JP2927630B2 - 難燃ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

難燃ポリエステル繊維の製造方法

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JP2927630B2
JP2927630B2 JP35706792A JP35706792A JP2927630B2 JP 2927630 B2 JP2927630 B2 JP 2927630B2 JP 35706792 A JP35706792 A JP 35706792A JP 35706792 A JP35706792 A JP 35706792A JP 2927630 B2 JP2927630 B2 JP 2927630B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン系難燃剤を含有す
る新規な難燃ポリエステル繊維の製造方法に関する。
【0002】ポリエチレンテレフタレートに代表される
芳香族ポリエステルは、優れた力学的性質を有し、繊
維,フィルム,その他のプラスチック成形物として広範
囲に利用される極めて有用な素材である。併しながら、
燃焼し易いという欠点を有しており、近年火災に対する
認識の高まりに伴い、難燃化が強く要望されている。
又、燃焼時に有毒ガス(シアン,ハロゲン)の発生は難
燃性以上の問題であり、これら有毒ガスの発生しない難
燃化製品の開発が待望されている。
【0003】
【従来の技術】ポリエステルを難燃化する試みは従来よ
り種々検討されている。例えば、繊維,フィルムなどの
成形物に難燃化剤を後処理する方法、成形時に難燃化剤
を練り込む方法が知られている。しかし、後処理法では
処理が煩雑であったり不均一であったり、成形物の風合
いを粗硬にしたり、洗濯などで難燃性が低下したりする
等の種々の欠点を有する。
【0004】又従来の練り込み方法では成形時に難燃化
剤が昇華したり、着色したり或は成形物の機械的特性を
著しく低下させる。更には繊維製品等の成形物をドライ
クリーニングした際に難燃化剤の脱落やブリードアウト
が起り、その結果性能低下や汚染による衛生上の問題を
生ずる等の多くの欠点を有する。
【0005】ポリエステルの分子主鎖中の難燃性を付与
する原子の一つであるリン原子を導入する共重合方法は
有効であり、近年種々の検討がなされて多くの提案があ
る。例えば特公昭36−21050号,特公昭38−9
447号に、ホスホン酸又はホスホン酸エステル類を添
加する方法が開示されている。しかし、このホスホン酸
エステル類は一般に沸点が低いため重合時に系外に留出
される或はポリエステル製造時に三次元的副反応を起こ
し成形加工を困難又は不能となる等の欠点を有する。特
公昭36−20771号には、比較的沸点の高いホスホ
ン酸ビスグリコールエステルを添加共重合する方法が開
示されている。然し乍ら、沸点が高いにも拘らず、重合
中に自己縮合による環状の低沸点物が生起し系外へ揮発
するものが少なくないという欠点を有する。
【0006】特公昭53−13479号及び特開昭50
−53354号に、カルボキシホスフィン酸を共重合す
ることが開示されている。かかるホスフィン化合物は揮
発性がなく優れた耐燃性を有している。然しながら、エ
ステル形成性官能基がカルボキシル基とリン酸結合のP
−OH基のため、僅かに反応速度が異なりやや均一性に
欠ける。更に耐熱性の点ではP−O−C結合はP−C結
合に比べ劣るという若干の欠点を有する。又特公昭55
−41610号に、オキサホスファンオキシドとイタコ
ン酸から誘導した。含リンジカルボン酸化合物を共重合
する方法が開示されている。この方法も優れた耐燃性を
有している。しかし、複雑な多環構造化合物であるため
立体障害による結晶性,融点,物性等の低下,或は僅か
な光や熱で分子切断が生じ易いという欠点を有する。
【0007】ドイツ特許出願公告第1232348号公
報にはビス−(p−カルボキシフェニル)−ホスフィン
酸を共重合したポリエステルが開示されているが、染色
改善等のポリエステル変性を目的としたもので、リン含
有量も少なく難燃性は殆ど賦与されない。一方、米国特
許出願公告公報第4127566号に、ビス−(カルボ
キシエチル)メチルホスフィンオキシドを共重合したポ
リエステルが開示されている。このものは良好な難燃性
を示すが、共重合ポリマーの融点低下が大きく、且つ耐
熱性がやや低いという欠点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、かか
る従来技術の諸欠点を改善し、少量で有効且つ無公害な
難燃化共重合成分を見い出すことである。
【0009】本発明の目的は、ポリエステル本来の力学
的特性,熱的特性を低下せしめることなく、繊維成形性
に優れ且つ、白度,耐光性並びに耐洗濯性に優れた難燃
性ポリエステル繊維の工業的安価な製造方法を提供する
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、難燃化共
重合成分につき種々検討し鋭意研究を行なった結果、難
燃性能の観点から前述の一般式で示すリン含有化合物が
ポリマーの耐熱性、力学的物性を低下させる事なく良好
な難燃性を付与する事を見いだし、先に難燃繊維を提案
した。本発明者らは該繊維の製造方法を更に鋭意に検討
した結果、本発明に到達したものである。
【0011】即ち本発明の難燃ポリエステル繊維の製造
方法は、一般式
【化2】 (式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基、アリ
基、アラルキル基、シクロアルキル基、R’は水素又は
メチル基、Aは二価の芳香族有機残基、mは2以下の整
数、nは1〜3の整数を示す。)で表わされるハロゲン
原子を含まない、含リンジオキシ化合物又はその誘導体
の少なくとも一種から誘導され、且つリン原子含有率が
少なくとも3重量%である化合物Aを繊維形成性ポリエ
ステルの重合時点に繊維中のリン原子含有率が少なくと
も2000ppmになるよう配合せしめ重合し、次いで
紡糸する事を特徴とする。
【0012】本発明の一般式(I)で示される含リンジ
オキシ化合物は、通常下記一般式(II)で表されるリ
ン化合物と、一般式(III)で表わされるエーテル結
合を有するジオキシ化合物とを低温で反応せしめること
により得られる。
【化3】
【化4】 (式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基、アリ
基、アラルキル基、シクロアルキル基、Aは二価の芳香
族有機残基、R’は水素又はメチル基、mは2以下の整
数を表わす。)
【0013】一般式(II)で表わされるリン化合物と
しては、例えばメチルホスホン酸ジクロライド、エチル
ホスホン酸ジクロライド、ブチルホスホン酸ジクロライ
ド、i−プロピルホスホン酸ジクロライド、ヘキシル
スホン酸ジクロライド、オクチルホスホン酸ジクロライ
ド、2−エチルヘキシルホスホン酸ジクロライド、フェ
ニルホスホン酸ジクロライド、m−トリルホスホン酸ジ
クロリド、p−トルイルホスホン酸ジクロリド、3.5
−キシリルホスホン酸ジクロリド、シクロヘキシルホ
ホン酸ジクロリド、等が挙げられる。これらの中でも、
特に耐熱性、経済性の点でフェニルホスホン酸ジクロラ
イドが好適である。
【0014】一般式(III)で表わされるエーテル結
合を有する芳香族ジオキシ化合物としては、Aを骨格と
するフェノール性ジオールと(イ)エポキシドを付加反
応せしめるか、(ロ)アルカリ土類金属の存在でハロ
ゲン化アルコールを反応せしめることにより容易に得ら
れる。(イ)の場合のエポキシドとしては例えばエチレ
ンオキシド、プロピレンオキシド、(ロ)の場合のハロ
ゲン化アルコールとしては例えばエチレンクロルヒドリ
ン、3−クロロプロパノール−1、エピクロルヒドリ
ン、等が挙げられる。
【0015】(イ),(ロ)のいずれの方法において
も、炭素原子数の余りに大きいものを用いると反応性の
低下や副反応の生成があり好ましくない。反応性や生成
する含リンジオキシ化合物のリン原子含有率の点から、
炭素数2のエチレンオキサイドが最も好ましい。かかる
エチレンオキサイドのような付加反応の場合は、実質的
に等モルを反応させることが好ましいが、平均付加モル
数が1.5モル以下ならば使用することができる。しか
し、2モル以上付加されるとポリエステルの物性低下
や着色や、その他の副反応を生じ好ましくない。
【0016】一般式(III)のジオキシ化合物の骨格
をなすAは、ハロゲン原子などを含有しない二価の芳香
族有機残基であり、例えば
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】 (但し、Yは炭素原子数1〜3のアルキレン基、アルキ
リデン基、O、S、SO2、を表わす。)が挙げられ
る。勿論、この骨格に炭素原子数1〜3のアルキル基、
スルホン酸基、リン酸基及びその金属塩等が結合されて
いてもよい。かかる骨格を有するジオール化合物として
は、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2−メチルレ
ゾルシン、1.5−ジヒドロキシベンゼン−3−スルホ
ン酸ソーダ、4.4’−ジヒドロキシジフェニル、2.
2’− ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、
ビスフェノールB、1.4−ジヒドロキシナフタレン、
1.5−ジヒドロキシナフタレン、2.6−ジヒド
シナフタレン、4.5−ジヒドロキシナフタレン−2.
7−ジスルホン酸ソーダ、ヒドロキシベンゾフェノン、
1.5−ジヒドロキシアントラキノン、1.8−ジヒド
キシアントラキノンなどがあり、これらの単独使用や
2種以上混合して使用することもできる。これらの炭素
原子数が余りに大きいと、一般式(I)のリン原子含有
率が低下し、難燃性効果を低減させるので、炭素原子数
は20以下が好ましく、更に好ましくは15以下であ
る。中でもビスフェノールA、ビスフェノールS等のビ
スフェノール類及びベンゼンスルホン酸系が熱安定性、
難燃効果に優れており好適である。
【0017】これら上記一般式(II) のリン化合物と一
般式(III) のアルコール性水酸基を有するジオキシ化合
物を反応せしめることにより、一般式(I) の含リンジオ
キシ化合物を容易に得ることができる。反応は従来公知
の溶液法,熔融法或は界面反応法等の技術が適用でき
る。中でも、調整の容易さ、精製の容易さの点で溶液法
が好適である。かかる反応の際に、必要ならば熱安定
剤,着色防止剤,顔料,反応促進剤,蛍光剤などの添加
剤を用いてもよい。また溶液法の溶剤としては比較的極
性の低いものが好適で、例えばテトラヒドロフラン,ト
リクレン,ジクロロエタン,ベンゼン,トルエン,キシ
レン,クロロホルム,四塩化炭素,パークレンなどが挙
げられる。
【0018】余りにnが大きいものでは生成物の耐熱性
や着色、その他の物との反応、共重合時に反応性が乏し
くなり好ましくなく、平均のnが1〜3が好ましく、更
に好ましくは1〜1.5である。
【0019】本発明に使用する上記一般式で示す含リン
ジカルボン酸は上記式に示すように、分子構造がP−O
結合が左右対称形であり、左右に有する二つの官能基は
共に等価で有り、各種の化学反応、例えばエステル化反
応、アミド化反応、等の反応速度は同じである。又対称
の構造を有する為に、該化合物を共重合した化合物Aの
耐熱性、力学物性は非対称の物の共重合物に比べて優れ
ており、ポリエステル繊維の製造に於いて受ける150
〜300℃程度の高温がかかる工程にて使用するのに好
都合である。
【0020】上記一般式中の残基Rのアリル基は、例
えばC65、C64−Me、C6 3 −(Me)2、C6
4−Etが例示され、又アラルキル基は、例えばC65
−CH2、C64(Me)−CH2,C65−CH2
2、C6 3 −(Me)2−CH2などが挙げられる。中
でも有用なものは、フェニル基、トルイル基であり、特
にフェニル基が耐熱性に優れ最も好ましい。残基R’’
はH、CH3である。
【0021】上記一般式で示す化合物を含有する化合物
Aとしては、いずれの形、構造を有する化合物でも構わ
ない。例えば、他の化合物とエステル結合したもの、ア
ミド結合で反応したもの、ウレタン結合で反応したも
の、エーテル結合で反応したもの、等が採用できる。
【0022】エステル結合させる物としては、2ヶのO
H基を有する化合物との反応で達成できる。好ましく
は、ポリエステル繊維と同様の骨格構造を有するアジピ
ン酸、セバシン酸、アゼライン酸、等の脂肪族ジカルボ
ン酸類、及びその誘導体やエステル誘導体、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニ
ルジカルボン酸、等の芳香族ジカルボン酸及びそれらの
誘導体、それらのアルキルエステル、アリルエステ
ル、エチレングリコールエステル誘導体である。
【0023】又アミド結合により反応させる物として
は、2ケのアミノ基を有する化合物との反応で達成でき
る。
【0024】化合物A中でのリン原子の含有率は少なく
とも3重量%、好ましくは3.5重量%、さらに好まし
くは4〜10重量%になる様に組成を設定する。リン原
子の含有率が3重量%より少なくなれば、難燃性を発現
させる為にポリエステル繊維中に配合させる化合物Aの
量が多くなり、繊維の熱的劣化や力学物性の低下、着色
の増加につながる。
【0025】化合物Aの重合度は、余りに低いと耐熱性
が劣りポリエステルとの混合に於いて、劣化が著しく、
又余りにも重合度が高くなり過ぎると混合時に大きな動
力、装置が必要となったり、或いは混合が十分に達成で
きなかったり、繊維の均一性が低下すると言う欠点があ
る。好ましくは、重合度が5以上、更に好ましくは10
〜100である。重合度の大小は本化合物Aの配合の方
法により適宜選定する。例えばポリエステルの重合時、
それもエステル交換終了時等初期の段階で添加する際は
重合度は50以下が好ましく、ポリエステル重合の中期
以降に配合する際は重合度は20〜70位が好ましい。
【0026】本発明の繊維形成性ポリエステルとして
は、通常使用されるポリエステルが使用できる。つまり
以下に述べるジカルボン酸及びその誘導体とグリコール
との共重合により得られるポリエステルが使用できる。
例えばジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフ
タル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸、1.5−ナ
フタレンジカルボン酸、4.4−ジフェニルジカルボ
ン酸、ビス−(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビ
ス−(4−カルボキシフェニル)スルホン、1.2−ビ
ス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、5−スルホプロポキシイソフタ
ル酸、ジフェニルp.p’−ジカルボン酸、p−フェ
ニレンジ酢酸、ジフェニルオキシド−p.p’−ジカル
ボン酸、trans−ヘサヒドロテレフタル酸、及び
それらのアルキルエステル、アリールエステル、エチレ
ングリコールエステルなどのエステル形成性誘導体が挙
げられる。中でも特に有用なものとしては、テレフタル
酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とし、こ
れらの芳香族ジカルボン酸及びアジピン酸、セバシン
酸、アゼライン酸、デカメチレンジカルボン酸等の脂肪
族ジカルボン酸及びその他のエステル形成性誘導体の1
種以上を10モル%を限度として少量混合して使用する
ことができる。
【0027】一方グリコール成分として、エチレングリ
コール、1.2−プロピレングリコール、1.4−ブタ
ンジオール、トリメチレングリコール、1.6−ヘキサ
ンジオール、1.4−シクロヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1.4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールなどが挙げられる。中でも有用なエチレング
リコール、1.4−ブタンジオールを主成分とし、その
他のグリコール成分及びエステル形成性誘導体の1種以
上をジオール成分の10モル%を限度とする少量を混合
して使用することができる。
【0028】また1分子中にカルボン酸基とアルコール
基を有するオキシカルボン酸成分、例えば4−オキシ安
息香酸,4−ヒドロキシエトキシ安息香酸,オキシピバ
リン酸等も必要に応じ使用する事ができる。
【0029】必要に応じて少量の一官能性化合物、例え
ば安息香酸,ベンゾイル安息香酸,酢酸,メトキシポリ
エチレングリコールなど、或は三官能性以上の化合物、
例えばグリセリン,ペンタエリスリトール,リン酸化合
物及びこれらのエステル形成性誘導体を添加することも
できる。
【0030】ポリエステルの重合度としては、通常の繊
維に使用される程度の物であれば良いが、好ましくは極
限粘度〔η〕が0.5以上、更に好ましくは0.55以
上である。
【0031】化合物Aのポリエステルへの配合は繊維形
成性ポリエステルの重合開始時点に行う。好ましくは、
テレフタル酸等のジカルボン酸の末端がエチレングリコ
ールに置換されたエステル交換終了後に行う。更に好ま
しくは、ポリエステルの重合が完了しない時点、例えば
極限粘度〔η〕が0.4以前に添加する事が好ましい。
【0032】化合物Aの配合率としては、難燃繊維の力
学物性、熱的物性、難燃性等を低下させない範囲であれ
ば、特に限定しないが、好ましくはポリエステルに対し
て25重量%以下、更に好ましくは15重量%以下であ
る。
【0033】紡糸においては、通常の繊維の紡糸と同じ
く、顔料,艶消し剤,蛍光増白剤,熱安定剤,紫外線吸
収剤,酸化防止剤,制電剤及び有機アミン,有機カルボ
ン酸アミドなどのエーテル結合抑制剤等,必要に応じて
種々使用してもよい。
【0034】一般式(I)で表わされる含リンジカルボ
ン酸成分の量は、得られるポリエステル繊維中にリン原
子含有量として、少なくとも2,000ppm,好まし
くは3,000〜20,000ppm,更に好ましくは
5,000〜15,000ppmとなるように添加す
る。2,000ppm未満では難燃性に乏しく、20,
000ppmより多い場合は、難燃効果が飽和される上
にポリエステル本来の諸特性を著しく低下せしめるので
好ましくない。
【0035】紡糸は通常の紡糸方式により紡糸可能であ
るが、スピンドロー、高速紡糸、複合紡糸いずれも採用
可能である。繊維の太さは通常1デニール以上である
が、用途に応じて更に細い繊維も紡糸可能である。繊維
断面についても、丸断面だけでなく、三角断面、偏平断
面、四角断面、多角断面、中空断面、等の異形断面繊維
も可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明の難燃ポリエステル繊維は、ポリ
エステルの主鎖中に難燃性を付与するリン原子が導入し
た共重合物をポリエステルの重合中に添加したものであ
り、完全共重合と同等の混合状態となりリン原子が非常
に安定化されて繊維中に含まれる。又共重合物の添加率
の変化により、難燃性を簡単に調整でき生産ロットの大
小や品種の多様さにも容易に対応できる。
【0037】品質的には、繊維製造中や加工中、製品の
使用中や洗濯等の処理で溶出や脱落がなく難燃性能が低
下することのない恒久性を有した有用なものである。更
にポリエステル本来の機械的,熱的特性や繊維製品の風
合いを損なうことなく且つ耐光性,白度に優れ、良好な
染色性を有している。また難燃性を付与する原子がリン
原子のみで、成形物が炎と接しても人体に有害なガスの
発生がなく極めて安全性が高い有用なものである。
【0038】本発明で得られた難燃性ポリエステル繊維
は、通常の方法により繊維及び糸に紡糸、延伸し、そし
て後処理できる上、製織,製編も特別な配慮をすること
なく通常の織機,編機を使用することが出来る。また通
常のポリエステルやカチオン可染ポリエステルなどと混
合紡糸、或は複合紡糸をしたり、前記通常の繊維或は
綿,アクリル等の他の繊維と複合製織したり多層構造の
織物などの高級技術、高品質の難燃性ポリエステル製品
を得ることが出来る。かかる繊維製品としては、例えば
厚地織物,衣料,カーペット,カーテン,ズック等が挙
げられる。
【0039】以上述べたように、本発明方法により非常
に容易に多様な難燃繊維や高性能の難燃繊維を工業的容
易且つ安価に得る事が出来、非常に有用である。
【0040】
【実施例】以下実施例により本発明をより具体的に説明
する。実施例中「部」とあるのは全て「重量部」を意味
する。固有粘度「η」は、フェノール/テトラクロロエ
タン=6/4の混合溶剤中20℃で常法により求めた。
融点はDSCの吸熱ピークで求めた。また難燃性の評価
は、45°コイル法による接炎回数(JIS L−10
91 D)或は限界酸素指数(JIS K−7201)
法に準じて測定し示した。
【0041】実施例1
【0042】
【化10】 ビスヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)70部及び
上記一般式で示す含リン化合物30部、テトラブトキシ
チタネート0.03部を重合容器に投入し溶融後、徐々
に昇温しつつ内圧を減じ、最終的に255℃、0.3m
mHgで3時間重合した。次いでこのポリマーを索状に押
出し切断して2.5mmφX3mmの大きさのペレット
とした。得られたポリマーは、固有粘度「η」0.6
4、融点237℃であった。
【0043】次いで、通常のポリエステル系ポリマーの
重合をビスヒドロキシエチルテレフタレート(BHE
T)を出発原料とし、三酸化アンチモンを重合触媒と
し、170℃にて加熱溶融後、徐々に昇温しつつ内圧を
減じ、最終的に270℃、0.3mmHgで重合を進め
た。重合の進み具合は攪拌機の回転トルクにてモニター
した。途中極限粘度[η]が0.2に達した時点で、上
記化合物Aを最終ポリマー中に表1に示す量添加し重合
を継続した。内容物の極限粘度[η]が0.6に達した
時点で内容物を索状押出し切断して2.5mmφX3m
mの大きさのペレットとした。
【0044】このペレットを各々水分率0.005%ま
で乾燥し、エクストルーダにて、紡糸温度288℃巻取
り速度800m/分で溶融紡糸し、続いて倍率3.94
倍、延伸速度800m/分で75℃のローラヒータで延
伸し、140℃のプレートヒータでセットして、75d
/24fの延伸糸を得た。
【0045】この延伸糸を2本合糸し、筒編機で筒編み
し精した後、難燃性、耐光性の試験を行なった。即
ち、難燃性は、筒編物を重さ1g、長さ100mmにな
るように切り取り棒状に巻き、45°コイル法よる接
炎回数を求めた。
【0046】
【0047】実施例2 表2に示す各種の含リン化合物を実施例1の方法で4%
含有する共重合物を得て、実施例1の方法と同様にポリ
エステルの重合中に最終ポリマーでのP含有率が670
0ppmになる様配合し、重合を終了した。実施例1と
同様にポリマーを回収、紡糸を行い75d/24fの繊
維を得た。各種性能を表2に示す。
【0048】
【化11】
【化12】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 澤村 茂実 (56)参考文献 特開 昭51−54691(JP,A) 特開 昭59−45320(JP,A) 特開 昭51−26996(JP,A) 特公 昭36−30771(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/84 306 C08G 63/692 D01F 6/92 301 D01F 6/92 304 D01F 6/92 307

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、Rは炭素原子数1〜9のアルキル基、アリ
    基、アラルキル基、シクロアルキル基、R’は水素又は
    メチル基、Aは二価の芳香族有機残基、mは2以下の整
    数、nは1〜3の整数を示す。)で表わされるハロゲン
    原子を含まない、含リンジオキシ化合物又はその誘導体
    の少なくとも一種から誘導され、且つリン原子含有率が
    少なくとも3重量%である化合物Aを繊維形成性ポリエ
    ステルの重合時点に繊維中のリン原子含有率が少なくと
    も2000ppmになるよう配合せしめ重合し、次いで
    紡糸する事を特徴とする難燃ポリエステル繊維の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 化合物Aがエステル結合を有する共重合
    物である請求項第1項記載の難燃ポリエステル繊維の製
    造方法。
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