしくはレーザーを用いて直接に走査露光する方法を用いることができる。
エッチングする方法としては、ケミカルエッチング法等がある。ケミカルエッチングとは、レジストパターンで保護された金属部分以外の金属をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。
本発明にかかる導電性メッシュは、黒化処理が施されていることが好ましい。黒化処理を施すことにより、導電性メッシュの金属光沢による視聴者側からの反射やディスプレイ側からの反射も低減することができ、さらに画像視認性の低下を低減することができ、コントラスト・視認性に優れたプラズマディスプレイ用フィルターが得られる。
本発明において、機能性表面層を導電層(導電性メッシュを有する導電層)上に直接に塗工形成するときの、良好な塗工性を確保するという観点から、導電層の厚みは小さい方が好ましく、導電層の厚みは8μm以下が好ましい。導電層の厚みが、8μmより大きくなると導電層表面の凹凸が大きくなり平滑性が低下するので機能性表面層の塗布性が悪化する場合がある。導電層の厚みの下限は電磁波遮蔽性能の観点から0.2μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。
導電性メッシュの線幅は5〜40μmが好ましく、線間隔は50〜500μmの範囲が好ましい。
本発明に用いることができる導電性メッシュのメッシュパターンとしては、格子状パターン、5角形以上の多角形からなるパターン、円形パターン、あるいはこれらの複合パターンが挙げられ、更にランダムパターンも好ましく用いられる。
また、ディスプレイ用フィルターに用いられる積層体を連続生産ラインで効率よく製造するためには、導電性メッシュは連続メッシュであることが好ましい。連続メッシュとは、メッシュパターンが途切れることなく形成されていることであり、例えば、導電性メッシュを有する導電層を少なくとも有する積層体を、長尺ロール状で製造した場合に、ロールの巻き方向にメッシュが連続的に形成されていることである。このような連続メッシュを用いることにより、ロール状の積層体をカットして、シート状のディスプレイ用フィルターを製造するときに、歩留まり及び生産性が向上する。また、導電性メッシュが連続メッシュであると、様々なサイズのディスプレイへの対応が容易であること、及び、ディスプレイ用フィルターの製造過程において欠陥が発生した場合は、欠陥部分のみの限られた量の廃棄ですむこと等の利点がある。特に構成例(A)の積層体は、導電性メッシュを有する導電層上に機能性表面層を連続塗布するのが好ましく、従って導電層として連続メッシュを用いることによって生産効率が大幅に向上する。
本発明のディスプレイ用フィルターに用いられる基材としては、ガラス板、樹脂板、プラスチックフィルムを挙げることができるが、これらの中でも、コスト、加工性等を観点からプラスチックフィルムが好ましく用いられる。かかるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。プラスチックフィルムの厚みとしては、50〜300μmの範囲が適当であるが、コストの観点及びディスプレイ用フィルターの剛性を確保するという観点から90〜250μmの範囲が特に好ましい。
本発明に用いられるプラスチックフィルムは、導電層あるいは後述する近赤外線遮蔽層との密着性(接着強度)を強化するための下引き層(易接着層、プライマー層)を設けておくのが好ましい。
本発明に用いられるカバーフィルムとしては、各種プラスチックフィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられ、これらの中でもポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムが好ましく用いられる。
カバーフィルムは、最終的にはディスプレイ用フィルターから剥離除去されるので、剥離可能な粘着材または接着材が用いられる。あるいは、カバーフィルムとして粘着性を有するフィルムを用いる場合には、粘着材等は不要である。
カバーフィルムの厚み(積層のための粘着層が必要な場合は粘着層を含む)は20〜80μmの範囲が好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターには、更に近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能の中から選ばれる少なくとも一つの機能を有する層を付与するのが好ましい。
近赤外線遮蔽機能は、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が15%以下となるように調整するのが好ましい。近赤外線遮蔽機能は、基材や機能性表面層、あるいは後述する接着層に近赤外線吸収剤を混錬、分散することによって付与してもよいし、近赤外線遮蔽層を新たに設けてもよい。近赤外線遮蔽機能は、近赤外線吸収剤を用いることによって、あるいは導電性薄膜のような金属の自由電子によって近赤外線を反射する層を設けることによって付与することができる。本発明においては、近赤外線吸収剤を樹脂バインダー中に分散もしくは溶解した塗料を塗布乾燥して形成した近赤外線遮蔽層を用いること、あるいは機能性表面層や接着層に上記近赤外線吸収剤を含有させる態様が好ましく用いられる。近赤外線吸収剤としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等の有機系近赤外線吸収剤、あるいは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、硫化亜鉛、セシウム含有酸化タングステン等の無機系近赤外線吸収剤を用いることができる。
上記した近赤外線遮蔽層を新たに設ける場合は、基材と導電層との間、もしくは基材に対して導電層とは反対面に、基材に塗工形成して設けることができる。
近赤外線遮蔽機能を基材より視認側に付与する場合は、耐光性に優れる無機系近赤外線吸収剤を用いるのが好ましい。
色調調整機能は、ディスプレイから発光される特定波長の光を吸収して色純度や白色度を向上させるための機能である。特に赤色発光の色純度を低下させるオレンジ光を遮蔽するのが好ましく、波長580〜620nmの範囲に吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。更に、白色度を向上させるために波長480〜500nmに吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。色調調整機能は、上記した波長の光を吸収する色素を含有する層を新たに設けてもよいし、上述の近赤外線遮蔽層、機能性表面層あるいは接着層に色素を含有させてもよい。
可視光透過率調整機能は、可視光の透過率を調整するための機能であり、染料や顔料を含有させて調整することができる。可視光透過率調整機能は、基材、近赤外線遮蔽層、機能性表面層、あるいは接着層に付与してもよいし、新たに透過率調整層を設けてもよい。
上述した色調調整機能を有する層及び可視光透過率調整機能を有する層をそれぞれ新たに設ける場合、これらの層は基材と導電層との間、もしくは基材に対して導電層とは反対面に設けることができる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルに直接、あるいはガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板等の公知の高剛性基板を介して装着することができる。ディスプレイ用フィルターには、画像表示パネルあるいは高剛性基板に貼り付けるための接着層を設けるのが好ましい。本発明のディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルに接着層を介して直接に貼り付けることが好ましい。
接着層には、前述したように近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能を付与することができる。また、接着層に、ディスプレイを衝撃から保護するための衝撃緩和機能を付与することは好ましい態様である。接着層に衝撃緩和機能を付与するには、接着層の厚みを100μm以上にすることが好ましく、300μm以上がより好ましい。上限の厚みは、接着層のコーティング適性を考慮して3000μm以下が好ましい。
接着層には、公知の接着材あるいは粘着材を用いることができる。粘着材としては、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニルなどが挙げられる。接着材としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
本発明にかかるディスプレイ用フィルターの製造方法について説明する。本発明の好ましい態様である、導電層上に直接に機能性表面層が積層されたディスプレイ用フィルターの製造方法について以下に説明する。
先ず、基材上に導電層を形成する。導電層の製造方法は前述したとおりである。次いで、導電層上に機能性表面層を塗工形成する。機能性表面層の構成は前述したとおりである。
上記の導電層の製造工程は、長さが30〜3000m程度のロール状の長尺基材に、導電層を連続的に形成することが好ましい。また、機能性表面層の塗工についても、上記の導電層の製造工程で長尺基材上に連続的に形成された導電層上に、機能性表面層を連続的に塗工することが好ましい。
上記した連続生産において、基材及び導電層の幅は、少なくともディスプレイ用フィルターの短辺側の長さと同等かそれより大きくする必要がある。機能性表面層の幅は、ディスプレイ用フィルターの短辺側の長さより小さくすることは可能である。
即ち、導電層の幅がディスプレイ用フィルターの短辺側の長さと同程度の場合、機能性表面層の幅(塗工幅)を、導電層の幅より小さくして、導電層の幅方向の両端部に機能性表面層の未塗工部を形成することによって、導電層が剥き出しになった部分(剥き出し電極)を設けることができる。このようにして製造されたディスプレイ用フィルターには、図2に示すように対向する短辺側の2辺に剥き出し電極7が形成されている。
上記の態様において、導電層の幅をディスプレイ用フィルターの長辺側の長さと同程度とし、機能性表面層の幅(塗工幅)を、導電層の幅より小さくして、導電層の幅方向の両端部に機能性表面層の未塗工部を形成することによって、ディスプレイ用フィルターの対向する長辺側の2辺に剥き出し電極を設けることができる。
上記の連続生産において、生産効率アップの面からは、基材、導電層、及び機能性表面層の幅方向に、ディスプレイ用フィルターが2面以上取れるように、基材、導電層、及び機能性表面層の幅を大きくするのが好ましい。この態様の場合も、導電層の幅方向の両端部に機能性表面層の未塗工部を設けることによって、ディスプレイ用フィルターに剥き出し電極を形成することができる。例えば、2面取りの場合、導電層の幅方向両端部に機能性表面層の未塗工部を設けることによって、ディスプレイ用フィルターの1辺に剥き出し電極を形成することができる。
上記の態様について、図3を用いて説明する。広幅の長尺基材のほぼ全面に導電層が形成され、更に導電層上に機能性表面層が塗工された長尺積層体11を製造するに際して、導電層の両端部に機能性表面層の未塗工部12が形成されるように、機能性表面層が塗工される。このようにして製造された長尺積層体11は、機能性表面層が塗工、乾燥され、必要に応じて硬化(紫外線硬化、熱硬化)された後、少なくとも機能性表面層の全面を覆うようにカバーフィルムが積層される。
長尺積層体11の幅は、ディスプレイ用フィルター100が2面取りできる大きさであり、長尺積層体11にカバーフィルムが積層された後、シート状に切断されてディスプレイ用フィルターが得られる。シート状に切断するときに、機能性表面層の未塗工部12を含むように切断することによって、ディスプレイ用フィルター100の1辺に剥き出し電極7が形成される。
上述した剥き出し電極は、ディスプレイ用フィルターの非画像表示領域に形成されるので、剥き出し電極の幅は、非画像表示領域をはみ出さないように設計される。1辺当たりの剥き出し電極の幅は、3〜25mmの範囲が適当であり、5〜20mmの範囲が好ましく、5〜15mmの範囲がより好ましい。
以上、ディスプレイ用フィルターの1辺もしくは2辺に剥き出し電極を形成する方法について説明したが、本発明における好ましい電極形成方法について以下に詳細に説明する。この電極形成方法は、ディスプレイ用フィルターの4辺全てに適用することができるし、また、上述の剥き出し電極、あるいは後述するガスケットによる電極取り出し方法と併用することができる。
この電極形成方法は、以降、「レーザー電極形成方法」と称す。
レーザー電極形成方法は、機能性表面層あるいはカバーフィルムの表面からレーザーを照射して、導電層上に配置された機能性表面層やカバーフィルム等を部分的に、蒸発、燃焼させて除去し、溝状の空隙を形成することによって、導電層を部分的に露出させる方法である。
上述の剥き出し電極は、図2に示すようにディスプレイ用フィルターの1辺の端縁部全域において導電層が露出(剥き出し)しているのに対して、レーザー電極形成方法で形成された電極は、図1に示すように、電極6より端部側(外側)には機能性表面層あるいはカバーフィルムが存在する。
レーザー電極形成方法を剥き出し電極の形成方法と併用する場合は、剥き出し電極を形成することができない辺、例えば、機能性表面層の塗工方向に直交する辺(図3の符号13)、及び2面取りの場合の2面の境界の辺(図3の符号14)に、レーザー電極形成方法が適用される。
また、剥き出し電極を全く形成しない場合、即ち、連続生産において導電層のほぼ全面に機能性表面層を塗工する場合においては、ディスプレイ用フィルターの4辺全てに、レーザー電極形成方法を適用することが好ましい。
レーザー電極形成方法は、レーザーを照射することによって導電層上に配置された機能性表面層やカバーフィルム等の有機物を蒸発あるいは燃焼させることによって空隙を形成することができるので、物理的に機能性表面層やカバーフィルムを剥離除去する方法に比べて、ディスプレイ用フィルターのダメージ(特に導電層の破壊)が大幅に軽減され、生産性も大幅に向上する。また、レーザー電極形成方法は、空隙の幅、深さの制御を精度よく行うことができる。
レーザー電極形成方法に用いられる、レーザーの出力源としては、ヨウ素、YAG、COなどがあるが、特にCOレーザーは、空隙幅及び空隙深さが精度よく制御できること、及び金属からなる導電層は破壊せずに機能性表面層やカバーフィルムを蒸発・燃焼させて空隙を形成できる点で好ましい。
導電層を部分的に露出させるための空隙をレーザー照射で形成する場合、空隙の幅及び深さは、レーザーの焦点位置、レーザーの出力、及びレーザーの走査速度(ヘードスピード)を調整することによって制御することができる。
導電層を露出するための空隙は、細長い溝状の空隙であることが好ましい。空隙の幅は、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、更に1.5mm以下が好ましい。空隙の幅の下限としては、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。空隙の幅が3mmを越えて大きくなると、導電層の露出面が大きくなり導電層が酸化劣化しやすくなるという問題、及び後述するように空隙に導電性材料を配置したときに導電性材料が剥離しやすくなるという問題が生じる場合がある。また、幅が3mmより大きい空隙を形成するためには、レーザーの操作回数を多くする必要があり、生産性が低下する。一方、空隙の幅が0.3mmより小さくなると筐体(外部電極)との導通が不十分になり十分な電磁波遮蔽効果が得られない場合がある。ここで、空隙に幅とは、機能性表面層の表面位置における空隙の開口幅である。
ディスプレイ用フィルターの1辺における空隙の長さは、辺の長さに対して10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、特に50%以上が好ましい。上記の比率は高い方が電磁波遮蔽性能の観点から好ましい。本発明における空隙は、直線状に連続した空隙であってもよいし、破線状の不連続な空隙であってもよい。後者の不連続な空隙の場合は合計の長さが上記比率の対象となる。
上述した機能性表面層が導電層上に直接に配置された態様においては、導電層上には機能性表面層のみしか存在しないので、上記した空隙によって形成された導電層の露出部分は、電極として十分なる機能を有する。
上記の導電層露出部が、電極として十分なる機能を果たすためには、機能性表面層の厚みは小さい方が好ましく、機能性表面層の合計厚みとしては、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、特に20μm以下が好ましい。機能性表面層の合計厚みの下限は、機能性表面層の機能を十分に確保するという観点から2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。
更に、詳細には、上記の導電層露出部が電極として十分なる機能を果たすためには、導電層の表面(導電層が導電性メッシュの場合は、導電性メッシュを構成する細線部の表面)から機能性表面層の表面までの距離(L)が重要であり、該距離(L)は、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、特に10μm以下が好ましい。距離(L)の下限は1μm程度である。
上述した機能性表面層が導電層上に直接に配置された態様においては、上記したように空隙形成によって導電層を露出するだけで、十分に導電層と外部電極との導通を取ることができるが、空隙に導電性材料を配置することによって更に外部電極との導通が安定的に確保することができる。また、空隙によって導電層が空気中に露出している部分に導電性材料を配置することによって、導電層の空気酸化等による劣化を防止できるという利点もある。
空隙に導電性材料を配置する1つの態様として、空隙に導電性ペーストやはんだ等の流動性の導電性材料を塗布あるいは充填する態様がある。導電性ペーストとしては、銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などを含有する金属ペーストを用いることができる。
空隙に導電性材料を配置する他の態様として、空隙に挿入することができるように加工された導電性固体を配置する態様がある。導電性固体としては導電性金属あるいは非導電体の表面に導電性金属を被覆したものが用いられる。
空隙に導電性材料を配置する更に他の態様として、導電性粘着テープを空隙の上から貼り付ける態様がある。導電性粘着テープを貼り付けた後にヒートシーラー等で導電性粘着テープを加熱加圧するのが好ましい。本発明のディスプレイ用フィルターは、フィルター最表面から導電層表面までの距離が短いため、導電性粘着テープを加熱加圧することで、導電性粘着テープを導電層と接触させることができる。導電性粘着テープは、金属箔の一方の面に導電性粒子を分散させた粘着層を設けたものであって、この粘着層には、アクリル系、ゴム系、シリコン系粘着剤や、エポキシ系、フェノール系樹脂に硬化剤を配合したものを用いることができるが、特に架橋型導電粘着剤であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とするポリマーとその架橋剤とを含む後架橋型接着層であるものが好ましい。
また、空隙に導電性ペーストやはんだ等の流動性の導電性材料を塗布あるいは充填し、導電性材料が固化あるいは硬化した後、導電性材料の上に導電性粘着テープを貼り付けることも好ましく用いられる。
導電性粘着テープは、空隙のほぼ全域に貼り付けることが好ましい。空隙に導電性材料を配置する場合については、空隙の全域に導電性材料を配置することが好ましく、更に導電性材料の上に導電性粘着テープを貼り付ける場合は、導電性材料のほぼ全面に導電性粘着テープを貼り付けることが好ましい。
本発明は、導電層上に機能性表面層を有する機能性フィルムを粘着剤層が介在させて積層する態様を含むことは前述した。この態様は、導電層表面から機能性表面層の表面までの距離(L)が、上述した機能性表面層が導電層上に直接に配置された態様に比べて、かなり大きくなる。従って、レーザー照射による空隙形成のみでは、導電層露出部と外部電極との導通は不十分であり、上記した空隙に導電性材料を配置する態様を組み合わせることが好ましい。
上述したレーザー電極形成方法は、機能性表面層の上から行ってもよいし、カバーフィルムの上から行ってもよいが、カバーフィルムの上から実施することが好ましい。カバーフィルムの上からレーザーを照射して空隙形成することによって、空隙形成時に発生する有機物の分解物残渣が機能性表面層へ再付着するのを防止するという利点がある。
また、空隙に導電性ペーストやはんだ等の流動性の導電性材料を塗布あるいは充填する工程は、カバーフィルムの上から行うことが好ましい。導電性材料の塗布あるいは充填作業において、導電性材料が空隙からはみ出して、空隙周辺の機能性表面層を汚染することを防止することができる。
空隙に導電性粘着テープを貼り付ける作業、または空隙に塗布あるいは充填された流動性の導電性材料(導電性材料が固化あるいは硬化した後)の上から導電性粘着テープを貼り付ける作業は、空隙周辺のカバーフィルムを剥離後に行う必要がある。
本発明は、ディスプレイ用フィルター側に電極を設けない態様も包含する。係る態様は、非画像表示領域の機能性表面層を貫通もしくは擦傷して導電層と接触することが可能な形状または手段を備えたガスケットを、ディスプレイ用フィルターと前面カバーとの間に介在させる態様である。具体的には、この態様は、ガスケットに設けられた突起等を機能性表面層に突き刺して突起と導電層を接触させて電極を取り出す方法である。
この態様を実施するに際しては、ガスケットを装着する前に、少なくともディスプレイ用フィルターの非画像表示領域のカバーフィルムを剥離しておく必要がある。
図5は、一般的なプラズマディスプレイの主要構成部分の模式断面図である。図5において、ディスプレイ用フィルター100は画像表示パネル21に貼り付けられており、画像表示パネル21の画像表示領域の外周(非画像表示領域)には筐体の前面カバー22がディスプレイ用フィルター100を画像表示パネル21に押圧するように組み立てられている。ディスプレイ用フィルター100と前面カバー22の間にはガスケット23が配置されており、ガスケット23はディスプレイ用フィルター100に形成された電極(図示せず)と前面カバー22の外部電極(図示せず)とを電気的に接続し、アースしている。
ここで、従来から一般的に採用されているガスケットは、弾性体、例えばスポンジやゴム等の弾性部材の周囲を導電性繊維で織った布を巻き付けたものである。
上記の従来のガスケットに代えて、図6に示すような、機能性表面層を貫通もしくは擦傷して導電層と接触することが可能な形状または手段を備えたガスケット(以降、突起付きガスケットと称す)を用いることによって、ディスプレイ用フィルター側に電極を形成せずに、ディスプレイ用フィルターの導電層から電極を取り出すことができる。
図6は、突起付きガスケットの例を示す模式断面図である。図6aの突起付きガスケットは導電性金属板41の一方の面に導電性の突起42を有しており、図6bの突起付きガスケットは導電性金属板41の一方の面に導電性の針43を有している。図6cの突起付きガスケットは、導電性金属からなる板バネ44に導電性の突起42が設けられている。
また、上記の突起や針の代わりに連続刃を用いることができる。
上記した突起付きガスケットは、機能性表面層を貫通もしくは擦傷することができる形状または手段を有しており、前面カバー22を押圧することによって、ガスケット23の一部が機能性表面層を貫通もしくは擦傷して導電層と接触し、導電層からアースを取ることができるようになる。
上記の突起付きガスケットを用いる態様は、導電層上に機能性表面層が直接に積層されたディスプレイ用フィルターを用いる態様に好適である。即ち、導電層上には、機能性表面層のみしか有しない場合に、突起付きガスケットを用いることによって、導電層から電極を取り出すことが可能となる。
上記の突起付きガスケットを用いる態様は、本出願人が特願2007−241982号で既に提案しており、同出願明細書を参照して、本発明に組み入れることができる。
上記の突起付きガスケットを用いる態様は、ディスプレイ用フィルターに全く電極を形成しない場合に好適に用いられるが、前述したように、剥き出し電極あるいはレーザー電極形成方法と組み合わせて用いることができる。例えば、ディスプレイ用フィルターの対向する2辺に剥き出し電極あるいはレーザー電極形成を実施し、残りの対向する2辺には電極を形成せずに、突起付きガスケットを用いる態様が挙げられる。
次に、カバーフィルムの積層工程、画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部または一部に切込み線を形成する工程(画像表示領域と非画像表示領域の境界線近傍に沿ってカバーフィルムに切り込み線を形成する工程)、及びカバーフィルムの剥離工程について説明する。
カバーフィルムは、機能性表面層の上に積層されるが、機能性表面層の上に直接に積層されることが好ましい。上述したディスプレイ用フィルターの連続生産工程において、導電層上に機能性表面層を塗工し、乾燥、あるいは必要に応じて硬化(紫外線硬化、熱硬化)した後、ロール状に巻き取る前に、機能性表面層上にカバーフィルムを積層することが好ましい。
この後、必要に応じて、基材の導電層とは反対面に、近赤外線遮蔽層(色調調整機能も含む)を連続的に塗工形成し、更に、近赤外線遮蔽層上に接着層を連続的に塗工形成される。前記接着層が、近赤外線遮蔽機能や色調調整機能を有する場合は、接着層のみが積層される。
上記のようにして製造されたディスプレイ用フィルター用長尺積層体(以降、単に長尺積層体と称す)を、所定のサイズに切断してディスプレイ用フィルターを製造する。
上記の長尺積層体の製造工程において、機能性表面層の塗工に際して、導電層の幅方向両端部に未塗工部を形成するように、機能性表面層を塗工した場合には、製造された長尺積層体を所定サイズに切断することによって得られたディスプレイ用フィルターには、前述した剥き出し電極がディスプレイ用フィルターの1辺もしくは2辺に形成されている。
レーザー電極形成方法の実施時期は、特に限定されないが、長尺積層体を所定サイズに切断する前、もしくは切断後に実施することができる。また、詳しくは後述するが、ディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼り付けた後に、レーザー電極形成方法を実施することができる。
カバーフィルムの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部あるいは一部に切り込み線を形成する工程は、長尺積層体を所定サイズに切断する前、もしくは切断後に実施することができる。
カバーフィルムへの切り込み線の形成は、カバーフィルムの非画像表示領域のみを剥離できる程度に、カバーフィルムの画像表示領域と非画像表示領域とを分断することが目的であり、従って、切り込み線の深さや形状は、上記目的が達成できるように設定すればよい。
切り込み線の深さは、必ずしもカバーフィルム(カバーフィルムが粘着層を含む場合はプラスチックフィルム部分)を貫通しなくても上記目的は達成できるが、カバーフィルム(プラスチックフィルム部分)を貫通することが、非画像表示領域の剥離が容易に行えるので好ましい。
切り込み線の平面形状は、連続線であることが好ましいが、ミシン目のような不連続線であってもよい。上記不連続線の場合の1つの不連続部分の長さは、カバーフィルムが容易に引きちぎれるように、小さくする必要があり、1つの不連続部分の長さは2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。
切り込み線は、カッター刃で形成することができるが、本発明ではレーザーを照射して形成することが好ましい。レーザーによる切り込み線の形成は、前述したレーザー電極形成方法のレーザー照射条件(レーザーの焦点位置、レーザーの出力、及びレーザーの走査速度等)を調整して用いることができる。レーザーによる切り込み線の形成は、切り込み線の深さを精度よく、安定的に再現することができる。即ち、機能性表面層をほとんど傷つけることなくカバーフィルムを貫通する切り込み線を形成することができる。
本発明においては、レーザー電極形成方法と、レーザーによる切り込み線の形成を組み合わせて行うことが好ましい。これによって、1つのレーザー装置にディスプレイ用フィルターを装着(固定)した状態で、電極形成と切り込み線の形成を行うことができる。レーザー電極形成と切り込み線の形成の順序は特に限定されない。
本発明において、カバーフィルムに設けられる切り込み線は、画像表示領域と非画像表示領域の境界線に沿って設けられるが、ここで画像表示領域と非画像表示領域の境界線とは、厳密な境界線を指すものではなく、境界線近傍という意味である。
カバーフィルムを積層する目的は、画像表示領域の機能性表面層を保護することであり、この意味において、カバーフィルムに設けられる切り込み線は、前記境界線上、あるいは前記境界線より非画像表示領域側にずれ込んだ位置であることが好ましい。切り込み線が前記境界線より非画像表示領域側にずれ込んだ位置に設定する場合、ディスプレイ用フィルターの電極形成の障害とならないように設定することが好ましい。切り込み線の境界線からのずれ込み量は、例えば、1〜5mm程度が適当であり、1〜3mmの範囲が好ましい。
カバーフィルムの切り込み線は、画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部または一部に沿って形成されるが、前述のように長尺積層体の連続生産工程で剥き出し電極を形成する場合は、カバーフィルムを積層する以前に剥き出し電極は形成されているので、ディスプレイ用フィルターの剥き出し電極が形成されている辺には、必ずしも切り込み線を形成する必要はない(つまりこのような態様では、境界線に相当する部分の全部に切込み線を有する必要はなく、一部に有していれば十分である。)。図2は、剥き出し電極7が形成された辺に、切り込み線を設けていない態様である。
カバーフィルムの非画像表示領域の剥離時期は、少なくとも、ディスプレイ用フィルターが貼り付けられた画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てる前に行う必要がある。
レーザー電極形成方法を用いる場合は、ディスプレイ用フィルターにレーザー電極形成方法を実施した後に、カバーフィルムの非画像表示領域を剥離することが好ましい。レーザー電極形成方法で形成された電極に導電性粘着テープを貼り付ける場合は、レーザー電極形成方法を実施した後で、導電性粘着テープを貼り付ける前に、カバーフィルムの非画像表示領域を剥離することが好ましい。
カバーフィルムの画像表示領域の剥離時期は、画像表示領域の機能性表面層を保護するという観点から、ディスプレイの組み立て工程に支障を来さない範囲で、できるだけ後ろの工程で行うのが好ましい。
筐体の前面カバーは、通常、画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線近傍を枠取りするように配置される。前面カバーの枠取り位置が、画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域のほぼ境界線上にある場合は、ディスプレイ用フィルターを貼合した画像表示パネルに前面カバーを組み立てる前に、画像表示領域のカバーフィルムを剥離する必要がある。一方、前面カバーの枠取り位置が、画像表示パネルの画像表示領域より外側(非画像表示領域)にある場合は、ディスプレイ用フィルターを貼合した画像表示パネルに前面カバーを組み立てた後に、画像表示領域のカバーフィルムを剥離することができる。
前述した、カバーフィルムに切り込み線を形成する工程、ディスプレイ用フィルターに電極を形成する工程についは、ディスプレイ用フィルターの製造工程の中で実施してもよいし、または画像表示パネルの製造工程の中で実施してもよい。
後者のカバーフィルムに切り込み線を形成する工程、ディスプレイ用フィルターに電極を形成する工程を画像表示パネルの製造工程の中で実施する、画像表示パネルの製造方法について説明する。
かかる画像表示パネルの製造方法は、少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有するディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合する工程、画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部もしくは一部にレーザーを照射して、カバーフィルムに切り込み線を形成する工程を有する。更に、ディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合する工程の後に、前記非画像表示領域に相当する部分に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、導電層に達する空隙を形成する工程(レーザーによる電極形成工程)を有することが好ましい。
上記の画像表示パネルの製造方法において、カバーフィルムに切り込み線を形成する工程と、レーザーによる電極形成工程との順序は特に限定されない。
レーザーで形成された空隙に、更に前述した導電性材料を配置することが好ましい。導電性粘着テープを空隙に貼り付ける場合は、あるいは、空隙に配置された流動性の導電性材料の上に導電性粘着テープを貼り付ける場合は、非画像表示領域のカバーフィルムを剥離後に行う必要がある。
また、空隙と切り込み線が形成されたディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合した後、非画像表示領域のカバーフィルムのみを剥離除去し、空隙に導電性粘着テープを貼り付ける態様も好ましく用いることができる。
また更に、上記態様において、ディスプレイ用フィルターの状態で空隙に予め流動性の導電性材料が配置しておき、このディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合した後、非画像表示領域のカバーフィルムのみを剥離除去し、空隙に配置された導電性材料の上から導電性粘着テープを貼り付ける態様も好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
<長尺積層体の作製>
下記の要領で、ディスプレイ用フィルター用長尺積層体を作製した。
<基材>
ロール状の長尺基材として、厚み100μm、幅1000mm、長さ100mのロール状PETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標))を用いた。
<導電性メッシュを有する導電層の形成>
上記の長尺基材の片方の面の幅方向両端部各10mmを除く全面に、スパッタリング法によりニッケル層(厚み0.02μm)を形成し、更にその上に、厚みが2.5μmの銅層を真空蒸着法により形成した。次いで、この銅層の表面にアルカリ現像型高感度ポジ型レジストフィルムを積層し、波長405nm半導体レーザーを用いて露光し、炭酸ナトリウムを1質量%含有する現像液を用いて現像処理を行った。次いで、塩化第2鉄溶液によりエッチング処理を行った後、3質量%水酸化ナトリウム水溶液で処理してレジスト層を剥離して、線幅10μm、線ピッチ250μm、厚みが2.5μmの連続メッシュパターンからなる導電性メッシュが、長尺基材の幅方向に980mm、長手方向に90mに渡って形成された。次いで、酸化処理剤(メルテックス(株)製 エンプレート MB―438A/B/純水=8/13/79の割合で調整)を用いて、導電性メッシュを黒化処理した。
<機能性表面層の塗工>
上記の導電層が形成されたPETフィルムの導電層上に、導電層のほぼ全面を被覆するように、下記のハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層を順次塗工した。前記機能性表面層の塗工幅は980mmである。
<ハードコート層>
市販のハードコート剤(JSR製“デソライトZ7528”)をイソプロピルアルコールで固形分濃度30質量%に希釈した塗料を、マイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して硬化させ、厚み5.5μmのハードコート層を設けた。
<高屈折率層>
錫含有酸化インジウム粒子(ITO)6質量部、多官能アクリレート2質量部、メタノール18質量部とポリプロピレングリコールモノエチルエーテル54質量部、イソプロピルアルコール20質量部の混合物を攪拌して塗膜屈折率1.67の高屈折率塗料を調製した。この塗料をハードコート層上にマイクログラビアコーターを用いて塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cmを照射して、塗工層を硬化させ、厚さ約0.1μmの高屈折率層を形成した。
<低屈折率層>
一次粒子径50nmの外殻を有する中空シリカ粒子(空隙率40%)144質量部、イソプロピルアルコール560質量部からなるシリカスラリーを準備し、メチルトリメトキシシラン219質量部、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン158質量部、上述シリカスラリー704質量部、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル713質量部を攪拌混合し、燐酸1質量部と水130質量部を配合して、30℃±10℃で攪拌しながら60分加水分解し、さらに温度を80℃±5℃に上げて60分攪拌しながら重合し、シリカ粒子含有ポリマーを得た。
次に、このシリカ粒子含有ポリマー1200質量部、イソプロピルアルコール5244質量部を攪拌混合した後、硬化触媒としてアセトキシアルミニウムを15質量部添加して再度攪拌混合し、屈折率1.35の塗料を調整した。
この塗料を高屈折率層上に小径グラビアコーターで塗工し、130℃で乾燥、硬化して、厚さ約0.1μmの低屈折率層を形成した。
<カバーフィルムの積層>
低屈折率層の上に、低屈折率層の全面を被覆するようにカバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)の微粘着層側を低屈折率層側にして積層した。カバーフィルムの幅は、980mmである。
<近赤外線遮蔽層の積層>
前記PETフィルムの導電層を有する面とは反対面に、オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ近赤外線遮蔽層(近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料を、乾燥膜厚みが10μmになるように塗工した層)を設けた。近赤外線遮蔽層の塗工幅は980mmである。
<接着層の積層>
セパレートフィルム上に紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(日立化成ポリマー(株)製のハイボン(登録商標))をスリットダイコーターで、厚みが300μmになるように塗布した後、UV照射装置を用いて塗布膜を硬化し、続いてさらにセパレートフィルムを貼り付けて、セパレートフィルムにサンドウィッチされた接着層を得た。次に、上記で作製した積層体の近赤外線遮蔽層の上に、一方のセパレートフィルムを剥離しながら接着層を積層した。前記粘着層の幅は980mmである。
上記のようにして作製した、ディスプレイ用フィルター用長尺積層体の構成を以下に示す。
<長尺積層体の構成>
接着層/近赤外線遮蔽層/PETフィルム/導電層/機能性表面層(ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層)/カバーフィルム。
<ディスプレイ用フィルターの作製>
上記のようにして作製した長尺積層体を、長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断して1枚のディスプレイ用フィルターを切り出した後、このディスプレイ用フィルターをレーザーカッター(コマックス製のCOレーザーカッター)に装着して、ディスプレイ用フィルターの4辺にそれぞれ端部から10mm内側に直線状にレーザーを照射して連続した直線状の空隙を形成した。レーザーはカバーフィルムの表面から照射し、カバーフィルム及び機能性表面層を貫通し、導電層に達する空隙を形成した。この空隙によって形成された導電層露出部を電極とした。
上記のようにして形成された空隙の長さは、長辺側で930mm、短辺側で520mmであり、空隙の幅は0.8mmである。
続いて、上記のレーザーカッターにディスプレイ用フィルターを装着した状態で、画像表示領域と非画像表示領域との境界線に相当する部分の全部(長辺側はそれぞれ端部から18mm内側、短辺側はそれぞれ端部から21mm内側)に沿って、カバーフィルムの表面からレーザーを照射して、連続線からなる切り込み線を形成した。切り込み線がカバーフィルムのプラスチックフィルム部分を貫通するようにレーザーの出力を調整した。上記のようにして作製されたディスプレイ用フィルターの平面構成は、図1aの平面図と同じである。
次に、カバーフィルムに設けられた切り込み線に沿って、非画像表示領域のみのカバーフィルムを剥離除去し、空隙の全面に導電性粘着テープを貼り付けた。
<画像表示パネルの作製>
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターの接着層が画像表示パネル側になるように、ディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合した。
<ディスプレイの組み立て>
上記のようにして作製された画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てるに際し、画像表示領域のカバーフィルムを剥離除去した後に前面カバーを組み立てた。
(実施例2)
実施例1と同様にして長尺積層体を作製し、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。但し、空隙の全域に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布し、導電性ペーストを乾燥させた後、非画像表示領域のみのカバーフィルムを剥離除去し、導電性ペーストの全面に導電性粘着テープを貼り付けた。
画像表示パネルの作製及びディスプレイの組み立ては、実施例1と同様に行った。
(実施例3)
<ディスプレイ用フィルターの作製>
実施例1と同様にして作製した長尺積層体から、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを切り出し、更に実施例1と同様にして空隙と切り込み線を形成した。
<画像表示パネルの作製>
このディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに、ディスプレイ用フィルターの接着層を介して貼合した後、非画像表示領域のみのカバーフィルムを剥離除去した。次に、ディスプレイ用フィルターの空隙の全面に導電性粘着テープを貼り付けた。
<ディスプレイの組み立て>
上記のようにして作製された画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てるに際し、画像表示領域のカバーフィルムを剥離除去した後に前面カバーを組み立てた。
(実施例4)
<ディスプレイ用フィルターの作製>
実施例1と同様にして長尺積層体を作製し、実施例1と同様にして長尺積層体からディスプレイ用フィルターを切り出し、実施例1と同様にして空隙と切り込み線を形成した。更に、空隙の全域に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布し、導電性ペーストを乾燥させた。
<画像表示パネルの作製>
このディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに、ディスプレイ用フィルターの接着層を介して貼合した後、非画像表示領域のみのカバーフィルムを剥離除去した。次に、ディスプレイ用フィルターの空隙に塗布された導電性ペーストの全面に導電性粘着テープを貼り付けた。
<ディスプレイの組み立て>
上記のようにして作製された画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てるに際し、画像表示領域のカバーフィルムを剥離除去した後に前面カバーを組み立てた。
(実施例5)
<ディスプレイ用フィルターの作製>
実施例1と同様にして長尺積層体を作製し、実施例1と同様にして、長尺積層体からディスプレイ用フィルターを切り出した。
<画像表示パネルの作製>
このディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに、ディスプレイ用フィルターの接着層を介して貼合した。
次に、実施例1と同様にして、ディスプレイ用フィルターが貼合された画像表示パネルをレーザーカッターに装着し、実施例1と同様にして、ディスプレイ用フィルターに空隙を形成し、実施例1と同様にしてカバーフィルムに切り込み線を形成した。
次に、非画像表示領域のみのカバーフィルムを剥離除去し、空隙の全面に導電性粘着テープを貼り付けた。
<ディスプレイの組み立て>
上記のようにして作製された画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てるに際し、画像表示領域のカバーフィルムを剥離除去した後に前面カバーを組み立てた。
(実施例6)
画像表示パネルの作製を以下のように変更する以外は、実施例5と同様に実施した。
<画像表示パネルの作製>
ディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに、ディスプレイ用フィルターの接着層を介して貼合した。
次に、実施例1と同様にして、ディスプレイ用フィルターが貼合された画像表示パネルをレーザーカッターに装着し、実施例1と同様にして、ディスプレイ用フィルターに空隙を形成し、実施例1と同様にしてカバーフィルムに切り込み線を形成した。上記のようにして形成された空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布し、導電性ペーストを乾燥させた。次に、非画像表示領域のみのカバーフィルムを剥離除去し、導電性ペーストの全面に導電性粘着テープを貼り付けた。
(実施例7)
<長尺積層体の作製>
導電層の幅方向の両端部に、機能性表面層の未塗工部を形成すること、及びカバーフィルムの幅を調整すること以外は、実施例1と同様にして長尺積層体を作製した。機能性表面層の未塗工部は、導電層の幅方向両端部にそれぞれ、26mm形成した。カバーフィルムの幅は、機能性表面層の全面を被覆するように、機能性表面層の幅より両端部で1mm大きいものを用いた。
<ディスプレイ用フィルターの作製>
上記のようにして作製した長尺積層体を、長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断して1枚のディスプレイ用フィルターを切り出した。上記のディスプレイ用フィルターの切り出しに際し、長尺積層体の幅方向がディスプレイ用フィルターの長辺側となるようにし、更に、ディスプレイ用フィルターの短辺側の両端部にそれぞれ18mmの機能性表面層の未塗工部が配置されるようにした。
上記のようにして得られたディスプレイ用フィルターは、対向する短辺側の2辺には、それぞれ幅18mmの剥き出し電極(機能性表面層の未塗工部)が形成されている。
このディスプレイ用フィルターをレーザーカッター(コマックス製のCOレーザーカッター)に装着して、ディスプレイ用フィルターの対向する長辺側の2辺にそれぞれ端部から10mm内側に直線状にレーザーを照射して連続した直線状の空隙を形成した。レーザーはカバーフィルムの表面から照射し、カバーフィルム及び機能性表面層を貫通し、導電層に達する空隙を形成した。この空隙によって形成された導電層露出部を電極とした。
上記のようにして形成された、長辺側の空隙の長さは、928mmであり、空隙の幅は0.8mmである。
続いて、上記のレーザーカッターにディスプレイ用フィルターを装着した状態で、長辺側の画像表示領域と非画像表示領域との境界線(長辺側の両端部からそれぞれ18mm内側)に沿って、カバーフィルムの表面からレーザーを照射して、連続線からなる切り込み線を形成した。切り込み線がカバーフィルムのプラスチックフィルム部分を貫通するようにレーザーの出力を調整した。
ディスプレイ用フィルターの短辺側については、剥き出し電極の境界線を画像表示領域と非画像表示領域との境界線とした。前記短辺側の境界線と短辺側のカバーフィルムの端部はほぼ同一線上にあるので、短辺側の境界線にはカバーフィルムに切り込み線は形成しなかった。このようにして作製されたディスプレイ用フィルターの平面構成を図4に示す。
次に、カバーフィルムの長辺側に設けられた切り込み線に沿って、長辺側の非画像表示領域のみのカバーフィルムを剥離除去し、空隙の全面に導電性粘着テープを貼り付けた。
<画像表示パネルの作製>
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターの接着層が画像表示パネル側になるように、ディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合した。
<ディスプレイの組み立て>
上記のようにして作製された画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てるに際し、画像表示領域のカバーフィルムを剥離除去した後に前面カバーを組み立てた。
(実施例8)
実施例1の機能性表面層を下記の防眩性ハードコート層(単層構成)に代える以外は、実施例1と同様にして長尺積層体を作製した。
<防眩性ハードコート層>
市販のハードコート剤(JSR製 オプスター(登録商標)Z7534)をメチルエチルケトンで固形分濃度が50質量%になるように希釈し、更に平均粒子径が6μmのアクリル系微粒子(綜研化学製 ケミスノー(登録商標)MRシリーズ)を上記ハードコート剤の固形分に対して4質量%添加して、防眩性ハードコート層用の塗料を調製した。
上記の塗料を塗工後、80℃で乾燥、さらに紫外線1.0J/cm2を照射して硬化させ、厚み6μmの防眩性ハードコート層を設けた。
<ディスプレイ用フィルターの作製>
上記のようにして作製した長尺積層体を、長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断して1枚のディスプレイ用フィルターを切り出した後、このディスプレイ用フィルターをレーザーカッター(コマックス製のCOレーザーカッター)に装着して、ディスプレイ用フィルターの4辺にそれぞれ端部から10mm内側に直線状にレーザーを照射して連続した直線状の空隙を形成した。レーザーはカバーフィルムの表面から照射し、カバーフィルム及び機能性表面層を貫通し、導電層に達する空隙を形成した。この空隙によって形成された導電層露出部を電極とした。
上記のようにして形成された空隙の長さは、長辺側で930mm、短辺側で520mmであり、空隙の幅は0.8mmである。
続いて、上記のレーザーカッターにディスプレイ用フィルターを装着した状態で、画像表示領域と非画像表示領域との境界線(長辺側はそれぞれ端部から18mm内側、短辺側はそれぞれ端部から21mm内側)に沿って、カバーフィルムの表面からレーザーを照射して、連続線からなる切り込み線を形成した。切り込み線がカバーフィルムのプラスチックフィルム部分を貫通するようにレーザーの出力を調整した。上記のようにして作製されたディスプレイ用フィルターの平面構成は、図1aの平面図とほぼ同じである。
<画像表示パネルの作製>
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターの接着層が画像表示パネル側になるように、ディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合した。
<ディスプレイの組み立て>
上記のようにして作製された画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てるに際し、前面カバーによる枠取り位置は、4辺ともカバーフィルムの切り込み線より外側に3mmとし、前面カバーを組み立てた後でも、カバーフィルムの画像表示領域部分を切り込み線に沿って剥離できるようにした。
前面カバーを組み立てるに際し、非画像表示領域のカバーフィルムは、前面カバーを組み立てる前に剥離し、画像表示領域のカバーフィルムは前面カバーを組み立てた後に剥離した。
(実施例9)
実施例8と同様にして長尺積層体を作製した。
<ディスプレイ用フィルターの作製>
実施例1と同様にして、長尺積層体からディスプレイ用フィルターを切り出し、実施例1と同様にして、カバーフィルムに切り込み線を形成した。但し、電極のための空隙は全く形成しなかった。このようにして、全く電極を有しないディスプレイ用フィルターを作製した。
<画像表示パネルの作製>
上記のようにして作製したディスプレイ用フィルターの接着層が画像表示パネル側になるように、ディスプレイ用フィルターを画像表示パネルに貼合した。
<ディスプレイの組み立て>
上記のようにして作製された画像表示パネルに筐体の前面カバーを組み立てるに際し、前面カバーとディスプレイ用フィルターとの間に、図6aに示すようなガスケットを4辺に配置した。前記ガスケットの幅は10mmで、長辺側の長さは930mm、短辺側の長さは520mmである。
更に、前面カバーによる枠取り位置を、4辺ともカバーフィルムの切り込み線より外側に3mmとし、前面カバーを組み立てた後でも、カバーフィルムの画像表示領域部分を切り込み線に沿って剥離できるようにした。
前面カバーを組み立てるに際し、非画像表示領域のカバーフィルムは、前面カバーを組み立てる前に剥離し、画像表示領域のカバーフィルムは前面カバーを組み立てた後に剥離した。
本発明のディスプレイ用フィルターの一例の平面図。 図1aのA−Aの模式断面図。 本発明のディスプレイ用フィルターの他の例の平面図。 図2aのB−Bの模式断面図。 本発明のディスプレイ用フィルターを長尺積層体から2面取りするときの態様を示す平面図。 本発明のディスプレイ用フィルターの更に他の例(実施例7)の平面図。 一般的なプラズマディスプレイの主要構成部分の模式断面図。 本発明に用いられる突起付きガスケットの模式断面図。
符号の説明
1 基材
2 導電層
3 機能性表面層
4 カバーフィルム
5 カバーフィルムの切り込み線
6 電極
7 剥き出し電極
8 剥き出し電極の境界線
11 ディスプレイ用フィルター用長尺積層体
12 機能性表面層の未塗工部
13 剥き出し電極を形成することができない、機能性表面層の塗工方向に直交する辺
14 剥き出し電極を形成することができない、2面取りの場合の2面の境界の辺
21 画像表示パネル
22 筐体の前面カバー
23 ガスケット
41 導電性金属板
42 導電性の突起
43 導電性の針
44 導電性の板バネ
100 本発明のディスプレイ用フィルター

Claims (10)

  1. ディスプレイ用画像表示パネルに装着するディスプレイ用フィルターであって、
    該ディスプレイ用フィルターは、少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有し、
    かつ該カバーフィルムは、画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部あるいは一部に切り込み線を有することを特徴とする、ディスプレイ用フィルター。
  2. 前記ディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分に、前記導電層とディスプレイの外部電極とを接続するための電極を有する、請求項1に記載のディスプレイ用フィルター。
  3. 前記ディスプレイ用フィルターは、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分の少なくとも一部に、カバーフィルム表面から導電層に達する空隙を有する、請求項1に記載のディスプレイ用フィルター。
  4. 前記空隙に導電性材料が配置された、請求項3に記載のディスプレイ用フィルター。
  5. 前記空隙に導電性粘着テープが貼り付けられた、請求項3に記載のディスプレイ用フィルター。
  6. 前記空隙に配置された導電性材料の上に導電性粘着テープが貼り付けられた、請求項4に記載のディスプレイ用フィルター。
  7. ディスプレイ用画像表示パネルに貼り付けるためのディスプレイ用フィルターの製造方法であって、
    少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有するディスプレイ用フィルターを得る工程、
    画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部もしくは一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、カバーフィルムに切り込み線を形成する工程を有することを特徴とする、ディスプレイ用フィルターの製造方法。
  8. 更に、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分の少なくとも一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、導電層に達する空隙を形成する工程を有する、請求項7に記載のディスプレイ用フィルターの製造方法。
  9. ディスプレイ用画像表示パネルの製造方法であって、
    少なくとも、基材、導電層、機能性表面層、及び剥離可能なカバーフィルムをこの順に有するディスプレイ用フィルターを、カバーフィルムが最表層になるように画像表示パネルに貼合する工程、
    画像表示パネルの画像表示領域と非画像表示領域の境界線に相当する部分の全部もしくは一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、カバーフィルムに切り込み線を形成する工程を有することを特徴とする、ディスプレイ用画像表示パネルの製造方法。
  10. 更に、画像表示パネルの非画像表示領域に相当する部分の少なくとも一部に、カバーフィルム表面からレーザーを照射して、導電層に達する空隙を形成する工程を有する、請求項9に記載のディスプレイ用画像表示パネルの製造方法。
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