JP2008202946A - 火災感知器 - Google Patents

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Abstract

【課題】試験光源や受光窓等の部品の特性バラツキによる影響を受けることなく、正確に受光窓の汚損度を測定できる火災感知器を提供する。
【解決手段】MPU9は、汚損度確認試験に入ると、炎のちらつきとほぼ同じ状態になるように、2Hzの周波数で試験光源4を点滅し、この状態が所定時間経過したときに、赤外センサ3により検知された赤外検知信号の値を取得する。その後、第1の閾値と同じくEEPROM8に格納されたチェックサムが正常か否かを判定し、チェックサムが正常のときは第1の閾値も正しいと判断して、第1の閾値及び予め設定された第2の閾値のうち値の大きい方を選択し、第1の閾値が正常でないときは第2の閾値を選択し、そして、先に取得した赤外検知信号の値が第1の閾値或いは第2の閾値より大きいとき受光窓1の汚損度合い正常と判断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、試験時に光源が疑似光を発光し、受光素子の出力により受光窓の汚損度合いを判断する火災感知器に関するものである。
従来の火災感知器は、受光窓の汚損度を試験する場合、受光窓の外側に設けられた試験光源を点滅させ、その試験光を受光窓を介してセンサ部に受光させ、受光により得られる受光検知信号に基づいて受光窓の汚れ具合による試験光の減光を表す減光率を算出し、これを防災受信機に送信して受光窓の汚損状態を判別させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−42264号公報(第5−7頁、図5)
前述した従来の火災感知器では、EEPROMからなる記憶部に、減光率を算出するための初期値が格納されているが、初期値がノイズの影響などで誤って設定されていたり、記憶部に格納された初期値が何らかの要因で失われていた場合には、試験結果に重大な誤りが発生する可能性がある。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、試験光源や受光窓等の部品の特性バラツキによる影響を受けることなく、正確に受光窓の汚損度を測定できる火災感知器を得ることを目的とする。
本発明に係る火災感知器は、受光窓と、受光窓を通して所定光量が入射されたときに検知信号を出力する受光素子とを有し、受光素子からの検知信号に基づいて火災の有無を判別する火災感知器において、試験時に所定の疑似光を発光し、受光窓を介して受光素子に受光させる試験光源と、試験光源の発光による受光素子からの検知信号が入力されると、検知信号に基づいて受光窓の透過光量を算出する汚損度算出部と、少なくとも受光窓及び受光素子、試験光源の特性バラツキを考慮して個々に設定される第1の閾値、及び本火災感知器の設計上の下限値として設定される第2の閾値がそれぞれ格納された試験閾値格納部と、第1の閾値の状態によって、第1の閾値又は第2の閾値の何れかを試験閾値として選択する試験閾値選択部と、透過光量と試験閾値を比較する試験判定部とを備えたものである。
本発明においては、試験時に、試験光源の発光による受光素子からの検知信号が入力されると、検知信号に基づいて受光窓の透過光量を算出し、試験閾値格納部内の第1の閾値が正常と判断したとき、第1の閾値及び第2の閾値のうち値の大きい方を試験閾値として選択し、第1の閾値が正常でないときは第2の閾値を試験閾値として選択し、算出された透過光量が第1の閾値又は第2の閾値より大きいとき受光窓の汚損度合い正常と判断するようにしたので、万が一、試験閾値格納部内の第1の閾値が何らかの要因で異常であっても第2の閾値を使用でき、このため、受光窓の汚損度合いを確実に判定することができる。
また、第1の閾値を選択した場合には、受光窓及び受光素子、試験光源の特性バラツキによる影響を受けることなく、受光窓の汚損度を正確に測定することが可能になる。
図1は本発明の実施の形態に係る火災感知器の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態の火災感知器は、例えば赤外線式炎感知器からなり、感知器正面に所定の監視領域を視野とする受光窓1が設けられている。この受光窓1には、サファイアガラスが使用されている。受光窓1の内側に配置された光学フィルタ2には、火災時の炎に含まれる炭酸ガス共鳴放射帯の赤外線を通過させる赤外バンドパスフィルタが使用されている。光学フィルタ2の後方に配置された受光素子の赤外センサ3は、光学フィルタ2を通過した赤外線が受光されると、受光量に基づいて赤外検知信号を生成し、アンプ回路5を介してMPU9に出力する。試験光源4は、例えば白熱ランプからなり、その光(試験光)が受光窓1及び光学フィルタ2を介して赤外センサ3に受光されるように、受光窓1の外側に配置されている。
ROM6は、火災監視及び受光窓1の汚損度確認試験の実行に必要なプログラムが格納されていると共に、受光窓1の透過光量が異常か否かを確認するための第2の閾値が固定的なデータとして格納されている。この第2の閾値は、本感知器の設計により定められた値で、受光窓1の透過光量に対する下限値である。RAM7は、プログラム実行時に発生するデータを一時的に保存するためのメモリである。EEPROM8は、例えば、本感知器の各種内部データ、第1の閾値及びチェックサムが格納されている。第1の閾値は、本感知器に使用されている受光窓1や光学フィルタ2、赤外センサ3、試験光源4等の各種部品の特性バラツキを考慮して設定された値で、第2の閾値と同様に受光窓1の透過光量に対する下限値である。また、第1の閾値は、例えば、製造時に感知器毎に受光窓1の汚損度確認試験の結果から求めるものであり、個々の部品の特性バラツキを考慮して個別に設定しているため、同じタイプの感知器であっても多少異なり、第2の閾値よりも正確な値となっている。
MPU9は、アンプ回路5を介して入力される赤外検知信号をデジタルに変換するA/D変換部9a、タイマ9b、通信制御部10に接続されたI/Oポート9cを有し、受光窓1を通しての監視領域内で火災が発生しているか否かを赤外センサ3を通して監視し、また、火災監視中に試験開始信号の入力、又は試験開始時刻を確認したときは、受光窓1の汚損度確認試験の動作に入る。前述の試験開始信号の入力は、通信制御部10を介して接続された火災受信機(図示せず)のスイッチ操作によるものであり、試験開始時刻は、タイマ9bの経過時間から判断し、汚損度確認試験を定期的に行うための時刻である。
また、汚損度確認試験に入った際には、炎のちらつきとほぼ同じ状態になるように、例えば2Hzの周波数で試験光源4を点滅する。この状態が所定時間経過したときは、例えば、赤外センサ3により検知された赤外検知信号の値を取得する。次に、本感知器の出荷前に、受光窓1に汚れのない状態で汚損度確認試験を行って得られた値から求められた値である第1の閾値と同じくEEPROM8に格納されたチェックサムが正常か否かを判定し、チェックサムが正常のときは第1の閾値も正しいと判断する。
例えば、EEPROM8に以下のデータが16進数で格納されているものとする。
(1)感知器の内部データA 50h
(2)感知器の内部データB FFh
(3)感知器の内部データC 13h
(4)第1の閾値 21h
(5)チェックサム 7Dh
これら5つのデータの合計は「200h」となり、その値の下2桁が「00h」となるように、チェックサムのデータ(7Dh)が設定されている。第1の閾値の最下位のビットが何らかの要因で「0」になって「20h」となった場合には、5つのデータの合計の下2桁が「FFh」となり、この場合は、チェックサムが正常でないと判断して、第1の閾値も異常と判断する。
チェックサムが異常のときは、ROM6に格納された第2の閾値を選択し、チェックサムが正常のときは、EEPROM8に格納された第1の閾値とROM6内の第2の閾値のうち値の大きい方を選択する。なお、チェックサムが正常か否かを判定するときに、第1の閾値を読み出せなかった場合には、第1の閾値が破壊されていると判断して、ROM6に格納された第2の閾値を選択するようになっている。何れか一方の閾値を選択した後は、先に取得した赤外検知信号の値と試験閾値(第1の閾値又は第2の閾値)とを比較し、この比較結果に基づいて受光窓1の汚損度を判断する。
次に、受光窓1の汚損度確認試験の動作を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
MPU9は、火災監視中に試験開始信号の入力、又は試験開始時刻を検知すると(S1,S2)、試験光源4を点滅して炎とほぼ同じちらつきの試験光(疑似光)を発光させる(S3)。この時、光学フィルタ2は、受光窓1を介して入射される試験光のうち波長3〜5μmをピークとする赤外線を通過させ、赤外センサ3は、光学フィルタ2を通過した赤外線を受光して赤外検知信号を生成し、アンプ回路5に出力する。一方、MPU9は、アンプ回路5を介して入力される赤外検知信号をA/D変換部9aを通して入力し(S4)、試験光源4を点滅させてから所定時間経過したかどうかをタイマ9bを通して判定する(S5)。所定時間の経過を確認したときは、試験光源4の点滅を停止すると共に、A/D変換部9aによりデジタル変換された赤外検知信号の値を読み込んで、RAM7に一時的に保存する(S6)。
そして、EEPROM8に格納された各種データ(第1の閾値を含む)の合計からチェックサムが正常か否かを判定する(S7)。前述したように各種データの合計の下2桁が「00h」のときは、チェックサム正常と判断して、EEPROM8に格納された第1の閾値とROM6に格納された第2の閾値とを比較して値の大きい方を選択する(S8)。また、チェックサムが正常でないときは、第1の閾値に異常ありと判断して、ROM6に格納された第2の閾値を選択する(S9)。
その後、選択した試験閾値(第1の閾値又は第2の閾値)と、RAM7に一時的に保存した赤外検知信号の値とを比較し(S10)、赤外検知信号の値が大きいときは、受光窓1の汚損度合い正常と判断して、前述した一連の動作を終了する(S11)。また、赤外検知信号の値が試験閾値よりも小さいときは、受光窓1の汚損度合い異常と判断する(S12)。つまり、火災感知器として火災監視ができない状態と判断して、汚損異常信号を火災受信機に出力し(S13)、受光窓1の汚損度確認試験を終了する。
以上のように実施の形態によれば、試験時に、試験光源4の発光による赤外センサ3からの赤外検知信号が入力されると、EEPROM8内のチェックサムが正常なときそのEEPROM8に格納された第1の閾値も正しいと判断して、第1の閾値及びROM6に格納された第2の閾値のうち値の大きい方を選択し、チェックサムの異常から第1の閾値が正しくないと判断したときはROM6内の第2の閾値を選択し、先に取得した赤外検知信号の値が第1の閾値或いは第2の閾値より大きいとき受光窓1の汚損度合い正常と判断するようにしたので、万が一、EEPROM8内の第1の閾値が何らかの要因で異常であっても第2の閾値を使用でき、このため、受光窓1の汚損度合いを確実に判定することができる。
また、第1の閾値を選択した場合には、受光窓1、光学フィルタ2、赤外センサ3、試験光源4等の部品の特性バラツキによる影響を受けることなく、受光窓1の汚損度を正確に測定することが可能になる。
前記の実施の形態のようにEEPROM8に格納された第1の閾値と、ROM6に格納された第2の閾値の何れかを自動的に選択するか、又は常にROM6に格納された第2の閾値を選択するかを、図示しないディップスイッチで切り替えるようにしてもよい。例えば、汚損度確認試験の実行不良、RAM7又はEEPROM8に格納されたデータ等の読み書きが不安定な状態が継続する場合、ディップスイッチで切り替えることにより常にROM6に格納された第2の閾値が選択される。これにより、感知器の記憶部が不安定な状態になっても、受光窓1の汚損度合いを確実に判定することができる。
本実施の形態では、炎感知器だけでなく、図示していないが、試験光源と受光窓と受光素子を有する散乱光式煙感知器や減光式煙感知器等にも利用できる。
本発明の実施の形態に係る火災感知器の概略構成を示すブロック回路図である。 実施の形態の火災感知器における受光窓の汚損度確認試験の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 受光窓、2 光学フィルタ、3 赤外センサ、4 試験光源、5 アンプ回路、
6 ROM、7 RAM、8 EEPROM、9 MPU、10 通信制御部。

Claims (4)

  1. 受光窓と、該受光窓を通して所定光量が入射されたときに検知信号を出力する受光素子とを有し、前記受光素子からの前記検知信号に基づいて火災の有無を判別する火災感知器において、
    試験時に所定の疑似光を発光し、前記受光窓を介して前記受光素子に受光させる試験光源と、
    該試験光源の発光による前記受光素子からの検知信号が入力されると、該検知信号に基づいて前記受光窓の透過光量を算出する汚損度算出部と、
    少なくとも前記受光窓及び前記受光素子、前記試験光源の特性バラツキを考慮して個々に設定される第1の閾値、及び本火災感知器の設計上の下限値として設定される第2の閾値がそれぞれ格納された試験閾値格納部と、
    前記第1の閾値の状態によって、当該第1の閾値又は前記第2の閾値の何れかを試験閾値として選択する試験閾値選択部と、
    前記透過光量と前記試験閾値を比較する試験判定部と
    を備えたことを特徴とする火災感知器。
  2. 前記試験閾値選択部は、前記第1の閾値が正常と判断されると、当該第1の閾値と前記第2の閾値のうち値の大きい方を試験閾値として選択することを特徴とする請求項1記載の火災感知器。
  3. 前記試験閾値選択部は、前記第1の閾値が異常と判断されると、前記第2の閾値を試験閾値として選択することを特徴とする請求項1又は2記載の火災感知器。
  4. 前記第1の閾値は前記試験閾値格納部の不揮発性メモリに保存され、前記第2の閾値は前記試験閾値格納部のROMに保存されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の火災感知器。
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