以下、本発明に係るケーブル防護管の第一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るケーブル防護管は、図1に示す如く、道路工事や建設工事等を行う際に、電柱Pや建物Hの間(図においては電柱P,P間)に掛け渡された架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgに対して建設機械等が接触する虞のある部分を一時的に被覆して保護するためのものである。
前記架空ケーブルCは、電柱Pや建物Hの間に掛け渡されたケーブル類であり、例えば、通信用の光ファイバーケーブルや、低圧の送電ケーブル等がそれに該当する。そして、架空ケーブル群Cgは、図2に示す如く、光ファイバーケーブル等の架空ケーブルCに加え、電柱Pや建物Hの間に掛け渡されたメッセンジャーワイヤーCmや、メッセンジャーワイヤーCmとこれに沿わせた架空ケーブルCとの周りで螺旋状をなした螺旋状ハンガーCs等を含んだケーブル群である。
そして、図1に示す如く、架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgには、これら対して交差方向に延びる分岐材Spが存在する領域が形成される場合がある。具体的に説明すると、図示しないが架空ケーブルCの途中位置には、その架空ケーブルCを建物に向けて分岐させたケーブル(ドロップケーブル)が架空ケーブルCに対して交差方向に延びる分岐材Spとして存在する場合がある。他方、架空ケーブル群Cgの途中位置には、図2に示す如く、建物Hに引き込まれる光ファイバーケーブル等のドロップケーブルCdや、該ドロップケーブルCdを支持するために、架空ケーブル群Cg内のメッセンジャーワイヤーCmに取り付けられた接続金具Jの掛止手段F(例えば、アイボルトやフック等)、又は、該接続金具Jと建物Hとの間に掛け渡され、ドロップケーブルCdを支持する支持ケーブルCr等が架空ケーブル群Cgに対して交差方向に延びる分岐材Spとして存在する場合がある。
本実施形態に係るケーブル防護管1は、上述のような分岐材Spの存在の有無に関係なく架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgを被覆できるようにしたもので、図3に示す如く、軸線方向全長に亘って貫通したスリット11が形成された管本体10を備えている。なお、本実施形態に係るケーブル防護管1は、上述の如く、単線の架空ケーブルCを被覆することも可能であるが、以下においては、架空ケーブル群Cgを被覆する場合を前提に説明する。
前記管本体10は、電気絶縁性及び弾性を有する樹脂材料を成型して作製されたもので、前記スリット11が直線状に形成されるとともに、前記軸線方向に間隔をおいて、前記スリット11から周方向に延びる複数の第一逃溝12…が形成されている。
本実施形態に係る管本体10は、スリット11が直線状に形成されることで、周方向の断面の一部を分断させつつも概ね円筒状を呈している。そして、該管本体10は、架空ケーブル群Cgを収容可能な内径に設定されている。該管本体10は、スリット11が形成(分断される)ことで軸線方向に延びて互いに対向する一対の端部(以下、長手端部という)13a,13bを離間させ、スリット11の開口幅(軸線方向と直交する方向の開口幅)を広げることで、架空ケーブル群Cgを内部に嵌め込むことができるようになっている。そのため、管本体10は、架空ケーブル群Cgを嵌め込んだ後に対向する長手端部13a,13b同士が接近して復元するように構成されている。
各第一逃溝12…は、スリット11に連続して貫通しており、スリット11から周方向に延びるように形成されている。そして、各第一逃溝12…は、分岐材Sp(ドロップケーブルCd又は接続金具J(例えば、フックF))を挿通状態にしてそれらの移動を許容できる幅に設定されて該いる。各第一逃溝12…は、スリット11の形成位置と対向する領域を越えるように形成してもよいが、本実施形態においては、スリット11と略対向する領域に到達しないように、管本体10の周方向においてスリット11の中心から180°よりも小さい範囲(好ましくは、90°〜120°の範囲)に形成されている。これにより、第一逃溝12…は、管本体10を架空ケーブル群Cgに外嵌した状態で、分岐材Spの挿通を許容しつつもの該管本体10に対する軸線周りの自由な回転を規制するようになっている。
そして、本実施形態において、前記複数の第一逃溝12…は、スリット11を基準にして該スリット11の長手方向に対して直交方向の両側に形成されている。そして、管本体10の周方向における第一逃溝12…の長さを確保すべく、スリット11の両側にある複数の第一逃溝12…は、スリット11の長手方向と直交する方向(幅方向)の一方側(一方の長手端部13a側)にある第一逃溝12…に対し、スリット11の幅方向の他方側(他方の長手端部13b側)にある第一逃溝12…が軸線方向にずれた配置になるように形成されている。本実施形態において、一方の長手端部13a側の第一逃溝12…が、他方の長手端部13b側の第一逃溝12…間の略中央位置に対応して形成されている。
そして、本実施形態に係るケーブル防護管1は、管本体10のスリット11を画定して軸線方向に延びる各端部(長手端部13a,13b)にケーブル案内片15…が連設されている。すなわち、ケーブル防護管1は、軸線方向に間隔をおいて複数の第一逃溝12…が形成されることで、軸線方向に断続的に形成された長手端部13a,13bにケーブル案内片15…が連設されている。
各ケーブル案内片15…は、管本体10の径方向外方に向けて延出しており、スリット11の幅方向の一方側(一方の長手端部13a側)のケーブル案内片15…とスリット11の幅方向の他方側(他方の長手端部13b側)のケーブル案内片15…とが先端側ほど互いに離間するように設けられている。すなわち、スリット11の幅方向の一方側にあるケーブル案内片15…、及びスリット11の幅方向の他方側にあるケーブル案内片15…(対向するケーブル案内片15…)は、先端側ほど間隔が広がるように傾斜して設けられている。本実施形態においては、上述の如く、架空ケーブル群Cgを管本体10内に収容する(嵌め込む)ようにするが、スリット11を介して架空ケーブル群Cgを管本体10内に収容するに際して、架空ケーブル群Cgを構成する架空ケーブルC,Cm,Csを少なくとも一本ずつスリット11を通過させればよいため、互いに対向するケーブル案内片15…は、最も径の太い架空ケーブルC,Cm,Cs、又は接続金具JのメッセンジャーワイヤーCmに取り付けられた部分(分岐材Sp以外の部分)が介在できる間隔部分を形成するように設けられている。
そして、本実施形態に係るケーブル防護管1は、上述の如く、第一逃溝12…が管本体10の軸線方向(スリット11の長手方向)に間隔をおいて形成されているので、該スリット11を画定して長手方向に延びる端部(長手端部13a,13b)は、該長手方向に断続的に形成されるため、長手端部13a,13bに接続されたケーブル案内片15…は、長手端部13a,13bに対応して長手方向に間隔をおいて配置されている。すなわち、ケーブル案内片15…は、管本体10の第一逃溝12…と連続する間隙(以下、導入用間隙部という)16…を形成するように、長手方向に断続的に配設されており、該ケーブル案内片15…間の導入用間隙部16…を介して分岐材Spを第一逃溝12…に導けるようになっている。
本実施形態に係るケーブル防護管1は、以上の構成からなり、次に、架空ケーブル群Cgに対する装着方法及び装着態様について説明する。
まず、図4に示す如く、分岐材Spの存在する領域を対象に、ケーブル防護管1で架空ケーブル群Cgを被覆する。この際、対向するケーブル案内片15…間に架空ケーブル群Cg(架空ケーブル群Cgを構成する架空ケーブルCの何れか一本ずつであってもよい)を位置させた状態で、管本体10を変形させてスリット11の開口幅を広げ、その広がったスリット11を介して管本体10内に架空ケーブル群Cg(架空ケーブルC)を嵌め込みつつ、分岐材Sp(ドロップケーブルCdの分岐部分や接続金具JのフックF)を対応する導入用間隙部16…を介して第一逃溝12…内に導く。そうすると、第一逃溝12…で分岐材Spを躱して管本体10が架空ケーブル群Cgを被覆した状態になる。なお、接続金具JのフックF以外の部分(分岐材Sp以外の部分)は、メッセンジャーワイヤーCmとともに管本体10内に収容される。
そして、分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgを被覆したケーブル防護管1に対して隣接させるように別のケーブル防護管1で架空ケーブル群Cgを被覆する。この場合においても、上記手順と同様にスリット11を介して管本体10内に架空ケーブル群Cgを嵌め込むことで架空ケーブルC(ケーブル群)が管本体10によって被覆された状態になる。そして、同様の手順で別のケーブル防護管1によって電柱P側(或いは建物側)の架空ケーブル群Cgを順々に被覆していくことで、保護を必要とする架空ケーブル群Cgが長手方向に亘って被覆されることになる(図1参照)。
このように複数のケーブル防護管1を順々に装着するに当たって、別の分岐材Sp(ドロップケーブルCdや接続金具J)が存在する場合には、上述の如く、スリット11を介して管本体10内に架空ケーブル群Cgを嵌め込みつつ、導入用間隙部16…を介して分岐材Spを第一逃溝12…内に導けばよい。本実施形態に係るケーブル防護管1は、上述の如く、複数の第一逃溝12…が管本体10の軸線方向に間隔をおいて設けられているので、ケーブル防護管1を順々に装着しても、別の分岐材Spに概ね対応した位置に何れかの導入用間隙部16…(第一逃溝12…)が位置することになる。これにより、隣り合うケーブル防護管1の間隔が不必要にあくことがなく、分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cg(架空ケーブルC)を被覆することができる。なお、本実施形態に係るケーブル防護管1は、一時的に架空ケーブル群Cgを被覆して保護するためのものであるため、最終的には架空ケーブル群Cgから取り外されることになるが、この場合は、スリット11を広げるように管本体10を変形させた上で、その広がったスリット11を介して管本体10から架空ケーブル群Cgを抜き出せばよい。
以上のように、本実施形態に係るケーブル防護管1は、管本体10に直線状のスリット11が形成されているので、該スリット11の開口幅(スリット11の延びる方向と直交方向の幅)を広げるように管本体10を径方向に変形させた上で、該スリット11から架空ケーブルCを管本体10内に嵌め込むことで、架空ケーブル群Cgを管本体10で外嵌(被覆)することができる。
そして、該ケーブル防護管1は、管本体10の軸線方向に間隔をおいて、スリット11から周方向に延びる複数の第一逃溝12…が形成されているので、架空ケーブル群Cgに対して交差方向に延びる分岐材Spが存在しても、該分岐材Spを何れかの第一逃溝12…内に位置させることで、該分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgを被覆することができる。これにより、分岐材Spの配置に対応させてケーブル防護管1(管本体10)を切断する必要がなく、本実施形態の管本体10の端面が粗雑になることがないため、被覆した架空ケーブルCやドロップケーブルCd等を傷つけることもない。
さらに、該ケーブル防護管1は、架空ケーブルCをスリット11に導くケーブル案内片15…を設けたので、管本体10のスリット11を広げるのに管本体10を無理に変形させなくても、管本体10に対して架空ケーブルC(架空ケーブル群Cg)を容易に嵌め込むことができる。
次に、本発明の第二実施形態に係るケーブル防護管について説明する。なお、本実施形態に係るケーブル防護管は、第一実施形態と同様のスリット及び第一逃溝が形成された管本体を備えているので、第一実施形態と同様の構成については、同一名称及び同一符号を付して説明を割愛することとる。
本実施形態に係るケーブル防護管1は、第一実施形態と同様に、道路工事や建設工事等を行う際に、電柱や建物等に掛け渡された架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgに対して建設機械等が接触する虞のある部分を一時的に被覆して保護するためのものである。なお、本実施形態に係るケーブル防護管1についても、単線の架空ケーブルCを被覆することも可能であるが、以下においては、架空ケーブル群Cgを被覆する場合を前提に説明する。
本実施形態に係るケーブル防護管1(管本体10)は、図5に示す如く、第一逃溝12…と直交方向(軸線方向)に延びる第二逃溝14…が該第一逃溝12…に連続して形成されている。なお、本実施形態に係るケーブル防護管1は、第二逃溝14…が第一逃溝12…の先端部に連続するように形成されている。これにより、第二逃溝14…は、管本体10の軸線方向に間隔をおいて形成されている。
かかる第二逃溝14…は、分岐材Sp(ドロップケーブルCdや接続金具JのフックF等)の配置(管本体10の軸線方向における配置位置)の許容範囲を大きくするために設けられており、管本体10の軸線方向と直交する方向の幅(開口幅)が、第一逃溝12…と同様に、分岐材Spとの相対的な移動を許容できるように設定されている。
本実施形態に係るケーブル防護管1は、以上の構成からなり、次に、架空ケーブル群Cgに対する装着方法及び装着態様について説明する。
まず、図6に示す如く、分岐材Spの存在する領域を対象に、ケーブル防護管1で架空ケーブル群Cgを被覆する。この際、対向するケーブル案内片15…間に架空ケーブル群Cg(架空ケーブル群Cgを構成する架空ケーブルCの何れか一本ずつであってもよい)を位置させた状態で、管本体10を変形させてスリット11の幅を広げ、その広がったスリット11を介して管本体10内に架空ケーブルCを嵌め込みつつ、分岐材Spを対応する導入間隙部及び第一逃溝12…に導く。そして、該第一逃溝12…又は第二逃溝14…内に分岐材Spを導くと、該分岐材Spを躱しつつも、管本体10が軸線方向に移動可能な状態で架空ケーブルCを被覆した状態になる。そして、分岐材Spが第一逃溝12…の配置と対応しない場合、特に、単一のケーブル防護管1で被覆する領域内の二カ所以上に分岐材Spが存在し、分岐材Spの間隔と複数の第一逃溝12…の間隔(軸線方向の間隔)とが一致しない場合であっても、本実施形態に係るケーブル防護管1は、第一逃溝12…に連続する第二逃溝14…が軸線方向に延びるよう形成されているので、その間隔の相違に関係なく、対応する第二逃溝14…で各分岐材Spを躱しつつ管本体10が架空ケーブルCを被覆した状態となる。
そして、分岐材Spを躱して架空ケーブルCを被覆したケーブル防護管1に対して隣接させるように別のケーブル防護管1で架空ケーブルCを被覆する。この場合においても、スリット11を介して架空ケーブル群Cgを管本体10内に嵌め込むことで架空ケーブル群Cgを管本体10によって被覆した状態にできる。そして、同様の手順で別のケーブル防護管1によって電柱側(或いは建物側)に順々に被覆していくことで、第一実施形態と同様に、保護を必要とする架空ケーブル群Cgが長手方向に亘って被覆されることになる(図1参照)。
このようにケーブル防護管1を順々に装着するに当たって、別の分岐材Spが存在する場合には、上述の如く、スリット11を介して管本体10内に架空ケーブルCを嵌め込みつつ、導入用間隙部16…介して第一逃溝12…に、或いは導入用間隙部16…及び第一逃溝12…を介して分岐材Spを第二逃溝14…内に導くことで、分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgを被覆することができる。これにより、隣り合うケーブル防護管1同士を密接させた状態で、架空ケーブルCを被覆することができる。なお、分岐材Spの間隔が複数の第一逃溝12…の間隔と対応している場合や、単一のケーブル防護管1で被覆する領域内に、分岐材Spが一つしかない場合には、必ずしも、ドロップケーブルCd等を第二逃溝14…内に導かなくても、第一実施形態と同様に第一逃溝12…で分岐材Spを躱して架空ケーブルCを被覆することができる。
本実施形態に係るケーブル防護管1も、一時的に架空ケーブル群Cgを被覆して保護するためのものであるため、架空ケーブル群Cgから取り外されることになるが、この場合は、スリット11を広げるように管本体10を変形させた上で、その広がったスリット11を介して管本体10から架空ケーブル群Cgを抜き出せばよい。
以上のように、本実施形態に係るケーブル防護管1は、管本体10に直線状のスリット11が形成されるとともに、スリット11から周方向に延びる複数の第一逃溝12…が形成され、さらに、架空ケーブルCをスリット11に導くケーブル案内片15…を備えているので、第一実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
そして、本実施形態に係るケーブル防護管1は、第一逃溝12…と連続して軸線方向に延びる第二逃溝14…を備えているので、第二逃溝14…内に分岐材Spを位置させることで、これらの間隔に拘束されることなく、分岐材Spを躱して架空ケーブルCを被覆することができる。
次に、本発明の第三実施形態に係るケーブル防護管について説明する。本実施形態に係るケーブル防護管は、第一及び第二実施形態と同様に、道路工事や建築工事等の工事を行う際に、電柱や建物等に掛け渡された架空ケーブルに対して建設機械等が接触する虞のある部分を一時的に被覆して保護するためのもので第一逃溝によってドロップケーブルや接続金具のフック等の分岐材を躱して架空ケーブル群を被覆できるようになっている。なお、本実施形態に係るケーブル防護管についても、第一及び第二実施形態と同様に、単線の架空ケーブルを被覆することも可能であるが、以下においては、架空ケーブル群を被覆する場合を前提に説明する。
本実施形態に係るケーブル防護管1は、図7、及び図8に示す如く、第二実施形態と同様のスリット11、第一逃溝12…、及び第二逃溝14…の形成された管本体10と、該管本体10に軸線方向にスライド可能に挿入されるスライド管20とを備えている。なお、本実施形態に係るケーブル防護管1は、管本体10に挿入されたスライド管20内に架空ケーブル群を収容する構成、すなわち、管本体10に対して間接的に架空ケーブル群を収容する構成であり、管本体10は、スライド管20を収容するために内径を異にするとともにケーブル案内片15…が延設されていない点で第二実施形態と相違するが、それ以外の構成(スリット11、第一逃溝12…、第二逃溝14…)は、第二実施形態と同様の構成であり、当該ケーブル防護管1の保護対象も同様である。従って、第二実施形態と同様の構成については同一名称及び同一符号を付して説明を割愛することとする。
前記スライド管20は、電気絶縁性及び弾性を有する樹脂材料を成型して作製されたもので、軸線方向の全長に亘って直線状の内側スリット21が形成されるとともに、内側スリット21から周方向に延びる複数の内側逃溝22…が形成されている。該スライド管20は、軸線方向の長さが管本体10と略同一の長さに設定されるとともに、架空ケーブル群Cg(架空ケーブルC)を収容可能な内径に設定され、上述の如く、内側スリット21が直線状に形成されることで、管本体10と同様に周方向の断面の一部を分断させつつも概ね円筒状を呈している。そして、該スライド管20は、管本体10と同様に、内側スリット21が形成(分断される)ことで軸線方向に延びて互いに対向する一対の端部(以下、内側長手端部という)24a,24bを離間させ、内側スリット21の開口幅(軸線方向と直交する方向の開口幅)を広げることで、架空ケーブル群Cgを管本体10内(管本体10に挿入されたスライド管20内)に嵌め込むことができるようになっている。そのため、スライド管20についても、架空ケーブル群Cgを嵌め込んだ後に対向する内側長手端部24a,24b同士が接近して復元するように構成されている。
各内側逃溝22…は、内側スリット21に連続して貫通しており、内側スリット21から周方向に延びるように形成されている。各内側逃溝22…は、第一逃溝12…と配置(軸線方向の間隔等)や形態、サイズが対応するように形成されている。具体的には、各内側逃溝22…は、第一逃溝12…と同様に、分岐材Sp(ドロップケーブルCd又は接続金具J(例えば、フックF))を挿通状態にしてそれらの移動を許容できる幅に設定されている。また、各内側逃溝22…は、内側スリット21の形成位置と対向する領域を越えるように形成してもよいが、本実施形態においては、第一逃溝12…と対応させるべく、内側スリット21と略対向する領域に到達しないように、スライド管20の周方向において内側スリット21の中心から180°よりも小さい範囲(好ましくは、90°〜120°の範囲)に形成されている。
そして、各内側逃溝22…は、スライド管20を管本体10に対して挿入し、スライド管20の一方の端部が管本体10の一方の端部から突出した状態で、管本体10の第一逃溝12…と対応した配置になる(第一逃溝12…と重なる)ように形成されている。すなわち、複数の内側逃溝22…は、複数の第一逃溝12…の間隔に対応するように形成されている。そして、管本体10には、複数の第一逃溝12…がスリット11を基準にして該スリット11の伸長方向に対して直交方向の両側に形成されているので、スライド管20にも、管本体10の第一逃溝12…の配置に対応して、内側スリット21の両側(内側長手端部24a,24bの両方側)に内側逃溝22…が形成されている。
これにより、スライド管20の一方の端部を管本体10の一方の端部から突出させ、管本体10のスリット11とスライド管20の内側スリット21とを一致させるとともに、管本体10の第一逃溝12…とスライド管20の内側逃溝22…とを一致させた状態で、管本体10及びスライド管20の内側スリット21を介して架空ケーブル群Cgを嵌め込むとともに、架空ケーブル群Cgから交差方向に延びる分岐材Spを、重なり合った第一逃溝12…及び内側逃溝22…内に位置させることで、分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgを被覆できるようになっている。
そして、スライド管20には、内側逃溝22…に対して直交方向(軸線方向)に延びるスライド許容溝23…が内側逃溝22…に連続して形成されている。該スライド許容溝23…は、第二逃溝14…と対応した配置に形成されている。本実施形態において、管本体10の第二逃溝14…が第一逃溝12…の先端部に連続するように形成されているため、前記スライド許容溝23…は、内側逃溝22…の先端に連続し、第二逃溝14…と重なり合うように形成されている。そして、該スライド許容溝23…は、スライド管20の軸線方向の長さは、管本体10の軸線方向における第二逃溝14…の長さよりも長く設定されており、管本体10とスライド管20の両端が一致するようにスライド管20を軸線方向にスライドさせときに、第二逃溝14…の略全域が開口状態(分岐材Spを介在させる領域を確保した状態)で維持できるようになっている。
なお、管本体10に第二逃溝14…が形成されていない場合、すなわち、第一逃溝12…のみが形成されている場合には、スライド管20のスライド許容溝23…は、スライド管20の軸線方向の長さが第一逃溝12…の開口幅よりも長く設定され、管本体10とスライド管20の両端が一致するようにスライド管20を軸線方向にスライドさせときに、第一逃溝12…の先端部が開口状態(分岐材Spを介在させる領域を確保した状態)で維持できるように設定される。
そして、本実施形態に係るケーブル防護管1は、第一及び第二実施形態とは異なり、スライド管20の内側スリット21を画定する軸線方向に延びる各端縁部(内側長手端部24a,24b)に、架空ケーブルCをスリット11内に案内するケーブル案内片25…が連設されている。
各ケーブル案内片25…は、スライド管20の径方向外方に向けて延出しており、管本体10のスリット11を介して外側に突出するとともに、内側スリット21の幅方向の一方側(一方の内側長手端部24a側)にあるケーブル案内片25…と内側スリット21の幅方向の他方側(他方の内側長手端部24b側)にあるケーブル案内片25…とは、先端側ほど互いに離間するように設けられている。すなわち、内側スリット21の幅方向の一方側にあるケーブル案内片25…、及びスリット11の幅方向の他方側にあるケーブル案内片25…(対向するケーブル案内片25…)は、先端側ほど間隔が広がるように傾斜し、管本体10のスリット11を介して外方に突出するようにて設けられている。
本実施形態においては、上述の如く、架空ケーブル群Cgをスライド管20内に収容できるようにするが、内側スリット21を介して架空ケーブルCをスライド内に収容するに際して、架空ケーブル群Cgを構成する各架空ケーブルCを少なくとも一本ずつ内側スリット21を通過させればよいため、互いに対向するケーブル案内片25…は、最も径の太い架空ケーブルC,Cm,Cs、又は接続金具JのメッセンジャーワイヤーCmに取り付けられた部分(分岐材Sp以外の部分)が介在できる間隔部分を形成するように設けられている。このようにケーブル案内片25…は、架空ケーブルCを内側スリット21に導くために機能するが、本実施形態においては、管本体10に内挿されるスライド管20に接続され、管本体10のスリット11を介して外側に突出した態様をなすため、管本体10のスリット11とスライド管20の内側スリット21とを一致させるように、管本体10とスライド管20とを位置決めするための位置決め手段としても機能する。
そして、本実施形態に係るケーブル防護管1は、上述の如く、第一逃溝12…及び内側逃溝22…がスリット11及び内側スリット21の長手方向に間隔をおいて形成され、該スリット11を画定する長手方向に延びる内側長手端部24a,24bは、該長手方向に断続的に形成されるため、内側長手端部24a,24b接続されたケーブル案内片25…は、内側長手端部24a,24bの配置に対応して長手方向に間隔をおいて複数配置されている。すなわち、ケーブル案内片25…は、内側逃溝22…と連続する間隙(以下、内側導入用間隙部という)26…を形成するように、長手方向に断続的に配設されており、該ケーブル案内片25…管の内側導入用間隙部26…を介して内側逃溝22…に分岐材Spを導けるようになっている。
本実施形態に係るケーブル防護管1は、以上の構成からなり、次に、架空ケーブル群Cgに対する装着方法及び装着態様について説明する。
図9に示す如く、本実施形態においても、まず、分岐材Spの存在する領域を対象に、ケーブル防護管1で架空ケーブル群Cgを被覆する。この際、スライド管20の一端部を管本体10の一端部よりも外側に位置させ、第一逃溝12…と内側逃溝22…とを一致させた状態にし、対向するケーブル案内片25…間に架空ケーブル群Cg(架空ケーブル群Cgを構成する架空ケーブルCの何れか一本ずつであってもよい)を位置させる。
そして、架空ケーブルCを対向するケーブル案内片25…に押し当てることで、管本体10及びスライド管20を変形させ、スリット11及び内側スリット21の開口幅を広げ、その広がった内側スリット21(スリット11を)介してスライド管20内に架空ケーブル群Cg(架空ケーブルC)を嵌め込みつつ、分岐材Sp(ドロップケーブルCdの分岐部分や接続金具J(フックF))を対応する内側導入用間隙部26…を介して第一逃溝12…及び内側逃溝22…内に導く。
そして、分岐材Spを重なり合った第二逃溝14…及びスライド許容溝23…内に位置させることで、分岐材Spを躱しつつも架空ケーブル群Cgを被覆した状態になる。なお、分岐材Spが第一逃溝12…の配置と対応しない場合、特に、単一のケーブル防護管1で被覆する領域内の二カ所以上に分岐材Spが存在し、その分岐材Spの間隔(架空ケーブル群Cgの伸長方向における間隔)と第一逃溝12…(内側逃溝22…)の間隔が一致していない場合には、分岐材Spを長穴状の第二逃溝14…(スライド許容溝23…)内に位置させることで、その間隔の相違に関係なく各分岐材Spを躱した状態になる。
そして、分岐材Spを第二逃溝14及びスライド許容溝23内に位置させた状態で、管本体10とスライド管20との両端同士が一致するように、スライド管20を軸線方向にスライドさせると、該スライド管20の内側逃溝22…が管本体10の第一逃溝12…に対してずれた配置となり、第一逃溝12…が閉塞された状態となる。その一方で、スライド管20のスライド許容溝23…は、管本体10の第二逃溝14…よりも軸線方向の長さが長く設定されているので、第二逃溝14…はスライド管20によって閉塞されることなく、分岐材Spを第二逃溝14…で躱した状態で維持することになる。このように、スライド管20で管本体10の第一逃溝12…を閉塞することで、分岐材Spが第一逃溝12…の延びる方向に移動してしまうような事態になることを確実に防止した上で、架空ケーブル群Cgを被覆することができる。
そして、ドロップケーブルCd等を躱して架空ケーブル群Cgを被覆したケーブル防護管1に対して隣接させるように別のケーブル防護管1で架空ケーブル群Cgを被覆する。この場合、そのケーブル防護管1で、被覆する領域内に分岐材Spが存在する場合には、上記と同様の手順によりケーブル防護管1で架空ケーブル群Cgを被覆し、分岐材Spが存在しない場合には、上記と同様の手順、又は、管本体10とスライド管20との両端同士を一致させた状態で、管本体10のスリット11及びスライド管20の内側スリット21を介してスライド管20内に架空ケーブル群Cg(架空ケーブルC)を嵌め込んで、架空ケーブルC(ケーブル群)を被覆すればよい。すなわち、管本体10のスリット11とスライド管20の内側スリット21は、軸線方向での管本体10とスライド管20との配置に関係なく常に一致しているので、分岐材Spが存在しない場合には、スライド管20で管本体10の第一逃溝12…を閉塞した状態であっても架空ケーブル群Cgを被覆することができる。
そして、上述した手順で複数のケーブル防護管1を架空ケーブル群Cgの長手方向で直列に配置することで、第一及び第二実施形態と同様に、隣り合うケーブル防護管1の間隔が不必要にあくことがなく、分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgが長手方向に被覆される(図1参照)。なお、本実施形態に係るケーブル防護管1においても、上述の如く、一時的に架空ケーブルCを被覆して保護するためのものであるため、架空ケーブルCから取り外されることになるが、この場合は、分岐材Spの存在する領域を被覆したケーブル防護管1においては、第一逃溝12…と内側逃溝22…とを一致させるようにスライド管20をスライドさせた上で、内側スリット21(スリット11)を介して架空ケーブル群Cgをスライド管20内から抜き出し、分岐材Spの存在しない領域を被覆したケーブル防護管1においてはスライド管20をスライドさせることなく内側スリット21(スリット11)を介して架空ケーブル群Cgをスライド管20内から抜き出せばよい。
以上のように、本実施形態に係るケーブル防護管1は、略同心をなす管本体10及びスライド管20に直線状のスリット11,21が形成されているので、両者のスリット11,21を介して架空ケーブルCを管本体10内に嵌め込むことで、架空ケーブル群Cgを管本体10で被覆することができる。
そして、該ケーブル防護管1は、軸線方向に間隔をおいて、管本体10にスリット11から周方向に延びる複数の第一逃溝12…が形成されるとともに、スライド管20に第一逃溝12…の配置に対応した複数の内側逃溝22…が形成されているので、分岐材Spが存在しても、該分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgを被覆することができる。これにより、分岐材Spの配置に対応させてケーブル防護管1(管本体10)を切断する必要がなく、本実施形態の管本体10の端面が粗雑になることがないため、被覆した架空ケーブルCや分岐材Sp(特に、ドロップケーブルCd)等を傷つけることもない。そして、スライド管20を軸線方向にスライドさせることで、管本体10の第一逃溝12…を閉塞することができるので、第二逃溝14…内の分岐材Spが位置ずれすることなく架空ケーブル群Cgを被覆することができる。
さらに、該ケーブル防護管1は、架空ケーブルCを内側スリット21に導くケーブル案内片25…をスライド管20に設けたので、管本体10及びスライド管20のスリット11,21を広げるのにこれらを無理に変形させなくても、スライド管20に架空ケーブル群Cgを容易に嵌め込むことができる。また、スライド管20に延設したケーブル案内片25…を管本体10のスリット11を介して外側に突出させるようにしたので、ケーブル防護管1を管本体10とこれに挿入されるスライド管20との二重構造にしても、それぞれのスリット11、21が常に一致した態様となり、装着時に両者10,20のスリット11,21の位置合わせを行うことなく、架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgに対する装着作業を行うことができる。
次に、本発明の第四実施形態に係るケーブル防護管について説明する。本実施形態に係るケーブル防護管は、第一乃至第三実施形態と同様に、道路工事や建設工事等を行う際に、電柱や建物等に掛け渡された架空ケーブル又は架空ケーブル群に対して建設機械等が接触する虞のある部分を一時的に被覆して保護するためのものである。なお、本実施形態に係るケーブル防護管についても、単線の架空ケーブルを被覆することも可能であるが、以下においては、架空ケーブル群を被覆する場合を前提に説明する。
具体的に説明すると、本実施形態に係るケーブル防護管は、図10(a)に示す如く、軸線方向全長に亘ってスリット11’が形成された管本体10’を備え、前記スリット11’を介して電柱Pや建物Hの間に掛け渡された架空ケーブル群Cg(架空ケーブルC)を嵌め込むことで、管本体10’を架空ケーブル群Cgに外嵌(被覆)するようになっている。かかる管本体10’は、電気絶縁性のある樹脂材料から成型されたもので、前記スリット11’が軸線方向に所定ピッチで周方向に延びるように螺旋状に形成されている。該管本体10’は、スリット11’内に分岐材Spを位置させる(介在させる)ことで、分岐材Spを躱しつつも架空ケーブル群Cgを外嵌(被覆)できるようになっている。このように、分岐材Spを介在させるスリット11’を螺旋状に形成することで、平面視においてスリット11’が軸線方向に間隔をあけて形成された態様となる。これにより、架空ケーブルCから交差方向に延びる分岐材Spが、架空ケーブル群Cgの伸長方向で複数箇所に存在しても、各分岐材Spをスリット11’で躱すことができるようになっている。
本実施形態において、スリット11’は、長手方向と直交する方向の開口幅が分岐材Sp(例えば、接続金具JのフックF)の最大径よりも狭く設定されている。これに伴い、本実施形態に係るケーブル防護管1’は、分岐材Spの介在(スリット11’に対する分岐材Spの挿通)を許容すべく、図10(b)に示す如く、管本体10’のスリット11’を画定して螺旋状を呈する一対の螺旋状端部17a’,17b’が、他の部分より薄肉に形成されるとともに弾性変形可能に構成されている。
本実施形態に係るケーブル防護管1’は、以上の構成からなり、次に、架空ケーブル群Cgに対する装着方法及び装着態様について説明する。
まず、図11に示す如く、分岐材Spの存在する領域を対象に、ケーブル防護管1’で架空ケーブル群Cgを被覆する。この際、スリット11’の端部(始点)に架空ケーブルC(架空ケーブル群Cg)を位置させた状態で管本体10’を軸線周り回転させることで、架空ケーブルCが順々に管本体10’内に嵌め込まれることになる。この際、スリット11’内に架空ケーブル群Cg(架空ケーブルC)が位置することになるが、一対の螺旋状端部17a’,17b’が薄肉で且つ弾性変形可能に構成されることで、スリット11’の幅が架空ケーブルC或いは分岐材Sp(ドロップケーブルCd又は接続金具JのフックF)よりも狭くても、螺旋状端部17a’,17b’の弾性変形によって架空ケーブルCの通過が許容される。そして、管本体10’を軸線周りで回転し続けることで、最終的に架空ケーブルCが管本体10’の全長に亘って被覆されることになる。
そして、一旦、架空ケーブル群Cgを管本体10’の全長に亘って嵌め込んだ後、スリット11’の端部(始点)内に分岐材Spを位置させ、さらに管本体10’を軸線周りで回転させる。そうすると、管本体10’で架空ケーブル群Cgを被覆した状態を維持しつつ、分岐材Spが外側に突出した状態で分岐材Spと管本体10’との軸線方向における相対位置が移り変わることになる。そして、分岐材Spが管本体10’の全長を通過してしまわない位置で管本体10’の回転を止めることで、スリット11’で分岐材Spを躱して架空ケーブルCを管本体10’で被覆した状態、すなわち、管本体10’のスリット11’から分岐材Spのみが外側に延出した状態になる。
そして、ドロップケーブルCd等の分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgを被覆したケーブル防護管1’に対して隣接させるように別のケーブル防護管1’で架空ケーブル群Cgを被覆する。そのケーブル防護管1’で、被覆する領域内に分岐材Spが存在する場合には、上記と同様の手順により分岐材Spを躱してケーブル防護管1’で架空ケーブル群Cgを被覆し、分岐材Spが存在しない場合には、単に架空ケーブルCをスリット11’に介在させつつ管本体10’を軸線周りで回転させて、管本体10’内に順々に架空ケーブルCを収容して結果的に架空ケーブルCを被覆する。そして、架空ケーブル群Cgの他の部分も同様に管本体10’を装着することで電柱Pや建物H間の架空ケーブル群Cgに対する被覆が完了する。
このように、複数のケーブル防護管1’を架空ケーブル群Cgの長手方向で直列に配置することで、第一乃至第三実施形態と同様に、隣り合うケーブル防護管1’の間隔が不必要にあくことがなく、分岐材Spを躱して架空ケーブルCを被覆することができる(図1参照)。なお、本実施形態に係るケーブル防護管1’においても、上述の如く、一時的に架空ケーブルCを被覆して保護するためのものであるため、架空ケーブルCから取り外されることになるが、この場合は、上述の手順とは逆の手順を行い、スリット11’を介して架空ケーブル群Cgを管本体10’内から抜き出せばよい。
以上のように、本実施形態に係るケーブル防護管1’は、管本体10’の外周に螺旋状のスリット11’が形成されているため、管本体10’を軸線周りで回転させることで、架空ケーブル群Cgを被覆することができる。そして、スリット11’が螺旋状に形成されることで、平面視においてスリット11’が軸線方向に間隔をあけて形成された態様となるため、複数の分岐材Spが存在しても、各分岐材Spを躱して架空ケーブル群Cgを被覆することができる。これにより、ケーブル防護管1’を切断することなく、架空ケーブル群Cgの大部分を被覆することができる。
そして、スリット11’を画定して螺旋状を呈する管本体10’における一対の螺旋状端部17a’,17b’が、他の部分より薄肉に形成されて弾性変形可能に構成されているので、スリット11’が架空ケーブルCや分岐材Spよりも狭い開口幅に設定されていても、螺旋状端部17a’,17b’の弾性変形で分岐材Sp等の通過を許容することができ、装着を容易に行うことができる。
尚、本発明のケーブル防護管は、上記何れの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記第一乃至第四実施形態において、最初に分岐材Spの存在する領域をケーブル防護管1,1’で被覆した後に、他のケーブル防護管1,1’を装着するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgの何れか一端側から他端に向けて、複数のケーブル防護管1,1’を順々に装着するようにしても勿論よい。
上記第一乃至第四実施形態において、管本体10,10’の外観を略真っ直ぐな筒状としたが、例えば、管本体10,10’の一端部を大径に構成し、他端部を前記一端部に内嵌可能な小径に構成するようにしてもよい。このようにすれば、複数のケーブル防護管1同士を直列方向に隙間なく接続した状態で、架空ケーブルCを被覆することができる。
上記第一乃至第四実施形態において、ケーブル防護管1,1’で被覆する対象を架空ケーブル群Cgとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、電柱Pや建物H間に掛け渡された単線の架空ケーブルC(例えば、光ファイバーケーブルや送電ケーブル等)を被覆するようにしてもよい。そして、その単独のケーブルに対して交差方向に延びるように分岐した分岐材Spとしてのドロップケーブル等が存在する場合、第一乃至第三実施形態に係るケーブル防護管1においては、ドロップケーブル等(分岐材S)を第一逃溝12(第二及び第三実施形態においては、第一逃溝12又は第二逃溝14)で躱し、第四実施形態に係るケーブル防護管1’においては、ドロップケーブル等(分岐材S)をスリット11’で躱した上で架空ケーブルCを被覆すればよい。
上記第一乃至第三実施形態において、管本体10の長手方向に間隔をおいて第一逃溝12…を複数設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、第一逃溝12…は少なくとも一カ所に設けられればよい。このようにしても、第一逃溝12…内に分岐材Spを位置させることで、分岐材Spを躱した上で管本体10によって架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgを被覆することができる。この場合、第三実施形態に係るケーブル防護管1においては、第一逃溝12…の配置や態様にあせてスライド間に内側逃溝22…を設けることは言うまでもない。但し、分岐材Spが複数箇所に存在することを鑑みれば、上記実施形態と同様に、管本体10の軸線方向に複数の第一逃溝12…を設けるようにすることが好ましい。
上記第一乃至第三実施形態において、管本体10のスリット11の両側に複数の第一逃溝12…を設けるようにしたが、例えば、スリット11の開口幅方向の一方側(何れか一方の長手端部13a,13b側)にのみ複数の第一逃溝12…を設けるようにしても勿論よい。この場合、分岐材Spの種々の配置に対応させるのに、第一逃溝12…を管本体10の周方向において半周を越えて形成することが好ましい。但し、管本体10の剛性や分岐材Spの種々の配置を鑑みれば、上記第一乃至第三実施形態と同様にすることが好ましいことは言うまでもない。
上記第一乃至第三実施形態において、スリット11を容易に拡開させるためにケーブル案内片15…,25…を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、ケーブル案内片15…は、例えば、管本体10の弾性変形の容易さ等を考慮して適宜設けるようにすればよい。但し、第三実施形態においては、管本体10とスライド管20との二重構成をなし、これらに形成されたスリット11,21を拡開させるようにしているので、上記実施形態と同様に、スライド管20の端縁にケーブル案内片15…を設けて、両者10,20のスリット11,21を同時に拡開できるようにすることが、それぞれのスリット11,21の位置決めや作業効率等の観点において好ましいことは言うまでもない。
上記第三実施形態において、管本体10に第二逃溝14…を設けるとともに、スライド管20に第二逃溝14…よりも長いスライド許容溝23…を設けるようにしたが、例えば、第一実施形態と同様に、管本体10にスリット11から周方向に延びる第一逃溝12…のみを設け、スライド管20に内側逃溝22…と直交する方向に延びるスライド許容溝23…を設け、該スライド許容溝23…の長さ(スライド管20の軸線方向の長さ)を第一逃溝12…の開口幅よりも長く、すなわち、スライド管20のスライド量と第一逃溝12…の開口幅との合計長さ以上の長さにするようにしてもよい。このようにしても、スライド管20を軸線方向にスライドさせたときに、スライド許容溝23…よりもスリット11側に位置する部分で第一逃溝12…が閉塞される一方で、第一逃溝12…におけるスライド許容溝23…と対応する領域が開口状態を維持することになり、当該領域において分岐材Spを躱して上で架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgを被覆することができる。
上記第四実施形態において、螺旋状のスリット11’を画定する管本体10’における一対の螺旋状端部17a’,17b’を薄肉に形成して弾性変形可能に構成し、スリット11’の開口幅を架空ケーブルCや分岐材Spよりも狭くしても、これらをスリット11’に介在できるように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図12に示す如く、管本体10’におけるスリット11’に沿って螺旋状を呈する部分18’が中空で且つ断面扁平に形成し、これ自体を弾性変形可能に構成するようにしてもよい。すなわち、扁平なチューブを螺旋状に巻いて外観略筒状に形成して管本体10’とするようにしてもよい。このように中空に構成すると全体的に薄肉になり、分岐材Sp等がスリット11の開口幅よりも大きい場合でも全体に変形して分岐材Spの介在を許容することができる。なお、このようにしても架空ケーブル群Cgに対する装着については第四実施形態と何ら変わりはない。
そして、本発明とは直接的に関係しないが、参考例として図13に示す如く、全長に亘ってスリット51の形成された管本体52を備えたケーブル防護管50を、上記何れかの実施形態に係るケーブル防護管1,1’と組み合わせて架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgを被覆するようにしてもよい。すなわち、分岐材Spの存在しない領域においては、分岐材Spを躱す必要がないため、架空ケーブルC又は架空ケーブル群Cgを通過させるためのスリット51が軸線方向全長に亘って形成された管本体52を備えたケーブル防護管50を採用してもよい。かかるケーブル防護管50においては、スリット51を画定して軸線方向に延びる一方の端部53aに対して他方の端部53b側に延びる変形自在な接続片54を延設し、該接続片54を介して一対の端部53a,53b同士を接続するようにすることが好ましい。この場合、接続片54の先端部又は他方の端部53bの何れか一方に、突部55を設けるとともに、他方に該突部55を嵌入するための穴56を設け、突部55を穴56に嵌入することで接続片54を他方の端部53bに接続するようにしてもよい。なお、図13に示したケーブル防護管50は、接続片54に穴56を管本体52に突部55を設けた構成を示している。
1,1’…ケーブル防護管、10,10’…管本体、11,11’…スリット、12…第一逃溝、13a,13b…長手端部、14…第二逃溝、15…ケーブル案内片、16…導入用間隙部、17a’,17b’…螺旋状端部、20…スライド管、21…内側スリット、22…内側逃溝、23…スライド許容溝、24a,24b…内側長手端部、25…ケーブル案内片、26…内側導入用間隙部、C…架空ケーブル、Cd…ドロップケーブル、Cg…架空ケーブル群、Cm…メッセンジャーワイヤー(架空ケーブル)、Cs…螺旋状ハンガー(架空ケーブル)、Cr…支持ケーブル、F…フック、F…掛止手段、H…建物、J…接続金具、P…電柱、Sp…分岐材