JP2022097329A - 火災検出装置、防災設備及び火災検出方法 - Google Patents

火災検出装置、防災設備及び火災検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】識別した煙の種類に応じて迅速且つ適切な火災検出を可能とする火災検出装置、防災設備及び火災検出方法を提供する。【解決手段】防災設備において、感知器12の信号検出部16は、監視領域の煙、湯気等の検出対象による散乱など光作用に伴う信号として、第1波長と第1散乱角の第1の光学設定と、第2波長と第2散乱角の第2の光学設定とによって第1信号と第2信号を検出する。識別部18は、第1信号と第2信号の比率などに基づいて、白煙、黒煙、湯気などの検出対象の種類または発生要因を識別する。火災検出部20は、第1信号と第2信号の少なくとも一方に基づいて所定の火災検出条件が充足された場合に火災を検出する。さらに火災検出条件は、識別部18による白煙、黒煙、湯気など識別結果に応じて変更される。【選択図】図1

Description

本発明は、煙に伴う光作用から火災を検出する煙感知器等の火災検出装置、防災設備及び火災検出方法に関する。
従来、異なる散乱角と異なる波長による光の散乱光を受光して煙の種類を識別する煙感知器等の火災検出装置が知られている。
例えば、2つの発光素子につき、受光素子に対する散乱角を異ならせることで、煙の種類による散乱光の相違を作り出し、同時に、2つの発光素子から発する光の波長を異ならせることで、波長に起因した散乱特性の相違を作り出し、この散乱角の相違と波長の相違の相乗効果によって煙の種類による散乱光の光強度に顕著な差をもたせることで、煙の識別確度を高めて調理の湯気などによる非火災報を防止し、また、火災による煙についても、黒煙火災と白煙火災といった燃焼物の種類を確実に識別することができる。
特開2004-325211号公報 特開2020-035029号公報 特開2020-135263号公報
しかしながら、このような従来の煙の種類を識別する火災検出装置にあっては、例えば、黒煙火災と白煙火災を識別することが出来るものの、煙の種類に応じた適切な火災検出の点で改善の余地があった。即ち例えば、白煙火災に比べて急速な拡大が想定される黒煙火災については、より迅速に火災として検出して速やかに火災信号を出力するといった点において、十分な性能を有するとは言えないものであった。
本発明は、識別した煙の種類に応じて迅速且つ適切な火災検出を可能とする火災検出装置、防災設備及び火災検出方法を提供することを目的とする。
(火災検出装置)
本発明は、火災検出装置であって、
監視領域の検出対象による光作用に伴う信号を、少なくとも第1の光学設定と第2の光学設定とにより検出するものであって、第1の光学設定によって得られる第1信号と、第2の光学設定によって得られる第2信号とを検出する信号検出手段と、
信号検出手段で検出された第1信号と第2信号とに基づいて検出対象の種類又は検出対象の発生要因の種類を識別する識別手段と、
信号検出手段で検出された第1信号と第2信号の少なくとも一方に基づいて所定の火災検出条件が充足された場合に火災を検出する火災検出手段と、
を備え、
火災検出条件は、識別手段による識別結果に応じて変更される、
ことを特徴とする。
ここで、「第1信号と第2信号とに基づいて検出対象の種類を・・・識別する」とは、例えば、第1信号と第2信号を比較することにより識別すること、より具体的には例えば、第1信号と第2信号の大小関係に基づいて識別すること、第1信号と第2信号との比率に基づいて識別すること等を含む概念である。
(光学設定)
信号検出手段は、
第1の光学設定により、監視領域の検出対象に第1波長の光を照射して第1散乱角で得られる散乱光の受光信号を第1信号として検出し、
第2の光学設定により、監視領域の検出対象に第1波長と異なる第2波長の光を照射して第1散乱角と異なる第2散乱角で得られる散乱光の受光信号を第2信号として検出する。
(検出対象の識別)
識別手段は、検出対象の種類として火災検出対象と非火災検出対象とを識別し、
火災検出条件は、
識別手段で火災検出対象が識別された場合に、火災検出手段で変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更され、
識別手段で非火災検出対象が識別された場合に、火災検出手段で変更前よりも火災と検出されにくくなるように変更される。
ここで、「火災検出対象」とは、監視領域中の火災として検出すべき粒子等であり、例えば火災に伴い発生する煙であり、その種類には例えば白煙(白色煙)と黒煙(黒色煙)がある。白煙は、例えば木材や布等が燻る(燻焼する)ことで発生する白っぽい煙であり、また黒煙は、例えば対象物に着火して燃えることで発生する黒っぽい煙である。主として白煙を伴う火災(白煙火災)モデルの燃焼材としては木材や綿灯芯などが知られており、主として黒煙を伴う火災(黒煙火災)モデルの燃焼材としてはケロシンなどが知られている。また、「非火災検出対象」とは、火災として検出すべきでない粒子等であって、例えば、火災以外の要因(非火災要因)により発生する油煙、湯気、蒸気、塵埃、煙草の煙などが含まれる。非火災検出対象となる油煙や湯気、蒸気の発生要因には調理、湯沸かし、バスルーム使用などが含まれ、塵埃の発生要因には掃除や砂塵などが含まれ、煙草の発生要因は喫煙となる。
ここで、「火災と検出されやすくなる」とは例えば、より緩い(緩和された)条件で火災と検出されるようになることを指し、これにより例えばより早く火災と検出されることになる。また「火災と検出されにくくなる」とは例えば、より厳しい(強化された)条件で火災と検出されるようになることを指し、これにより例えばより遅く火災と検出されることになる。即ち、「火災検出条件を変更する」ことは、前者においては火災と検出する条件を緩和し、後者においては火災と検出する条件を強化することになる。
(白煙と黒煙の識別)
識別手段は、火災検出対象として白煙と黒煙とを識別し、
火災検出条件は、
識別手段で白煙が識別された場合に、火災検出手段で変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更され、
識別手段で黒煙が識別された場合に、火災検出手段で白煙の識別に伴う変更後の火災検出条件よりも火災と検出されやすくなるように変更される。
(増加率の検出)
更に、第1信号と第2信号の少なくとも一方の増加率を検出する増加率検出手段を備え、
火災検出条件は、識別手段による識別結果及び増加率検出手段による増加率に基づいて変更される。
(増加率に応じた火災検出条件の変更)
火災検出条件は、識別手段により検出対象の種類として火災検出対象を識別し、且つ、増加率検出手段による増加率が所定の増加率閾値条件を充足した場合に、火災検出手段で変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更される。
(火災検出条件の変更)
火災検出手段は、
第1信号と第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件を充足した場合、又は、
第1信号と第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件を充足した状態で所定の蓄積条件を充足した場合に、
火災と検出し、
火災検出条件は、
変更前よりも火災と検出されやすくなる場合に、閾値条件及び又は蓄積条件を変更前よりも緩やかにされ、
変更前よりも火災と検出されにくくなる場合に、閾値条件及び又は蓄積条件を変更前よりも厳しくされる。
(第1防災設備)
本発明は、前述した火災検出装置を用いた防災設備であって、
受信機と、火災を検出して受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
感知器に、信号検出手段、識別手段及び火災検出手段、又は、信号検出手段、識別手段、火災検出手段及び増加率検出手段を設けたことを特徴とする。
(第2防災設備)
本発明は、前述した火災検出装置を用いた防災設備であって、
受信機と、火災を検出して受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
感知器に、信号検出手段を設け、
受信機に、識別手段及び火災検出手段、又は、識別手段、火災検出手段及び増加率検出手段を設けたことを特徴とする。
(火災検出方法)
本発明は、監視領域の火災を検出する火災検出方法であって、
信号検出手段により、監視領域の検出対象による光作用に伴う信号を、少なくとも第1の光学設定と第2の光学設定とにより検出するものであって、第1の光学設定によって得られる第1信号と、第2の光学設定によって得られる第2信号とを検出し、
識別手段により、信号検出手段で検出された第1信号と第2信号とに基づいて検出対象の種類又は検出対象の発生要因の種類を識別し、
火災検出手段により、信号検出手段で検出された第1信号と第2信号の少なくとも一方に基づいて所定の火災検出条件が充足された場合に火災を検出し、
火災検出条件は、識別手段による識別結果に応じて変更される、
ことを特徴とする。
(増加率の検出と火災検出条件の変更)
火災検出方法に於いて、更に、
増加率検出手段により、第1信号と第2信号の少なくとも一方の増加率を検出し、
火災検出条件は、識別手段による識別結果及び増加率検出手段による増加率に基づいて変更される。
(火災検出装置の効果)
本発明の火災検出装置によれば、白煙、黒煙、湯気などの検出対象の種類又はこれら検出対象の発生要因の種類に応じて、火災検出条件を変更することで、煙の拡散が速い規模の大きくなる可能性のある危険度の高い煙による火災ほど、より迅速に火災と検出されることになり、一方、非火災要因により発生する湯気などについては、非火災報を確実に防止可能とする。
(光学設定の効果)
また、監視領域の検出対象に第1波長の光を照射して第1散乱角で得られる散乱光の受光信号を第1信号として検出し、第1波長と異なる第2波長の光を照射して第1散乱角と異なる第2散乱角で得られる散乱光の受光信号を第2信号として検出することで、異なる波長と異なる散乱角の光の散乱特性の相違の相乗効果により、白煙、黒煙、湯気などの検出対象の種類を確実に識別することができる。
(検出対象の識別の効果)
また、白煙や黒煙などの火災検出対象が識別された場合、火災検出条件を変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更することで、迅速な火災検出による対処を可能とする。また、湯気や塵埃などの非火災検出対象が識別された場合は、火災検出条件を変更前よりも火災と検出されにくくなるように変更することで、非火災報を確実に防止可能とする。
(白煙と黒煙の識別による効果)
また、白煙が識別された場合は、火災検出条件を変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更することで、迅速な火災検出による対処を可能とする。一方、黒煙が識別された場合は、火災検出条件を白煙に伴う変更後の火災検出条件よりも火災と検出されやすくなるように変更することで、危険度の高い黒煙火災を、白煙火災より迅速に検出して対処を可能とする。
(増加率の検出と増加率に応じた火災検出条件の変更による効果)
また、光作用に伴う監視領域の火災検出対象による信号(第1信号と第2信号の少なくとも一方)の増加率に応じて、火災検出条件を変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更することで、煙の拡散(上昇)が速い規模の大きくなる可能性の高い火災ほど、より迅速に火災を検出することができる。
(火災検出条件の変更の効果)
また、火災検出条件が変更前よりも火災と検出されやすくなる場合は、所定の閾値条件及び又は蓄積条件を変更前よりも緩やかにすることで、すなわち検出感度を高くするように火災検出条件を変更することで、危険度の低い白煙火災や危険度の高い黒煙火災に応じた適切な火災検出を可能とする。一方、火災検出条件が変更前よりも火災と検出されにくくなる場合は、火災閾値条件及び又は蓄積条件を変更前よりも厳しくすることで、すなわち検出感度を低くするように火災検出条件を変更することで、調理に伴う湯気や清掃に伴う塵埃などによる非火災報を確実に防止可能とする。
(第1防災設備の効果)
本発明は、前述した火災検出装置を用いた防災設備であって、受信機と、火災を検出して受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、感知器に、信号検出手段、識別手段及び火災検出手段、又は、信号検出手段、識別手段、火災検出手段及び増加率検出手段を設けることで、感知器側の変更のみで対処でき、既設の設備であっても、感知器ベースに装着している感知器を外し、信号検出手段、識別手段及び火災検出手段を全て設けた感知器、又は、さらに増加率検出手段を設けた感知器に交換することで、簡単に対処できる。
(第2防災設備の効果)
本発明は、前述した火災検出装置を用いた防災設備であって、受信機と、火災を検出して受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、感知器に、信号検出手段を設け、受信機に、識別手段及び火災検出手段、又は、識別手段、火災検出手段及び増加率検出手段を設けることで、感知器側の変更が不要となり、受信機側の変更のみで対処できる。
(火災検出方法の効果)
本発明は、火災検出方法であっては、前述した火災検出装置と同様の効果が得られる。
本発明の火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の基本的な概念を示した説明図である。 図1に対応するP型の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した防災設備の説明図である。 信号検出部を備えた検煙部を示した説明図である。 第1検出値と第2検出値に基づく検出対象の種類、発生要因、識別条件、識別結果に応じた火災検出条件の変更、増加率の検出による火災検出条件の変更を一覧形式で示した説明図である。 増加率の異なる煙濃度の時間変化の特性を示したタイムチャートである。 図2の感知器の実施形態による制御動作を示したフローチャートである。 受信機側で火災と検出する本発明の火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の他の基本的な概念を示した説明図である。 図7に対応するR型の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した防災設備の説明図である。 図8のR型の防災設備の実施形態による制御動作をタイムチャート形式で示したフローチャートである。
以下に、本発明に係る火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により、この発明が限定されるものではない。
[実施形態の基本的な概念]
図1は第1防災設備に対応した本発明による実施形態の基本的な概念を示した説明図であり、図1を参照して実施形態の基本的な概念について説明する。本実施形態は、概略的に、火災検出装置、第1防災設備、及び火災検出方法に関するものである。尚、第2防災設備に対応した実施形態については別途説明する。
「火災検出装置」とは、監視領域の火災を検出する装置であり、例えば、煙感知器、火災感知器、火災警報器等を含む概念である。
ここで、「監視領域」とは、火災検出装置により監視の対象となる領域であり、一定の広がりをもった屋外或いは屋内の空間であり、例えば、建物の部屋、廊下、階段等の空間を含む概念である。
火災検出装置は、一例として受信機10と感知器12で構成される防災設備の感知器12であり、信号検出手段として機能する信号検出部16、識別手段として機能する識別部18、及び、火災検出手段として機能する火災検出部20を備えること基本とし、更に、増加率検出手段として機能する増加率検出部22を備えるものである。
「信号検出部16」とは、監視領域の検出対象による光作用に伴う信号を、少なくとも第1の光学設定と第2の光学設定とにより検出するものであって、第1の光学設定によって得られる第1信号と、第2の光学設定によって得られる第2信号とを検出するものである。
ここで、「監視領域の検出対象」とは、光作用に伴う信号を生成させる検出対象であり、例えば、光を照射した場合に散乱光を発生するものであり、火災による煙、非火災要因である調理などによる湯気や蒸気、掃除などによる塵埃、喫煙による煙草の煙などを含む概念である。
また、「第1の光学設定」とは、監視領域の検出対象に第1波長の光を照射して第1散乱角で得られる散乱光を受光して得られる受光信号を第1信号として検出するもの等を含む概念である。また、「第2の光学設定」とは、監視領域の検出対象に第1波長と異なる第2波長の光を照射して第1散乱角と異なる第2散乱角で得られる散乱光を受光して得られる受光信号を第2信号として検出するもの等を含む概念である。この第1の光学設定と第2の光学設定により、例えば、2つの発光素子につき、受光素子に対する散乱角を異ならせることで、煙の種類による散乱光の相違を作り出し、同時に、2つの発光素子から発する光の波長を異ならせることで、波長に起因した散乱特性の相違を作り出し、この散乱角の相違と波長の相違の相乗効果によって煙の種類による散乱光の光強度に顕著な差をもたせた第1信号と第2信号を検出するものである。
「識別部18」とは、信号検出部16で検出された第1信号と第2信号とに基づいて検出対象の種類又は検出対象の発生要因の種類を識別するものである。
ここで、「検出対象の種類」とは、火災検出対象となる白煙、黒煙や、非火災検出対象となる湯気(蒸気)、塵埃などを含む概念である。また、「検出対象の発生要因の種類」とは、各検出対象に対応する、例えば、白煙火災、黒煙火災、非火災(上述の調理等)を含む概念である。
「火災検出部20」とは、信号検出部16で検出された第1信号と第2信号の少なくとも一方に基づいて所定の火災検出条件が充足された場合に火災を検出するものであり、例えば、第1信号と第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件を充足した場合、又は、第1信号と第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件を充足した状態で所定の蓄積条件を充足した場合に火災を検出するものなどを含む概念である。
ここで、「第1信号と第2信号の少なくとも一方に基づく」とは、例えば、第1信号と第2信号を比較することにより識別すること、より具体的には例えば、第1信号と第2信号の大小関係に基づいて識別すること、第1信号と第2信号との比率に基づいて識別すること等を含む概念である。
ここで、「火災検出条件」とは、信号検出部16で検出された第1信号と第2信号の少なくとも一方に基づいて火災を検出するための条件で、識別部18による識別結果に応じて変更されるものである。
また、「識別部18による識別結果に応じて変更される」とは、識別結果として得られた検出対象の種類又は検出対象の発生要因の種類に応じて火災検出条件を変更することを意味する。
識別部18の識別結果に応じた火災検出条件の変更は、任意であるが、一例として、識別部18は、検出対象の種類として火災検出対象と非火災検出対象を識別しており、火災検出対象が識別された場合、火災検出条件は、変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更され、一方、非火災検出対象が識別された場合は、火災検出条件を変更前よりも火災と検出されにくくなるように変更されるもの等を含む概念である。
また一例として、更に火災検出条件は、識別部18で白煙が識別された場合に、変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更され、また、識別部18で黒煙が識別された場合に、火災検出条件を白煙の識別に伴う変更後の火災検出条件よりも火災と検出されやすくなるように変更されるものであり、危険度の高い黒煙火災の方が白煙火災に対し迅速な火災検出を可能とするもの等を含む概念である。
ここで「変更前よりも火災を検出されやすくなるように変更される」とは、火災検出条件を緩やかにし、検出感度を上げた条件に変更することを意味する。一例として、第1信号と第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件及び又は蓄積条件を設定していた場合、変更前の閾値条件及び又は蓄積条件を緩やか(緩い条件)にされて火災を検出されやすくなるようにして検出感度を上げることを含む。
また、「変更前よりも火災と検出されにくくなるように変更される」とは、火災検出条件を厳しくし、検出感度を下げた条件に変更することを意味する。一例として、第1信号と第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件及び又は蓄積条件を設定していた場合、変更前の煙値閾値条件及び又は蓄積条件を厳しく(厳しい条件に)されて火災と検出されにくくなるように検出感度を下げることを含む。
「増加率検出部22」とは、信号検出部16で検出された第1信号と第2信号の少なくとも一方の増加率を検出するものである。ここで、「増加率を検出する」とは所定の単位時間当りの第1信号と第2信号の少なくとも一方の検出値(例えば煙濃度)が増加する変化量を検出すること等を含む概念である。
また、増加率検出部22を備えたことに伴い、火災検出条件は、識別部18による識別結果と増加率検出部22による増加率に基づいて、火災検出条件を変更されるものである。この場合の火災検出条件の変更は任意であるが、一例として、検出対象の種類として火災検出対象を識別し、且つ増加率が所定の増加率閾値条件を充足した場合、火災検出条件を変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更するもの等を含む概念である。例えば、火災検出対象である白煙又は黒煙を識別した場合、初期設定した火災検出条件を、白煙又は黒煙に応じて火災と検出されやすくなるように火災検出条件を変更するが、所定の増加率閾値条件を充足した場合には、変更した火災検出条件を、更に火災と検出されやすくなるように変更するものである。この結果、同じ白煙又は黒煙の火災であっても、第1信号と第2信号の少なくとも一方の増加率、例えば検出値(煙濃度)の増加率が高いほど迅速な火災検出を可能とするものである。
以下の説明では、「監視領域」が「建物の部屋」であり、「信号検出部16」が「異なる波長と異なる散乱角により第1信号と第2信号を検出する散乱光式の煙検部」であり、「識別部18」が「第1信号と第2信号の煙濃度に対応した第1検出値A1と第2検出値A2との比率に基づいて検出対象の種類又は検出対象の発生要因の種類を識別するもの」であり、「火災検出部20」が「所定の煙濃度の閾値条件を充足した場合に火災と検出するもの」であり、
「増加率検出部22」が「第1検出値A1と第2検出値A2の少なくとも一方の増加率α1,α2を検出するもの」であり、「火災検出条件の変更」が「火災検出部20にて行われる」場合について説明する。
[実施形態の具体的内容]
火災検出装置、防災設備及び火災検出方法の実施形態の具体的内容について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.P型の防災設備
a1.受信機
a2.感知器
a3.信号検出部
a4.発光駆動と受光検出
a5.感知器制御部
a6.火災検出部
b.検出対象の種類の識別と火災検出条件の変更
b1.識別部
b2.白煙の識別
b3.黒煙の識別
b4.非火災検出対象の識別
c.増加率の検出と火災検出条件の変更
c1.増加率検出部
c2.増加率に基づく火災検出条件の変更
d.感知器の制御動作
e.他の実施形態の基本的な概念
f.R型の防災設備
f1.感知器
f2.受信機
f3.伝送制御
f4.R型の防災設備の制御動作
g.本発明の変形例
[a.P型の防災設備]
図2は図1に対応するP型(Proprietαry-type)の防災設備を対象とした本発明の具体的な実施形態を示した説明図である。ここで、「P型の防災設備」とは、受信機10が感知器12を接続した信号線ごと(信号線単位に)に火災を監視する設備である。
図2に示すように、本実施形態のP型の防災設備は、受信機10と複数の感知器12を備える。なお、図2では1台の感知器12を代表して示している。受信機10は管理人室や防災センター等に設置され、受信機10から建物の部屋等の監視領域に引き出された信号線14に、複数の感知器12を接続している。受信機10から引き出された信号線14はプラス信号線14aとマイナス信号線(コモン信号線)14bを備え、受信機10から感知器12へ電源を供給すると共に感知器12から受信機10へ火災発報信号を送信する。
(a1.受信機)
受信機10は、受信機制御部40、回線受信部42、表示部44、操作部46、警報部48及び移報部50を備える。回線受信部42は監視領域、例えば建物の階別に分けて引き出された信号線14毎に設けられ、感知器12からの火災発報信号を受信して受信機制御部40に出力する。
受信機制御部40は、CPU、メモリ及び各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、回線受信部42の何れかによる火災発報信号の受信を検出すると火災警報動作を行う。受信機制御部40の火災警報動作は、表示部44の火災代表灯を作動すると共に火災発生地区を示す地区表示灯を作動し、また、警報部48により警報音声メッセージを含む主音響警報を出力すると共に火災が発生した監視領域に設置している地区音響装置の作動による地区音響警報を行い、また、移報部50に指示して防排煙機器の連動制御等を行う。
(a2.感知器)
火災検出装置として機能する感知器12の構成を、より詳細に説明する。感知器12は、信号検出部16、感知器制御部24、発報回路部26、電源部28、発光駆動部36及び受光増幅部38を備える。
(a3.信号検出部)
信号検出部16は、第1の光学設定により、監視領域の検出対象となる煙、湯気、塵埃などに第1波長λ1の光を照射して第1散乱角θ1により得られる散乱光を受光した第1信号による第1検出値A1と、第2の光学設定により、第1波長λ1と異なる第2波長λ2の光を照射して第1散乱角θ1と異なる第2散乱角θ2により得られる散乱光を受光した第2信号による第2検出値A2を検出するものであり、その構成及び構造は任意であるが、感知器内部に設けられた外気が流入するが外光が遮断された空間である検煙部に、例えば、第1発光素子30、第2発光素子32、受光素子34を配置している。
図3は信号検出部16の検煙部を示した説明図であり、図3(A)に第1実施形態を示し、図3(B)に第2実施形態を示している。
図3(A)に示すように、本実施形態は、外部からの煙が流入し、外部からの光が遮光された検煙部31内に第1発光素子30、第2発光素子32及び受光素子34が配置されており、本実施例はそれぞれの光軸30a、32a、34aが同一平面内に配置された平面配置の構造としている。
第1発光素子30は近赤外線LEDが使用されており、第1波長λ1の光として中心波長600nm以上の光、例えばλ1=900nmの光を照射する。また、第1発光素子30は、その光軸30aと受光素子34の光軸34aの交点Pに対する第1散乱角θ1が、20°~70°の範囲の所定角度、例えばθ1=30°に設定されている。
第2発光素子32は可視光LEDが使用されており、第2波長λ2の光として中心波長500nm以下の光、例えばλ2=500nmの光を照射する。また、第2発光素子32は、その光軸32aと受光素子34の光軸34aとの交点Pに対する第2散乱角θ2が、第1発光素子30と受光素子34の第1散乱角θ1より大きい110°~150°の範囲の所定角度、例えばθ2=120°に設定されている。
受光素子34は赤外線領域から可視光領域に感度をもつフォトダイオードが使用されている。第1発光素子30と第2発光素子32は交互に発光駆動される。第1発光素子30の発光により第1波長λ1の光がP点に流入した煙に照射されと、第1散乱角θ1に対応した煙の散乱光(前方散乱光)が受光素子34に入射して受光され、受光信号として第1信号が出力され、煙濃度に対応した第1検出値A1が検出される。
また、第2発光素子32の発光により第2波長λ2の光がP点に流入した煙に照射されと、第2散乱角θ2に対応した煙の散乱光(後方散乱光)が受光素子34に入射して受光され、受光信号として第2信号が出力され、煙濃度に対応した第2検出値A2が検出される。
ここで、同じ煙に第1波長λ1=900nmの光を照射して第1散乱角θ1=30°で受光した散乱光の第1検出値A1と、第2波長λ2=500nmの光を照射して第2散乱角θ2=120°で受光した散乱光の第1検出値A2とのあいだには、散乱効率の相違に基づき、
A1>A2
の関係となることが知られている。
また、検煙部31に流入した煙の種類、例えば、白煙、黒煙、湯気などによって第1検出値A1と第2検出値A2は異なった値となり、両者を比較することで、煙の種類を識別することができる。第1検出値A1と第2検出値A2との比較による煙の種類の識別は任意であるが、例えば、両者の比率Rとして、
R=A1/A2
を求めることで、識別することができる。
例えば綿灯芯を燃焼させた場合の白っぽい煙となる白煙(燻焼煙)については、第1検出値A1と第2検出値A2の比率Rは例えばR=8.0となっている。これに対しケロシンを燃焼させた場合の黒っぽい煙となる黒煙(燃焼煙)については、第1検出値A1と第2検出値A2の比率Rは例えばR=2.3となっている。
このため、白煙(燻焼煙)と黒煙(燃焼煙)ついて、第1検出値A1と第2検出値A2の比率Rの間には十分な差が生じており、例えば比率Rについて煙の種類を識別するための第1識別閾値Rth1として5~6の範囲の値、例えばRth1=5を設定することで、比率RがRth1以上であれば白煙と識別し、Rth1未満であれば黒煙と識別することができる。
一方、湯気や蒸気にあっては、煙粒子に比べ粒子径が十分に大きいことから、小さい散乱角での散乱効率が火災時の煙に比べ十分に高く、第1波長λ1の光の照射による第1散乱角θ1=30°の散乱光による第1検出値A1が十分に大きく、第2波長λ2の光の照射による第2散乱角θ2=120°の散乱光による第2検出値A2との比率Rは10以上の大きな値を持つことになる。
このため湯気や蒸気を識別するための第2識別閾値Rth2として10~12の範囲の値、例えばRth2=12を設定し、これ以上の場合には湯気や蒸気などの非火災検出対象と識別することができる。
この点はタバコの煙や塵埃についても同様であり、比率Rが10以上の大きな値が得られることから、第2識別閾値Rth2=12以上の場合は、非火災検出対象と識別することができる。
次に図3(B)に示す検煙部の第2実施形態を説明する。図3(B)に示すように、本実施形態は、検煙部31内に発光素子35、第1受光素子34(34-1)及び第2受光素子34(34-2)が配置されており、本実施例はそれぞれの光軸35a、34-1a、34-2aが同一平面内に配置された平面配置の構造としている。
発光素子35は、第1波長λ1と第2波長λ2を含む光を同時に発するものであり、発光素子35から発せられる第1波長λ1の光は中心波長が600nm以上に定められ、また第2波長λ2の光は中心波長が500nm以下に定められており、本実施形態にあっては、第1波長λ1が例えば700nmに定められ、第2波長λ2が例えば450nmに定められている。
発光素子35は、赤外線領域から可視光領域の光を照射するものであり、その構造や種類は任意であるが、例えば、白色LED(白色発光ダイオード)が使用される。白色LEDは、例えば、青色LEDと蛍光体を組み合わせており、青色LEDの光を蛍光体に通して白色を発光させ、この発光色には、第1波長λ1=700nmの光と、第2波長λ2=450nmの光が含まれており、検煙部31内に、第1波長λ1と第2波長λ2の光を同時に照射することができる。
また、本実施形態の発光素子35としては、2色LED(2色発光ダイオード)を使用することもできる。2色LEDは、第1波長λ1=700nmの光を発する第1発光チップと、第2波長λ2=450nmの光を発する第2発光チップを備え、両者を同時に駆動することにより、第1波長λ1と第2波長λ2の光を検煙部31内に同時に照射することができる。
第1受光素子34(34-1)には第1波長λ1に感度をもつフォトダイオード(PD)が使用され、第2受光素子34(34-2)には第2波長λ2に感度をもつフォトダイオード(PD)が使用される。
また、第1受光素子34(34-1)及び第2受光素子34(34-2)としては、可視光波長帯域に感度をもつ広帯域フォトダイオードに、第1波長λ1と第2波長λ2のそれぞれの波長帯域のみを受光するフィルタ層をPDモールディング(透明カバー部材)に設けても良いし、広帯域フォトダイオードの前方に、第1波長λ1と第2波長λ2のそれぞれの波長帯域を透過するフィルタを配置しても良い。
第1受光素子34(34-1)は、その光軸34-1aと発光素子35の光軸35aの交点Pに対する第1散乱角θ1を、20°~70°の範囲の所定角度、例えばθ1=30°に設定している。発光素子35から第1波長λ1を含む光がP点に流入した煙に照射されと、第1散乱角θ1に対応した煙の散乱光(前方散乱光)が第1受光素子34(34-1)に入射して受光され、受光信号として第1信号が出力され、煙濃度に対応した第1検出値A1が検出される。
また、第2受光素子34(34-2)は、その光軸34-2aと発光素子35の光軸35aとの交点Pに対する第2散乱角θ2を、第1受光素子34(34-1)と発光素子35の第1散乱角θ1より大きい110°~160°の範囲の所定角度、例えばθ2=120°に設定している。発光素子35から第2波長λ2を含む光がP点に流入した煙に照射されと、第2散乱角θ2に対応した煙の散乱光(後方散乱光)が第2受光素子34(34-2)に入射して受光され、受光信号として第2信号が出力され、煙濃度に対応した第2検出値A2が検出される。
本実施形態にあっても、同じ煙に第1波長λ1=700nmの光を照射して第1散乱角θ1=30°で受光した散乱光の第1検出値A1は、第2波長λ2=450nmの光を照射して第2散乱角θ2=120°で受光した散乱光の第1検出値A2は、散乱効率の相違に基づき、
A1>A2
の関係となり、第1識別閾値Rth1として例えばRth1=5を設定し、Rth1以上であれば白煙と識別し、Rth1未満であれば黒煙と識別できる。
また、湯気、蒸気、塵埃、煙草の煙などについては、第2識別閾値Rth2として例えばRth2=12を設定し、これ以上の場合には、湯気、蒸気、塵埃、煙草の煙などの非火災検出対象と識別することができる。
(a4.発光駆動と受光検出)
図2の信号検出部16は、図3(A)に示した検煙部の第1実施形態を設けていることから、第1発光素子30、第2発光素子32及び受光素子34が配置されている。第1発光素子30と第2発光素子32は、発光駆動部36により所定周期ごとに交互に発光駆動され、第1発光素子30と第2発光素子32から順次出力された受光信号としての第1信号と第2信号は、受光増幅部38で増幅されて感知器制御部24に読み込まれ、煙濃度に対応した第1検出値A1及び第2検出値A2が検出される。
(a5.感知器制御部)
感知器制御部24はCPU、メモリ及び各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、プログラムの実行により実現される機能として、本実施形態による火災検出装置の構成要素となる識別部18、火災検出部20、及び増加率検出部22の機能を備える。
感知器制御部24は、受光増幅部38からの信号を第1発光素子30と第2発光素子32の発光駆動のタイミングに同期したA/D変換により読み込むことで煙濃度に対応した第1検出値A1と第2検出値A2を取得しており、取得した第1検出値A1と第2検出値A2に基づき火災検出部20により火災を検出すると発報回路部26を作動し、プラス信号線14aとマイナス信号線14bの間を低インピーダンスに短絡して火災発報電流を流すことで火災発報信号を受信機10へ送信する。
(a6.火災検出部)
感知器制御部24に火災検出手段として設けられた火災検出部20は、取得された第1検出値A1と第2検出値A2の少なくとも一方が所定の火災検出条件を充足したときに火災を検出するものである。ここでは、第1検出値A1に基づく火災検出を例にとって説明するが、第2検出値A2、両方に基づく場合も同様となる。
火災検出部20の火災検出条件は任意であるが、一例として第1検出値A1が所定の煙濃度の閾値条件を充足した場合に火災と検出する。ここで、煙濃度の閾値条件とは、第1検出値A1が所定の煙濃度の閾値Dth0以上のときに火災を検出する条件である。例えば、感知器12が2種感度の感知器であったとすると、第1検出値A1が2種感度に対応した煙濃度の閾値Dth0=10(%/m)以上となったときに火災と検出するものである。
なお、「2種感度の感知器」とは、法令で定められた公称作動濃度Kを10(%/m)とした感知器のことであり、作動試験として、(公称作動濃度K)×1.5=10(%/m)×1.5=15(%/m)の濃度の煙を含む風速20~40cm/secの気流に投入したとき、30秒以内に作動し、且つ、不作動試験として、(公称作動濃度K)×0.5=10(%/m)×0.5=5(%/m)の濃度の煙を含む風速20~40cm/secの気流に投入したとき、例えば非蓄積型の場合、5分以内に作動しない感知器を意味する。このようなK=10(%/m)とする2種感度の感知器以外に、公称作動濃度K=5(%/m)の「1種感度の感知器」、或いは、公称作動感度K=15(%/m)の「3種感度の感知器」としても良い。
また、別の火災検出条件として、所定の煙濃度の閾値条件が充足された状態が所定の蓄積条件を充足した場合に、火災を検出するようにしても良い。例えば、感知器12が2種感度の感知器であったとすると、第1検出値A1が2種感度に対応した煙濃度の閾値Dth0=10(%/m)以上となる状態が所定の蓄積時間T0、例えばT0=20秒以上続いた場合に火災と検出するものである。
このような火災検出条件、例えば、煙濃度の閾値Dth0及び蓄積時間T0は初期設定されており、本実施形態にあっては、初期設定された火災検出条件、例えば煙濃度の閾値Dth0と蓄積時間T0が、検出している煙の種類に基づいて変更されることを特徴とするものである。
[b.検出対象の種類の識別と火災検出条件の変更]
(b1.識別部)
感知器制御部24に識別手段として設けられた識別部18は、信号検出部16から取得された第1検出値A1と第2検出値A2に基づいて、検出対象の種類又は検出対象の発生要因の種類を識別するものであり、これに伴い火災検出部20は識別部18の識別結果に基づいて火災検出条件を変更するものである。
図4は検出対象の識別と識別結果に応じた火災検出条件の変更の一例を一覧で示しており、併せて、検出値の増加率と火災検出条件の変更を示している。
図4に示すように、識別部18で識別する検出対象の種類は、例えば、火災検出対象と非火災検出対象に大別される。火災検出対象の種類には白煙と黒煙がある。白煙の発生要因の種類には、白煙火災、燻焼火災、火災試験で用いる綿灯芯の燃焼などが含まれる。黒煙の発生要因には、黒煙火災、燃焼火災、火災試験で用いるケロシンの燃焼などが含まれる。
(b2.白煙の識別)
識別部18は、信号検出部16から得られた第1検出値A1と第2検出値A2の比率R=A1/A2が、例えば第1識別閾値Rth1=5以上で第2識別閾値Rth2=12未満の場合(Rth1≦R<Rth2)に、白煙と識別する。火災検出部20は、識別部18により白煙が識別された場合、初期設定されている火災検出条件を、変更前より火災と検出されやくなるように火災検出条件を変更する。なお、識別部18は、白煙の発生要因となる白煙火災や燻焼火災等などの種類を識別しても良い。
初期設定された火災検出条件は、例えば2種感度の感知器に対応した煙濃度の閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)であり、白煙が判別されると、初期設定された閾値Dth0=10(%/m)は、変更前より火災と検出されやすくなる第1閾値Dth1=7.5(%/m)に変更され、また、初期設定された蓄積時間T0=20(秒)は、変更前より火災と検出されやすくなる第1蓄積時間T1=15(秒)に変更される。
このため白煙を識別した場合には、信号検出部16から取得された第1検出値A1と第2検出値A2の少なくとも一方が、変更された例えば第1閾値Dth1=7.5(%/m)に達すると火災が検出され、変更前の閾値Dth0=10(%//m)に比べ、早期に火災を検出することができる。
(b3.黒煙の識別)
識別部18は、信号検出部16から得られた第1検出値A1と第2検出値A2の比率R=A1/A2が、例えば第1識別閾値Rth1=5より小さい場合(R<5)に、黒煙と識別する。なお、識別部18は、黒煙の発生要因となる黒煙火災や燃焼火災などの種類を識別しても良い。
火災検出部20は、識別部18により黒煙が識別された場合、初期設定されている閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、白煙の識別に伴う変更された火災検出条件、例えば、第1閾値Dth1=7.5(%/m)と第1蓄積時間T1=15(秒)より火災と検出されやすくなる火災検出条件、例えば第2閾値Dth2=5.0(%/m)と第2蓄積時間T2=10(秒)に変更する。
このため黒煙を識別した場合には、信号検出部16から取得された第1検出値A1と第2検出値A2の少なくとも一方が、変更された例えば第2閾値Dth2=5.0(%/m)に達すると火災が検出され、変更前の閾値Dth0=10(%/m)に比べ、早期に火災と検出することができ、更に、白煙を識別した場合に変更される第1閾値Dth1=7.5(%/m)に比べても、早期に火災と検出することができる。
(b4.非火災検出対象の識別)
識別部18は、信号検出部16から取得された第1検出値A1と第2検出値A2の比率R=A1/A2が例えば第2識別閾値Rth2=12以上の場合(R≧12)に、湯気(蒸気)、塵埃、煙草の煙などを含む非火災検出対象と識別する。火災検出部20は、識別部18により湯気などの非火災検出対象が識別された場合、初期設定されている閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、火災と検出されにくくなる第3閾値Dth3=15(%/m)と第3蓄積時間T3=30(秒)に変更する。
このため湯気などの非火災検出対象を識別した場合には、信号検出部16から取得された湯気などの非火災検出対象の第1検出値A1および第2検出値A2が変更後の第3閾値Dth3=15(%/m)に達することができず、非火災報を確実に防止可能とする。
なお、図4に示した閾値Dth1~Dth3及び蓄積時間T1~T3の値は一例であり、
Dth3>Dth0>Dth1>Dth2
T3>T0>T1>T2
の関係をもつ任意の値とすることができる。
[c.増加率の検出と火災検出条件の変更]
次に、信号検出部16から取得された第1検出値A1と第2検出値A2の少なくとも一方に基づく増加率の検出と増加率に基づく火災検出条件の変更について詳細に説明する。
(c1.増加率検出部)
図2に示した感知器12の感知器制御部24に増加率検出手段として設けられた増加率検出部22は、信号検出部16から取得された第1検出値A1及び第2検出値A2の所定の単位時間、例えば1分当りの増加する変化量ΔD1とΔD2を、第1増加率α1[(%/m)/秒]及び第2増加率α2[(%/m)/秒]として少なくとも一方を検出するものである。
火災に伴う煙濃度に対応した第1検出値A1の第1増加率α1及び第2検出値A2の第2増加率α2は、発生した火災の規模に応じた煙の拡散速度(上昇速度)に依存する。例えば、黒煙を伴うポリウレタン等の火災では、燃焼速度が速いことで大量の煙が発生し、信号検出部16で検出している第1検出値A1の第1増加率α1及び第2検出値A2の第2増加率α2は大きくなる。
一方、白煙を伴う燻焼火災等にあっては、燃焼速度が遅いことで煙の発生量は少なく、信号検出部16から取得している第1検出値A1の第1増加率α1及び第2検出値A2の第2増加率α2は小さくなる。更に、調理に伴う煙や湯気、煙草の煙等の非火災検出対象が発生した場合、信号検出部16から取得している第1検出値A1の第1増加率α1と第2検出値A2の第2増加率α2は、燻焼火災等を下回る増加率を示す。
図5は時間の経過に伴って直線的に増加する増加率の異なる煙濃度の時間変化の特性を示したタイムチャートであり、第1検出値A1に対応した煙濃度を例にとっている。図5に示すように、特性aの増加率が最も高く、例えば爆発的に燃焼する油火災であり、これに対し特性eは、例えば、布団等がすくぶる燻焼火災であり、特性b~dはその間の規模となる火災を示している。また、特性fは、調理に伴う煙や湯気、煙草の煙等の非火災検出対象が発生した場合である。なお、実際の火災における煙濃度の増加率は直線(一定増加率)とはならず、周知のように、時間の経過に伴って増加率がランダムに変化することになる。
(c2.増加率に基づく火災検出条件の変更)
火災検出部20は、増加率検出部22で第1検出値A1の第1増加率α1と第2検出値A2の第2増加率α2の少なくとも一方が所定の増加率閾値条件を充足した場合、例えば所定の増加率閾値αth以上のときに、変更前より火災と検出しやすくするように火災検出条件を変更して火災を検出する。
ここで、火災検出条件を変更するための煙濃度の増加率αの増加率閾値αthは任意であるが、例えば、図5において、火災検出対象の中で増加率の最も低い燻焼火災による特性eと、燻焼火災による特性fとのほぼ中間の特性gの増加率を、増加率閾値αthに設定する。
火災検出部20は、識別部18で識別された白煙と黒煙の識別結果と、増加率検出部22で検出された増加率に基づいて火災検出条件を変更するものであり、白煙を識別した場合と黒煙を識別した場合では、増加率に基づく火災検出条件の変更の度合が異なる。
火災検出部20は、識別部18で白煙を識別している場合、白煙の識別で変更される火災検出条件よりも更に火災と検出されやすくなるように、増加率の検出に基づき火災検出条件を変更する。例えば、図4に示すように、白煙を識別し、且つ増加率(α1とα2の少なくとも一方)が所定の増加率閾値αth以上の場合、変更前の火災検出条件である初期設定された閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、火災と検出されやすくなる火災検出条件である第4閾値Dth4=5.0(%/m)と第4蓄積時間T4=10(秒)に変更する。
この増加率に基づいて変更した火災検出条件は、白煙の識別で変更した火災検出条件の第1閾値Dth1=7.5(%/m)と第1蓄積時間T1=15(秒)よりも、さらに火災と検出されやすくなる条件となる。
また、火災検出部20は、識別部18で黒煙を識別している場合、黒煙の識別で変更される火災検出条件よりも更に火災と検出されやすくなるように、増加率の検出に基づき火災検出条件を変更する。例えば、図4に示すように、黒煙を識別し、且つ増加率(α1とα2の少なくとも一方)が所定の増加率閾値αth以上の場合、変更前の火災検出条件である初期設定された閾値Dth0=10(%/m)と初期蓄積時間T0=20(秒)を、火災と検出されやすくなるように火災検出条件である第5閾値Dth5=2.5(%/m)と第5蓄積時間T5=5(秒)に変更する。
この増加率に基づいて変更した火災検出条件は、黒煙の識別で変更した火災検出条件の第2閾値Dth2=5.0(%/m)と第2蓄積時間T2=10(秒)よりも火災と検出されやすくなる条件となる。
なお、図4に示した閾値Dth1~Dth5及び蓄積時間T1~T5の値は一例であり、
Dth3>Dth0>Dth1>Dth2
Dth1>Dth4
Dth2>Dth5
T3>T0>T1>T25
T1>T4
T2>T5
の関係をもつ任意の値とすることができる。
[d.感知器の制御動作]
図6は図2の感知器の実施形態による制御動作を示したフローチャートであり、感知器制御部24の制御動作となる。
図6に示すように、感知器制御部24はステップS1で信号検出部16で検出される第1信号と第2信号から煙濃度に対応した第1検出値A1と第2検出値A2を取得している。例えば図3(A)の検煙部31を例にとると、発光駆動部36により所定周期ごとに第1発光素子30と第2発光素子32を順次発光駆動して煙又は湯気等の異なる波長と散乱角による散乱光を受光素子34で受光し、受光増幅部38で増幅された第1信号と第2信号を、各発光に同期してA/D変換により読み込んで煙濃度に対応した第1検出値A1と第2検出値A2を取得している。
続いて、ステップS2で取得した第1検出値A1と第2検出値A2の比率R=A1/A2を算出し、ステップS3で第1検出値A1の第1増加率α1と第2検出値A2の第2増加率α2の少なくとも一方を検出する。続いて、ステップS4で比率Rを第1識別閾値Rth1=5以上で第2識別閾値Rth2=12未満であれば白煙と識別し、ステップS5へ進む。ステップS5でステップS3で検出した増加率が増加率閾値αthより小さい場合はステップS6に進み、初期設定された火災検出条件の閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、ステップS4で識別した白煙に基づく火災検出条件である第1閾値Dth1=7.5(%/m)と第1蓄積時間T1=15(秒)に変更して火災と検出されやすくなるようにし、ステップS14へ進む。
ステップS14では、ステップS1で取得した第1検出値A1と第2検出値A2の少なくとも一方が、変更された火災検出条件を充足した場合に火災を検出してステップS15に進み、発報回路部26に火災発報信号の送信を指示し、発報回路部26を作動して受信機10に火災発報信号を送信する。続いて、ステップS16で受信機10での復旧操作に伴う信号線14に対する電源供給の遮断等から復旧を判別し、ステップS1の最初の感知器制御に戻る。
一方、ステップS5ではステップS3で検出した増加率が所定の増加率閾値αth以上であればステップS7に進み、変更前の火災検出条件である初期設定された閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、第4閾値Dth4=5.0(%/m)と第4蓄積時間4=10(秒)に変更して火災と検出されやすくなるようにし、ステップS14へ進み、火災を検出する処理を行う。
また、ステップS4で白煙が識別されなかった場合はステップS8へ進み、比率Rが第1識別閾値Rth1=5より小さい場合は黒煙を識別し、ステップS9へ進む。ステップS9でステップS3で検出した増加率が増加率閾値αthより小さい場合はステップS10へ進み、変更前の火災検出条件である初期設定された閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、ステップS8で識別した黒煙に基づく火災検出条件である第2閾値Dth2=5.0(%/m)と第2蓄積時間T2=10(秒)に変更して火災と検出されやすくなるようにし、ステップS14へ進んで火災を検出する処理を行う。
一方、ステップS9でステップS3で検出した増加率が所定の増加率閾値αth以上であればステップS11へ進み、変更前の火災検出条件である初期設定された閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、第5閾値Dth5=2.5(%/m)と第5蓄積時間T5=5(秒)に変更して火災と検出されやすくなるようにし、ステップS14へ進んで火災を検出する処理を行う。
また、ステップS8で黒煙を識別しなかった場合はステップS12へ進み、比率Rが第2識別閾値Rth2=12以上であれば、湯気などの非火災検出対象と識別し、ステップS13へ進み、変更前の火災検出条件である初期された閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を、第3閾値Dth3=15(%/m)と第3蓄積時間T3=30(秒)に変更して火災と検出されにくくなるようにし、ステップS14へ進んで火災を検出する処理を行う。
更に、ステップS12で湯気などの非火災検出対象が識別されなかった場合は、初期設定された火災検出条件である閾値Dth0=10(%/m)と蓄積時間T0=20(秒)を維持したままステップS14へ進んで火災を検出する処理を行う。
[e.実施形態の他の基本的な概念]
図7は第2防災設備に対応した実施形態の他の基本的な概念を示した説明図であり、受信機10と感知器12を備えた第2防災設備の一例としての火災報知設備において、感知器12に火災検出装置の信号検出手段として機能する信号検出部16を設け、受信機10に火災検出装置の識別手段として機能する識別部18と火災検出手段として機能する火災検出部20を設けたことを基本とし、更に、受信機10に増加率検出手段として機能する増加率検出部22を設けたものである。
感知器12に設けた信号検出部16と、受信機10に設けた識別部18、火災検出部20及び増加率検出部22は、図1の感知器12に設けた信号検出部16、識別部18、火災検出部20及び増加率検出部22と基本的に同じであり、感知器12の信号検出部16により検出した第1信号と第2信号から得られた第1検出値A1と第2検出値A2を、伝送線114により受信機10に送信し、受信機10側で、検出対象の種類の識別、火災検出条件を充足した場合の火災検出、検出対象の識別結果に基づく火災検出条件の変更、及び、増加率に基づく火災検出条件の変更などを行うようにした点で相違する。
次に図7に対応する実施形態の具体的内容について、より詳細に説明する。
[f.R型の防災設備]
図8は図7に対応する実施形態の具体的内容を示したR型(Record-type)の防災設備の説明図である。ここで、「R型の防災設備」とは、受信機10と感知器12の間で伝送を行うことにより、感知器12毎に(感知器単位に)火災を監視する設備である。
図8に示すように、本実施形態のR型の防災設備は、受信機10と感知器12を備え、受信機10から建物の部屋等の監視領域に引き出された伝送線114に、複数の感知器12を接続している。受信機10から引き出された伝送線114はプラス伝送線114aとマイナス伝送線(コモン伝送線)114bを備え、受信機10から感知器12へ電源を供給すると共に受信機10と感知器12の間で所定の伝送方式により信号を送受信する。なお、専用の電源供給線を設けても良い。
(f1.感知器)
感知器12は、図2の実施形態と同様に、例えば図3(A)に示した検煙構造をもつ信号検出部16、感知器制御部24、電源部28、発光駆動部36、受光増幅部38を備えるが、受信機10との間で所定の伝送方式により信号を送受信することから伝送部60を設けた点で相違する。また、感知器制御部24には、図2に示した本発明の火災検出装置の構成要素となる識別部18、火災検出部20及び増加率検出部22の機能は設けられておらず、これは受信機10側に設けられている。
(f2.受信機)
受信機10は、図2の実施形態と同様に、受信機制御部40、表示部44、操作部46、警報部48及び移報部50を備えるが、感知器12との間で所定の伝送方式により信号を送受信することから伝送部62が設けられた点で相違し、また、受信機制御部40に、プログラムの実行により実現される機能として、本発明の火災検出装置の構成要素となる識別部18、火災検出部20及び増加率検出部22の機能を設けた点で相違する。受信機10に設けた識別部18、火災検出部20及び増加率検出部22は、図2の実施形態で感知器12に設けた場合と基本的に同様となる。
(f3.伝送制御)
R型の防災設備では、感知器12に固有のアドレスが設定され、受信機10は所定周期、例えば1分周期で一括A/D変換コマンド信号を送信し、一括A/D変換コマンド信号を受信した全ての感知器12は、信号検出部16で異なる波長と異なる散乱角による散乱光を受光して得られた第1信号と第2信号に対応した第1検出値A1と第2検出値A2をA/D変換して保持(記憶)する。続いて、受信機10は感知器アドレスを順次指定した呼出信号を送信して各感知器12から第1検出値A1と第2検出値A2を含む応答信号を返送させるポーリングを行う。
感知器12は煙濃度に対応した第1検出値A1又は第2検出値A2が、所定の火災予兆レベル(予備的な火災の検出レベル)、例えば1(%/m)に達した場合に火災予兆と検出され、火災割込信号を受信機10に送信する。
感知器12からの火災割込信号を受信した受信機10は、グループアドレスを指定したグループ検索コマンド信号を送信し、これに対し火災割込信号を応答した感知器12の属するグループアドレスを特定するグループ検索を行い、続いて、検索したグループアドレス内の感知器アドレスを順次指定したグループ内検索コマンド信号を送信し、これに対し火災割込信号を応答した感知器12のアドレス、即ち火災予兆と検出された感知器12のアドレスを特定する。
続いて、受信機10は、通常時より短い所定の周期でA/D変換コマンド信号と火災予兆と検出された感知器12のアドレスを指定した呼出信号を送信し、火災予兆と検出された感知器12から集中的に第1検出値A1と第2検出値A2を取得し、受信機制御部40に設けた識別部18、火災検出部20及び増加率検出部22により火災を検出する制御を行う。なお、受信機10と感知器12の間の伝送制御は一例であり、公知となっている任意の伝送制御が適用できる。
(f4.R型の防災設備の制御動作)
図9は図8のR型の防災設備の実施形態による制御動作をタイムチャート形式で示したフローチャートである。
図9に示すように、受信機10はステップS21で火災監視伝送処理として、所定周期例えば1分周期で一括A/D変換コマンド信号を送信し、続いて感知器アドレスを指定した呼出信号を送信し、感知器12から応答信号を受信している。一方、感知器12はステップS22で火災監視応答処理として、受信機10からの一括A/D変換コマンド信号を受信してそのとき得られている第1検出値A1と第2検出値A2を記憶保持し、続いて受信する自己アドレスを指定した呼出信号を受信した場合に、第1検出値A1と第2検出値A2を含む応答信号を送信している。
続いて、感知器12は、取得している第1検出値A1又は第2検出値A2の煙濃度がステップS23で所定の火災予兆レベル、例えば1(%/m)以上となったことを判別するとステップS24に進み、火災予兆送信処理として火災割込信号を受信機10に送信する。受信機10はステップS25で火災予兆受信処理として、感知器12からの火災割込信号の受信に基づき、火災割込信号を送信した感知器アドレスを検索して特定する。
受信機10は、ステップS26で感知器12からの火災割込信号の受信があったかどうかを判別し、火災割込信号の受信がなければステップS21に戻り、火災割込信号の受信があれば以下のステップS27に進み、一方、火災割込信号の送信があった場合は、ステップS27へ進む。
受信機10は、ステップS27で、検出値A1,A2受信処理として一括A/D変換コマンド信号と、火災割込信号を送信した感知器12のアドレスを指定した呼出信号を、短い周期で繰り返し送信し、感知器12にステップS28で検出値A1,A2送信処理を行わせ、火災予兆と検出された感知器12から集中的に第1検出値A1と第2検出値A2を受信する。
続いて、受信機10はステップS29に進み、取得した第1検出値A1と第2検出値A2に基づいて比率R=A1/A2を算出するとともに、第1検出値A1及び第2検出値A2の少なくとも一方の増加率を増加率検出部22により検出し、続いて、ステップS30で識別部18により比率Rに基づいて白煙、黒煙又は湯気などの検出対象の種類を識別し、識別結果に基づき火災検出条件を変更する。この火災検出条件の変更は、一例として図4の一覧に示したと同じになる。
続いて、受信機10はステップS31に進み、検出した増加率に基づき火災検出条件を変更する。この増加率に基づく火災検出条件の変更も、一例として図4の一覧に示したと同じになる。続いて、受信機10はステップS32に進み、第1検出値A1と第2検出値A2の少なくとも一方が初期設定した火災検出条件又は変更した火災検出条件を充足することを判別すると火災を検出してステップS33に進み、主音響警報および地区音響警報の鳴動、火災と検出された感知器アドレスに基づく火災発生場所の表示、防排煙機器の連動制御等を含む火災警報処理を行う。
続いて、受信機10はステップS34で火災の鎮火に伴う復旧操作による復旧を判別するとステップS35で感知器12に復旧信号を送信し、ステップS21の火災監視伝送処理に戻る。また、感知器12はステップS36で復旧信号の受信を判別するとステップS22の火災監視応答処理に戻る。
[g.本発明の変形例]
本発明の変形例となる実施形態について、より詳細に説明する。
(火災検出装置)
上記の実施形態の火災検出装置は、信号検出部16、識別部18、火災検出部20及び増幅率検出部22を備えた場合を例にとっているが、これに限定されず、増幅率検出部22を除いた信号検出部16、識別部18及び火災検出部20を基本構成とした火災検出装置を含むものである。
(火災警報器)
上記の実施形態は、受信機と感知器を備えた防災設備を対象とした火災検出装置の構成を例にとっているが、煙濃度から火災を検出する手段と火災を警報する手段を備えた例えば住宅用の火災警報器を火災検出装置として構成しても良い。火災警報器の場合には、図1及び図2に示した防災設備の感知器12と同様に、火災警報器に火災検出装置を構成する信号検出部16、識別部18、火災検出部20及び増加率検出部22の機能を設けることになる。
(火災検出条件)
上記の実施形態の火災検出装置は、識別部18による識別結果に応じた火災検出条件の変更を火災検出部20にて行っているが、これに限定されず、例えば識別部18が識別結果に応じて火災検出条件を変更し、変更された火災検出条件にて火災検出部20が火災を検出するようにしてもよい。また、増加率検出部22で検出した増加率に基づいて火災検出条件を変更する場合も同様である。
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:受信機
12:感知器
14:信号線
16:信号検出部
18:識別部
20:火災検出部
22:増加率検出部
24:感知器制御部
26:発報回路部
28:電源部
30:第1発光素子
32:第2発光素子
34:受光素子
34(34-1):第1受光素子
34(34-2):第2受光素子
35:発光素子
36:発光駆動部
38:受光増幅部
40:受信機制御部
42:回線受信部
44:表示部
46:操作部
48:警報部
50:移報部
60,62:伝送部
114:伝送線

Claims (11)

  1. 監視領域の検出対象による光作用に伴う信号を、少なくとも第1の光学設定と第2の光学設定とにより検出するものであって、前記第1の光学設定によって得られる第1信号と、前記第2の光学設定によって得られる第2信号とを検出する信号検出手段と、
    前記信号検出手段で検出された前記第1信号と前記第2信号とに基づいて前記検出対象の種類又は前記検出対象の発生要因の種類を識別する識別手段と、
    前記信号検出手段で検出された前記第1信号と前記第2信号の少なくとも一方に基づいて所定の火災検出条件が充足された場合に火災を検出する火災検出手段と、
    を備え、
    前記火災検出条件は、前記識別手段による識別結果に応じて変更される、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  2. 請求項1記載の火災検出装置に於いて、
    前記信号検出手段は、
    前記第1の光学設定により、前記監視領域の検出対象に第1波長の光を照射して第1散乱角で得られる散乱光の受光信号を前記第1信号として検出し、
    前記第2の光学設定により、前記監視領域の検出対象に前記第1波長と異なる第2波長の光を照射して前記第1散乱角と異なる第2散乱角で得られる散乱光の受光信号を前記第2信号として検出することを特徴とする火災検出装置。
  3. 請求項1又は2記載の火災検出装置に於いて、
    前記識別手段は、前記検出対象の種類として火災検出対象と非火災検出対象とを識別し、
    前記火災検出条件は、
    前記識別手段で前記火災検出対象が識別された場合に、前記火災検出手段で変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更され、
    前記識別手段で前記非火災検出対象が識別された場合に、前記火災検出手段で変更前よりも火災と検出されにくくなるように変更される、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  4. 請求項3記載の火災検出装置に於いて、
    前記識別手段は、前記火災検出対象として白煙と黒煙とを識別し、
    前記火災検出条件は、
    前記識別手段で前記白煙が識別された場合に、前記火災検出手段で変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更され、
    前記識別手段で前記黒煙が識別された場合に、前記火災検出手段で前記白煙の識別に伴う変更後の前記火災検出条件よりも火災と検出されやすくなるように変更されることを特徴とする火災検出装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の火災検出装置に於いて、更に、
    前記第1信号と前記第2信号の少なくとも一方の増加率を検出する増加率検出手段を備え、
    前記火災検出条件は、前記識別手段による識別結果及び前記増加率検出手段による前記増加率に基づいて変更される、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  6. 請求項5記載の火災検出装置に於いて、
    前記火災検出条件は、前記識別手段により前記検出対象の種類として火災検出対象を識別し、且つ、前記増加率検出手段による前記増加率が所定の増加率閾値条件を充足した場合に、前記火災検出手段で変更前よりも火災と検出されやすくなるように変更される、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の火災検出装置に於いて、
    前記火災検出手段は、
    前記第1信号と前記第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件を充足した場合、又は、
    前記第1信号と前記第2信号の少なくとも一方が所定の閾値条件を充足した状態で所定の蓄積条件を充足した場合に、
    火災と検出し、
    前記火災検出条件は、
    変更前よりも火災と検出されやすくなる場合に、前記閾値条件及び又は前記蓄積条件を変更前よりも緩やかにされ、
    変更前よりも火災と検出されにくくなる場合に、前記閾値条件及び又は前記蓄積条件を変更前よりも厳しくされる、
    ことを特徴とする火災検出装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の火災検出装置を用いた防災設備に於いて、
    受信機と、火災を検出して前記受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
    前記感知器に、前記信号検出手段、前記識別手段及び前記火災検出手段、又は、前記信号検出手段、前記識別手段、前記火災検出手段及び前記増加率検出手段を設けたことを特徴とする防災設備。
  9. 請求項1乃至7の何れかに記載の火災検出装置を用いた防災設備に於いて、
    受信機と、火災を検出して前記受信機に火災信号を送信する感知器とを備え、
    前記感知器に、前記信号検出手段を設け、
    前記受信機に、前記識別手段及び前記火災検出手段、又は、前記識別手段、前記火災検出手段及び前記増加率検出手段を設けたことを特徴とする防災設備。
  10. 監視領域の火災を検出する火災検出方法であって、
    信号検出手段により、前記監視領域の検出対象による光作用に伴う信号を、少なくとも第1の光学設定と第2の光学設定とにより検出するものであって、前記第1の光学設定によって得られる第1信号と、前記第2の光学設定によって得られる第2信号とを検出し、
    識別手段により、前記信号検出手段で検出された前記第1信号と前記第2信号とに基づいて前記検出対象の種類又は前記検出対象の発生要因の種類を識別し、
    火災検出手段により、前記信号検出手段で検出された前記第1信号と前記第2信号の少なくとも一方に基づいて所定の火災検出条件が充足された場合に火災を検出し、
    前記火災検出条件は、前記識別手段による識別結果に応じて変更される、
    ことを特徴とする火災検出方法。
  11. 請求項10記載の火災検出方法に於いて、更に、
    増加率検出手段により、前記第1信号と前記第2信号の少なくとも一方の増加率を検出し、
    前記火災検出条件は、前記識別手段による識別結果及び前記増加率検出手段による前記増加率に基づいて変更される、
    ことを特徴とする火災検出方法。
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