JP3939900B2 - 煙感知器および監視制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙感知器および監視制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光散乱式煙感知器として、特開昭51−15487号に示されているような煙感知器が知られている。この煙感知器では、+,−の矩形波を発生する回路で発光ダイオードを駆動し、+,−の矩形波により発光ダイオードから2種の異なる波長λ1,λ2の光を交互に出射させ、発光ダイオードから交互に出射される2種の異なる波長λ1,λ2の光の煙による散乱光を1つの受光素子で受光し、異なる2波長λ1,λ2の散乱光出力の比(散乱光出力比)をとり、この散乱光出力比が予め設定された値の範囲に入っているか否かを判定し、入っていれば、警報を発するようにしている。
【0003】
この煙感知器では、上記散乱光出力比が予め設定された値の範囲に入っているか否かを判定することで、煙の種類(質)を判断すること(例えば、ある特定の粒子径範囲にある煙のみを検出すること)を意図している。すなわち、非火災要因であるホコリや水蒸気等の影響を除去し、火災要因となる煙のみを検出することを意図している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、当業者間には、より正確に(精度良く)、火災,非火災の識別をすることが望まれている。
【0005】
本発明は、火災,非火災の識別を従来に比べてより正確に(精度良く)行なうことの可能な煙感知器および監視制御システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、感知器全体の制御を行なう制御手段と、制御手段によって駆動されるときに波長λ1の光を所定のサンプリング周期で出射する第1の発光手段と、制御手段によって駆動されるときに波長λ2の光を所定のサンプリング周期で出射する第2の発光手段と、第1の発光手段から出射される波長λ1の光の散乱光または透過光,第2の発光手段から出射される波長λ2の光の散乱光または透過光を受光する受光手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する第1の監視手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段によって検出されたときに、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとの出力比を用いて煙の性状のグループを決定し、決定したグループに応じて、受光手段からの波長λ 1 の光出力yと波長λ 2 の光出力gのいずれか一方の波長の光出力を使用するように設定するグループ化手段と、グループ化手段で設定された波長の光出力を使用し、該波長の光出力の出力値が発報レベルに達したか否かを監視する第2の監視手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の煙感知器において、グループ化手段は、煙の性状のグループが火災のグループであると判断した場合には、確認時間を短かく、発報レベルを低く、サンプリング周期を短かく設定し、また、煙の性状のグループが非火災のグループであると判断した場合には、確認時間を長く、発報レベルを高く、サンプリング周期を長く設定することを特徴としている。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の煙感知器において、性状グループ化開始レベルは、煙濃度が5%/m以下に相当するレベルに設定されていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項4記載の発明は、受信機と、受信機からの伝送路に接続され、受信機によって監視制御されるアナログ型の煙感知器とを有している監視制御システムにおいて、前記アナログ型の煙感知器が、異なる2波長λ1,λ2の散乱光または透過光を受光する構成の煙感知器である場合、前記受信機には、前記煙感知器から送られる波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する第1の監視手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段によって検出されたときに、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとの出力比を用いて煙の性状のグループを決定し、決定したグループに応じて、受光手段からの波長λ 1 の光出力yと波長λ 2 の光出力gのいずれか一方の波長の光出力を使用するように設定するグループ化手段と、グループ化手段で設定された波長の光出力を使用し、該波長の光出力の出力値が発報レベルに達したか否かを監視する第2の監視手段とが設けられていることを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る煙感知器の構成例を示す図である。図1を参照すると、この煙感知器は、この感知器全体の制御を行なう制御手段11と、制御手段11によって駆動されるときに波長λ1の光を出射する第1の発光手段12と、制御手段11によって駆動されるときに波長λ2の光を出射する第2の発光手段13と、第1の発光手段12から出射される波長λ1の光の散乱光,第2の発光手段13から出射される波長λ2の光の散乱光を受光する受光手段14と、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する第1の監視手段15と、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとの比である散乱光出力比を用いて煙の性状のグループを決定するグループ化処理を行ない、グループに応じた監視条件を設定するグループ化手段16と、グループ化手段16で設定された監視条件に基づいて、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルに達したか否かを監視する第2の監視手段17と、第2の監視手段17の監視結果を出力する出力手段18とを有している。
【0028】
ここで、第1の発光手段12は、例えば青色(波長λ1)の光を出射する青色発光ダイオードLED1により構成され、また、第2の発光手段13は、例えば近赤外(波長λ2)の光を出射する近赤外発光ダイオードLED2により構成され、また、受光手段14は、例えば1つの受光素子PDにより構成されている。
【0029】
なお、第1の発光手段12(青色発光ダイオードLED1),第2の発光手段13(近赤外発光ダイオードLED2)と受光手段14(受光素子PD)との間の空間Eは、検出対象である煙が存在しうる環境(例えばチャンバ)である。
【0030】
また、第1の発光手段12(LED1),第2の発光手段13(LED2)は、制御手段11からの駆動信号CTL1,CTL2によってそれぞれ駆動制御されるようになっている。
【0031】
図2は駆動信号CTL1,CTL2の一例を示すタイムチャートである。図2の例では、各駆動信号CTL1,CTL2のパルス幅および周期は、いずれも同じものとなっている。すなわち、パルス幅はいずれもWであり、また、周期はTとなっている。しかしながら、駆動信号CTL2は、駆動信号CTL1に対して所定時間t(t<T)だけ遅延したものとなっている。
【0032】
このような駆動信号CTL1,CTL2が用いられる場合、第1の発光手段12(LED1)からは、周期Tで、波長λ1の光(青色光)がパルス幅Wに対応した期間、出射され、また、第2の発光手段13(LED2)からは、第1の発光手段12(LED1)からの波長λ1の光(青色光)の出射より時間tだけ遅れて、周期Tで、波長λ2の光(近赤外光)がパルス幅Wに対応した期間、出射される。
【0033】
すなわち、第1の発光手段12(LED1)からの波長λ1の散乱光(青色光)の受光手段14(PD)におけるサンプリング時点(サンプリング周期T)と第2の発光手段13(LED2)からの波長λ2の光(近赤外光)の受光手段14(PD)におけるサンプリング時点(サンプリング周期T)との間には、時間tのずれがあり、この時間tのずれによって、異なる2波長λ1,λ2の光を時間的に交互に出射させて、異なる2波長λ1,λ2の散乱光を時間的に交互に受光手段14(PD)で受光させ、受光手段14(PD)において、異なる2波長λ1,λ2の散乱光の光出力y,gを時間的に交互に得ることができる。
【0034】
ここで、波長λ1の散乱光の光出力yは、波長λ1の光に対する環境E内の煙濃度(%/m)を反映したものとなっており、また、波長λ2の散乱光の光出力gは、波長λ2の光に対する環境E内の煙濃度(%/m)を反映したものとなっている。
【0035】
なお、図1の煙感知器において、第1の監視手段15による監視時には、制御手段11は、第1の発光手段12,第2の発光手段13のうちのいずれか一方の発光手段のみを発光させ、第1の発光手段12から出射される波長λ1の光の散乱光,第2の発光手段13から出射される波長λ2の光の散乱光のうちのいずれか一方の散乱光のみを受光手段14に受光させるようになっており、受光手段14からの散乱光出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、第1の発光手段12,第2の発光手段13の両方の発光手段を発光させ、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとの比である散乱光出力比を用いて煙の性状のグループを決定するグループ化処理をグループ化手段16に行なわせることもできる。
【0036】
このように、第1の監視手段15による監視時には、第1の発光手段12,第2の発光手段13のうちのいずれか一方の発光手段のみを発光させることで、制御手段11の負担を軽減し、また、消費電力を低減することができる。
【0037】
特に、第1の監視手段15による監視時に、第1の発光手段12(青色発光ダイオードLED1)のみを使用する場合には、検出感度を高くすることができるとともに、グループ化手段16による性状のグループ化処理を早期に開始させることができる。また、第1の監視手段15による監視時に、第2の発光手段13(近赤外発光ダイオードLED2)のみを使用する場合には、第2の発光手段13(近赤外発光ダイオードLED2)は第1の発光手段12(青色発光ダイオードLED1)よりも感度が低いため、微量の煙ではグループ化処理が開始されないので、処理負担を軽減することができるとともに、第1の発光手段12(青色発光ダイオードLED1)よりも消費電力が小さいため、感知器全体のさらなる消費電力の軽減を行なうことができる。
【0038】
また、火災による粒子は、一般的に、湯気,埃,チリ等の非火災の粒子よりも粒径が小さいが、煙濃度が高くなるにつれ、火災による粒子は時間とともに結合し大きくなり、両者の差は縮まる。従って、高い煙濃度にて煙の性状のグループ化処理を行なうと、煙の性状のグループ化を正確に行なうことができなくなるが、図1の煙感知器では、グループ化手段16における煙の性状のグループ化処理は、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベル(例えば、煙濃度が10%/mのレベル)よりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したときになされるので、高い煙濃度になる以前に煙の性状のグループ化処理を行なうことができる。
【0039】
具体的に、性状グループ化開始レベルは、煙濃度が5%/m以下に相当するレベル(例えば、煙濃度が2%/mのレベル)に設定され、グループ化手段16は、煙濃度が5%/m以下の状態で、煙の性状のグループ化処理を行なうようになっている。煙濃度が5%/m以下の状態は、低い煙濃度の状態であり、この状態のときに、煙の性状のグループ化処理を行なうことで、煙の性状のグループ化処理を正確に(精度良く)行なうことが可能となる。
【0040】
また、図1の煙感知器において、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、制御手段11は、第1の発光手段12,第2の発光手段13に対する所定のサンプリング周期を、第1の監視手段15による監視時での所定のサンプリング周期T1と同じサンプリング周期T2にすることもできる(T1=T2)。
【0041】
図3にはこの様子が示されている。なお、図3(a)は第1の発光手段12(青色発光ダイオードLED1)に対する駆動信号CTL1を示し、図3(b)は第2の発光手段13(近赤外発光ダイオードLED2)に対する駆動信号CTL2を示し、図3(c)は波長λ1(青色の光)の散乱光出力y,波長λ2(近赤外の光)の散乱光出力gのレベル(煙濃度(%/m)に換算したレベル)の時間変化を示している。なお、図3(c)の例では、性状グループ化開始レベルは、煙濃度が2%/mのレベルに設定されている。
【0042】
図3(a),(b),(c)の例では、第1の発光手段12,第2の発光手段13は、第1の監視手段15による監視時では、サンプリング周期T1で駆動されており、波長λ1(青色の光)の散乱光出力y,波長λ2(近赤外の光)の散乱光出力gはそれぞれ周期T1で得られている。しかる後、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値(図3(c)の例では、波長λ1の散乱光出力y)が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときにも、図3の例では、第1の発光手段12,第2の発光手段13に対する所定のサンプリング周期T2を、第1の監視手段15による監視時での所定のサンプリング周期T1と同じものにしている(T1=T2)。
【0043】
しかしながら、この場合には、グループ化手段16における煙の性状のグループ化処理を正確かつ迅速に行なうには限度がある。特に、火災が発生する場合には、図4に示すように、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出された後、散乱光出力y,gが急激に増加することがあり、このときには、グループ化処理時における所定のサンプリング周期T2を、第1の監視手段15による監視時での所定のサンプリング周期T1と同じものにすると、グループ化手段16における煙の性状のグループ化処理を正確に行なうことができず、また、グループ化処理の結果が出るまでに、火災が進行してしまうということも考えられる。
【0044】
このような問題を回避するために、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、第1の発光手段12,第2の発光手段13に対する所定のサンプリング周期を、第1の監視手段15による監視時での所定のサンプリング周期T1よりも短いサンプリング周期T2に変更するのが良い。すなわち、グループ化手段16によるグループ化処理時には、第1の発光手段12,第2の発光手段13に対する所定のサンプリング周期を、第1の監視手段15による監視時での所定のサンプリング周期T1よりも短いサンプリング周期T2に変更するのが良い。
【0045】
図5には、この様子が示されている。なお、図5(a)は第1の発光手段12(青色発光ダイオードLED1)に対する駆動信号CTL1を示し、図5(b)は第2の発光手段13(近赤外発光ダイオードLED2)に対する駆動信号CTL2を示し、図5(c)は波長λ1(青色の光)の散乱光出力y,波長λ2(近赤外の光)の散乱光出力gのレベル(煙濃度(%/m)に換算したレベル)の時間変化を示している。なお、図5(c)の例では、性状グループ化開始レベルは、煙濃度が2%/mのレベルに設定されている。
【0046】
図5(a),(b),(c)の例では、第1の発光手段12,第2の発光手段13は、第1の監視手段15による監視時には、サンプリング周期T1(例えば4秒)で駆動されており、波長λ1(青色の光)の散乱光出力y,波長λ2(近赤外の光)の散乱光出力gはそれぞれ周期T1で得られている。しかる後、波長λ1(青色の光)の散乱光出力yが性状グループ化開始レベルに達すると、グループ化手段16によるグループ化処理が開始するが、このグループ化処理時には、制御手段11は、図5(a),(b)に示すように、第1の発光手段12,第2の発光手段13をサンプリング周期T1(例えば4秒)よりも短かいサンプリング周期T2(例えば0.5秒)に切り替えて駆動する。
【0047】
このように、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、制御手段11は、第1の発光手段12,第2の発光手段13に対する所定のサンプリング周期を、第1の監視手段15による監視時での所定のサンプリング周期T1よりも短いサンプリング周期T2に変更することにより、グループ化手段16における煙の性状のグループ化処理を正確かつ迅速に行なうことができる。
【0048】
特に、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出された後、散乱光出力y,gが図4に示すように急激に増加する場合にも、第1の発光手段12,第2の発光手段13に対する所定のサンプリング周期を、第1の監視手段15による監視時での所定のサンプリング周期T1(例えば4秒)よりも短いサンプリング周期T2(例えば0.5秒)に変更することで、性状のグループの決定を正確に(精度良く)行なうことができ、また、火災が進行する以前にグループ化処理の結果(性状のグループの決定結果)を出力することができる。
【0049】
なお、図5の例では、第1の監視手段15による監視時に、第1の発光手段12,第2の発光手段13のそれぞれに駆動信号CTL1,CTL2を与え、第1の発光手段12,第2の発光手段13の両方を発光させたが、前述のように、第1の監視手段15による監視時に、第1の発光手段12,第2の発光手段13のうちのいずれか一方のみに駆動信号を与え(例えば、第1の発光手段12にのみ駆動信号CTL1を与え)、第1の発光手段12,第2の発光手段13のうちのいずれか一方のみを発光させても良い(例えば、第1の発光手段12のみを発光させても良い)。
【0050】
図6はグループ化手段16における煙の性状のグループ化を説明するための図である。
【0051】
本願の発明者は、環境E内に所定の粒径の煙を導入し、そのときに、青色光(波長λ1=470nm)の散乱光出力yと近赤外光(波長λ2=945nm)の散乱光出力gとの比(y/g)を散乱光出力比Rとして求め、散乱光出力比Rと粒径との関係を調べた。この結果、粒径が小さい煙では、散乱光出力比Rは、“2”以上のものとなり、また、粒径が大きい煙では、散乱光出力比Rは、“0.7”以下のものとなった。これに基づき、図6に示すようにグループ化を行なうことができる。すなわち、受光手段14からの波長λ1(青色光)の散乱光出力yと波長λ2(近赤外光)の散乱光出力gとの比である散乱光出力比R(=y/g)がRL(例えば“0.7”)よりも小さいときには(R<RL)、グループA(ほこりや水蒸気等の非火災と考えられるグループ)に分類し、散乱光出力比R(=y/g)がRL(例えば“0.7”)とRH(例えば“2”)との間の値であるときには(RL≦R≦RH)、グループB(燻焼火災と考えられるグループ)とし、散乱光出力比R(=y/g)がRH(例えば“2”)よりも大きいときには(R>RH)、グループC(炎上火災と考えられるグループ)に分類し、散乱光出力比R(=y/g)が不明のとき(例えば、散乱光出力yが飽和状態(測定限界を超えた状態)にあるとき)には、グループD(不明と考えられるグループ)に分類するように、グループ分けがなされる。
【0052】
図7はグループ化手段16における煙の性状のグループ化処理の具体例を示す図である。図7を参照すると、グループ化手段16では、受光手段14から時系列的に順次に得られる散乱光出力y1,y2,y3,…と散乱光出力g1,g2,g3,…に基づいて、散乱光出力比R1(=y1/g1),R2(=y2/g2),R3(=y3/g3),…を算出し、時系列的に得られる散乱光出力比R1,R2,R3,…のそれぞれについてグループ化処理を行なう。例えば、散乱光出力比R1がRL(例えば“0.7”)よりも小さいときは、R1についてはグループAに分類し、また、散乱光出力比R2がRL(例えば“0.7”)とRH(例えば“2”)との間の値であるときには、R2についてはグループBに分類し、また、散乱光出力比R3がRL(例えば“0.7”)とRH(例えば“2”)との間の値であるときには、R3についてはグループBに分類するようにする。これにより、グループの時系列,例えば(A,B,B,…)が得られる。
【0053】
そして、グループ化手段16は、上記のように得られるグループの時系列,例えば(A,B,B,…)に基づいて、最終的に、煙の性状のグループを決定(設定)するようになっている。
【0054】
図8は、時系列的に得られる散乱光出力比R1,R2,R3,…に基づいて煙の性状のグループを最終的に決定(設定)する第1の処理例を示す図である。なお、図8の例では、説明の便宜上、グループはA,B,Cの3つであるとする。すなわち、グループDについては省略している。
【0055】
図8の処理例では、グループ化処理の開始時に(初期時に)、グループAの生起回数を計数するダウンカウンタCNTAのカウント値nをn0に初期設定し、また、グループBの生起回数を計数するダウンカウンタCNTBのカウント値mをm0に初期設定し、また、グループCの生起回数を計数するダウンカウンタCNTCのカウント値lをl0に初期設定する(ステップS1)。
【0056】
次いで、グループ化処理が開始し、散乱光出力比R1,R2,R3,…が時系列的に順次に算出されるとき(ステップS2)、散乱光出力比R1,R2,R3,…の値に基づき、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCをダウンカウントさせ、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCのうちで、カウント値が一番最初に“0”となったダウンカウンタに対応するグループを、最終的にグループとして決定する(ステップS3乃至S14)。
【0057】
すなわち、散乱光出力比R1がR1<RLのときには(ステップS3)、ダウンカウンタCNTAのカウント値nを“1”だけ減ずる(すなわち、n=nー1とする)(ステップS4)。そして、ダウンカウンタCNTAのカウント値nが“0”になったかを判断し(ステップS5)、“0”になったときには、グループAと決定する(ステップS6)。これに対し、ステップS5でダウンカウンタCNTAのカウント値nが“0”でないときには、ステップS2に戻る。
【0058】
また、散乱光出力比R1がRL≦R1≦RHのときには(ステップS7)、ダウンカウンタCNTBのカウント値mを“1”だけ減ずる(すなわち、m=m−1とする)(ステップS8)。そして、ダウンカウンタCNTBのカウント値mが“0”になったかを判断し(ステップS9)、“0”になったときには、グループBと決定する(ステップS10)。これに対し、ステップS9でダウンカウンタCNTBのカウント値mが“0”でないときには、ステップS2に戻る。
【0059】
また、散乱光出力比R1がRH<R1のときには(ステップS11)、ダウンカウンタCNTCのカウント値lを“1”だけ減ずる(すなわち、l=l−1とする)(ステップS12)。そして、ダウンカウンタCNTCのカウント値lが“0”になったかを判断し(ステップS13)、“0”になったときには、グループCと決定する(ステップS14)。これに対し、ステップS13でダウンカウンタCNTCのカウント値lが“0”でないときには、ステップS2に戻る。
【0060】
このように、ステップS5,S9,S13において、nが“0”でもなく、また、mが“0”でもなく、また、lが“0”でもないときには、ステップS2に戻り、次の散乱光出力比R2を算出して、この散乱光出力比R2について同様の処理を行なう。
【0061】
具体的に、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCのカウント値n,m,lの初期設定値n0,m0,l0が例えば“3”,“3”,“3”である場合、時系列的に得られる散乱光出力比R1,R2,R3,R4,R5…に基づいて、グループの時系列として、例えば(A,B,B,C,B,…)が得られるとするとき、グループBの生起回数が“3”となった時点(すなわち、A,B,B,C,Bの時点)で、カウンタCNTBのカウント値mが“0”となり(なお、この時点で、カウンタCNTAのカウント値nは“2”,カウンタCNTCのカウント値lは“2”である)、煙の性状のグループは、最終的にグループBに決定される。
【0062】
このように、第1の処理例では、グループ化手段16は、時系列的に得られる散乱光出力比Rのそれぞれに対応して得られるグループの時系列において、予め設定された所定の生起回数だけ生起したグループを、最終的に、煙の性状のグループとして決定するようになっている
【0063】
また、図9は、時系列的に得られる散乱光出力比R1,R2,R3,…に基づいて煙の性状のグループを最終的に決定(設定)する第2の処理例を示す図である。なお、図9の例では、説明の便宜上、グループはA,B,Cの3つであるとする。すなわち、グループDについては省略している。
【0064】
図9の処理例では、グループ化処理の開始時に(初期時に)、グループAの生起回数を計数するダウンカウンタCNTAのカウント値nをn0に初期設定し、また、グループBの生起回数を計数するダウンカウンタCNTBのカウント値mをm0に初期設定し、また、グループCの生起回数を計数するダウンカウンタCNTCのカウント値lをl0に初期設定する(ステップS21)。
【0065】
次いで、グループ化処理が開始し、散乱光出力比R1,R2,R3,…が時系列的に順次に算出されるとき(ステップS22)、散乱光出力比R1,R2,R3,…の値に基づき、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCをダウンカウントさせるか初期値n0,m0,l0に戻し、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCのうちで、カウント値が一番最初に“0”となったダウンカウンタに対応するグループを、最終的にグループとして決定する(ステップS23乃至S34)。
【0066】
すなわち、散乱光出力比R1がR1<RLのときには(ステップS23)、ダウンカウンタCNTAのカウント値nを“1”だけ減ずる一方、ダウンカウンタCNTB,CNTCのカウント値m,lを初期値m0,l0に戻す(すなわち、n=n−1,m=m0,l=l0とする)(ステップS24)。そして、ダウンカウンタCNTAのカウント値nが“0”になったかを判断し(ステップS25)、“0”になったときには、グループAと決定する(ステップS26)。これに対し、ステップS25でダウンカウンタCNTAのカウント値nが“0”でないときには、ステップS22に戻る。
【0067】
また、散乱光出力比R1がRL≦R1≦RHのときには(ステップS27)、ダウンカウンタCNTBのカウント値mを“1”だけ減ずる一方、ダウンカウンタCNTA,CNTCのカウント値n,lを初期値n0,l0に戻す(すなわち、m=m−1,n=n0,l=l0とする)(ステップS28)。そして、ダウンカウンタCNTBのカウント値mが“0”になったかを判断し(ステップS29)、“0”になったときには、グループBと決定する(ステップS30)。これに対し、ステップS29でダウンカウンタCNTBのカウント値mが“0”でないときには、ステップS22に戻る。
【0068】
また、散乱光出力比R1がRH<R1のときには(ステップS31)、ダウンカウンタCNTCのカウント値lを“1”だけ減ずる一方、ダウンカウンタCNTA,CNTBのカウント値n,mを初期値n0,m0に戻す(すなわち、l=l−1,n=n0,m=m0とする)(ステップS32)。そして、ダウンカウンタCNTCのカウント値lが“0”になったかを判断し(ステップS33)、“0”になったときには、グループCと決定する(ステップS34)。これに対し、ステップS33でダウンカウンタCNTCのカウント値lが“0”でないときには、ステップS22に戻る。
【0069】
このように、ステップS25,S29,S33において、nが“0”でもなく、また、mが“0”でもなく、また、lが“0”でもないときには、ステップS22に戻り、次の散乱光出力比R2を算出して、この散乱光出力比R2について同様の処理を行なう。
【0070】
具体的に、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCのカウント値n,m,lの初期設定値n0,m0,l0が例えば“3”,“3”,“3”である場合、時系列的に得られる散乱光出力比R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7…に基づいて、グループの時系列として、例えば(A,B,B,C,B,B,B…)が得られるとするとき、(A,B,B)の時点では、カウンタCNTBのカウント値mは“1”となるが、次の時点では(A,B,B,C)となり、グループBとは異なるグループCが生起するので、カウンタCNTBのカウント値mは初期値“3”に戻されてしまう。そして、(A,B,B,C,B,B,B)のように、グループBが連続して3回生起した時点で、カウンタCNTBのカウント値mは“0”となり、煙の性状のグループは、最終的にグループBに決定される。
【0071】
このように、第2の処理例では、グループ化手段16は、時系列的に得られる散乱光出力比のそれぞれに対応して得られるグループの時系列において、予め設定された所定の生起回数だけ連続して生起したグループを、最終的に、煙の性状のグループとして決定するようになっている。
【0072】
また、図10は、時系列的に得られる散乱光出力比R1,R2,R3,…に基づいて煙の性状のグループを最終的に決定(設定)する第3の処理例を示す図である。なお、図10の例では、説明の便宜上、グループはA,B,Cの3つであるとする。すなわち、グループDについては省略している。
【0073】
図10の処理例では、グループ化処理の開始時に(初期時に)、グループAの生起回数を計数するダウンカウンタCNTAのカウント値nをn0に初期設定し、また、グループBの生起回数を計数するダウンカウンタCNTBのカウント値mをm0に初期設定し、また、グループCの生起回数を計数するダウンカウンタCNTCのカウント値lをl0に初期設定する(ステップS41)。
【0074】
次いで、グループ化処理が開始し、散乱光出力比R1,R2,R3,…が時系列的に順次に算出されるとき(ステップS42)、散乱光出力比R1,R2,R3,…の値に基づき、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCをダウンカウントまたはアップカウントさせ、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCのうちで、カウント値が一番最初に“0”となったダウンカウンタに対応するグループを、最終的にグループとして決定する(ステップS43乃至S54)。
【0075】
すなわち、散乱光出力比R1がR1<RLのときには(ステップS43)、ダウンカウンタCNTAのカウント値nを“1”だけ減ずる一方、ダウンカウンタCNTB,CNTCのカウント値m,lを“1”だけ増加する(すなわち、n=n−1,m=m+1,l=l+1とする)(ステップS44)。そして、ダウンカウンタCNTAのカウント値nが“0”になったかを判断し(ステップS45)、“0”になったときには、グループAと決定する(ステップS46)。これに対し、ステップS45でダウンカウンタCNTAのカウント値nが“0”でないときには、ステップS42に戻る。
【0076】
また、散乱光出力比R1がRL≦R1≦RHのときには(ステップS47)、ダウンカウンタCNTBのカウント値mを“1”だけ減ずる一方、ダウンカウンタCNTA,CNTCのカウント値n,lを“1”だけ増加する(すなわち、m=m−1,n=n+1,l=l+1とする)(ステップS48)。そして、ダウンカウンタCNTBのカウント値mが“0”になったかを判断し(ステップS49)、“0”になったときには、グループBと決定する(ステップS50)。これに対し、ステップS49でダウンカウンタCNTBのカウント値mが“0”でないときには、ステップS42に戻る。
【0077】
また、散乱光出力比R1がRH<R1のときには(ステップS51)、ダウンカウンタCNTCのカウント値lを“1”だけ減ずる一方、ダウンカウンタCNTA,CNTBのカウント値n,mを“1”だけ増加する(すなわち、l=l−1,n=n+1,m=m+1とする)(ステップS52)。そして、ダウンカウンタCNTCのカウント値lが“0”になったかを判断し(ステップS53)、“0”になったときには、グループCと決定する(ステップS54)。これに対し、ステップS53でダウンカウンタCNTCのカウント値lが“0”でないときには、ステップS42に戻る。
【0078】
このように、ステップS45,S49,S53において、nが“0”でもなく、また、mが“0”でもなく、また、lが“0”でもないときには、ステップS42に戻り、次の散乱光出力比R2を算出して、この散乱光出力比R2について同様の処理を行なう。
【0079】
具体的に、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCのカウント値n,m,lの初期設定値n0,m0,l0が例えば“3”,“3”,“3”である場合、時系列的に得られる散乱光出力比R1,R2,R3,R4,R5…に基づいて、グループの時系列として、例えば(B,B,C,B,B…)が得られるとき、(B,B)の時点では、カウンタCNTBのカウント値mは “1”となるが、次の時点では(B,B,C)となり、グループBとは異なるグループCが生起するので、カウンタCNTBのカウント値mは “1”だけ増加して“2”となってしまう。そして、(B,B,C,B,B)の時点で、カウンタCNTBのカウント値mはは“0”となり、煙の性状のグループは、最終的にグループBに決定される。
【0080】
なお、上記第1,第2,第3の処理例では、カウンタとして、基本的に、ダウンカウンタCNTA,CNTB,CNTCを用いているが、これのかわりに、アップカウンタを用いて、ステップS5,S9,S13の処理,S25,S29,S33の処理,S45,S49,S53の処理を、n,m,lがn0,m0,l0に達したか否かを判定する処理に変更することも可能である。
【0081】
このように、上記第1,第2,第3の処理例では、各グループA,B,C,D(なお、上記処理例では便宜上、グループDについては省略している)に対応させてカウンタCNTA,CNTB,CNTC,CNTDを設け、時系列的に順次に得られる散乱光出力比に応じたグループのカウンタをアップまたはダウンし、初めに一定のカウント値に達したカウンタのグループを、最終的に、煙の性状のグループとして設定するようになっている。
【0082】
特に、上記第1の処理例によれば、時系列的に得られる散乱光出力比のそれぞれに対応して得られるグループの時系列において、予め設定された所定の生起回数だけ生起したグループを、煙の性状のグループとして決定するようになっている。
【0083】
一方、上記第2の処理例によれば、時系列的に得られる散乱光出力比のそれぞれに対応して得られるグループの時系列において、予め設定された所定の生起回数だけ連続して生起したグループを、煙の性状のグループとして決定するようになっている。
【0084】
第1の処理例では、同じグループが連続して生起する要件がないので、第2の処理例に比べて、短時間で最終的なグループの決定を行なうことができる。
【0085】
一方、第2の処理例では、同じグループが連続して所定回数生起することを要件としているので、より正確に、最終的なグループの決定を行なうことができる。
【0086】
このようにして、煙の性状のグループを最終的に決定(設定)したとき、グループ化手段16は、最終的に決定したグループに応じた監視条件(第2の監視手段17において使用される監視条件(発報レベル,確認時間,発光波長,サンプリング周期のうちの少なくとも1つ))を設定するようになっている。
【0087】
図11は最終的に決定したグループに応じて設定される監視条件(第2の監視手段17において使用される監視条件)の一例を示す図である。図11の例では、最終的に決定したグループがAのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒に設定し、発光波長として波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用するよう設定し、発報レベルを15(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を20秒に設定するようになっている。また、最終的に決定したグループがBのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒に設定し、発光波長として波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用するよう設定し、発報レベルを10(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を5秒に設定するようになっている。また、最終的に決定したグループがCのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒にし、発光波長として波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用するよう設定し、発報レベルを10(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を1秒に設定するようになっている。また、最終的に決定したグループがDのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒に設定し、発光波長として波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用するよう設定し、発報レベルを10(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を5秒または20秒に設定するようになっている。すなわち、グループDは散乱光出力yまたはgが飽和した場合(測定限界を越えた場合)であり、この場合、確認時間T0は、火災か否かで変わってくる。
【0088】
また、図12は最終的に決定したグループに応じて設定される監視条件の他の例を示す図である。図12の例では、最終的に決定したグループがAのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒に設定し、発光波長として波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用するよう設定し、発報レベルを15(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を20秒に設定するようになっている。また、最終的に決定したグループがBのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒に設定し、発光波長として波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用するよう設定し、発報レベルを10(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を5秒に設定するようになっている。また、最終的に決定したグループがCのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒にし、発光波長として波長λ2(近赤外)の散乱光出力gを使用するよう設定し、発報レベルを10(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を5秒に設定するようになっている。また、最終的に決定したグループがDのときには、監視条件として、受光手段14におけるサンプリング周期T3を1秒に設定し、発光波長として波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用するよう設定し、発報レベルを10(%/m)に設定し、後述の確認時間T0を5秒または20秒に設定するようになっている。
【0089】
図12の例では、グループCの範囲にタバコの煙のような非火災要因が含まれる場合には、波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用すると、非火災要因による粒子に対しても感度が高くなり、逆に誤報を増加させてしまうこともあり得る。そのため波長λ2(近赤外)の散乱光出力gを使用するように設定されている。これにより、第2の監視手段17において、タバコの煙のような非火災要因による誤報を増加させることはない。
【0090】
また、図13は第2の監視手段17の処理概要を説明するための図である。図13を参照すると、第2の監視手段17は、グループ化手段16によって設定された発光波長の散乱光出力yまたはg(波長λ1または波長λ2)をグループ化手段16によって設定されたサンプリング周期T3(上記例では、1秒)でサンプリングし、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが、グループ化手段16によって設定された発報レベルに達したか否かを監視するレベル監視フェーズP1と、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが発報レベルに達したときに受光手段14からの散乱光出力yまたはgがグループ化手段16によって設定された確認時間T0の間、発報レベルを越えているか否かを確認する確認フェーズP2と、受光手段14からの散乱光出力yまたはgがグループ化手段16によって設定された確認時間T0の間、発報レベルを越えていることが確認されたときに、受信機に発報を行なわせるための火災信号を出力する発報フェーズP3とからなっている。なお、図13では、説明の便宜上、波長λ1の散乱光出力yだけが示されている。
【0091】
次に、このような構成の煙感知器の処理動作を図14のフローチャートを用いて説明する。図14を参照すると、先ず、初期化設定を行なう(ステップS71)。次いで、第1の監視手段15は、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する(ステップS72)。波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したときには、グループ化手段16によるグループ化処理を開始する。
【0092】
このグループ化処理では、グループ化手段16は、前述のように、最終的なグループを決定する。すなわち、最終的なグループが、グループA,グループB,グループCのいずれであるかを判断し(ステップS73,S74,S75)、グループAと判断したときには、グループAに応じた監視条件を設定する(ステップS76)。また、グループBと判断したときには、グループBに応じた監視条件を設定する(ステップS77)。また、グループCと判断したときには、グループCに応じた監視条件を設定する(ステップS78)。また、ステップS73,S74,S75において、最終的なグループが、グループA,グループB,グループCのいずれでもないときには、グループDと判断し、グループDに応じた監視条件を設定する(ステップS79)。
【0093】
このように、最終的なグループが、グループA,グループB,グループC,グループDのいずれかに決定され、決定されたグループに応じた監視条件が設定されると、この監視条件の下で、第2の監視手段17による監視がなされる。すなわち、図14の例では、第2の監視手段17は、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが、性状グループ化開始レベル以下になったか否かを判断し(ステップS80)、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが、性状グループ化開始レベル以下になったときには、火災の発生ではないと判断し、ステップS71に戻る。
【0094】
これに対し、ステップS80において、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが、性状グループ化開始レベル以下でないときには、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが、監視条件として設定された発報レベルに達したか否かを判断し(ステップS81)、発報レベルに達していないときには、ステップS80に戻り、ステップS80,S81の処理を繰り返す。ステップS80,S81において、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが、発報レベルに達せず、性状グループ化開始レベル以下となったときには、火災の発生ではないと判断し、ステップS71に戻る。
【0095】
一方、ステップS81において、受光手段14からの散乱光出力yまたはgが、発報レベルに達したときには、監視条件として設定された確認時間T0で確認処理を行なう(ステップS82)。この確認処理によって、火災の発生と確認したときには、第2の監視手段17は、出力手段18から火災信号を出力させる発報処理を行なう(ステップS83)。
【0096】
出力手段18から火災信号が出力されると、この火災信号により受信機を発報させることができ(ステップS84)、この受信機の発報は、受信機において復旧操作がなされるまで(ステップS85)、なされる。
【0097】
また、図15(a),(b),(c)は、本発明の煙感知器の全体の処理動作例を示すタイムチャートである。なお、図15(a)は第1の発光手段12(青色発光ダイオードLED1)に対する駆動信号CTL1を示し、図15(b)は第2の発光手段13(近赤外発光ダイオードLED2)に対する駆動信号CTL2を示し、図15(c)は波長λ1(青色の光)の散乱光出力y,波長λ2(近赤外の光)の散乱光出力gのレベル(煙濃度(%/m)に換算したレベル)の時間変化を示している。なお、図15(c)では、説明の便宜上、波長λ1の散乱光出力yだけが示されている。
【0098】
図15(a),(b),(c)の例では、第1の監視処理において、サンプリング周期T1=4秒でサンプリングされた波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用し、また、グループ化処理において、サンプリング周期T2=0.5秒でサンプリングされた波長λ1(青色)の散乱光出力y,波長λ2(近赤外)の散乱光出力gを使用し、また、第2の監視処理においては、グループ化処理でグループCと決定されたものとし、この場合の監視条件,すなわちサンプリング周期T3=1秒でサンプリングされた波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用し、また、確認時間T0を1秒,発報レベルを10%/mとした場合が示されている。
【0099】
このように、本発明では、煙の性状のグループ化を正確に行ない、それぞれのグループに対して適切な監視条件(第2の監視手段17において用いられる監視条件(発報レベル,確認時間,発光波長,サンプリング周期のうちの少なくとも1つ))を設定可能となっていることにより、誤報を低減し、かつ、火災の早期検知が可能となる。
【0100】
例えば発光波長に関し、波長の短かいものほど細かい粒子に感度が高く、波長の長いものほど大きな粒子に感度が高くなるため、炎上火災のような細かな煙粒子(例えばグループC)には短かい波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用し、粒子に対する感度を高くすることで、火災の早期検知が可能となり、また、湯気のような粒径の大きな粒子(例えばグループA)には短かい波長λ1(青色)の散乱光出力yを使用し、粒子に対する感度を低くすることにより、誤報を低減できる。
【0101】
また、火災のグループ(例えばグループB,C)には、確認時間を短かく、発報レベルを低く、サンプリング周期を短かく設定することにより、誤報を低減させ、火災の早期検知が可能となり、また、非火災のグループ(例えばA)には、確認時間を長く、発報レベルを高く、サンプリング周期を長く設定することにより、誤報を低減させることが可能となる。
【0102】
ところで、上述のように、グループ化手段16でのグループ化処理によって最終的なグループを決定したとき、最終的なグループの決定が誤ったか、あるいは、最終的なグループの決定の後に、このグループとは異なるグループに属する事象が発生することも考えられる。
【0103】
例えば、第1の例として、図16に示すように、ボイラー室や浴室では湯気等の非火災源が発生した後、火災が発生する場合が考えられる。すなわち、非火災であるグループAに属する状態が続いた後に、燻焼火災であるグループBに属する状態が発生する場合がある。このような場合、グループ化処理で非火災であるグループAと識別し、グループAに応じた監視条件のままで第2の監視処理を行うと、火災を感知できないことがある。
【0104】
あるいは、第2の例として、スプレーガスなどのテストガスが煙感知器内に入った場合、受光手段14からの散乱光出力yまたはg(煙濃度)は、図17に示すように、一時的に高くなるスパイク型のものとなり、この場合、煙濃度が大きい時点でグループが決定されてしまうと、決定されたグループ(すなわち、このグループに応じた監視条件)は適切なものではなく、第2の監視処理において、誤った判断がなされてしまう恐れがある。
【0105】
このような問題を回避するため、グループ化手段16によるグループ化処理が終了した後(すなわち、煙の性状のグループを決定した後)、第2の監視手段17において第2の監視処理が行なわれている途中でも、所定の条件を満たした場合には、グループおよび/または監視条件(グループ,発報レベル,発光波長,確認時間,サンプリング周期のうちの少なくとも1つ)を変更することもできる。
【0106】
すなわち、第2の監視処理の途中であっても、グループを変更し、変更したグループに応じた監視条件(発報レベル,発光波長,確認時間,サンプリング周期のうちの少なくとも1つ)を新たに設定して第2の監視処理を行なわせることもできるし、あるいは、グループ自体は変更せずに、発報レベル,発光波長,確認時間,サンプリング周期の少なくとも1つを変更して第2の監視処理を行なわせることもできる。
【0107】
変更のための上記所定の条件としては、図18に示すように、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化する場合を、変更の条件とすることができる。
【0108】
あるいは、図19に示すように、第2の監視処理時において現在のサンプリング時点tの煙濃度Stと1つ前のサンプリング時点t−1の煙濃度St-1との差St-1−Stが所定の下降率閾値S以上となった場合(St-1−St>S)を、変更の条件とすることができる。なお、この場合には、過去のデータSt-1を記憶しておく必要がある。
【0109】
あるいは、図20に示すように、2つの煙濃度閾値レベル(LA,LB)を設け(発報レベル>LA>LB>性状グループ化開始レベル)、第2の監視処理時において、ある時点でのサンプリングデータ(煙濃度)が閾値レベルLAを越えた後、次の時点のサンプリングデータ(煙濃度)が閾値レベルLB以下となった場合を、変更の条件とすることができる。なお、この場合には、過去のサンプリングデータを記憶しておく必要はない。
【0110】
なお、図18に示すように、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化する場合を、変更の条件とするときには、第2の監視処理時においても、第1の発光手段12,第2の発光手段13の両方の発光手段を発光させ、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとの比である散乱光出力比を算出する必要があり、このような散乱光出力比の算出、および、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化したか否かの判断は、これを例えばグループ化手段16に行なわせることができる。すなわち、第2の監視手段17による第2の監視処理時にも、これと並行して、グループ化手段16に散乱光出力比の算出、および、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化したか否かの判断処理を行なわせることができる。
【0111】
また、図19に示すように、第2の監視処理時において現在のサンプリング時点tの煙濃度Stと1つ前のサンプリング時点t−1の煙濃度St-1との差St-1−Stが所定の下降率閾値S以上となった場合(St-1−St>S)を、変更の条件とするときには、現在のサンプリング時点tの煙濃度Stと1つ前のサンプリング時点t−1の煙濃度St-1との差St-1−Stが所定の下降率閾値S以上となったか否かの判断を第2の監視手段17に行なわせることができる。
【0112】
また、図20に示すように、第2の監視処理時において、ある時点でのサンプリングデータ(煙濃度)が閾値レベルLAを越えた後、次の時点のサンプリングデータ(煙濃度)が閾値レベルLB以下となった場合を、変更の条件とするときには、第2の監視処理時において、ある時点でのサンプリングデータ(煙濃度)が閾値レベルLAを越えた後、次の時点のサンプリングデータ(煙濃度)が閾値レベルLB以下となった場合を、変更の条件とするか否かの判断を第2の監視手段17に行なわせることができる。
【0113】
図21は図18に示すように、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化する場合を、変更の条件とするときに、グループを変更する処理例を示すタイムチャートである。図21の例では、グループ化手段16は、グループ化処理において最終的にグループA(非火災)と決定し、第2の監視手段17は、グループ化手段16で決定されたグループA(非火災)に対応する監視条件で第2の監視処理を行なっているが、第2の監視処理時にも、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化したか否かを監視し、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化したときには、例えば、グループA(非火災)をグループB(燻焼火災)に変更し、以後は、グループB(燻焼火災)に対応する監視条件で第2の監視処理を行なう。
【0114】
このように、グループ化手段16において最終的にグループの決定を行なった後でも、散乱光出力比の監視を続け、散乱光出力比が一定レベルLC以上変化したときには、この変化に見合った適切な処理を行なうことにより、誤報,失報を防止することができる。
【0115】
また、スプレーガスなどのテストガスが煙感知器内に入った場合のように、受光手段14からの散乱光出力yまたはg(煙濃度)が、図17に示すように、一時的に高くなるスパイク型のものとなるとき、煙濃度が所定レベル以上変化することを検知して、監視条件を変更することにより(例えば、確認時間を長くしたり、発報レベルを高くすることにより)、誤報を低減することができる。
【0116】
図22はこのようなグループおよび/または監視条件の変更機能を備えた煙感知器の処理動作を説明するためのフローチャートである。図22を参照すると、先ず、初期化設定を行なう(ステップS91)。次いで、第1の監視手段15は、受光手段14からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する(ステップS92)。波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したときには、グループ化手段16によるグループ化処理を開始する。
【0117】
このグループ化処理では、グループ化手段16は、前述のように、グループを決定し(ステップS93)、決定したグループに応じた監視条件を設定する(ステップS94)。
【0118】
このように、決定されたグループに応じた監視条件が設定されると、この監視条件の下で、第2の監視手段17による監視がなされるが、第2の監視手段17による第2の監視処理がなされているときに、さらに、散乱光出力比に変化があるか否かを判断し(ステップS95)、また、煙濃度の下降率に変化があるか否かを判断する(ステップS96)。
【0119】
この結果、ステップS95において、散乱光出力比に変化があると判断された場合には、再びステップS93に戻り、グループ化処理を再度行ない、クループを新たに決定(変更)し(ステップS93)、また、新たに決定したグループに応じた監視条件を新たに設定する(変更する)(ステップS94)。また、ステップS96において、煙濃度の下降率に変化があると判断された場合には、監視条件を変更する(ステップS97)。
【0120】
このようにして、散乱光出力比に変化があるか否かに応じた処理、および、煙濃度の下降率に変化があるか否かに応じた処理がなされた後、煙濃度が性状グループ化開始レベル以下になったか否かを判断する(ステップS98)。この結果、煙濃度が性状グループ化開始レベル以下になったときには、火災ではないと判断し、ステップS91に戻る。
【0121】
これに対し、ステップS98において、煙濃度が性状グループ化開始レベル以下ではないときには、煙濃度が発報レベルに達したか否かを判断する(ステップS99)。この結果、煙濃度が発報レベルに達していないときには、ステップS98に戻り、ステップS98乃至S99の処理を繰り返し行なう。これに対し、ステップS99において、煙濃度が発報レベルに達したときには、監視条件として設定された確認時間で確認処理を行なう(ステップS100)。この確認処理によって、火災の発生と確認したときには、第2の監視手段17は、出力手段18から火災信号を出力させる発報処理を行なう(ステップS101)。
【0122】
出力手段18から火災信号が出力されると、この火災信号により受信機を発報させることができ(ステップS102)、この受信機の発報は、受信機において復旧操作がなされるまで(ステップS103)、なされる。
【0123】
なお、図1の構成例において、グループ化手段16によって最終的に決定されたグループ、および/または、グループに応じて設定された監視条件、および/または、変更されたグループ、および/または、変更された監視条件を、外部に(例えば受信機)に出力するように構成することもできる。
【0124】
図23は図1の煙感知器の具体例を示す図である。図23の例では、この煙感知器は、物理量として煙濃度を検出して電気信号(アナログ信号)に変換する物理量検出部41と、該物理量検出部41から出力されるアナログ信号を所定の周期でサンプルしてデジタル信号に変換するA/D変換部42と、この感知器のアドレスが設定されるアドレス部43と、異常(例えば火災)判断などの感知器全体の制御を行なうCPU44と、CPU44の制御プログラムなどが格納されるROM45と、各種のワークエリアなどとして使用されるRAM46と、感知器固有の個別データなどが格納される不揮発性メモリ47と、物理量検出部41で検出されA/D変換部42でデジタル信号に変換された物理量(煙濃度)の検出結果(A/D変換部42からの出力レベル)が、例えば所定の作動閾値レベル(例えば発報レベル)を越えてCPU44で火災などの異常と判断されたときに、作動状態(オン状態)を表わす信号を伝送路(例えばL,C線路)3に出力する状態出力部48と、例えば受信機1との間で伝送路3を介した伝送を行なう伝送部(通信インタフェース部)49とを備えている。
【0125】
換言すれば、図23の例の煙感知器は、所謂センサアドレス用感知器(その検出出力信号からすれば、オンオフ型感知器に属する)として構成されている。そして、図23の構成において、物理量検出部41が図1の第1の発光手段12,第2の発光手段13,受光手段14の機能を備えている場合、CPU44によって図1の制御手段11,第1の監視手段15,グループ化手段16,第2の監視手段17の機能を実現することができる。また、状態出力部48,伝送部49によって図1の出力手段18の機能を実現することができる。
【0126】
また、図23のRAM46や不揮発性メモリ47などには、例えば、物理量検出部41(受光手段14)から交互に出力される出力値y,gや、散乱光出力比などを格納することができる。
【0127】
なお、このような煙感知器は、例えば、監視制御システム(例えば防災システムや火災報知システム)の一要素として、図23に示すように監視制御システム(例えば防災システムや火災報知システム)に組込んで用いることができる。図23を参照すると、この監視制御システム(例えば防災システムや火災報知システム)は、受信機(例えば、アドレッサブルなp型受信機)1と、受信機1によって監視制御される図1の構成の煙感知器2とを有している。
【0128】
図23の例では、煙感知器がセンサアドレス用感知器として構成されているとして説明したが、煙感知器としては、図1の構成を備えたものであれば良く、任意のオンオフ型煙感知器に適用することができる。従って、図23の構成例において、アドレス部43などは、必ずしも設けられていなくとも良い。
【0129】
また、上述の例では、本発明をオンオフ型の煙感知器に適用した場合について説明したが、本発明は、感知器に例えばアナログ型の煙感知器が用いられるR型の監視制御システム(煙検知システムや防災システムや火災報知システムなど)の受信機に適用することもできる。
【0130】
図24は感知器に例えばアナログ型の煙感知器が用いられるR型の監視制御システムの構成例を示す図である。図24を参照すると、この監視制御システムは、受信機(例えば、R型受信機)51と、受信機51からの伝送路53に接続され、受信機51によって監視制御されるアナログ型の煙感知器52とを有している。
【0131】
ここで、煙感知器52には、異なる2波長λ1,λ2の散乱光を時間的に交互に受光する構成の煙感知器が用いられている。すなわち、煙感知器52には、例えば、物理量として煙濃度を検出して電気信号(アナログ信号)に変換する物理量検出部61と、該物理量検出部61から出力されるアナログ信号を所定の周期でサンプルしてデジタル信号に変換するA/D変換部62と、この感知器のアドレスが設定されるアドレス部63と、受信機51からのアドレスポーリングの周期に同期させて全体の制御を行なうCPU64と、受信機51との間でデータ,信号の送受を行なう伝送部65とが設けられている。
【0132】
ここで、物理量検出部61には、例えば、CPU64からの駆動信号CTL1によって駆動されるときに波長λ1の光を出射する第1の発光手段12と、CPU64からの駆動信号CTL2によって駆動されるときに、波長λ2の光を出射する第2の発光手段13と、第1の発光手段12から出射される波長λ1の光の散乱光,第2の発光手段13から出射される波長λ2の光の散乱光を受光する受光手段14との機能が備わっており、CPU64は、受信機51からアドレスポーリングがあるときに、駆動信号CTL1,CTL2を時間差tで出力し、物理量検出部61から時間的に交互に(時間差tで)出力される異なる2波長λ1,λ2の散乱光出力信号をA/D変換部62でデジタル信号に変換して伝送部65に与え、伝送部65から異なる2波長λ1,λ2の散乱光出力データを受信機51に返送するようになっている。
【0133】
また、この場合、受信機51には、煙感知器52との間での伝送制御等を行なう伝送部54と、制御部55とが設けられており、受信機51の制御部55内には、煙感知器52から送られる波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する第1の監視手段15と、煙感知器52からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、煙感知器52からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとの比である散乱光出力比を用いて煙の性状のグループを決定するグループ化処理を行ない、グループに応じた監視条件を設定するグループ化手段16と、グループ化手段16で設定された監視条件で、煙感知器52からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルに達したか否かを監視する第2の監視手段17と、第2の監視手段17の監視結果を出力する出力手段18との機能が設けられている。
【0134】
このような構成では、受信機51は、煙感知器52をアドレスポーリングし、煙感知器52から、波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとを得るとき、煙感知器52からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、煙感知器52からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとの比である散乱光出力比を用いて煙の性状のグループ化処理をグループ化手段16によって行ない、グループ化手段16で設定された監視条件で、煙感知器52からの波長λ1の散乱光出力yと波長λ2の散乱光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルに達したか否かを第2の監視手段17によって監視し、その結果を出力手段18により出力することができる。例えば、第2の監視手段17において火災と判断されときには、警報出力などを行なうことができる。
【0135】
また、このような受信機51においても、グループ化手段16によるグループ化処理が終了した後(すなわち、煙の性状のグループを決定した後)、第2の監視手段17において第2の監視処理が行なわれている途中でも、所定の条件を満たした場合には、グループおよび/または監視条件(グループ,発報レベル,発光波長,確認時間,サンプリング周期のうちの少なくとも1つ)を変更することができる。
【0136】
このように、本発明は、煙感知器自体にも適用できるし、煙感知器がアナログ型の場合、本発明を受信機にも適用することができ、いずれの場合も、同様に煙の性状のグループに応じた監視条件で、火災,非火災の識別を従来に比べてより正確に(精度良く)行なうことができる。
【0137】
なお、上述した各例では、煙感知器(オンオフ型あるいはアナログ型)には、波長λ1,λ2の光をそれぞれ出射する2種類の発光手段12,13(LED1,LED2)が用いられているとしたが(すなわち、光源には2個の光源が用いられているとしたが)、これのかわりに、例えば図25に示すように、光源として1個の光源71(例えばタングスランランプ等)だけを用い、1個の光源71からの所定波長λの光を異なる波長特性を有する干渉フィルタ72によって(干渉フィルタ72をモータ74によって半回転することで交互に波長特性を切り換えて)、波長λ1,λ2の光に変換しても良い。なお、この場合、例えば、図1の第1の発光手段12は、1個の光源71と干渉フィルタ72の波長特性λ1の部分72aとによって実現され、また、図1の第2の発光手段13は、1個の光源71と干渉フィルタ72の波長特性λ2の部分72bとによって実現される。
【0138】
また、前述の例では、受光手段14には、1個の受光素子PDが用いられるとしたが、図25の例のように、図1の受光手段14を、2個の受光素子PD1,PD2によって実現することもできる。
【0139】
さらに、図25の構成において、干渉フィルタ72を配設せずに、2個の受光素子PD1,PD2として、互いに異なる分光感度を有する受光素子を用いても良い。
【0140】
すなわち、本発明は、異なる2波長λ1,λ2の散乱光を受光手段において受光する構成のものであれば、任意の煙感知器およびこれを用いた監視制御システムの受信機に適用することができる。
【0141】
また、上述の各例では、煙感知器が光散乱式煙感知器として構成されているとして説明したが、本発明は、減光式の煙感知器にも同様に適用することができる。この場合には、図1,図24の構成例において、受光手段14は、第1の発光手段12から出射される波長λ1の光の透過光,第2の発光手段13から出射される波長λ2の光の透過光を受光するようになっており、第1の監視手段15は、受光手段14からの波長λ1の透過光出力yと波長λ2の透過光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視し、グループ化手段16は、受光手段14からの波長λ1の透過光出力yと波長λ2の透過光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段15によって検出されたときに、受光手段14からの波長λ1の透過光出力yと波長λ2の透過光出力gとの比である透過光出力比を用いて煙の性状のグループを決定するグループ化処理を行ない、第2の監視手段17は、グループ手段16で設定された監視条件で、受光手段14からの波長λ1の透過光出力yと波長λ2の透過光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルに達したか否かを監視するようになっている。
【0142】
また、煙感知器あるいは受信機に、上述したような本発明の処理機能をもたせる場合、これらの機能は、例えばソフトウェアパッケージ(具体的には、CD−ROM等の記録媒体)の形で提供することができる。すなわち、本発明の第1の監視手段15,グループ化手段16,第2の監視手段17などの機能を実現するためのプログラム(すなわち、例えば、図23の煙感知器の場合、CPU44などで用いられるプログラム)は、可搬性の記録媒体に記録された状態で提供可能である。
【0143】
この場合、煙感知器あるいは受信機には、記録媒体を着脱自在に装着するための機構が設けられているのが良い。また、プログラムなどが記録される記録媒体としては、CD−ROMに限られるものではなく、ROM,RAM,フレキシブルディスク,メモリカード等が用いられても良い。記録媒体に記録されたプログラムは、この記録媒体が煙感知器あるいは受信機に装着されるとき、煙感知器あるいは受信機の記憶装置(例えば図23の構成の煙感知器では、RAM46)にインストールされることにより、このプログラムを実行して、本発明の処理機能を実現することができる。
【0144】
また、本発明の上述した処理機能を実現するためのプログラムは、媒体の形で提供されるのみならず、通信によって(例えばサーバによって)煙感知器あるいは受信機に提供されるものであっても良い。
【0145】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、感知器全体の制御を行なう制御手段と、制御手段によって駆動されるときに波長λ1の光を所定のサンプリング周期で出射する第1の発光手段と、制御手段によって駆動されるときに波長λ2の光を所定のサンプリング周期で出射する第2の発光手段と、第1の発光手段から出射される波長λ1の光の散乱光または透過光,第2の発光手段から出射される波長λ2の光の散乱光または透過光を受光する受光手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する第1の監視手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段によって検出されたときに、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとの出力比を用いて煙の性状のグループを決定し、決定したグループに応じて、受光手段からの波長λ 1 の光出力yと波長λ 2 の光出力gのいずれか一方の波長の光出力を使用するように設定するグループ化手段と、グループ化手段で設定された波長の光出力を使用し、該波長の光出力の出力値が発報レベルに達したか否かを監視する第2の監視手段とを備えているので、火災,非火災の識別を従来に比べてより正確に(精度良く)行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る煙感知器の構成例を示す図である。
【図2】駆動信号CTL1,CTL2の一例を示すタイムチャートである。
【図3】グループ化処理時における所定のサンプリング周期を、第1の監視手段による監視時での所定のサンプリング周期と同じものにする場合のタイムチャートである。
【図4】火災発生時の散乱光出力y,gの変化の一例を示す図である。
【図5】グループ化処理時における所定のサンプリング周期を、第1の監視手段による監視時での所定のサンプリング周期よりも短かくする場合のタイムチャートである。
【図6】グループ化手段における煙の性状のグループ化を説明するための図である。
【図7】グループ化手段における煙の性状のグループ化処理の具体例を示す図である。
【図8】時系列的に得られる散乱光出力比に基づいて煙の性状のグループを最終的に決定(設定)する第1の処理例を示す図である。
【図9】時系列的に得られる散乱光出力比に基づいて煙の性状のグループを最終的に決定(設定)する第2の処理例を示す図である。
【図10】時系列的に得られる散乱光出力比に基づいて煙の性状のグループを最終的に決定(設定)する第3の処理例を示す図である。
【図11】最終的に決定したグループに応じて設定される監視条件の一例を示す図である。
【図12】最終的に決定したグループに応じて設定される監視条件の他の例を示す図である。
【図13】第2の監視手段の処理概要を説明するための図である。
【図14】図1の煙感知器の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の煙感知器の全体の処理動作例を示すタイムチャートである。
【図16】非火災であるグループAに属する状態が続いた後に、燻焼火災であるグループBに属する状態が発生する場合を示す図である。
【図17】スプレーガスなどのテストガスが煙感知器内に入った場合、受光手段からの散乱光出力yまたはg(煙濃度)の変化を示す図である。
【図18】グループ,監視条件を変更する条件を説明するための図である。
【図19】グループ,監視条件を変更する条件を説明するための図である。
【図20】グループ,監視条件を変更する条件を説明するための図である。
【図21】グループを変更する処理例を示すタイムチャートである。
【図22】監視条件の変更機能を備えた煙感知器の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図23】図1の煙感知器の具体例を示す図である。
【図24】本発明に係る監視制御システムの構成例を示す図である。
【図25】物理量検出部の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1,51 受信機
2,52 煙感知器
3,53 受信機から延びる伝送路
11 制御手段
12 第1の発光手段
13 第2の発光手段
14 受光手段
15 第1の監視手段
16 グループ化手段
17 第2の監視手段
18 出力手段
41,61 物理量検出部
42,62 A/D変換部
43,63 アドレス部
44,64 CPU
45 ROM
46 RAM
47 不揮発性メモリ
48 状態出力部
49 伝送部
65 伝送部
Claims (4)
- 感知器全体の制御を行なう制御手段と、制御手段によって駆動されるときに波長λ1の光を所定のサンプリング周期で出射する第1の発光手段と、制御手段によって駆動されるときに波長λ2の光を所定のサンプリング周期で出射する第2の発光手段と、第1の発光手段から出射される波長λ1の光の散乱光または透過光,第2の発光手段から出射される波長λ2の光の散乱光または透過光を受光する受光手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する第1の監視手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段によって検出されたときに、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとの出力比を用いて煙の性状のグループを決定し、決定したグループに応じて、受光手段からの波長λ 1 の光出力yと波長λ 2 の光出力gのいずれか一方の波長の光出力を使用するように設定するグループ化手段と、グループ化手段で設定された波長の光出力を使用し、該波長の光出力の出力値が発報レベルに達したか否かを監視する第2の監視手段とを備えていることを特徴とする煙感知器。
- 請求項1記載の煙感知器において、前記グループ化手段は、煙の性状のグループが火災のグループであると判断した場合には、確認時間を短かく、発報レベルを低く、サンプリング周期を短かく設定し、また、煙の性状のグループが非火災のグループであると判断した場合には、確認時間を長く、発報レベルを高く、サンプリング周期を長く設定することを特徴とする煙感知器。
- 請求項1記載の煙感知器において、前記性状グループ化開始レベルは、煙濃度が5%/m以下に相当するレベルに設定されていることを特徴とする煙感知器。
- 受信機と、受信機からの伝送路に接続され、受信機によって監視制御されるアナログ型の煙感知器とを有している監視制御システムにおいて、前記アナログ型の煙感知器が、異なる2波長λ1,λ2の散乱光または透過光を受光する構成の煙感知器である場合、前記受信機には、前記煙感知器から送られる波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が発報レベルよりも低く設定されている性状グループ化開始レベルに達したか否かを監視する第1の監視手段と、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとのいずれかの出力値が性状グループ化開始レベルに達したことが第1の監視手段によって検出されたときに、受光手段からの波長λ1の光出力yと波長λ2の光出力gとの出力比を用いて煙の性状のグループを決定し、決定したグループに応じて、受光手段からの波長λ 1 の光出力yと波長λ 2 の光出力gのいずれか一方の波長の光出力を使用するように設定するグループ化手段と、グループ化手段で設定された波長の光出力を使用し、該波長の光出力の出力値が発報レベルに達したか否かを監視する第2の監視手段とが設けられていることを特徴とする監視制御システム。
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