JP2008202479A - 鞍乗型車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車幅を抑制しつつ、スイング式エンジンユニットに発電機や冷却ファンなどの装備品を設けることを可能とする。
【解決手段】 自動二輪車は、クランク軸41を有するエンジン40と、エンジン40の左側で、クランク軸41に連結され、後輪30bにドライブベルト52を介して伝達するドライブプーリー51と、エンジン40の右側で、クランク軸41に連結されるオルタネータ70と、エンジン40の右側で、クランク軸41に連結され、外気Fを導く冷却ファン80とを有するスイング式エンジンユニットを備える。ドライブベルト52は、後輪30bからエンジン40の車幅方向外側で、車両の前後方向に沿って設けられる。スイング式エンジンユニットは、スタータクラッチ54を収容するスタータクラッチケース57を備える。スタータクラッチケース57は、ドライブプーリー51とエンジン40との間に設けられる。
【選択図】 図3
【解決手段】 自動二輪車は、クランク軸41を有するエンジン40と、エンジン40の左側で、クランク軸41に連結され、後輪30bにドライブベルト52を介して伝達するドライブプーリー51と、エンジン40の右側で、クランク軸41に連結されるオルタネータ70と、エンジン40の右側で、クランク軸41に連結され、外気Fを導く冷却ファン80とを有するスイング式エンジンユニットを備える。ドライブベルト52は、後輪30bからエンジン40の車幅方向外側で、車両の前後方向に沿って設けられる。スイング式エンジンユニットは、スタータクラッチ54を収容するスタータクラッチケース57を備える。スタータクラッチケース57は、ドライブプーリー51とエンジン40との間に設けられる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、アンダーボーン型の鞍乗型車両に関する。
従来、ライダーの足元近傍に車体フレームの一部が形成される、いわゆるアンダーボーン型の鞍乗型車両には、エンジンと、エンジンが発生した動力を後輪に伝達する伝動ユニットとが一体となり、車体フレームによって揺動可能に支持されるスイング方式のエンジンユニット(以下、“スイング式エンジンユニット”という)が広く用いられている。
スイング式エンジンユニットを用いる鞍乗型車両では、車幅方向に延びるクランク軸に沿って、伝動ユニット、発電機、ファンが設けられるのが一般的である。
エンジンは、鞍乗型車両の左右の重量バランスを配慮して、車幅を二等分する車両中心線上に設けられる。また、伝動ユニット、具体的には、伝動ユニットに含まれるベルトドライブ部分は、エンジンの左側(一側方側)で、後輪の回転を妨げないように、後輪から離隔して設けられる。
発電機は、エンジンの左側に設けられた伝動ユニットに対して、鞍乗型車両の左右の重量バランスを確保するために、エンジンの右側(他側方側)に設けられる。更に、発電機よりも車幅方向外側には、ファンが設けられる(例えば、特許文献1参照)。
このようなスイング式エンジンユニットを用いる鞍乗型車両では、エンジンを始動するセルモータが更に設けられる場合がある。セルモータは、セルモータの動力を伝達するスタータクラッチを介してエンジンのクランク軸に連結される。ファンが取り入れる外気による冷却効果を得るため、スタータクラッチは、一般的に、発電機とエンジンとの間に設けられる。
特開2001-241310号公報
上述したアンダーボーン型の鞍乗型車両では、走行風が当たり易いスイング式エンジンユニットよりも前方の領域、具体的には、フロントフォークを回動可能に支持するヘッドパイプから下方に延びるダウンチューブ近傍にラジエターを配置すると、車輌の前後方向に沿った長さが増加する。
そこで、ファンが取り入れる外気による冷却効果を得るため、ファンよりも車幅方向外側にラジエターを配置することが考えられる。
しかしながら、上述したようなスイング式エンジンユニットでは、エンジンの右側には、クランク軸に沿ってファン、発電機及びスタータクラッチが設けられているため、エンジンの右側のスペースは、既に狭隘化している。そのため、ファンの車幅方向外側にラジエターを設けると、車幅が広がってしまう問題が生じる。
そこで、本発明は、スイング式エンジンユニットを用いるアンダーボーン型の鞍乗型車両において、車幅を抑制しつつ、当該スイング式エンジンユニットに発電機やファンなどの装備品を設けることができる鞍乗型車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴は、車幅方向に沿って延びるクランク軸(クランク軸41)を有するエンジン(エンジン40)と、前記エンジンの一側方側(例えば、左側)で、前記クランク軸に連結され、前記クランク軸の回転を後輪(後輪30b)に伝達部材(ドライブベルト52)を介して伝達する伝動ユニット(ドライブプーリー51)と、前記エンジンの他側方側(例えば、右側)で、前記クランク軸に連結される発電機(オルタネータ70)と、前記エンジンの他側方側で、前記クランク軸に連結され、外気(外気F)を導くファン(冷却ファン80)と、を有するスイング式エンジンユニット(スイング式エンジンユニット20)を備える鞍乗型車両(自動二輪車10)であって、前記伝達部材は、前記後輪から前記エンジンの車幅方向外側で、車両の前後方向に沿って設けられ、前記スイング式エンジンユニットは、前記エンジンを始動する始動モータ(セルモータ59)の動力を伝達するスタータクラッチ(スタータクラッチ54)を収容するスタータクラッチ収容体(スタータクラッチケース57)を備え、前記スタータクラッチ収容体は、前記伝動ユニットと前記エンジンとの間に設けられた鞍乗型車両であることを要旨とする。
このような特徴によれば、エンジン一側方側に伝動ユニット及びスタータクラッチ収容体が配設され、エンジン他側方側に発電機及びファンが配設される。このため、発電機及びファンが配設されるエンジン他側方側のスペースが狭隘化することが回避され、車幅を広げることなく、エンジン他側方側に他の車両装備品(例えば、ラジエター)の配設スペースを十分に確保できる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記スタータクラッチ収容体は、車幅方向に向かって開口する開口面を有する筐体(筐体57a)と、前記開口面を覆う蓋体(蓋体57b)と、前記筐体と前記蓋体との間に設けられる環状の第1シール部材(Oリング57c)とを備え、前記蓋体は、板状の蓋本体部(蓋本体部57k)と、前記蓋本体部の外縁に沿って設けられ、前記蓋本体部から略垂直方向に延びる枠部(枠部57l)とを備え、前記枠部は、前記開口面と対向する当たり面(当たり面57d)を備え、前記当たり面には、前記第1シール部材の少なくとも一部が嵌め込まれる第1環状溝(環状溝57j)が形成されたことを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、本発明の第2の特徴に係り、前記クランク軸が挿通される第2シール部材(Oリング57f)を更に備え、前記蓋本体部には、前記クランク軸が挿通されるクランク軸挿通孔(挿通孔57h)が形成され、前記クランク軸挿通孔の内周面には、前記第2シール部材の少なくとも一部が嵌め込まれる第2環状溝(環状溝57i)が形成されたことを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特徴に係り、前記伝動ユニットは、前記伝達部材が掛け渡される駆動プーリー(ドライブプーリー51)を備え、前記駆動プーリーは、前記クランク軸が挿通されるクランク軸受入部(固定部51a、ドライブボス51d)を有し、車両中心線を基準として、前記スタータクラッチ収容体が設けられる側の前記クランク軸の外周面(外周面41a)の少なくとも一部には、前記クランク軸受入部と係合する第1鋸歯状部(セレーション41b)と、前記スタータクラッチと係合する第2鋸歯状部(セレーション41c)とが形成され、前記第1鋸歯状部と前記第2鋸歯状部との間に位置する前記外周面には、鋸歯状でない平坦部(平坦部41d)が形成されたことを要旨とする。
本発明の第5の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記ファンよりも車幅方向外側、且つ前記ファンの側方にラジエター(ラジエター90)が設けられることを要旨とする。
本発明の第6の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記ファンを覆うファンカバー(ファンシュラウド81)を更に備え、前記ファンカバーは、前記ファンが取り込んだ外気(外気F)を排出する排出口(排出口81d,81f)を備え、前記排出口には、複数の棒状部(棒状部81e,81g)が所定の間隔をおいて設けられ、前記外気の通過方向に沿った前記棒状部の断面形状は、排出される前記外気に向かって狭くなるテーパ状に形成されたことを要旨とする。
本発明の第7の特徴は、本発明の第2の特徴に係り、前記スタータクラッチ収容体は、前記スタータクラッチを冷却する液体(例えば、オイル)を蓄えることを要旨とする。
本発明によれば、スイング式エンジンユニットを用いるアンダーボーン型の鞍乗型車両において、車幅を抑制しつつ、当該スイング式エンジンユニットに発電機やファンなどの装備品を設けることができる。
(本実施形態に係る鞍乗型車両の構成)
次に、本発明に係る鞍乗型車両の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
次に、本発明に係る鞍乗型車両の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(1)全体概略構成
図1は、本実施形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車10の左側面図である。図1に示すように、自動二輪車10は、一般的な自動二輪車と比較して車体フレーム(不図示)が下方に配設される、いわゆるアンダーボーン型の自動二輪車である。
図1は、本実施形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車10の左側面図である。図1に示すように、自動二輪車10は、一般的な自動二輪車と比較して車体フレーム(不図示)が下方に配設される、いわゆるアンダーボーン型の自動二輪車である。
自動二輪車10は、前輪30a及び後輪30bを備え、エンジン40及び伝動ケース50によって構成されるスイング式エンジンユニット20を用いて後輪30bを駆動する。スイング式エンジンユニット20は、ライダーが着座するシート13の下方に配設される。
エンジン40は、水冷式の4サイクルエンジンであり、略水平に配設される。
伝動ケース50は、エンジン40の後方で、エンジン40に連なって配設される。伝動ケース50の前部の下側は、車体フレームに軸支される。伝動ケース50の後部の上側は、車体フレームに固定されたクッションユニット12によって揺動可能に支持される。
なお、本実施形態では、前輪30a及び後輪30bには、スポークホイールが採用されている。
(2)スイング式エンジンユニットの構成
次に、図2〜図14を参照して、本実施形態に係るスイング式エンジンユニット20の構成について詳細に説明する。
次に、図2〜図14を参照して、本実施形態に係るスイング式エンジンユニット20の構成について詳細に説明する。
(2.1)スイング式エンジンユニットの全体概略構成
まず、本実施形態に係るスイング式エンジンユニット20の全体概略構成について説明する。図2は、本実施形態に係るスイング式エンジンユニット20を構成するエンジン40及び伝動ケース50の左側面図である。なお、図2では、エンジン40及び伝動ケース50の内部構成の一部も図示している。
まず、本実施形態に係るスイング式エンジンユニット20の全体概略構成について説明する。図2は、本実施形態に係るスイング式エンジンユニット20を構成するエンジン40及び伝動ケース50の左側面図である。なお、図2では、エンジン40及び伝動ケース50の内部構成の一部も図示している。
エンジン40の上部には、吸気パイプ40aが連結される。エンジン40の下部には、排気パイプ40bが連結される。伝動ケース50には、伝動ケース50の前部の下側から前方に向けて突出するアーム50aが形成される。
伝動ケース50は、エンジン40が発生した駆動力を後輪30bに伝達する伝動ユニット(不図示)を収納する。当該伝動ユニットには、Vベルト式の自動変速機構が採用されている。
具体的には、伝動ユニットは、ドライブプーリー51、ドライブベルト52及びドリブンプーリー53によって構成される。ドライブプーリー51は、伝動ケース50の前部に配設され、エンジン40から車幅方向に沿って延びるクランク軸41に固定される。ドリブンプーリー53は、伝動ケース50の後部に配設される。ドライブプーリー51及びドリブンプーリー53には、ドライブベルト52が掛け渡される。
図3は、図2のA−A線に沿った伝動ケース50の概略断面を示す図である。図3では、図中のハッチング表示は省略されている。
図3に示すように、エンジン40は、車幅を略二分する車両中心線C上に配設される。エンジン40には、単一のシリンダ42が形成されている。シリンダ42には、ピストン43と、ピストン43とクランク軸41とを連結するコンロッド44とが設けられる。
伝動ケース50は、クランク軸41、オルタネータ(発電機)70、スタータクラッチ54、ドライブプーリー51、ドライブベルト52、ドリブンプーリー53、ドライブシャフト55及び後輪軸56を収納する。
オルタネータ70は、車両中心線Cの右側で、クランク軸41に連結される。冷却ファン80は、オルタネータ70の右側でクランク軸41に連結され、外気Fをラジエター90などに導く。
冷却ファン80の右側には、ラジエター90が配設される。冷却ファン80の一部は、ファンシュラウド81によって覆われる。
スタータクラッチ54は、車両中心線Cの左側で、クランク軸41に連結される。スタータクラッチ54は、エンジン40を始動するセルモータ59(図3において不図示、図9参照)の動力をクランク軸41に伝達する。
スタータクラッチ54は、スタータクラッチケース57によって収納される。スタータクラッチケース57には、オイルが蓄えられている。
ドライブプーリー51は、スタータクラッチケース57の左側で、クランク軸41に連結される。ドライブベルト52は、後輪30bからエンジン40の車幅方向外側に離隔して、前後方向に沿って設けられる。ドリブンプーリー53は、ドライブシャフト55に連結される。ドライブシャフト55の後方には後輪軸56が配設される。
なお、後輪軸56には、スポークホイール32が連結される。スポークホイール32には、タイヤ31が取り付けられている。
(2.2)発電機、冷却ファン及びラジエターの構成
次に、図3に示したオルタネータ70、冷却ファン80及びラジエター90の構成について説明する。図4は、図3に示したオルタネータ70、冷却ファン80及びラジエター90の構成を示す図である。
次に、図3に示したオルタネータ70、冷却ファン80及びラジエター90の構成について説明する。図4は、図3に示したオルタネータ70、冷却ファン80及びラジエター90の構成を示す図である。
オルタネータ70は、フライホイールマグネットロータ71及びマグネットステータ72を備える。フライホイールマグネットロータ71は、ナット73によってクランク軸41の先端部に固定される。マグネットステータ72は、伝動ケース50に固定される。
冷却ファン80は、ボルト82によってフライホイールマグネットロータ71の背面に固定される。つまり、冷却ファン80及びフライホイールマグネットロータ71は、クランク軸41が回転することで共に回転する。冷却ファン80の一部は、ファンシュラウド81によって覆われる。
ファンシュラウド81は、伝動ケース50に連設される。ファンシュラウド81には外気Fを取り込むためのシュラウド孔81aが形成される。冷却ファン80の回転により、シュラウド孔81aから外気Fが導入され、ラジエター90及びオルタネータ70等が冷却される。
ラジエター90は、シリンダ42により熱された冷却水を、冷却ファン80が導入する外気Fにより冷却する。
(2.2.1)ファンシュラウドの詳細形状
次に、図4に示したファンシュラウド81の詳細形状について説明する。図5は、ファンシュラウド81を内側から観た平面図である。
次に、図4に示したファンシュラウド81の詳細形状について説明する。図5は、ファンシュラウド81を内側から観た平面図である。
図5に示すように、ファンシュラウド81は、シュラウド孔81aが形成された平坦部81bと、冷却ファン80を取り囲む枠部81cとを有する。なお、本実施形態では、ファンシュラウド81は、アルミ合金によって形成されている。
枠部81cには、冷却ファン80によって導入された外気Fを排出するための排出口81d,81fが車両前後側に形成されている。排出口81d,81fには、外部からの異物の侵入を防ぐための複数の棒状部81e,81gが所定の間隔をおいて設けられている。
図6は、図5のC方向からのファンシュラウド81の矢視図である。図6に示すように、各棒状部81eは、平坦部81bから車両中心線Cに向けて細くなる先細りの形状を有している。また、本実施形態では、各棒状部81eは、略等間隔に設けられている。
図7は、図6のD−D線に沿った棒状部81eの断面図である。図7に示すように、各棒状部81eの断面形状は、排出される外気Fに向かって狭くなるテーパ状(先細り形状)に形成されている。
(2.3)スタータクラッチ、スタータクラッチケース及びドライブプーリーの構成
次に、図3に示したスタータクラッチ54、スタータクラッチケース57及びドライブプーリー51の構成について説明する。図8は、図3に示したスタータクラッチ54、スタータクラッチケース57及びドライブプーリー51の構成を示す図である。
次に、図3に示したスタータクラッチ54、スタータクラッチケース57及びドライブプーリー51の構成について説明する。図8は、図3に示したスタータクラッチ54、スタータクラッチケース57及びドライブプーリー51の構成を示す図である。
スタータクラッチケース57は、スタータクラッチ54を収納するとともに、潤滑オイルを蓄える。具体的には、スタータクラッチケース57は、筐体57a、蓋体57b及びOリング57cを有する。
スタータクラッチ54を取り囲む筐体57aは、伝動ケース50と一体に形成され、車幅方向外側に向かって開口面を有する。
蓋体57bは、伝動ケース50に固定され、筐体57aの開口面を覆う。
Oリング57cは、筐体57aと蓋体57bとの間に設けられる。本実施形態では、Oリング57cは、弾性部材によって形成されている。スタータクラッチ54及びスタータクラッチケース57の詳細な構成については後述する。
ドライブプーリー51は、固定部51a及び可動部51bを備える。固定部51aは、クランク軸41に挿通されたドライブボス51d及びナット51eにより挟まれてクランク軸41に固定される。可動部51bは、ドライブボス51dに嵌合され、車幅方向に移動する。
可動部51bは、遠心ローラ51cを保持している。クランク軸41の回転数が上昇すると、遠心ローラ51cに作用する遠心力が増大し、遠心ローラ51cが可動部51bを押圧することでドライブベルト52の有効径を拡大する。
クランク軸41の外周面41aには、ドライブプーリー51の固定部51aと係合するセレーション41bと、スタータクラッチ54の一部と係合するセレーション41cとが形成される。
一方、セレーション41bとセレーション41cとの間の外周面41aには、鋸歯状でない平坦部41dが設けられる。
(2.3.1)スタータクラッチの詳細構成
次に、スタータクラッチ54の詳細構成について説明する。図9は、図2のB−B線に沿ったスタータクラッチ54及びスタータクラッチケース57の断面図である。
次に、スタータクラッチ54の詳細構成について説明する。図9は、図2のB−B線に沿ったスタータクラッチ54及びスタータクラッチケース57の断面図である。
スタータクラッチ54は、アイドルギア54a、ドリブンギア54b、ワンウェイクラッチ54c及びクラッチブラケット54dを有する。クラッチブラケット54dは、クランク軸41に係合されている。
アイドルギア54aは、セルモータ59の出力軸からの駆動力をドリブンギア54bに伝達する。ドリブンギア54bは、アイドルギア54aによって伝達された駆動力をワンウェイクラッチ54c及びクラッチブラケット54dを介してクランク軸41に伝達する。
なお、ワンウェイクラッチ54cは、クラッチインナレース54e、クラッチローラ54f及びクラッチアウタレース54hを有する。
クラッチインナレース54eは、ドリブンギア54bに結合される。クラッチアウタレース54hは、ボルト54gによりクラッチブラケット54dに結合される。クラッチローラ54fは、クラッチインナレース54e及びクラッチアウタレース54h間に形成された空間内に配置される。
ワンウェイクラッチ54cは、エンジン始動時には、クラッチローラ54fがクラッチインナレース54e及びクラッチアウタレース54hに係止して、ドリブンギア54bの回転をクラッチブラケット54dへ伝達する。
ワンウェイクラッチ54cは、エンジン始動後には、クラッチアウタレース54hがクラッチインナレース54eよりも高速に回転するので、クラッチローラ54fがクラッチインナレース54e及びクラッチアウタレース54hから離脱する。
(2.3.2)スタータクラッチケースの詳細構成
次に、スタータクラッチケース57の詳細構成について説明する。図9に示すように、スタータクラッチケース57は、蓋体57bに形成された挿通孔57hとクランク軸41との間において、Oリング57f、カラー57g及びオイルシール57eを有している。
次に、スタータクラッチケース57の詳細構成について説明する。図9に示すように、スタータクラッチケース57は、蓋体57bに形成された挿通孔57hとクランク軸41との間において、Oリング57f、カラー57g及びオイルシール57eを有している。
Oリング57fには、クランク軸41が挿通される。カラー57gには、Oリング57fが嵌め込まれる環状溝57iが形成される。カラー57gは、クランク軸41に固定される。オイルシール57eは、カラー57gと蓋体57bの挿通孔57hの内周面との間に設けられる。
図10は、伝動ケース50の左側部分を示す概略斜視図である。図10に示すように、スタータクラッチケース57の筐体51aは、伝動ケース50と一体に形成されるとともに、開口部を有している。
図11は、スタータクラッチケース57の蓋体57bを内側から観た平面図である。図12は、図11のE−E線に沿った蓋体57bの断面図である。
図11及び図12に示すように、蓋体57bには、挿通孔57h、蓋本体部57k、枠部57l、当たり面57d及び環状溝57jが形成される。
蓋本体部57kは、板状の形状を有する。枠部57lは、蓋本体部57kから略垂直方向に延びる。当たり面57dは、枠部57lの上面に形成される。環状溝57jは、当たり面57dの略中央位置に形成される。
(2.4)ドリブンプーリー及びドライブシャフトの構成
次に、図3に示したドリブンプーリー53及びドライブシャフト55の構成について説明する。図13は、図3に示したドリブンプーリー53及びドライブシャフト55の構成を示す図である。
次に、図3に示したドリブンプーリー53及びドライブシャフト55の構成について説明する。図13は、図3に示したドリブンプーリー53及びドライブシャフト55の構成を示す図である。
ドライブシャフト55は、ベアリング55a、ベアリング55b及びベアリング55cによって3点支持される。
ドリブンプーリー53は、ドライブシャフト55に連結された固定部53bと、ドライブシャフト55の軸方向に移動可能な可動部53aとを有する。
ドライブシャフト55の一端は、ミッション室55dに突入している。ミッション室55dには、二次伝動系としてギア変速機構(不図示)が配設される。
したがって、クランク軸41からの駆動力は、ドライブプーリー51、ドライブベルト52及びドリブンプーリー53を介してドライブシャフト55に伝達され、ドライブシャフト55からギア変速機構を経て後輪軸56に伝達される。
(2.5)排気パイプの構成
次に、本実施形態に係る排気パイプ40bの構成について説明する。図14は、エンジン40、伝動ケース50及び排気パイプ40bの模式的な右側面図である。
次に、本実施形態に係る排気パイプ40bの構成について説明する。図14は、エンジン40、伝動ケース50及び排気パイプ40bの模式的な右側面図である。
図14に示すように、排気パイプ40bは、エンジン40の下部から、左側のアーム50aと右側のアーム50bとの間、及び伝動ケース50の下方を通り、後方へ向けて延びる。排気パイプ40bの先端部にはマフラー40cが配設されている。
具体的には、排気パイプ40bは、図3で示したオルタネータ70の下方に配設される。最低地上高を確保するため、オルタネータ70下の伝動ケース50には、排気パイプ40bを配設するための凹部(不図示)が形成される。
(作用・効果)
本実施形態によれば、ドライブベルト52は、後輪30bからエンジン40の左側に離隔して、車両の前後方向に沿って設けられる。スタータクラッチ54を収容するスタータクラッチケース57は、ドライブプーリー51とエンジン40との間に設けられる。
本実施形態によれば、ドライブベルト52は、後輪30bからエンジン40の左側に離隔して、車両の前後方向に沿って設けられる。スタータクラッチ54を収容するスタータクラッチケース57は、ドライブプーリー51とエンジン40との間に設けられる。
したがって、エンジン40の左側にスタータクラッチケース57を配設可能であり、エンジン40の右側のクランク軸41には、オルタネータ70及び冷却ファン80のみが配設される。このため、エンジン40の右側のスペースが狭隘化することが回避されるので、車幅を広げることなく、エンジン40の右側にラジエター90の配設スペースが十分に確保される。すなわち、エンジン40の右側にラジエター90を配設する構成であっても、車幅をスリムにすることが可能となる。
さらに、スタータクラッチ54がスタータクラッチケース57に収納されることで、スタータクラッチ54に埃等が付着することが防止されるので、スタータクラッチ54からの異音の発生が防止される。
また、ドライブベルト52が、後輪30bからエンジン40の左側に離隔して車両の前後方向に沿って設けられるので、取り付けに一定の幅を要するホイール(スポークホイール32)を使用可能となる。
本実施形態によれば、スタータクラッチケース57の筐体57aと蓋体57bとの間に、蓋体57bの当たり面57dに嵌め込まれるOリング57cを設けることによって、筐体57aと蓋体57bとの間の結合部分から、潤滑オイルの漏れが防止される。
特に、スタータクラッチケース57の車幅方向の厚みを薄くするために、蓋体57bを薄く形成することによって蓋体57bの剛性が低下しても、Oリング57cによって筐体57aと蓋体57bとの間の結合部分を塞ぐことができる。
本実施形態によれば、蓋体57bの蓋本体部57kに形成される挿通孔57hの内周面には、Oリング57fが嵌め込まれる環状溝57iが形成されている。したがって、蓋体57bとクランク軸41との間に隙間が生じないので、潤滑オイルの漏れが防止できる。
また、本実施形態によれば、ドライブプーリー51と係合するセレーション41bと、スタータクラッチ54と係合するセレーション41cがクランク軸41に形成されている。これに対し、セレーション41bとセレーション41cとの間のクランク軸41にはセレーションが形成されていない。
したがって、ドライブプーリー51とクランク軸41とが確実に固定されるとともに、スタータクラッチ54とクランク軸41とが確実に固定される。さらに、セレーションの形成されない平坦部41dを設けることで、Oリング57fを平坦部41dに取り付け可能となる。
また、セレーションの形成されない平坦部41dを設けることで、クランク軸41の外周面41aの全面にセレーションを形成する場合と比較して、クランク軸41の加工に要するコストが削減される。
本実施形態によれば、ファンシュラウド81の排出口81d,81fに設けられる複数の棒状部81e,81gの断面形状が、排出される外気Fに向かって狭くなるテーパ状に形成されることによって、外気Fの流れが乱れ難くなるので、外気Fの流れの乱れに起因する気流音が低減される。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
上述した実施形態では、スポークホイールが使用されていたが、スポークホイールに限らず、キャストホイールやディスクホイールなどのホイールを使用可能である。 上述した実施形態では、エンジン40として水冷式の4サイクルエンジンを用いていたが、水冷式のエンジンに限らず、空冷式のエンジンを用いてもよい。この場合、ラジエター90を不要とすることができる。
また、ファンシュラウド81には、冷却ファン80によって導入された外気Fを排出するための排出口81d,81fが車両前後側に形成されていたが、排出口81d,81fに加えて、ファンシュラウド81の上部及び下部に排出口を形成してもよい。この場合、ファンシュラウド81の上部及び下部の排出口に複数の棒状部を形成してもよい。
また、ファンシュラウド81に形成された車両前側の各棒状部81e,81gにおいては、車両後側よりも車両前側から異物が侵入しやすいため、車両前側の各棒状部81gが、車両後側の各棒状部81eよりも太く形成されていてもよい。
さらに、排出口81d,81fに異物が侵入することを防止するため、排出口81d,81fにカバーを設ける構成としてもよい。
さらに、上述した実施形態では、伝動ユニットにドライブベルト52を用いていたが、ベルトを用いる方式に限らず、チェーン等を用いる方式を採用してもよい。
上述した実施形態では、ドライブプーリー51及びスタータクラッチケース57が左側に配設され、オルタネータ70及び冷却ファン80が右側に配設されていたが、ドライブプーリー51及びスタータクラッチケース57が右側に配設され、オルタネータ70及び冷却ファン80が左側に配設されてもよい。
また、上述した実施形態では、スイング式エンジンユニットを用いるアンダーボーン型の鞍乗型車両について説明した。しかし、三輪車又は四輪車などに対しても、上述した電動ユニット、オルタネータ、ファン及びスタータクラッチケースなどのレイアウトを適用可能である。この場合、電動ユニット、オルタネータ、ファン及びスタータクラッチケースなどは、2つの後輪の間に配置されることになる。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
C…車両中心線、F…外気、10…自動二輪車、12…クッションユニット、13…シート、20…スイング式エンジンユニット、30a…前輪、30b…後輪、31…タイヤ、32…スポークホイール、40…エンジン、40a…吸気パイプ、40b…排気パイプ、40c…マフラー、41…クランク軸、41a…外周面、41b…セレーション、41c…セレーション、41d…平坦部、42…シリンダ、43…ピストン、44…コンロッド、50…伝動ケース、50a,50b…アーム、51…ドライブプーリー、51a…可動部、51b…可動部、51c…遠心ローラ、51c…Oリング、51d…ドライブボス、51e…ナット、52…ドライブベルト、53…ドリブンプーリー、53a…可動部、53b…固定部、54…スタータクラッチ、54a…アイドルギア、54b…ドリブンギア、54c…ワンウェイクラッチ、54d…クラッチブラケット、54e…クラッチインナレース、54f…クラッチローラ、54g…ボルト、54h…クラッチアウタレース、55…ドライブシャフト、55a…ベアリング、55d…ミッション室、56…後輪軸、57…スタータクラッチケース、57a…筐体、57b…蓋体、57c…Oリング、57d…当たり面、57e…オイルシール、57f…Oリング、57g…カラー、57h…挿通孔、57j…環状溝、57k…蓋本体部、57l…枠部、59…セルモータ、70…オルタネータ、71…フライホイールマグネットロータ、72…マグネットステータ、73…ナット、80…冷却ファン、81…ファンシュラウド、81a…シュラウド孔、81b…平坦部、81c…枠部、81d,81f…排出口、81e,81g…棒状部、82…ボルト、90…ラジエター
Claims (7)
- 車幅方向に沿って延びるクランク軸を有するエンジンと、
前記エンジンの一側方側で、前記クランク軸に連結され、前記クランク軸の回転を後輪に伝達部材を介して伝達する伝動ユニットと、
前記エンジンの他側方側で、前記クランク軸に連結される発電機と、
前記エンジンの他側方側で、前記クランク軸に連結され、外気を導くファンと、
を有するスイング式エンジンユニットを備える鞍乗型車両であって、
前記伝達部材は、前記後輪から前記エンジンの車幅方向外側で、車両の前後方向に沿って設けられ、
前記スイング式エンジンユニットは、前記エンジンを始動する始動モータの動力を伝達するスタータクラッチを収容するスタータクラッチ収容体を備え、
前記スタータクラッチ収容体は、前記伝動ユニットと前記エンジンとの間に設けられたことを特徴とする鞍乗型車両。 - 前記スタータクラッチ収容体は、
車幅方向に向かって開口する開口面を有する筐体と、
前記開口面を覆う蓋体と、
前記筐体と前記蓋体との間に設けられる環状の第1シール部材と
を備え、
前記蓋体は、
板状の蓋本体部と、
前記蓋本体部の外縁に沿って設けられ、前記蓋本体部から略垂直方向に延びる枠部と
を備え、
前記枠部は、前記開口面と対向する当たり面を備え、
前記当たり面には、前記第1シール部材の少なくとも一部が嵌め込まれる第1環状溝が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記クランク軸が挿通される第2シール部材を更に備え、
前記蓋本体部には、前記クランク軸が挿通されるクランク軸挿通孔が形成され、
前記クランク軸挿通孔の内周面には、前記第2シール部材の少なくとも一部が嵌め込まれる第2環状溝が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両。 - 前記伝動ユニットは、前記伝達部材が掛け渡される駆動プーリーを備え、
前記駆動プーリーは、前記クランク軸が挿通されるクランク軸受入部を有し、
車両中心線を基準として、前記スタータクラッチ収容体が設けられる側の前記クランク軸の外周面の少なくとも一部には、前記クランク軸受入部と係合する第1鋸歯状部と、前記スタータクラッチと係合する第2鋸歯状部とが形成され、
前記第1鋸歯状部と前記第2鋸歯状部との間に位置する前記外周面には、鋸歯状でない平坦部が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両。 - 前記ファンよりも車幅方向外側、且つ前記ファンの側方にラジエターが設けられることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
- 前記ファンを覆うファンカバーを更に備え、
前記ファンカバーは、
前記ファンが取り込んだ外気を排出する排出口を備え、
前記排出口には、複数の棒状部が所定の間隔をおいて設けられ、
前記外気の通過方向に沿った前記棒状部の断面形状は、排出される前記外気に向かって狭くなるテーパ状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。 - 前記スタータクラッチ収容体は、前記スタータクラッチを冷却する液体を蓄えることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両。
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