JP2021128715A - 火災検出手段、防災設備及び火災検出方法 - Google Patents

火災検出手段、防災設備及び火災検出方法 Download PDF

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克也 岡安
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Abstract

【課題】湯気等の火災でない事象に固有な時間的変化を捉えて非火災報の発生を抑制可能とする感知器等の火災検出手段、防災設備及び火災検出方法を提供する。【解決手段】感知器12の検出部16により監視領域の煙濃度を検出し、火災判断部20により検出部16で検出した煙濃度が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断する。非火災判断部18により検出部16で検出した煙濃度の所定時間における時系列的な検出値の偏差の所定の対応値、例えば偏差の絶対値の奇数乗和、偏差の偶数乗和、絶対値の奇数乗の平均、偏差の偶数乗和の平均を求め、いずれかが所定値以上のとき、火災でない事象と判断し、火災判断部20により火災を判断しにくくするように火災判断条件を変更して感度を下げ、湯気等の火災でない事象による非火災報を抑制可能とする。【選択図】図2

Description

本発明は、火災等の異常を検出する感知器等の火災検出手段、防災設備及び火災検出方法に関する。
従来、光電式の煙感知器は、火災による煙に限らず、調理やバスルーム等による湯気等の火災でない事象を火災と判断して非火災報(誤報)を発してしまうことがある。このような火災以外の事象による非火災報を防止するため、例えば特許文献1,2の煙感知器が提案されている。以下、火災でない事象を非火災と呼ぶ。
特許文献1の煙感知器は、異なる波長の光を発する2つの発光素子につき受光素子に対する散乱角を異ならせることで煙の種類による散乱特性の相違を作り出し、同時に2つの発光素子から発する光の波長を異ならせることで波長に起因した散乱特性の相違を作り出し、散乱角の相違と波長の相違によって煙の種類や湯気による散乱光の光強度に差を持たせることで識別し、湯気等の火災以外の事象による非火災報を防止可能としている。
特許文献2の煙感知器は、煙により散乱する検出光を検出する散乱光検出部と煙により減光する検出光を検出する減光検出部とを設け、散乱光検出値と減光検出値とに基づき火災による煙と調理等による湯気を識別し、湯気等の火災以外の事象による非火災報を防止可能としている。
特開2004−325211号公報 特開2019−144869号公報
しかしながら、特許文献1の光電式煙感知器にあっては、火災による煙や湯気等を識別可能であるが、2つの発光素子からの光軸が2本となって光が照射される範囲が広くなり、粉塵や結露により内部反射光が増大して非火災報が出力されることから、内部反射光を抑制するための処理や構造が複雑になる。
また、特許文献2の光電式煙感知器にあっては、火災による煙と湯気等を識別可能であるが、感知器内に散乱光用検出空間と減光用検出空間を別々に形成し、単一の発光素子からの光による散乱光検出値と減光検出値を別々の受光素子で検出しており、感知器内部構造が複雑となり、特に、減光式検出部は複数の反射ミラーを環状に配置して光路長を確保しており、粉塵や結露によるミラー面の汚損が減光検出値に大きく影響することから、これを防止するための処理や構造を必要とし、複雑になる。
本発明は、湯気等の火災でない現象に特有な時間的変化を捉えて非火災報の発生を抑制可能とする火災検出手段、防災設備及び火災検出方法を提供することを目的とする。
(火災検出手段)
本発明は、監視領域の火災を検出する火災検出手段であって、
火災に関する所定の物理量を検出する検出手段と、
検出手段の検出値が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断する火災判断手段と、
所定時間における時系列的な前記検出値の所定の対応値に基づいて、火災判別条件を変更する、
ことを特徴とする。
(非火災判断手段)
所定時間における時系列的な検出値の所定の対応値として、検出値の偏差の所定の対応値を用い、
偏差の所定の対応値に基づいて、火災でない事象を判断する非火災判断手段をさらに設け、
非火災判断手段で現在の事象が火災でない事象であると判断したときに、火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しにくくするように変更する、
及び又は
非火災判断手段で現在の事象が火災でない事象ではないと判断したときに、火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しやすくするように変更する。
(偏差対応値)
非火災判断手段は、検出値の偏差の所定の対応値として、
所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定乗和、
所定時間における検出値の偏差の偶数乗和、
所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定の平均、
所定時間における検出値の偏差の偶数乗の平均、
の少なくともいずれかが所定値以上のとき、
火災でない事象と判断する。
(火災判断条件の変更)
火災判断手段は、
検出値が所定の閾値以上のときに、又は
検出値が所定の閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いたとき、
に火災と判断し、
非火災判断手段で火災でない事象を判断したときに、
非火災判断手段で火災でない事象を判断していないときと比較して、
閾値を高くする、及びまたは蓄積時間を長くする。
(煙濃度と火災判断)
検出手段は、所定の物理量として監視領域の煙濃度を検出する。
(防災設備1)
前述した火災検出手段を用いた防災設備に於いて、
受信機と感知器を備え、
感知器に、検出手段、火災判断手段及び非火災判断手段を設ける。
(防災設備2)
前述した火災検出手段を用いた防災設備に於いて、
受信機と感知器を備え、
感知器に、検出手段を設け、
受信機に、火災判断手段及び非火災判断手段を設ける。
(火災検出方法)
本発明は、監視領域の火災を検出する火災検出方法であって、
検出手段により火災に関する所定の物理量を検出し、
火災判断手段により検出手段の検出値が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断し、
所定時間における時系列的な検出値の所定の対応値に基づいて、火災判別条件を変更する、
ことを特徴とする。
(非火災判断)
所定時間における時系列的な検出値の所定の対応値として、検出値の偏差の所定の対応値を用い、
さらに、非火災判断手段により偏差の所定の対応値に基づいて、火災でない事象を判断し、
非火災判断手段で現在の事象が前記火災でない事象であると判断したときに、火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しにくくするように変更する、
及び又は
非火災判断手段で現在の事象が火災でない事象ではないと判断したときに、火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しやすくするように変更する。
(偏差対応値)
非火災判断手段は、検出値の偏差の所定の対応値として、
所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定乗和、
所定時間における検出値の偏差の偶数乗和、
所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定の平均、
所定時間における検出値の偏差の偶数乗の平均、
の少なくともいずれかが所定値以上のとき、
火災でない事象と判断する。
(閾値及び又は蓄積時間の変更)
火災判断手段は、
検出値が所定の閾値以上のときに、又は
検出値が所定の閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いたとき、
に火災と判断し、
非火災判断手段で火災でない事象を判断したときに、
非火災判断手段で火災でない事象を判断していないときと比較して、
閾値を高くする、及びまたは蓄積時間を長くする。
本発明は、火災検出手段であって、「火災に関する所定の物理量」が「煙濃度」である場合について説明すると、次の効果が得られる。
(基本的な効果)
火災検出手段が、一例として、監視領域の煙濃度を検出して火災を判断する場合、監視領域の火災による煙濃度が、時間の経過に伴う火災の拡大又は進展に応じて上昇する変化となるのに対し、煙草や湯気等の火災でない事象による煙濃度は一過性の上昇または一過性の上昇が不定期に繰り返される変化となる。このため所定時間における時系列的な煙濃度の偏差の所定の対応値、即ち偏差対応値を求めると、火災による煙濃度であれば偏差対応値は小さな値を示すのに対し、湯気等の火災でない事象による煙濃度であれば偏差対応値は大きな値を示すこととなり、時系列的な煙濃度の偏差対応値を求めることで、火災による煙か湯気等の火災でない事象かを識別することが可能となる。そこで、煙濃度の偏差対応値が所定値を超えた場合には湯気等の火災でない事象による煙濃度の可能性が高いことから、煙濃度から火災を判断するための火災判断条件を、火災を判断しにくくするように、即ち感度を低下させるように変更し、これにより湯気等の火災でない現象による煙濃度から誤って火災と判断して非火災報を出してしまうことを抑制可能とする。
(偏差対応値の効果)
また、所定時間における時系列的な検出値の偏差の所定の対応値として、所定時間における検出値の偏差の絶対値の奇数乗和、所定時間における検出値の偏差の偶数乗和、所定時間における検出値の偏差の絶対値の奇数乗の平均、所定時間における検出値の偏差の偶数乗の平均を求め、その内の少なくともいずれかが所定値以上のとき、火災でない事象と判断することで、湯気等の火災でない現象に固有な時系列的な変化を捉えて火災でない事象を確実に判断することができる。
(閾値及び又は蓄積時間の変更による効果)
また、検出値が所定の閾値以上のときに、又は、検出値が所定の閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いたときに火災と判断する火災判断条件を設定している場合に、火災でない事象を判断したときに、火災でない事象を判断していないときと比較して、閾値を高くするか、及びまたは蓄積時間を長くすることで、高くした閾値及び又は長くした蓄積時間に届きにくくして感度を下げ、湯気等の火災でない現象による非火災報を抑制可能とする。
(防災設備1の効果)
本発明は、前述した火災検出手段を用いた防災設備であって、感知器に、検出手段、異常判断手段、分散検出手段及び変更手段を全て設けることで、感知器側の変更のみで対処でき、既設の設備であっても、ベースに装着している感知器を外し、検出手段、異常判断手段、分散検出手段及び変更手段を全て設けた感知器に交換することで、簡単に対処できる。
(防災設備2の効果)
本発明は、前述した火災検出手段を用いた防災設備であって、感知器に、検出手段を設け、受信機に、異常判断手段、分散検出手段及び変更手段を設けることで、感知器側の変更が不要となり、受信機側の変更のみで対処できる。
(火災検出方法)
本発明は、火災検出方法であっては、前述した火災検出手段と同様の効果が得られる。
本発明の火災検出手段、防災設備及び火災検出方法の基本的な概念を示した説明図である。 図2は図1に対応するP型の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した防災設備の説明図である。 火災による煙と湯気とによる煙濃度の時間変化を示したタイムチャートである。 図2の感知器による制御動作を示したフローチャートである。 受信機側で火災を判断する本発明の火災検出手段、防災設備及び火災検出方法の他の基本的な概念を示した説明図である。 図5に対応するR型の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した防災設備の説明図である。 図6の受信機と感知器による制御動作をタイムチャート的に示したフローチャートである。
以下に、本発明に係る火災検出手段、防災設備及び火災検出方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により、この発明が限定されるものではない。
[a.実施の形態の基本的な概念]
図1は本発明による実施の形態の基本的な概念を示した説明図であり、図1を参照して実施の形態の基本的な概念について説明する。実施の形態は、概略的に、火災検出手段、防災設備及び火災検出方法に関するものである。
「火災検出手段」とは、監視領域の火災を検出する手段であり、例えば、煙感知器、火災感知器、火災警報器等を含む概念である。
ここで、「監視領域」とは、火災検出手段により監視の対象となる領域であり、一定の広がりをもった屋外或いは屋内の空間であり、例えば、建物の部屋、廊下、階段等の空間を含む概念である。火災検出手段は、一例として受信機10と感知器12で構成される防災設備の感知器12であり、検出手段、火災判断手段及び非火災判断手段を備える。
「検出手段」とは、火災に関する所定の物理量を検出する手段であり、例えば、感知器12に設けた検出部16であり、具体的には、例えば火災により発生する煙の煙濃度を検出する手段である。ここで、「火災に関する所定の物理量」とは、例えば、火災により発生する煙、熱、二酸化炭素、一酸化炭素等を含む概念であり、「所定の物理量を検出する」とは、煙濃度、温度、二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度等を検出することである。一例とし「煙の煙濃度を検出する」とは、検出部16に流入した煙に発光素子からの検出光を当てたときに散乱する光を受光素子で受光して電気信号に変換し、受光素子が受光信号として出力する電気信号(光電変換信号)を煙濃度の検出値とすることである。
また、「火災判断手段」とは、検出手段の検出値が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断する手段であり、例えば、感知器12に設けた火災判断部20であり、火災判断部20は検出部16で検出した煙濃度が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断するものである。
また、火災判断手段は、火災判断条件として、第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件を設定する。ここで「第1の火災判断条件」とは、所定の事象の検出値が閾値以上のときに火災と判断する条件である。また、「第2の火災判断条件」とは、所定の事象の検出値が所定の閾値以上となっている時間が所定の蓄積時間以上続いたときに火災と判断する条件である。
また、「非火災判断手段」とは、所定時間における時系列的な検出値の所定の対応値、例えば検出値の偏差の所定の対応値、即ち偏差対応値に基づいて、火災でない事象を判断する手段であり、例えば、非火災判断手段を感知器12に設けた非火災判断部18とした場合、検出部16で検出した所定時間における時系列的な煙濃度の偏差対応値を検出し、偏差対応値が所定値以上のとき、火災でない事象と判断する。
ここで「所定時間における時系列的な検出値」とは、所定時間に離散的に検出した検出値であり、検出値の数は固定されている。また、「検出値の偏差」とは、所定数の検出値の平均値を各検出値から引いた値である。また、「検出値の偏差の対応値(偏差対応値)」とは、所定数の検出値について、偏差の絶対値の所定乗和、偏差の偶数乗和、偏差の絶対値の所定の平均、又は、偏差の偶数乗の平均を含む概念であり、所定時間における時系列的な検出値の時間的なばらつき(ちらばり)の度合を示す値である。また、「火災でない事象」とは、監視領域で発生するタバコの煙やスプレー、調理やバスルーム等による湯気を含む概念である。
また、「火災判断手段」とは、更に、非火災判断手段で火災でない現象と判断したときに、火災判断条件を火災と判断しにくくするように変更する手段である。ここで「火災を判断しにくくするように、火災判断条件を変更する」とは、火災を判断する条件を厳しくし、火災を検出する感度を下げる条件に変更することを意味する。一例として、煙濃度が所定の閾値以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定していた場合、火災でない事象を判断していないときと比較して、高い閾値(厳しい条件)に変更して火災を判断しにくくして感度を下げることを意味する。また、他の例として、煙濃度が所定の閾値以上となっている時間が所定の蓄積時間以上続いたときに火災と判断する第2の火災判断条件を設定していた場合、火災でない事象を判断していないときと比較して、長い蓄積時間(厳しい条件)に変更して火災を判断しにくくして感度を下げることを意味する。
以下の説明では、「監視領域」が「建物の部屋」であり、「火災に関する所定の物理量」が「煙」であり、「検出値」が「煙濃度」である場合について説明する。
[実施の形態の具体的内容]
次に、「b.実施の形態の具体的内容」について説明する。続いて、「c.実施の形態の他の基本的な概念」、c.についての「d.実施の形態の具体的内容」を説明し、最後に「e.本発明の変形例」を説明する。
[b.実施の形態の具体的内容]
(P型防災設備)
図2は図1に対応するP型(Proprietary−type)の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した説明図である。ここで、「P型の防災設備」とは、受信機10が感知器12を接続した信号線ごと(信号線単位に)に火災を監視する設備である。
図2に示すように、本実施形態のP型の防災設備は、受信機10と複数の感知器12を備える。なお、図2では1台の感知器12を代表して示している。受信機10は管理人室や防災センター等に設置され、受信機10から建物の部屋等の監視領域に引き出された信号線14に、複数の感知器12を接続している。受信機10から引き出された信号線14はプラス信号線14aとマイナス信号線(コモン信号線)14bを備え、受信機12から感知器12へ電源を供給すると共に感知器12から受信機10へ火災発報信号を送信する。
(受信機)
受信機10は、受信機制御部40、回線受信部42、表示部44、操作部46、警報部48及び移報部50を備える。回線受信部42は監視領域、例えば建物の階別に分けて引き出された信号線14毎に設けられ、感知器12からの火災発報信号を受信して受信制御部40に出力する。
受信機制御部40は、CPU、メモリ及び各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、回線受信部42の何れかによる火災発報信号の受信を検出すると火災警報動作を行う。受信機制御部40の火災警報動作は、表示部44の火災代表灯を作動すると共に火災発生地区を示す地区表示灯を作動し、また、警報部48により警報音声メッセージを含む主音響警報を出力すると共に火災が発生した監視領域に設置している地区音響装置の作動による地区音響警報を行い、また、移報部50に指示して防排煙機器の連動制御等を行う。
(感知器)
火災検出手段として機能する感知器12の構成を、より詳細に説明する。感知器12は、検出部16、感知器制御部24、発報回路部26、電源部28、発光駆動部34、受光増幅部36を備える。
検出手段となる検出部16は、発光素子30と受光素子32を備え、感知器内部に設けられた検煙空間に配置され、検煙空間に外部から流入した煙に発光素子16からの光を照射し、煙により散乱した光を受光素子32で受光して煙濃度に対応した受光信号を出力する散乱式煙検出部を構成している。発光素子30は例えば発光ダイオードであるが任意の発光素子としても良く、また、受光素子32は例えばフォトダイオードであるが任意の受光素子としても良い。
検煙空間は煙が流入する遮光された空間であり、検煙空間に配置された発光素子30と受光素子32のそれぞれの光軸が所定の鋭角となる散乱角で交差するように配置され、光軸の交点を含む領域を検煙領域とし、検煙領域に流入した煙により散乱する光、所謂前方散乱光を受光素子32で受光するように構成している。なお、散乱角は任意であり、また、散乱角を、直角を超える所定の鈍角とすることで後方散乱光を検出することも可能である。
発光素子30は、発光駆動部34により間欠的に発光駆動され、受光素子32から出力された受光信号は受光増幅部36で増幅され、煙濃度検出信号として感知器制御部24に出力される。
発光駆動部34は所定周期で発光パルス信号を発光素子30に出力して間欠的に発光駆動しており、発光素子30の発光パルス幅は受光素子32及び受光増幅部36の応答特性により決まる一定のパルス幅であり、発光周期は発光駆動の消費電流を低減させるため例えば1秒周期に設定されるが、任意であり、必要に応じて変化させることができる。
感知器制御部24はCPU、メモリ及び各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、プログラムの実行により実現される機能として、本発明の火災検出手段の構成要素となる非火災判断部18及び火災判断部20の機能を備える。
感知器制御部24は、受光増幅部36からの煙濃度検出信号を発光素子30の発光駆動のタイミングに同期したA/D変換により読み込むことで煙濃度を取得しており、取得した煙濃度に基づき火災判断部20により火災を判断すると発報回路部26を作動し、プラス信号線14aとマイナス信号線14bの間を低インピーダンスに短絡して火災発報電流を流すことで火災発報信号を受信機10へ送信する。
(火災判断部)
感知器制御部24に設けられた火災判断手段となる火災判断部20は、受光増幅部36から出力された煙濃度検出信号のA/D変換による読込みで得られた煙濃度が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断する。火災判断条件として火災判断部20には、第1の火災判断条件または第2の火災判断条件が設定されている。
第1の火災判断条件は、検出した煙濃度Dが所定の閾値Dth以上のときに火災と判断する。例えば第1の火災判断条件は、感知器12が2種感度の感知器であったとすると、検出した煙濃度Dが2種感度に対応した閾値Dth=10(%/m)以上となったときに火災と判断する。
なお、「2種感度の感知器」とは、法令で定められた公称作動濃度10(%/m)の感知器のことであり、作動試験として、公称作動濃度×1.5(%/m)の濃度の煙を含む風速20cm〜40cm/secの気流に投入したとき、30秒以内に作動し、且つ、不作動試験として、公称作動濃度×0.5(%/m)の濃度の煙を含む風速20cm〜40cm/secの気流に投入したとき、5分間以内に作動しない感知器を意味する。これ以外に公称作動濃度5(%/m)の「1種感度の感知器」と、公称作動感度15(%/m)の「3種感度の感知器」としても良い。
また、第2の火災判断条件は、検出した煙濃度Dが所定の閾値Dth以上となる状態が所定の蓄積時間T以上続いたときに火災と判断する。例えば、第2の火災判断条件は、感知器12が2種感度の感知器であったとすると、検出した煙濃度Dが2種感度に対応した閾値Dth=10(%/m)以上となる状態が所定の蓄積時間T、例えばT=10秒以上続いたときに火災と判断する。
(非火災判断部)
感知器12に設けられた非火災判断手段となる非火災判断部18は、検出部16により検出された所定時間Tsにおける時系列的な検出値の偏差の所定の偏差対応値に基づいて、火災でない事象、例えば湯気、タバコの煙、スプレー等の事象を判断する。
非火災判断部18で検出する偏差対応値として、例えば、所定時間Tsにおけるサンプリングにより例えばn個の煙濃度D1,D2,・・・Dnが検出されたとすると、
(1)所定時間における検出値の偏差の絶対値の奇数乗和(所定乗和)SO、
(2)前記所定時間における検出値の偏差の偶数乗和SE、
(3)前記所定時間における検出値の偏差の絶対値の奇数乗の平均(所定の平均)SOa、
(4)前記所定時間における検出値の偏差の偶数乗の平均SEa、
の少なくとも何れかを求める。
ここで、n個の煙濃度D1,D2,・・・Dnの偏差は煙濃度の煙濃度D1〜Dnの平均をDaとすると、(D1−Da),(D2−Da)・・・(Dn−Da)となる。
したがって、以下の数1の少なくとも何れかを求める。ただし、Oは1,3,5・・・の奇数、Eは2,4,6・・・の偶数である。
Figure 2021128715
例えば、奇数O=1、偶数E=2とすると、以下の数2の何れかを求める。なお、偏差の二乗和の平均SEaは分散を示すことになる。
Figure 2021128715
このように求められた煙濃度の偏差対応値は、時間的に変化する煙濃度のばらつき(ちらばり)が大きいほど大きな値となり、ばらつき(ちらばり)が小さいほど小さな値となる。
図3は火災による煙と湯気による煙濃度の検出値の時間変化を示したタイムチャートであり、感知器12を設置した建物の部屋で火災が発生したときの煙濃度の時間的変化は例えば特性60となり、一方、調理等による湯気が発生したときの煙濃度の時間的変化は例えば特性62となり、また、煙草やスプレーによる煙濃度の時間的変化は例えば特性63となる。
火源が燃え広がるため発生する煙は時間とともに多くなるため、火災により発生した煙の特性60は時間の経過に伴って変動しながら大きく上昇している。一方、非火災報要因の場合には、煙草やスプレーによる一時的な煙の発生により、特性63のように、一時的に大きな増減が生じる。特に、煙草の場合は当該一時的な煙の発生が不規則に繰り返される。また、調理・風呂等で生じる湯気は、特性62のように、増減しながら発生することが観測されている。このように非火災の場合には、煙濃度の変動量が大きくなる。なお、煙濃度の特性60、62、63は一例であり、監視領域となる部屋、感知器の設置場所、火災の発生と進展、湯気の発生状況などにより様々な異なった変化となるが、非火災報要因となる特性62,63については煙濃度の変動量が大きくなる点は共通している。
ここで、煙濃度は点線で示すタイミング例えば1秒周期で検出(A/D変換によるサンプリング)しており、非火災判断部18は、煙濃度を検出するごとに、所定時間Ts前の時点から現時点までに(過去の所定時間に)検出した複数の煙濃度に基づき偏差対応値を算出している。例えば、現在時点をtiとすると、それより所定時間Ts前の時点ti-1から現時点tiまでに検出した複数の煙濃度に基づき偏差対応値を検出する。なお、偏差対応値の精度を高めるためには、煙濃度を検出する周期(A/D変換のサンプリング周期)を更に短くすれば良く、任意である。
このようにして算出した煙濃度の偏差対応値は、煙の特性60の場合はそれほど大きな値とはならないが、湯気の特性62やタバコ等の特性63の場合は比較的大きな値を示すことなり、検出した煙濃度の偏差対応値を求めることで、火災の煙による煙濃度か、湯気等の火災ではない現象による煙濃度かを識別することが可能となる。
[火災判断条件の変更]
火災判断部20は、所定の火災判断条件、例えば第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件を設定して火災を判断しており、更に、非火災判断部18で火災でない現象と判断されたときに、火災を判断しにくくするように(感度を低下させるように)火災判断条件を変更して火災を判断する。
(第1の火災判断条件の変更)
火災判断部20で、検出した煙濃度Dが所定の閾値Dth以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定している場合、非火災判断部18で火災でない現象を判断したとき、火災判断部20は、第1の火災判断条件の閾値Dthをそれより高い他の所定の閾値Dth1に変更して火災を判断しにくくし、感度を下げる。
例えば、感知器12が2種感度の感知器であった場合、火災判断部20は検出した煙濃度Dが2種感度に対応した閾値Dth=10(%/m)以上となったときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定しているが、非火災判断部18で火災でない現象を判断したとき、火災判断部20は第1の火災判断条件の閾値Dth=10(%/m)をそれより高い例えば3種感度に対応した閾値Dth1=15(%/m)に変更して火災を判断しにくくし、感度を下げる。
これにより湯気やタバコ等の非火災による煙濃度であった場合には、火災判断のための閾値が高い値に変更され、煙濃度が変更した高い閾値に到達するまでに時間がかかるか、又は、到達することができず、湯気やタバコ等の非火災による煙濃度から火災と判断して非火災報となることを抑制可能とする。
(第2の火災判断条件の変更)
火災判断部20で、検出した煙濃度Dが所定の閾値Dth以上となる状態が所定の蓄積時間T例えばT=10秒以上続いたときに火災と判断する第2の火災判断条件を設定している場合、非火災判断部18で火災でない現象を判断したときに、火災判断部20は、蓄積時間T例えばT=10秒をそれより長い他の所定の蓄積時間T2例えばT2=20秒に変更して火災と判断するまでの時間を長くして火災と判断しにくくする。
これにより湯気やタバコ等の非火災による煙濃度であった場合には、蓄積時間Tがそれより長い蓄積時間T2に変更され、煙濃度が閾値Dth以上となる状態が変更した長い蓄積時間T2以上続く可能性は殆どなくなり、湯気やタバコ等の非火災による煙濃度から火災と判断して非火災報となることを抑制可能とする。なお、第2の火災判断条件の変更では、火災でない現象を判断したときに蓄積時間を変更しているが、閾値及び蓄積時間の両方を変更しても良い。
(煙濃度の変更)
なお、火災判断部20で、検出した煙濃度が所定の閾値Dth以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定している場合、非火災判断部18で火災でない現象を判断したとき、火災災判断部20は、検出した煙濃度Dをそれより低い煙濃度D1に変更して火災を判断しにくくするようにしても良い。例えば、火災判断部20は、検出した煙濃度Dに1未満となる所定の係数Kを乗じて、それより低い煙濃度D1(=K・D)に変更する。
これにより湯気やタバコ等の非火災による煙濃度であった場合には、煙濃度がそれより低い値に変更されることで、変更した煙濃度が閾値に到達するまでに時間がかかるか、又は、閾値に到達することができず、湯気やタバコ等の非火災による煙濃度から火災と判断して非火災報となることを抑制可能とする。
(感知器の制御動作)
図4は図2の感知器による制御動作を示したフローチャートであり、感知器制御部24の制御動作となる。
図4に示すように、感知器制御部24はステップS1で検出部16により検出される煙濃度を取得している。即ち、発光駆動部34による発光素子30を間欠的な発光駆動よる煙又は湯気等の散乱光を受光素子32で受光し、受光増幅部36で増幅された煙濃度検出信号をA/D変換により読み込んで煙濃度を取得している。
続いて、感知器制御部24はステップS2で取得した煙濃度が所定の火災予兆レベルと比較しており、火災予兆レベルを超えると火災の可能性が高いことから、ステップS3に進み、非火災判断部18により煙濃度の偏差対応値を検出する。ここで、「火災予兆レベル」とは、本来の火災の判断に先立って予備的に火災を判断するためのレベル(閾値)であり、例えば感知器12が煙濃度10(%/m)で火災発報する2種感度の感知器であった場合、これより低い例えば1種感度に対応した煙濃度5(%/m)又は更に低い例えば3(%/m)を火災予兆レベルとするが、任意である。
続いて、感知器制御部24はステップS3で非火災判断部18により所定時間に検出した所定数の煙濃度の偏差対応値を検出し、ステップS4で煙濃度の偏差対応値が所定値以上の場合は、湯気やタバコ等の非火災による煙濃度の可能性が高いことから火災でない事象と判断してステップS5に進み、そのとき火災判断部20は設定している前述した第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件を、火災を判断しにくくする厳しい条件に変更するために閾値及び又は蓄積時間を変更して感度を下げる。
続いてステップS6に進み、感知器制御部24は火災判断部20により検出した煙濃度が火災判断部20で変更した火災判断条件を充足するか否か判断し、充足した場合はステップS7に進んで火災と判断し、ステップS8で発報回路部26に火災発報信号の送信を指示し、発報回路部26を作動して受信機10に火災発報信号を送信する。
続いて、感知器制御部24はステップS9で受信機10での復旧操作に伴う信号線14に対する電源供給の遮断等から復旧を判別し、ステップS1の最初の感知器制御に戻る。
一方、感知器制御部24は、ステップS4で偏差対応値が所定値未満であることを判別したときにはステップS10に進み、前回までの処理で火災判断条件を変更していればステップS11で初期設定した火災判断条件に戻してステップS6の火災判断処理に進み、ステップS10で火災判断条件を変更していなければステップS6に進み、初期設定している火災判断条件による火災判断処理を行う。
[c.実施の形態の他の基本的な概念]
図5は火災検出手段、防災設備及び火災検出方法の実施の形態の他の基本的な概念を示した説明図であり、受信機10と感知器12を備えた防災設備の一例としての火災報知設備において、感知器12に火災検出手段の検出手段となる検出部16を設け、受信機10に火災検出手段の火災判断手段及び非火災判断手段となる火災判断部20及び非火災判断部18を設けたことを特徴とする。
感知器12に設けた検出部16と、受信機10に設けた火災判断部20及び非火災判断部18は、図1の感知器12に設けた検出部16、火災判断部20及び非火災判断部18と基本的に同じであり、感知器12の検出部16で検出した監視領域の煙濃度を信号線14により受信機10に送信し、受信機10側で、偏差対応値の検出、偏差対応値に基づく火災でない現象の判断、火災判断条件の変更、及び火災判断等を行っている点で相違する。
[d.実施の形態の具体的内容]
次に図5に対応する実施の形態の具体的内容について、より詳細に説明する。
(R型防災設備)
図6は図5に対応する実施の形態の具体的内容を示したR型(Record−type)の防災設備の説明図である。ここで、「R型の防災設備」とは、受信機10と感知器12の間で伝送を行うことにより、感知器12毎に(感知器単位に)火災を監視する設備である。
図6に示すように、本実施形態のR型の防災設備は、受信機10と感知器12を備え、受信機10から建物の部屋等の監視領域に引き出された伝送線114に、複数の感知器12を接続している。受信機10から引き出された伝送線114はプラス伝送線114aとマイナス伝送線(コモン伝送線)114bを備え、受信機10から感知器12へ電源を供給すると共に受信機10と感知器12の間で所定の伝送方式により信号を送受信する。なお、専用の電源供給線を設けても良い。
(感知器)
感知器12は、図3の実施形態と同様に、検出部16、感知器制御部24、電源部28、発光駆動部34、受光増幅部36を備えるが、受信機10との間で所定の伝送方式により信号を送受信することから伝送部60を設けた点で相違する。また、感知器制御部24には、図2に示した本発明の火災検出手段の構成要素となる火災判断部20及び非火災判断部18の機能は設けられておらず、これは受信機10側に設けられている。
(受信機)
受信機10は、図2の実施形態と同様に、受信機制御部40、表示部44、操作部46、警報部48及び移報部50を備えるが、感知器12との間で所定の伝送方式により信号を送受信することから伝送部62が設けられた点で相違し、また、受信機制御部40に、プログラムの実行により実現される機能として、本発明の火災検出手段の構成要素となる火災判断部20及び非火災判断部18及の機能を設けた点で相違する。受信機10に設けた火災判断部20及び非火災判断部18は、図2の実施形態で感知器12に設けた場合と基本的に同様となる。
(伝送制御)
R型の防災設備では、感知器12に固有のアドレスが設定され、受信機10は所定周期、例えば1分周期で一括A/D変換コマンド信号を送信し、全ての感知器12は検出部16で検出している煙濃度を保持(記憶)し、続いて感知器アドレスを順次指定した呼出信号を送信して各感知器12から検出した煙濃度を含む応答信号を返送させるポーリングを行う。
感知器12は検出している煙濃度が、所定の火災予兆レベル(予備的な火災の判断レベル)、例えば3(%/m)に達したときに火災予兆と判断し、火災割込み信号を受信機10に送信する。
感知器12からの火災割込み信号を受信した受信機10は、グループアドレスを指定したグループ検索コマンド信号を送信し、これに対し火災割込み信号を応答した感知器12の属するグループアドレスを特定するグループ検索を行い、続いて、検索したグループアドレス内の感知器アドレスを順次指定したグループ内検索コマンド信号を送信し、これに対し火災割込み信号を応答した感知器12即ち火災予兆と判断した感知器12のアドレスを特定する。
続いて、受信機10は、通常時より短い所定の周期でA/D変換コマンド信号と火災予兆と判断した感知器12のアドレスを指定した呼出信号を送信し、火災予兆と判断した感知器12から集中的に煙濃度を取得し、受信機制御部40に設けた火災判断部20及び非火災判断部18により煙濃度に基づき火災を判断する制御を行う。なお、受信機10と感知器12の間の伝送制御は一例であり、公知となっている任意の伝送制御が適用できる。
(感知器と受信機の制御動作)
図7は図6のR型防災設備に設けた感知器と受信機による制御動作をタイムチャート形式で示したフローチャートである。
図7に示すように、受信機10はステップS21で火災監視伝送処理として、所定周期例えば1分周期で一括A/D変換コマンド信号を送信し、続いて感知器アドレスを指定した呼出信号を送信し、感知器12から応答信号を受信している。一方、感知器12はステップS22で火災監視応答処理として、受信機10からの一括A/D変換コマンド信号を受信してそのとき検出している煙濃度を記憶保持し、続いて受信する自己アドレスを指定した呼出信号を受信し、煙濃度を含む応答信号を送信している。
続いて、ステップ23で感知器12は検出している煙濃度が所定の火災予兆レベル例えば3(%/m)を超えたことを判別するとステップS24に進み、火災予兆送信処理24として火災割込み信号を受信機10に送信する。受信機10はステップS25で火災予兆受信処理として、感知器12からの火災割込み信号の受信に基づき、火災割込み信号を送信した感知器アドレスを検索して特定する火災予兆受信処理を行う。
受信機10は、ステップS26で感知器12からの火災割込み信号の受信があったかどうかを判別し、火災割込み信号の受信がなければステップS21に戻り、火災割込み信号の受信があれば以下のステップS27に進む。
続いて、受信機10は、ステップS27で一括A/D変換コマンド信号と火災割込み信号を送信した感知器12のアドレスを指定した呼出信号の送信を短い周期で繰り返し、感知器12にステップS28で煙濃度を検出して送信する煙濃度送信処理を行わせ、火災予兆と判断した感知器12から集中的に煙濃度を取得する煙濃度受信処理を行う。
続いて、受信機10はステップS29に進み、取得した煙濃度の偏差対応値を非火災判断部18により検出する。ステップS30で煙濃度の偏差対応値が所定値以上の場合は湯気やタバコ等の非火災による煙濃度の可能性が高いことから、火災でない事象と判断してステップS31に進み、そのとき火災判断部20に設定している前述した第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件を、火災を判断しにくくする条件に変更するために閾値及び又は蓄積時間を変更して感度を下げる。
続いてステップS32に進み、感知器制御部24は火災判断部20により検出した煙濃度が変更した火災判断条件を充足するか否かの火災判断処理を行い、火災判断条件を充足した場合はステップS33に進んで火災と判断し、ステップS34で主音響警報および地区音響警報の鳴動、火災と判断した感知器アドレスに基づく火災発生場所の表示、防排煙機器の連動制御等を含む火災警報処理を行う。
続いて、受信機10はステップS35で火災の鎮火に伴う復旧操作による復旧を判別するとステップS36で感知器12に復旧信号を送信し、ステップS21の火災監視伝送処理に戻る。また、感知器12はステップS37で復旧信号の受信を判別するとステップS22の火災監視応答処理に戻る。
一方、受信機10は、ステップS30で偏差対応値が所定値未満であることを判別したときにはステップS38に進み、前回までの処理で変更した火災判断条件であればステップS39で初期設定した火災判断条件に戻してステップS32の火災判断処理に進み、変更した火災判断条件でないことをステップS38で判別するとステップS32に進み、初期設定している火災判断条件による火災判断処理を行うことになる。
[d.本発明の変形例]
本発明の変形例となる実施の形態について、より詳細に説明する。
(偏差対応値)
上記の実施形態にあっては、湯気による煙濃度の時間的なちらばりの度合を、所定時間における検出値の偏差の絶対値の奇数乗和(所定乗和)、偏差の偶数乗和、偏差の絶対値の奇数乗の平均(所定の平均)、又は検出値の偏差の偶数乗の平均を含む偏差対応値として検出して火災でない現象を判断しているが、これに限定されない。例えば、所定時間において振動的に変化する煙濃度のピーク値とボトム値との振幅の平均を求め、振幅平均が所定値以上のときに、火災を判断しにくくなるように、火災判断条件を変更しても良い。即ち、煙濃度の時間的なばらつき(ちらばり)の度合を示すパラメータであれば、任意のパラメータを検出して、このパラメータに基づいて火災でない現象を判断し、火災を判断しにくくなるように火災判断条件を変更すれば良い。
[偏差対応値が小さいときの火災判断条件の変更]
上記の実施形態では、煙濃度の偏差対応値が所定値以上のときに火災でない現象と判断して、火災を判断しにくくするように火災判断条件を変更して感度を下げているが、煙濃度の偏差対応値が所定値未満と小さいときには、火災による煙である可能性が高いと判断し、火災を判断しやすくするように、火災判断条件を緩和した条件に変更して感度を上げるようにしても良い。
このように煙濃度の偏差対応値に基づき感度を上げる変更は、例えば、煙濃度が所定の火災予兆レベル以上となっている状態(煙濃度が得られている状態)で、煙濃度の偏差対応値が所定値未満となる状態が所定時間以上続いたときとする。
また、煙濃度の偏差対応値に基づき火災による煙である可能性が高いと判断したとき、例えば煙濃度が所定の閾値以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定していた場合には、閾値をそれより低い他の閾値に変更し、一方、煙濃度が所定の閾値以上となっている状態が所定の蓄積時間続いたときに火災と判断する第2火災判断条件を設定していた場合には、蓄積時間をそれより短い他の蓄積時間に変更する。
(火災警報器)
上記の実施形態は、受信機と感知器を備えた防災設備を対象とした火災検出手段の構成を例にとっているが、煙濃度を検出して火災を判断する手段と火災を警報する手段を備えた例えば住宅用の火災警報器を火災検出手段として構成しても良い。火災警報器の場合には、図1及び図2に示した防災設備の感知器12と同様に、火災警報器に火災検出手段を構成する検出部16、火災判断部20及び非火災判断部18の機能を設ける。
(微分値又は積分値)
火災でない現象を判断するための偏差の所定の対応値(偏差対応値)としては、偏差の1乗、つまり微分値を用いてもよい。また、時系列的な検出値に基づいて非火災を検出または火災を判断させる要素として、所定過去時間における積分値又は積分値群を用いてもよい。
(2階微分値)
また、時系列的な検出値に基づいて非火災を判断または火災を判断させる要素として、過去の所定時間における検出値の2階微分の値を用いてもよい。真火災である場合、火源が燃え広がるため発生する煙が時間とともに多くなるため、2階微分値は時間とともに上昇するが、火災の初期段階においてはその変化は緩やかである。一方、非火災報要因のうち、煙草やスプレーによる場合は、一時的な煙の発生により、一時的に大きな増減が生じるため、煙が発生し始めたタイミングでの2階微分値は大きく増加し、煙が発生し終わったタイミングで2階微分値は大きく減少する。非火災報要因のうち、調理・風呂等で生じる湯気は増減しながら発生するため、検出値の変化量は大きくなり、2階微分値の変動量が大きい時間が時間上の多くを占めることとなる。このようにして、2階微分の値に基づく所定の乗数和を用いることで初期火災を排除しつつ非火災を検出することが可能となる。
(非火災の尤度)
また、非火災の尤度に応じて動的に火災判定のしやすさ(閾値及び又は蓄積時間)を変更してもよい。
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:受信機
12:感知器
14:信号線
16:検出部
18:非火災判断部
20:火災判断部
24:感知器制御部
26:発報回路部
28:電源部
30:発光素子
32:受光素子
34:発光駆動部
36:受光増幅部
40:受信機制御部
42:回線受信部
44:表示部
46:操作部
48:警報部
50:移報部
60,62:伝送部
114:伝送線

Claims (11)

  1. 監視領域の火災を検出する火災検出手段であって、
    火災に関する所定の物理量を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出値が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断する火災判断手段と、
    所定時間における時系列的な前記検出値の所定の対応値に基づいて、前記火災判断条件を変更する、
    ことを特徴とする火災検出手段。
  2. 請求項1の火災検出手段に於いて、
    所定時間における時系列的な前記検出値の所定の対応値として、検出値の偏差の所定の対応値を用い、
    前記偏差の所定の対応値に基づいて、火災でない事象を判断する非火災判断手段をさらに設け、
    前記非火災判断手段で現在の事象が前記火災でない事象であると判断したときに、前記火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しにくくするように変更する、
    及び又は
    前記非火災判断手段で現在の事象が前記火災でない事象ではないと判断したときに、前記火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しやすくするように変更する、
    ことを特徴とする火災検出手段。
  3. 請求項2の火災検出手段に於いて、
    前記非火災判断手段は、前記検出値の偏差の所定の対応値として、
    前記所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定乗和、
    前記所定時間における検出値の偏差の偶数乗和、
    前記所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定の平均、
    前記所定時間における検出値の偏差の偶数乗の平均、
    の少なくともいずれかが所定値以上のとき、
    火災でない事象と判断する、
    ことを特徴とする火災検出手段。
  4. 請求項2又は3記載の火災検出手段に於いて、
    前記火災判断手段は、
    前記検出値が所定の閾値以上のときに、又は
    前記検出値が所定の閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いたとき、
    に火災と判断し、
    前記非火災判断手段で前記火災でない事象を判断したときに、
    前記非火災判断手段で前記火災でない事象を判断していないときと比較して、
    前記閾値を高くする、及びまたは前記蓄積時間を長くする、
    ことを特徴とする火災検出手段。
  5. 請求項1の火災検出手段に於いて、
    前記検出手段は、前記所定の物理量として前記監視領域の煙濃度を検出することを特徴とする火災検出手段。
  6. 請求項2乃至5記載の火災検出手段を用いた防災設備に於いて、
    受信機と感知器を備え、
    前記感知器に、前記検出手段、前記受信機に、前記火災判断手段、前記非火災判断手段を設けたことを特徴とする防災設備。
  7. 請求項2乃至5記載の火災検出手段を用いた防災設備に於いて、
    受信機と感知器を備え、
    前記感知器に、前記検出手段を設け、
    前記受信機に、前記火災判断手段、前記非火災判断手段を設けたことを特徴とする防災設備。
  8. 監視領域の火災を検出する火災検出方法であって、
    検出手段により火災に関する所定の物理量を検出し、
    火災判断手段により前記検出手段の検出値が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断し、
    所定時間における時系列的な前記検出値の所定の対応値に基づいて、前記火災判断条件を変更する、
    ことを特徴とする火災検出方法。
  9. 請求項8の火災検出方法に於いて、
    所定時間における時系列的な前記検出値の所定の対応値として、検出値の偏差の所定の対応値を用い、
    さらに、非火災判断手段により前記偏差の所定の対応値に基づいて、火災でない事象を判断し、
    前記非火災判断手段で現在の事象が前記火災でない事象であると判断したときに、前記火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しにくくするように変更する、
    及び又は
    前記非火災判断手段で現在の事象が前記火災でない事象ではないと判断したときに、前記火災判断手段において火災判断条件を火災と判断しやすくするように変更する、
    ことを特徴とする火災検出方法。
  10. 請求項9の火災検出方法に於いて、
    前記非火災判断手段は、前記検出値の偏差の所定の対応値として、
    前記所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定乗和、
    前記所定時間における検出値の偏差の偶数乗和、
    前記所定時間における検出値の偏差の絶対値の所定の平均、
    前記所定時間における検出値の偏差の偶数乗の平均、
    の少なくともいずれかが所定値以上のとき、
    火災でない事象と判断する、
    ことを特徴とする火災検出方法。
  11. 請求項9又は10記載の火災検出手段に於いて、
    前記火災判断手段は、
    前記検出値が所定の閾値以上のときに、又は
    前記検出値が所定の閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いたとき、
    に火災と判断し、
    前記非火災判断手段で前記火災でない事象を判断したときに、
    前記非火災判断手段で前記火災でない事象を判断していないときと比較して、
    前記閾値を高くする、及びまたは前記蓄積時間を長くする、
    ことを特徴とする火災検出手段。
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