JPH05140432A - 難燃化ポリエステル組成物 - Google Patents

難燃化ポリエステル組成物

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JPH05140432A
JPH05140432A JP3336322A JP33632291A JPH05140432A JP H05140432 A JPH05140432 A JP H05140432A JP 3336322 A JP3336322 A JP 3336322A JP 33632291 A JP33632291 A JP 33632291A JP H05140432 A JPH05140432 A JP H05140432A
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JP
Japan
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polyester
polyphosphonate
flame
acid
polyester composition
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Application number
JP3336322A
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English (en)
Inventor
Taneo Okamoto
種男 岡本
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
Takao Yamanaka
敬雄 山中
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステル本来の力学的特性、熱的特性を
何ら損なうことなく、繊維、フィラメント、フィルム及
びプラスチック成形品などに容易に成形加工ができ、白
度、耐光性並びに耐洗濯性に優れ、接炎時に人体に有害
なガスの発生がなく極めて自己消化性に優れた難燃化ポ
リエステル組成物及びその成形物を提供するにある。 【構成】 一般式(I) 【化1】 (但し式中、Aは二価の芳香族有機残基(ハロゲンを含
まない)、R1 は炭素原子数2〜4のアルキレン基、m
は1〜2の整数を示す。)で表わされるビスヒドロキシ
化合物の少なくとも一種と、一般式(II) 【化2】 (但し式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基、アリ
ル基、アラルキル基を示す。)で表わされるP−モノ置
換ホスホニルジクロリドの少なくとも一種とを重縮合し
て得られるポリホスホネートをポリエステルに対してリ
ン原子として0.3〜3.0重量%配合してなるポリエ
ステル組成物、及びその繊維、フィルム又は成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難燃化されたポリエステ
ル組成物に関する。更に詳しくは、熔融成形に際しても
重合度及び熔融時の粘度低下並びに着色の少ない難燃化
ポリエステル組成物及びその成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
る芳香族ポリエステルは優れた力学的性質を有している
ため、繊維、フィラメント、フィルム、その他プラスチ
ック成形物として広範囲に利用され極めて有用な素材で
ある。併しながら、燃焼し易いという欠点を有してお
り、近年火災に対する認識の高まりに伴ない、難燃化が
強く要望されている現状にある。特に燃焼時に有毒ガス
(シアン、ハロゲン)の発生が問題視されており、従っ
て接炎時に有毒ガスの発生しない難燃化製品の開発が待
望されている現状下にある。
【0003】ポリエステルを難燃化する手段としては、
従来より種々検討されており、例えば繊維などの成形物
に難燃化剤を後処理する方法、官能基を有する難燃化原
子を有する化合物をポリエステルと共重合する方法、成
形加工時に難燃化剤を練り込む方法等が知られている。
併しながら、後処理方法は、成形物を粗硬にしたり、洗
濯で難燃性が低下したりする欠点を有しており耐久性を
あまり要求しない特定の用途に用いられている。また、
共重合方法は良好な耐久性を有し極めて優れた方法であ
るが、融点低下が大きいうえ重合釜や製造ラインを汚
し、品種及び銘柄切換え時の洗浄など極めて操作上煩雑
且つ厳密な管理を要するなどの問題点を有する。
【0004】一方、ポリエステルの成形加工時に難燃化
剤を添加混合する練り込み方法は、共重合法と異なり重
合釜を汚染することなく品種や銘柄切換が容易にできる
長所を有する。特に連続重合装置を保有する工場でも採
用できるという優れた方法であるが、難燃剤の種類によ
っては熔融混合する際にポリエステルとの相溶性が不十
分であったり、熱で分解、飛散或は、ゲル化、着色など
著しくポリエステルの物性を劣化するなどの問題点を有
するものが多い。例えば特公昭46−32865号には
パーブロムベンゼンを添加混合する方法が開示されてい
る。かかる方法は低分子のハロゲン化合物のため熔融紡
糸の際に昇華し、口金面が汚れ糸切れを生じたり、得ら
れる繊維は着色していたり、或は上記難燃剤が低分子の
ためドライクリーニングで容易に脱落するという欠点を
有する。また、亜リン酸エステル及びリン酸エステル類
をポリエステルに混合する方法が知られているが、該リ
ン酸エステル類が低分子量物であるために留出飛散した
り、熱分解或はポリエステルとエステル交換反応し重合
度及び熔融粘度を著しく低下させたり、ゲル化し紡糸を
困難乃至は不能にする。たとえ紡糸し得たとしても糸質
特性が著しく低下したもので実用上問題になることが多
い。
【0005】かかる欠点を改善する目的で特公昭47−
32297号、特公昭47−32299号に、ハイドロ
キノン系、ビスフェノール系等の芳香族ジオールとアリ
ールホスホン酸ジクロリドを重縮合したポリホスホネー
トをポリエステルに添加混合する方法が開示されてい
る。この方法はリン酸エステル結合を含有しているが重
合体で分子量が大きいために、ポリエステルの重合度や
熔融粘度の低下は少なく熔融成形ができ、耐洗濯性にも
優れ良好な方法である。併しながら、ポリエステルとの
相溶性が未一つ不充分なためか充分な難燃性を付与でき
る量を添加するとポリエステルの物性の低下、特に大き
な特性の一つである仮撚加工性が劣り、物性を損なわな
い程度に添加すれば難燃効果が充分発揮できないという
欠点を有している。
【0006】一般にリンとハロゲンを併用すると相乗効
果により著しく難燃性を向上することはよく知られてい
る。かかる知見に基き本発明者らは特公昭52−249
43号証に含ハロゲンポリホスホネートをポリエステル
に配合したポリエステル組成物を提案した。この組成物
は少量の添加で充分な難燃性を有し且つ、諸物性の低下
がなく優れたものであるが、残念ながら接炎時にハロゲ
ンガスが発生するという問題点を有している。更に特開
昭49−18145号にジカルボン酸アルキルエステル
とグリコールとのエステル交換後、ホスホン酸グリコー
ルエステルを添加し重縮合して低重合変性ポリエステル
を得、これをポリエステルに配合する方法が開示されて
いる。併しながら、該ホスホン酸グリコールエステルは
ポリエステルの重合時に留出が著しく、リン含有量が少
ないものしか得られず、難燃化剤としては不充分なもの
である。かかる難燃化剤を用いた場合、難燃性を付与す
るには多量の添加が必要となり、そのためポリエステル
の諸物性を著しく劣化せしめるという欠点を有してい
る。例え留出を無視して大量のリン化合物を添加しポリ
マーを得たとしても高分子量のものが得られず、ポリエ
ステルに配合すると著しく物性を劣化させるという欠点
を有しており、未だ実用的なものが得られていないのが
現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、かか
る従来技術の諸欠点を改善し、無公害な難燃化ポリエス
テル組成物を提供することである。
【0008】本発明の第1の目的は、ポリエステル本来
の力学的特性、熱的特性を何ら損なうことなく、繊維、
フィラメント、フィルム及びプラスチック成形品などに
容易に成形加工ができ、白度、耐光性並びに耐洗濯性に
優れた難燃化ポリエステル組成物を提供するにある。本
発明の第2の目的は、熔融混合時に昇華或はゲル化など
のトラブルが発生することなく、難燃性に優れた成形加
工品が工業的に容易且つ、安価に製造できるポリエステ
ル組成物を提供するにある。本発明の第3の目的は、接
炎時に人体に有害なガスの発生がなく極めて自己消化性
に優れ、工業的生産が容易に且つ、安価に製造し得る難
燃化ポリエステル組成物を提供するにある。本発明の他
の目的は設備装置の汚染が少なく、品種、銘柄の切り替
えが簡単且つ容易で、しかも重合方式に(バッチ式或は
連続式)制限されずに製造できる難燃性に優れたポリエ
ステル組成物を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、難燃化剤
につき種々検討し鋭意研究を行なった結果、芳香族ジカ
ルボン酸をグリコール或はエチレンオキシドで事前に両
末端を反応性に富んだアルコール性の水酸基に誘導し、
ホスホニルジクロリドと低温で重縮合した高分子が極め
て熱安定性に優れ且つ、ポリエステルとの相溶性に優れ
ていることを見出し本発明を完成するに至った。特に前
述の如く、ホスホン酸グリコールエステル或はこのポリ
マーをポリエステルに配合或は共重合する際、環状化し
た低沸点のホスホン酸オキシドとして系外へ留出しリン
残存率の少ないポリエステルが得られることは公知であ
るが、本発明のポリホスホネートは化学構造的には類似
の構造をしているが既に安定なカルボン酸グリコールエ
ステル結合を有する高重合体であるため、ポリエステル
に配合する際或は熔融成形時などの過酷な温度条件下で
も安定であることは驚くべきことである。
【0010】即ち本発明は、一般式(I)
【化3】 (但し式中、Aは二価の芳香族有機残基(ハロゲンを含
まない)、R1 は炭素原子数2〜4のアルキル基、mは
1〜2の整数を示す。)で表わされるビスヒドロキシ化
合物の少なくとも一種と、一般式(II)
【化4】 (式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基、アリル
基、アラルキル基を示す。)で表わされるP−モノ置換
ホスホニルジクロリドの少なくとも一種を重縮合して得
られるポリホスホネートをポリエステルに対してリン原
子として0.3〜3.0重量%配合せしめたるポリエス
テル組成物である。
【0011】また本発明の第二は、上記ポリエステル組
成物からなることを特徴とする繊維、フィルムまたは樹
脂成形物である。
【0012】本発明の一般式(I)で示されるビスヒド
ロキシ化合物は、Aがハロゲンを含まない二価の芳香族
有機残基であるジカルボン酸に(イ)エポキシドを付加
反応せしめるか、(ロ)該ジカルボン酸または酸クロラ
イドをアルカリ土類金属の存在下、ハロゲン化アルコー
ルを反応せしめるか、(ハ)ポリエステルを通常公知の
方法で加水分解するか、(ニ)該ジカルボン酸又はその
誘導体をグリコールで公知の触媒の存在下でエステル交
換反応をして得ることができる。(イ)の方法の場合、
エポキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、1.2−ブチレンオキシドなどの−オレ
フィンオキシドがある。(ロ)の方法の場合、ハロゲン
化アルコールとしては例えばエチレンクロルヒドリン、
3−クロルプロパノール(1)、2−クロル−1−メチ
ルプロパノール(1)、4−クロルブタノール(1)、
エピクロルヒドリンなどがある。また(ハ)及び(ニ)
の方法の場合は、公知の触媒の存在下で通常行なわれて
いる例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどをエ
チレングリコールなどで加水分解したり、テレフタール
酸或はジメチルテレフタレートをエチレングリコールと
エステル交換反応して容易に得られる。
【0013】かかる方法に於いて、(イ)の方法は付加
モル数が芳香族ジカルボン酸に対して実質的に等モル〜
1.5モル比とすることが好ましく、2モル比に近くな
るとジエチレングリコール成分が増加しポリエステルの
物性を低下せしめ好ましくない。また、(ハ)及び
(ニ)の方法の場合は、芳香族ジカルボン酸成分とグリ
コール成分が平均比率が1:1〜1:1.5の範囲にな
るように調整する。即ち一般式(I)のmが1〜2好ま
しくはm=1〜1.2更に好ましくは実質的にm=1と
する。mが2を越えると難燃化剤であるポリマー中のリ
ン含有率が低下するため、配合したポリエステルは難燃
性能が低下する。難燃性能の低下を補うために配合量を
多くするとポリエステル組成物の物性を低下さすので好
ましくない。
【0014】芳香族ジカルボン酸としては、テレフタレ
ール酸、イソフタール酸、2.6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1.5−ナフタレンジカルボン酸、4.4−ジフ
ェニルジカルボン酸、ビス−(4−カルボキシフェニ
ル)−エーテル、ビス−(4−カルボキシフェニル)−
スルホン、1.2−ビス−(カルボキシフェノキシ)−
エタン、5−ナトリュウムスルホイソフタル酸、5−ス
ルホプロポキシイソフタル酸、ジフェニル−p.p’−
ジカルボン酸等が挙げられる。中でも汎用で且つ安価な
テレフタール酸が好適である。
【0015】一方一般式(II)で示されるP−モノ置換
ホスホニルジクロリドとしては、例えばメチルジクロロ
ホスフィンオキシド、エチルジクロロホスフィンオキシ
ド、プロピルジクロロホスフィンオキシド、ブチルジク
ロロホスフィンオキシド、等のアルキルジクロロホスフ
ィンオキシド類、フェニルジクロロホスフィンオキシ
ド、トルイルジクロロホスフィンオキシド、キシリルジ
クロロホスフィンオキシド等のアリル或はアラルキルジ
クロロホスフィンオキシド類が挙げられる。中でも耐熱
性の優れているアリル或はアラルキルジクロロホスフィ
ンオキシドが好適であり、特にフェニルジクロロホスフ
ィンオキシドが好ましい。
【0016】本発明は、かかる一般式(I)で示される
芳香族ジカルボン酸誘導体のビスヒドロキシ化合物と一
般式(II)で示されるP−モノ置換ホスホニルジクロリ
ドを脱塩酸重縮合反応しポリホスホネートを得るが、該
ビスヒドロキシ化合物1モルに対し該リンクロライドが
0.8〜1.2モル好ましくは0.9〜1.1モルを反
応させることにより容易に高重合体を得ることができ
る。この範囲を外れたものは、本発明に適合する重合体
が得られず、このものをポリエステルに配合すると諸物
性を損ない好ましくない。
【0017】本発明に適合するポリホスホネートの分子
量は化合物の種類によっても異なるが、通常数分子縮合
すると著しく耐溶剤性、耐熱性、ポリエステルとの相溶
性が向上するため、重量平均分子量(GPCで測定)と
して5,000以上あれば充分目的を達成することがで
きる。分子量が5,000未満の場合は、耐溶剤性、耐
熱性及びポリエステルに配合した際、ポリエステルの重
合度、熔融粘度等を低下させたり、着色などが生じる傾
向にあり好ましくない。より好適な分子量は6,000
以上更に好ましくは8,000〜30,000である。
【0018】かかるポリホスホネートを合成する方法と
しては、(a)ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホル
アミド、及び必要ならば塩酸吸着剤、例えば第3級アミ
ン等の存在下に、ベンゼン、トルエン、キシレン、テト
ラヒドロフラン等の炭化水素系、クロロホルム、テトラ
クロルエタン、トリクロルエタン、トリクロルエチレ
ン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系等の溶剤中で
行なう溶液重合法、(b)無触媒或は塩化亜鉛、塩化カ
ルシウム、塩化マグネシウムなどのハロゲン化金属塩を
触媒として加熱熔融して反応する熔融重合法或は(c)
界面重合法等があり、目的用途により選択して採用する
ことができる。中でも反応条件、重合度或は精製等の調
整が容易な溶液重合法が好適である。何れにしても、重
合条件は重合法及び使用する化合物の種類により異なる
が、一般式(I)及び(II)の化合物は何れも極めて反
応性に富んだ官能基を有しているため、フェノール性水
酸基の如く反応活性度の低い場合の様に200℃以上の
高い温度を必要とせず、180℃以下好ましくは150
℃以下更に好ましくは120℃以下の低温で容易に反応
が進行する。寧ろ低温で反応することにより副反応が生
ぜず高重合体が得られるので好ましい。
【0019】本発明は、上記の如く得られた高重合体の
ポリホスホネートをポリエステルに対してリン原子とし
て0.3〜3.0重量%、好ましくは0.4〜3.0重
量%、更に好ましくは0.5〜2.0重量%配合してな
るポリエステル組成物である。配合せるポリホスホネー
トがリン原子としてポリエステルに対して、0.3重量
%未満の場合は難燃効果が不充分であり、一方3重量%
を越えて必要以上に配合すると難撚効果は飽和される上
にポリエステルの諸物性を著しく低下せしめ好ましくな
い。
【0020】本発明組成物に適用するポリエステルと
は、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリブチレ
ンテレフタレート成分を少なくとも80モル%含有する
芳香族ポリエステルのことで、必要に応じてこれらの主
成分以外の成分として、例えばジカルボン酸としては、
イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、デカメチレン
ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキシ
ルジカルボン酸、4.4−ジフェニルジカルボン酸、ビ
ス−(4−カルボキシフェニル)−エーテル、ビス−
(4−カルボキシフェニル)−スルホン、5−ナトリゥ
ムスルホイソフタル酸、P−フェニレンジ酢酸及びそれ
らのアルキルエステル、アリルエステル、或はグリコー
ルエステル等の誘導体が挙げられる。
【0021】また主成分以外のジオール成分としては、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、キシリデンジ
オール、シクロヘキサンジオール、1.4-ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1.4−シクロヘキサン
ジメタノール、2.2’−ジメチルトリメチレングリコ
ール、及びビスフェノールA、ビスフェノールS、或は
これらの誘導体並びにオキシ安息香酸等が挙げられる。
かかるポリエステルは従来公知の方法により得ることが
でき、充分な繊維形成或いは成形性能を有する重合体で
あれば使用することができる。
【0022】本発明のポリエステル組成物は、上記ポリ
エステルに前述のポリホスホネートを配合して成るが、
配合方法としては、ポリエステル重縮合完了後の如何な
る工程で行なっても良い。例えばポリエステル重縮合完
了後重合釜に添加混合し熔融成形する方法、或はポリエ
ステル重合体を一度チップ又は粉末に加工した後再度熔
融し添加混合して成形する方法、またポリホスホネート
を大量に配合したマスターチップを作成した後、通常の
ポリエステルで希釈混合して所定の配合量とし成形する
方法等が採用できる。これらの配合機としては、通常用
いられる攪拌羽根付きオートクレーブ、ニーダ、ヘンシ
ェルミキサー、或はスタチックミキサー等が使用でき
る。併しながら、本発明のポリホスホネートをポリエス
テルに配合して難燃性のポリエステル組成物を得る際、
混合熔融する時間ができるだけ短い方が望ましく、特に
スタチックミキサーは成形加工時に例えば、紡糸口金或
は紡糸口金への導入パイプ内にスタチックミキサーを用
い、混合した後極めて短時間に紡糸口金より吐出して紡
糸する等でき好ましい方法である。
【0023】本発明のポリエステル組成物は必要に応じ
て、顔料、染料、静電剤、耐光剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、蛍光剤、カーボンブラック、酸化チ
タン、リン化合物等公知のポリエステル用助剤を含有さ
れていてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明のポリエステル
組成物は、繊維、フィラメント、フィルム、或はプラス
チック成形物に成形加工する際に、難燃化剤の昇華飛散
することなく工業的容易に成形でき、得られた成形物は
極めて白度が高く、耐洗濯性、耐光性、耐熱性に優れ且
つ分散染料に対する親和性、紫外線対する安定性等を兼
ね備え良好な難燃性を有した産業的に有用なものであ
る。
【0025】特に本発明のポリエステル組成物は、配合
するポリホスホネートが例えば、一般式(I)で示され
るビスヒドロキシ化合物がビス−(ω−ヒドロキシエチ
ル)−テレフタレート、一般式(II)で示されるホスホ
ニルジクロリドがフェニルホスホン酸ジクロリドから成
るポリホスホネートの場合は下記構造を有し、
【化5】 ポリエチレンテレフタレートの構造と類似の構造を有す
るため、極めて相溶性が高く且つ、結晶性の阻害が少な
いためか、仮撚加工等の過酷な処理に対しても極めて優
れた特性を有するという著しい特徴を有したものであ
る。
【0026】
【実施例】以下実施例により本発明の作用効果をより具
体的に説明する。実施例中「部」とあるのは全て「重量
部」を意味する。
【0027】固有粘度[η]は、フェノール/テトラク
ロロエタン=6/4の混合溶剤中20℃で常法により求
めた。融点はDSCの吸熱ピークから求めた。また難燃
性の評価は、45°コイル法による接炎回数(JIS
L−1091 D)に準じて測定し表示した。即ち、紡
出フィラメント束を長22cmに切断して1g採取し、
一方の端を固定して他方の端をハンドドリルに挟み20
回撚を架け、二つ折にして自然解撚して長さ約10cm
の撚棒を作る。この撚棒を用いてコイルの中に入れ45
°傾斜に固定して下方から接炎し10cm燃焼するに要
する回数を測定し、10回測定した平均値で示した。耐
光性は、カーボンアーク法のフェドメータで40時間照
射した後、原糸ではグレースケール、染色したものでは
ブルースケールと対比して変退色の全くないものを5
級、著しく変退色したものを1級の5段階に区分し評価
して示した。また白度は、耐光性の試料と同様に黒色紙
に糸を密に巻きつけ、測色色差計により測定しカラーb
値で示した。b値が大きいほど黄色系に着色しているこ
とを示す。
【0028】製造例1 テレフタル酸ジメチルエステル100部、エチレングリ
コール75部、酢酸亜鉛0.04部を反応容器に入れ、
150℃から220℃に加熱し生成するメタノールを連
続的に系外に留出しながら2時間エステル交換反応を完
結し、白色結晶のビス−ω−ヒドロキシエチルテレフタ
レート(純度99.7%)を得た。この白色結晶25.
5部、トリクレン50部を攪拌機、滴下漏斗、N2 ガス
導入管、冷却管を設置した四つ口フラスコに投入し50
℃に加熱し溶解した。次にフェニルホスホン酸ジクロリ
ド19.5部を攪拌下、内温度を60℃以下に保ちなが
ら緩やかに滴下した。滴下後、更に40分間反応した
後、80℃にし更に1時間反応した後留出管に取り代え
徐々に減圧を行ない溶剤を完全に留去した。この反応生
成物(難燃剤Aとする)を分析した結果、平均分子量は
11,500(平均重合度29.8)、元素分析値は
C:57.39%、H:4.65%、P:8.08%、
の白色透明な樹脂状物であった。
【0029】製造例2 製造例1で得られたビス−ω−ヒドロキシエチルテレフ
タレート25.5部、塩化カルシュウム0.2部を反応
容器に入れ窒素気流下攪拌しながら120℃に加熱熔融
し、フェニルホスホン酸ジクロリド19.5部を20分
間で滴下し1.5時間、次いで150℃で1時間後、徐
々に圧力を減じ2mmHgとし30分間反応させた。冷
却して淡褐色の透明樹脂状物(難燃剤Bとする)を得
た。このものの平均分子量は8,700(平均重合度2
2.4)、元素分析値はC:63.13%、H:4.0
1%、P:6.86%であった。
【0030】製造例3 ポリエステル屑をエチレングリコール及びアルカリ土類
金属化合物の存在下解重合した後、薄膜蒸留して得られ
たビス−ω−ヒドロキシエチルテレフタレートを用いた
以外は製造例1に準じて反応して、白色透明樹脂(難燃
剤Cとする)を得た。この樹脂の平均分子量は12,3
00(平均重合度32.5)、元素分析値はC:57.
42%、H:4.67%、P:8.12%であった。
【0031】製造例4 フェニルホスホン酸ジクロリドの代りにメチルホスホン
酸ジクロリドを用いた以外は製造例1と同様にして重合
し、淡黄色の樹脂状物(難燃剤Dとする)を得た。この
樹脂は平均分子量が8,200(平均重合度25.
2)、元素分析値はC:50.35%、H:5.07
%、P:8.85%であった。
【0032】比較製造例1 ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA23部、フ
ェニルホスホン酸ジクロリド19.5部、塩化カルシュ
ウム0.2部を容器に入れ、窒素気流下150℃で2時
間、170℃で1時間、次いで200℃で2時間反応し
更に圧力20mmHg下250℃で1時間反応した後冷
却すると褐色の固体が得られた。このものの平均分子量
は7,800(平均重合度19.2)、融点183〜1
88℃であった。これを難燃剤Zとする。
【0033】実施例1 製造例1で得られた難燃剤Aを容器に投入し、減圧下1
80℃加熱して熔融した後脱泡し、0.5気圧の窒素ガ
ス加圧下で計量ポンプにより所定量を285℃に加熱さ
れた10mm径、l/d=1.5の48エレメントから
なるスタチックミキサーへ送液する。一方、固有粘度
0.67のポリエチレンテレフタレートをエクストルダ
ーで熔融し、難燃剤の配合量が8重量%になるように該
スタチックミキサーに送液して混合し、計量ポンプで紡
糸口金より毎分30gで吐出し、紡速900m/min
で巻き取り、常法により3.97倍に延伸し強度4.8
g/d、伸度29.5%の75d/24fの糸を得た。
この糸はリン含有量が6,500ppm、接炎回数は
5.2回、b値は1.5と優れた難燃性及び白度を有し
ていた。
【0034】更に、この糸2本合糸し筒編み機で筒編み
物を作り、精練して油剤を除いた後、家庭用洗濯機で4
0回洗濯したもの、ドライクリーニングを20回繰り返
したものについて接炎回数を測定した結果、それぞれ
5.1回、5.2回と全く難燃性能の低下はなかった。
【0035】また、上記糸を仮撚温度200℃、第1フ
ィード+1.8%、第2フィード+4.2%撚数3,6
00T/Mで仮撚加工した結果、強度3.9g/d、伸
度28%、糸強度保持率は(仮撚糸/原糸)81.2%
のクリンプは均一で良好な嵩高性を有したものであっ
た。
【0036】比較例1 製造例1の難燃剤Zを用い、熔融温度は240℃にした
以外は実施例1と同様にして75d/24fの延伸糸を
得た。この糸は、強度4.3g/d、伸度27.8%、
b値1.9、接炎回数5.3回と優れており、また筒編
物での洗濯後の接炎回数も5.2回と良好な耐久性を有
していた。しかし実施例1と同様に仮撚加工をおこなっ
た結果、200℃では糸切れが多く採取できないため、
190℃で実施した。得られた仮撚加工糸は強度2.7
g/d、伸度21.4%、仮撚による糸強度保持率6
2.8%であり、未解撚糸が混在した嵩高性の劣ったも
のであった。
【0037】比較例2 フェニルホスホン酸79部、エチレングリコール125
部の混合物に金属ナトリウムを0.03部加え、窒素気
流下80℃に徐々に加熱昇温して反応した後、更に10
0℃で減圧しながら過剰のエチレングリコールを留去し
つつ3時間加熱し、フェニルホスホン酸グリコールエス
テルを得た。
【0038】一方、ジメチルテレフタレート97部、エ
チレングリコール67部、酢酸カルシウム0.09部の
混合物を160〜220℃で3時間加熱してエステル交
換反応を行なった後、上記で得たフェニルホスホン酸グ
リコールエステルを85部、三酸化アンチモン0.05
部を加え220℃で30分加熱し、次いで逐次減圧して
1mmHg以下とし230〜250℃で2時間反応して
無色透明の樹脂状物を得た。この樹脂状物(難撚剤Xと
する)を分析した結果・平均分子量が4,300、リン
含有量は2.5%でリン残存率は理論値の42.1%で
あり、多くのリン化合物が留出したことを確認された。
【0039】この難燃剤Xを実施例1と同様に、但し配
合比率がポリエステル75部に対し、難燃剤Xが25部
とし混合紡糸を行なった。得られた糸は強度3.9g/
d、伸度27.2%、接炎回数3.3回(但し3/10
が3回以下で不合格)であった。
【0040】実施例2 製造例2、3、4で得た難燃剤B、C、Dを用いた以外
は実施例1と同様にして混合紡糸を行ない、延伸して7
5d/24fの延伸糸を得た。この糸を実施例1に準じ
て諸特性を測定した結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1で明らかなように、本発明品は優れた
性能を有していることが解る。
【0043】実施例3 製造例3で得られた難燃剤Cを用いて実施例1と同様に
但し、紡糸機の代りにベルト式ルーダーを用い、ポリエ
ステル100部に対して難燃剤が50部になるように熔
融混合しガット状に水中へ押し出しマスターチップを作
成した。このチップを乾燥し、通常のポリエステルと種
々の配合量になるようにチップ状で混合し、紡糸機で紡
糸、延伸して75d/24fの種々の延伸糸を得た。こ
の糸を実施例1に準じて諸特性を測定した結果を表2に
示した。
【0044】
【表2】
【0045】表2で明らかな如く、リン含有量が本発明
の範囲を外れたもの(No.1)は難燃性が不十分であ
るが本発明の範囲のものは優れた性能を有していること
が解る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 67/02 85:02)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (但し式中、Aは二価の芳香族有機残基(ハロゲンを含
    まない)、R1 は炭素原子数2〜4のアルキレン基、m
    は1〜2の整数を示す。)で表わされるビスヒドロキシ
    化合物の少なくとも一種と、一般式(II) 【化2】 (但し式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基、アリ
    ル基、アラルキル基を示す。)で表わされるP−モノ置
    換ホスホニルジクロリドの少なくとも一種とを重縮合し
    て得られるポリホスホネートをポリエステルに対してリ
    ン原子として0.3〜3.0重量%配合してなるポリエ
    ステル組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステルに配合するポリホスホネー
    トの分子量が8,000〜30,000であることを特
    徴とする請求項1記載のポリエステル組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリエステル組成物から
    なることを特徴とする繊維、フイルム又は樹脂成形物。
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