JP2008184346A - オリビン型化合物超微粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一般式LiMPO4(MはMn、Fe、CoまたはNiを表す)で表されるオリビン型化合物を製造する方法であって、(i)金属Mの水溶性塩、リチウムLiの水溶性塩、およびリン酸を、モル比で、金属Mの水溶性塩に対して、リチウムLiの水溶性塩を10倍以上、且つ、リン酸を5倍以上の割合で水中に溶かし攪拌・加熱して水分を除去する工程、(ii)前記工程(i)で得られた混合物を500〜700℃の温度下に焼成する工程、および(iii)前記工程(ii)で得られた粉末をリン酸二水素アンモニウムまたはリン酸一水素アンモニウムの水溶液で洗浄する工程を含む方法。200〜800nmの粒径を有するオリビン型化合物超微粒子が得られる。
【選択図】 図1
Description
845-858(非特許文献1)〕。このようにして得られたオリビン型化合物は、粒子が互いに凝集しマイクロメータオーダの粒径を有しており、このことが低導電率の一因であった。正極活物質の導電性を向上させ、高出力の電池を得るためには、正極活物質を構成する粒子の粒径を可及的に小さくして電荷移動の速度を高めることが必要と考えられるが、これを実現し得る簡便な量産技術は見当たらない。
M. Th. Paques-Ledent, Ind. Chim. Belg.,Vol.39, (1974) 845-858
すなわち、本発明は、一般式LiMPO4(MはMn、Fe、CoまたはNiを表す)で表されるオリビン型化合物を製造する方法であって、(i)金属Mの水溶性塩、リチウムLiの水溶性塩、およびリン酸を、モル比で、金属Mの水溶性塩に対して、リチウムLiの水溶性塩を10倍以上、且つ、リン酸を5倍以上の割合で水中に溶かし攪拌・加熱して水分を除去する工程、(ii)前記工程(i)で得られた混合物を500〜700℃の温度下に焼成する工程、および(iii)前記工程(ii)で得られた粉末をリン酸二水素アンモニウムまたはリン酸一水素アンモニウムの水溶液で洗浄する工程、を含むことを特徴とする方法を提供するものである。
以下に本発明の特徴を更に具体的に示すために実施例を記すが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
酢酸リチウム〔CH3COOLi・2H2O〕と、酢酸マンガン〔(CH3COO)2Mn・4H2O〕と、リン酸〔H3PO4〕とを、モル比で、40:1:14、22:1:8、4:1:2、および1:1:1となるように秤量した。
それぞれの場合において、先ず、酢酸リチウムと酢酸マンガンを純水に溶かし、その後、リン酸を加えたところ、沈殿物が生じた。140℃で加熱しながら攪拌を続け水分を完全に除去して薄桃色の混合物を得た。この混合物をアルミナ乳鉢で粉砕・混合し粉末にした。
焼成して得られた混合物を多量の、濃度1Mのリン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)水溶液で洗浄し、その後純水で洗浄し、遠心分離に供し、不純物を除去した。
次に、大気中で80℃、24時間乾燥させることにより所望のLiMnPO4微粒子を得た。
なお、比較のために、以下のように、従来法(固相法)によるLiMnPO4の合成も行った:Li2CO3とMn2O3とP2O5をモル比1:1:1になるようにアルゴン雰囲気グローブボックス内で秤量し混合した。この混合物を大気中500℃で15時間仮焼成した後、大気中800℃で36時間本焼成することによりLiMnPO4を得た。
図2に、酢酸リチウム:酢酸マンガン:リン酸=40:1:14および22:1:8(モル比)の場合の焼成後(洗浄前)と洗浄後のXRD(X線回折)プロファイルを示す。いずれも、LiMnPO4の単相が得られていることが理解される。酢酸リチウム:酢酸マンガン:リン酸=4:1:2および1:1:1の場合についてもXRD測定を行ったところ、前者についてはLiMnPO4の単相が得られたことが認められ、後者についてはほぼLiMnPO4の単相が得られたことが認められた。
酢酸リチウム:酢酸マンガン:リン酸=40:1:14のモル比で実施例1において合成したLiMnPO4を正極活物質とする非水電解質二次電池(リチウム電池)を作製して充放電試験を行った。比較のために、上記の従来法(固相法)により合成されたLiMnPO4を正極活物質とする電池についても同様に充放電試験を行った。
正極は、正極活物質:AB(アセチレンブラック):PTFE(結着剤)=70:25:5(重量%)の組成とした。すなわち、正極活物質をABとともに遊星ボールミル(伊藤製作所製、LP−4/2)にて乾式混合した後、アルゴン雰囲気中600℃で1時間アニール処理し、次にPTFEを加えてペレットを作成して正極とした。負極はLi金属(本城金属製)であり、また、電解液は1MのLiPF6/EC:DMC(1:1vol%)(富山薬品工業製)である。
充放電試験は、次のように行った:充電は、4.5Vまで0.1mA/cm2で定電流充電し、その後、4.5Vで170mAh/gまで定電圧充電することにより行った。放電は、0.1、1.0、2.0、および5.0mA/cm2の各電流密度で2Vまで定電流放電することにより行った。
図8は、Cレートと放電容量との関係を示す。本発明によるHiMnPO4を正極活物質とする電池は、固相法により合成したLiMnO4を用いる電池よりも、レート特性が著しく向上しており、長時間にわたり大放電容量を有することが分かる。
Claims (8)
- 一般式LiMPO4(MはMn、Fe、CoまたはNiを表す)で表されるオリビン型化合物を製造する方法であって、(i)金属Mの水溶性塩、リチウムLiの水溶性塩、およびリン酸を、モル比で、金属Mの水溶性塩に対して、リチウムLiの水溶性塩を10倍以上、且つ、リン酸を5倍以上の割合で水中に溶かし攪拌・加熱して水分を除去する工程、(ii)前記工程(i)で得られた混合物を500〜700℃の温度下に焼成する工程、および(iii)前記工程(ii)で得られた粉末をリン酸二水素アンモニウムまたはリン酸一水素アンモニウムの水溶液で洗浄する工程、を含むことを特徴とする方法。
- 工程(i)において、モル比で、金属Mの水溶性有機酸塩に対して、リチウムLiの水溶性有機酸塩を30〜50倍、且つ、リン酸を10〜20倍とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 工程(ii)において550℃〜650℃の温度下に焼成することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
- 金属Mの水溶性塩およびリチウムLiの水溶性塩が、それぞれの酢酸塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 金属MがマンガンMnであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 請求項1の方法によって製造され200〜800nmの粒径を有することを特徴とするオリビン型化合物超微粒子。
- LiMnPO4であることを特徴とする請求項6に記載のオリビン型化合物超微粒子。
- 請求項6または7に記載のオリビン型化合物超微粒子からなることを特徴とする非水電解質二次電池用電極活物質。
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