JP2008177557A - 発光素子及び発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より消費電力の低く、発光効率の高い高機能及び高信頼性を有する発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発光素子は、一対の電極層間に有機化合物を含む発光層及び機能分離のされた機能層の積層構造が設けられたEL層を有する。機能層及び有機化合物材料を含む発光層を有する発光素子において、その機能層に混合原子価化合物を含む。ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子及び発光装置に関する。
有機化合物は無機化合物に比べて、材料系が多様であり、分子設計により様々な機能を有する材料を合成できる可能性がある。これらの利点から、近年、機能性有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
例えば、有機化合物を機能性有機材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例として、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子(エレクトロルミネセンス(以下、「EL」ともいう。)素子)はめざましい発展を見せている。
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
発光素子において、発光効率などの素子特性向上のため、発光層の他、正孔輸送層や電子輸送層などを積層し、機能分離させた素子構造が研究されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−152641号公報
しかし、上記のような発光素子は、駆動電圧が高いといった問題があり、さらなる改良が望まれている。
本発明では、このような問題を鑑み、発光素子の駆動電圧を下げることを目的とする。そして、より消費電力の低い高信頼性を有する発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
本発明における発光素子は、一対の電極層間に有機化合物を含む発光層及び機能分離のされた機能層の積層構造が設けられたEL層を有する。本発明は、機能層及び有機化合物材料を含む発光層の積層構造が設けられたEL層を有する発光素子において、その機能層に混合原子価化合物を含むことを特徴とする。本発明において、一対の電極層間に設けられた発光層及び機能層の積層をEL層とよぶ。
ある化合物において、その構成する同一元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、有機化合物及び無機化合物がある。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその化合物(結晶構造)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましいと考えられる。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導(Pool−Frenkel伝導と呼ぶ場合もある)する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の機能層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
発光素子の発光機構は、一対の電極間にEL層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔(以下、電子及び正孔をキャリアともいう)が発光層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起状態と三重項励起状態が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
従って、発光素子の有する機能層としては、電極よりキャリアを注入する注入層(電子注入層、正孔注入層)、また注入されたキャリアを発光層まで輸送する輸送層(電子輸送層、正孔輸送層)などを用いる。本発明において、このような発光が生じる(発光領域である)発光層以外の機能層を少なくとも一層有しておればよい。もちろん、上記機能層を複数有してもよく、さらに機能層自身を異なる薄膜の積層による積層としてもよい(例えば電子輸送層を複数層積層するなどしてもよい)。
また、本発明を用いて、発光装置を作製することができる。本発明を用いることのできる発光装置には、発光素子と薄膜トランジスタ(以下、TFT(Thin film transistor)ともいう)とが接続された発光装置などがある。
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、発光層の第1の電極層側または第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む機能層とを有する。
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、発光層の第1の電極層側または第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む正孔輸送層とを有する。
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、発光層の第1の電極層側または第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む電子輸送層とを有する。
本発明の発光素子の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、第1の電極層側から電子注入層、電子輸送層、有機化合物を含む発光層、正孔輸送層、正孔注入層と第2の電極層まで積層を有し、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層のうち少なくとも一つに混合原子価化合物を含む。
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、発光層の第1の電極層側または第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む機能層とが設けられた発光素子を有する。
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、発光層の第1の電極層側または第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む正孔輸送層とが設けられた発光素子を有する。
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、発光層の第1の電極層側または第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む電子輸送層とが設けられた発光素子を有する。
本発明の発光装置の一形態は、第1の電極層及び第2の電極層間に、第1の電極層側から電子注入層、電子輸送層、有機化合物を含む発光層、正孔輸送層、正孔注入層と第2の電極層まで積層が設けられた発光素子を有し、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層のうち少なくとも一つに混合原子価化合物を含む。
本発明における、有機化合物を含む発光層を有する発光素子に、混合原子価化合物を含む機能層を有することにより、機能層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成できる。
よって、本発明を用いた発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性の発光装置とすることができる。
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態における発光素子を、図1及び図2を用いて詳細に説明する。
本発明における発光素子は、一対の電極層間に有機化合物を含む発光層及び機能分離のされた機能層の積層構造が設けられたEL層を有する。本発明は、機能層及び有機化合物材料を含む発光層の積層構造が設けられたEL層を有する発光素子において、その機能層に混合原子価化合物を含むことを特徴とする。
発光素子の発光機構は、一対の電極間にEL層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔(以下、電子及び正孔をキャリアともいう)がEL層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起状態と三重項励起状態が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
従って、発光素子の有する機能層としては、電極よりキャリアを注入する注入層(電子注入層、正孔注入層)、また注入されたキャリアを発光層まで輸送する輸送層(電子輸送層、正孔輸送層)などを用いる。本発明において、このような発光が生じる(発光領域である)発光層以外に、機能層を少なくとも一層有しておればよい。もちろん、上記機能層を複数有してもよく、さらに機能層自身を異なる薄膜の積層による積層としてもよい(例えば電子輸送層を複数層積層するなどしてもよい)。
図1(A)乃至(D)に、第1の電極層60と第2の電極層80の間に機能層及び発光層51を有するEL層70が設けられた発光素子を示す。
図1(A)乃至(D)においては第1の電極層60の電位が、第2の電極層80の電位より高い場合である。図1(A)は機能層として混合原子価化合物を含む正孔輸送層52が第1の電極層60と発光層51の間に設けられている。正孔輸送層52は正孔注入層であってもよい。
図1(B)は機能層として混合原子価化合物を含む電子輸送層53が発光層51と第2の電極層80との間に設けられている。電子輸送層53は電子注入層であってもよい。
図1(C)は機能層として発光層51を挟んで第1の電極層60と接して正孔輸送層52が、第2の電極層80と接して電子輸送層53がそれぞれ設けられている。本発明のおいては、発光素子の有する少なくとも一層の機能層に混合原子価化合物が含まれている構成であればよいので、機能層である正孔輸送層52及び電子輸送層53のどちらか一方に混合原子価化合物が含まれていればよい。もちろん正孔輸送層52及び電子輸送層53の両方に混合原子価化合物が含まれていてもよい。
図1(D)は機能層として正孔注入層54、正孔輸送層52、電子輸送層53、電子注入層55を設けた構成である。第1の電極層60と発光層51の間に第1の電極層60側から正孔注入層54、正孔輸送層52が設けられ、発光層51と第2の電極層80との間に発光層51側から電子輸送層53、電子注入層55が設けられている。前述のように正孔注入層54、正孔輸送層52、電子輸送層53、電子注入層55の機能層うち、少なくとも一層において混合原子価化合物を含む構成とすればよい。もちろん複数層混合原子価化合物を含む構成としてもよく、上記4層すべてに混合原子価化合物を含む構成としてもよい。
ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、有機化合物及び無機化合物がある。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその化合物(結晶構造)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物(結晶構造)中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましいと考えられる。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。本発明の混合原子価化合物におけるホッピング伝導の理論図を図3に示す。図3(A)は、+n価の原子M(A)と+(n+1)価の原子M(B)との間での電子交換反応である。原子M(A)は、価数が+nであるため、Mn+(A)であり、準位30に電子32を有している。一方原子M(B)は、価数が+(n+1)であるため、Mn+1(B)であり、準位31に電子を有していない。
電子32は励起され、M(A)の準位30より矢印33のようにM(B)の準位31に飛び移り、ホッピング伝導となる(図3(A)参照。)。ホッピング伝導後、原子M(A)の準位30には電子を有さず、原子M(A)は、+(n+1)価の原子Mn+1(A)となる。一方、原子M(B)の準位31には電子32を有し、+n価の原子M(B)となる(図3(B)参照。)。このようにホッピング伝導が生じる。
よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の機能層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
混合原子価状態を有する元素には遷移金属、希土類金属がある。例えば、ユウロピウム(Eu)であれば、+2価と+3価が存在する。混合原子価化合物には、金属酸化物や金属硫化物のような金属カルコゲナイドなどがある。例えば酸化モリブデン(MoO)は、モリブデン(Mo)の価数は+3価だけではなく、+2価と+3価とが共存する状態で化合物が形成されている。
このような複数の価数を有する酸化モリブデンを図1(D)に示すような発光素子の正孔注入層54に用いれば、正孔注入性が向上し低電力化とすることができる。
上記機能層に含まれる混合原子価化合物として、遷移金属や希土類金属の酸化物や硫化物などを用いることができる。例えば酸化物では、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)などのペロブスカイト型酸化物、マグネタイト(Fe)、マンガンフェライト(MnFe)、ニッケルフェライト(NiFe)などのフェライト材料、ほかにも酸化タングステン(WO)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化レニウム(ReO)、酸化ユーロピウム(Eu)、チタン酸リチウム(LiTi)、酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化アンチモン(Sb)、酸化鉛(Pb)などがある。硫化物では硫化ユーロピウム(Eu)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)、硫化ガリウム(GaS)、硫化タリウム(TlS)などがある、さらに、ハロゲン化合物では弗化銀(AgF)、ハロゲン化インジウム(InF、InCl、InBr、InI)、塩化タンタル(TaCl15)、塩化タリウム(TlCl)、塩化ガリウム(GaCl)などがある。さらに窒化物では窒化インジウム(InN)、窒化錫(SnN)などや、砒素化物では砒素化ユーロピウム(EuAs)などがある。また、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)などの金属錯体でも混合原子価状態を有する。なお、酸化マンガン(Mn)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)がより好ましい。酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すものもあり、またp型半導体になるのでホール輸送層に有効であると考えられる。
化合物が混合原子価状態であるかどうかは、光学的方法、電気化学的方法、X線結晶学的方法などのいくつかの手法で調べることができる。例えば、メスバウアー、磁化率や、X線吸収端構造(XANES)、X線吸収微細構造(XAFS)などの観測原子の化合物中における吸収状態によって、有する価数が複数存在することを観測することができる。また、高精細なX線解析、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)などにより混合原子価状態を判断することができる。
本発明の発光素子の他の構成を、図2を用いて説明する。
図2は発光素子の素子構造であり、第1の電極層870と第2の電極層850との間に、EL層860が挟持されている発光素子である。EL層860は、図示した通り、第1の層804、第2の層803、第3の層802から構成されている。図2において第2の層803は発光層であり、第1の層804及び第3の層802は機能層である。図2(A)乃至(D)において、第1の層804及び第3の層802の少なくとも一方に混合原子価化合物を含んで形成する。もちろん第1の層804及び第3の層802両方に混合原子価化合物を用いてもよい。
第1の層804は、第2の層803に正孔(ホール)を輸送する機能を担う層である。図1における正孔注入層54(図2では第1の層804に含まれる)は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層804を形成することができる。
また、正孔注入層54として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。
また、正孔注入層54として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、電極層とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず電極層を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
図1(D)における正孔輸送層52(図2では第1の層804に含まれる)を形成する物質としては、正孔輸送性の高い物質、具体的には、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送層52は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
本発明において、第1の層804、正孔輸送層52、正孔注入層54を、混合原子価を含む機能層として形成する場合は、第1の層804、正孔輸送層52、正孔注入層54を、上記混合原子価化合物を用いて形成する。また上記第1の層804、正孔輸送層52、正孔注入層54に用いることのできる物質と混合原子価化合物とを混合して混合層として用いてもよく、積層構造としてもよい。
第3の層802は、第2の層803に電子を輸送、注入する機能を担う層である。図1(D)における電子輸送層53(図2では第3の層802に含まれる)について説明する。電子輸送層53は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
図1(D)における電子注入層55(図2では第3の層802に含まれる)について説明する。電子注入層55は、電子注入性の高い物質を用いることができる。電子注入層55としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、電極層からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
本発明において、第3の層802、電子輸送層53、電子注入層55を混合原子価を含む機能層として形成する場合は、第3の層802、電子輸送層53、電子注入層55に、上記混合原子価化合物を含んで形成する。上記第3の層802、電子輸送層53、電子注入層55に用いることのできる物質と混合原子価化合物とを混合して混合層として用いればよく、積層構造としてもよい。
次に、発光層51(図2では第2の層803)について説明する。発光層51は発光機能を担う層であり、発光性の有機化合物を含む。また、無機化合物を含む構成であってもよい。発光層51は、種々の発光性の有機化合物、無機化合物を用いて形成することができる。ただし、発光層51は、膜厚は10nm〜100nm程度が好ましい。
発光層51に用いられる有機化合物としては、発光性の有機化合物であれば特に限定されることはなく、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、クマリン30、クマリン6、クマリン545、クマリン545T、ペリレン、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)等が挙げられる。また、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(ピコリナート)(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(ピコリナート)(略称:Ir(CFppy)(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス[2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(thp)(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(pq)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(btp)(acac))などの燐光を放出できる化合物用いることもできる。
発光層51を一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
また、発光層51においては、上述した発光を示す有機化合物だけでなく、さらに他の有機化合物が添加されていてもよい。添加できる有機化合物としては、例えば、先に述べたTDATA、MTDATA、m−MTDAB、TPD、NPB、DNTPD、TCTA、Alq、Almq、BeBq、BAlq、Zn(BOX)、Zn(BTZ)、BPhen、BCP、PBD、OXD−7、TPBI、TAZ、p−EtTAZ、DNA、t−BuDNA、DPVBiなどの他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)などを用いることができるが、これらに限定されることはない。なお、このように有機化合物以外に添加する有機化合物は、有機化合物を効率良く発光させるため、有機化合物の励起エネルギーよりも大きい励起エネルギーを有し、かつ有機化合物よりも多く添加されていることが好ましい(それにより、有機化合物の濃度消光を防ぐことができる)。あるいはまた、他の機能として、有機化合物と共に発光を示してもよい(それにより、白色発光なども可能となる)。
発光層51は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
発光層51で用いることのできる材料は低分子系有機発光材料でも高分子系有機発光材料でもよい。高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
発光層51用いられる無機化合物としては、有機化合物の発光を消光しにくい無機化合物であれば何であってもよく、種々の金属酸化物や金属窒化物を用いることができる。特に、周期表第13族または第14族の金属酸化物は、有機化合物の発光を消光しにくいため好ましく、具体的には酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムが好適である。ただし、これらに限定されることはない。
なお、発光層51は、上述した有機化合物と無機化合物の組み合わせを適用した層を、複数積層して形成していてもよい。また、他の有機化合物あるいは他の無機化合物をさらに含んでいてもよい。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、電子注入用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
よって、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば封止基板に形成し、素子基板へ張り合わせればよい。
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
第1の電極層870及び第2の電極層850は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極層870及び第2の電極層850は、画素構成によりいずれも陽極(電位が高い電極層)、又は陰極(電位が低い電極層)となりうる。駆動用薄膜トランジスタの極性がpチャネル型である場合、図2(A)のように第1の電極層870を陽極、第2の電極層850を陰極とするとよい。また、駆動用薄膜トランジスタの極性がnチャネル型である場合、図2(B)のように、第1の電極層870を陰極、第2の電極層850を陽極とすると好ましい。第1の電極層870および第2の電極層850に用いることのできる材料について述べる。第1の電極層870、第2の電極層850が陽極として機能する場合は仕事関数の大きい材料(具体的には4.5eV以上の材料)が好ましく、第1の電極層、第2の電極層850が陰極として機能する場合は仕事関数の小さい材料(具体的には3.5eV以下の材料)が好ましい。しかしながら、第1の層804の正孔注入、正孔輸送特性や、第3の層802の電子注入性、電子輸送特性が優れているため、第1の電極層870、第2の電極層850共に、ほとんど仕事関数の制限を受けることなく、種々の材料を用いることができる。
図2(A)、(B)における発光素子は、第1の電極層870より光を取り出す構造のため、第2の電極層850は、必ずしも光透光性を有する必要はない。第2の電極層850としては、Ti、Ni、W、Cr、Pt、Zn、Sn、In、Ta、Al、Cu、Au、Ag、Mg、Ca、LiまたはMoから選ばれた元素、または窒化チタン、TiSi、WSi、窒化タングステン、WSi、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
また、第2の電極層850に第1の電極層870で用いる材料のような透光性を有する導電性材料を用いると、第2の電極層850からも光を取り出す構造となり、発光素子から放射される光は、第1の電極層870と第2の電極層850との両方より放射される両面放射構造とすることができる。
なお、第1の電極層870や第2の電極層850の種類を変えることで、本発明の発光素子は様々なバリエーションを有する。
図2(B)は、EL層860が、第1の電極層870側から第3の層802、第2の層803、第1の層804の順で構成されているケースである。
図2(C)は、図2(A)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。同様に図2(D)は、図2(B)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。
なお、EL層860に有機化合物と無機化合物が混合させて設ける場合、その形成方法としては種々の手法を用いることができる。例えば、有機化合物と無機化合物の両方を抵抗加熱により蒸発させ、共蒸着する手法が挙げられる。その他、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させる一方で、無機化合物をエレクトロンビーム(EB)により蒸発させ、共蒸着してもよい。また、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させると同時に、無機化合物をスパッタリングし、両方を同時に堆積する手法も挙げられる。その他、湿式法により成膜してもよい。
第1の電極層870および第2の電極層850の作製方法としては、抵抗加熱による蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、CVD法、スピンコート法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いることができる。
本実施の形態における、有機化合物を含む発光層を有する発光素子に、混合原子価化合物を含む機能層を有することにより、機能層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成できる。
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性の発光装置とすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図20を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極層と第2の電極層との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。
図20において、第1の電極層501と第2の電極層502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極層501と第2の電極層502は実施の形態1と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態1と同様なものを適用することができる。従って第1の発光ユニット511及び第2の発光ユニット512に設けられる少なくとも一層の機能層に混合原子価化合物を含む構成とすればよい。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態1で示した複合材料であり、有機化合物とVやMoOやWO等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極層501と第2の電極層502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極層間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低くい発光装置を実現することができる。
なお、本実施の形態は、実施の形態1と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置の一構成例に関して図面を用いて説明する。より具体的には、発光装置の構成がパッシブマトリクス型の場合に関して示す。
発光装置は、第1の方向に延びた第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751c、第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751cを覆って設けられたEL層752と、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753cとを有している(図4(A)参照。)。EL層752は有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。第1の電極層751a、第1の電極層751b、第1の電極層751cと第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753aとの間にEL層752が設けられている。また、第2の電極層753a、第2の電極層753b、第2の電極層753cを覆うように、保護膜として機能する絶縁層754を設けている(図4(B)参照。)。なお、隣接する各々の発光素子間において横方向への電界の影響が懸念される場合は、各発光素子に設けられたEL層752を分離してもよい。
図4(C)は、図4(B)の変形例であり、基板790上に、第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791c、機能層を含むEL層792、第2の電極層793b、保護層である絶縁層794を有している。EL層792は有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。図4(C)の第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791cのように、第1の電極層は、テーパーを有する形状でもよく、曲率半径が連続的に変化する形状でもよい。第1の電極層791a、第1の電極層791b、第1の電極層791cのような形状は、液滴吐出法などを用いて形成することができる。このような曲率を有する曲面であると、積層する絶縁層や導電層のカバレッジがよい。
また、第1の電極層の端部を覆うように隔壁(絶縁層)を形成してもよい。隔壁(絶縁層)は、他の発光素子間を隔てる壁のような役目を果たす。図5(A)、(B)に第1の電極層の端部を隔壁(絶縁層)で覆う構造を示す。
図5(A)に示す発光素子の一例は、隔壁となる隔壁(絶縁層)775が、第1の電極層771a、第1の電極層771b、第1の電極層771cの端部を覆うようにテーパーを有する形状で形成されている。基板770上に設けられた第1の電極層771a、第1の電極層771b、第1の電極層771c上に、隔壁(絶縁層)775を形成し、機能層を含むEL層772、第2の電極層773b、絶縁層774を形成する。EL層772は有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。
図5(B)に示す発光素子の一例は、隔壁(絶縁層)765が曲率を有し、その曲率半径が連続的に変化する形状である。基板760上に設けられた第1の電極層761a、第1の電極層761b、第1の電極層761c、機能層を含むEL層762、第2の電極層763b、絶縁層764が形成される。EL層762には有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。
また、隔壁の他の例を図21に示す。図21(A)には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図、図21(B)には図21(A)における線X−Yの断面図を示す。図21において、基板781上には、第1の電極層782と第2の電極層786との間にはEL層785が設けられている。EL層785には有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。第1の電極層782の端部は絶縁層783で覆われている。そして、絶縁層783上には隔壁(絶縁層)784が設けられている。隔壁(絶縁層)784の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁(絶縁層)784の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層783の面方向と同様の方向を向き、絶縁層783と接する辺)の方が上辺(絶縁層783の面方向と同様の方向を向き、絶縁層783と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁(絶縁層)784を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
本発明を用いて作製された電極層間に設けられたEL層762には、混合原子価化合物が含まれる機能層が設けられている。よって、発光素子を低電圧で駆動することができ、消費電力も低くすることができる。よって高信頼性の発光装置を作製することができる。
ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、有機化合物及び無機化合物がある。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその化合物中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物(結晶構造)中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましいと考えられる。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の機能層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
混合原子価状態を有する元素には遷移金属、希土類金属がある。例えば、ユウロピウム(Eu)であれば、+2価と+3価が存在する。混合原子価化合物には、金属酸化物や金属硫化物のような金属カルコゲナイドなどがある。例えば酸化モリブデン(MoO)は、モリブデン(Mo)の価数は+3価だけではなく、+2価と+3価とが共存する状態で化合物が形成されている。
上記機能層に含まれる混合原子価化合物として、遷移金属や希土類金属の酸化物や硫化物などを用いることができる。例えば酸化物では、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)などのペロブスカイト型酸化物、マグネタイト(Fe)、マンガンフェライト(MnFe)、ニッケルフェライト(NiFe)などのフェライト材料、ほかにも酸化タングステン(WO)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化レニウム(ReO)、酸化ユーロピウム(Eu)、チタン酸リチウム(LiTi)、酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化アンチモン(Sb)、酸化鉛(Pb)などがある。硫化物では硫化ユーロピウム(Eu)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)、硫化ガリウム(GaS)、硫化タリウム(TlS)などがある、さらに、ハロゲン化合物では弗化銀(AgF)、ハロゲン化インジウム(InF、InCl、InBr、InI)、塩化タンタル(TaCl15)、塩化タリウム(TlCl)、塩化ガリウム(GaCl)などがある。さらに窒化物では窒化インジウム(InN)、窒化錫(SnN)などや、砒素化物では砒素化ユーロピウム(EuAs)などがある。また、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)などの金属錯体でも混合原子価状態を有する。なお、酸化マンガン(Mn)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)がより好ましい。酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すものもあり、またp型半導体になるのでホール輸送層に有効であると考えられる。
基板750、基板760、基板770、基板781、基板790としては、ガラス基板や可撓性基板の他、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板等を用いることができる。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)などを用いることもできる。また、この他にも、Si等の半導体基板上に形成された電界効果トランジスタ(FET)の上部や、ガラス等の基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)の上部に発光素子を設けることができる。
本実施の形態で示した第1の電極層、第2の電極層、機能層及び発光層を含むEL層の材料および形成方法は、上記実施の形態1で示した材料および形成方法のいずれかを用いて同様に行うことができる。
隔壁(絶縁層)765、775、784としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料等を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られる塗布膜やSOG膜なども用いることができる。
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどを行ってもよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
本実施の形態における、有機化合物を含む発光層を有する発光素子に、混合原子価化合物を含む機能層を有することにより、機能層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成できる。
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性の発光装置とすることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なる構成を有する発光装置について説明する。具体的には、発光装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
発光装置の上面図を図6(A)に、図6(A)における線E−Fの断面図を図6(B)に示す。また、図6(A)にはEL層312、第2の電極層313及び絶縁層314は省略され図示されていないが、図6(B)で示すようにそれぞれ設けられている。EL層312には有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。
第1の方向に延びた第1の配線と、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の配線とがマトリクス状に設けられている。また、第1の配線はトランジスタ310a及びトランジスタ310bのソース電極層又はドレイン電極層に接続されており、第2の配線はトランジスタ310a及びトランジスタ310bのゲート電極層に接続されている。さらに、第1の配線と接続されていないトランジスタ310a及びトランジスタ310bのソース電極層またはドレイン電極層に、それぞれ第1の電極層306a及び第1の電極層306bが接続され、それぞれ第1の電極層306a及び第1の電極層306b、EL層312、第2の電極層313の積層構造によって発光素子315a、発光素子315bが設けられている。隣接する各々の発光素子の間に隔壁(絶縁層)307を設けて、第1の電極層と隔壁(絶縁層)307上にEL層312および第2の電極層313を積層して設けている。第2の電極層313上に保護層となる絶縁層314を有している。また、トランジスタ310a、トランジスタ310bとして、薄膜トランジスタを用いている(図6(B)参照。)。
図6(B)の発光素子は基板300上に設けられており、絶縁層301a、絶縁層301b、絶縁層308、絶縁層309、絶縁層311、トランジスタ310aを構成する半導体層304a、ゲート電極層302a、ソース電極層又はドレイン電極層を兼ねる配線305a、トランジスタ310bを構成する半導体層304b、ゲート電極層302bを有している。第1の電極層306a、第1の電極層306b、隔壁(絶縁層)307上にEL層312、第2の電極層313が形成されている。
また、図11に示すように、単結晶半導体基板350上に設けられた電界効果トランジスタ360a、電界効果トランジスタ360bに発光素子365a、発光素子365bが接続されていてもよい。ここでは、電界効果トランジスタ360a及び電界効果トランジスタ360bのソース電極層又はドレイン電極層355a〜355dを覆うように絶縁層370を設け、絶縁層370上に第1の電極層356a、第1の電極層356b、隔壁(絶縁層)367、EL層362a、EL層362b、第2の電極層363で発光素子365a、発光素子365bを構成する。EL層362a、EL層362bのようにEL層は、各発光素子のみに、マスク等を用いて選択的に設けてもよい。EL層362a、362bは有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。また、図11に示す発光装置は、素子分離領域368、絶縁層369、絶縁層361、絶縁層364も有している。第1の電極層356a、第1の電極層356b、隔壁367上にEL層362a、EL層362bが形成され、EL層362a及びEL層362b上に第2の電極層363が形成されている。
本発明を用いて作製された発光素子のEL層312、362a、362bには発光層の他に機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層など)を有している。機能層うち、少なくとも一層において混合原子価化合物を含む構成とすればよい。もちろん複数層混合原子価化合物を含む構成としてもよく、上記機能層すべてに混合原子価化合物を含む構成としてもよい。
ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、有機化合物及び無機化合物がある。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその化合物(結晶構造)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましいと考えられる。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の機能層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
混合原子価状態を有する元素には遷移金属、希土類金属がある。例えば、ユウロピウム(Eu)であれば、+2価と+3価が存在する。混合原子価化合物には、金属酸化物や金属硫化物のような金属カルコゲナイドなどがある。例えば酸化モリブデン(MoO)は、モリブデン(Mo)の価数は+3価だけではなく、+2価と+3価とが共存する状態で化合物が形成されている。
上記機能層に含まれる混合原子価化合物として、遷移金属や希土類金属の酸化物や硫化物などを用いることができる。例えば酸化物では、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)などのペロブスカイト型酸化物、マグネタイト(Fe)、マンガンフェライト(MnFe)、ニッケルフェライト(NiFe)などのフェライト材料、ほかにも酸化タングステン(WO)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化レニウム(ReO)、酸化ユーロピウム(Eu)、チタン酸リチウム(LiTi)、酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化アンチモン(Sb)、酸化鉛(Pb)などがある。硫化物では硫化ユーロピウム(Eu)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)、硫化ガリウム(GaS)、硫化タリウム(TlS)などがある、さらに、ハロゲン化合物では弗化銀(AgF)、ハロゲン化インジウム(InF、InCl、InBr、InI)、塩化タンタル(TaCl15)、塩化タリウム(TlCl)、塩化ガリウム(GaCl)などがある。さらに窒化物では窒化インジウム(InN)、窒化錫(SnN)などや、砒素化物では砒素化ユーロピウム(EuAs)などがある。また、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)などの金属錯体でも混合原子価状態を有する。なお、酸化マンガン(Mn)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)がより好ましい。酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すものもあり、またp型半導体になるのでホール輸送層に有効であると考えられる。
図11のように、絶縁層370を設けて発光素子を形成することによって第1の電極層を自由に配置することができる。つまり、図6(B)の構成では、トランジスタ310a、トランジスタ310bのソース電極層又はドレイン電極層を避けた領域に発光素子315a、発光素子315bを設ける必要があったが、上記構成とすることによって、例えば、トランジスタ310a、トランジスタ310bの上方に発光素子315a、発光素子315bを形成することが可能となる。その結果、発光装置をより高集積化することが可能となる。
トランジスタ310a、トランジスタ310bはスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。半導体層も非晶質半導体、結晶性半導体、多結晶半導体、微結晶半導体など様々な半導体を用いることができ、有機化合物を用いて有機トランジスタを形成してもよい。図6(A)では、絶縁性を有する基板上にプレーナ型の薄膜トランジスタを設けた例を示しているが、スタガ型や逆スタガ型等の構造でトランジスタを形成することも可能である。
本実施の形態における、有機化合物を含む発光層を有する発光素子に、混合原子価化合物を含む機能層を有することにより、機能層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成できる。
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性の発光装置とすることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態における発光装置の作製方法を、図7、図8、図16、図17を用いて詳細に説明する。
図16(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
図16(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図17(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図17(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図17において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible printed circuit)2750と接続している。
また、画素に設けるTFTを結晶性を有する半導体で形成する場合には、図16(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図16(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図16(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図16(C)は、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
絶縁表面を有する基板100の上に下地膜として、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより窒化酸化珪素膜を用いて下地膜101aを10〜200nm(好ましくは50〜150nm)形成し、酸化窒化珪素膜を用いて下地膜101bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料等を用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて下地膜101a、下地膜101bを形成する。基板100としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板、またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いても良い。プラスチック基板としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)からなる基板、可撓性基板としてはアクリル等の合成樹脂を用いることができる。本実施の形態で作製する発光装置は、基板100を通過させて発光素子よりの光を取り出す構成であるので、基板100は透光性を有する必要がある。
下地膜としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで各種手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。本実施の形態では、非晶質半導体膜を、レーザ結晶化し、結晶性半導体膜とするものを用いるのが好ましい。
半導体膜を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。SASは、珪素を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素を含む気体としては、SiH、その他にもSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることが可能である。またF、GeFを混合させても良い。この珪素を含む気体をH、又は、HとHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体膜としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて非晶質半導体を結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、公知の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質半導体膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質半導体膜にレーザ光を照射すると非晶質半導体膜が破壊されてしまうからである。結晶化のための加熱処理は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射(ランプアニールともいう)などを用いることができる。加熱方法としてGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法等のRTA法がある。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法であり、LRTAとはランプ光により加熱処理を行う方法である。
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
結晶化を促進する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
レーザと、半導体膜とを相対的に走査することにより、レーザ照射を行うことができる。またレーザ照射において、ビームを精度よく重ね合わせたり、レーザ照射開始位置やレーザ照射終了位置を制御するため、マーカーを形成することもできる。マーカーは非晶質半導体膜と同時に、基板上へ形成すればよい。
レーザ照射を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CW(CW:continuous−wave)レーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVOレーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このレーザは、CWで射出することも、パルス発振で射出することも可能である。CWで射出する場合は、レーザのパワー密度を0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上ができる。
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。またさらにレーザは、半導体膜に対して入射角θ(0<θ<90度)を持たせて照射させるとよい。レーザの干渉を防止することができるからである。
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半導体膜を用いて発光装置を作製すると、その発光装置の特性は、良好かつ均一である。
また、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光の照射により半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じるしきい値のばらつきを抑えることができる。
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
本実施の形態では、下地膜101b上に、非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜を結晶化させることによって結晶性半導体膜を形成する。
非晶質半導体膜上に形成された酸化膜を除去した後、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を1nm〜5nm形成する。本実施の形態では、結晶化を助長する元素としてNiを用いる。Ni酢酸塩10ppmを含有した水溶液をスピンコーティング法により塗布する。
本実施の形態では、熱処理をRTA法により750℃で3分間行った後、半導体膜上に形成される酸化膜を除去し、レーザ光を照射する。非晶質半導体膜は以上の結晶化処理により結晶化し、結晶性半導体膜として形成される。
金属元素を用いた結晶化を行った場合、金属元素を低減、又は除去するためにゲッタリング工程を施す。本実施の形態では、非晶質半導体膜をゲッタリングシンクとして金属元素を捕獲する。まず、結晶性半導体膜上に酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を形成する。酸化膜は加熱処理によって厚膜化することが望ましい。次いでプラズマCVD法(本実施の形態における条件350W、35Pa、成膜ガスSiH(流量5sccm)、Ar(流量1000sccm))を用いて、非晶質半導体膜を50nmの膜厚で形成する。
その後、RTA法により744℃で3分間熱処理を行い、金属元素を低減、又は除去する。熱処理は窒素雰囲気下で行ってもよい。そして、ゲッタリングシンクとなっていた非晶質半導体膜、及び非晶質半導体膜上に形成された酸化膜をフッ酸等により除去し、金属元素が低減、又は除去された結晶性半導体膜を得ることができる。本実施の形態では、ゲッタリングシンクとなった非晶質半導体膜の除去をTMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide)を用いて行う。
このようにして得られた半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。この不純物元素のドーピングは、結晶化工程の前の非晶質半導体膜に行ってもよい。非晶質半導体膜の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
次に結晶性半導体膜を、所望な形状にエッチング加工し、半導体層を形成する。
エッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF、NFなどのフッ素系、又はCl、BClなどの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
本発明において、配線層若しくは電極層を形成する導電層や、所定のパターンを形成するためのマスク層などを、液滴吐出法のような選択的にパターンを形成できる方法により形成してもよい。液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)は、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターン(導電層や絶縁層など)を形成することができる。この際、被形成領域にぬれ性や密着性を制御する処理を行ってもよい。また、パターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法なども用いることができる。
本実施の形態において、用いるマスクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、透光性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料等を用いることもできる。或いは、ポジ型レジスト、ネガ型レジストなどの感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよい。液滴吐出法を用いる場合、いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整する、界面活性剤等を加えるなどによって適宜調整する。
半導体層を覆うゲート絶縁層107を形成する。ゲート絶縁層はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用い、厚さを10〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。ゲート絶縁層としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素に代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。また、絶縁層は窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜の3層の積層、酸化窒化珪素膜の単層でも良い。
次いで、ゲート絶縁層107上にゲート電極層を形成する。ゲート電極層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、ゲート電極層は単層でも積層でもよい。
本実施の形態ではゲート電極層をテーパー形状を有する様に形成するが、本発明はそれに限定されず、ゲート電極層を積層構造にして、一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。本実施の形態のように、テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
ゲート電極層を形成する際のエッチング工程によって、ゲート絶縁層107は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
半導体層に不純物元素を添加し、不純物領域を形成する。不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Light doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極層と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。
本実施の形態では、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重なる領域をLov領域と示し、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重ならない領域をLoff領域と示す。図7では、不純物領域においてハッチングと白地で示されているが、これは、白地部分に不純物元素が添加されていないということを示すのではなく、この領域の不純物元素の濃度分布がマスクやドーピング条件を反映していることを直感的に理解できるようにしたためである。なお、このことは本明細書の他の図面においても同様である。
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う第1の層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁膜167と絶縁膜168との積層構造とする。絶縁膜167及び絶縁膜168は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜などを用いることができ、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜167に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で加熱処理を行う。
絶縁膜167、絶縁膜168としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素(CN)、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜167、絶縁膜168、ゲート絶縁層107に半導体層に達するコンタクトホール(開口)を形成する。開口を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層を形成する。ソース電極層又はドレイン電極層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
以上の工程で周辺駆動回路領域204にLov領域にp型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ285、Lov領域にnチャネル型不純物領域を有するnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ275を、画素領域206にLoff領域にn型不純物領域を有するマルチチャネル型のnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ265、Lov領域にp型不純物領域を有するpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ245を有するアクティブマトリクス基板を作製することができる。
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
次に第2の層間絶縁層として絶縁膜181を形成する。図7において、スクライブによる切り離しのための切り離し領域201、FPCの貼り付け部である外部端子接続領域202、周辺部の引き回し配線領域である配線領域203、周辺駆動回路領域204、画素領域206である。配線領域203には配線179a、配線179bが設けられ、外部端子接続領域202には、外部端子と接続する端子電極層178が設けられている。
絶縁膜181としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム(AlN)、窒素を含む酸化アルミニウム(酸化窒化アルミニウムともいう)(AlON)、酸素を含む窒化アルミニウム(窒化酸化アルミニウムともいう)(AlNO)、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザン、低誘電率(Low−k)材料を用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。平坦化のために設ける層間絶縁層としては、耐熱性および絶縁性が高く、且つ、平坦化率の高いものが要求されるので、絶縁膜181の形成方法としては、スピンコート法で代表される塗布法を用いると好ましい。
絶縁膜181は、その他ディップ法、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁膜181を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法なども用いることができる。
画素領域206の絶縁膜181に微細な開口、つまりコンタクトホールを形成する。
次に、ソース電極層又はドレイン電極層と接するように、第1の電極層185(画素電極層ともいう。)を形成する。第1の電極層185は陽極、または陰極として機能し、Ti、Ni、W、Cr、Pt、Zn、Sn、In、またはMoから選ばれた元素、または窒化チタン、TiSi、WSi、窒化タングステン、WSi、NbNなどの前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
本実施の形態では、発光素子からの光を第1の電極層185側から取り出す構造のため、第1の電極層185が透光性を有する。第1の電極層185として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極層185を形成する。
本発明においては、透光性電極層である第1の電極層185に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層185から光を放射することが可能となる。また、第1の電極層185に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
第1の電極層185は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、第1の電極層185として、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物を用いてスパッタリング法によって作製する。第1の電極層185は、好ましくは総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
第1の電極層185は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層185の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
第1の電極層185を形成後、加熱処理を行ってもよい。この加熱処理により、第1の電極層185中に含まれる水分は放出される。よって、第1の電極層185は脱ガスなどを生じないため、第1の電極層上に水分によって劣化しやすい発光材料を形成しても、発光材料は劣化せず、信頼性の高い発光装置を作製することができる。
次に、第1の電極層185の端部、ソース電極層又はドレイン電極層を覆う絶縁層186(隔壁、障壁などとも呼ばれる)を形成する。
絶縁層186としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。また、絶縁層186の他の材料として、窒化アルミニウム、酸素含有量が窒素含有量よりも多い酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザンを用いることができる。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
絶縁層186は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)、また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、ディスペンサ法、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法などを用いることもできる。
所望の形状に加工するエッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF、NFなどのフッ素系のガス、又はCl、BClなどの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
図7(A)に示す接続領域205において、第2の電極層と同工程、同材料で形成される配線層はゲート電極層と同工程、同材料で形成される配線層と電気的に接続する。
第1の電極層185の上にはEL層188が形成される。EL層188には有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。なお、図7では一画素しか図示していないが、本実施の形態ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応したEL層を作り分けている。EL層188は、実施の形態1で示したように作製すればよい。
本発明を用いて作製された発光素子のEL層188には発光層の他に機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層など)を有している。機能層うち、少なくとも一層において混合原子価化合物を含む構成とすればよい。もちろん複数層混合原子価化合物を含む構成としてもよく、上記機能層すべてに混合原子価化合物を含む構成としてもよい。
ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、有機化合物及び無機化合物がある。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその化合物(結晶構造)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましいと考えられる。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の機能層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
混合原子価状態を有する元素には遷移金属、希土類金属がある。例えば、ユウロピウム(Eu)であれば、+2価と+3価が存在する。混合原子価化合物には、金属酸化物や金属硫化物のような金属カルコゲナイドなどがある。例えば酸化モリブデン(MoO)は、モリブデン(Mo)の価数は+3価だけではなく、+2価と+3価とが共存する状態で化合物が形成されている。
上記機能層に含まれる混合原子価化合物として、遷移金属や希土類金属の酸化物や硫化物などを用いることができる。例えば酸化物では、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)などのペロブスカイト型酸化物、マグネタイト(Fe)、マンガンフェライト(MnFe)、ニッケルフェライト(NiFe)などのフェライト材料、ほかにも酸化タングステン(WO)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化レニウム(ReO)、酸化ユーロピウム(Eu)、チタン酸リチウム(LiTi)、酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化アンチモン(Sb)、酸化鉛(Pb)などがある。硫化物では硫化ユーロピウム(Eu)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)、硫化ガリウム(GaS)、硫化タリウム(TlS)などがある、さらに、ハロゲン化合物では弗化銀(AgF)、ハロゲン化インジウム(InF、InCl、InBr、InI)、塩化タンタル(TaCl15)、塩化タリウム(TlCl)、塩化ガリウム(GaCl)などがある。さらに窒化物では窒化インジウム(InN)、窒化錫(SnN)などや、砒素化物では砒素化ユーロピウム(EuAs)などがある。また、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)などの金属錯体でも混合原子価状態を有する。なお、酸化マンガン(Mn)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)がより好ましい。酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すものもあり、またp型半導体になるのでホール輸送層に有効であると考えられる。
次に、EL層188の上に導電膜からなる第2の電極層189が設けられる。第2の電極層189としては、Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF、または窒化カルシウムを用いればよい。こうして第1の電極層185、EL層188及び第2の電極層189からなる発光素子190が形成される(図7(B)参照。)。
図7に示した本実施の形態の発光装置において、発光素子190から発した光は、第1の電極層185側から、図7(B)中の矢印の方向に透過して射出される。
本実施の形態では、第2の電極層189上にパッシベーション膜(保護膜)として絶縁層を設けてもよい。このように第2の電極層189を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。又はシロキサン樹脂を用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低いEL層188の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH、C、Cなど)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてCガスとNガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、EL層188の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間にEL層188が酸化するといった問題を防止できる。
このように発光素子190が形成された基板100と、封止基板195とをシール材192によって固着し、発光素子を封止する(図7参照。)。シール材192としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリシジルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シール材で囲まれた領域には充填材193を充填してもよく、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。本実施の形態は、下面射出型のため、充填材193は透光性を有する必要はないが、充填材193を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。以上の工程において、本実施の形態における、発光素子を用いた表示機能を有する発光装置が完成する。また充填材は、液状の状態で滴下し、発光装置内に充填することもできる。充填剤として、乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いると、さらなる吸水効果が得られ、素子の劣化を防ぐことができる。
EL表示パネル内には素子の水分による劣化を防ぐため、乾燥剤が設置される。本実施の形態では、乾燥剤は、画素領域を取り囲むように封止基板に形成された凹部に設置され、薄型化を妨げない構成とする。また、ゲート配線層に対応する領域にも乾燥剤を形成し、吸水面積を広く取っているので、吸水効果が高い。また、直接発光しないゲート配線層上に乾燥剤を形成しているので、光取り出し効率を低下させることもない。
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
図8に、本実施の形態で作製する図7の発光装置において、ソース電極層又はドレイン電極層と第1の電極層が直接接して電気的な接続を行うのではなく、配線層を介して接続する例を示す。図8の発光装置において、発光素子を駆動する薄膜トランジスタのソース電極層又はドレイン電極層と、第1の電極層395とは配線層199を介して電気的に接続している。また、図8では、配線層199の上に第1の電極層395が一部積層するように接続しているが、先に第1の電極層395を形成し、その第1の電極層395上に接するように配線層199を形成する構成でもよい。
本実施の形態では、外部端子接続領域202において、端子電極層178に異方性導電層196によってFPC194を接続し、外部と電気的に接続する構造とする。また発光装置の上面図である図7(A)で示すように、本実施の形態において作製される発光装置は信号線駆動回路を有する周辺駆動回路領域204、周辺駆動回路領域209のほかに、走査線駆動回路を有する周辺駆動回路領域207、周辺駆動回路領域208が設けられている。
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
また、本発明の発光装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、発光装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
本実施の形態における、有機化合物を含む発光層を有する発光素子に、混合原子価化合物を含む機能層を有することにより、機能層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成できる。
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性の発光装置とすることができる。
(実施の形態6)
本発明を適用して発光素子を有する発光装置を形成することができるが、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。本実施の形態では、両面射出型、上面射出型の例を、図9及び図19を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態4で作製した発光装置において、第2の層間絶縁層(絶縁膜181)を形成しない例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
図9に示す発光装置は、素子基板1600、薄膜トランジスタ1655、薄膜トランジスタ1665、薄膜トランジスタ1675、薄膜トランジスタ1685、第1の電極層1617、EL層1619、第2の電極層1620、充填材1622、シール材1632、絶縁膜1601a、絶縁膜1601b、ゲート絶縁層1610、絶縁膜1611、絶縁膜1612、絶縁層1614、封止基板1625、配線層1633、端子電極層1681、異方性導電層1682、FPC1683によって構成されている。発光装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。充填材1622は、液状の組成物の状態で、滴下法によって形成することができる。滴下法によって充填材が形成された素子基板1600と封止基板1625を張り合わして発光装置を封止する。EL層1619には有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。
本発明を用いて作製された発光素子のEL層1619には発光層の他に機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層など)を有している。機能層うち、少なくとも一層において混合原子価化合物を含む構成とすればよい。もちろん複数層混合原子価化合物を含む構成としてもよく、上記機能層すべてに混合原子価化合物を含む構成としてもよい。
ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、有機化合物及び無機化合物がある。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその化合物(結晶構造)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましいと考えられる。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の機能層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
混合原子価状態を有する元素には遷移金属、希土類金属がある。例えば、ユウロピウム(Eu)であれば、+2価と+3価が存在する。混合原子価化合物には、金属酸化物や金属硫化物のような金属カルコゲナイドなどがある。例えば酸化モリブデン(MoO)は、モリブデン(Mo)の価数は+3価だけではなく、+2価と+3価とが共存する状態で化合物が形成されている。
上記機能層に含まれる混合原子価化合物として、遷移金属や希土類金属の酸化物や硫化物などを用いることができる。例えば酸化物では、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)などのペロブスカイト型酸化物、マグネタイト(Fe)、マンガンフェライト(MnFe)、ニッケルフェライト(NiFe)などのフェライト材料、ほかにも酸化タングステン(WO)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化レニウム(ReO)、酸化ユーロピウム(Eu)、チタン酸リチウム(LiTi)、酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化アンチモン(Sb)、酸化鉛(Pb)などがある。硫化物では硫化ユーロピウム(Eu)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)、硫化ガリウム(GaS)、硫化タリウム(TlS)などがある、さらに、ハロゲン化合物では弗化銀(AgF)、ハロゲン化インジウム(InF、InCl、InBr、InI)、塩化タンタル(TaCl15)、塩化タリウム(TlCl)、塩化ガリウム(GaCl)などがある。さらに窒化物では窒化インジウム(InN)、窒化錫(SnN)などや、砒素化物では砒素化ユーロピウム(EuAs)などがある。また、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)などの金属錯体でも混合原子価状態を有する。なお、酸化マンガン(Mn)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)がより好ましい。酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すものもあり、またp型半導体になるのでホール輸送層に有効であると考えられる。
図9の発光装置は、両面放射型であり、矢印の方向に素子基板1600側からも、封止基板1625側からも光を放射する構造である。よって、第1の電極層1617及び第2の電極層1620として透光性電極層を用いる。
本実施の形態においては、透光性電極層である第1の電極層1617及び第2の電極層1620に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層1617及び第2の電極層1620から光を放射することが可能となる。また、第1の電極層1617及び第2の電極層1620に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
以上のように、図9の発光装置は、発光素子1605より放射される光が、第1の電極層1617及び第2の電極層1620両方を通過して、両面から光を放射する構成となる。
図19の発光装置は、矢印の方向に上面射出する構造である。図19に示す発光装置は、素子基板1300、薄膜トランジスタ1355、薄膜トランジスタ1365、薄膜トランジスタ1375、薄膜トランジスタ1385、配線層1324、第1の電極層1317、EL層1319、第2の電極層1320、保護膜1321、充填材1322、シール材1332、絶縁膜1301a、絶縁膜1301b、ゲート絶縁層1310、絶縁膜1311、絶縁膜1312、絶縁層1314、封止基板1325、配線層1333、端子電極層1381、異方性導電層1382、FPC1383によって構成されている。EL層1319には有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層の積層構造を有している。
図9及び図19における発光装置において、端子電極層に積層していた絶縁層はエッチングによって除去されている。このように端子電極層の周囲に透湿性を有する絶縁層を設けない構造であると信頼性がより向上する。図19において発光装置は、外部端子接続領域232、封止領域233、周辺駆動回路領域234、画素領域236を有している。図19の発光装置は、前述の図9で示した両面射出型の発光装置において、第1の電極層1317の下に、反射性を有する金属層である配線層1324を形成する。配線層1324の上に透明導電膜である第1の電極層1317を形成する。配線層1324としては、反射性を有すればよいので、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、銅、タンタル、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いればよい。好ましくは、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよく、本実施の形態では、窒化チタン膜を用いる。また、第1の電極層1317にも導電膜を用いてもよく、その場合、反射性を有する配線層1324は設けなくてもよい。
第1の電極層1317及び第2の電極層1320に、具体的には透光性を有する導電性材料からなる透明導電膜を用いればよく、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第2の電極層1620から光を放射することが可能となる。また、第2の電極層1620に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
発光素子を用いて形成する発光装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの発光装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
第1の電極層及び第2の電極層850は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、EB蒸着法、印刷法、ディスペンサ法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。
また、第1の電極層870および第2の電極層850に関しても同様に、抵抗加熱による蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング、湿式法などを用いることができる。本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至4と自由に組み合わせることが可能である。
本実施の形態における、有機化合物を含む発光層を有する発光素子に、混合原子価化合物を含む機能層を有することにより、機能層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成できる。
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性の発光装置とすることができる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態を、図10を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態4で作製した発光装置において、薄膜トランジスタとしてチャネルエッチ型逆スタガ型薄膜トランジスタを用い、第1の層間絶縁層及び第2の層間絶縁層を形成しない例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
図10に示す発光装置は、基板600上に、周辺駆動回路領域255に、逆スタガ型薄膜トランジスタ601、逆スタガ型薄膜トランジスタ602、画素領域246に逆スタガ型薄膜トランジスタ603、ゲート絶縁層605、絶縁膜606、絶縁層609、第1の電極層604と、EL層607と、第2の電極層608との積層である発光素子650、充填材611、封止基板610、封止領域にシール材612、端子電極層613、異方性導電層614、FPC615が設けられている。EL層607には有機化合物を含む発光層及び混合原子価化合物を含む機能層を有している。
本発明を用いて作製された発光素子のEL層607には発光層の他に機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層など)を有している。機能層うち、少なくとも一層において混合原子価化合物を含む構成とすればよい。もちろん複数層混合原子価化合物を含む構成としてもよく、上記機能層すべてに混合原子価化合物を含む構成としてもよい。
ある化合物において、その構成する元素の価数が複数存在する状態を混合原子価状態といい、そのような化合物を混合原子価化合物という。例えば、MXという化合物において、Mの価数が+n、+m(n≠m)というように複数存在する状態である。価数の種類は、3種類以上あってもよい。
具体的な価数の例として、+1、+2価の混合状態や、+2、+3価の混合状態の場合があり、+1、+2、+3価の混合状態を有するものがある。また混合する価数は、連続する価数でなくともよく、+1と+3価というように離れている値の組み合わせを有する場合もある。さらに一つの化合物において、2つ以上の元素が混合原子価状態を有する場合もある。例えば上記MXであればXの価数が−a、−b価(a≠b)、Mの価数が+n、+m(n≠m)の場合である。本発明で用いられる混合原子価化合物は、有機化合物及び無機化合物がある。また、化合物の組成式が、非化学量論的であってもよい。
その化合物を作製、合成する条件によって、混合原子価状態にすることができ、またその状態(例えば価数の割合)を制御することができる。例えば、合成温度、目的の化合物を合成するときの原材料の種類や混合量などがある。薄膜を成膜する際の状態(真空蒸着等などの成膜方法)にも由来する。また、酸化物や硫化物などでは欠陥によって生じる場合やある元素をドープすることで得られる場合がある。この原子価状態にはその状態によって2つのタイプがあり、無秩序型と秩序型に分けられる。無秩序型は+n価と+m価を有する元素(+n価を有する原子及び+m価を有する原子)がその化合物(結晶構造)中でランダムに分布されている。一方、秩序型はランダムではなく+n価を有する原子及び+m価を有する原子の同一元素が一定の場所(サイト)に整列をしている。例えば化合物中で、あるサイトには+n価の原子のみ、別のサイトには+m価の原子のみといった状態を取っている。ホッピング伝導では無秩序型が好ましいと考えられる。このような混合原子価化合物には超伝導物質、センサーなど興味深い特性を有する材料が多い。
混合原子価化合物は、異なる価数を有することからホッピング伝導する。よって、このホッピング伝導により電荷(キャリア)移動性を向上させることができる。従って混合原子価化合物を素子の機能層に有することにより、発光素子を低電圧で駆動することができるため、低消費電力化が達成でき、信頼性も向上する。
混合原子価状態を有する元素には遷移金属、希土類金属がある。例えば、ユウロピウム(Eu)であれば、+2価と+3価が存在する。混合原子価化合物には、金属酸化物や金属硫化物のような金属カルコゲナイドなどがある。例えば酸化モリブデン(MoO)は、モリブデン(Mo)の価数は+3価だけではなく、+2価と+3価とが共存する状態で化合物が形成されている。
上記機能層に含まれる混合原子価化合物として、遷移金属や希土類金属の酸化物や硫化物などを用いることができる。例えば酸化物では、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)などのペロブスカイト型酸化物、マグネタイト(Fe)、マンガンフェライト(MnFe)、ニッケルフェライト(NiFe)などのフェライト材料、ほかにも酸化タングステン(WO)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、酸化レニウム(ReO)、酸化ユーロピウム(Eu)、チタン酸リチウム(LiTi)、酸化マンガン(Mn)、酸化コバルト(Co)、酸化アンチモン(Sb)、酸化鉛(Pb)などがある。硫化物では硫化ユーロピウム(Eu)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)、硫化ガリウム(GaS)、硫化タリウム(TlS)などがある、さらに、ハロゲン化合物では弗化銀(AgF)、ハロゲン化インジウム(InF、InCl、InBr、InI)、塩化タンタル(TaCl15)、塩化タリウム(TlCl)、塩化ガリウム(GaCl)などがある。さらに窒化物では窒化インジウム(InN)、窒化錫(SnN)などや、砒素化物では砒素化ユーロピウム(EuAs)などがある。また、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)などの金属錯体でも混合原子価状態を有する。なお、酸化マンガン(Mn)、硫化銅(CuS)(xは1以上2以下)がより好ましい。酸化物や硫化物において酸素欠陥や硫黄欠陥となると混合原子価状態を示すものもあり、またp型半導体になるのでホール輸送層に有効であると考えられる。
本実施の形態で作製される逆スタガ型薄膜トランジスタ601、逆スタガ型薄膜トランジスタ602、逆スタガ型薄膜トランジスタ603のゲート電極層、ソース電極層、及びドレイン電極層は液滴吐出法によって形成されている。液滴吐出法は、液状の導電性材料を有する組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化し、導電層や電極層を形成する方法である。絶縁性材料を含む組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化すれば絶縁層も形成することができる。選択的に導電層や絶縁層などの発光装置の構成物を形成することができるので、工程が簡略化し、材料のロスが防げるので、低コストで生産性良く発光装置を作製することができる。
液滴吐出法に用いる液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐出手段が具備するノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には0.1pl以上40pl以下、より好ましくは10pl以下)に設定する。吐出量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
液滴吐出法を用いて膜(絶縁膜、又は導電膜など)を形成する場合、粒子状に加工された膜材料を含む組成物を吐出し、焼成によって融合や融着接合させ固化することで膜を形成する。このように導電性材料を含む組成物を吐出し、焼成することによって形成された膜においては、スパッタ法などで形成した膜が、多くは柱状構造を示すのに対し、多くの粒界を有する多結晶状態を示すことが多い。
吐出口から吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電性材料とは、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baなどの酸化物、ハロゲン化銀の微粒子又は分散性ナノ粒子に相当する。前記導電性材料はそれらの混合物であってもよい。また、透明導電膜は、透光性なので裏面露光時に光を透過してしまうが、光を透過しない材料と積層体として用いることはできる。これらの透明導電膜として、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。但し、吐出口から吐出する組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。バリア膜としては、窒化珪素膜やニッケルボロン(NiB)を用いるとことができる。
吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものであるが、他にも分散剤や、熱硬化性樹脂が含まれている。特に熱硬化性樹脂に関しては、焼成時にクラックや不均一な焼きムラが発生するのを防止する働きを持つ。よって、形成される導電層には、有機材料が含まれることがある。含まれる有機材料は、加熱温度、雰囲気、時間により異なる。この有機材料は、金属粒子の熱硬化性樹脂、溶媒、分散剤、及び被覆剤として機能する有機樹脂などであり、代表的には、ポリイミド、アクリル、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等や、他の有機樹脂が挙げられる。
また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層になっている粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティングされ、その周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤等、又は水を用いる。組成物の粘度は20mPa・s(cp)以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止する、吐出口から組成物を円滑に吐出するためである。また、組成物の表面張力は、40mN/m以下が好適である。但し、用いる溶媒や、用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。一例として、ITOや、有機インジウム、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・sに設定するとよい。
また、導電層は、複数の導電性材料を積層しても良い。また、始めに導電性材料として銀を用いて、液滴吐出法で導電層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっきは電気めっきや化学(無電界)めっき法で行えばよい。めっきは、めっきの材料を有する溶液を満たした容器に基板表面を浸してもよいが、基板を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっきする材料を有する溶液を、基板表面に流すように塗布してもよい。基板を立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、工程装置が小型化する利点がある。
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下の粒子サイズが好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.01〜10μmである。但し、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。従って、被覆剤を用いることが好ましい。
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されないため好ましい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜60分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミングは特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、一般的には100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO、GdVO等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせたレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板100の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、該基板100を破壊しないように、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間的に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数分〜数マイクロ秒の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えない。つまり、プラスチック基板等の耐熱性が弱い基板にも影響を与えない。
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層を、液状の組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどを行えばよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
本実施の形態では、半導体層として非晶質半導体を用いており、一導電性型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。本実施の形態では、半導体層と一導電型を有する半導体層として非晶質N型半導体層を積層する。またN型半導体層を形成し、Nチャネル型TFTのNMOS構造、P型半導体層を形成したPチャネル型TFTのPMOS構造、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとのCMOS構造を作製することができる。本実施の形態では、逆スタガ型薄膜トランジスタ601と逆スタガ型薄膜トランジスタ603をNチャネル型TFT、逆スタガ型薄膜トランジスタ602をPチャネル型TFTで形成しており、周辺駆動回路領域255において、逆スタガ型薄膜トランジスタ601と逆スタガ型薄膜トランジスタ602はCMOS構造となっている。
また、導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、Nチャネル型TFT、Pチャネル型TFTを形成することもできる。N型半導体層を形成するかわりに、PHガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
また、半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法、ディスペンサ法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、ペンタセン等の低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
本発明に適用できる発光素子の構成は、上記実施の形態で述べたような構成を用いることができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至4とそれぞれと組み合わせて用いることが可能である。
本実施の形態における、有機化合物を含む発光層を有する発光素子に、混合原子価化合物を含む機能層を有することにより、機能層の電子輸送性が向上する。よって、発光素子の低電圧駆動が可能になり、低消費電力化が達成できる。
よって、本発明を用いた本実施の形態の発光素子を具備した発光装置は、消費電力の低い高信頼性の発光装置とすることができる。
(実施の形態8)
本発明によって形成される発光装置は表示を行う発光表示装置としても機能でき、本発明の発光表示装置によって、テレビジョン装置を完成させることができる。図18はテレビジョン装置(本実施の形態ではELテレビジョン装置)の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネルには、図16(A)で示すような構成として画素部のみが形成されて走査線側駆動回路と信号線側駆動回路とが、図17(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図17(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図16(B)に示すようにSASでTFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信号線側駆動回路を別途ドライバICとして実装する場合、また図16(C)のように画素部と信号線側駆動回路と走査線側駆動回路を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ884で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路885と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路886と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路887などからなっている。コントロール回路887は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路888を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナ884で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路889に送られ、その出力は音声信号処理回路890を経てスピーカ893に供給される。制御回路891は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部892から受け、チューナ884や音声信号処理回路890に信号を送出する。
表示モジュールを、図12(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。FPCまで取り付けられた図7のような表示パネルのことを一般的にはEL表示モジュールともいう。よって図7のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレビジョン装置を完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
また、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。また上面放射型の発光装置ならば、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、顔料系の黒色樹脂や、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順にTFT素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。偏光板、位相差板などは積層してもよい。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の発光装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
図12(A)に示すように、筐体2001に発光素子を利用した表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン操作機2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い発光装置とすることができる。
図12(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、操作部であるキーボード部2012、表示部2011、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図12(B)の表示部は、わん曲可能な物質を用いているので、表示部がわん曲したテレビジョン装置となっている。このように表示部の形状を自由に設計することができるので、所望な形状のテレビジョン装置を作製することができる。
本発明により、低消費電力で信頼性の高い発光装置を形成できる。よって、低消費電力で信頼性の高いテレビジョン装置を作製することができる。
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至6とそれぞれと組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態9)
本実施の形態を図13を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態3乃至7で作製する発光装置を有するパネルを用いたモジュールの例を示す。
図13(A)に示す情報端末のモジュールは、プリント配線基板986に、コントローラ901、中央処理装置(CPU)902、メモリ911、電源回路903、音声処理回路929及び送受信回路904や、その他、抵抗、バッファ、容量素子等の素子が実装されている。また、パネル900がフレキシブル配線基板(FPC)908を介してプリント配線基板986に接続されている。
パネル900には、発光素子が各画素に設けられた画素部905と、前記画素部905が有する画素を選択する第1の走査線駆動回路906a、第2の走査線駆動回路906bと、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路907とが設けられている。
プリント配線基板986に備えられたインターフェース(I/F)部909を介して、各種制御信号の入出力が行われる。また、アンテナとの間の信号の送受信を行なうためのアンテナ用ポート910が、プリント配線基板986に設けられている。
なお、本実施の形態ではパネル900にプリント配線基板986がFPC908を介して接続されているが、必ずしもこの構成に限定されない。COG(Chip on Glass)方式を用い、コントローラ901、音声処理回路929、メモリ911、CPU902または電源回路903をパネル900に直接実装させるようにしても良い。また、プリント配線基板986には、容量素子、バッファ等の各種素子が設けられ、電源電圧や信号にノイズがのったり、信号の立ち上がりが鈍ったりすることを防いでいる。
図13(B)は、図13(A)に示したモジュールのブロック図を示す。このモジュール999は、メモリ911としてVRAM932、DRAM925、フラッシュメモリ926などが含まれている。VRAM932にはパネルに表示する画像のデータが、DRAM925には画像データまたは音声データが、フラッシュメモリには各種プログラムが記憶されている。
電源回路903では、パネル900、コントローラ901、CPU902、音声処理回路929、メモリ911、送受信回路931に与える電源電圧が生成される。またパネルの仕様によっては、電源回路903に電流源が備えられている場合もある。
CPU902は、制御信号生成回路920、デコーダ921、レジスタ922、演算回路923、RAM924、CPU用のインターフェース935などを有している。インターフェース935を介してCPU902に入力された各種信号は、一旦レジスタ922に保持された後、演算回路923、デコーダ921などに入力される。演算回路923では、入力された信号に基づき演算を行ない、各種命令を送る場所を指定する。一方デコーダ921に入力された信号はデコードされ、制御信号生成回路920に入力される。制御信号生成回路920は入力された信号に基づき、各種命令を含む信号を生成し、演算回路923において指定された場所、具体的にはメモリ911、送受信回路931、音声処理回路929、コントローラ901などに送る。
メモリ911、送受信回路931、音声処理回路929、コントローラ901は、それぞれ受けた命令に従って動作する。以下その動作について簡単に説明する。
入力手段930から入力された信号は、インターフェース909を介してプリント配線基板986に実装されたCPU902に送られる。制御信号生成回路920は、ポインティングデバイスやキーボードなどの入力手段930から送られてきた信号に従い、VRAM932に格納してある画像データを所定のフォーマットに変換し、コントローラ901に送付する。
コントローラ901は、パネルの仕様に合わせてCPU902から送られてきた画像データを含む信号にデータ処理を施し、パネル900に供給する。またコントローラ901は、電源回路903から入力された電源電圧やCPU902から入力された各種信号をもとに、Hsync信号、Vsync信号、クロック信号CLK、交流電圧(AC Cont)、切り替え信号L/Rを生成し、パネル900に供給する。
送受信回路904では、アンテナ933において電波として送受信される信号が処理されており、具体的にはアイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路を含んでいる。送受信回路904において送受信される信号のうち音声情報を含む信号が、CPU902からの命令に従って、音声処理回路929に送られる。
CPU902の命令に従って送られてきた音声情報を含む信号は、音声処理回路929において音声信号に復調され、スピーカー928に送られる。またマイク927から送られてきた音声信号は、音声処理回路929において変調され、CPU902からの命令に従って、送受信回路904に送られる。
コントローラ901、CPU902、電源回路903、音声処理回路929、メモリ911を、本実施の形態のパッケージとして実装することができる。本実施の形態は、アイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路以外であれば、どのような回路にも応用することができる。
(実施の形態10)
本実施の形態を図14を用いて説明する。図14は、この実施の形態8で作製するモジュールを含む無線を用いた持ち運び可能な小型電話機(携帯電話)の一態様を示している。パネルはハウジング981に脱着自在に組み込んでモジュール999と容易に組み合わせられるようにしている。ハウジング981は組み入れる電子機器に合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
パネルを固定したハウジング981はプリント配線基板986に嵌着されモジュールとして組み立てられる。プリント配線基板986には、パッケージングされた複数の半導体装置が実装されている。プリント配線基板986に実装される複数の半導体装置は、コントローラ、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、電源回路、その他、抵抗、バッファ、容量素子等のいずれかの機能を有する。さらに、マイクロフォン994及びスピーカー995を含む音声処理回路、送受信回路などの信号処理回路993が備えられている。パネル900はFPC908を介してプリント配線基板986に接続される。
このようなモジュール999、ハウジング981、プリント配線基板986、入力手段998、バッテリー997は筐体996に収納される。パネル900の画素部は筐体996に形成された開口窓から視認できように配置されている。
図14で示す筐体996は、電話機の外観形状を一例として示している。しかしながら、本実施の形態に係る電子機器は、その機能や用途に応じてさまざまな態様に変容し得る。以下に示す実施の形態で、その態様の一例を説明する。
(実施の形態11)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニター、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図15を参照して説明する。
図15(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性の携帯情報端末機器を提供することができる。
図15(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性のデジタルビデオカメラを提供することができる。
図15(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性の携帯電話機を提供することができる。
図15(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性の携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の発光装置を適用することができる。
図15(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明の発光装置を適用することができる。その結果、より消費電力の低く、高信頼性の携帯型のコンピュータを提供することができる。
また、本発明の発光素子及び発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図22乃至図24を用いて説明する。
図22は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図22に示した液晶表示装置は、筐体521、液晶層522、バックライト523、筐体524を有し、液晶層522は、ドライバIC525と接続されている。また、バックライト523は、本発明の発光装置が用いられおり、端子526により、電流が供給されている。
本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光装置は薄型であるため表示装置の薄型化も可能となる。
また、自動車、自転車、船などのヘッドライトとして用いることが可能である。
図23は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図23に示す電気スタンドは、筐体2101と、光源2102を有し、光源2102として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。
図24は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図12(A)(B)で説明したような、本発明に係るテレビジョン装置を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
照明装置としては、図22、図23、図24で例示したものに限られず、住宅や公共施設の照明をはじめ、様々な形態の照明装置として応用することができる。このような場合において、本発明に係る照明装置は、発光媒体が薄膜状であるので、デザインの自由度が高いので、様々な意匠を凝らした商品を市場に提供することができる。
このように、本発明の発光装置により、より消費電力の低く、高信頼性の電子機器を提供することができる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子のモデルを説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明が適用される電子機器を示す図。 本発明が適用される電子機器を示す図。 本発明が適用される電子機器を示す図。 本発明が適用される電子機器を示す図。 本発明の発光装置の上面図。 本発明の発光装置の上面図。 本発明が適用される電子機器を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明が適用される電子機器を説明する図。 本発明が適用される電子機器を説明する図。 本発明が適用される電子機器を説明する図。

Claims (12)

  1. 第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、前記発光層の前記第1の電極層側または前記第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む機能層と
    を有することを特徴とする発光素子。
  2. 第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、前記発光層の前記第1の電極層側または前記第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む正孔輸送層と
    を有することを特徴とする発光素子。
  3. 第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、前記発光層の前記第1の電極層側または前記第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む電子輸送層と
    を有することを特徴とする発光素子。
  4. 第1の電極層及び第2の電極層間に、前記第1の電極層側から電子注入層、電子輸送層、有機化合物を含む発光層、正孔輸送層、正孔注入層と前記第2の電極層まで積層を有し、
    前記電子注入層、前記電子輸送層、前記正孔輸送層、及び前記正孔注入層のうち少なくとも一つに混合原子価化合物を含むことを特徴とする発光素子。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する一元素は複数の価数を有することを特徴とする発光素子。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する複数の元素はそれぞれ複数の価数を有することを特徴とする発光素子。
  7. 第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、前記発光層の前記第1の電極層側または前記第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む機能層とが設けられた発光素子を有することを特徴とする発光装置。
  8. 第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、前記発光層の前記第1の電極層側または前記第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む正孔輸送層とが設けられた発光素子を有することを特徴とする発光装置。
  9. 第1の電極層及び第2の電極層間に、有機化合物を含む発光層と、前記発光層の前記第1の電極層側または前記第2の電極層側の少なくとも一方に混合原子価化合物を含む電子輸送層とが設けられた発光素子を有することを特徴とする発光装置。
  10. 第1の電極層及び第2の電極層間に、前記第1の電極層側から電子注入層、電子輸送層、有機化合物を含む発光層、正孔輸送層、正孔注入層と前記第2の電極層まで積層が設けられた発光素子を有し、
    前記電子注入層、前記電子輸送層、前記正孔輸送層、及び前記正孔注入層のうち少なくとも一つに混合原子価化合物を含むことを特徴とする発光装置。
  11. 請求項7乃至10のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する一元素は複数の価数を有することを特徴とする発光装置。
  12. 請求項7乃至10のいずれか一項において、前記混合原子価化合物を構成する複数の元素はそれぞれ複数の価数を有することを特徴とする発光装置。
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