以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係るドラム式洗濯機について説明する。
図1は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の外観を示す斜視図である。図1に示すように、ドラム式洗濯機は、外箱1の正面に洗濯物を出し入れするためのドア10が設けられており、外箱1の正面上部には、ドラム式洗濯機の洗濯動作に関連する情報を表示したりユーザが指令を入力したりする表示・操作部11が設けられている。
図2は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の内部を示す第1の断面図である。図3は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の内部を示す第2の断面図である。図2および図3を参照して、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の構造や動作を説明する。
外箱1の前面には、洗濯物の出し入れをするためのドア10が配置されている。外箱1内には前面に向かって水槽開口部60と底とを有する筒状の水槽2がほぼ横向きに配置されている。さらに、水槽2の内部には、軸部を中心に回転できるように底を有する筒状の回転ドラム3が支持されている。また、水槽2の背面には、モータを内蔵し、その軸部を回転駆動する駆動機構4が配置されている。
水槽2は、洗濯物の出し入れ時の見通しを良くするために、所定の角度θだけ奥側が下方になるように傾斜して配されている。
サスペンション6は、水槽2の下方から水槽2を支持している。このサスペンション6による振動体の支持位置は、振動体全体としての重心の付近となっている。サスペンション6は、振動体を支持するとともにその振動を減衰させる役割を担っている。本実施の形態の場合、水槽2は外箱1に対して上からバネで吊り下げられてはいないが、そのように吊り下げ支持してもよい。ちなみに、「振動体」は、水槽2と、回転ドラム3と、駆動機構4との総称である。
洗い、すすぎ、脱水および乾燥の各工程は、回転ドラム3を駆動機構4で回転駆動することにより実行される。この時、回転ドラム3内に洗濯物のアンバランスが生じると遠心力がかかり、サスペンション6は伸縮し、振動体が変位する。振動体が変位する度にサスペンション6は振動体を所定位置に復帰させようとし、振動体は変位と復帰とを繰り返すので、結果的に振動する。
水槽開口部60の周辺には、ゴムなどからなるドアパッキン15が設けられている。ドア10が閉じられた時には、突出部70がドアパッキン15の内周縁に密着する。これにより、突出部70とドアパッキン15との隙間は塞がれる。隙間が塞がれることにより、水槽2から外部への洗濯中の水漏れが防止される。
回転ドラム3は、ドア10側にドラム開口部66を有する。回転ドラム3のドラム開口部66を取り囲む部分には流体バランサ62が設けられている。流体バランサ62の内部には塩水などの流体が封入されている。以下、この流体を「封入流体」という。回転ドラム3の回転時には、洗濯物および洗濯液の偏りによる回転ドラム3全体の重心移動を、封入流体が移動することによって打消すようになっている。また、回転ドラム3の周壁には多数の小孔64が設けられ、回転ドラム3の内周面上にはバッフル68が設けられている。小孔64は、洗濯水を供給したり排出させたりする。バッフル68は、回転ドラム3の回転に伴って回転ドラム3内の洗濯物を持ち上げる。タンブリングが繰返されると、洗濯物は叩き作用を受ける。洗濯物が叩き作用を受けることで、その洗濯物が洗われたりすすがれたりする。なお、「タンブリング」とは、バッフル68に持ち上げられた洗濯物が自重により落下する動作を意味する。
ドア10は、回転ドラム3の内側に向く突出部70を有している。突出部70を有しているのは、洗濯物が回転ドラム3の前面の水槽開口部60からはみ出すことをなるべく防ぐためである。突出部70は、ガラスで形成されている。強度、傷のつきにくさ、熱衝撃性、回転ドラム3内が見えることなどの要件を満たすためである。突出部70の周縁部はドア10に固定されている。また、ドア10にはドア10の開閉を検知するセンサを有したドアスイッチ(図示せず)が取り付けられている。
外箱1内の後方上部には水道管(図示せず)に接続された洗濯用給水弁38が設けられ、洗濯用給水弁38を開くと、接続ホース(図示せず)から水槽2内に給水されるようになっている。これにより、水道水が洗剤ケース(図示せず)内の洗剤を溶かし、生成された洗剤液が給水口41より回転ドラム3内に供給される。
外箱1内の後方上部には、すすぎ用給水弁44と、柔軟仕上剤収納箱(図示せず)およびこれに接続されたすすぎ給水経路も別途設けられている。すすぎ用給水弁44が開かれると、すすぎ給水経路から水槽2内へと柔軟仕上剤とともに水が注ぎ込まれる。
外箱1の底部で水槽2の外側には、洗濯液や除湿器42により凝縮された水分を機外に排出するための排水弁40および排水ホース20が設けられている。水槽2の下部と排水弁40を接続する排水ダクト18の途中には、外箱1の前面下部から取り外しが可能な糸屑フィルタ(図示せず)が設けられており、洗濯液の水位は糸屑フィルタの上部に設けられたエアートラップ(図示せず)内の圧力変化として水位センサ107により測定される。エアートラップと水位センサ107との間には導圧パイプ(図示せず)が接続されている。水位センサ107は、その導圧パイプを介してエアートラップ(図示せず)内の圧力変化を測定する。
また、排水ダクト18の途中には、循環ポンプ39が接続されている。循環ポンプ39は、排水ダクト18に蓄えられた水を循環ホース46に供給する。循環ホース46に供給された水は、シャワーノズル47によって回転ドラム3の内部に注水される。
また、外箱1の内部で水槽2の下部の位置に、洗濯物を乾燥するために送風ファン51とヒータ54とが設けられている。送風ファン51は、ファンモータ50により駆動される。
送風ファン51は、回転ドラム3内の空気を小孔64から除湿器42内に吸引する。吸引された空気は、送風ファン51、ヒータ54、および送風ダクト56を順に通って吹出し口72から回転ドラム3内に戻される。こうして循環する空気は、ヒータ54に熱せられて熱風と化し、この熱風が回転ドラム3内に供給されることになるから、回転ドラム3内の洗濯物はその熱風により徐々に乾燥させられる。
また、表示・操作部11の奥側には制御回路5が配置されている。制御回路5は、ドラム式洗濯機の洗濯動作を制御する。
図4は図2に示すドラム式洗濯機の内部正面図である。図5は図2に示すドラム式洗濯機の内部平面図である。図6は加速度センサ104のパッケージの平面図である。図4〜6を参照して、加速度センサ104について説明する。本実施の形態の場合、加速度センサ104は、3軸加速度センサである。水槽2の複数の方向の振動成分(本実施の形態においては、互いに異なる方向を向く複数のベクトルで振動方向を表した場合のベクトルの大きさそれぞれを「振動成分」と称する。それらのベクトルの大きさは、振動の大きさに直接的または間接的に対応することとする。本実施の形態の場合、それらのベクトルの大きさは、直接的には加速度に対応することとする。)を検知するための素子として、加速度センサ104は水槽2の上部背面側(回転ドラム3が設けられる内側とは反対側)に取り付けられている。加速度センサ104は、互いに直交する3方向について、加速度の大きさに比例した電気信号を出力する。本実施の形態の場合、基準電圧2.5Vに対し加速度1G当たり±0.2Vの電圧信号を出力するものとして説明するが、これに限定するものではない。この出力値を用いて水槽2の挙動を監視することができる。
加速度センサ104は、図5に示すように、水槽2の加速度を互いに直交するX方向の成分およびY方向の成分として検出することができる。本実施の形態の場合、加速度センサ104は、回転ドラム3の回転軸に平行な方向に図6に示すY方向を一致させるように取り付けられる。この場合、図6に示すX方向は水槽2の左右方向(ドラム式洗濯機の一方の側面から他方の側面へ向かう方向であって図5における左右方向を意味する)となり、加速度センサ104は水槽2の左右方向とこれに直行する方向である前後方向の加速度を検知することができる。加速度センサ104が加速度を検出できる3軸は、X方向およびY方向に加えて、両方向に対して直交するZ方向を含む。
図7は本実施の形態に係る制御回路5の制御ブロック図である。制御回路5は、マイクロコンピュータ22と、電源回路31と、リセット回路32と、入力キー回路33と、状態検知回路34と、表示装置駆動回路35と、ブザー駆動回路36と、負荷駆動回路37とを含む。
マイクロコンピュータ22は、複数のI/O(Input/Output)ポート27を介して、入力キー回路33、状態検知回路34、表示装置駆動回路35、ブザー駆動回路36および負荷駆動回路37に接続されている。マイクロコンピュータ22は、入力キー回路33や状態検知回路34から入力される入力信号に基づいて演算を行って、表示装置駆動回路35、ブザー駆動回路36、および負荷駆動回路37に信号を出力する。
電源回路31は、マイクロコンピュータ22の電源端子VddおよびVssに定電圧を供給する。これにより、マイクロコンピュータ22は動作する。リセット回路32は、マイクロコンピュータ22のRESET端子に信号を入力する。これにより、マイクロコンピュータ22はリセットする。入力キー回路33は、表示・操作部11に接続され、ユーザが表示・操作部11を操作するとその操作に応じた信号を生成する。状態検知回路34は、回転ドラム3の回転を検知する回転検知センサ105(回転検知センサ105としては、ホールセンサまたはタコジェネレータが一般的である)、水位センサ107、並びに加速度センサ104に接続されている。状態検知回路34は、これらが出力した信号を、マイクロコンピュータ22が利用可能な信号に変換する。表示装置駆動回路35は、表示装置102に接続されており、表示装置102を駆動する。ブザー駆動回路36は、ブザー103に接続されており、キー入力完了時、運転終了時および異常時にブザー103を鳴動させる。これにより、それらの情報はユーザに伝えられる。負荷駆動回路37は、駆動機構4、洗濯用給水弁38、および排水弁40に接続されており、これらを駆動制御する。
マイクロコンピュータ22は、CPU(Central Processing Unit)23と、RAM(Random Access Memory)24と、ROM(Read Only Memory)25と、タイマ26と、複数のI/Oポート27と、システムバス28とから構成されている。
CPU23は、制御部29と演算部30から構成されている。制御部29は、ROM25に記憶されている命令を取り出すとともにその命令を実行する。演算部30は、命令の実行段階で制御部29から与えられる制御信号に基づいて、I/Oポート27に接続された各回路やRAM24から入力されるデータに対して二進加算、論理演算、増減、比較などの演算を行う。RAM24は、CPU23が演算に用いるデータを一時的に記憶する。ROM25は、各種機器を動作させる方法の情報、各種判断のために設定された条件、各種情報を処理するためのルールなどを予め記憶する。ROM25が記憶するデータの一種に、安全テーブルがある。安全テーブルとは、次に述べる閾値についてのデータテーブルである。その閾値とは、加速度センサ104が出力した加速度の成分のうち、上述したX方向の成分の閾値である。本実施の形態において「アンバランス量」とは、加速度センサ104が検知した加速度の成分のピーク値を意味する。タイマ26は、ある時間が経過したことを検知する。この時間は、CPU23によって設定される。I/Oポート27は、入力キー回路33その他の回路との間で信号を仲介する。システムバス28は、マイクロコンピュータ22を構成する各回路の間に信号を伝達させる。
図8は、本実施の形態における安全テーブルの一例を示す図である。図8においては、その閾値を「A(1)」〜「C(5)」と表現している。本実施の形態の場合、加速度センサ104は加速度の成分を電圧信号として出力するので、それらの閾値も電圧の大きさを示す値として記憶される。本実施の形態の場合、安全テーブルが示す閾値は、アンバランス位置に対応付けられている。アンバランス位置とは、加速度センサ104が検知した加速度の大きさに基づいて定められる、振動体の状態のことである。本実施の形態の場合、アンバランス位置を、加速度センサ104が検知した複数の方向の加速度の成分の比の範囲を示す情報とみなすこともできる。
本実施の形態の場合、(Y方向の加速度の大きさ)/(X方向の加速度の大きさ)により表わされる値が所定の範囲以上の値の場合、アンバランス位置は「前側」である。(Y方向の加速度の大きさ)/(X方向の加速度の大きさ)により表わされる値がその範囲に含まれる場合、アンバランス位置は「中央」である。(Y方向の加速度の大きさ)/(X方向の加速度の大きさ)により表わされる値がその範囲を下回る場合、アンバランス位置は「後ろ側」である。
なお、加速度センサ104が出力した値が閾値を越えたか否かが判断される際には、図8に示す「100g」の行から「500g」の行までのいずれかの行の閾値が予め選択される。したがって、実際に判断に使用される閾値は、「100g」の行から「500g」の行までのいずれかの行の閾値のみである。
図9は、本実施の形態に係る制御回路5の機能ブロック図である。図9を参照して、本実施の形態に係る制御回路5は、情報記憶部200と、洗い工程制御部202と、すすぎ工程制御部204と、脱水工程制御部206と、乾燥工程制御部208とを含む。
情報記憶部200は、後述する回転チャートと、上述した安全テーブルとを記憶する。
洗い工程制御部202は、後述する洗い工程を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40とを制御する。
すすぎ工程制御部204は、後述するすすぎ工程を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。すすぎ工程制御部204は、すすぎ工程を実施する際、特定ピークが安全テーブルに含まれた閾値を越えていた場合には、すすぎ工程の一部である攪拌すすぎ動作の期間、特定速度以下の回転速度で回転ドラム3を回転させ、特定ピークが閾値以下であった場合には、攪拌すすぎ動作の期間、回転チャートに従って回転ドラム3を回転させるように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御するユニットでもある。なお、本実施の形態における「特定ピーク」とは、すすぎ工程の一部であるすすぎ脱水動作の間に加速度センサ104が検知した加速度の成分が示す水槽2の振動の大きさのピークを意味する。本実施の形態における「特定速度」とは、特定ピークが閾値を越えた時点の回転ドラム3の回転速度を意味する。
脱水工程制御部206は、後述する脱水工程を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40とを制御する。
乾燥工程制御部208は、後述する乾燥工程を実施するように、駆動機構4と、ファンモータ50と、ヒータ54と、給水装置(図示せず)とを制御する。
すすぎ工程制御部204は、シャワーすすぎ制御部220と、ためすすぎ・注水すすぎ制御部222とを含む。
シャワーすすぎ制御部220は、シャワーすすぎ動作を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。ためすすぎ・注水すすぎ制御部222は、ためすすぎ動作あるいは注水すすぎ動作を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。
シャワーすすぎ制御部220は、識別部230と、注水制御部232と、速度制御部234とを含む。
識別部230は、加速度センサ104が検知した複数の方向の加速度の成分に基づいて、上述したアンバランス位置を識別する。識別部230は、アンバランス位置を識別するために、X方向の加速度の成分とY方向の加速度の成分との比を算出するユニットでもある。
注水制御部232は、速度制御部234の制御に合わせて、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。
速度制御部234は、シャワーすすぎ動作を攪拌すすぎ動作として実施する際、駆動機構4を制御する。速度制御部234の制御により、駆動機構4は、特定成分に基づいて特定されたアンバランス位置に対応する安全テーブルの閾値を特定ピークが越えていれば、シャワーすすぎ動作の後に再度脱水動作を実施する際、特定速度以下の回転速度で回転ドラム3を回転させる。また、速度制御部234の制御により、駆動機構4は、特定ピークが閾値以下であった場合には回転チャートに従って回転ドラム3を回転させる。なお、本実施の形態において「特定成分」とは、脱水動作の間に加速度センサ104が検知した加速度の成分を意味する。
ためすすぎ・注水すすぎ制御部222は、ためすすぎ制御部240と、注水すすぎ制御部242とを含む。
ためすすぎ制御部240は、ためすすぎを実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。
注水すすぎ制御部242は、注水すすぎを実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。
図10は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機が実施する運転の運転チャートである。図10においてハッチングが付されている欄は、その欄に対応する部材などが動作していることを示す。たとえば、その欄に弁が対応している場合、ハッチングが付されていることは、弁が開いていることを示し、ハッチングが付されていないことは、弁が閉じていることを示す。その欄に機構が対応している場合、ハッチングが付されていることは、その機構が稼動していることを示し、ハッチングが付されていないことは、その機構が稼動していないことを示す。その欄に洗いチャートその他の回転チャートが対応している場合、ハッチングが付されていることは、その回転チャートを参照して制御が行われていることを示し、ハッチングが付されていないことは、その回転チャートを参照した制御が行われていないことを示す。図10を参照して、本実施の形態に係るドラム式洗濯機が実施する運転を説明する。本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、表示・操作部11への入力により設定された条件に従って、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、あるいは乾燥工程の少なくとも1つを実行する。これらの各工程は、1つ以上の動作を含む。
まず、洗濯前の準備について説明する。水槽開口部60から回転ドラム3内に洗濯物が投入され、ドア10が閉じられると、図2に示すようにドア10の周縁にドアパッキン15の内周縁が密着する。そして、洗剤ケース(図示せず)にユーザが洗剤を入れ、かつユーザが表示・操作部11を操作すると、制御回路5からの指令により洗濯動作が開始される。
次に、洗い工程について説明する。洗い工程が開始されると、制御回路5が制御するロック機構(図示せず)によって、ドア10がロックされるとともに排水弁40が閉じた状態で洗濯用給水弁38が開かれる。洗濯用給水弁38が開くことによって水道水は接続ホース(図示せず)から洗剤ケース(図示せず)を経由して洗剤とともに水槽2および回転ドラム3の内部に流れ込む。水槽2内の水位が所定水位に達したことは、水位センサ107が検知する。水槽2内の水位が所定水位に達すると、負荷駆動回路37が洗濯用給水弁38を閉じる。洗濯用給水弁38が閉じられると、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させ始める。回転ドラム3の回転速度はROM25が記憶した回転チャートに基づいて制御される。これにより、所定時間だけ洗い動作が行われる。
回転チャートは、回転速度、反転時間、反転周期などといった、駆動機構4による回転ドラム3の回転の推移を示す情報である。回転チャートは、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程および乾燥工程といった種別、および洗濯物の種類に対応付けられてROM25に記憶されている。これらの回転チャートは、使用者によって選択されたり自動的に選択されたりする。
次に、すすぎ工程について説明する。すすぎ工程とは、いったん排水動作が実施された後、すすぎ脱水動作と攪拌すすぎ動作とを交互に複数回繰り返す工程である。
本実施の形態における排水動作は、排水弁40を作動させることにより、排水ダクト18および排水ホース20を介して外箱1の外部に洗濯液を排出させる動作を意味する。
すすぎ脱水動作は、排水弁40が開かれた状態で駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させる動作である。回転ドラム3の回転速度はすすぎ脱水動作用の回転チャート(図10における「脱水チャート(1)」)に基づいて制御される。この回転チャートは、回転ドラム3の回転を途中で休止させたり、回転ドラム3の回転速度を変えたりするように設定されている。このような回転は洗剤を多く含んだ洗濯液の脱水に適している。
すすぎ脱水動作により、洗濯物に含まれていた洗濯液は、回転ドラム3の回転により生じた遠心力で小孔64を通じて水槽2の内壁へと放出される。水槽2の内壁を伝って水槽2内の下部に流下した洗濯液は排水ダクト18および排水弁40を介して外部に排水される。
本実施の形態における攪拌すすぎ動作は、次の手順に従って給水と回転ドラム3の回転とを行う動作を意味する。第1に、負荷駆動回路37が排水弁40を閉じ、洗濯用給水弁38を開く。洗濯用給水弁38が開くことに伴って水槽2内の水位が所定水位に達すると負荷駆動回路37は洗濯用給水弁38を閉じる。第2に、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転速度は攪拌すすぎ動作用の回転チャートに基づいて制御される。攪拌すすぎ動作は、上述したすすぎ脱水動作により中間脱水が完了すると実施される。
なお、本実施の形態の場合、攪拌すすぎ動作の一種として、シャワーすすぎ動作が実施されることがある。本実施の形態におけるシャワーすすぎ動作は、制御回路5が、次の2種類の制御を行う動作である。第1の制御は、回転ドラム3を中速回転(本実施の形態の場合、毎分300回転)させながら、洗濯用給水弁38を開く制御である。これにより、接続ホース(図示せず)と給水口41とを通して水槽2の下部および排水ダクト18に水が貯まる。第2の制御は、水槽2の下部および排水ダクト18に水が貯まった後、循環ポンプ39を駆動させて、循環ホース46を介してシャワーノズル47より回転ドラム3の中に水を注水し水流を起こす制御である。これらの制御が実施されると、水道水は遠心力により洗濯物を透過するので、洗濯物に残留していた洗剤を効率良く除去することができる。洗濯物に残留していた洗剤を効率良く除去することができるので、すすぎ性能を確保しつつ運転時間の短縮と節水とを実現できる。
また、攪拌すすぎ動作中に、制御回路5は、すすぎ用給水弁44を開いてもよい。すすぎ用給水弁44が開かれると、柔軟仕上剤収納箱(図示せず)およびこれに連通するすすぎ給水経路(図示せず)から水槽2内へ柔軟仕上剤とともに水が注ぎ込まれる。
次に、脱水工程について説明する。脱水工程が開始されると、制御回路5によって、洗濯用給水弁38が閉じられ、排水弁40が開放される。これにより、水槽2内の洗濯液が外部に排出される排水動作が行われる。
排水動作が終了すると、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させ始める。回転ドラム3の回転速度は仕上げ脱水動作用の回転チャートに基づいて制御される。仕上げ脱水動作用の回転チャート(図10における「脱水チャート(2)」)に基づいて回転ドラム3の回転速度が制御されると、回転ドラム3の回転により生じた遠心力で小孔64を通じて水槽2の内壁へと放出される。水槽2の内壁を伝って水槽2内の下部に流下した洗濯液は排水ダクト18および排水弁40を介して外部に排水される。
なお、脱水工程では回転ドラム3の回転速度が低速から高速まで広い範囲に渡って変動するので、回転ドラム3内の洗濯物の配置が脱水工程の最中にアンバランスになったか否かを、この脱水工程の低速回転での運転状態を利用して判定することが好ましい。洗濯物が内壁に張り付く程度の低速回転(臨界速度)で回転ドラム3を回転させながら、回転ドラム3の偏芯荷重の大きさである偏芯量を検知するアンバランス検知を行い、偏芯量が判定値以下ならば回転ドラム3の回転をそのまま高速回転に移行させることができる。偏芯量が判定値を上回ったならば、回転ドラム3の回転を停止し、脱水工程を最初から再度やり直した上でアンバランス検知を再度行う。
偏芯量は、駆動機構4のモータ(図示せず)に入力される交流電力の位相と回転検知センサ105が出力したパルス信号の位相とに基づいて検知される。これらの位相差は偏芯量に対応している。これらの位相差が偏芯量に対応している(位相差が大きいほど洗濯物はアンバランスに回転ドラム3に張り付いている)ので、CPU23は、これらの位相差に基づいて偏芯量を算出できる。
回転ドラム3の回転が高速回転に移行した場合、回転ドラム3の高速回転時の遠心力により回転ドラム3の周壁内面に洗濯物が押し付けられると、洗濯物に含まれた洗濯液やすすぎ水は回転ドラム3の小孔64から排出される。洗濯液やすすぎ水は、回転ドラム3の小孔64から外方に飛ばされ、水槽2の内面を伝ってその下部に導かれ機外に排出される。
なお、脱水中に加速度センサ104が異常振動を検知した場合も、偏芯量が判定値を上回った場合と同様に回転を停止し、脱水工程を最初から再度やり直した上でアンバランス検知を再度行っても良い。
次に、乾燥工程について説明する。乾燥工程が開始されると、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させ始める。回転ドラム3の回転速度は乾燥工程用の回転チャートに基づいて制御される。
回転ドラム3が回転している間、ファンモータ50により送風ファン51が駆動される。さらに、給水装置(図示せず)によって除湿器42内に注水される。これらの動作により、回転ドラム3内の空気は、送風ファン51、ヒータ54、および送風ダクト56を順に通って吹出し口72から回転ドラム3内に戻される。こうして循環する空気は、ヒータ54に熱せられて熱風と化し、この熱風が回転ドラム3内に供給されることになるから、回転ドラム3内の洗濯物はその熱風により徐々に乾燥させられる。
さらに、この乾燥中、洗濯物から蒸発した水分は、回転ドラム3内から出る空気に含まれるが、この湿った空気は、除湿器42内を通るときに、この除湿器42内に注ぎ入れられた水で冷却されることにより凝縮される。その結果、この空気は除湿され、湿度の低い空気となる。こうして、除湿された空気は上記経路に沿って再び、送風ファン51およびヒータ54に至る。この動作を繰り返すことにより、乾燥工程が実行される。
回転ドラム3内の湿度や温度は、湿度センサまたは温度センサ(いずれも図示せず)によって検知される。これらの値が所定値になると乾燥工程は終了する。この乾燥工程において除湿により凝縮された水分は、除湿器42を下降して排水ダクト18、排水弁40および排水ホース20を介して外部に排出される。
図11を参照して、制御回路5で実行されるプログラムは、すすぎ工程に関し、以下のような制御を実行する。
ステップS100にて、注水制御部232として動作する負荷駆動回路37は、排水弁40を作動させる。これにより、排水ダクト18および排水ホース20を介して外箱1の外部に洗濯液が排出される。
ステップS102にて、速度制御部234として動作するCPU23と負荷駆動回路37とは、回転チャートに基づき、駆動機構4に回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3が回転を開始すると、回転検知センサ105は、速度制御部234として動作する状態検知回路34に回転速度を示す信号を入力する。加速度センサ104は、速度制御部234として動作する状態検知回路34に加速度を示す信号を入力する。速度制御部234として動作する状態検知回路34は、それらの信号が示す情報をマイクロコンピュータ22に入力する。マイクロコンピュータ22のCPU23は、それらの情報を対応付けてRAM24に記憶させる。このステップにおいて、CPU23とRAM24とは、速度制御部234として動作する。
ステップS104にて、シャワーすすぎ制御部220として動作するCPU23は、ステップS102にてRAM24に記憶されたデータに基づき、次に述べる手順を経て、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、安全テーブルに含まれた閾値を越えているか否かを判断する。その第1の手順は、識別部230として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分に基づき、アンバランス位置を識別するという手順である。第2の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、第1の手順において識別されたアンバランス位置に基づいて、閾値として使用する安全テーブルの値を選択するという手順である。第3の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が第2の手順において選択された閾値を越えているか否かを判断する手順である。加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えていると判断した場合には(ステップS104にてYES)、処理はステップS106へと移される。もしそうでないと(ステップS104にてNO)、処理はステップS108へと移される。
ステップS106にて、速度制御部234として動作するCPU23は、ステップS102にてRAM24に記憶されたデータのうち、加速度センサ104が検知したアンバランス量の最大値が安全テーブルに含まれた閾値に等しくなった時点の回転ドラム3の回転速度のデータを読み出す。回転速度のデータが読み出されると、速度制御部234として動作するCPU23は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスにそのデータを記憶させる。
ステップS108にて、速度制御部234として動作するCPU23は、回転チャートに基づいて駆動機構4を制御することにより、回転ドラム3を停止させる。これにより、中間脱水が終了する。
ステップS110にて、注水制御部232および速度制御部234として動作する制御回路5は、シャワーすすぎ動作を実施する。この際の回転も、回転チャートに基づいて制御される。
ステップS112にて、速度制御部234として動作する制御回路5は、駆動機構4に回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転速度は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスに記憶された回転速度である。回転速度以外の回転ドラム3の回転は、回転チャートに基づく。
ステップS114にて、速度制御部234として動作するCPU23は、シャワーすすぎ動作と中間脱水とを繰返すか否かを判断する。シャワーすすぎ動作と中間脱水とを繰返すと判断した場合には(ステップS114にてYES)、処理はステップS116へと移される。もしそうでないと(ステップS114にてNO)、処理はステップS110へと移される。
ステップS116にて、速度制御部234として動作するCPU23は、すすぎ工程を繰返すか否かを判断する。すすぎ工程を繰返すと判断した場合には(ステップS116にてYES)、処理はステップS118へと移される。もしそうでないと(ステップS116にてNO)、処理は終了する。
ステップS118にて、ためすすぎ制御部240あるいは注水すすぎ制御部242として動作する負荷駆動回路37が排水弁40を閉じ、洗濯用給水弁38を開く。洗濯用給水弁38が開くことに伴って水槽2内の水位が所定水位に達すると、ためすすぎ制御部240あるいは注水すすぎ制御部242として動作する負荷駆動回路37は洗濯用給水弁38を閉じる。その後、ためすすぎ制御部240あるいは注水すすぎ制御部242として動作する駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転速度は攪拌すすぎ動作用の回転チャートに基づいて制御される。攪拌すすぎ動作用の回転チャートには、ためすすぎ用の回転チャートと注水すすぎ用の回転チャートとが存在するが、それらのうちどちらの回転チャートに基づいて制御されるかは、RAM24が記憶した情報に基づく。なお、RAM24が記憶した情報によっては、シャワーすすぎが実施されてもよい。この場合、ためすすぎ・注水すすぎ制御部222ではなく、シャワーすすぎ制御部220の制御によりすすぎ動作が実施される。
ステップS120にて、ためすすぎ・注水すすぎ制御部222(ステップS118にてシャワーすすぎが実施された場合にはシャワーすすぎ制御部220)として動作する制御回路5は、駆動機構4に回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転速度は、回転チャートに基づく。ただし、ステップS118にてシャワーすすぎが実施された場合、回転ドラム3の回転速度は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスに記憶された回転速度である。この場合、回転速度以外の回転ドラム3の回転は、回転チャートに基づく。
図12は、すすぎ工程における回転チャートの一例を示す図である。図12を参照して、以上のような構造およびフローチャートに基づく、ドラム式洗濯機の動作について説明する。
制御回路5は、外箱1の外部に洗濯液を排出させる(ステップS100)。洗濯液が排出されると、制御回路5は、回転チャートに基づき、駆動機構4に回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3が回転を開始すると、RAM23は、回転速度の情報と加速度の情報とを対応付けて記憶する(ステップS102)。
回転ドラム3が回転を開始すると、CPU23は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、安全テーブルに含まれた閾値を越えているか否かを判断する(ステップS104)。
このため、CPU23は、(Y方向の加速度の大きさ)/(X方向の加速度の大きさ)により表わされる値をまず算出する。その値が算出されると、CPU23は、その値に基づいて、アンバランス位置を識別する。アンバランス位置が識別されると、CPU23は、そのアンバランス位置に対応する閾値をROM25の安全テーブルから読み出す。閾値が読み出されると、CPU23は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、読み出された閾値を越えているか否かを判断する。
この場合、加速度の成分の最大値が閾値を越えているとすると(ステップS104にてYES)、CPU23は、ステップS104にて読み出した閾値に加速度センサ104が検知した加速度の成分が等しくなった時点の回転ドラム3の回転速度のデータを読み出す。回転速度のデータが読み出されると、CPU23は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスにそのデータを記憶させる(ステップS106)。
データが記憶されると、制御回路5は、回転チャートに基づいて駆動機構4を制御することにより、回転ドラム3を停止させる(ステップS108)。
回転ドラム3が停止すると、制御回路5は、シャワーすすぎ動作を実施する(ステップS110)。シャワーすすぎ動作が実施されると、制御回路5は、駆動機構4に回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転速度は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスに記憶された回転速度である(ステップS112)。
回転ドラム3の回転が終了すると、CPU23は、シャワーすすぎ動作と中間脱水とを繰返すか否かを判断する(ステップS114)。この場合、シャワーすすぎ動作と中間脱水とを繰返すとすると(ステップS114にてYES)、ステップS110およびステップS112の処理が繰返される。
その後、シャワーすすぎ動作と中間脱水との繰返しが終了すると(ステップS114にてNO)、CPU23は、すすぎ工程を繰返すか否かを判断する(ステップS116)。図12において、「シャワーすすぎ」と記載された区間が、この時点までの回転ドラム3の回転速度や各種の弁の動きなどを示す。図12において、「ため/注水すすぎ」と記載された区間が、この時点以降の回転ドラム3の回転速度や各種の弁の動きなどを示す。この場合、すすぎ工程を繰返すとすると(ステップS116にてYES)、負荷駆動回路37が排水弁40を閉じ、洗濯用給水弁38を開く。洗濯用給水弁38が開くことに伴って水槽2内の水位が所定水位に達すると負荷駆動回路37は洗濯用給水弁38を閉じる。その後、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させる(ステップS118)。
攪拌すすぎ動作が終了すると、制御回路5は、駆動機構4に回転ドラム3を回転させる(ステップS120)。これにより、すすぎ工程における最後の中間脱水が実施される。
以上のようにして、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えている場合、シャワーすすぎにおける中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を所定の値に変更する。回転ドラム3の回転速度は、加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えない値に変更される。これにより、加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えることはなくなる。加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えないので、共振回転域の回転速度で回転ドラム3を回転させなくてはならない場合であっても、回転ドラム3を安全に回転させることができる。その上、本実施の形態の場合、回転ドラム3の回転速度は、安全テーブルに含まれた閾値のうちアンバランス位置に対応する値を加速度の成分の最大値が越えないように変更される。アンバランス位置が前側の場合、洗濯物が偏在している位置がサスペンション6にかかる荷重の重心から離れているため水槽2が振動する可能性は大きくなる。アンバランス位置に対応する閾値を加速度の成分の最大値が越えないように回転ドラム3の回転速度が変更されるので、振動する可能性が高い状況であっても水槽2の振動は未然に抑えられる。その結果、回転ドラム3を回転させた場合、その回転速度が共振回転域の回転速度であることにより異常振動が発生する可能性が高くても、その発生を未然に防止できるドラム式洗濯機を提供することができる。
なお、本実施の形態の変形例においては、安全テーブルに代えて、1種類の閾値がROM25に記憶されてもよい。この場合、アンバランス位置に関わらずアンバランス量の閾値は一定である。このため、ステップS104にて、CPU23はアンバランス位置を判断しなくてよい。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係るドラム式洗濯機について説明する。
本実施の形態に係るドラム式洗濯機のハードウェア構成については前述の第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
図13を参照して、制御回路5で実行されるプログラムは、すすぎ工程に関し、以下のような制御を実行する。なお、図13に示すフローチャートの中で、前述の図11に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
ステップS130にて、シャワーすすぎ制御部220として動作するCPU23は、ステップS102にてRAM24に記憶されたデータに基づき、次に述べる手順を経て、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、安全テーブルに含まれた閾値を越えているか否かを判断する。その第1の手順は、識別部230として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分に基づき、アンバランス位置を識別するという手順である。第2の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、第1の手順において識別されたアンバランス位置に基づいて、閾値として使用する安全テーブルの値を選択するという手順である。第3の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が第2の手順において選択された閾値を越えているか否かを判断する手順である。加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えていると判断した場合には(ステップS130にてYES)、処理はステップS132へと移される。もしそうでないと(ステップS130にてNO)、処理はステップS108へと移される。
ステップS132にて、速度制御部234として動作するCPU23は、ステップS102にてRAM24に記憶されたデータのうち、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値に等しくなった時点の回転ドラム3の回転速度のデータを読み出す。回転速度のデータが読み出されると、速度制御部234として動作するCPU23は、その値と所定の値(規定値)との差を算出する。差が算出されると、速度制御部234として動作するCPU23は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスにその差を示すデータを記憶させる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、ドラム式洗濯機の動作について説明する。
回転ドラム3が回転を開始すると、CPU23は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、安全テーブルに含まれた閾値を越えているか否かを判断する(ステップS130)。
このため、CPU23は、アンバランス位置を判断する。アンバランス位置が判断されると、CPU23は、そのアンバランス位置に対応する閾値をROM25が記憶した安全テーブルから読み出す。閾値が読み出されると、CPU23は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、読み出された閾値を越えているか否かを判断する。
この場合、加速度センサ104が検知した加速度の最大値がROM25から読み出された閾値を越えているとすると(ステップS130にてYES)、CPU23は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値に等しくなった時点の回転ドラム3の回転速度と規定値との差を算出する。差が算出されると、CPU23は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスにその差を示すデータを記憶させる(ステップS132)。
以上のようにして、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えている場合、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を所定の値から変更する。回転ドラム3の回転速度は、安全テーブルに含まれた閾値から規定値を差し引いた値に変更される。これにより、加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えることはなくなる。その最大値が安全テーブルに含まれた閾値を偶発的に越えることもなくなる。これにより、回転ドラム3を回転させることに関する安全性は高くなる。その結果、回転ドラム3を回転させた場合、その回転速度が共振回転域の回転速度であることにより異常振動が発生する可能性が高くても、その発生を未然に防止できるドラム式洗濯機を提供することができる。
なお、本実施の形態の変形例においては、安全テーブルに代えて、1種類の閾値がROM25に記憶されてもよい。この場合、アンバランス位置に関わらずアンバランス量の閾値は一定である。このため、ステップS130にて、CPU23はアンバランス位置を判断しなくてよい。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係るドラム式洗濯機について説明する。
本実施の形態の場合、ROM25は、第1の実施の形態にかかるROM25が記憶したデータに加え、回転速度のデータを衣類の量に対応付けて記憶する。
図14は、本実施の形態に係る制御回路5の機能ブロック図である。図14を参照して、本実施の形態に係る制御回路5は、情報記憶部200と、洗い工程制御部202と、すすぎ工程制御部210と、脱水工程制御部206と、乾燥工程制御部208とを含む。
すすぎ工程制御部210は、すすぎ工程を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。すすぎ工程制御部210は、すすぎ工程を実施する際、特定ピークが安全テーブルに含まれた閾値を越えていた場合には、すすぎ工程の一部である攪拌すすぎ動作の期間、回転ドラム3の中の衣類の量に応じた特定速度以下の回転速度で回転ドラム3を回転させ、特定ピークが閾値以下であった場合には、攪拌すすぎ動作の期間、回転チャートに従って回転ドラム3を回転させるように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御するユニットでもある。
すすぎ工程制御部210は、シャワーすすぎ制御部224と、ためすすぎ・注水すすぎ制御部222とを含む。
シャワーすすぎ制御部224は、シャワーすすぎ動作を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。
シャワーすすぎ制御部224は、識別部230と、注水制御部232と、速度制御部234と、経過時間測定部236と、物量算出部238とを含む。
経過時間測定部236は、経過時間を測定する。物量算出部238は、回転検知センサ105が検知した回転ドラム3の回転と経過時間測定部236が測定した時間とに基づいて、回転ドラム3の中の衣類の量を算出する。回転ドラム3の内部の衣類は、回転ドラム3が回転すると、バッフル68により持ち上げられる。これにより、駆動機構4にトルクがかかるので、回転ドラム3が半周回転するまでに費やされる時間は回転ドラム3の中の衣類の量に対応する。その結果、物量算出部238は、回転ドラム3の中の衣類の量を算出することができる。
なお、その他のハードウェア構成については前述の第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
図15を参照して、制御回路5で実行されるプログラムは、すすぎ工程に関し、以下のような制御を実行する。なお、図15に示すフローチャートの中で、前述の図11に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
ステップS140にて、シャワーすすぎ制御部220として動作するCPU23は、ステップS102にてRAM24に記憶されたデータに基づき、次に述べる手順を経て、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、安全テーブルに含まれた閾値を越えているか否かを判断する。その第1の手順は、識別部230として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分に基づき、アンバランス位置を識別するという手順である。第2の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、第1の手順において識別されたアンバランス位置に基づいて、閾値として使用する安全テーブルの値を選択するという手順である。第3の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が第2の手順において選択された閾値を越えているか否かを判断する手順である。加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えていると判断した場合には(ステップS140にてYES)、処理はステップS142へと移される。もしそうでないと(ステップS140にてNO)、処理はステップS108へと移される。
ステップS142にて、速度制御部234として動作するCPU23は、ROM25が記憶した回転速度のデータのうち、予め測定しておいた回転ドラム3の中の衣類の量に対応するデータを読出す。回転速度のデータが読み出されると、CPU23は、中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスにそのデータを記憶させる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、ドラム式洗濯機の動作について説明する。
ステップS102の処理を経て、回転ドラム3が回転を開始すると、CPU23は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が閾値を越えているか否かを判断する(ステップS140)。この場合、加速度の成分の最大値が閾値を越えているとすると(ステップS140にてYES)、CPU23は、ROM25が記憶した回転速度のデータのうち、予め測定しておいた回転ドラム3の中の衣類の量に対応するデータを中間脱水の際の回転ドラム3の回転速度を記憶するためのRAM24のアドレスに記憶させる(ステップS142)。
以上のようにして、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、加速度の成分の最大値が閾値を越えている場合、シャワーすすぎの後の中間脱水の際、回転ドラム3の回転速度を所定の値に変更する。回転ドラム3の回転速度は、加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えない、回転ドラム3の中の衣類の量に応じた値に変更される。これにより、加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えることはなくなる。ドラム式洗濯機においては、洗濯物の量が洗濯ごとに変動する場合、シャワーすすぎ中に水槽2の振動が大きくなる現象が生じる。洗濯物の量が多くかつ洗濯物が回転ドラム3の中で偏在している場合、そうでない場合に比べて水槽2の振動は大きくなる。加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えないので、洗濯物の量が一定でなくても、水槽2の振動を効果的に抑制することができる。その結果、回転ドラム3を回転させた場合、その回転速度が共振回転域の回転速度であることにより異常振動が発生する可能性が高ければ、洗濯物の量が一定でなくても、異常振動の発生を未然に防止できるドラム式洗濯機を提供することができる。
なお、本実施の形態の変形例においては、安全テーブルに代えて、1種類の閾値がROM25に記憶されてもよい。この場合、アンバランス位置に関わらずアンバランス量の閾値は一定である。このため、ステップS140にて、CPU23はアンバランス位置を判断しなくてよい。
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態に係るドラム式洗濯機について説明する。
本実施の形態に係るドラム式洗濯機のハードウェア構成については前述の第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
図16を参照して、制御回路5で実行されるプログラムは、すすぎ工程に関し、以下のような制御を実行する。なお、図16に示すフローチャートの中で、前述の図11に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
ステップS150にて、シャワーすすぎ制御部220として動作するCPU23は、ステップS102にてRAM24に記憶されたデータに基づき、次に述べる手順を経て、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、安全テーブルに含まれた閾値を越えているか否かを判断する。その第1の手順は、識別部230として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分に基づき、アンバランス位置を識別するという手順である。第2の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、第1の手順において識別されたアンバランス位置に基づいて、閾値として使用する安全テーブルの値を選択するという手順である。第3の手順は、速度制御部234として動作するCPU23が、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が第2の手順において選択された閾値を越えているか否かを判断する手順である。加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えていると判断した場合には(ステップS150にてYES)、処理はステップS152へと移される。もしそうでないと(ステップS150にてNO)、処理はステップS108へと移される。
ステップS152にて、速度制御部234として動作するCPU23は、回転チャートに基づいて駆動機構4を制御することにより、回転ドラム3を停止させる。これにより、中間脱水が終了する。
ステップS154にて、ためすすぎ・注水すすぎ制御部222として動作する制御回路5は、予めRAM24に記憶されていた情報に従って、ためすすぎ動作または注水すすぎ動作を実施する。
ステップS156にて、ためすすぎ・注水すすぎ制御部222として動作する制御回路5は、ステップS154にて開始した動作を終了するための処理を実施する。なお、これ以降の制御回路5の処理は周知であるので、ここではその詳細な説明は繰返さない。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、ドラム式洗濯機の動作について説明する。
ステップS102の処理を経て、CPU23は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が、安全テーブルに含まれた閾値を越えているか否かを判断する(ステップS150)。この場合、加速度の成分の最大値が閾値を越えているとすると(ステップS150にてYES)、CPU23は、中間脱水を終了させる(ステップS152)。中間脱水が終了すると、制御回路5は、ためすすぎ動作または注水すすぎ動作を実施する(ステップS154)。その後、制御回路5は、ためすすぎ動作または注水すすぎ動作を終了させる(ステップS156)。
以上のようにして、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、加速度センサ104が検知した加速度の成分の最大値が安全テーブルに含まれた閾値を越えている場合、ためすすぎ動作または注水すすぎ動作を実施する。これにより、シャワーすすぎと中間脱水とを繰り返せば水槽2が異常に振動すると予測できる場合、そのようなすすぎ工程は実施されない。そのようなすすぎ工程が実施されないので、水槽2が異常に振動することを未然に防止できる。水槽2の異常な振動が未然に防止されるので、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、安全にすすぎを実施できる。その結果、回転ドラム3を回転させた場合、その回転速度が共振回転域の回転速度であることにより異常振動が発生する可能性が高くても、その発生を未然に防止できるドラム式洗濯機を提供することができる。
なお、本実施の形態の変形例においては、安全テーブルに代えて、1種類の閾値がROM25に記憶されてもよい。この場合、アンバランス位置に関わらずアンバランス量の閾値は一定である。このため、ステップS150にて、CPU23はアンバランス位置を判断しなくてよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 外箱、2 水槽、3 回転ドラム、4 駆動機構、5 制御回路、6 サスペンション、10 ドア、11 表示・操作部、15 ドアパッキン、18 排水ダクト、20 排水ホース、22 マイクロコンピュータ、23 CPU、24 RAM、25 ROM、26 タイマ、27 I/Oポート、28 システムバス、29 制御部、30 演算部、31 電源回路、32 リセット回路、33 入力キー回路、34 状態検知回路、35 表示装置駆動回路、36 ブザー駆動回路、37 負荷駆動回路、38 洗濯用給水弁、39 循環ポンプ、40 排水弁、41 給水口、42 除湿器、44 すすぎ用給水弁、46 循環ホース、47 シャワーノズル、50 ファンモータ、51 送風ファン、54 ヒータ、56 送風ダクト、72 吹出し口、60 水槽開口部、62 流体バランサ、64 小孔、66 ドラム開口部、68 バッフル、70 突出部、102 表示装置、103 ブザー、104 加速度センサ、105 回転検知センサ、107 水位センサ、200 情報記憶部、202 洗い工程制御部、204,210 すすぎ工程制御部、206 脱水工程制御部、208 乾燥工程制御部、220,224 シャワーすすぎ制御部、222 ためすすぎ・注水すすぎ制御部、230 識別部、232 注水制御部、234 速度制御部、236 経過時間測定部、238 物量算出部、240 ためすすぎ制御部、242 注水すすぎ制御部。