JP2012197214A - オリビン型リチウム遷移金属酸化物およびその製造方法 - Google Patents

オリビン型リチウム遷移金属酸化物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オリビン型リチウム遷移金属酸化物からなり、良好な充放電特性を有する正極活物質を提供する。
【解決手段】本発明にかかるオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLi(Mn1−y)PO(式中x、yは、0.9<x<1.3、0≦y<1であり、Mは、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であり、フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛のフラックス剤を含む原料スラリーから製造されたことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主としてリチウムを可逆的にドープ及び脱ドープ可能な正極活物質に用いられるオリビン型リチウム遷移金属酸化物およびその製造方法に関する。
非水電解質二次電池の正極活物質として用いられるリチウム遷移金属酸化物は、二次電池を構成したときの作用電圧が4Vと高く、また、大きな容量が得られることで知られている。そのため、リチウム遷移金属酸化物を正極活物質として利用したリチウムイオン二次電池は、携帯電話、ノート型パソコンおよびデジタルカメラ等の電子機器の電源として多く用いられている。また、近年、環境への配慮から、電気自動車、ハイブリッド自動車などに搭載される大型の二次電池の用途向けにリチウムイオン二次電池の要求が高くなっている。
特に、遷移金属としてコバルトを利用したリチウム遷移金属酸化物(コバルト酸リチウム)と比較して安全で安価な正極活物質として、例えば、特許文献1に開示されるように、3.5V級の電圧をもつオリビン型リチウム鉄複合酸化物が注目されている。
このオリビン型リチウム鉄複合酸化物は、リチウムイオン二次電池の正極活物質として、ポリアニオンを基本骨格とするオリビン型結晶構造を有し、例えば、組成式がLiFePOで表される化合物が知られている。これらの化合物は二次電池の正極活物質として使われた際、充放電に伴う結晶構造変化が少ないためサイクル特性に優れ、また結晶中の酸素原子がリンとの共有結合により安定して存在するため電池が高温環境下に晒された際にも酸素放出の可能性が小さく安全性に優れるというメリットがある。
さらに、組成式がLiFePOで表される化合物よりも電位が高い化合物として、その組成式中のFeの少なくとも一部をMnで置き換えた、例えば、LiFeMnPOやLiMnPOのような化合物が挙げられる。
特表2008−536285号公報
しかしながら、このようなオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、LiFePOよりも電位は高いが、正極活物質として電池の極板に塗付したときに、充填性が低いのでエネルギー密度が低くなるだけでなく、正極活物質が極板から剥離する確率も高く、また、剥離を防止しようとすると充放電特性が悪化するなど、現状では使用が困難とされてきた。
そこで、本発明は、充放電特性が良好でかつ正極活物質として用いたときに充填性が高く、極板からの剥離が抑えられるオリビン型リチウム遷移金属酸化物およびその製造方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛のフラックス剤を含む原料スラリーから製造されたことを特徴とする。
すなわち、本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLi(Mn1−y)PO(式中x、yは、0.9<x<1.3、0≦y<1であり、Mは、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であるオリビン型リチウム遷移金属酸化物であって、フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛のフラックス剤を含む原料スラリーから製造されたことをこと特徴とする。
ここでフラックス剤とは、焼結反応を促進させるために含まれるものであり、フラックス剤により母材の融点を低下させる。
また、本発明は、組成がLi(Mn1−y)PO(式中x、yは、0.9<x<1.3、0≦y<1であり、Mは、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であるオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法であって、
Mnおよび/またはMのリン酸化物と、リチウム源と、炭素源と、溶媒と、フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛を含むフラックス剤と、を含む原料スラリーを調製する工程と、
前記原料スラリーに含まれる粒子を粉砕処理する工程と、
前記粉砕処理した前記原料スラリーを噴霧乾燥して前駆体を得る工程と、
前記前駆体を熱処理する工程と、
を有することを特徴とする。
以上のように構成された本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物によれば、充放電特性が良好でかつ正極活物質として用いたときに充填性が高く、極板からの剥離が抑えられるオリビン型リチウム遷移金属酸化物を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛を含むフラックス剤を用いることにより、正極活物質に適したオリビン型リチウム遷移金属酸化物を製造することができる。
本発明を実施するための形態を説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのオリビン型リチウム遷移金属酸化物を例示するものであって、本発明は、オリビン型リチウム遷移金属酸化物を以下に限定するものではない。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、オリビン型リチウム遷移金属酸化物の組成がLi(Mn1−y)PO(式中x、yは、0.9<x<1.3、0≦y<1であり、Mは、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であり、フラックス剤として、フッ化アルミニウム又は塩化亜鉛を含ませることにより、充放電特性を劣化させることなく正極活物質として用いたときに充填性を高め、極板からの剥離が抑えられることを見出して本発明を成すに至った。
(オリビン型リチウム遷移金属酸化物)
先ず、本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物について述べる。本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物の組成は、Li(Mn1−y)POである。ただし、組成式中のx、yは、0.9<x<1.3、0≦y<1である。また、Mは、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。
ここで、xが0.9より小さいと、電池の理論容量が低下するので好ましくない。また、xが1.3より大きいと、不純物の量が増えることにより、電池特性が低下するので好ましくない。また、xのより好ましい範囲は、1.0<x<1.1である。
まず、本発明者らは、オリビン型リチウム遷移金属酸化物を正極活物質として用いたときに極板から剥離する原因が熱処理時における焼結が不十分であり、熱処理後に得られるオリビン型リチウム遷移金属酸化物の見掛け密度が低く、粒子の内部が疎なため、電池の極板に塗布するときの接着剤が粒子の内部にまで侵入して粒子と極板との接着に寄与する接着剤の量が相対的に減少するためと考えた。
そこで、上記組成のオリビン型リチウム遷移金属酸化物に種々のフラックス剤を添加して焼結度合いを検討した。
その結果、フッ化アルミニウムと塩化亜鉛がそれぞれオリビン型リチウム遷移金属酸化物の焼結性を向上させることができ、熱処理後に得られるオリビン型リチウム遷移金属酸化物の見掛け密度を添加しない場合に比較して高くできることを見出した。具体的には、オリビン型リチウム遷移金属酸化物の見掛け密度を1.0g/cm以上とすることが可能であることが見出された。
また、オリビン型リチウム遷移金属酸化物の見掛け密度は高くなりすぎるとLiの拡散性が低下し充放電特性が悪化する為、見掛け密度は、1.8g/cm以下であることが好ましい。
本明細書において、「見掛け密度」とは、粉末を一定容積の容器の中に、一定状態で入れたときに、容器内に入る粉末の重量を測定し、単位体積あたりの質量を算出したものである。
また、フッ化アルミニウムや塩化亜鉛は、それぞれオリビン型リチウム遷移金属酸化物の焼結性を向上させることから、正極活物質として用いたときに熱処理後の結晶子径が大きくなる傾向にあり、結晶子径が大きくなると充放電特性が悪化する。しかしながら、フッ化アルミニウム又は塩化亜鉛を含むオリビン型リチウム遷移金属酸化物を、正極活物質として用いたときの熱処理後の結晶子径は、熱処理前の原料粉体の粒子径やフッ化アルミニウム若しくは塩化亜鉛との混合状態等を調整することにより結晶子径を抑えることは可能である。
例えば、原料粉体に対するフラックス剤(フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛)の添加量が多くなるとオリビン型リチウム遷移金属酸化物の結晶子径が大きくなる傾向があるが、その場合には、例えば、混合時間を長くして混合状態を良好にして、例えば、熱処理温度を下げたり、熱処理時間を短くしたりすることにより結晶子径を抑えることができる。この結晶子径は80nm以下に抑えることが好ましい。結晶子径が80nmを超えると、充放電容量が小さくなるからである。より好ましくは、30nm以上55nm以下に設定する。オリビン型リチウム遷移金属酸化物の結晶子径が30nmより下回る場合も同様に充放電容量が悪化する傾向がある。
オリビン型リチウム遷移金属酸化物の結晶子径は、特定の回折角(面)のピーク高さと半価幅(FWHM:Full Width Half Maximum)より、いわゆるシェラー(Scherrer)の式を用いて、不均一歪みはないとの仮定のもとに結晶子の平均的なサイズを求めたものをいう。
なお、オリビン粒子のX線回折プロファイルは、非常に多数のピークを示すが、結晶子を求めるピークとしては、例えば、格子面(031)面起因のピークが適当である。このピークの場合、他のピークから距離があるので、他のピークからの干渉を受けにくく正確な値が得られるからである。
また、正極活物質として用いる際の本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物の平均二次粒子径は、2μm以上15μm以下であることが好ましい。平均二次粒子径が2μm未満であったり、15μmを越えたりする場合は、正極活物質をリチウムイオン二次電池の極板に塗布する際に、その作業性が悪化するため好ましくない。さらに15μmを越える場合、充填密度が低下するため好ましくない。より好ましくは、オリビン型リチウム遷移金属酸化物の平均二次粒子径が、4μm以上7μm以下である。
ここでいうオリビン型リチウム遷移金属酸化物の平均二次粒子径は、レーザー回折法で測定したメディアン径(d50)の値である。
さらに、正極活物質として用いる際の本発明に係るオリビン型リチウム遷移金属酸化物の炭素含有量は、0.2重量%以上10重量%以下であり、二次粒子の内部や表面に存在することが好ましい。炭素含有量が0.2重量%未満の場合、電気抵抗が大きくなる。また、炭素含有量が10重量%を超える場合、重量当たりの放電容量が小さくなる。好ましくは、0.5重量%以上5重量%以下である。
以下、本発明のオリビン型リチウム遷移金属酸化物およびそのオリビン型リチウム遷移金属酸化物を使用した正極活物質の製造方法の例を説明する。
形態1
<スラリー作製>
目的とするオリビン型リチウム遷移金属酸化物の組成の化学量論比となるように、各原料(リン酸化物、リチウム源および炭素源)を秤量した後、Mnおよび/またはMのリン酸化物と分散媒に、さらに、リチウム源と、炭素源とを含有させて、原料スラリーを作製する。各原料は、通常、粒子状の原料として供給される。
原料のリン酸化物は、リン酸化物(II)やリン酸化物(III)とすることができる。リン酸化物として、例えば、リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)、リン酸マンガン(II)、リン酸マンガン(III)、リン酸コバルト(II)を挙げることができる。
また、リン酸化物の粒径は、製造工程における作業性を考慮して平均二次粒子径が5μm以上10μm以下であることが好ましい。
原料のリン酸化物は、不純物を取り除くため、他の原料との混合前に洗浄処理しておくことが好ましい。洗浄処理されたリン酸化物には、分散媒が添加される。この分散媒としては、水、アセトン、エタノールなどの有機溶媒が使用できる。なかでも、取り扱いが容易で安価であることから、水が好ましい。
原料のリチウム源としては、リチウムを含有するものであれば如何なる材料でも使用することができる。例えば、リン酸リチウム、リン酸二水素リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、または水酸化リチウム、並びにこれらの混合物である。これらのうち、取り扱いが容易である点や環境への安全性を配慮すると、炭酸リチウムが好ましい。
原料の炭素源としては、グルコース、ショ糖、ラクトースなどの糖類、グリセリン、アスコルビン酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの有機化合物が使用できる。これらのうち、取り扱いが容易な点からショ糖が炭素源として好ましい。これらの炭素源は、オリビン型リチウム遷移金属酸化物に導電性を付与する炭素源としてだけでなく、原料中の金属元素を還元するための炭素源としても利用することができる。
<フラックス剤混合>
フラックス剤としてフッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛を上記スラリーに添加し、混合する。
フラックス剤は、5.0μm以下の粒子径の粉体を添加するか、又は、後述の粉砕工程でフラックス剤の粉体の粒子径が5.0μm以下になるまで粉砕することが好ましい。
尚、フラックス剤の添加量は、製造工程条件の設定を容易にするために、組成中のマンガン(Mn)およびMに対し、元素比で0.1mol%以上3.0mol%以下であるのが好ましく、特に、0.1mol%以上1.5mol%以下であるとより好ましい。
<粉砕>
スラリー状態で、スラリーに含まれる粒子状の原料(および、必要に応じて粒子状のフラックス剤)を粉砕処理して微細化する。
上述のように、各原料(リン酸化物、リチウム源および炭素源)は、通常、粒子状の原料として供給されるので、これらの粒子状の原料を細かく粉砕して混合する。粉砕処理の方法として、例えば、湿式粉砕混合が挙げられる。湿式粉砕混合は、粉砕する目的物を分散媒(例えば、水)に入れ1mm前後のメディアを使用しローラー台で回すことによる粉砕する方法であり、乾式粉砕混合より細かく粉砕することができる。
<乾燥>
粉砕処理したスラリーを噴霧乾燥して前駆体とする。
噴霧乾燥とは、乾燥させたいスラリーをシャワー状に噴霧して、この噴霧されたスラリーに熱風を吹きつけることにより乾燥させる方法である。これにより、一次粒子の集合体である二次粒子(球形)を前駆体として形成することができる。
<熱処理>
噴霧乾燥した前駆体を不活性雰囲気または還元雰囲気の下で熱処理する。
熱処理工程において、その雰囲気は、窒素を含む不活性雰囲気あるいは、水素またはアンモニアを含む還元雰囲気であることが好ましく、水素および窒素を含む雰囲気であることが、より好ましい。熱処理温度は、500℃以上800℃以下が好ましく、より好ましくは、600℃以上700℃以下である。
以上のようにして本発明のオリビン型リチウム遷移金属酸化物を使用した正極活物質を製造することができる。
形態2
以上の形態1の製造方法では、フラックス剤を含んでいないスラリーを作製した後、フラックス剤を混合するようにしたが、この形態2では、スラリーを作製するときに粉砕したフラックス剤をオリビン型リチウム遷移金属酸化物の原料に混ぜてスラリーを作製している。
この形態2において、作製したスラリーは形態1で説明した粉砕処理、乾燥、熱処理工程を経て正極活物質が製造される。
尚、フラックス剤の粉砕は、湿式粉砕であっても乾式粉砕であってもよく、上述したように粒子径が5.0μm以下になるまで粉砕することが好ましい。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
<実施例1>
リン酸化物である(Mn0.7Fe0.3(PO:179g(Mn、Feとして1.5mol)と、リチウム源であるリン酸リチウム(LiPO):61gと、炭素源であるショ糖:27g(1gのMn、Feに対して0.325g)と、微粒子化したフッ化アルミニウム:0.7g(Mn、Feに対して0.5mol%)と、分散媒として純水1700mlと、を混合しスラリーとした。そのスラリーを容量が5000mlのボールミルにいれ、アルミナボールを用いて、40時間粉砕処理して粒子状の原料を微細化した。
粉砕処理したスラリーを、噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥し、前駆体を得た。その後、その前駆体を窒素ガス雰囲気下、700℃にて10時間熱処理し、オリビン型リチウム遷移金属酸化物を得た。
X線回折装置を用いて、得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物の相同定を行った。X線としては、CuKα線(波長:λ=1.54nm)を用いて分析した結果、オリビン型リチウム遷移金属酸化物が確認され、また不純物のピークは見られなかった。得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLiMn0.7Fe0.3PO、見掛け密度が1.0g/cm、結晶子径が419Å(41.9nm)、平均二次粒子径が5.0μmであった。
<実施例2>
フッ化アルミニウムの添加量をMn、Feに対して1.0mol%に変更する以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLiMne0.7Fe0.3PO、見掛け密度が1.1g/cm、結晶子径が542Å(54.2nm)、平均二次粒子径が5.0μmであった。
<実施例3>
フッ化アルミニウムの添加量をMn、Feに対して1.5mol%に変更する以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLiMne0.7Fe0.3PO、見掛け密度が1.2g/cm、結晶子径が773Å(77.3nm)、平均二次粒子径が4.8μmであった。
<実施例4>
フッ化アルミニウムの添加量をMn、Feに対して2.0mol%に変更する以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLiMne0.7Fe0.3PO、見掛け密度が1.3g/cm、結晶子径が738Å(73.8nm)、平均二次粒子径が4.8μmであった。
<実施例5>
フッ化アルミニウムの添加量をMn、Feに対して2.5mol%に変更する以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム遷移金属酸化物を作製した。得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、組成がLiMne0.7Fe0.3PO、見掛け密度が1.2g/cm、結晶子径が729Å(72.9nm)、平均二次粒子径が4.8μmであった。
<比較例>
フッ化アルミニウムを添加しない以外は、実施例1と同様にオリビン型リチウム鉄複合酸化物を作製した。得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物は、見掛け密度が0.9g/cm、結晶子径が372Å(37.2nm)、平均二次粒子径が5.0μmであった。
以下の[表1]は、<実施例1>から<実施例5>および<比較例>における見掛け密度、結晶子径および平均二次粒子径についての測定結果を示す。
<正極活性物質の剥離率>
以上のようにして作製したオリビン型リチウム遷移金属酸化物を正極活物質として用いて正極を製造したときの正極活物質の剥離率を測定した。
まず、実施例3、4および比較例で得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物材料を正極活物質として用いて、以下に示す手順で正極を作製した。
正極活物質90gと、アセチレンブラック(導電剤)5gと、ポリフッ化ビニリデン (PolyVinylidene DiFluoride; PVDF)(結着剤)5gとを、N-メチル-2-ピロリドン (N-methylpyrrolidone、NMP)(分散媒)に分散させて原料混合物を調製した。得られた原料混合物をアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥後プレス機で圧縮成形して正極極板を得た。この極板を、サイズが15cmとなるように裁断して正極を得た。正極活物質の重量は、正極1枚当たり約0.235gとした。
剥離率は、JIS K5400の碁盤目セロハンテープ剥離試験により評価した。極板に塗られた正極活物質の塗膜にカッターナイフで5mm間隔の碁盤目状の切込みを入れ、塗膜にセロハンテープを貼り付けた後、そのセロハンテープを剥離する。剥離前の重量と剥離後の重量との差を、剥離前の正極活性物質の質量(0.235g)で除算することで剥離率を算出する。「剥離率100%」とは、極板に塗布した正極活性物質が、セロハンテープの剥離によって全て剥離したことを意味する。
得られた結果は、比較例の剥離率が100%であるのに対して、実施例3の剥離率が77%、実施例4の剥離率が43%であった。実施例3、4で得られたオリビン型リチウム遷移金属酸化物を用いて正極を形成すると、比較例で得られたものを用いて形成した正極に比べて、正極活性物質の剥離を抑制できることがわかった。
Figure 2012197214
本発明の正極活物質は、二次電池の正極活物質として、例えば、携帯電話を含む各種携帯機器の他、電気自動車、ハイブリッド電気自動車への利用が可能である。

Claims (5)

  1. 組成がLi(Mn1−y)PO(式中x、yは、0.9<x<1.3、0≦y<1であり、Mは、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であるオリビン型リチウム遷移金属酸化物であって、
    フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛のフラックス剤を含む原料スラリーから製造されたことを特徴とするオリビン型リチウム遷移金属酸化物。
  2. 前記原料スラリーが、前記組成中のマンガン(Mn)およびMに対し、前記フラックス剤を元素比で0.1mol%以上3.0mol%以下の量で含む請求項1に記載のオリビン型リチウム遷移金属酸化物。
  3. 前記オリビン型リチウム遷移金属酸化物は、粉体であって、その粉体の見掛け密度が、1.0g/cm以上1.8g/cm以下である請求項1または2に記載のオリビン型リチウム遷移金属酸化物。
  4. 組成がLi(Mn1−y)PO(式中x、yは、0.9<x<1.3、0≦y<1であり、Mは、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素である。)であるオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法であって、
    Mnおよび/またはMのリン酸化物と、リチウム源と、炭素源と、溶媒と、フッ化アルミニウムまたは塩化亜鉛を含むフラックス剤と、を含む原料スラリーを調製する工程と、
    前記原料スラリーに含まれる粒子を粉砕処理する工程と、
    前記粉砕処理した前記原料スラリーを噴霧乾燥して前駆体を得る工程と、
    前記前駆体を熱処理する工程と、
    を有することを特徴とするオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法。
  5. 前記原料スラリーが、前記組成中のマンガン(Mn)およびMに対し、前記フラックス剤を元素比で0.1mol%以上3.0mol%以下の量で含む請求項4に記載のオリビン型リチウム遷移金属酸化物の製造方法。
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