JPH08109518A - 耐光性に優れた高難燃性ポリエステル複合繊維 - Google Patents

耐光性に優れた高難燃性ポリエステル複合繊維

Info

Publication number
JPH08109518A
JPH08109518A JP26155594A JP26155594A JPH08109518A JP H08109518 A JPH08109518 A JP H08109518A JP 26155594 A JP26155594 A JP 26155594A JP 26155594 A JP26155594 A JP 26155594A JP H08109518 A JPH08109518 A JP H08109518A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
oxide
acid
carbon atoms
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26155594A
Other languages
English (en)
Inventor
Michio Kubota
道雄 久保田
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
Hajime Saito
一 斉藤
Kimihiro Makino
公博 牧野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIKKA CHEM CO Ltd
Nikka Chemical Industry Co Ltd
Kanebo Ltd
Original Assignee
NIKKA CHEM CO Ltd
Nikka Chemical Industry Co Ltd
Kanebo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIKKA CHEM CO Ltd, Nikka Chemical Industry Co Ltd, Kanebo Ltd filed Critical NIKKA CHEM CO Ltd
Priority to JP26155594A priority Critical patent/JPH08109518A/ja
Publication of JPH08109518A publication Critical patent/JPH08109518A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】従来技術の諸欠点を改善し、少量で有効かつ無
害で非常に優れた難燃性を有する難燃剤を工業的に簡便
に、かつ低コストで製造する方法を提供するにある。 【構成】鞘成分として有機リン化合物をポリマー中のリ
ン原子含有量が高々1.0%になるように共重合せしめ
たポリエステルを、芯成分として、有機リン化合物をポ
リマー中のリン原子含有量が高々1.0%になるように
共重合せしめたポリエステル中に、重合度(n)が1〜
50の有機含リンオリゴマーを繊維全体のリン原子含有
量が0.4〜2.0%になるように添加配合せしめた、
LOI値が28.0以上であり、染色物の耐光変色性が
4級以上であることを特徴とする高難燃性ポリエステル
複合繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な耐光性に優れた
高難燃性ポリエステル複合繊維に関するものである。
【0002】ポリエチレンテレフタレートに代表される
芳香族ポリエステルは、優れた力学的性質を有している
ため、繊維、フィルム、その他のプラスチック成形物と
して広範囲に利用され極めて有用な素材である。しかし
ながら、燃焼しやすいと言う欠点を有しており、近年火
災に対する認識の高まりに伴い、難燃化が強く要望され
ている現状にある。特に燃焼時に有毒ガス(シアン、ハ
ロゲン)の発生が問題視されており、有毒ガスの発生し
ない難燃化製品の開発が待望されている状況下にある。
【0003】
【従来の技術】ポリエステルを難燃化する試みは従来よ
り種々検討されている。例えば、繊維、フィルムなどの
成形物に難燃化剤を後処理する方法、成形時に難燃化剤
を練り込む方法、難燃化剤を共重合法により添加配合せ
しめる方法などが知られている。
【0004】後処理法では処理が煩雑であったり、不均
一であったり、又繊維の風合いを粗硬にしたり、洗濯な
どで難燃性が低下したりする等の種々の欠点を有する。
又、練り込み方法では、難燃効果を向上させるため難燃
化剤を多く入れすぎると、紡糸時に難燃化剤が昇華した
り、着色したり或いは繊維の機械的特性を著しく低下さ
せる。更には繊維製品等をドライクリーニングした際に
難燃化剤の脱落やブリードアウトが起こり、その結果性
能低下や汚染による衛生上の問題が生じる等、多くの欠
点を生じるようになる。
【0005】又、共重合方法も数多く提案されている。
例えば特公昭36−21050号公報、特公昭38−9
447号公報にホスホン酸又はホスホン酸エステル類を
添加する方法が開示されている。しかし、このホスホン
酸又はホスホン酸エステル類は一般に沸点が低いため重
合時に系外に留出される或いはポリエステル製造時に三
次元的副反応を起こし成形加工を困難或いは不能とする
等の欠点を有する。特公昭36−20771号公報に
は、比較的沸点の高いホスホン酸ビスグリコールエステ
ルを添加共重合する方法が開示されている。しかしなが
ら、沸点が高いにもかかわらず、重合中に自己縮合によ
る環状の低沸点成分が生起し系外へ揮発するものが少な
くないと言う欠点を有する。
【0006】特公昭53−13479号公報及び特公昭
50−53354号公報に、カルボキシホスフィン酸を
共重合することが開示されている。かかるホスフィン化
合物は揮発性がなく優れた難燃性を有している。しかし
ながら、エステル形成性官能基がカルボキシル基とリン
酸結合のP−OH基のため反応速度が異なりやや均一性
に欠ける。更に、耐熱性の点ではP−O−C結合はP−
C結合に比べ劣る。又、特公昭55−41610号公報
に、オキサホスファンオキシドとイタコン酸から誘導し
た含リンジカルボン酸化合物を共重合する方法が開示さ
れている。この化合物も優れた耐熱性を有しているが、
複雑な多環構造化合物であるため立体障害による結晶
性、融点、物性等の低下或いは僅かな光や熱で分子切断
が生じやすいという欠点を有する。
【0007】ドイツ特許出願公告公報第1232348
号に、ビス(p−カルボキシフェニル)−ホスフィン酸
を共重合したポリエステルが開示されているが、染色性
改善等のポリエステル変性を目的としたもので、リン含
有率も少なく難燃性は殆ど付与されない。一方、米国特
許出願公告公報第4127566号に、ビス(カルボキ
シエチル)−メチルホスフィンオキシドを共重合したポ
リエステルが開示されている。このものは良好な難燃性
を有しているが、共重合ポリマーの融点低下が大きく、
且つ、耐熱性がやや低いという欠点を有している。
【0008】上述のようにポリエステルを難燃化する試
みは種々検討されているが、優れた難燃性を付与させる
ため、リン化合物をより多く添加しすぎると、繊維の力
学的物性或いは耐光性が非常に低下する。しかも、共重
合による方法では共重合ポリマーの融点低下が非常に大
きくなり、又、練り込みによる方法では、難燃化剤の昇
華や脱落、ブリードアウト等が生じるばかりか、繊維の
着色が著しくなる。即ち、共重合による含リン化合物の
添加配合方法、或いは練り込みによる含リン化合物の添
加配合方法いずれの方法においても、含リン化合物の添
加量には限度がありそれぞれ単独の方法による含リン化
合物の添加配合方法では、繊維の力学的物性或いは耐光
性等を満足せしめて、我々が要求する高難燃性を発現す
ることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、かか
る従来技術の諸欠点を改善し、少量で有効且つ無公害で
尚且つポリエステル本来の力学的物性或いは熱的物性を
低下させず、耐光性に非常に優れた高難燃性ポリエステ
ル繊維を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々鋭意
検討した結果、共重合により有機リン化合物をポリマー
中に所定量添加配合させた後、更に練り込みにより有機
含リンオリゴマーを添加配合させることにより、高難燃
性が得られることが判明した。しかも、この方法では繊
維中のリン原子含有量が高いにもかかわらず、それぞれ
単独の方法で添加配合したものよりも、ポリエステル本
来の力学的物性或いは熱的物性等の低下もほとんどない
ことが判明した。
【0011】又、本発明方法では、耐光性の優れた難燃
性ポリエステルを鞘成分とし、複合紡糸を行うと、耐光
性の非常に優れたポリエステルが製造できることも同時
に見いだした。
【0012】即ち本発明は、鞘成分として有機リン化合
物をポリマー中のリン原子含有量が高々1.0重量%に
なるように共重合せしめたポリエステルを、芯成分とし
て有機リン化合物をポリマー中のリン原子含有量が高々
1.0重量%になるように共重合せしめたポリエステル
中に、重合度(n)が1〜50の有機含リンオリゴマー
を繊維全体のリン原子含有量が0.4〜2.0重量%に
なるように添加配合せしめたLOI値が28.0以上で
あり、染色物の耐光変色性が4級以上であることを特徴
とする難燃性ポリエステル複合繊維である。
【0013】本発明でいう芯鞘型複合繊維とは、中心部
分が円形、楕円形或いは不定型のポリマー(以下芯成分
と記す)であって、その周りに中心部分と異種或いは同
種のポリマー(以下鞘成分と記す)が存在し、芯成分が
表面に存在せず鞘成分のみが表面に存在している複合繊
維を言う。しかし、本発明の目的、効果を損なわない限
り芯成分が表面に存在していてもかまわない。又、繊維
の断面形状は、丸断面、三角断面、U断面、偏平断面等
公知の形状が利用できるし、芯成分と鞘成分の形状が同
一であっても異なっていてもよい。
【0014】本発明で芯成分或いは鞘成分として使用す
るポリエステル共重合体に使用するジカルボン酸成分と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、
4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ビス−(4−カル
ボキシフェニル)スルフォン、1,2−ビス(4−カル
ボキシフェニル)エーテル、1,2−ビス(4−カルボ
キシフェニル)スルホン、1,2−ビス(4−カルボキ
シフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、p−フェニ
レンジ酢酸、ジフェニルオキシド−p,p′−ジカルボ
ン酸、trans−ヘキサヒドロテレフタル酸及びそれ
らの炭素数1〜4のアルキルエステル、炭素数6〜18
のアリールエステル、エチレングリコールエステルなど
のエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0015】中でも有用なテレフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を主成分とし、これらの芳香族ジカ
ルボン酸に共重合し得る他のモノマーとしてアジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカメチレンジカルボ
ン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘
導体の1種以上を10モル%を限度として使用すること
ができる。
【0016】一方、グリコール成分としては、エチレン
グリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネ
オペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールや、ビスフェノールA、ビスフェノールS及びそ
のエチレングリコール、ポリエチレングリコール付加
体、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0017】中でも有用なエチレングリコール、1,4
−ブタンジオールを主成分とし、その他の共重合し得る
エステル形成性誘導体の1種以上をジオール成分の10
モル%を限度として使用することができる。
【0018】本発明で芯成分或いは鞘成分として使用す
るポリエステルに共重合せしめる有機リン化合物として
は、一般式
【化1】 (式中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素
数6〜14の飽和脂環式基、Yは水素原子又はメチル
基、Zは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を記
す。)で表される化合物、或いは一般式
【化2】 (式中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素
数6〜14の飽和脂環式基、Yは水素原子又はメチル
基、Zは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を記
す。)で表される化合物、或いは一般式
【化3】 (式中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素
数6〜14の飽和脂環式基、Yは水素原子又はメチル
基、Zは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を記
す。)で表される化合物、或いは一般式
【化4】 (式中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素
数6〜14の飽和脂環式基、Yは水素原子又はメチル
基、Zは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を記
す。)で表される化合物、或いは一般式
【化5】 (式中、R′は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
基、R″は水素原子又はメチル基を記し、二個のR′は
互いに同一であっても、異なっていてもよい。)で表さ
れる化合物が挙げられる。
【0019】一般式
【化6】 で表される化合物としては、例えばビス−(2−カルボ
キシエチル)フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2
−カルボキシエチル)m−トルイルホスフィンオキシ
ド、ビス−(2−カルボキシエチル)p−トルイルホス
フィンオキシド、ビス−(2−カルボキシエチル)キシ
リルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシエチ
ル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボ
キシエチル)m−エチルベンジルホスフィンオキシド及
びこれらの環状酸無水物、或いはこれらのメチルエステ
ル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステ
ル、エチレングリコールエステル、プロピレングリコー
ルエステル、ブタンジオールとのエステルなどが挙げら
れる。
【0020】一般式
【化7】 で表される化合物としては、例えばビス−(2−カルボ
キシメチル)フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2
−カルボキシメチル)m−トルイルホスフィンオキシ
ド、ビス−(2−カルボキシメチル)p−トルイルホス
フィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)キシ
リルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチ
ル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボ
キシメチル)m−エチルベンジルホスフィンオキシド及
びこれらの環状酸無水物、或いはこれらのメチルエステ
ル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステ
ル、エチレングリコールエステル、プロピレングリコー
ルエステル、ブタンジオールとのエステルなどが挙げら
れる。
【0021】一般式
【化8】 で表される化合物としては、例えば2−カルボキシエチ
ル−メチルホスフォン酸、2−カルボキシエチル−エチ
ルホスフォン酸、2−カルボキシエチル−フェニルホス
フォン酸、2−カルボキシエチル−m−トルイルホスフ
ォン酸、2−カルボキシエチル−p−トルイルホスフォ
ン酸、2−カルボキシエチル−キシリルホスフォン酸、
2−カルボキシエチル−ベンジルホスフォン酸、2−カ
ルボキシエチルm−エチルベンジルホスフォン酸などが
挙げられる。
【0022】一般式
【化9】 で表される化合物としては、例えば2−カルボキシメチ
ル−メチルホスフォン酸、2−カルボキシメチル−エチ
ルホスフォン酸、2−カルボキシメチル−フェニルホス
フォン酸、2−カルボキシメチル−m−トルイルホスフ
ォン酸、2−カルボキシメチル−p−トルイルホスフォ
ン酸、2−カルボキシメチル−キシリルホスフォン酸、
2−カルボキシメチル−ベンジルホスフォン酸、2−カ
ルボキシメチルm−エチルベンジルホスフォン酸などが
挙げられる。
【0023】これらの有機リン化合物は、一般式
【化10】 (式中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素
数6〜14の飽和脂環式基、Lはハロゲン原子を記
す。)で表されるようなリン原子の原子価が3価であ
る、例えばジクロロフェニルホスフィン、ジブロモフェ
ニルホスフィン、ジクロロメチルホスフィン、ジブロモ
メチルホスフィン、ジクロロエチルホスフィン、ジブロ
モエチルホスフィン、ジクロロ−m−トルイルホスフィ
ン、ジブロモ−m−トルイルホスフィン、ジクロロ−p
−トルイルホスフィン、ジブロモ−p−トルイルホスフ
ィン、ジクロロキシリルホスフィン、ジブロモキシリル
ホスフィン、ジクロロベンジルホスフィン、ジブロモベ
ンジルホスフィン、ジクロロ−m−エチルベンジルホス
フィン、ジブロモ−m−エチルベンジルホスフィン、ジ
クロロジメチルフェニルホスフィン、ジブロモジメチル
フェニルホスフィン等の化合物、或いは、一般式
【化11】 (式中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素
数6〜14の飽和脂環式基、Lはハロゲン原子を記
す。)で表されるようなリン原子の原子価が5価であ
る、例えばジクロロフェニルホスフィンオキシド、ジブ
ロモフェニルホスフィンオキシド、ジクロロメチルホス
フィンオキシド、ジブロモメチルホスフィンオキシド、
ジクロロエチルホスフィンオキシド、ジブロモエチルホ
スフィンオキシド、ジクロロ−m−トルイルホスフィン
オキシド、ジブロモ−m−トルイルホスフィンオキシ
ド、ジクロロ−p−トルイルホスフィンオキシド、ジブ
ロモ−p−トルイルホスフィンオキシド、ジクロロキシ
リルホスフィンオキシド、ジブロモキシリルホスフィン
オキシド、ジクロロベンジルホスフィンオキシド、ジブ
ロモベンジルホスフィンオキシド、ジクロロ−m−エチ
ルベンジルホスフィンオキシド、ジブロモ−m−エチル
ベンジルホスフィンオキシド、ジクロロジメチルフェニ
ルホスフィンオキシド、ジブロモジメチルフェニルホス
フィンオキシド等の化合物1モルとアクリロニトリル1
モル或いは2モルと反応させたり、或いは上記有機リン
ハロゲン化物1モルとマロン酸エステルの2モルを反応
させ、加水分解次いで脱炭酸反応を施したり、或いは上
記有機リンハロゲン化物1モルと有機金属化合物或いは
グリニヤール試薬の1モル或いは2モルと反応させた
り、或いは一般式
【化12】 で表される化合物については、オキサホスファンオキシ
ドとイタコン酸誘導体との反応により得られる。
【0024】上述のポリエステル共重合体、例えばテレ
フタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分
とするジカルボン酸成分とエチレングリコール又は1、
4−ブタンジオールを主成分とするグリコール成分から
なる芳香族ポリエステルを公知の方法で製造するに際
し、上記有機リン化合物を添加共重合せしめる。その
際、添加時期はエステル交換反応工程、重縮合前、重縮
合半ば又は重縮合完了僅か前に、必要に応じて選び添加
する。かかる添加時期によって本発明の物が制約を受け
るものではないが、均質な共重合体を得るためには重縮
合半ばまでに添加することが好ましい。エステル交換反
応及び重縮合反応は公知の触媒の使用下で行うことがで
きる。又、必要に応じて後述する有機含リンオリゴマー
を添加配合せしめてもよい。
【0025】かかるポリエステル共重合体の製造時或い
は成型加工時に、顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、制電剤及び有機アミン、有機カル
ボン酸アミドなどのエーテル結合抑制剤等を必要に応じ
種々使用してもよい。
【0026】ポリエステル共重合体中への有機リン化合
物の添加配合量は、ポリエステル共重合体中のリン原子
含有量が、高々1.0重量%、好ましくは高々0.9重
量%更に好ましくは0.4〜0.8重量%とする。有機
リン化合物の添加配合量が1.0重量%を越えると、ポ
リエステル本来の力学的物性或いは熱的物性等の著しい
低下が見られる。
【0027】本発明で芯成分に上述の方法で製造せしめ
た難燃性ポリエステルに添加配合せしめる有機含リンオ
リゴマーとしては、一般式
【化13】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基又
はフェニル基又は炭素数1〜6のアルコキシメチル基又
は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいア
リロキシメチル基、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭
素数6〜18のアリール基、炭素数7〜20のアラルキ
ル基、炭素数6〜14の飽和脂環式基、A′は二価の芳
香族有機残基(但し、ハロゲンは含まない)、Bは水素
原子又は炭素数1〜4までのアルキル基、l,mは1〜
2の整数を記し、l=mであっても、l≠mであっても
よい)で表される化合物が挙げられる。この化合物は、
一般式
【化14】 (式中、Xは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素
数6〜14の飽和脂環式基、Lはハロゲン原子を記
す。)で表されるようなリン原子の原子価が5価であ
る、例えばジクロロフェニルホスフィンオキシド、ジブ
ロモフェニルホスフィンオキシド、ジクロロメチルホス
フィンオキシド、ジブロモメチルホスフィンオキシド、
ジクロロエチルホスフィンオキシド、ジブロモエチルホ
スフィンオキシド、ジクロロ−m−トルイルホスフィン
オキシド、ジブロモ−m−トルイルホスフィンオキシ
ド、ジクロロ−p−トルイルホスフィンオキシド、ジブ
ロモ−p−トルイルホスフィンオキシド、ジクロロキシ
リルホスフィンオキシド、ジブロモキシリルホスフィン
オキシド、ジクロロベンジルホスフィンオキシド、ジブ
ロモベンジルホスフィンオキシド、ジクロロ−m−エチ
ルベンジルホスフィンオキシド、ジブロモ−m−エチル
ベンジルホスフィンオキシド、ジクロロジメチルフェニ
ルホスフィンオキシド、ジブロモジメチルフェニルホス
フィンオキシド等の有機リンハロゲン化物と、一般式
【化15】 (式中、A′は二価の芳香族有機残基(但し,ハロゲン
は含まない)、Bは水素原子又は炭素数1〜4のアルキ
ル基、l,mは1〜2の整数を記し、l=mであって
も、l≠mであってもよい)で表されるビスヒドロキシ
化合物との反応により得られる。
【0028】これらビスヒドロキシ化合物は二価の芳香
族有機残基を骨格とするジオール成分に、(イ)グリコ
ールを反応させるか、(ロ)エポキシ化合物を反応させ
るか、(ハ)アルカリ土類金属の存在下ハロゲン化アル
コールを反応せしめることによって得られる。勿論、こ
れらの骨格に炭素数1〜4程度のアルキル基が結合され
ていても差し支えないが、ハロゲン原子は結合されてい
ない。(イ)の場合のグリコール成分としては例えばエ
チレングリコール、n−プロピレングリコール、i−プ
ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチ
レングリコール等が挙げられる。又、(ロ)の場合のエ
ポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイド等が挙げられ、(ハ)の場合のハロゲン化
アルコールとしては、エチレンクロルヒドリン、エチレ
ンブロモヒドリン、3−ブロモプロパノール−1等が挙
げられる。
【0029】これらいずれの方法でもよいが、(イ)の
場合は通常のポリエステル製造工程の一つであるエステ
ル交換反応のため、その工程より容易に抜き出すことが
できる。更にポリエステルを解重合することによって得
ることができる。かかるグリコール或いはエポキシ化合
物は目的、用途によって選べるが、生成する有機含リン
オリゴマーのリン含有率を高める必要がある場合は炭素
数の少ないエチレングリコール或いはエチレンオキシド
が好ましい。かかる反応は一般式
【化16】 で表される化合物のl,mが1〜2、好ましくはl+m
が2以上になるように調整するのが好ましい。
【0030】一般式
【化17】 の骨格をなすA′は、ハロゲン原子などを含有しない二
価の芳香族有機残基であり、例えば
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】(但し、Dは炭素数2〜4のアルキレン基、
アルキリデン基、O、S、SO2 、COを記す。)勿
論、これらの骨格に炭素数1〜3程度のアルキル基、ス
ルフォン酸基、リン酸基及びその金属塩等が結合されて
いてもよい。かかる骨格を有するジオール化合物として
は、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2−メチルレ
ゾルシン、1,5−ジヒドロキシベンゼン−3−スルフ
ォン酸ソーダ、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、
2,2′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−イソプ
ロピリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデ
ンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4′−メ
チレンビスフェノール、4,4′−メチレンビス(2,
6−ジメチルフェノール)、4,4′−スルフォンビス
フェノール、4,4′−スルフォンビス(2,6−ジメ
チルフェノール)、1,4−ジヒドロキシナフタレン、
1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキ
シナフタレン、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,
7−ジスルフォン酸ソ−ダ、ヒドロキシベンゾフェノ
ン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、1,8−ジ
ヒドロキシアントラキノン等が挙げられ、これらを1種
以上混合して使用することもできる。
【0031】一般式
【化23】 で表される有機含リンオリゴマーは、一般式
【化24】 で表される有機リンハロゲン化物と、一般式
【化25】 で表されるビスヒドロキシ化合物との反応を行い、加水
分解することにより得られる。反応は従来公知の溶液
法、溶融法或いは界面反応法等の技術が適用できる。中
でもスケールアップが容易で反応効率が高く、しかも副
生成物が少ない点で溶液法が好適である。溶液法の溶剤
としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、
テトラヒドロフラン、トリクレン、ジクロロエタン、ト
リクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジ
クロロベンゼン等が挙げられるが、中でもトルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素系の溶剤が好適である。
【0032】通常、高温下の反応では副反応が進行しや
すいことはよく知られているが、前述の一般式
【化26】 で表される有機リンハロゲン化物は極めて反応性に富
み、又、一般式
【化27】 で表されるビスヒドロキシ化合物も反応性に富んでいる
ので、比較的低温で容易に反応が進行し、高重合度の反
応物が得られる。従って、仕込み比率によって任意に一
般式
【化28】 の(n)を調整できる。ポリエステルの主鎖中に均一に
導入するためには、nの平均値が1〜50、好ましくは
2〜20に調整するのが好ましい。
【0033】従って、反応時の仕込み量は一般式
【化29】 の有機リンハロゲン化物1モル当たり、一般式
【化30】 で表されるビスヒドロキシ化合物のモル数は0.9〜
2.0、好ましくは0.95〜1.5の範囲とする。モ
ル数が等モル比に近づくに従い、重合度(n)は大きく
なる。又、一般式
【化31】 で表されるビスヒドロキシ化合物のモル数が2モルを越
えると、未反応のビスヒドロキシ化合物が混入され、ポ
リエステルの物性を低下させたりする原因となるので好
ましくない。
【0034】又、本発明によれば、一般式
【化32】 で表される有機リンハロゲン化物と、一般式
【化33】 で表されるビスヒドロキシ化合物を反応温度100℃以
上、好ましくは120〜150℃で1時間以上反応させ
る。又、必要に応じて塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ムなどを添加させると反応が促進される。
【0035】本発明によれば、反応終了後P−L結合
(Lはハロゲン原子)を加水分解して得られる生成物を
エポキシ化合物と反応させる。これらのエポキシ化合物
は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、
1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、
1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、
1,2−エポキシエチルベンゼン、フェニルグリシジル
エーテル、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジ
ルエーテル、n−プロピルグリシジルエーテル、イソプ
ロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル
が挙げられる。
【0036】即ち、反応終了後の反応生成物は、一般式
【化34】 で表される有機リンハロゲン化物に対する、一般式
【化35】 で表されるビスヒドロキシ化合物のモル比が1.0に近
づき、更にそれ以上になると、一般式
【化36】 で表されるような末端にP−OH結合を有するオリゴマ
ーが多く生成する。これらのオリゴマーが多い程、末端
酸価が高くなり、又、これらを添加配合した繊維の力学
的物性或いは熱的物性は著しく低下し、且つ、着色が著
しいものとなる。
【0037】しかるにエポキシ化合物を付加反応させる
ことにより、一般式
【化37】 で表されるように末端のP−OH結合はエステル結合に
変換され酸価は低下する。又、エポキシの付加量は一般
【化38】 で表される有機含リンオリゴマー1当量当たり1.0〜
4.0当量、好ましくは1.0〜2.0当量の範囲とす
る。1.0当量未満の場合、酸価が充分に下がらず、
4.0当量より多くてもその効果が飽和されてしまう。
【0038】又、末端酸価は10未満がよく、好ましく
は5未満、更に好ましくは1未満がよい。末端酸価が1
0以上となると、繊維本来の力学的物性或いは熱的物性
等の著しい低下が生じるばかりか、着色が生じるように
なる。
【0039】本発明では、反応生成物をエポキシ化合物
と反応させることにより、末端酸価を低下させ、これを
ポリエステルに添加せしめた場合、着色防止が出来、且
つポリエステル本来の力学的物性或いは熱的物性等を低
下せしめることのない難燃性ポリエステル繊維を製造す
ることができる。
【0040】本発明で芯成分の難燃性ポリエステルに更
に添加配合せしめる有機含リンオリゴマーの量は、繊維
全体のリン原子含有量が0.4〜2.0重量%、好まし
くは0.5〜1.0重量%、更に好ましくは0.6〜
0.9重量%となるようにする。2.0重量%を越える
と、ポリエステル本来の力学的物性或いは熱的物性等が
低下する。又、0.4重量%より少ないと難燃効果が充
分でない。
【0041】本発明では、芯成分と鞘成分の比率は、芯
成分/鞘成分が5/1〜1/5、好ましくは3/1〜1
/3、更に好ましくは2/1〜1/2とする。芯成分/
鞘成分が5/1より大きいと、鞘成分が薄すぎ目的とす
る高耐光性が得られない。又、1/5より小さいと、ポ
リエステル本来の力学的物性或いは熱的物性等が低下す
る。
【0042】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の高難燃性ポリ
エステル繊維は、2種の難燃化剤を共重合と練り込みに
よりそれぞれ最適量添加配合せしめているので、ポリエ
ステル本来の力学的物性或いは熱的物性等をさほど低下
せしめることなく、優れた高難燃性を発現させることが
できる。
【0043】即ち、難燃化剤の添加配合量を次第に増加
していくと、難燃性は向上するが、それに伴いポリエス
テル本来の力学的物性或いは熱的物性等は低下してい
く。ある程度難燃化剤の添加配合量が多くなると、難燃
性は飽和するばかりか、ポリエステル本来の力学的物性
或いは熱的物性等は著しく低下するようになる。本発明
者らは、ポリエステルに添加配合する2種の難燃化剤の
添加配合量を、難燃性が飽和する直前のポリエステル本
来の力学的物性或いは熱的物性等の低下しない量とし、
従来技術の問題を解決するに至ったのである。
【0044】又、そうすることにより、練り込みの方法
で見られる難燃化剤の脱落、ブリードアウト或いは昇華
や共重合の方法で見られる大幅な融点低下も起こさず、
良好な難燃性を発現できる。
【0045】又、本発明によれば、鞘成分として、耐光
性に非常に優れたポリエステルを使用しているので、耐
光性が非常に優れたポリエステルの製造が可能となった
のである。
【0046】本発明方法では、少量で有効かつ無公害で
尚且つポリエステル本来の力学的物性或いは熱的物性等
を低下せしめることのない難燃性ポリエステルが得ら
れ、又、成形物に加工する過程或は成形物の使用中や洗
濯等の処理で難燃剤の溶出や脱落がなく難燃性能が低下
することのない恒久性を有した有用なものである。更に
耐光性,白度に優れ,良好な染色性を有している。更に
難燃性を付与する原子がリン原子のみで、成形物が炎と
接しても人体に有害なガスの発生がなく、極めて安全性
が高い有用なものである。
【0047】本発明で得られた難燃性ポリエステル繊維
は、通常の方法で紡糸、延伸或いは仮撚でき、そして通
常の方法で後処理できる上、製織、製編も特別な配慮を
することなく通常の織機,編機を使用することが出来
る。また通常の非難燃性繊維、例えばポリエステルやカ
チオン可染ポリエステル、アクリル等との混合紡糸、交
織、交編を行っても使用するに足る難燃性を発現し得
る。或は複合紡糸をしたり、前記ポリエステル綿、アク
リル等の他の繊維と混合した糸を、他の繊維糸を用いて
多層構造の織編物とするなど、公知の技術により各種の
難燃性繊維製品を得ることが出来る。更にフィルムや
箔、或はボトルなどの成形加工品も通常の方法で押出、
圧縮或は射出成形により容易に難燃性製品を得ることが
できる。かかる繊維製品及び成形体を例示すれば、例え
ば厚地織物、衣料、カーペット、カーテン、不織布、ズ
ック、ボトル、フィルム、構造部品、機械的伝導部品等
が挙げられる。
【0048】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中「部」とあるのはことわりのない限り「重
量部」を意味し、「%」とあるのはことわりのない限り
「重量%」を意味する。固有粘度「η」は、フェノール
/テトラクロロエタン=6/4の混合溶剤中20℃で常
法により求めた。融点は理学電気社製 示差走査熱量計
の吸熱ピークより求めた。又、リン分析は、日立製作所
社製 P−5200型ディアルモノクロ誘導結合プラズ
マ発光分光分析装置(以下ICPと記す)を用いて、
又、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(以下G
PCと記す)は、TOSOH HCL−8020を用い
て、又、赤外吸収スペクトル(以下IRと記す)は、パ
ーキンエルマー社製 パーキンエルマー1650を用い
て、又、核磁気共鳴スペクトル(以下NMRと記す)
は、日立製作所社製 FT−NMRR−1900を用い
て測定した。又、難燃性の評価は、限界酸素指数法(J
ISK−7201)に準じて測定し求めた。又、染色堅
牢度の評価は、terasil pink 3GN 1
%owf、イオネットRAP 310 2cc/l,酢
酸(1:30)で60分の条件で筒編布を染色した後、
耐光試験を、JISL0842法に準じてバックパネル
温度63℃、紫外線照射時間19時間、76時間の条件
で行った。又、摩耗試験は、JIS L0849法に準
じ、洗濯試験はJIS L0844法に準じ、ドライク
リーニング試験はJIS L0860法に準じ、乾熱試
験はJIS L0879法に準じて行った。
【0049】反応例1 4,4′−イソプロピリデンビスフェノール1モルに対
してエチレンオキシド2モルを付加反応させて下記ジオ
ール化合物を得た。
【化39】 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管、蒸留管
口を取り付けた反応容器に上記
【化40】 (分析結果より、エチレングリコール付加モル数l+m
=2.02)を31.6部とキシレン100部及び塩化
カルシウム0.1部を入れ、N2 ガスをフローしながら
120℃に加熱して溶解した。次にフェニルホスホン酸
ジクロリド19.5部を滴下ロートより攪拌下120〜
130℃を保ちながら徐々に約30分要して滴下した。
フェニルホスホン酸ジクロリド1モルに対してジオール
成分は等モルである。140℃まで昇温し1時間反応し
た。この時得られた反応生成物の酸価は12.4であっ
た。その後、100℃まで冷却し、水を0.2部添加
し、1時間反応した。再度加熱し未反応の水をキシレン
との共沸により留去後、80℃まで冷却し、1,2−エ
ポキシブタン1.5部を加え1時間反応した。その後、
再度140℃まで昇温し系内を徐々に減圧にしてキシレ
ンを除去し、30分要して系内の圧を5mmHgとし更
に30分間加熱した。得られた生成物は無色透明な樹脂
状のものであった。GPC測定により分子量は6000
であった。又、酸価は0.1であった。更にNMR、I
R分析の結果は下記の構造を示唆するものであった。
【化41】
【0050】実施例1 ジメチルテレフタレート388部、エチレングリコール
248部、及び14.8部の一般式
【化42】 で表される有機リン化合物とジメチルテレフタレートに
対して0.07%の酢酸亜鉛、0.02%のシュウ酸チ
タニル及び0.01%の三酸化アンチモンからなる混合
物を150〜230℃で120分間加熱しエステル交換
反応を行った。その後、系内の温度を30分間要して2
75℃に、系内の圧力を0.2mmHgとして、このま
ま60分間反応を続けた。次いでこのポリマーを索状に
押出し切断して2.5mmφ×3mmの大きさのペレッ
トとした。得られたポリマーは固有粘度〔η〕=0.5
7、融点245℃であった。又、ICP分析の結果、P
含有率は0.65%でありほぼ理論量のPが含有されて
いることが判明した。
【0051】次いでこのペレットを水分量0.005%
まで乾燥した後、エクストルーダーにて溶融紡糸する
際、鞘成分として上記ポリマーを、芯成分として上記ポ
リマーがポリマー管に至る直前において反応例1で得ら
れた重合度(n)が1〜50で、融点46〜54℃の有
機含リンオリゴマーを圧入装置を使用し、配合率が5
%、10%となるように圧入し、更にケニックス社のス
タティックミキサーで均一に練込みを行い、芯成分と鞘
成分の比率が1/1になるように紡糸温度285℃、巻
取り速度1000m/分で溶融紡糸を行った。
【0052】続いて倍率3.5、延伸速度730m/
分、85℃のローラーヒーターで延伸し、150℃のプ
レートヒーターでセットして、75d/24fの延伸糸
を得た。糸質は5%添加配合したもので強度が4.49
g/d、伸度が30.2%、10%添加配合したもので
強度が4.19g/d、伸度が32.7%と良好であっ
た。
【0053】次にこの繊維を3本合糸筒編したもの、
又、この繊維を通常のポリエステル(75d/24f、
セミダルチップを通常の方法で紡糸、延伸したもの)と
合糸の本数割合が2本/1本となるように合糸筒編した
ものを、各々精練、乾燥後難燃性試験を行った。
【0054】反応例2 4,4′−イソプロピリデンビスフェノールを4,4′
−イソピロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノー
ル)に変更する以外、実施例1と同様に行った。この方
法により得られた生成物も無色透明な樹脂状のものであ
った。GPC測定により分子量は7000であった。
又、酸価は0.1であった。更にNMR、IR分析の結
果は下記の構造を示唆するものであった。
【化43】
【0055】実施例2 圧入する有機含リンオリゴマーを、反応例2で得られた
ものに変更する以外、実施例1と同様に難燃性の評価を
行った。糸質は、5%添加配合したもので強度が4.5
8g/d、伸度が30.4%,10%添加配合したもの
で強度が4.37g/d、伸度が32.9%と良好であ
った。
【0056】反応例3 4,4′−スルフォンビス(2,6−ジメチルフェノー
ル)1モルに対してエチレンオキシド2モルを付加反応
させて下記ジオール化合物を得た。
【化44】 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管、蒸留管
口を取り付けた反応容器に上記
【化45】 (分析結果より、エチレングリコール付加モル数l+m
=2.02)を39.4部とキシレン100部及び塩化
カルシウム0.1部を入れ、N2 ガスをフローしながら
90℃に加熱して溶解した。次にフェニルホスホン酸ジ
クロリド19.5部を滴下ロートより攪拌下90〜10
0℃を保ちながら徐々に約30分要して滴下した。フェ
ニルホスホン酸ジクロリド1モルに対してジオール成分
は等モルである。その後、実施例1と同様に行い、無色
透明な樹脂状のものが得られた。GPC測定により分子
量は8000であった。又、酸価は0.1であった。更
にNMR、IR分析の結果は下記の構造を示唆するもの
であった。
【化46】
【0057】実施例3 圧入する有機含リンオリゴマーを反応例3で得られたも
のに変更する以外、実施例1と同様に難燃性の評価を行
った。糸質は、5%添加配合したもので強度が4.48
g/d、伸度が30.9%,10%添加配合したもので
強度が4.33g/d、伸度が31.9%と良好であっ
た。
【0058】比較例1 実施例1記載の方法と比べ、圧入装置を使って有機含リ
ンオリゴマーを圧入することを省略する以外、すべて実
施例1と同様の方法で各工程を進め、得られた試料の難
燃性の評価を行った。
【0059】比較例2 実施例1記載の方法と比べ、一般式
【化47】 で表される有機リン化合物を共重合せしめる際、その添
加配合量を増やし得られたポリマー中のP含有量を1.
30%としたこと、及び溶融紡糸をする際、圧入装置を
使用して有機含リンオリゴマーを圧入することを省略し
たこと以外、すべて実施例1と同様の方法で各工程を進
め延伸糸を得た。次にこの繊維を3本合糸筒編し難燃性
の評価を行った。以上の結果を表1に記す。以後の表
で、配合率とは、有機含リンオリゴマーの配合率を記
し、P含有率とは、繊維全体のP含有率を記し、WSD
は、セミダルのポリエステル繊維(75d/24f)を
記す。
【0060】
【表1】
【0061】比較例2により得られた難燃性ポリエステ
ル繊維と実施例1で得られた難燃性ポリエステル繊維
(有機含リンオリゴマーの配合率10%でP含有率が
1.28%であり3本合糸筒編を施したもの)を比べる
と、前者のように、重合によってのみ繊維中に有機リン
化合物を高含量添加配合しても、融点低下が25〜30
℃近くあり、又、糸質も、強度が3.23g/d、伸度
が23.0%とポリエステル本来の力学的物性が保てな
い。又、合糸筒編による難燃性の評価は著しく不良であ
った。一方、実施例1により得られた難燃性ポリエステ
ル繊維(有機含リンオリゴマーの配合率10%でP含有
率が1.28%であり3本合糸筒編を施したもの)の糸
質は、強度が4.19g/d、伸度が32.7%と良好
であった。又、融点低下も殆どないことも判明した(融
点低下は2〜4℃程度である)。
【0062】実施例4 ジメチルテレフタレート1000部とエチレングリコー
ル800部と、ジメチルテレフタレートに対し0.02
%の酢酸マンガン4H2 Oと0.04%の三酸化アンチ
モンからなる混合物を170〜220℃でエステル交換
反応を行った。その後、220℃で一般式
【化48】 を20.0部添加しエステル化した後、系内の圧力を減
じると共に、温度を更に上げ最終的に内部温度275
℃、内圧0.2mmHgで重縮合を行い、融点244〜
248℃のポリマーが得られた。ICP分析の結果、P
が1.0%とほぼ理論量のPが含有されていることが判
明した。以後、すべて実施例1と同様な方法で各工程を
進め難燃性の評価を行った。
【0063】比較例3 実施例4記載の方法と比べ、圧入装置を使って有機含リ
ンオリゴマーを圧入することを省略する以外、すべて実
施例4と同様の方法で各工程を進め、得られた筒編布の
難燃性の評価を行った。
【0064】比較例4 実施例4記載の方法と比べ、一般式
【化49】 で表される有機リン化合物を共重合せしめる際、その添
加配合量を増やし得られたポリマー中のP含有量を1.
65%としたこと、及び溶融紡糸をする際、圧入装置を
使用して有機含リンオリゴマーを圧入することを省略し
たこと以外、すべて実施例4と同様な方法で各工程を進
め延伸糸を得た。次いでこの繊維を3本合糸筒編し難燃
性の評価を行った。以上の結果を表2に記す。
【0065】
【表2】
【0066】比較例4により得られた難燃性ポリエステ
ル繊維と実施例4で得られた難燃性ポリエステル繊維
(有機含リンオリゴマーの配合率10%でP含有率が
1.62%であり3本合糸を施したもの)を比べると、
前者のように、重合によってのみ繊維中に有機リン化合
物を高含量添加配合しても、融点低下が35〜40℃近
くあり、又、糸質も、強度が3.23g/d、伸度が2
3.0%とポリエステル本来の力学的物性が保てない。
一方、実施例4により得られた難燃性ポリエステル繊維
(有機含リンオリゴマーの配合率10%でP含有率が
1.62%であり3本合糸を施したもの)の糸質は、強
度が4.19g/d、伸度が32.7%と良好であり、
又、融点低下も殆どないことも判明した(融点低下は2
〜4℃程度である)。
【0067】比較例5 通常のポリエステル繊維(セミダルで75d/24f)
を溶融紡糸する際、上記ポリマーがポリマー管に至る直
前において反応例1で得られた有機含リンオリゴマーを
圧入装置を使用し、P含有率が1.38%となるように
圧入し、更にケニックス社のスタティックミキサーで均
一に練込みを行い、紡糸温度285℃、巻取り速度10
00m/分で溶融紡糸を行った。
【0068】続いて倍率3.5、延伸速度730m/
分、85℃のローラーヒーターで延伸し、150℃のプ
レートヒーターでセットして、75d/24fの延伸糸
を得た。その後、この糸を筒編(1本)し、精練、乾燥
の後染色堅牢度の試験を行った。
【0069】実施例1、実施例2、実施例3、実施例4
中における有機含リンオリゴマーの配合率10%で採取
した延伸糸についても、各々筒編(1本)し、染色堅牢
度の試験を行った。以上の結果を表3に記す。
【0070】
【表3】
【0071】比較例5のごとく練込みのみでPを高含量
添加配合しても、生成した繊維の染色堅牢度、特に耐光
性、磨耗、昇華の諸堅牢度が著しく悪くなる。又実施例
4では、比較例5と比べてPが高含量添加配合されてい
るにもかかわらず、染色堅牢度の結果が非常に良好であ
った。又、比較例5記載の方法で得られた糸の糸質も強
度が3.11g/d、伸度が23.4%とポリエステル
本来の力学的物性が保てない。
【図22】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鞘成分として有機リン化合物をポリマー
    中のリン原子含有量が高々1.0重量%になるように共
    重合せしめたポリエステルを、芯成分として有機リン化
    合物をポリマー中のリン原子含有量が高々1.0重量%
    になるように共重合せしめたポリエステル中に、重合度
    (n)が1〜50の有機含リンオリゴマーを繊維全体の
    リン原子含有量が0.4〜2.0重量%になるように添
    加配合せしめたLOI値が28.0以上であり、染色物
    の耐光変色性が4級以上であることを特徴とする高難燃
    性ポリエステル複合繊維。
JP26155594A 1994-09-30 1994-09-30 耐光性に優れた高難燃性ポリエステル複合繊維 Pending JPH08109518A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26155594A JPH08109518A (ja) 1994-09-30 1994-09-30 耐光性に優れた高難燃性ポリエステル複合繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26155594A JPH08109518A (ja) 1994-09-30 1994-09-30 耐光性に優れた高難燃性ポリエステル複合繊維

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08109518A true JPH08109518A (ja) 1996-04-30

Family

ID=17363530

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26155594A Pending JPH08109518A (ja) 1994-09-30 1994-09-30 耐光性に優れた高難燃性ポリエステル複合繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08109518A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000020667A (ko) * 1998-09-23 2000-04-15 한형수 고 난연성 폴리에스테르 복합섬유의 제조방법
EP1101785A1 (de) * 1999-11-15 2001-05-23 Alcatel Hohl- oder Bündelader
JP2007151486A (ja) * 2005-12-07 2007-06-21 Toyobo Co Ltd 難燃防草シート
JP2013181259A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Mitsubishi Rayon Textile Co Ltd カチオン染料可染性難燃ポリエステル繊維及びその繊維製品
CN114574995A (zh) * 2022-03-11 2022-06-03 宁波华星科技有限公司 阻燃低熔点聚酯纤维及其制备方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000020667A (ko) * 1998-09-23 2000-04-15 한형수 고 난연성 폴리에스테르 복합섬유의 제조방법
EP1101785A1 (de) * 1999-11-15 2001-05-23 Alcatel Hohl- oder Bündelader
JP2007151486A (ja) * 2005-12-07 2007-06-21 Toyobo Co Ltd 難燃防草シート
JP2013181259A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Mitsubishi Rayon Textile Co Ltd カチオン染料可染性難燃ポリエステル繊維及びその繊維製品
CN114574995A (zh) * 2022-03-11 2022-06-03 宁波华星科技有限公司 阻燃低熔点聚酯纤维及其制备方法
CN114574995B (zh) * 2022-03-11 2024-03-22 宁波华星科技有限公司 阻燃低熔点聚酯纤维及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05230345A (ja) 耐炎性ポリエステル
JPH08109518A (ja) 耐光性に優れた高難燃性ポリエステル複合繊維
JP2001172823A (ja) 難燃性ポリエステル繊維及びその製造方法
JP3316333B2 (ja) 高難燃性ポリエステル繊維
US4045513A (en) Ethylene 2,6-naphthalene dicarboxylated-alkylene-2,5 dibromoterephthalate flame-retardant copolyesters
JP3168107B2 (ja) カチオン可染性難燃ポリエステル繊維
JP2573979B2 (ja) 改質ポリエステル成形物の製造法
JP2883778B2 (ja) 難燃ポリエステル繊維の製造方法
JP3051586B2 (ja) 難燃性ポリエステル共重合体
JP2927630B2 (ja) 難燃ポリエステル繊維の製造方法
JP2865910B2 (ja) 難燃性ポリエステル共重合体
JP2003166121A (ja) 高難燃性ポリエステル繊維
JPH01103650A (ja) 改質ポリエステル組成物
JP3003209B2 (ja) 改質ポリエステル繊維
EP0731124A1 (en) Flame retardant polyester
JPH0551440A (ja) 難燃性ポリエステル共重合体
JP2007084648A (ja) 安定化されたポリエーテルエステルエラストマー及び弾性繊維
JPH06228814A (ja) 難燃性ポリエステル繊維の製造方法
JPH05140283A (ja) 難燃化ポリエステル共重合体
JP2007119571A (ja) ポリエーテルエステルエラストマー及び弾性繊維
JPH01103623A (ja) 改質ポリエステルの製造法
KR20000020667A (ko) 고 난연성 폴리에스테르 복합섬유의 제조방법
JPH0551441A (ja) 難燃性ポリエステル共重合体
KR930007824B1 (ko) 염색성이 개선된 폴리에스테르 섬유
JPH01192887A (ja) 改質ポリエステル繊維の染色法