JPH0551441A - 難燃性ポリエステル共重合体 - Google Patents

難燃性ポリエステル共重合体

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JPH0551441A
JPH0551441A JP23727991A JP23727991A JPH0551441A JP H0551441 A JPH0551441 A JP H0551441A JP 23727991 A JP23727991 A JP 23727991A JP 23727991 A JP23727991 A JP 23727991A JP H0551441 A JPH0551441 A JP H0551441A
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JP
Japan
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polyester
flame
acid
phosphorus
retardant
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JP23727991A
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English (en)
Inventor
Taneo Okamoto
種男 岡本
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
Takao Yamanaka
敬雄 山中
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 (イ)ポリエステル本来の力学的特性,熱的
特性を低下せしめることなく、繊維,フィルムに成形加
工でき、白度,耐光性並びに耐洗濯性に優れ、(ロ)難
燃化共重合成分がポリエステルの重合時或は成形加工時
に揮発や分解或は系外飛散がなく、重合阻害しない耐熱
性に優れ、(ハ)接炎時に人体に有害なガスの発生がな
く極めて自己消化性に優れ、工業的生産が容易且つ安価
に製造し得る難燃性ポリエステル共重合体を提供するに
ある。 【構成】 一般式 【化1】 (式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基,アリル
基,アラルキル基,シクロアルキル基,R′は水素又は
メチル基,Aは二価の芳香族有機残基,mは2以下の整
数,nは1〜3の整数を示す。)で表わされる含リンジ
オキシ化合物の少なくとも一種をポリエステル中のリン
原子含有量が2,000〜30,000ppmとなるよ
うに共重合せしめたことを特徴とする難燃性ポリエステ
ル共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含リンジオキシ化合物
で変性されている難燃性合成線状ポリエステル共重合体
に関するものである。更に詳しくは、ポリエチレンテレ
フタレート或はポリブチレンテレフタレートを主成分と
するポリエステルを製造するに際し、含リンジオキシ化
合物を添加共重合せしめることを特徴とする難燃性ポリ
エステル共重合体に関するものである。
【0002】ポリエチレンテレフタレートに代表される
芳香族ポリエステルは、優れた力学的性質を有している
ため、繊維,フィルム,その他のプラスチック成形物と
して広範囲に利用され極めて有用な素材である。併しな
がら、燃焼し易いという欠点を有しており、近年火災に
対する認識の高まりに伴い、難燃化が強く要望されてい
る現状にある。特に燃焼時に有毒ガス(シアン,ハロゲ
ン)の発生が問題視されており、従って有毒ガスの発生
しない難燃化製品の開発が待望されている状況下にあ
る。
【0003】
【従来の技術】ポリエステルを難燃化する試みは従来よ
り種々検討されている。例えば、繊維,フィルムなどの
成形物に難燃化剤を後処理する方法、成形時に難燃化剤
を練り込む方法が知られている。しかし、後処理法では
処理が煩雑であったり不均一であったり、成形物の風合
いを粗硬にしたり、洗濯などで難燃性が低下したりする
等の種々の欠点を有する。又練り込み方法では、成形時
に難燃化剤が昇華したり、着色したり或は成形物の機械
的特性を著しく低下させる。更には繊維製品等の成形物
をドライクリーニングした際に難燃化剤の脱落やブリー
ドアウトが起り、その結果性能低下や汚染による衛生上
の問題を生ずる等の多くの欠点を有する。
【0004】かかる欠点を改善する方法として、ポリエ
ステルの分子主鎖中の難燃性を付与する原子の一つであ
るリン原子を導入する所謂共重合方法が有効であり、近
年種々の検討がなされて多くの提案がある。例えば、特
公昭36−21050号,特公昭38−9447号にホ
スホン酸又はホスホン酸エステル類を添加する方法が開
示されている。しかし、これらの提案のホスホン酸エス
テル類は一般に沸点が低いか或は基本となる芳香族ポリ
エステルの製造時に副反応を起こして系外に留出された
り或は三次元化による成形加工性を困難又は不能となる
等の欠点を有する。さらに、特公昭36−20771号
には二官能性の比較的沸点の高い、フェニルホスホン酸
ビスグリコールエステルを添加共重合する方法が開示さ
れている。然し乍ら、沸点が高いにも拘らず、重合中に
系外への留出が多いという欠点を有する。この系外への
留出の原因は明らかではないが、恐らく自己縮合が優先
し、環状の低沸点成分となり揮発するものと推察され
る。
【0005】かかる欠点を改良するために例えば、特公
昭47−13386号,特開昭50−39389号にホ
スホン酸の重合物を添加共重合したり三官能基を有する
ホスフェート類を併用添加し共重合する方法が開示され
ている。かかる方法は重合体で沸点も高いため系外留出
をかなり減少できるが、重合度が大きい場合は末端官能
基の反応性が乏しくなり、ポリエステル主鎖中に導入さ
れ難くなりポリエステルの機械的特性を劣化せしめた
り、未反応物の溶出などが生じたり、三官能基によるゲ
ル化などの障害が起こるという欠点を有する。反面、反
応性を低下せしめない程度に低重合度とすると、前記の
如く副反応が生じ系外飛散したり、或は熱安定性が不十
分なためポリエステルの白度や機械的特性を著しく低下
せしめ、実用に供し得なくなる欠点を有する。該公報明
細書にも、熱安定性のよい二価の芳香族基を使用する実
施例が記載されているが、末端の官能基がフェノール性
水酸基であるためエステル形成性に乏しく、ポリエステ
ルの重合度が十分に上がらず、満足なものが得られない
という欠点を有する。
【0006】以上の如く、従来技術の多くの欠点を改善
するために、本発明者らは、ハロゲン化芳香族ジオール
のフェノール性水酸基をエーテル結合で封鎖した、アル
コール性水酸基に誘導して得られる含リンジオキシ化合
物が安定で容易に且つ飛散もなく共重合できることを見
出し、特公昭53−13478号に提案した。この方法
で製造されるものは優れた性能を有する有用なものであ
るが、接炎時にハロゲンガスが発生するという問題点を
有しており、未だ実用的なものが得られていないのが現
状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、かか
る従来技術の諸欠点を改善し、少量で有効且つ無公害な
難燃化共重合成分を見い出すことである。
【0008】本発明の第1の目的は、ポリエステル本来
の力学的特性,熱的特性を低下せしめることなく、繊
維、フィルムに成形加工でき、白度,耐光性並びに耐洗
濯性に優れた難燃性ポリエステル共重合体を提供するに
ある。本発明の第2の目的は、難燃化共重合成分がポリ
エステルの重合時或は成形加工時に揮発や分解或は系外
飛散がなく、重合阻害しない耐熱性に優れた有用な難燃
性ポリエステル共重合体を提供するにある。本発明の第
3の目的は、接炎時に人体に有害なガスの発生がなく極
めて自己消化性に優れ、工業的生産が容易且つ安価に製
造し得る難燃性ポリエステル共重合体を提供するにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、難燃化共
重合成分につき種々検討し鋭意研究を行なった結果、芳
香族ジオールを事前に、例えばエポキシ化合物を反応し
てエーテル結合で封鎖してアルコール性水酸基に誘導せ
しめたホスホン酸化合物が極めて熱安定性に優れ、低沸
点物の生成が全く無く、容易に共重合ポリエステルが得
られることを見出し、本発明を完成するに至った。特
に、エポキシ化合物がエチレンオキシドの場合は、化学
構造的には環状化しやすいホスホン酸ビス−エチレング
リコールエステルと類似の構造を有しているにも拘ら
ず、既に一端の水酸基がエーテル結合されて安定化され
ているためか、ポリエステルの重縮合反応時の過酷な条
件下でも安定であり系外留出が全くないことは驚くべき
ことである。
【0010】即ち本発明は、一般式
【化2】 (式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基,アリル
基,アラルキル基,シクロアルキル基,R′は水素又は
メチル基,Aは二価の芳香族有機残基,mは2以下の整
数,nは1〜3の整数を示す。)で表わされる含リンジ
オキシ化合物の少なくとも一種を、ポリエステル中のリ
ン原子含有量が2,000〜30,000ppmとなる
ように共重合せしめたことを特徴とする難燃性ポリエス
テル共重合体によって達成される。
【0011】本発明のポリエステル共重合体に使用する
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸,イソフタル
酸,2.6−ナフタレンジカルボン酸,1.5−ナフタ
レンジカルボン酸,4.4−ジフェニルジカルボン酸,
ビス−(4−カルボキシフェニル)エーテル,ビス−
(4−カルボキシフェニル)スルホン,1.2−ビス
(4−カルボキシフェノキシ)エタン,5−ナトリウム
スルホイソフタル酸,5−スルホプロポキシイソフタル
酸,ジフェニルp.p′−ジカルボン酸,p−フェニレ
ンジ酢酸,ジフェニルオキシド−p.p′−ジカルボン
酸,trans−ヘチサヒドロテレフタル酸及びそれら
のアルキルエステル,アリールエステル,エチレングリ
コールエステルなどのエステル形成性誘導体が挙げられ
る。中でも特に有用なものとしては、テレフタル酸,
2.6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とし、その他
の芳香族ジカルボン酸及びアジピン酸,セバシン酸,ア
ゼライン酸,デカメチレンジカルボン酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体の1種以上
を10モル%を限度として少量混合して使用することが
できる。
【0012】一方グリコール成分としては、エチレング
リコール,1.2−プロピレングリコール,1.4−ブ
タンジオール,トリメチレングリコール,1.6−ヘキ
サンジオール,1.4−シクロヘキサンジオール,ネオ
ペンチルグリコール,1.4−シクロヘキサンジメタノ
ール,ビスフェノールA,ビスフェノールS,ジエチレ
ングリコール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレ
ングリコールなどが挙げられる。中でも有用なエチレン
グリコール,1.4−ブタンジオールを主成分とし、そ
の他のグリコール成分及びエステル成形性誘導体の一種
以上をジオール成分の10モル%を限度とする少量を混
合して使用することができる。
【0013】またオキシカルボン酸成分としては、4−
オキシ安息香酸,4−ヒドロキシエトキシ安息香酸,オ
キシピバリン酸などがあげられるが、これらも必要に応
じ少量添加することができる。
【0014】本発明のポリエステル共重合体が実質的に
線状ポリマーであるならば、必要に応じて少量の一官能
性化合物、例えば安息香酸,ベンゾイル安息香酸,酢
酸,メトキシポリエチレングリコールなど、或は三官能
性以上の化合物、例えばグリセリン,ペンタエリスリト
ール,トリメリット酸,ピロメリット酸,リン酸化合物
及びこれらのエステル形成性誘導体を添加することもで
きる。
【0015】本発明のポリエステル共重合体は、例え
ば、テレフタル酸又は2.6−ナフタレンジカルビン酸
を主成分とする芳香族ジカルボン酸成分とエチレングリ
コール又は1.4−ブタンジオールを主成分とするグリ
コール成分とより、又は4−オキシ安息香酸を主成分と
する芳香族ポリエステルを製造するに際し、前記一般式
(I)で示される含リンジオキシ化合物を添加共重合せ
しめるものである。
【0016】かかる共重合の製造方法としては従来公知
の方法が適用できる。その際、添加の時期はエステル交
換反応工程、或るいは重縮合前、重縮合中または重縮合
完了の僅か前になど必要に応じて選び添加できる。しか
し、かかる添加時期によって本発明が制約を受けるもの
ではないが、既に該含リンジオキシ化合物はグリコール
エステルの構造をしているので、エステル交換反応完了
後の工程で添加することが好ましい。当然のことなが
ら、エステル交換反応及び重縮合反応は公知の触媒の使
用下で行なうことは勿論のことである。
【0017】かかる共重合ポリエステルの製造時或は成
形加工時に、顔料,艶消し剤,蛍光増白剤,熱安定剤,
紫外線吸収剤,酸化防止剤,制電剤及び有機アミン,有
機カルボン酸アミドなどのエーテル結合抑制剤等,必要
に応じて種々使用してもよい。
【0018】一般式(I)で表わされる含リンジオキシ
化合物の量は、得られるポリエステル中のリン原子含有
量が2,000〜30,000ppm,好ましくは3,
000〜20,000ppm,更に好ましくは5,00
0〜15,000ppmとなるように添加する。勿論使
用するジカルボン酸及びグリコール成分の組成によって
異なるが、概ね全グリコール成分の2〜20モル%の範
囲内である。2,000ppm未満では難燃性に乏し
く、30,000ppmより多い場合は難燃効果が飽和
される上にポリエステル本来の諸特性を著しく低下せし
めるので好ましくない。勿論高含量のポリエステル共重
合体を一旦製造し、目的のリン含有量となるように通常
のポリエステルと混合して成形加工することも出来る。
【0019】本発明の一般式(I)で示される含リンジ
オキシ化合物は、通常下記一般式(II)で表されるリン
化合物と、一般式(III) で表わされるエーテル結合を有
するジオキシ化合物とを低温で反応せしめることにより
得られる。
【化3】
【化4】 ((II),(III) 式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル
基,アリル基,アラルキル基,シクロアルキル基,Aは
二価の芳香族有機残基,R′は水素又はメチル基,mは
2以下の整数を表わす。)
【0020】一般式(II)で表わされるリン化合物とし
ては、例えばメチルホスホン酸ジクロライド,エチルホ
スホン酸ジクロライド,ブチルホスホン酸ジクロライ
ド,i−プロピルホスホン酸ジクロライド,ヘキサメチ
ルホスホン酸ジクロライド,オクチルホスホン酸ジクロ
ライド,2−エチルヘキシルホスホン酸ジクロライド,
フェニルホスホン酸ジクロライド,m−トリルホスホン
酸ジクロリド,p−トルイルホスホン酸ジクロリド,
3.5−キシリルホスホン酸ジクロリド,シクロヘキシ
ルホルホン酸ジクロリド,等が挙げられる。これらの中
でも、特に耐熱性,経済性の点でフェニルホスホン酸ジ
クロライドが好適である。
【0021】一般式(III) で表わされるエーテル結合を
有する芳香族ジオキシ化合物としては、Aを骨格とする
フェノール性ジオールと(イ)エポキシドを付加反応せ
しめるか、(ロ)アルカリ土類金属の存在化でハロゲン
化アルコールを反応せしめることにより容易に得られ
る。(イ)の場合のエポキシドとしては例えばエチレン
オキシド、プロピレンオキシド、(ロ)の場合のハロゲ
ン化アルコールとしては例えばエチレンクロルヒドリ
ン,3−クロロプロパノール−1,エピクロルヒドリ
ン,等が挙げられる。
【0022】(イ),(ロ)のいずれの方法でも良い
が、炭素原子数の余りに大きいものを用いると反応性の
低下、副反応の生成が生じたりするので好ましくない。
反応性や生成する含リンジオキシ化合物のリン含有率の
点より、炭素原子数が2のエチレンオキサイドが最も好
ましい。かかるエチレンオキサイドの如き付加反応の場
合は、実質的に等モルを反応させることが好ましいが、
平均付加モル数が1.5モル以下ならば使用することが
できる。しかし、2モル以上付加されるとポリエステル
の物性を低下させたり、副反応を生じ好ましくない。
【0023】一般式(III) のジオキシ化合物の骨格をな
すAは、ハロゲン原子などを含有しない二価の芳香族有
機残基であり、例えば
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】 (但し、Yは炭素原子数1〜3のアルキレン基,アルキ
リデン基,O,S,SO2 ,を表わす。)が挙げられ
る。勿論、この骨格に炭素原子数1〜3のアルキル基,
スルホン酸基,リン酸基及びその金属塩等が結合されて
いてもよい。かかる骨格を有するジオール化合物として
は、例えばハイドロキノン,レゾルシン,2−メチルレ
ゾルシン,1.5−ジヒドロキシベンゼン−3−スルホ
ン酸ソーダ,4.4′−ジヒドロキシジフェニル,2.
2′−ジヒドロキシジフェニル,ビスフェノールA,ビ
スフェノールB,1.4−ジヒドロキシナフタレン,
1.5−ジヒドロキシナフタレン,2.6−ジヒドキシ
ナフタレン,4.5−ジヒドロキシナフタレン−2.7
−ジスルホン酸ソーダ,ヒドロキシベンゾフェノン,
1.5−ジヒドロキシアントラキノン,1.8−ジヒド
キシアントラキノンなどが挙げられ、これらを1種以上
混合して使用することもできる。これらの炭素原子数が
余りに大きいと、一般式(I)のリン含有率が低下し、
延ては難燃性効果を低減さすので、炭素原子数は20以
下、好ましくは15以下のものが好ましい。中でもビス
フェノールA,ビスフェノールS等のビスフェノール類
及びベンゼンスルホン酸系が熱安定性,難燃効果に優れ
ており好適である。
【0024】これら上記一般式(II)のリン化合物と一
般式(III)のアルコール性水酸基を有するジオキシ化合
物を反応せしめることにより、一般式(I)の含リンジ
オキシ化合物を容易に得ることができる。反応は従来公
知の溶液法,熔融法或は界面反応法等の技術が適用でき
る。中でも、調整の容易さ、精製の容易さの点で溶液法
が好適である。かかる反応の際に、必要ならば熱安定
剤,着色防止剤,顔料,反応促進剤,蛍光剤などの添加
剤を用いてもよい。また溶液法の溶剤としては比較的極
性の低いものが好適で、例えばテトラヒドロフラン,ト
リクレン,ジクロロエタン,ベンゼン,トルエン,キシ
レン,クロロホルム,四塩化炭素,パークレンなどが挙
げられる。
【0025】通常、高温下の反応は副反応が生成し易い
ことはよく知られているが、前述の一般式(II)のリン
化合物は極めて反応性に富んだものであり、又一般式(I
II)のジオキシ化合物はアルコール性水酸基で反応性に
富んだものであるため、低温で容易に反応が進行し副反
応物の生成を抑制することができる。従って、仕込比率
によって任意に、即ち一般式(I)のnを調整すること
ができる。余りにnが大きいとポリエステル重合時の反
応性が乏しくなり好ましくない。ポリエステルの主鎖中
に均一に導入するには平均のnが1〜3、好ましくは1
〜1.5の範囲に調整することが好ましい。
【0026】従って、反応時の仕込量は一般式(II)の
1モル当たり一般式(III) のジオキシ化合物のモル数は
2〜4/3モル、好ましくは2〜5/3モルの範囲とす
る。モル数が等モル比に近ずくに従い、重合度nは4以
上のポリマーになる。又モル数が2モルを越えると、未
反応のジオキシ化合物が混入され、ポリエステルの物性
を低下させたり重合を遅延さす原因になるので好ましく
ない。
【0027】本発明の共重合体は重合度nが3以下の低
分子であり、両末端基はいずれも活性の高いアルコール
性水酸基を有しているため、ポリエステルの重縮合反応
を阻害することなく容易に共重合され均一な線状ポリマ
ーである。特に前述した如く、ホスホン酸グリコールエ
ステル例えば、フェニルホスホン酸−ビス−ヒドロキシ
エチルエステルなどは重合時に系外へ留出され共重合し
たポリエステル中のリン残存率は40%以下に対して、
本発明の一般式(I)において、Rがフェニル基,R′
が水素,m=1,Aが化5,n=1.0からなる
【化10】 の構造を有する類似構造の含リンジオキシ化合物であっ
ても、重縮合時に留出物なく、得られたポリエステル中
のリン残存率は理論値の98%以上であることは驚くべ
き事実である。
【0028】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の難燃性ポリエ
ステル共重合体はポリエステルの主鎖中に難燃性を付与
するリン原子が導入されているので、成形物に加工する
過程或は成形物の使用中や洗濯等の処理で溶出や脱落が
なく難燃性能が低下することのない恒久性を有した有用
なものである。更にポリエステル本来の機械的,熱的特
性や繊維製品の風合いを損なうことなく且つ耐光性,白
度に優れ、良好な染色性を有している。また難燃性を付
与する原子がリン原子のみで、成形物が炎と接しても人
体に有害なガスの発生がなく極めて安全性が高い有用な
ものである。
【0029】本発明の難燃性ポリエステル共重合体は、
通常の方法により繊維及び糸に紡糸,延伸或は紡績で
き、そして通常の方法で後処理できる上、製織,製編も
特別な配慮をすることなく通常の織機,編機を使用する
ことが出来る。また通常のポリエステルやカチオン可染
ポリエステルなどと混合紡糸或は複合紡糸をしたり、前
記通常の繊維或は綿,ポリエステル,アクリル等の他の
繊維と複合製織したり多層構造の織物などの高級技術高
品質の難燃性ポリエステル製品を得ることが出来る。更
にフィルムや箔,或はボトルなどの成形加工品も通常の
方法で押出,圧縮或は射出成形により容易に難燃性製品
を得ることができる。かかる繊維製品及び成形体として
例示すれば例えば、厚地織物,衣料,カーペット,カー
テン,ズック,ボトル,フィルム,構造部品,機械的伝
導部品等が挙げられる。
【0030】
【実施例】以下実施例により本発明をより具体的に説明
する。実施例中「部」とあるのは全て「重量部」を意味
する。固有粘度「η」は、フェノール/テトラクロロエ
タン=6/4の混合溶剤中20℃で常法により求めた。
融点はDSCの吸熱ピークから求めた。また難燃性の評
価は、45°コイル法による接炎回数(JIS L−1
091 D)或は限界酸素指数(JIS K−720
1)法に準じて測定し示した。耐光性は、カーボンアー
ク法のフェドメータで40時間照射した後、原糸はグレ
ースケールで、染色したものはブルースケールと対比し
て変退色のないものを5級、著しく変退色したものを1
級の5段階に区分して示した。また白度は、耐光性の試
料と同様に黒色紙に糸を密に巻きつけ、測色色差計によ
って測色しカラーb値で示した。
【0031】実施例1 4.4′−イソプロピリデンビスフェノール1モルに対
してエチレンオキシド2モルを付加反応して下記ジオキ
シ化合物を得た。
【化11】 (分析結果:EO付加モル数m=1.02)を6.5部
とキシレン10部を攪拌機,滴下漏斗,N2 導入管,蒸
留管口を取り付けた反応容器に入れ、N2 ガスをフロー
しながら110℃に加熱して溶解した。次にフェニルホ
スホン酸ジクロリドを2.0部を滴下漏斗から攪拌下、
内温110〜120℃に保ちながら徐々に20分間で滴
下した。フェニルホスホン酸ジクロリド1モルに対しジ
オール成分は2.0モル比である。更に同温度で15分
間反応後、130℃に昇温し系内を徐々に減圧にしてキ
シレンを留去し、30分間で5mmHgとし更に30分
間同温度で反応させた。生成物(難燃剤A)を取り出し
NMR分析した結果、下記の構造式のものであった。
【化12】
【0032】次にジメチルテレフタレート100部、エ
チレングリコール72部、酢酸亜鉛0.04部を150
℃から220℃に加熱し、生成するメタノールを連続的
に系外に留去しながら3時間エステル交換反応を行なっ
た後、更にこれに三酸化アンチモン0.03部と前記難
燃剤Aの含リンジオキシ化合物を19.4部添加し、徐
々に昇温しつつを内圧を減じ、最終的に280℃,0.
3mmHgで3時間重縮合を行ない、次いでこのポリマ
ーを索状に押出し切断して2.5mmφX3mmの大き
さのペレットとした。重合釜の上蓋や、留出したエチレ
ングリコール中にも難燃化剤であるリン化合物は全く検
出されず、系外への留去は認められなかった。得られた
ポリマーは、固有粘度「η」0.64、融点253℃で
あった。
【0033】このペレットを水分率0.005%まで乾
燥し、エクストルーダにて、紡糸温度288℃巻取り速
度800m/分で溶融紡糸し、続いて倍率3.94倍、
延伸速度1000m/分で85℃のローラヒータで延伸
し、150℃のプレートヒータでセットして、引張強度
5.2g/d、伸度28.8%の75d/24fの延伸
糸(p含有量=6,870ppm)を得た。
【0034】この延伸糸を2本合糸し、筒編機で筒編み
し精錬した後、難燃性、耐光性の試験を行なった。即
ち、難燃性は、筒編物を重さ1g,長さ100mmにな
るように切り取り棒状に巻き、45°コイル法のよる接
炎回数を求めた。また耐光性は、カーボンアークのフェ
ドメータで40時間照射し変褪色をグレースケールで判
定して評価した。
【0035】更に難燃化剤として、前記ジオキシ化合物
とフェニルホスホン酸ジクロリドを種々のモル比で反応
して難燃剤B〜Fを合成し、難燃剤Aの場合と同様にポ
リエステルに共重合した。これらの共重合ポリエステル
を熔融紡糸し、延伸した後、接炎回数、耐光性及びポリ
マー物性を測定し、その結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示した如く、本発明の範囲の共含リ
ンジオキシ化合物を用いたものは、重縮合反応を殆ど阻
害することなく優れた白度,耐光性,難燃性を有した物
であった。一方、本発明の範囲を外れたものは重合速度
阻害(難燃剤B,E,F)、着色或は耐光性低下(難燃
剤E,F)、等の問題点を有していた。
【0038】実施例2 各種のジオキシ化合物を種々のホスホン酸ジクロライド
と実施例1と同様にして反応し種々の難燃剤を合成し
た。次いで、実施例1に準じてリンの含有量が同じにな
るようにして共重合ポリエステルを製造した後、同様に
紡糸,延伸して75d/36fのフィラメントを得た。
このものを実施例1と同様の性能評価した結果、表2に
示す。
【表2】
【0039】表2に示した如く、本発明の共重合ポリエ
ステルは何れも耐光性,難燃性に優れている。
【0040】実施例3 実施例1の難燃剤(A)を用いて実施例1に準じて、但
し共重合量を種々変化させて各種のポリエステル共重合
体を得た。実施例1と同様に紡糸延伸して得られた75
d/24fの延伸糸の白度,耐光性,接炎回数について
測定した結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3で明らかなように、リン含有量が2,
000ppm以下のもの(No.1)は難燃性能が不足
であり、必要以上に多くても難燃性は飽和される上、逆
にポリエステルの物性を低下せしめる。本発明の範囲内
のものは優れた性能を有することが解る。
【0043】比較実施例1 実施例1に於て、エチレンオキサイドを付加しない芳香
族ジオールを用いて同様にフェニルホスホン酸ジクロリ
ドと反応して難燃剤を合成した。このものを用いて実施
例1に準じて重縮合を行なった結果、該含リンジオール
化合物の官能基がフェノール性水素基のため反応性が乏
しく重合度は高くならなかった。このポリエステル共重
合体を熔融紡糸した結果、糸切れ多く試料の採取が出来
なかった。
【0044】比較実施例2 実施例1に於て、芳香族ジオキシ化合物の代りにエチレ
ングリコールを用い反応して、ビス−(2−ヒドロキシ
エチル)フェニルホスホン酸オキシドを合成した。これ
を実施例1と同様に重縮合に供した。重縮合中にリン化
合物の留出があり、得られたポリエステル中のリン含有
量を測定した結果、リンの残存率は29%であった。こ
のポリエステル共重合体を実施例1に準じて紡糸、延伸
し、性能を測定した結果、接炎回数2.1回と劣ったも
のであった。
【0045】実施例4 実施例1で得られた難燃化剤A及び実施例2の難燃化剤
(No.G,I)で変性した共重合ポリエステル延伸糸
を2本合糸し筒編機にて筒編物を得た。これらの筒編試
料をMiketon Polyestel Blue
FBL 2%owfで高圧染色及び家庭用洗濯機並びに
ドライクリーニングによる洗濯を20回繰り返し実施し
たのち、接炎回数を評価した結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】表3の如く、本発明の難燃性共重合ポリエ
ステルは非常に優れた耐熱性及び耐洗濯性を有してい
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基,アリル
    基,アラルキル基,シクロアルキル基,R′は水素又は
    メチル基,Aは二価の芳香族有機残基,mは2以下の整
    数,nは1〜3の整数を示す。)で表わされる含リンジ
    オキシ化合物の少なくとも一種を、ポリエステル中のリ
    ン原子含有量が2,000〜30,000ppmとなる
    ように共重合せしめたことを特徴とする難燃性ポリエス
    テル共重合体。
  2. 【請求項2】 ポリエステルがテレフタル酸又はそのエ
    ステル形成性誘導体を主成分とする二官能性カルボン酸
    成分とエチレングリコール又はそのエステル形成性誘導
    体を主成分とするグリコール成分とよりなる請求項1記
    載の難燃性ポリエステル共重合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の難燃性ポリエステル共重
    合体からなる繊維,フィルム,樹脂成形体。
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