JPH08218226A - 耐炎性に優れたポリエステル繊維 - Google Patents

耐炎性に優れたポリエステル繊維

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JPH08218226A
JPH08218226A JP2636495A JP2636495A JPH08218226A JP H08218226 A JPH08218226 A JP H08218226A JP 2636495 A JP2636495 A JP 2636495A JP 2636495 A JP2636495 A JP 2636495A JP H08218226 A JPH08218226 A JP H08218226A
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JP
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polyester
ptfe
fiber
flame resistance
flame retardant
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JP2636495A
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Hisaaki Kobayashi
久晃 小林
Minoru Tagaya
実 多賀谷
Yuhei Maeda
裕平 前田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 数平均分子量が100万以上のポリテトラフ
ルオロエチレンと難燃剤を含有したポリエステルからな
る耐炎性に優れたポリエステル繊維。 【効果】 本発明のポリエステル繊維は、燃焼時に溶融
滴下することなく自己消火する優れた耐炎性を有してい
る。このため衣服類など繊維製品の燃焼および溶融によ
る身体の火傷のみならず、滴下した溶融物による火傷や
周辺への延焼が未然に防止できる。また繊維製品の燃焼
時に有毒ガスの発生がなく、繊維の製糸性や力学的特性
も良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐炎性に優れたポリエス
テル繊維、さらに詳しくは燃焼時に溶融滴下しない耐炎
性に優れ、しかも製糸性や力学的特性の優れたポリエス
テル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、衣料やカーペッ
ト、カーテン、車両用座席シートなどに広くに使用され
ている。ところで、近年ポリエステル繊維製品は火災予
防の観点から耐炎化への要望は強まっている。その耐炎
化についてはこれまで種々提案されているが、それらの
提案は概ね下記〜に大別できる。 無機系の難燃剤を添加したもの。 ハロゲン系の難燃剤を添加するかあるいは紡糸後の
後加工により付与したもの。 リン系の難燃剤を添加またはポリエステルに共重合
したもの(例えば特開昭50−56488号公報)。
【0003】しかし、これらの耐炎化手段は、製糸性の
低下、力学的特性の低下、燃焼時の有毒ガス発生、繊維
製品の風合硬化および耐炎効果の洗濯耐久性の不良等の
欠点があったり、消火機構が燃焼時の溶融滴下によるも
のであるために繊維の溶融によって身体の火傷や、着火
部の火は消えても滴下した溶融物で火傷をしたり、周辺
に延焼したりする等、未だに未解決の問題があった。
【0004】一方、燃焼時の溶融滴下抑制剤(ノンドリ
ップ剤)としては、一般成型樹脂用途にポリテトラフル
オロエチレンが一般的に知らされている(例えば特開昭
50−44241号公報)。ところが、一般成型樹脂用
途に用いるポリテトラフルオロエチレンをそのまま繊維
に使用すると、製糸性や力学的特性の低下等の問題があ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の諸問題を解消し、ポリエステルの製糸性や
力学特性を低下させず、かつ燃焼時に溶融滴下しない優
れた耐炎性を有するポリエステル繊維を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、数
平均分子量が100万以上のポリテトラフルオロエチレ
ンと難燃剤を含有したポリエステルからなることを特徴
とする耐炎性に優れたポリエステル繊維によって達成で
きる。
【0007】すなわち、本発明のポリエステル繊維はあ
る特定分子量のポリテトラフルオロエチレン(以下、P
TFEと略称)と難燃剤の共存により、繊維の耐炎性が
著しく向上するというものである。
【0008】まず、本発明におけるポリエステルは、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、1,4−シクロヘキシレンテレフタレート、ポリエ
チレン2,6ナフタレートあるいはそれを主成分とする
線状のポリマである。
【0009】このポリエステルには、共重合成分とし
て、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバ
シン酸、テトラデカン二酸、エイコサン二酸、ダイマー
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカル
ボン酸成分、エチレングリコールまたは1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノール
Aまたはそのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノー
ルSまたはそのエチレンオキサイド付加物、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リブチレングリコールなどのジオール成分、パラオキシ
安息香酸、ε−カプロラクトンなどのオキシカルボン酸
成分などの2官能性成分が例示できる。これらの共重合
成分は15モル%以下が好ましい。またトリメリット
酸、ペンタエリスリトールなどの多官能性成分を、得ら
れるポリエステルが実質的に線状を保つ範囲量で用いる
こともできる。
【0010】次に、本発明におけるPTFEは、テトラ
フルオロエチレン単位を繰り返しとする実質的にPTF
Eホモポリマである。一般にPTFEの共重合成分に
は、弗化ビニル、弗化ビニリデン、ヘキサフルオロプロ
ピレン、パーフルオロビニルエーテルなどの弗素含有エ
チレン性不飽和モノマーの他、エチレンなど弗素を含有
しないエチレン性不飽和モノマーが用いられるが、これ
らの共重合によって本来PTFEホモポリマがもつ高結
晶性が低下したり、繊維の燃焼時の溶融滴下防止効果が
低下するようになる。これらの点を考慮すると共重合成
分を実質的に含有しないPTFEホモポリマが最も好ま
しい。
【0011】また、このPTFEは、燃焼時の溶融滴下
を防止するため、数平均分子量が100万以上とする必
要があり、好ましくは150万以上である。この数平均
分子量が100万未満では本発明の目的とするポリエス
テル繊維の燃焼時の溶融滴下が防止できず、したがっ
て、衣服類など繊維製品の燃焼および溶融による身体の
火傷のみならず、滴下した溶融物による火傷や周辺への
延焼等が防止できなくなる。一方、繊維の耐炎性と共に
ポリエステルへの分散性を考慮すると数平均分子量の上
限は1000万以下が好ましい。
【0012】また、このPTFEはポリエステル中に好
ましくは0.02〜2.0重量%、より好ましくは0.
05〜1.0重量%含有させることにより優れた耐炎性
を有し、なおかつ製糸性、力学的特性が良好である。こ
の含有量が2.0重量%を越えるとポリエステル繊維の
製糸性が低下したり、繊維の力学的特性が低下する傾向
があり、一方0.02重量%未満ではポリエステル繊維
の燃焼時の溶融滴下防止効果が十分得られない場合があ
る。
【0013】また、このPTFEは1次粒径が0.1〜
0.5μmであることがポリエステルの分散性の点で好
ましい。1次粒径が0.1μm未満ではポリエステル繊
維の燃焼時の溶融滴下防止効果が必ずしも十分でなかっ
たり、一方、0.5μmを越えると製糸性の低下および
力学的特性の低下等の傾向があり好ましくない。
【0014】なお、PTFEの1次粒径を上記好ましい
範囲とするためには、乳化重合で製造することが好まし
い。他の重合方法、例えば、懸濁重合(特開平2−26
9150号公報)、分散重合、ミクロゲル法などのラジ
カル重合方法ではPTFEの1次粒径が上記好適範囲か
ら逸脱して、上記に示す性能の低下傾向があり、好まし
くない。
【0015】また、このPTFEは平均粒径(2次粒
径)が30μm以下とすることが好ましく、製糸性およ
び力学特性の点でより分散性を高めることができる。一
般成型樹脂用途では取扱いをよくするため凝集させて平
均粒径が100μm以上の大粒径化したものが一般的で
ある(例えば特開昭47−42942号公報)が、平均
粒径が30μmを越えると混練性が不十分となってポリ
エステル中での分散性が低下したり、製糸性の低下や力
学的特性の低下等の傾向がある。
【0016】なお、このPTFEはポリエステル繊維中
では、繊維状にフィブリル化して存在する。前述したよ
うに本発明の範囲外である共重合したPTFEや数平均
分子量が100万未満のものはフィブル化しなかった
り、あるいはフィブリル化しても極めて短いものであ
り、これが燃焼時の溶融滴下防止効果が低下する要因と
なりうる。
【0017】次に、本発明における難燃剤は一般に使用
されるハロゲン系、無機系、リン系などの難燃剤をポリ
エステル中に前記PTFEと共存させる。このような難
燃剤は燃焼時の有毒ガス発生、製糸性等の観点から有機
リン化合物系難燃剤が好ましく、しかも糸の風合、耐炎
効果の洗濯耐久性等の観点からポリエステルに共重合で
きるものが好ましい。その中でも高分子量化が可能な二
官能性の有機リン化合物がより好ましく使用でき、PT
FEを添加しても製糸性や力学的特性の優れたポリエス
テル繊維とすることができる。
【0018】また、この有機リン化合物のポエステル中
の含有量は十分な耐炎性を得るためにリン原子量として
好ましくは3000ppm 以上、より好ましくは5000
〜30000ppm である。
【0019】上記二官能性の有機リン化合物としては下
記一般式1〜4で表される構造単位を有する化合物が例
示できる。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】 これらの二官能性有機リン化合物のうち、下記〜の
観点から式4の構造単位を有する有機リン化合物が最も
好ましく使用できる。 .リン原子として含有率が高くてリン化合物の配合量
が少なくて済み、ポリエステルの力学的性質低下が押さ
えられるもの、 .重合時の揮発によるロスが小さく、配合量に対し実
際共重合される比率が高いもの、 .良好に重合が進行し、極限粘度の頭打ちがないも
の、 このような有機リン化合物の最も好ましい具体例として
は、(2−カルボキシエチル)メチルホスフィン酸、
(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、ある
いはそれらの環状無水物、エチレングリコール付加物な
どの誘導体を挙げることができる。
【0020】次に、本発明のポリエステル繊維の製造例
としては、まず、前述のジカルボン酸またはそのエステ
ル形成性誘導体と、グリコールまたはそのエステル形成
性誘導体とを主たる出発原料として、常法に従いエステ
ル化反応またはエステル交換反応を行った後、さらに高
温・減圧下で重縮合反応を行うことによってポリエチレ
ンテレフタレート系ポリエステルを製造する。
【0021】次に、PTFEの添加方法は、ポリエステ
ルの重縮合時に添加分散させるか、重縮合を終えたポリ
エステルにV型ブレンダー、バンバリーミキサー、混練
ロール、一軸押出機、二軸混練押出機、多軸混練押出機
など一般の混練機あるいは混合機を用い、必要に応じて
揮発成分を除去しながら混合分散させる。重縮合を終え
たポリエステルへのPTFEの添加方法はポリエステル
の溶融状態のまま添加してもポリエステルが一旦冷却固
化後再溶融した状態でも良く、またポリエステルチップ
と予め混合しておいても良い。また、前述の混合分散方
法のうち、分散性を向上させるために剪断力を大きくで
き、また溶融粘度の低下を低く押さえ、さらに生産性を
高める観点から、二軸混練押出機による混合が最も好ま
しい。この二軸混練押出機の種類は同方向回転、異方向
回転のいずれでもよく、また噛み合い型、非噛み合い型
のいずれでもよいが、剪断力が大きい噛み合い型で同方
向回転の二軸混練押出機が好適である。
【0022】このときPTFEの形態は粉末状でも、粉
末を水に分散させたスラリー状でも、さらに重合を終え
たPTFEエマルジョンを乾燥固化することなく用いる
こともできる。しかし、ポリエステル中でのPTFEの
分散性を向上させるためには、重合を終えたPTFEエ
マルジョンを乾燥固化せぬまま溶融したポリエステルに
添加混合する方法が最も好ましい、なお、この際には、
粒子濃度を濃縮あるいは希釈などして調整したり、粒子
の沈降防止のため界面活性剤(乳化剤)をさらに添加す
ることもできる。
【0023】一方、難燃剤は、ポリエステルとの共重
合、あるいは、PTFEと同時にブレンド、繊維化後の
後処理などによりポリエステル中に含有させるが、二官
能性有機リン化合物はポリエステルの重縮合時に共重合
させる。
【0024】ポリエステル繊維の製糸方法は、 上記PTFEおよび難燃剤を含有するポリエステル
を一旦チップ化した後、製糸する。 ポリエステルに上記PTFE(場合によってはさら
に難燃剤)の所要量を混合しながら、直接製糸する。 上記PTFEや難燃剤を多量に含有するポリエステ
ルチップをマスターポリマとしてPTFEや難燃剤を含
有しないポリエステルチップとチップブレンドして希釈
しながら製糸する。 等いずれの方法でも採用できる。
【0025】この製糸においては、通常の溶融紡糸のみ
ならず、複合紡糸、延伸混繊あるいはステープルとする
場合は混合紡績などにより多成分繊維構造物とすること
もできる。なおこの多成分繊維構造物において、PTF
Eおよび難燃剤の両者を1成分のみに集中させても2成
分に一方ずつ含有させてもよく多成分繊維構造物全体と
して上記した好適範囲量とすればよい。なお、この際の
繊維断面は通常の丸断面の他、三角・四角・多角・偏平
・中空断面などの異形断面とすることもできる。また、
製糸においては、紡出糸条を一旦巻き取った後延伸す
る、紡出糸条を巻き取ることなく延伸する、あるいは高
速紡糸する等、いずれの方法でも採用することができ
る。
【0026】なお、本発明のポリエステル繊維には、必
要に応じて上記PTFEおよび難燃剤以外に本発明の目
的を逸脱しない範囲で、ヒンダードフェノール系、アミ
ン系、ホスファイト系、チオエステル系などの酸化防止
剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノ
アクリレート系などの紫外線吸収剤、赤外線吸収剤など
の安定剤、シアニン系、スチルベン系、フタロシアニン
系、アントラキノン系、ペリノン系、キナクリドン系、
イソインドリノン系、クノフタロン系などの有機顔料、
無機顔料、染料などの着色剤、蛍光増白剤、炭酸カルシ
ウム、シリカ、酸化チタン、架橋ポリスチレンなどの粒
子、撥水剤、防カビ剤、消臭剤、抗菌剤、制電剤などの
添加剤を、重合時の添加、重合後のブレンドあるいは繊
維化後の後加工によって含有させてもよい。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。 <PTFEの特性評価方法> A.数平均分子量は、まず真比重を測定し、真比重
(d)と数平均分子量(Mn) の関係式(プラスチッ
ク材料講座10(日刊工業新聞社発、S36.4.15
発行))の弗化樹脂、図3.1(P24)からlog
Mn=−9d+26.3 5.とした)から算出した。 B.1次粒径は粒子を1万倍に拡大した電子顕微鏡写真
から、各1次粒子の最長径を測定し、1000個の平均
として求めた。 C.平均粒径はマイクロトラック2型粒径分析計にて測
定した。 <ポリエステルおよびその繊維の評価方法> A.ポリエステルの極限粘度はo−クロロフェノールに
溶解し、25℃で測定した。 B.ポリエステル中のリン含有量は、蛍光X線法により
求めた。 C.ポリエステル中のPTFEの含有量は、弗素原子の
元素分析結果から算出した。 D.延伸糸の強度・伸度は常法によりテンシロンで測定
した。 E.耐炎性は、JIS L−1091 D法(45度コ
イル法)による接炎回数(3回以上が合格、n=5)と
その消火時の溶融滴下防止性で評価した。なお、後者は
下記の4段階で示した。 ◎:燃焼時の溶融滴下は発生せず筒編み地の原形を止め
て炭化した ○:燃焼時の溶融滴下は発生しないが、筒編み地の原形
を止めなかった △:5サンプルのうちいずれかが燃焼時の溶融滴下が発
生した ×:5サンプルのすべてが燃焼時の溶融滴下が発生した 実施例1 テレフタル酸100重量部およびエチレングリコール4
5重量部を窒素ガス雰囲気下昇温しながら反応させた
後、さらに難燃剤として下記式で表されるリン化合物を
3.5重量部含むエチレングリコール溶液、重合触媒と
して三酸化アンチモンおよび酢酸コバルトをそれぞれ
0.04重量部、0.01重量部、及びリン酸トリメチ
ルを0.05重量部を添加し、徐々に減圧度および温度
を高めて重縮合を終了させ、難燃剤共重合のポリエチレ
ンテレフタレート(A)を得た。得られたポリエチレン
テレフタレート(A)の極限粘度は0.72dl/g、
リン含有量は6100ppm であった。
【0028】
【化6】 このポリエチレンテレフタレート(A)のチップを溶融
した状態で、表1のPTFE−Aの水分散液(重合エマ
ルジョンに界面活性剤を追添加し安定化したもの)を、
260℃に設定した二軸混練押出機(東芝機械社製;T
EM35B)を用い、PTFEの配合量が0.16重量
%となるように脱気しながら添加混合した。
【0029】このPTFEおよび難燃剤含有ポリマを、
孔径0.17mmの18ホール口金、100メッシュサン
ドおよび絶対濾過径が10μmのステンレス製不織布フ
ィルターを使用して、紡糸温度300℃、35cmの保温
ゾーン、50cmの冷却ゾーンを通過させ、冷却ゾーン直
後に油剤を付与して、紡糸速度1500m/min で引取
った。続いて延伸糸の残留伸度が35%程度となる延伸
倍率、85℃ホットロール、150℃熱板を用いること
により延伸糸を得た。なお、吐出量は延伸糸が50デニ
ールとなるように設定した、この延伸糸の極限粘度は
0.66dl/gであった。ポリエステル中のPTFE
配合量およびリン含有量、繊維の強度・伸度および耐炎
性を表2に示すが、繊維燃焼時の溶融滴下は全く生じな
かった。
【0030】
【表1】 実施例2〜5、比較例1、2 それぞれ表1に示すようなPTFEをポリエチレンテレ
フタレート(A)のチップと混合して使用した以外は、
実施例1と同様にしてポリエステルチップ、延伸糸を得
た。その結果を表2に示すが、PTFEの分子量は低い
ほど溶融滴下防止効果が低く、粒径は大きいほど糸強度
が低下する傾向がある。
【0031】比較例3、4 それぞれテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロ
ピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオ
ロビニルエーテル共重合体の粉末をポリエチレンテレフ
タレート(A)と混合して使用した以外は、実施例1と
同様にしてポリエステルチップ、延伸糸を得た。その結
果を表2に示すが、いずれも繊維燃焼時の溶融滴下防止
効果は得られなかった。
【0032】比較例5 難燃剤を添加しない以外は、実施例1と同様にして極限
粘度が0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート
(B)を得、このポリマにPTFE−Aの水分散液を混
合し、延伸糸を得た。その結果を表2に示すが、繊維燃
焼時の溶融滴下は生じなかったが、難燃剤を含まないた
め接炎回数がほぼ1回と自己消火しなかった。
【0033】実施例6〜10 下記式で表されるリン化合物にエチレングリコールを等
モル反応させたものを8.9重量部とした以外は、実施
例1と同様にして重合し、難燃剤共重合のポリエチレン
テレフタレート(C)を得た。極限粘度は0.71dl
/gであり、リン含有量は8600ppm であった。
【0034】
【化7】 このポリエチレンテレフタレート(C)に、PTFE−
Bを前記混練機で混合させる(実施例10、実施例8)
か、あるいはそれをマスターポリエステルとして製糸時
にポリエチレンテレフタレート(C)と希釈ブレンド
(実施例6、7、9)して表2に示す量含有させた以外
は、実施例1と同様にしてポリエステルチップ、延伸糸
を得た。その結果を表2に示すが、PTFEの含有量が
多くなるに伴い強度が低下したり製糸性が低下する傾向
にあり、一方、含有量が少なくなると繊維燃焼時の溶融
滴下防止効果は低下傾向にあった。
【0035】実施例11、12 比較例5で用いた難燃剤を含まないポリエチレンテレフ
タレート(B)にPTFE−B及び難燃剤(それぞれ、
トリフェニルホスフェート、下記式で表されるポリリン
酸アミド)を前記混練機で混合させた以外は実施例1と
同様にしてポリエステルチップ、延伸糸を得た。その結
果を表2に示すが実施例8と比較すれば耐炎性あるいは
力学的特性がやや劣るが、溶融滴下もなく本発明の範囲
であった。
【0036】
【化8】 実施例13 実施例1で使用したPTFE−Aの水分散液を0.16
重量%含有する難燃剤共重合のポリエステルおよび難燃
剤を共重合したポリエチレンテレフタレート(A)のチ
ップをそれぞれ鞘、芯成分として1:1の重量比で複合
紡糸・延伸した以外は、実施例1と同様にして延伸糸を
得た。その結果を表2に示すが、繊維燃焼時の溶融滴下
は皆無であった。
【0037】実施例14 PTFEと難燃剤を含有する実施例1の50デニール1
8フィラメント糸と難燃剤を共重合したポリエチレンテ
レフタレート(A)からなる50デニール18フィラメ
ント糸を、延伸時に分糸、合糸して混繊糸(50デニー
ル18フィラメント)を得た。その結果を表2に示す
が、繊維燃焼時の溶融滴下は皆無であった。
【0038】
【表2】 表中、1)はPTFEの代わりにテトラフルオロエチレ
ン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体を使用 2)はPTFEの代わりにテトラフルオロエチレン/パ
ーフルオロビニルエーテル共重合体を使用 3)はトリフェニルホスフェートを使用 実施例13は実施例1のポリエステルとポリエステル
(A)との複合紡糸 実施例14は実施例1のポリエステルとポリエステル
(A)との延伸混繊
【0039】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維は、燃焼時に
溶融滴下することなく自己消火する優れた耐炎性を有し
ている。このため実際に衣料類として着用した場合、衣
服類の燃焼および溶融による身体の火傷のみならず、滴
下した溶融物による火傷や周辺への延焼等が未然に防止
できる。また、繊維製品の燃焼時に有毒ガスの発生がな
く、繊維の製糸性や風合いが良好であり、特にPTFE
の添加による繊維の力学的性質の低下やコストアップ等
を十分抑制することができる。したがって本発明のポリ
エステル繊維はユニホーム、作業服、幼児・老人などの
寝間着をはじめとした衣料用としてばかりでなく、カー
ペット、カーテンおよび車両用座席シート、フトン綿、
テント等にも有用できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量が100万以上のポリテト
    ラフルオロエチレンと難燃剤を含有したポリエステルか
    らなることを特徴とする耐炎性に優れたポリエステル繊
    維。
  2. 【請求項2】 ポリテトラフルオロエチレンの含有量が
    0.02〜2.0重量%であることを特徴とする請求項
    1記載の耐炎性に優れたポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】 難燃剤が二官能性の有機リン化合物であ
    り、その含有量がリン原子量として3000ppm 以上共
    重合してあることを特徴とする請求項1または2記載の
    耐炎性に優れたポリエステル繊維。
  4. 【請求項4】 二官能性の有機リン化合物が下記一般式
    で表される構造単位を有することを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の耐炎性に優れたポリエステ
    ル繊維。 【化1】
  5. 【請求項5】 配合させるポリテトラフルオロエチレン
    が乳化重合で得られ、1次粒子が0.1〜0.5μmで
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の耐炎性に優れたポリエステル繊維。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174890A (ja) * 2006-11-22 2008-07-31 Hyosung Corp 難燃性原着ポリエステル繊維ならびにこれから製造される布帛および暗幕地
JP2010519422A (ja) * 2007-02-26 2010-06-03 コーロン ファッション マテリアル アイ エヌ シー 耐久性に優れた熱可塑性繊維及びこれを含む布

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008174890A (ja) * 2006-11-22 2008-07-31 Hyosung Corp 難燃性原着ポリエステル繊維ならびにこれから製造される布帛および暗幕地
JP2010519422A (ja) * 2007-02-26 2010-06-03 コーロン ファッション マテリアル アイ エヌ シー 耐久性に優れた熱可塑性繊維及びこれを含む布

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