JP2003166121A - 高難燃性ポリエステル繊維 - Google Patents

高難燃性ポリエステル繊維

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JP2003166121A JP2001390874A JP2001390874A JP2003166121A JP 2003166121 A JP2003166121 A JP 2003166121A JP 2001390874 A JP2001390874 A JP 2001390874A JP 2001390874 A JP2001390874 A JP 2001390874A JP 2003166121 A JP2003166121 A JP 2003166121A
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polyester
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Michio Kubota
道雄 久保田
Shigeki Honda
繁喜 本田
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Kanebo Synthetic Fibers Ltd
Kanebo Ltd
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Kanebo Synthetic Fibers Ltd
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、少量で有効且つ無公害で、尚
且つ耐光性、耐熱性に優れた難燃性ポリエステル繊維を
提供することにある。 【解決手段】芳香族ジカルボン酸又はその低級アルキル
エステル、ジオール成分、及び下記一般式 【化1】 (Yは下記一般式 【化2】 或いは、下記一般式 【化3】 で表される1価の有機基)で表されるホスフィン酸誘導
体から誘導されてなる低分子量ポリエステルを、ポリマ
ー中のリンの含有量が少なくとも2000ppmとなる
ように共重合したポリエステルからなるポリエステル繊
維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン原子を含
有せず、燃焼時に有毒なガスを発生することのない高難
燃性ポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルを難燃化する試みは従来よ
り種々検討されている。例えば、繊維、フィルムなどの
成形物に難燃剤を後処理する方法、成形時に難燃剤を練
り込む方法が知られている。後加工法では、例えば特開
平10−46474号公報には、芳香族ジカルボン酸又
はその低級アルキルエステル、ジオール成分、及びホス
フィン酸誘導体から誘導されてなるポリエステルを含有
してなる繊維用処理剤に関する記載がある。これは、該
ポリエステルを水又は有機溶媒中に分散又は溶解させて
使用するものであり、後加工用繊維処理剤に関するもの
である。しかしながら、このような後加工は、使用又は
洗濯時に難燃剤の脱落があり、恒久的な難燃性を付与で
きない。しかも、水又は有機溶媒中に分散又は溶解させ
る必要があり、作業工程が煩雑となったり、コスト高に
なったりする。
【0003】又、練り込み方法では、成形時に難燃剤が
昇華したり、着色したり或いは成形物の機械的特性を著
しく低下させる。更には繊維製品等の成形物をドライク
リーニングした際に、難燃剤の脱落やブリードアウトが
起こり、その結果、性能低下や汚染による衛生上の問題
を生じる。
【0004】かかる欠点を改善する方法として、ポリエ
ステルの分子主鎖中に難燃性を付与する原子の一つであ
るリン原子を導入する共重合方法が有効であり、種々の
検討がなされている。
【0005】例えば、特公昭36−21050号公報及
び特公昭38−9447号公報には、ホスホン酸又はホ
スホン酸エステル類を添加する方法が開示されている。
しかし、このホスホン酸エステル類は、一般に沸点が低
いため重合時に系外に溜出される或いはポリエステル製
造時に三次元副反応を起こし、成形加工を困難又は不能
とする等の欠点を有する。
【0006】特公昭36−20771号公報には、比較
的沸点の高いホスホン酸ビスグリコールエステルを共重
合する方法が開示されている。しかしながら、沸点が高
いにもかかわらず、重合中に自己縮合による環状の低沸
点物が生じ、系外に揮発するものが少なくないという欠
点を有する。
【0007】特公昭53−13479号公報及び特開昭
50−53354号公報に、カルボキシホスフィン酸を
共重合する方法が開示されている。かかるホスフィン化
合物は揮発性がなく、優れた難燃性を有している。
【0008】しかしながら、エステル形成性官能基がカ
ルボキシル基とリン酸結合の水酸基であるため、わずか
に反応速度が異なり、やや均一性に欠ける。更に耐熱性
の点では、P−O−C結合はP−C結合に比べ劣るとい
う若干の欠点を有する。
【0009】特公昭55−41610号公報に、オキサ
ホスファンオキシドとイタコン酸から誘導した含リンジ
カルボン酸化合物を共重合する方法が開示されている。
この方法も優れた耐熱性を有している。しかし、複雑な
多環構造化合物であるため、立体障害による結晶性、融
点、物性等の低下、或いはわずかな光や熱で分子切断が
生じやすいという欠点を有する。
【0010】ドイツ特許公告第1232348号公報に
はビス−(p−カルボキシフェニル)−ホスフィン酸を
共重合したポリエステルが開示されている。しかしなが
らこれは、染色性改善等のポリエステル変性を目的とし
たもので、リン含有量も少なく難燃性がほとんど付与さ
れない。
【0011】一方、米国特許第4127566号明細書
に、ビス−(カルボキシエチル)メチルホスフィンオキ
シドを共重合したポリエステルが開示されている。この
ものは、良好な難燃性を示すが、充分な難燃性を付与す
るにはリン含有率を多くしなければならない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、上記のよ
うな問題点を解消するため、特開平10−46474号
公報記載の繊維処理剤を共重合により繊維骨格中に導入
することを試みた。共重合する場合、上記のような水又
は有機溶媒中に分散又は溶解させて使用する必要はな
く、このような工程を経るとかえって作業工程の煩雑さ
が生じたり、コスト高になる。そこで、本発明では、特
開平10−46474号公報のように繊維処理剤を水又
は有機溶媒中に分散又は溶解させることなく共重合し
た。
【0013】本発明の課題は、かかる従来技術の問題点
を解消するため、無公害で、且つ耐光性、耐熱性に優れ
た難燃性ポリエステル繊維を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下のよう
に達成できる。即ち、本発明の第一は、芳香族ジカルボ
ン酸又はその低級アルキルエステル、ジオール成分、及
び下記一般式
【化6】 (式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜22のアルキ
ル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数5又は6
のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭
素数1〜4のアルキレン基置換のアリールアルキル基で
あり、同一でもよいし、異なっていてもよく、更に
1、R2が互いに結合してリン原子と共に環を形成して
いてもよい。Yは下記一般式
【化7】 或いは、下記一般式
【化8】 で表される1価の有機基であり、R3、R4は水素原子又
は炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でもよいし、
異なっていてもよい。)で表されるホスフィン酸誘導体
から誘導されてなる低分子量ポリエステルを、ポリマー
中のリンの含有量が少なくとも2000ppmとなるよ
うに共重合したポリエステルからなるポリエステル繊維
である。
【0015】又、本発明の第二は、該ホスフィン酸誘導
体が下記一般式
【化9】 (式中、R3、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキ
ル基を表し、同一でもよいし、異なっていてもよい。R
5、R6は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表
し、同一でもよいし、異なっていてもよい。k、mはそ
れぞれ0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。)で表
される上記記載のポリエステル繊維である。
【0016】更に、本発明の第三は、該ホスフィン酸誘
導体が下記一般式
【化10】 (式中、R5、R6は水素原子又は炭素数1〜8のアルキ
ル基を表し、同一でもよいし、異なっていてもよい。
k、mはそれぞれ0〜4の整数、nは0〜2の整数を表
す。)で表される上記記載のポリエステル繊維である。
【0017】本発明において、芳香族ジカルボン酸又は
その低級アルキルエステルとしては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、
その低級アルキルエステルとしては、C1〜C4のアル
キルエステルが挙げられる。この中でも好ましいもの
は、テレフタル酸及びそのメチルエステルである。
【0018】本発明で用いられるジオール成分の具体例
としては、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレ
ングリコール、アルキレングリコールのアルキレンオキ
シド付加物、ビスフェノールAに代表される2価の芳香
族ヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物などが
挙げられる。
【0019】これらのうち好ましいのは、アルキレング
リコールで、より好ましくは炭素数が2〜10の直鎖又
は分岐のアルキレングリコールで、エチレングリコール
が特に好ましい。又、該ジオール成分は2種以上を併用
することも可能である。又、分子量は特に限定されない
が、1000以下が好ましく、1000を超えるとリン
含有量が低くなり、難燃性が低下する。
【0020】下記一般式
【化11】 で表されるホスフィン酸誘導体の置換基R1、R2のアル
キル基としては炭素数1〜22で直鎖又は分岐のアルキ
ル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n―ブチル基、イソブチル基、s
ec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、3−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−エチル
ブチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、2−エチ
ルヘキシル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシ
ル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オク
タデシル基、n−イコシル基、n−ドコシル基が挙げら
れ、リン含有量の観点からそれらのうち、炭素数1〜6
のアルキル基が好ましい。
【0021】置換基R1、R2のアルケニル基としては、
炭素数2〜22で直鎖又は分岐のアルケニル基であり、
例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル
基、イソプペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル
基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキ
サデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基、ドコ
セニル基が挙げられ、リン含有量の観点からそれらのう
ち炭素数2〜6のアルケニル基が好ましい。
【0022】置換基R1、R2のシクロアルキル基として
は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ
る。又、アリール基としては、炭素数6〜14のアリー
ル基であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、クメニル基、オクチルフェニル基、ビ
フェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナント
リル基が挙げられ、この中でもフェニル基、ビフェニリ
ル基が好ましい。
【0023】置換基R1、R2のアリールアルキル基とし
ては、炭素数1〜4のアルキレン基置換のアリールアル
キル基であり、ベンジル基、フェネチル基が好ましい。
【0024】一般式
【化12】 で表される化合物中のYは前記一般式
【化13】 或いは、一般式
【化14】 で表される1価の有機基である。R3、R4は水素原子又
は炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でもよいし、
異なっていてもよい。
【0025】本発明において、一般式
【化15】 で表されるホスフィン酸誘導体の具体例としては、以下
に示す化16〜化23が挙げられるが、これらのものに
限定されるものではない。
【0026】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【0027】本発明に用いるホスフィン酸誘導体として
は、式中の置換基R1、R2がビフェニル基で互いに環を
形成している化合物が好ましい。
【0028】該低分子量ポリエステルは、従来公知のポ
リエステルの製造方法、例えばエステル交換又はエステ
ル化後重縮合する方法により製造することができる。
【0029】本発明における低分子量ポリエステルは、
前記芳香族ジカルボン酸又はその低級アルキルエステ
ル、ジオール成分、及びホスフィン酸誘導体を公知の方
法により、脱水又は脱アルコール反応することによって
製造できる。該低分子量ポリエステルを製造する反応に
おいて、芳香族ジカルボン酸又はその低級アルキルエス
テル、ジオール成分、及びホスフィン酸誘導体の仕込み
時のモル比は特に限定されないが、通常1:(1〜
7):(0.2〜5)であり、好ましくは1:(1〜
5):(0.3〜3)である。
【0030】低分子量ポリエステルの重量平均分子量
は、通常20000以下、好ましくは15000以下で
ある。平均分子量が20000を超えると、融点が高く
なりすぎ、かつ粘性が高くなり、重合時の仕込みが困難
になる。
【0031】低分子量ポリエステルのリン含有量は、通
常1重量%以上、好ましくは2〜10重量%、更に好ま
しくは3〜8重量%である。1重量%未満では難燃性が
不充分であり、尚且つ繊維中のリンの含有量を適正値に
するためには、難燃剤の量を多く添加せねばならずコス
ト高になる。
【0032】本発明では、上記のように製造した低分子
量ポリエステルをポリマー中に共重合する。このように
共重合することによって、後加工による欠点、即ち、難
燃剤の脱落が生ぜず恒久的に難燃性を付与できる。
【0033】本発明に用いられるポリエステルとして
は、通常使用されるポリエステルが使用できる。つまり
以下に述べるジカルボン酸及びその誘導体と、グリコー
ルとの共重合により得られるポリエステルが使用でき
る。
【0034】例えばジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェ
ニルジカルボン酸、ビス−(4−カルボキシフェニル)
エーテル、ビス−(4−カルボキシフェニル)スルホ
ン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタ
ン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−スルホプ
ロポキシイソフタル酸、ジフェニル−p,p’−ジカル
ボン酸、p−フェニレンジ酢酸、ジフェニルオキシド−
p,p’−ジカルボン酸、trans−ヘキサヒドロテ
レフタル酸、及びそれらのアルキルエステル、アリール
エステル、エチレングリコールエステル等のエステル形
成性誘導体が挙げられる。
【0035】中でも特に有用なものとしては、テレフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とする
ものが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸を使用
する場合には、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、デカメチレンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン
酸、及び上記その他のエステル形成性誘導体の1種以上
を、ジカルボン酸成分の10モル%を限度として、少量
混合することができる。
【0036】一方、グリコール成分としては、エチレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、トリメチレングリコール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール等が挙げられる。
【0037】中でも特に有用なものとしては、エチレン
グリコール、1,4−ブタンジオールを主成分とするも
のが挙げられる。これらのグリコール成分を使用する場
合には、上記その他のグリコール成分の1種以上をジオ
ール成分の10モル%を限度とし、少量混合して使用す
ることができる。
【0038】又、1分子中にカルボン酸基と水酸基を有
するオキシカルボン酸成分、例えば4−オキシ安息香
酸、4−ヒドロキシエトキシ安息香酸、オキシピバリン
酸等も必要に応じて使用することができる。
【0039】必要に応じて少量の一官能性化合物、例え
ば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、酢酸、メトキシポリ
エチレングリコール等、或いは三官能性以上の化合物、
例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、リン酸化合
物及びこれらのエステル形成性誘導体を添加することが
できる。
【0040】ポリエステルの重合度としては、通常の繊
維に使用される程度の物であればよいが、好ましくは固
有粘度[η]が0.5以上、更に好ましくは0.6〜
1.0である。
【0041】低分子量ポリエステルのポリエステルへの
配合は、ポリエステルの重合開始時点で行う。好ましく
は、テレフタル酸等のジカルボン酸の末端がエチレング
リコールで置換されたエステル交換終了後に行う。
【0042】低分子量ポリエステルのポリエステルへの
配合は、ポリマー中のリン含有量が少なくとも2000
ppm、好ましくは3000〜20000ppm、更に
好ましくは5000〜15000ppmとなるように行
う。リン含有量が2000ppm未満では、良好な難燃
性が得られない。
【0043】紡糸は通常の紡糸方法により紡糸可能であ
る。例えば、スピンドロー、高速紡糸いずれも採用可能
である。繊維断面についても、丸断面だけでなく、三角
断面、偏平断面、四角断面、多角断面、中空断面等の異
形断面繊維も可能である。
【0044】又、紡糸においては、通常の繊維の紡糸と
同じく、顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、熱安定剤、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、制電剤及び有機アミン、有機カ
ルボン酸アミドなどのエーテル結合抑制剤等、必要に応
じて種々使用してもよい。
【0045】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリエステル繊維は、リ
ン原子を有する低分子量ポリエステルをポリエステルの
主鎖中に共重合することにより、後加工により難燃剤を
処理する方法のように、使用や洗濯による難燃剤の脱落
が生ぜず、又、練込み方式のように難燃剤がブリードア
ウトせず、リン原子が非常に安定化される。
【0046】更にポリエステル本来の機械的、熱的特性
や繊維製品の風合いを損なうことなく、且つ耐光性に優
れ、良好な染色性を有している。又、難燃性を付与する
原子がリン原子のみで、成形物が炎と接しても、人体に
有害なガスの発生がなく、極めて安全性が高いものであ
る。
【0047】本発明で得られた難燃性ポリエステル繊維
は、通常の方法により紡糸、延伸し、後加工できる上、
製織、製編も特別な配慮をすることなく通常の織機や編
機を使用することができる。
【0048】又、通常のポリエステルやカチオン可染ポ
リエステル等と複合紡糸をしたり、前記通常のポリエス
テル或いはアクリル等の他の繊維と複合製織したりし
て、高品質の難燃性ポリエステル製品を得ることができ
る。かかる繊維製品としては、例えばカーテン、車両用
シート、厚地織物、衣料、カーペット等が挙げられる。
【0049】以上述べたように、本発明方法により多様
且つ高性能の難燃性ポリエステル繊維を工業的に容易且
つ安価に製造することができ、非常に有用である。
【0050】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明の実施例は以下に述べる方法に限定さ
れるものではない。実施例中「部」とあるのは全て「重
量部」を意味する。固有粘度「η」は、フェノール/テ
トラクロロエタン=6/4の混合溶剤中20℃で常法に
より求めた。融点は理学電機社製 差動走査熱量計(D
SC)の吸熱ピークにより求めた。分解温度はセイコー
インスツルメント社製 熱重量分析(Tg−DTA)
装置により、5%の重量減が生じた温度を示した。リン
分析は、試料0.5gを湿式調整行い、セイコー イン
スツルメント社製SPS1500VR型ICP発光分析
装置を用いて測定した。
【0051】重量平均分子量は、以下のように測定し
た。先ず、サンプルをクロロホルムとヘキサフルオロイ
ソプロパノールの1:1混合溶媒に溶解させ、クロロホ
ルムで希釈し、約50mg/lとなるように調製した。
この試料をWaters社製のLC Module 1
plusを用いて、カラム温度35℃、溶離液クロロホ
ルムにて測定した。
【0052】難燃性の評価は、限界酸素指数(JIS
K−7201)法に準じて行った。
【0053】染色は得られた延伸糸を筒編布にして、そ
の筒編布を10gに切り取り、カヤロン ポリエステル
Navy TKSF 4%owf、分散剤としてニッ
カサンソルトRM340を1ml/l、pH調整剤とし
て酢酸0.2ml/lの混合溶媒中、筒編布とその混合
溶媒の浴比が1:40になるような条件で、130℃で
60分染色をした。その後、苛性ソーダ(48ボーメ)
2ml/l、ハイドロサルファイト2g/l、サンモー
ルRC700 1ml/lの混合溶媒により還元洗浄し
た。
【0054】耐光堅牢度はJIS L−0842に準じ
て測定した。但し、耐光試験は照射時間20、40、8
0時間の数値を表す。又、洗濯試験はJIS L−02
17103法に準じて実施した。
【0055】反応例1 ジメチルテレブタレート135部、エチレングリコール
434部及び下記一般式
【化24】 で表されるホスフィン酸誘導体125部、触媒としてジ
メチルテレフタレート及びホスフィン酸誘導体に対し
0.1モル%の酢酸マンガン、0.5モル%の酢酸リチ
ウム及び0.03モル%の三酸化アンチモンを混合し、
常圧で160℃〜220℃の温度で3時間加熱してエス
テル交換反応を行い、ほぼ理論量のメタノールを留去し
た。次いで、系内の温度を250℃とし、圧力を徐々に
減じて133Pa以下にし、6時間反応させて重量平均
分子量14500、リン含有量60000ppmの低分
子量ポリエステルを得た。
【0056】実施例1 ビスヒドロキシエチルテレフタレート23.5部、反応
例1により得られた低分子量ポリエステル2.4部及び
三酸化アンチモンの2%エチレングリコール溶液0.3
6部を重合容器に投入し、溶解後、220℃で1時間攪
拌反応した。その後、徐々に昇温しつつ内圧を減じて、
最終的に内温を275℃、圧力を133Pa以下にし3
時間重縮合を行った。次いで、このポリマーを索状に押
出し切断して2.5mmφ×3mmの大きさのペレット
とし、リン含有量5000ppmのポリマーを得た。融
点は245.5℃、分解点は398.2℃であった。
【0057】続いて、得られたポリマーを60℃で予備
乾燥し、その後、120℃で水分率が100ppm以下
になるまで乾燥した。
【0058】その後、エクストルーダーにて、紡糸温度
270℃、巻取速度1000m/分で溶融紡糸し、続い
て延伸倍率3.5倍、延伸速度800m/分で80℃の
ローラーヒーターで延伸し、150℃のプレートヒータ
ーでセットして84dtex/36fの延伸糸を得た。
糸質は、強度3.4〜3.7cN/dtex、伸度2
8.0〜31.3%と良好であった。
【0059】得られた延伸糸を2本合糸し、度目をきつ
めにしながら筒編布を作製した。その後、精練し、燃焼
試験用筒編布を得た。
【0060】実施例2 反応例1により得られた低分子量ポリエステルを重縮合
する際、リン含有量が8000ppmとなるように低分
子量ポリエステルの投入量を変更する以外、実施例1記
載の工程で実施した。このポリマーの融点は236.6
℃、分解点は397.4℃であった。
【0061】実施例3 反応例1により得られた低分子量ポリエステルを重縮合
する際、リン含有量が2000ppmとなるように低分
子量ポリエステルの投入量を変更する以外、実施例1記
載の工程で実施した。このポリマーの融点は251.8
℃、分解点は398.1℃であった。
【0062】比較例1 低分子量ポリエステルを添加することなく、実施例1記
載の工程で実施した。
【0063】比較例2 反応例1により得られた低分子量ポリエステルを重縮合
する際、リン含有量が1500ppmとなるように低分
子量ポリエステルの投入量を変更する以外、実施例1記
載の工程で実施した。このポリマーの融点は254.6
℃、分解点は397.3℃であった。
【0064】実施例4 実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1、比較例2
で得られた燃焼試験用筒編布を12cm×6cmの大き
さに切断し、ホルダーに固定して、中央部に着火し、燃
焼試験を実施した。その結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1に示すように、リンの含有量が500
0ppmと少ない場合においても、LOI値が32と非
常に高い値を示した。又、通常の難燃性ポリエステル繊
維で普通に用いられているリンの含有量8000ppm
の場合、通常LOI値が30〜31程度であるが、本願
発明ではLOI値が35と非常に高い値を示した。これ
は格段の効果であり、他の難燃性ポリエステル繊維では
見られない効果である。又、リンの含有量が2000p
pm未満では、LOI値は通常のポリエステルと同等で
あり、難燃性は好ましくない。
【0067】実施例5 実施例1及び実施例2で得られた延伸糸を筒編し、精練
した後、高圧染色した。その後、還元洗浄し、耐光堅牢
度を測定した。結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】表2に示すように耐光堅牢度はいずれも良
好であった。
【0070】実施例6 実施例1及び実施例2により得られた糸を筒編して、精
練し、その後、洗濯を10回繰り返した。次いで精練後
の筒編布と、精練、洗濯後の筒編布のリン分析を行っ
た。結果を表3に記す。
【0071】
【表3】
【0072】表3に示すように、洗濯試験の前後でリン
の含有量は変化せず、共重合により低分子量ポリエステ
ルをポリマー主鎖中に導入した場合、洗濯による剤の脱
落がないことを意味している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB01 AB07 AC02 AD01 AD10 AE02 BA02 BA03 BA04 BA05 BA10 BB03A BF09 BF25 BF28 CB05A CB05B CB06A CB10A CC05A CC06A CF15 CH02 CH03 DB13 DC05 HA01 HB01 HB03A HB03C HB06 JC562 JF452 KB01 KB02 KB16 KC01 4L035 BB31 BB76 BB91 EE08 EE14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸又はその低級アルキ
    ルエステル、ジオール成分、及び下記一般式 【化1】 (式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜22のアルキ
    ル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数5又は6
    のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭
    素数1〜4のアルキレン基置換のアリールアルキル基で
    あり、同一でもよいし、異なっていてもよく、更に
    1、R2が互いに結合してリン原子と共に環を形成して
    いてもよい。Yは下記一般式 【化2】 或いは、下記一般式 【化3】 で表される1価の有機基であり、R3、R4は水素原子又
    は炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でもよいし、
    異なっていてもよい。)で表されるホスフィン酸誘導体
    から誘導されてなる低分子量ポリエステルを、ポリマー
    中のリンの含有量が少なくとも2000ppmとなるよ
    うに共重合したポリエステルからなるポリエステル繊
    維。
  2. 【請求項2】 該ホスフィン酸誘導体が下記一般式 【化4】 (式中、R3、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキ
    ル基を表し、同一でもよいし、異なっていてもよい。R
    5、R6は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表
    し、同一でもよいし、異なっていてもよい。k、mはそ
    れぞれ0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。)で表
    される請求項1記載のポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】 該ホスフィン酸誘導体が下記一般式 【化5】 (式中、R5、R6は水素原子又は炭素数1〜8のアルキ
    ル基を表し、同一でもよいし、異なっていてもよい。
    k、mはそれぞれ0〜4の整数、nは0〜2の整数を表
    す。)で表される請求項1記載のポリエステル繊維。
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