JP2008174890A - 難燃性原着ポリエステル繊維ならびにこれから製造される布帛および暗幕地 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた難燃性、UV安定性および堅牢度を有し、特に本発明の繊維から暗幕地などを製造すると、優れた難燃性および遮光性を同時に発揮することが可能な難燃性原着ポリエステル繊維、およびこれから製造される暗幕地を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表されるリン系の難燃剤をリン原子換算で500〜50,000ppm含有し、UV安定剤として投入されるマンガン塩とリン化合物とをマンガン原子とリン原子換算でそれぞれ0.1〜500ppm含有し、カーボンブラックを500〜5,000ppm含有することを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維。 [化学式1]
(式中、R1は水素または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基であり、R2は水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜24のアリール基であり、R3は水素、炭素数1〜10のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、またはこれらのエステル形成性官能基である。)
【選択図】なし
【解決手段】下記化学式1で表されるリン系の難燃剤をリン原子換算で500〜50,000ppm含有し、UV安定剤として投入されるマンガン塩とリン化合物とをマンガン原子とリン原子換算でそれぞれ0.1〜500ppm含有し、カーボンブラックを500〜5,000ppm含有することを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維。 [化学式1]
(式中、R1は水素または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基であり、R2は水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜24のアリール基であり、R3は水素、炭素数1〜10のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、またはこれらのエステル形成性官能基である。)
【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性ポリエステル繊維ならびにこれから製造される布帛および暗幕地に関する。
繊維に難燃性を与える方法としては、繊維製品に難燃性を与える時期を基準とすれば、繊維製品が製造された後の後処理による方法、繊維化する紡糸段階における難燃剤添加方法、繊維用高分子を製造する段階(主に重合段階)で、難燃性を持つ成分を含む単量体を共重合させる方法などがある。一般に、天然繊維は紡糸段階または重合過程で難燃性が与えられないため、後処理法によって難燃性を与えるが、これに対し、合成繊維は紡糸段階で難燃性を与える。
但し、紡糸段階で難燃性を与えるためには難燃剤が紡糸温度で分解しなければならず、無機物の場合は紡糸ノズルを塞がらないよう分散性に優れなければならないという制約がある。添加物質による繊維製品の難燃化には無機物質を充填させる方法、有機物質の難燃剤を添加する方法などがあるが、産業用繊維素材の場合は、一般に、難燃剤の添加による方法が主流を成している。
有機物質の難燃剤は、ホウ素(B)、窒素(N)、リン(P)、アンチモン(Sb)、および塩素(Cl)や臭素(Br)などのハロゲン原子を含む化合物である。これらの難燃性付与原子の間には相乗効果が存在するが、例えば窒素とリン原子の相乗効果、ハロゲン(塩素、臭素)とアンチモン原子の相乗効果が知られている。
臭素系難燃剤を使用した特許としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3などがあるが、臭素系化合物は高温で熱分解し易いため、効果的な難燃性を得るためには難燃剤を多量添加しなければならない。よって、臭素系難燃剤を使用すると、高分子物の色相および耐光性が低下し、燃焼の際に有毒ガスが発生するという問題点などがある。
また、リン系難燃剤を使用した特許としては、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8などがあるが、リン系難燃剤を使用すると、焼却の際にダイオキシン(dioxin)、ベンゾフラン(benzofuran)などの有害物質は発生しないが、UV(紫外線)に対する安定性が足りないため、日光に長期間晒されたときに難燃耐久性と繊維の物性が弱化するという問題点がある。
一方、ポリエステル繊維は、繊維の特性上、濃い色の染色が難しいうえ、染料と繊維が化学的結合によって結合するのではなくて堅牢度が低く、結果として洗濯耐久性などの面で問題が発生するおそれがある。いろいろの色相の中でも特に濃い黒色原糸への需要が大きい方であるが、黒色への染色は一般な染色方法では濃く染色し難いため、原着糸(Dope Dyed Filament)で製造することにより、濃い黒色を発現しながら前記堅牢度の問題も解決する。原着糸を生産する方法は、大きく次の通りに区分することができる。一つ目は、染料および顔料を重合工程中に投入する方法があるが、この方法は、バッチ工法で生産する場合、バッチ間の色相差を調節することが難しく、染料および顔料による重合器の汚染により当該重合器で他の種類の重合物を生産することが困難である。二つ目は、高い濃度で顔料・染料を含有しているマスターバッチをポリエステル重合物と混練して紡糸する方法があるが、この方法は、特に黒色の場合にはカーボンブラックを多量含有したマスターバッチを利用することができる。また、この方法は、マスターバッチのベース樹脂の種類によって紡糸作業性または繊維特性が変わるので、適正なマスターバッチの種類と含量を選定することが重要である。三つ目は、糸染または後加工による方法があるが、この方法は、製造コストがあまり高くて生産性が低下するうえ、所望する程度の品質を発揮することが難しくて多く利用されてはいない。
最も容易に適用することが可能なカーボンブラックなどの顔料を繊維内に含有させて原 着繊維を製造する方法については、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12などに開示されているが、これらの特許文献は、主に魚網用のナイロンまたはシートベルトなどの高強力糸の製造に関するもので、本発明の目的とする難燃性原着ポリエステル繊維とは合わない。
特開昭62−6912号公報
特開昭53−46398号公報
特開昭51−28894号公報
米国特許第3,941,752号明細書
米国特許第5,399,428号明細書
米国特許第5,180,793号明細書
特開昭50−56488号公報
特開昭52−47891号公報
特開平3−137227号公報
特開平3−137228号公報
特開平10−77523号公報
特開平3−131051号公報
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためのもので、その目的とするところは、永久的難燃性およびUV安定性を有すると共に、繊維自体に顔料などを含んでいて高い黒度および堅牢度を有する、難燃性原着ポリエステル繊維および暗幕地などの繊維製品を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記難燃性原着ポリエステル繊維を含む布帛および暗幕地などの繊維製品を提供することにある。
本発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、下記化学式1で表されるリン系の難燃剤をリン原子換算で500〜50,000ppm含有し、UV安定剤として投入されるマンガン塩とリン化合物とをマンガン原子とリン原子換算でそれぞれ0.1〜500ppm含有し、カーボンブラックを500〜5,000ppm含有することを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維である。
[化学式1]
本発明に係る難燃性原着ポリエステル繊維は、優れた難燃性、UV安定性および堅牢度を有し、特に本発明の繊維から暗幕地などを製造すると、優れた難燃性および遮光性を同時に発揮することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、ポリエステル繊維に優れた永久的な難燃性を与えるために、様々な難燃剤を試験した。ポリエステル繊維に難燃性を与えるために現在工業的に使用されている難燃剤は、大きくハロゲン系難燃剤とリン系難燃剤とに区分される。ハロゲン系難燃剤が難燃性の面では優れるものと知られているが、燃焼時の有毒ガスの発生により、ハロゲン系難燃剤に対する使用規制が拡大されている。
このため、リン系難燃剤として、下記化学式1で表される難燃剤を選定した。リン系難燃剤は、難燃性を発揮するリン原子がポリエステル主鎖にどのように連結されているかによって、主鎖型と側鎖型の2つに分類されるが、主鎖型難燃剤の場合が耐加水分解性、環境親和性の面で側鎖型より有利であり、難燃性にも優れることが分かった。その中でも、純度およびエチレングリコール(EG)との反応性が最も良い化学式1の難燃剤を選択した。
化学式1の難燃剤は、難燃剤の分子量対比リン含量が大きいので、少なく投入しても十分な難燃効果を得ることができ、工程安定性の面でも有利である。また、従来のホスファフェナントレン(phosphophenanthrene)基を含む難燃剤と比較するとき、芳香族基(aromatic group)が少なくて燃焼の際に煤煙、有毒ガスの発生が少ない。
化学式1の難燃剤の含量は、リン系難燃剤の構造にあまり関係なく、ポリエステル重合物に対するリン原子換算で500〜50,000ppmがよく、特に重合工程性と原糸製造の観点からみれば、リン原子換算で1,000〜10,000ppmがさらに好ましい。リン原子の含量が500ppmより小さいと、難燃効果を期待することができず、一定の含量に到達すればそれ以上の難燃性の向上を期待することが難しく、特に50,000ppmを超過すると、製造されたポリエステルの重合度を高めることが難しく、結晶性が低下しすぎて繊維として生産し難いという問題が生じて好ましくない。
また、多くの難燃製品は、遮光を目的とするので、太陽光(特にUV)に晒される場合にポリマーの安定性が重要である。このためUV安定剤の投入が重要である。
本発明者らがいろいろの試験を行ったところ、UV安定剤としてリン酸マンガンが最も効果的であると判断されたが、リン酸マンガンは、エチレングリコールに溶解されないため、重合物内に投入することが難しかった。したがって、本発明者らは、リン酸マンガンを反応槽に投入するのではなく、酢酸マンガンとリン酸などのリン化合物を別途に反応槽に投入してリン酸マンガンを反応系内で合成する方法が最も適することが分かった。
リン酸マンガンを合成するために用いられる酢酸マンガンの含量は、ポリエステル重合物に対するマンガン原子換算で0.1〜500ppmが好ましく、さらに好ましくは0.2〜200ppmの範囲が良い。酢酸マンガンの含量が0.1ppm未満であれば、所望するUV安定性を得ることが難しく、500ppm超過であれば、分散性に問題が生じ、これにより紡糸の際にパック圧上昇などの問題が生ずる。
また、リン化合物の含量はリン原子換算で0.1〜500ppmの範囲がよい。さらに好ましくは0.2〜200ppmの範囲がよい。リン系物質の含量は、マンガン塩との反応が問題にならない限りは添加しても良いが、500ppmを超過すると、触媒の活性を低下させて目的の難燃性ポリエステルを製造することが難しくなる。
また、本発明者らは、難燃性ポリエステル繊維において黒色の堅牢度を高めることに重点を置いて試験を行った。
重合工程に顔料または染料を直接投入する方法は、重合器の汚染およびバッチ間の色相差などの問題があって困難であった。糸染による方法ではポリエステル繊維との親和力のある顔料または染料の選択が難しかった。また、これらの原料または染料の固着力を高めるために樹脂を添加して硬化させる場合には、繊維は柔らかくなく、堅くなったうえ、難燃性が低下した。
したがって、本発明においてはマスターバッチを用いる方法を採用しており、マスターバッチのベース樹脂(base resin)の選択が重要であることが分かった。マスターバッチのベース樹脂は、難燃性ポリエステル重合物との混練の際に使用される量が少ないとしても、相溶性が低い場合には色相差が発生し、耐熱性の差異が大きい場合には繊維の製造工程および後工程において製品の品質が低下することが分かった。紡糸などにおける工程性に優れるためにはマスターバッチの融点が下記数式1を満足しなければならず、かつマスターバッチのベース樹脂は本発明で使用される難燃性ポリエステル重合物との相溶性があって下記数式2を満足しなければならない。
[数式1]
T-FR−20℃≦TB≦TFR+20℃
式中、TFRは難燃性ポリエステル重合物の融点(Melting Point)であり、TBはマスターバッチのベース樹脂の融点である。
T-FR−20℃≦TB≦TFR+20℃
式中、TFRは難燃性ポリエステル重合物の融点(Melting Point)であり、TBはマスターバッチのベース樹脂の融点である。
[数式2]
220℃≦Tm≦250℃
式中、Tmは製造された繊維の融点であり、融点ピークが2つ以上の場合は排除した。
220℃≦Tm≦250℃
式中、Tmは製造された繊維の融点であり、融点ピークが2つ以上の場合は排除した。
融点の分析には、Perkin Elmer社のDSC7を用いた。
TBがTFR−20℃よりさらに低くなると、ベース樹脂が難燃性ポリエステル重合物より融点が低すぎるため、均一な紡糸が難しくなり、TFR+20℃より高くなると、紡糸の際に不完全に溶融されるため、不均一な吐き出しが発生して作業性が低下し或いはベース樹脂が異物として作用することになり、繊維の品質が低下する。
また、製造された繊維の融点Tmが220℃より低くなると、耐熱性が低下して後加工工程で融着、未解撚などの発生が起こり易く、250℃より高くなると、相分離による別の溶融ピークが発現して均一な物性の繊維を得ることや、均一な色相の製品の製造が難しくなる。
本発明に使用できるマスターバッチのベース樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸を12モル%以下含有する共重合ポリエチレンテレフタレート、およびイソフタル酸を12モル%以下含有する共重合ポリブチレンテレフタレートなどがある。
また、本発明で使用される顔料または染料は、高温のポリエステル重合および紡糸工程に用いられるので、耐熱性に優れなければならない。したがって、本発明者らが工業的に適当な価格とその性能の面で比較評価した結果、無機系の顔料が適し、特にカーボンブラックが好ましかった。通常のポリエステル繊維用の分散染料は約280〜300℃の高温で分解がなされ色相の変化が発生し、使用が困難であった。
また、カーボンブラックの含量は、難燃性ポリエステル繊維に対して500〜5,000ppmが適する。カーボンブラックの含量が500ppm未満であれば、所望する色相の発現が難しくかつ均一な混練が難しくて染色不良が発生し易く、5000ppm超過であれば、添加される量があまり多くなってコストの上昇幅が大きいうえ、紡糸工程性が低下するという問題が生ずる。
本発明の繊維は、紡糸工程の際に延伸を共に行う直接紡糸延伸法(スピンドロー(Spin-draw))、または部分配向糸(POY)の製造後に延伸または仮撚を行うことが全て可能である。
本発明の難燃性原着ポリエステル繊維を含む布帛(fabric)または難燃性暗幕地を製造することができる。布帛には織物または編物などが含まれる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
実施例の説明に先立ち、試験に提供された重合物および繊維の性能評価方法などについて述べる。なお、評価結果は表1に示す。
実施例の説明に先立ち、試験に提供された重合物および繊維の性能評価方法などについて述べる。なお、評価結果は表1に示す。
1.ベース樹脂(表1中の*1)
−PET:ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)
−PBT:ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)
−CoPET:イソフタル酸を2.5モル%共重合したPET
2.マスターバッチの含量(表1中の*2):ブレンド時のマスターバッチの重量%
(マスターバッチの重量/(マスターバッチの重量+難燃性ポリエステル重合物の重量)*100)
3.融点(Tm)(表1中の*3):示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry、Perkin Elmer DSC7)で測定する。Tmにおける2ピークは、DSCチャート上で2つのピークが現れる場合である。
−PET:ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)
−PBT:ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)
−CoPET:イソフタル酸を2.5モル%共重合したPET
2.マスターバッチの含量(表1中の*2):ブレンド時のマスターバッチの重量%
(マスターバッチの重量/(マスターバッチの重量+難燃性ポリエステル重合物の重量)*100)
3.融点(Tm)(表1中の*3):示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry、Perkin Elmer DSC7)で測定する。Tmにおける2ピークは、DSCチャート上で2つのピークが現れる場合である。
4.紡糸作業性(表1中の*4):1週間の紡糸過程中に糸切れ回数が5回以下であれば◎、5回超過であれば×で表記し、単糸切れなどによって毛羽が発生する場合は別途表記した。
5.染色性(表1中の*5):製造された繊維をホース編み(Hose knitting)して丸編み物を10個作り、肉眼で評価して染色差がない場合には◎、一つ以上の試料が染色差を示す場合には×で表記した。また、染斑のある場合には別途表記した。
6.難燃性(表1中の*6):製造された繊維に対して韓国のKSM3032規格で試験を行い、LOI(限界酸素指数、Limited Oxygen Index)を評価した。
<実施例1〜4、比較例1〜3>
TPA1300g、EG560gから調製されたスラリーに対してセミバッチ工法でエステル化反応を行った。エステル化反応槽ではスラリーと同一の組成で製造されたオリゴマーが攪拌されている。この際、エステル化反応槽の温度は250〜260℃に保った。スラリーの投入を完了し、さらに30分間エステル化反応を行ったところ、エステル化反応率が97%となった。製造されたオリゴマー中の1.5トンをDE−1反応槽に残留させ、残りをDE−2反応槽に移送した。難燃剤として、化学式1においてR1=H、R2=フェニル基、R3=Hの難燃剤68KgをEG68Kgと反応させて得られた反応液を投入し、UV安定剤として、酢酸マンガンとリン酸とをそれぞれ原子換算で22ppm、100ppm投入し、消光剤として、二酸化チタンをポリマー対比0.3重量%添加して260℃で攪拌を行った後、DE−2槽にあるオリゴマー全体を重縮合反応槽に移送し、しかる後、触媒として、EGに2重量%で溶けている三酸化アンチモン溶液を200g投入して真空を作り出した。通常のポリエステル重合反応と同一の方法で重縮合して難燃性ポリエステル重合物を製造した。
TPA1300g、EG560gから調製されたスラリーに対してセミバッチ工法でエステル化反応を行った。エステル化反応槽ではスラリーと同一の組成で製造されたオリゴマーが攪拌されている。この際、エステル化反応槽の温度は250〜260℃に保った。スラリーの投入を完了し、さらに30分間エステル化反応を行ったところ、エステル化反応率が97%となった。製造されたオリゴマー中の1.5トンをDE−1反応槽に残留させ、残りをDE−2反応槽に移送した。難燃剤として、化学式1においてR1=H、R2=フェニル基、R3=Hの難燃剤68KgをEG68Kgと反応させて得られた反応液を投入し、UV安定剤として、酢酸マンガンとリン酸とをそれぞれ原子換算で22ppm、100ppm投入し、消光剤として、二酸化チタンをポリマー対比0.3重量%添加して260℃で攪拌を行った後、DE−2槽にあるオリゴマー全体を重縮合反応槽に移送し、しかる後、触媒として、EGに2重量%で溶けている三酸化アンチモン溶液を200g投入して真空を作り出した。通常のポリエステル重合反応と同一の方法で重縮合して難燃性ポリエステル重合物を製造した。
マスターバッチは、表1に示すそれぞれの重合物を用いてツイン押出機によってカーボンブラックが30重量%となるように製造した。
製造された難燃性ポリエステル重合物と、表1に示すような組成を持つマスターバッチを用いて、紡糸および糸加工して難燃性原着ポリエステル繊維を製造した。
<比較例4>
難燃性ポリエステル重合物のリン含量が400ppmとなるように製造した以外は実施例1と同様にして行った。
難燃性ポリエステル重合物のリン含量が400ppmとなるように製造した以外は実施例1と同様にして行った。
実施例4によって製造された難燃性原着ポリエステル仮撚糸を緯糸とし、HYOSUNG社(韓国)から生産される難燃性ポリエステル仮撚糸SDM150/144を経糸として、7枚の両面サテンを製織して暗幕地としての性能を評価した。
暗幕地の難燃性は、米国のNFPA701規格で評価した結果、合格であった。また、暗幕地の遮光率は、日本のJIS L1055規格で評価した結果、99.8%であった。
Claims (5)
- 請求項1に記載の難燃性原着ポリエステル繊維において、
前記カーボンブラックはマスターバッチを用いて繊維に取り入れ、前記マスターバッチのベース樹脂は下記数式1を満足するポリエステル重合物であり、前記難燃性原着ポリエステル繊維は下記数式2を満足することを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維。
[数式1]
T-FR−20℃≦TB≦TFR+20℃
(式中、TFRは難燃性ポリエステル重合物の融点であり、TBはマスターバッチのベース樹脂の融点である。)
[数式2]
220℃≦Tm≦250℃
(式中、Tmは製造された繊維の融点である。) - 請求項2に記載の難燃性原着ポリエステル繊維において、
前記マスターバッチのベース樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸を12モル%以下含有する共重合ポリエチレンテレフタレート、およびイソフタル酸を12モル%以下含有する共重合ポリブチレンテレフタレートの中から選択されることを特徴とする難燃性原着ポリエステル繊維。 - 請求項1または請求項2に記載の難燃性原着ポリエステル繊維を含むことを特徴とする布帛。
- 請求項1または請求項2に記載の難燃性原着ポリエステル繊維を含むことを特徴とする難燃性暗幕地。
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