JP2022065388A - 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法 - Google Patents

火災検出装置、防災設備及び火災検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022065388A
JP2022065388A JP2020173940A JP2020173940A JP2022065388A JP 2022065388 A JP2022065388 A JP 2022065388A JP 2020173940 A JP2020173940 A JP 2020173940A JP 2020173940 A JP2020173940 A JP 2020173940A JP 2022065388 A JP2022065388 A JP 2022065388A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fire
smoke
increase rate
threshold value
predetermined
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020173940A
Other languages
English (en)
Inventor
秀成 松熊
Hidenari Matsukuma
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hochiki Corp
Original Assignee
Hochiki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hochiki Corp filed Critical Hochiki Corp
Priority to JP2020173940A priority Critical patent/JP2022065388A/ja
Publication of JP2022065388A publication Critical patent/JP2022065388A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Fire-Detection Mechanisms (AREA)
  • Fire Alarms (AREA)

Abstract

【課題】煙感知器において、高利得増幅による煙の受光信号の補正を必要とすることなく、煙の拡散に応じて、より迅速な火災検出を可能とする火災検出装置、防災設備及び火災検出方法を提供する。【解決手段】防災設備は、検出手段となる煙検出部16により監視領域の煙によって生ずる所定の物理量となる煙濃度を検出し、火災判断手段となる火災判断部20により煙検出部16で検出した煙濃度が所定の火災判断条件を充足した場合に、火災と判断する。増加率検出部18は、煙検出部16で検出した煙濃度の増加率を検出し、煙濃度の増加率が所定の閾値以上の場合、火災を判断しやすくするように火災判断条件を変更し、煙の拡散が速く、規模の大きくなる可能性の高い火災に対し、迅速に火災と判断する。【選択図】図1

Description

本発明は、火災による煙を検出して火災を判断する煙感知器等の火災検出装置、防災設備及び火災検出方法に関する。
従来、感知器等の火災検出装置は、例えば、火災による煙濃度が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断し、例えば受信機で火災警報動作を行わせている。
一方、近年にあっては、火災による煙濃度を検出する煙センサの出力の上昇率に応じて、煙センサの出力を補正し、進行スピードの早い火災、即ち、煙の拡散速度(上昇速度)が早く規模の大きくなる可能性の高い火災を、より早く検出するようにした煙感知器が提案されている(特許文献1)。
特開2019-220113号公報
しかしながら、このような従来の煙感知器にあっては、煙センサの出力の上昇率に応じて、受光増幅器の増幅率を変えてセンサ出力を補正しているが、フォトダイオードなどの受光素子の受光出力はマイクロアンペアオーダーと微弱であり、増幅利得の大きな受光増幅器を使用していることからノイズの影響を受けやすく、センサ出力を補正するために受光増幅器の増幅利得を変えた場合に動作が安定せず、また、回路構成が複雑となってコストが増加する問題がある。
本発明は、高利得増幅による煙の受光信号の補正を必要とすることなく、煙の拡散に応じて、より迅速な火災検出を可能とする火災検出装置及び火災検出方法を提供することを目的とする。
(火災検出装置)
本発明は、監視領域の火災を検出する火災検出装置であって、
煙によって生ずる所定の物理量を検出して煙検出値を出力する煙検出手段と、
煙検出値が所定の火災判断条件を充足した場合に火災と判断する火災判断手段と、
煙検出値の増加率を検出する増加率検出手段と、
を備え、
増加率検出手段で検出した煙検出値の増加率に基づいて、火災判断条件を変更する、
ことを特徴とする。
(火災判断条件変更1:増加率を単一の閾値で判別して行う変更)
煙検出値の増加率が所定の閾値以上の場合は、火災判断条件を変更前よりも火災と判断しやすくするように変更する。
(火災閾値及び又は蓄積時間を変更する火災判断条件変更1)
火災判断手段は、
煙検出値が所定の火災閾値以上の場合、又は、
煙検出値が所定の火災閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いた場合に、
火災と判断し、
煙検出値の増加率が閾値以上の場合は、煙検出値の増加率が閾値を下回る場合と比較して、
火災閾値を低くする及び又は蓄積時間を短くする。
(火災判断条件変更2:増加率を第1及び第2閾値で判別して行う変更)
煙検出値の増加率が所定の第1閾値以上の場合は、火災判断条件を変更前よりも火災と判断しやすくするように変更し、
煙検出値の増加率が第1閾値より小さい所定の第2閾値以下の場合は、火災判断条件を変更前よりも火災と判断しにくくするように変更する。
(火災閾値及び又は蓄積時間を変更する火災判断条件変更2)
火災判断手段は、
煙検出値が所定の火災閾値以上の場合に、又は、
煙検出値が所定の火災閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いた場合に、
火災と判断し、
煙検出値の増加率が第1閾値以上の場合は、煙検出値の増加率が第1閾値未満で第2閾値を上回る場合と比較して、
火災閾値を低くする及び又は蓄積時間を短くし、
煙検出値の増加率が第2閾値以下の場合は、煙検出値の増加率が第1閾値未満で第2閾値を上回る場合と比較して、
火災閾値を高くする及び又は蓄積時間を長くする。
(防災設備1)
前述した火災検出装置を用いた防災設備に於いて、
受信機と、火災を検出して受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
感知器に、煙検出手段、火災判断手段及び増加率検出手段を設ける。
(防災設備2)
前述した火災検出装置を用いた防災設備に於いて、
受信機と、火災を検出して受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
感知器に、煙検出手段を設け、
受信機に、火災判断手段及び増加率検出手段を設ける。
(火災検出方法)
本発明は、監視領域の火災を検出する火災検出方法であって、
煙検出手段により、煙によって生ずる所定の物理量を検出して煙検出値を出力し、
火災判断手段により、煙検出値が所定の火災判断条件を充足した場合に火災と判断し、
増加率検出手段により、煙検出値の増加率を検出し、
増加率検出手段で検出した煙検出値の増加率に基づいて、火災判断条件を変更する、
ことを特徴とする。
(火災検出装置の効果)
本発明の火災検出装置によれば、監視領域の煙検出値(例えば煙濃度)を検出して火災を判断する場合に、煙検出値の増加率に応じて、煙検出値による火災判断条件を変更することで、煙の拡散(上昇)が速い規模の大きくなる可能性の高い火災ほど、より迅速に火災と判断することができる。
(火災判断条件変更1の効果)
また、煙検出値の増加率が所定の閾値以上の場合は、火災判断条件を変更前よりも火災と判断しやすくするように、すなわち感度を高くするように火災判断条件を変更することで、煙の拡散速度の速い規模の大きな火災に対し、迅速な火災判断が可能となる。
(火災閾値及び又は蓄積時間を変更する火災判断条件変更1の効果)
また、煙検出値の増加率が閾値以上の場合は、煙検出値の増加率が閾値を下回る場合と比較して、火災閾値を低くする及び又は蓄積時間を短くするように火災判断条件を変更することで、煙の拡散速度の速い規模の大きくなる可能性の高い火災に対し、迅速な火災判断が可能となる。
(火災判断条件変更2の効果)
また、煙検出値の増加率が所定の第1閾値以上の場合は、火災判断条件を変更前よりも火災と判断しやすくするように変更することで、煙の拡散速度の速い規模の大きくなる可能性のある火災に対し、迅速且つ確実な火災判断が可能となり、また、煙検出値の増加率が第1閾値より低い所定の第2閾値以下の場合は、火災判断条件を変更前よりも火災と判断しにくくするように、すなわち感度を低くするように火災判断条件を変更することで、調理に伴う煙や湯気、煙草の煙等の非火災に該当する状態での非火災報を確実に防止可能とする。
(火災閾値及び又は蓄積時間を変更する火災判断条件変更2の効果)
また、煙検出値の増加率が第1閾値以上の場合は、煙検出値の増加率が第1閾値未満で第2閾値を上回る場合と比較して、火災閾値を低くする及び又は蓄積時間を短くすることで、煙の拡散速度の速い規模の大きくなる可能性の高い火災に対し、迅速な火災判断が可能となり、一方、煙検出値の増加率が第1閾値より小さい第2閾値以下の場合は、煙検出値の増加率が第1閾値未満で第2閾値を上回る場合と比較して、火災閾値を高くする及び又は蓄積時間を長くすることで、調理に伴う煙や湯気、煙草の煙等の非火災に該当する状態での非火災報を確実に防止可能とする。
(防災設備1の効果)
本発明は、前述した火災検出装置を用いた防災設備であって、感知器に、煙検出手段、火災判断手段及び増加率検出手段を全て設けることで、感知器側の変更のみで対処でき、既設の設備であっても、ベースに装着している感知器を外し、煙検出手段、火災判断手段及び増加率検出手段を全て設けた感知器に交換することで、簡単に対処できる。
(防災設備2の効果)
本発明は、前述した火災検出装置を用いた防災設備であって、感知器に、煙検出手段を設け、受信機に、火災判断手段及び増加率検出手段を設けることで、感知器側の変更が不要となり、受信機側の変更のみで対処できる。
(火災検出方法の効果)
本発明は、火災検出方法であっては、前述した火災検出装置と同様の効果が得られる。
本発明の火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の基本的な概念を示した説明図である。 図1に対応するP型の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した防災設備の説明図である。 増加率の異なる煙濃度の時間変化の特性を示したタイムチャートである。 図2の感知器の実施形態による制御動作を示したフローチャートである。 図2の感知器の他の実施形態による制御動作を示したフローチャートである。 受信機側で火災を判断する本発明の火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の他の基本的な概念を示した説明図である。 図6に対応するR型の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した防災設備の説明図である。 図7のR型の防災設備の実施形態による制御動作をタイムチャート形式で示したフローチャートである。 図7のR型の防災設備の他の実施形態による制御動作をタイムチャート形式で示したフローチャートである。
以下に、本発明に係る火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により、この発明が限定されるものではない。
[実施形態の基本的な概念]
図1は防災設備1に対応した本発明による実施形態の基本的な概念を示した説明図であり、図1を参照して実施形態の基本的な概念について説明する。本実施形態は、概略的に、火災検出装置、防災設備、及び火災検出方法に関するものである。尚、防災設備2に対応した実施形態については別途説明する。
「火災検出装置」とは、監視領域の火災を検出する装置であり、例えば、煙感知器、火災感知器、火災警報器等を含む概念である。
ここで、「監視領域」とは、火災検出装置により監視の対象となる領域であり、一定の広がりをもった屋外或いは屋内の空間であり、例えば、建物の部屋、廊下、階段等の空間を含む概念である。
火災検出装置は、一例として受信機10と感知器12で構成される防災設備の感知器12であり、煙検出手段、火災判断手段及び増加率検出手段を備える。
「煙検出手段」とは、煙によって生ずる所定の物理量を検出して煙検出値を出力する手段であり、例えば、感知器12に設けた煙検出部16であり、具体的には、例えば火災により発生する煙の煙濃度を検出する手段である。ここで、「煙によって生ずる所定の物理量を検出する」とは、煙検出部16に流入した煙に発光素子からの検出光を当てたときに散乱する光又は減衰する光を受光素子で受光して電気信号に変換し、受光増幅部により高利得増幅した受光信号を煙濃度の検出値として出力することであり、散乱式検煙部又は減光式検煙部により煙濃度を検出する概念を含むものである。
「火災判断手段」とは、煙検出手段の煙検出値が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断する手段であり、例えば、感知器12に設けた火災判断部20であり、火災判断部20は煙検出部16で検出した煙濃度が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断するものである。
また、火災判断手段は、火災判断条件として、第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件を設定する。ここで「第1の火災判断条件」とは、煙検出値が火災閾値以上のときに火災と判断する条件である。また、「第2の火災判断条件」とは、煙検出値が所定の火災閾値以上となっている時間が所定の蓄積時間以上続いたときに火災と判断する条件である。
「増加率検出手段」とは、煙検出手段で検出した煙検出値の増加率、即ち所定の単位時間当りの煙濃度が増加する変化量を検出する手段であり、例えば、増加率検出手段を感知器12に設けた増加率検出部18であり、煙検出部16で検出した煙濃度の増加率を検出する。
更に、火災検出装置は、増加率検出手段で検出した煙検出値の増加率に応じて、火災判断条件を変更するものである。例えば、火災判断手段は、煙検出値の増加率が所定の閾値以上の場合に、火災判断条件を変更前よりも火災と判断しやすくように変更する手段である。ここで「火災と判断しやすくするように、火災判断条件を変更する」とは、火災と判断する条件を緩やかにし、感度を上げた条件に変更することを意味する。一例として、煙濃度が所定の火災閾値以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定していた場合、煙検出値の増加率が閾値未満の場合と比較して、低い火災閾値(緩い条件)に変更して火災を判断しやすくして感度を上げることを意味する。また、煙濃度が所定の火災閾値以上となっている時間が所定の蓄積時間以上続いたときに火災と判断する第2の火災判断条件を設定していた場合、煙検出値の増加率が閾値未満の場合と比較して、短い蓄積時間(緩い条件)に変更して火災を判断し易くして感度を上げることを意味する。
また、火災判断手段は、煙検出値の増加率に対し、所定の第1閾値と、第1閾値より小さい第2閾値を設定しており、煙検出値の増加率を次のように分けて火災判断条件を変更するものである。
第1に、煙検出値の増加率が第1閾値以上の場合、火災を判断しやすくするように火災判断条件を変更する。
第2に、煙検出値の増加率が第1閾値未満で且つ第2閾値を上回る場合、火災判断条件を変更せず、初期設定した火災判断条件を維持する。
第3に、煙検出値の増加率が第2閾値以下の場合、火災を判断しにくくするように火災判断条件を変更する。
ここで、第3の場合における「火災を判断しにくくする」とは、一例として、煙濃度が所定の火災閾値以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定している場合には、火災閾値を高い値(厳しい条件)に変更して火災を判断しにくくして感度を下げることを意味する。また、煙濃度が所定の火災閾値以上となっている時間が所定の蓄積時間以上続いたときに火災と判断する第2の火災判断条件を設定している場合には、蓄積時間を長い時間(厳しい条件)に変更して火災を判断しにくくして感度を下げることを意味する。
以下の説明では、「監視領域」が「建物の部屋」であり、「煙検出手段」が「散乱光式の煙検出部」であり、「煙の検出値」が「煙濃度」であり、「煙の検出値の増加率」が「煙濃度の増加率」である場合について説明する。
[実施形態の具体的内容]
火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の実施形態の具体的内容について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a. P型の防災設備
a1. 受信機
a2. 感知器
a3. 火災判断部
a4. 増加率検出部
a5. 煙濃度の増加率を単一の閾値により判別する実施形態
a6. 増加率を判別する閾値
a7. 火災判断条件の変更
a8. 感知器の制御動作
a9. 煙濃度の増加率を第1及び第2閾値により判別する実施形態
b. 他の実施形態の基本的な概念
c. R型の防災設備
c1. 感知器
c2. 受信機
c3. 伝送制御
c4. 煙濃度の増加率を単一の閾値により判別する実施形態
c5. 煙濃度の増加率を第1及び第2閾値により判別する実施形態
d. 本発明の変形例
[a.P型の防災設備]
図2は図1に対応するP型(Proprietαry-type)の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した説明図である。ここで、「P型の防災設備」とは、受信機10が感知器12を接続した信号線ごと(信号線単位に)に火災を監視する設備である。
図2に示すように、本実施形態のP型の防災設備は、受信機10と複数の感知器12を備える。なお、図2では1台の感知器12を代表して示している。受信機10は管理人室や防災センター等に設置され、受信機10から建物の部屋等の監視領域に引き出された信号線14に、複数の感知器12を接続している。受信機10から引き出された信号線14はプラス信号線14aとマイナス信号線(コモン信号線)14bを備え、受信機10から感知器12へ電源を供給すると共に感知器12から受信機10へ火災発報信号を送信する。
(a1.受信機)
受信機10は、受信機制御部40、回線受信部42、表示部44、操作部46、警報部48及び移報部50を備える。回線受信部42は監視領域、例えば建物の階別に分けて引き出された信号線14毎に設けられ、感知器12からの火災発報信号を受信して受信機制御部40に出力する。
受信機制御部40は、CPU、メモリ及び各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、回線受信部42の何れかによる火災発報信号の受信を検出すると火災警報動作を行う。受信機制御部40の火災警報動作は、表示部44の火災代表灯を作動すると共に火災発生地区を示す地区表示灯を作動し、また、警報部48により警報音声メッセージを含む主音響警報を出力すると共に火災が発生した監視領域に設置している地区音響装置の作動による地区音響警報を行い、また、移報部50に指示して防排煙機器の連動制御等を行う。
(a2.感知器)
火災検出装置として機能する感知器12の構成を、より詳細に説明する。感知器12は、煙検出部16、感知器制御部24、発報回路部26、電源部28、発光駆動部34、受光増幅部36を備える。
煙検出手段となる煙検出部16は、発光素子30と受光素子32を備え、感知器内部に設けられた検煙空間に配置され、検煙空間に外部から流入した煙に発光素子30からの光を照射し、煙により散乱した光を受光素子32で受光して煙濃度に対応した受光信号を出力する散乱式煙検出部を構成している。発光素子30は例えば発光ダイオードであるが任意の発光素子としても良く、また、受光素子32は例えばフォトダイオードであるが任意の受光素子としても良い。受光素子32として例えばシリコンフォトダイオードを使用した場合、散乱光の強さに応じて例えば1~10μA(10-6~10-5A)程度の範囲の短絡電流(受光電流)が流れる。
検煙空間は煙が流入する遮光された空間であり、検煙空間に配置された発光素子30と受光素子32のそれぞれの光軸が所定の鋭角となる散乱角で交差するように配置され、光軸の交点を含む領域を検煙領域とし、検煙領域に流入した煙により散乱する光、所謂前方散乱光を受光素子32で受光するように構成している。なお、散乱角は任意であり、また、散乱角を、直角を超える所定の鈍角とすることで後方散乱光を検出することも可能である。
発光素子30は、発光駆動部34により間欠的に発光駆動され、受光素子32から出力された受光信号は受光増幅部36で増幅され、煙濃度検出信号として感知器制御部24に出力される。
発光駆動部34は所定周期で発光パルス信号を発光素子30に出力して間欠的に発光駆動しており、発光素子30の発光パルス幅は受光素子32及び受光増幅部36の応答特性により決まる一定のパルス幅であり、発光周期は発光駆動の消費電流を低減させるため例えば1秒周期に設定されるが、任意であり、必要に応じて変化させることができる。受光増幅器36は、受光素子32に散乱光の受光量に応じてパルス的に流れる例えば1~10μAの短絡電流を入力して例えば1~5mVの受光パルス電圧を出力する増幅利得が所定利得に固定されたオペアンプ回路などを使用している。
感知器制御部24はCPU、メモリ及び各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、プログラムの実行により実現される機能として、本発明の火災検出装置の構成要素となる増加率検出部18及び火災判断部20の機能を備える。
感知器制御部24は、受光増幅部36からの煙濃度検出信号を発光素子30の発光駆動のタイミングに同期したA/D変換により読み込むことで煙濃度を取得しており、取得した煙濃度に基づき火災判断部20により火災を判断すると発報回路部26を作動し、プラス信号線14aとマイナス信号線14bの間を低インピーダンスに短絡して火災発報電流を流すことで火災発報信号を受信機10へ送信する。
(a3.火災判断部)
感知器制御部24に設けられた火災判断手段となる火災判断部20は、受光増幅部36から出力された煙濃度検出信号のA/D変換による読込みで得られた煙濃度が所定の火災判断条件を充足したときに火災と判断する。火災判断条件として火災判断部20には、第1の火災判断条件または第2の火災判断条件が設定されている。
第1の火災判断条件は、検出した煙濃度Dが所定の火災閾値Dth以上のときに火災と判断する。例えば第1の火災判断条件は、感知器12が2種感度の感知器であったとすると、検出した煙濃度Dが2種感度に対応した火災閾値Dth=10(%/m)以上となったときに火災と判断する。
なお、「2種感度の感知器」とは、法令で定められた公称作動濃度Kを10(%/m)とした感知器のことであり、作動試験として、(公称作動濃度K)×1.5=10(%/m)×1.5=15(%/m)の濃度の煙を含む風速20cm~40cm/secの気流に投入したとき、30秒以内に作動し、且つ、不作動試験として、(公称作動濃度K)×0.5=10(%/m)×0.5=5(%/m)の濃度の煙を含む風速20cm~40cm/secの気流に投入したとき、例えば非蓄積型の場合、5分以内に作動しない感知器を意味する。このようなK=10(%/m)とする2種感度の感知器以外に、公称作動濃度K=5(%/m)の「1種感度の感知器」、或いは、公称作動感度K=15(%/m)の「3種感度の感知器」としても良い。
また、第2の火災判断条件は、検出した煙濃度Dが所定の火災閾値Dth以上となる状態が所定の蓄積時間T以上続いたときに火災と判断する。例えば、第2の火災判断条件は、感知器12が2種感度の感知器であったとすると、検出した煙濃度Dが2種感度に対応した火災閾値Dth=10(%/m)以上となる状態が所定の蓄積時間T、例えばT=15秒以上続いたときに火災と判断する。
(a4.増加率検出部)
感知器12に設けられた増加率検出手段となる増加率検出部18は、煙検出部16により検出された煙濃度の所定の単位時間、例えば1分当りの増加する変化量ΔDを、増加率α[(%/m)/分]として検出する。
火災に伴う煙濃度の増加率αは、発生した火災の規模に応じた煙の拡散速度(上昇速度)に依存する。例えば、黒煙を伴うポリウレタン等の火災では、燃焼速度が速いことで大量の煙が発生し、煙検出部16で検出している煙濃度の増加率αは大きくなる。一方、白煙を伴う燻焼火災にあっては、燃焼速度が遅いことで煙の発生量は少なく、煙検出部16で検出している煙濃度の増加率αは小さくなる。更に、調理に伴う煙や湯気、煙草の煙等の非火災要因が発生した場合、煙検出部16で検出している煙濃度の増加率αは、燻焼火災を下回る増加率を示す。
図3は時間の経過に伴って直線的に増加する増加率の異なる煙濃度の時間変化の特性を示したタイムチャートであり、特性aの増加率が最も高く、例えば爆発的に燃焼する油火災であり、これに対し特性eは、例えば、布団等がすくぶる燻焼火災であり、特性b~dはその間の規模となる火災を示している。また、特性gは、調理に伴う煙や湯気、煙草の煙等の非火災要因が発生した場合である。なお、実際の火災における煙濃度の増加率は直線(一定増加率)とはならず、周知のように、時間の経過に伴って増加率がランダムに変化することになる。
(a5.煙濃度の増加率を単一の閾値により判別する実施形態)
火災判断部20は、所定の火災判断条件、例えば第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件を設定して火災を判断しており、更に、増加率検出部18で検出された煙濃度の増加率αが所定の閾値αth以上のときに、火災と判断しやすくするように火災判断条件を変更し、感度を上げて火災を判断する。
(a6.増加率の閾値)
ここで、火災判断条件を変更するための煙濃度の増加率αの閾値αthは任意であるが、例えば、図3において、火災要因の中で増加率の最も低い燻焼火災による特性eと、非火災要因による特性gとの間の特性fの増加率を、閾値αthに設定する。
また、別の手法として、1種、2種、3種感度の感知器の不作動試験に基づいて、閾値αthを、例えば、0.5~1.5[(%/m)/分]の範囲内、例えば1.0[(%/m)/分]に設定する。これは、例えば1種、2種、3種感度の感知器の不作動試験では、公称作動濃度2.5(%/m)、5(%/m)、7.5(%/m)の濃度の煙を含む風速20cm~40cm/secの気流に投入したとき、例えば非蓄積型の場合、5分以内に作動しない感知器としており、5分後に煙濃度2.5(%/m)、5(%/m)、7.5(%/m)の各々に達するとしたときの増加率αは、0.5[(%/m)/分]、1.0[(%/m)/分]、1.5[(%/m)/分]なることから、煙濃度の増加率αの閾値αthを0.5~1.5[(%/m)/分]の範囲内の所定の値とする。
(a7.火災判断条件の変更)
火災判断部20で、検出した煙濃度Dが所定の火災閾値Dth以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定している場合、増加率検出部18で検出した煙濃度の増加率αが閾値αth以上と判別したとき、火災判断部20は、第1の火災判断条件の火災閾値Dthをそれより低い他の所定の火災閾値Dth1に変更して火災を判断しやすくし、感度を上げる。
例えば、感知器12が2種感度の感知器であった場合、火災判断部20は検出した煙濃度Dが2種感度に対応した火災閾値Dth=10(%/m)以上となったときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定しているが、増加率検出部18で検出した煙濃度の増加率αが閾値αth以上と判別したとき、火災判断部20は第1の火災判断条件の火災閾値Dth=10(%/m)をそれより高い例えば1種感度に対応した火災閾値Dth1=5(%/m)に変更して火災を判断しやすくし、感度を上げる。図3にあっては、火災閾値Dthがそれより小さい火災閾値Dth1に変更されることで、特性α~eについて、a1~e1点で火災と判断していたものが、a2~e2点で火災と判断され、火災と判断するまでの時間が短くなり、より迅速な火災判断を可能とする。
また、火災判断部20で、検出した煙濃度Dが所定の火災閾値Dth以上となる状態が所定の蓄積時間T例えばT=15秒以上続いたときに火災と判断する第2の火災判断条件を設定している場合、増加率検出部18で検出した煙濃度の増加率αが閾値αth以上と判別したとき、火災判断部20は、蓄積時間T例えばT=15秒をそれより短い所定の蓄積時間T1例えばT1=10秒に変更して火災と判断するまでの時間を短くし、火災と判断しやすくする。
これにより煙濃度の増加率が大きい場合には、蓄積時間Tがそれより短い蓄積時間T1に変更され、煙濃度Dが火災閾値Dth以上となる状態が変更した短い蓄積時間T1以上続くだけで火災と判断され、より迅速な火災判断が可能となる。なお、第2の火災判断条件の変更では、閾値αth以上となる増加率αを検出したときに蓄積時間を変更しているが、火災閾値及び蓄積時間の両方を変更しても良い。
(a8.感知器の制御動作)
図4は図2の感知器の実施形態による制御動作を示したフローチャートであり、煙濃度の増加率を単一の閾値により判別して火災判断条件を変更するものであり、感知器制御部24の制御動作となる。
図4に示すように、感知器制御部24はステップS1で煙検出部16により検出される煙濃度を取得している。即ち、発光駆動部34による発光素子30を間欠的な発光駆動よる煙又は湯気等の散乱光を受光素子32で受光し、受光増幅部36で増幅された煙濃度検出信号をA/D変換により読み込んで煙濃度を取得している。
続いて、感知器制御部24はステップS2で取得した煙濃度を所定の火災予兆レベルと比較しており、火災予兆レベルを超えると火災の可能性が高いことから、ステップS3に進み、増加率検出部18により煙濃度の増加率を検出する。ここで、「火災予兆レベル」とは、本来の火災の判断に先立って予備的に火災を判断するためのレベル(閾値)であり、例えば感知器12が煙濃度10(%/m)で火災発報する2種感度の感知器であった場合、これより低い例えば1種感度に対応した煙濃度5(%/m)又は更に低い例えば3(%/m)を火災予兆レベルとするが、任意である。
続いて、感知器制御部24はステップS3で増加率検出部18により煙濃度の増加率を検出し、ステップS4で煙濃度の増加率が所定の閾値以上の場合はステップS5に進み、そのとき火災判断部20は設定している前述した第1の火災判断条件及び又は第2の火災判断条件を、火災を判断しやすくする緩和した条件に変更するために火災閾値を低くするか及び又は蓄積時間を短くするかして、感度を上げる。
続いてステップS6に進み、感知器制御部24は火災判断部20により検出した煙濃度が火災判断部20で変更した火災判断条件を充足するか否か判断し、充足した場合はステップS7に進んで火災と判断し、ステップS8で発報回路部26に火災発報信号の送信を指示し、発報回路部26を作動して受信機10に火災発報信号を送信する。
続いて、感知器制御部24はステップS9で受信機10での復旧操作に伴う信号線14に対する電源供給の遮断等から復旧を判別し、ステップS1の最初の感知器制御に戻る。
一方、感知器制御部24は、ステップS4で煙濃度の増加率が所定の閾値未満であることを判別したときにはステップS10に進み、前回までの処理で火災判断条件を変更していればステップS11で初期設定した火災判断条件に戻してステップS6の火災判断処理に進み、ステップS10で火災判断条件を変更していなければステップS6に進み、初期設定している火災判断条件による火災判断処理を行う。
(a9.煙濃度の増加率を第1及び第2閾値により判別する実施形態)
本実施形態は、煙濃度の増加率αの大小を判別する閾値として、第1閾値αth1とそれより小さい第2閾値αth2を設定し、前述したように、煙濃度の増加率αが第1閾値αth1以上の場合は、火災判断条件を火災と判断しやすくするように変更し、煙濃度の増加率αが第1閾値αth1未満で且つ第2閾値αth2を上回る場合は、初期設定した火災判断条件を維持し、煙検出値の増加率αが第2閾値αth2以下の場合は、火災判断条件を火災と判断しにくくするように変更するものである。
ここで、煙濃度の増加率αの大小を判断する第1閾値αth1と第2閾値αth2は任意であるが、前述した感知器の不作動試験に基づく閾値αthの設定範囲を0.5~1.5[(%/m)/分]とすると、例えば、第1閾値αth1を1.5[(%/m)/分]に設定し、第2閾値αth2を0.5[(%/m)/分]に設定する。
火災判断部20は、検出した煙濃度Dが所定の火災閾値Dth以上のときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定している場合、煙濃度の増加率αが第1閾値αth1以上のとき、第1の火災判断条件の火災閾値Dthをそれより低い所定の火災閾値Dth1に変更して火災を判断しやすくし、感度を上げる。これにより煙の拡散速度の速い規模の大きくなる可能性の高い火災に対し、迅速な火災判断が可能となる。
一方、火災判断部20は、煙濃度の増加率αが第2閾値αth2以下のとき、第1の火災判断条件の火災閾値Dthをそれより高い所定の火災閾値Dth2に変更して火災を判断しにくくし、感度を下げる。例えば、感知器12が2種感度の感知器であった場合、火災判断部20は、煙濃度Dが2種感度に対応した火災閾値Dth=10(%/m)以上となったときに火災と判断する第1の火災判断条件を設定しているが、煙濃度の増加率が第2閾値αth2以下のとき、第1の火災判断条件の火災閾値Dth=10(%/m)をそれより高い例えば3種感度に対応した火災閾値Dth2=15(%/m)に変更して火災を判断しにくくし、感度を下げる。
これにより調理に伴う煙や湯気、タバコの煙等の非火災による煙濃度の緩やかな増加であった場合には、火災閾値が高い値に変更され、煙濃度が変更した高い火災閾値に到達するまでに時間がかかるか、又は、到達することができず、湯気やタバコ等の非火災による煙濃度から火災と判断して非火災報となることを抑制可能とする。
また、火災判断部20は、検出した煙濃度Dが所定の火災閾値Dth以上となる状態が所定の蓄積時間T、例えばT=15秒以上続いたときに火災と判断する第2の火災判断条件を設定している場合、煙濃度の増加率αが第1閾値αth1以上のときに、蓄積時間T例えばT=15秒をそれより短い所定の蓄積時間T1、例えばT1=10秒に変更して火災と判断するまでの時間を短くして、火災と判断しやすくし、感度を上げる。これにより煙の拡散速度の速い規模の大きくなる可能性の高い火災に対し、迅速な火災判断が可能となる。
一方、火災判断部20は、煙濃度の増加率が第2閾値αth2以下のときに、蓄積時間T、例えばT=15秒をそれより長い所定の蓄積時間T2、例えばT2=20秒に変更して火災と判断するまでの時間を長くして、火災と判断しにくくし、感度を下げる。
これにより調理に伴う煙や湯気、タバコの煙等の非火災による煙濃度であった場合には、蓄積時間Tがそれより長い蓄積時間T2に変更され、煙濃度が火災閾値Dth以上となる状態が変更した長い蓄積時間T2以上続く可能性は殆どなくなり、湯気やタバコ等の非火災による煙濃度から火災と判断して非火災報となることを抑制可能とする。なお、第2の火災判断条件の変更では、蓄積時間を変更しているが、火災閾値及び蓄積時間の両方を変更しても良い。
また、煙濃度の増加率αが第1閾値αth1未満で且つ第2閾値αth2を上回る場合は、初期設定した火災判断条件を維持する。
図5は図2の感知器の他の実施形態による制御動作を示したフローチャートであり、煙濃度の増加率を第1及び第2閾値により判別して火災判断条件を変更するものであり、感知器14の感知器制御部24による制御動作となる。
図5のステップS21~S23は図4のステップS1~S3と同じであり、また、図5ステップS26~S29,S32,S33は、図4のステップS6~S9,S11,S12と同じになり、ステップS24,S25、S30、S31が本実施形態に固有の制御となる。
即ち、感知器制御部24はステップS24で煙濃度の増加率が所定の第1閾値以上の場合はステップS25に進み、そのとき火災判断部20は設定している前述した第1の火災判断条件及び又は第2の火災判断条件を、火災を判断しやすくする条件に変更するために、閾値を低くするか及び又は蓄積時間を短くするかして、感度を上げる。
一方、ステップS24で煙濃度の増加率が所定の第1閾値未満の場合はステップS30に進み、所定の第2閾値以下の場合はステップS31に進み、そのとき設定している前述した第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件を、火災を判断しにくくする条件に変更するために、火災閾値を高くするか及び又は蓄積時間を長くするかして、感度を下げる。更に、ステップS24で煙濃度の増加率αが第1閾値αth1未満を判別し、続いて、ステップS30で増加率αが第2閾値αth2を上回ることを判別した場合は、ステップS32,S33の処理を含め、初期設定した火災判断条件を維持する。
[b.実施の形態の他の基本的な概念]
図6は防災設備2に対応した火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の実施形態の他の基本的な概念を示した説明図であり、受信機10と感知器12を備えた防災設備の一例としての火災報知設備において、感知器12に火災検出装置の煙検出手段となる煙検出部16を設け、受信機10に火災検出装置の火災判断手段となる火災判断部20及び増加率検出手段となる増加率検出部18を設けたことを特徴とする。
感知器12に設けた煙検出部16と、受信機10に設けた火災判断部20及び増加率検出部18は、図1の感知器12に設けた煙検出部16、火災判断部20及び増加率検出部18と基本的に同じであり、感知器12の煙検出部16で検出した監視領域の煙濃度を信号線14により受信機10に送信し、受信機10側で、煙濃度の増加率の検出、煙濃度の増加率に応じた火災判断条件の変更、及び火災判断等を行っている点で相違する。
次に図6に対応する実施の形態の具体的内容について、より詳細に説明する。
[c.R型の防災設備]
図7は図6に対応する実施形態の具体的内容を示したR型(Record-type)の防災設備の説明図である。ここで、「R型の防災設備」とは、受信機10と感知器12の間で伝送を行うことにより、感知器12毎に(感知器単位に)火災を監視する設備である。
図7に示すように、本実施形態のR型の防災設備は、受信機10と感知器12を備え、受信機10から建物の部屋等の監視領域に引き出された伝送線114に、複数の感知器12を接続している。受信機10から引き出された伝送線114はプラス伝送線114aとマイナス伝送線(コモン伝送線)114bを備え、受信機10から感知器12へ電源を供給すると共に受信機10と感知器12の間で所定の伝送方式により信号を送受信する。なお、専用の電源供給線を設けても良い。
(c1.感知器)
感知器12は、図2の実施形態と同様に、煙検出部16、感知器制御部24、電源部28、発光駆動部34、受光増幅部36を備えるが、受信機10との間で所定の伝送方式により信号を送受信することから伝送部60を設けた点で相違する。また、感知器制御部24には、図2に示した本発明の火災検出装置の構成要素となる火災判断部20及び増加率検出部18の機能は設けられておらず、これは受信機10側に設けられている。
(c2.受信機)
受信機10は、図2の実施形態と同様に、受信機制御部40、表示部44、操作部46、警報部48及び移報部50を備えるが、感知器12との間で所定の伝送方式により信号を送受信することから伝送部62が設けられた点で相違し、また、受信機制御部40に、プログラムの実行により実現される機能として、本発明の火災検出装置の構成要素となる火災判断部20及び増加率検出部18の機能を設けた点で相違する。受信機10に設けた火災判断部20及び増加率検出部18は、図2の実施形態で感知器12に設けた場合と基本的に同様となる。
(c3.伝送制御)
R型の防災設備では、感知器12に固有のアドレスが設定され、受信機10は所定周期、例えば1分周期で一括A/D変換コマンド信号を送信し、一括A/D変換コマンド信号を受信した全ての感知器12は煙検出部16で検出している煙濃度をA/D変換して保持(記憶)する。続いて、受信機10は感知器アドレスを順次指定した呼出信号を送信して各感知器12から検出した煙濃度を含む応答信号を返送させるポーリングを行う。
感知器12は検出している煙濃度が、所定の火災予兆レベル(予備的な火災の判断レベル)、例えば3(%/m)に達したときに火災予兆と判断し、火災割込信号を受信機10に送信する。
感知器12からの火災割込信号を受信した受信機10は、グループアドレスを指定したグループ検索コマンド信号を送信し、これに対し火災割込信号を応答した感知器12の属するグループアドレスを特定するグループ検索を行い、続いて、検索したグループアドレス内の感知器アドレスを順次指定したグループ内検索コマンド信号を送信し、これに対し火災割込信号を応答した感知器12、即ち火災予兆と判断した感知器12のアドレスを特定する。
続いて、受信機10は、通常時より短い所定の周期でA/D変換コマンド信号と火災予兆と判断した感知器12のアドレスを指定した呼出信号を送信し、火災予兆と判断した感知器12から集中的に煙濃度を取得し、受信機制御部40に設けた火災判断部20及び増加率検出部18により煙濃度に基づき火災を判断する制御を行う。なお、受信機10と感知器12の間の伝送制御は一例であり、公知となっている任意の伝送制御が適用できる。
(c4.煙濃度の増加率を単一の閾値により判別する実施形態)
図8は図7のR型の防災設備の実施形態による制御動作をタイムチャート形式で示したフローチャートであり、煙濃度の増加率を単一の閾値により判別するものである。
図8に示すように、受信機10はステップS41で火災監視伝送処理として、所定周期例えば1分周期で一括A/D変換コマンド信号を送信し、続いて感知器アドレスを指定した呼出信号を送信し、感知器12から応答信号を受信している。一方、感知器12はステップS42で火災監視応答処理として、受信機10からの一括A/D変換コマンド信号を受信してそのとき検出している煙濃度を記憶保持し、続いて受信する自己アドレスを指定した呼出信号を受信し、煙濃度を含む応答信号を送信している。
続いて、ステップ43で感知器12は検出している煙濃度が所定の火災予兆レベル、例えば3(%/m)以上となったことを判別するとステップS44に進み、火災予兆送信処理として火災割込信号を受信機10に送信する。受信機10はステップS45で火災予兆受信処理として、感知器12からの火災割込信号の受信に基づき、火災割込信号を送信した感知器アドレスを検索して特定する。
受信機10は、ステップS46で感知器12からの火災割込信号の受信があったかどうかを判別し、火災割込信号の受信がなければステップS41に戻り、火災割込信号の受信があれば以下のステップS47に進む。
続いて、受信機10は、ステップS47で観測データ受信処理として、一括A/D変換コマンド信号と火災割込信号を送信した感知器12のアドレスを指定した呼出信号の送信を短い周期で繰り返し送信し、感知器12にステップS48で煙濃度を検出して送信する煙濃度送信処理を行わせ、火災予兆と判断した感知器12から集中的に煙濃度を受信する。
続いて、受信機10はステップS49に進み、取得した煙濃度の増加率を増加率検出部18により検出し、続いて、ステップS50で煙濃度の増加率が所定の閾値以上の場合はステップS51に進み、そのとき火災判断部20に設定している前述した第1の火災判断条件及び又は第2の火災判断条件を、火災と判断しやすくする条件に変更するため、火災閾値を低くするか及び又は蓄積時間を短くするかして、感度を上げる。
続いてステップS52に進み、感知器制御部24は火災判断部20により検出した煙濃度が変更した火災判断条件を充足するか否かの火災判断処理を行い、火災判断条件を充足した場合はステップS53に進んで火災と判断し、ステップS54で主音響警報および地区音響警報の鳴動、火災と判断した感知器アドレスに基づく火災発生場所の表示、防排煙機器の連動制御等を含む火災警報処理を行う。
続いて、受信機10はステップS55で火災の鎮火に伴う復旧操作による復旧を判別するとステップS56で感知器12に復旧信号を送信し、ステップS41の火災監視伝送処理に戻る。また、感知器12はステップS57で復旧信号の受信を判別するとステップS42の火災監視応答処理に戻る。
一方、受信機10は、ステップS50で煙濃度の増加率が閾値未満であることを判別したときにはステップS58に進み、前回までの処理で変更した火災判断条件であればステップS59で初期設定した火災判断条件に戻してステップS52の火災判断処理に進み、変更した火災判断条件でないことをステップS58で判別するとステップS52に進み、初期設定している火災判断条件による火災判断処理を行うことになる。
(c5.煙濃度の増加率を第1及び第2閾値により判別する実施形態)
図6及び図7に示したR型火災報知設備の受信機10に設けた増加率検出部18と火災判断部20にあっても、図1及び図2に示した感知器12に設けた増加率検出部18と火災判断部20と同様に、煙濃度の増加率αに対し、第1閾値αth1とそれより小さい第2閾値αth2を設定し、火災判断条件を変更する。
火災判断部20は、煙濃度の増加率αが第1閾値αth1以上のときは、火災判断条件を火災と判断しやすくするように、火災閾値を低くするか及び又は蓄積時間を短くするかして、感度を上げる。ここで、火災判断条件は、前述した第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件であり、第1の火災判断条件は火災閾値を低くし、第2の火災判断条件は蓄積時間を短くして、火災と判断しやすくする。
また、火災判断部20は、煙濃度の増加率αが第1閾値αth1未満で且つ第2閾値αth2を上回る場合は、初期設定した火災判断条件を維持する。
また、火災判断部20は、煙濃度の増加率αが第2閾値αth2以下の場合は、火災判断条件を火災と判断しにくくするように、火災閾値を高くするか及び又は蓄積時間を長くするかして、感度を下げる。ここで、火災判断条件は、前述した第1の火災判断条件又は第2の火災判断条件であり、第1の火災判断条件は火災閾値を高くし、第2の火災判断条件は蓄積時間を長くして、火災と判断しにくくする。
図9は図7のR型の防災設備の他の実施形態による制御動作をタイムチャート形式で示したフローチャートであり、煙濃度の増加率を第1及び第2閾値により判別するものである。
図9のステップS61~S69は図8のステップS41~S49と同じであり、また、図9ステップS72~S77,S80,S81は、図8のステップS52~S57,S58,S59と同じになり、ステップS70,S71、S78、S79が本実施形態に固有の制御となる。
即ち、受信機10はステップS70で煙濃度の増加率が所定の第1閾値以上の場合はステップS71に進み、火災判断部20は初期設定している火災判断条件を、火災を判断しやすくする条件に変更するために、火災閾値を低くするか及び又は蓄積時間を短くするかして、感度を上げ、変更した火災判断条件によりステップS72で火災を判断する。
一方、ステップS70で煙濃度の増加率が所定の第1閾値未満の場合はステップS78に進み、所定の第2閾値以下の場合はステップS79に進み、火災判断部20は初期設定している火災判断条件を、火災と判断しにくくする条件に変更するために、火災閾値を高くするか及び又は蓄積時間を長くするかして、感度を下げ、変更した火災判断条件によりステップS72で火災を判断する。更に、ステップS70で煙濃度の増加率αが第1閾値αth1未満を判別し、続いて、ステップS78で増加率αが第2閾値αth2を上回ることを判別した場合は、ステップSS80,S81の処理を含め、初期設定した火災判断条件を維持する。
[d.本発明の変形例]
本発明の変形例となる実施形態について、より詳細に説明する。
(減光式の煙感知器)
上記の実施形態は、散乱光式の煙感知器を例にとっているが、これに限定されない。例えば、減光式の煙感知器としてもよい。減光式の煙感知器は、発光部からの光を検煙空間に円環状に配置した複数のミラーで反射して受光部までの光路長を煙による減光が十分に得られる程度に長くした公知の減光式検煙構造を備える。また、散乱光式の検煙構造と減光式の検煙構造を一体に備える公知の複合検煙構造とした煙感知器としてもよい。
(火災警報器)
上記の実施形態は、受信機と感知器を備えた防災設備を対象とした火災検出装置の構成を例にとっているが、煙濃度を検出して火災を判断する手段と火災を警報する手段を備えた例えば住宅用の火災警報器を火災検出装置として構成しても良い。火災警報器の場合には、図1及び図2に示した防災設備の感知器12と同様に、火災警報器に火災検出装置を構成する煙検出部16、火災判断部20及び増加率検出部18の機能を設ける。
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:受信機
12:感知器
14:信号線
16:煙検出部
18:増加率検出部
20:火災判断部
24:感知器制御部
26:発報回路部
28:電源部
30:発光素子
32:受光素子
34:発光駆動部
36:受光増幅部
40:受信機制御部
42:回線受信部
44:表示部
46:操作部
48:警報部
50:移報部
60,62:伝送部
114:伝送線

Claims (8)

  1. 監視領域の火災を検出する火災検出装置であって、
    煙によって生ずる所定の物理量を検出して煙検出値を出力する煙検出手段と、
    前記煙検出値が所定の火災判断条件を充足した場合に火災と判断する火災判断手段と、
    前記煙検出値の増加率を検出する増加率検出手段と、
    を備え、
    前記増加率検出手段で検出した前記煙検出値の増加率に基づいて、前記火災判断条件を変更する、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  2. 請求項1記載の火災検出装置に於いて、
    前記煙検出値の増加率が所定の閾値以上の場合は、前記火災判断条件を変更前よりも火災と判断しやすくするように変更する、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  3. 請求項2記載の火災検出装置に於いて、
    前記火災判断手段は、
    前記煙検出値が所定の火災閾値以上の場合、又は、
    前記煙検出値が所定の火災閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いた場合に、
    火災と判断し、
    前記煙検出値の増加率が前記閾値以上の場合は、前記煙検出値の増加率が前記閾値を下回る場合と比較して、
    前記火災閾値を低くする及び又は前記蓄積時間を短くする、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  4. 請求項1記載の火災検出装置に於いて、
    前記煙検出値の増加率が所定の第1閾値以上の場合は、前記火災判断条件を変更前よりも火災と判断しやすくするように変更し、
    前記煙検出値の増加率が前記第1閾値より小さい所定の第2閾値以下の場合は、前記火災判断条件を変更前よりも火災と判断しにくくするように変更する、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  5. 請求項4記載の火災検出装置に於いて、
    前記火災判断手段は、
    前記煙検出値が所定の火災閾値以上の場合に、又は、
    前記煙検出値が所定の火災閾値以上となる状態が所定の蓄積時間以上続いた場合に、
    火災と判断し、
    前記煙検出値の増加率が前記第1閾値以上の場合は、前記煙検出値の増加率が前記第1閾値未満で前記第2閾値を上回る場合と比較して、
    前記火災閾値を低くする及び又は前記蓄積時間を短くし、
    前記煙検出値の増加率が前記第2閾値以下の場合は、前記煙検出値の増加率が前記第1閾値未満で前記第2閾値を上回る場合と比較して、
    前記火災閾値を高くする及び又は前記蓄積時間を長くする、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の火災検出装置を用いた防災設備に於いて、
    受信機と、火災を検出して前記受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
    前記感知器に、前記煙検出手段、前記火災判断手段及び前記増加率検出手段を設けたことを特徴とする防災設備。
  7. 請求項1乃至5の何れかに記載の火災検出装置を用いた防災設備に於いて、
    受信機と、火災を検出して前記受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
    前記感知器に、前記煙検出手段を設け、
    前記受信機に、前記火災判断手段及び前記増加率検出手段を設けたことを特徴とする防災設備。
  8. 監視領域の火災を検出する火災検出方法であって、
    煙検出手段により、煙によって生ずる所定の物理量を検出して煙検出値を出力し、
    火災判断手段により、前記煙検出値が所定の火災判断条件を充足した場合に火災と判断し、
    増加率検出手段により、前記煙検出値の増加率を検出し、
    前記増加率検出手段で検出した前記煙検出値の増加率に基づいて、前記火災判断条件を変更する、
    ことを特徴とする火災検出方法。
JP2020173940A 2020-10-15 2020-10-15 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法 Pending JP2022065388A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020173940A JP2022065388A (ja) 2020-10-15 2020-10-15 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020173940A JP2022065388A (ja) 2020-10-15 2020-10-15 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022065388A true JP2022065388A (ja) 2022-04-27

Family

ID=81386338

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020173940A Pending JP2022065388A (ja) 2020-10-15 2020-10-15 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022065388A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4556873A (en) Fire alarm system
US4692750A (en) Fire alarm system
JP3695635B2 (ja) 火災報知システム
JP7132714B2 (ja) 火災報知設備
JP2003281639A (ja) 感知器回線における火災、異常判別方法および火災報知システム
JP6982431B2 (ja) 防災設備の伝送システム
US6081192A (en) Fire alarm system
JP3788711B2 (ja) 火災報知システム
JP2022065388A (ja) 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法
CN108347288A (zh) 一种灾害预警广播的故障检测方法及检测系统
JP2007213414A (ja) 火災報知設備
JPH02121098A (ja) 火災報知装置
JP2021128715A (ja) 火災検出手段、防災設備及び火災検出方法
JP3939900B2 (ja) 煙感知器および監視制御システム
KR101627111B1 (ko) 화재 감지 시스템 및 이에 의한 화재 감지 방법
JP3015720B2 (ja) 煙感知器の警報送信レベル補正方法
JP2022065389A (ja) 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法
JP6602035B2 (ja) 検知装置
JP5940187B2 (ja) 火災報知設備及びそれに利用する終端器
JPH08255291A (ja) 煙感知器の補正方法
JP6949175B2 (ja) トンネル防災システム
JP2022097329A (ja) 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法
CN118097914A (zh) 烟雾传感器的处理方法、装置及烟雾传感器
JP2005332425A (ja) 火災報知設備
JPH01276294A (ja) 火災警報装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230914