JP2008174698A - 平滑薄片状粉体、高光輝性顔料及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
粉砕にて得た平滑かつ薄片状な板状粒子であって、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置による累積粒子分布測定値を基にした次式1:
粒度分布定数=(90%径−10%径)/50%径(メジアン径) …式1
に規定する粒度分布定数が0.9〜1.2の粒子であることを特徴とする平滑薄片状粉体。
【選択図】図1
Description
一般に既存粉体の粉砕方法としては、乾式粉砕法と湿式粉砕法が知られている。
乾式粉砕法は、粗粉砕した原料をハンマーミルのような凹凸壁面とハンマー状が高速回転し、凹凸壁面とハンマーとの隙間に原料を通して、衝撃粉砕させる。
一方、湿式粉砕法は粗粉砕した原料に液体を加え、例えば、ボールミルのような、容器に原料と液体とを投入して、これに球形ボールを入れて、容器を回転させてボールとボールの摩擦力と容器が回転する際のボールの落下衝撃によって粉砕する。
湿式粉砕法は、時間と共に粉砕されるが粉砕により表面積が大きくなり、粉砕品と液体との粘度が高くなり粒度の細かい粒子は粒度の大きい粒子に付着し易くなる。水簸分級で分級しても、一度付着した細かい粒子は大きい粒子から分離せず、平滑性に劣る。これらを基板として、粒子表面に酸化チタンや酸化鉄を均一に被覆しても、高い光沢を示す真珠光沢顔料を製造することは極めて困難であった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は平滑薄片状粉体の製造方法を確立し、その粉体を用いた高光輝性顔料を得ることにある。
粒度分布定数=(90%径−10%径)/50%径(メジアン径) …式1
に規定する粒度分布定数が0.9〜1.2の粒子であることを特徴とする。
なお、ここでレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置としては、セイシン企業製LMS−30などが用い得る。
また、本発明にかかる粉体において、板状粒子の厚さが0.05〜1ミクロンであることが好適である。
また、本発明にかかる粉体において、板状粒子は合成雲母、天然雲母、タルク、セリサイト、薄片状金属酸化物からなる群より選択される一種又は二種以上であることが好適である。
また、本発明にかかる高光輝性顔料は、平滑薄片状粉体を、金属酸化物及び/又は金属水酸化物で被覆し、下記条件にて測定した光沢指数が1.0〜1.8であることを特徴とする。
光沢指数:
顔料を白黒の隠蔽率試験紙にニトロンクリア(ニトロセルロースラッカー:武蔵塗料製)と顔料1部対ニトロン15部の割合で混合し4ミルのアプリケーターにてコーティングした塗膜を白地上にて測定した光沢度について次式2:
光沢指数=(60°−60°)/(20°−20°) …式2
なお、光沢度の測定には、堀場製作所製のGloss Checker IG−330などが用い得る。
また、本発明にかかる平滑薄片状粉体の製造方法は、無機板状粒子を湿式粉砕する際に粉砕助剤を共存させることを特徴とする。
また、前記平滑薄片状粉体の製造方法において、前記粉砕助剤が水溶性ポリマーであることが好適である。
また、前記平滑薄片状粉体の製造方法において、水溶性ポリマーはポリカルボン酸塩及び/又はポリエチレングリコール誘導体であることが好適である。
また、前記平滑薄片状粉体の製造方法において、用いられる粉砕機は摩砕型粉砕機でかつ湿式であることが好適である。
また、前記平滑薄片状粉体の製造方法において、粉砕助剤の添加量が無機板状粒子に対して0.05〜10.0重量%であることが好適である。
また、本発明にかかる高光輝性顔料の製造方法は、前記平滑薄片状粉体に、金属酸化物及び/又は金属水酸化物にて被覆することを特徴とする。
また、前記高光輝性顔料の製造方法において、金属酸化物ないし金属水酸化物の金属種は、チタン、鉄、亜鉛、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、コバルト、ニッケル、ビスマスからなる群より選択される一種または二種以上であることが好適である。
また、前記高光輝性顔料の製造方法において、被覆した金属酸化物及び/又は金属水酸化物を500〜900℃で焼成することが好適である。
また、本発明にかかる工業用塗料は、前記高光輝性顔料を0.1〜10%含有することを特徴とする。
また、本発明にかかる化粧料は、前記高光輝性顔料を0.1〜20%含有することを特徴とする。
すなわち本発明はマイカやタルク等の板状粘土鉱物や薄片状の酸化チタン、酸化アルミニウム等を湿式粉砕機で粉砕もしくは解砕する際に粉砕助剤を添加すると、細かい粒子と大きい粒子とが凝集することなく、非常に分散性が良くなり、更にこれらに助剤として分散剤を添加して水簸分級する事により、粒度幅が狭く、平滑性に優れた粒子が得られた。すなわち、粉砕助剤や分級助剤を添加することにより、粉砕されて細かくなった粒子表面に助剤が吸着して粒子同士の凝集がなくなる為に、水簸分級においても分散性が良く、分級効率が上がり、粒度幅も狭くなったものと推察される。
本発明で用いられる板状粒子としては白雲母、金雲母、黒雲母等の天然雲母、合成雲母、タルク、セリサイト等の粘土鉱物、板状酸化アルミニウム、板状酸化珪素、板状酸化チタン、板状酸化鉄等の金属酸化物が上げられる。
これらを湿式にて粉砕もしくは解砕する粉砕機としてはボールミル、ジェット混合機、高速回転ミル、石臼式ミル、アルティマイザーなどが使用できるが、特にこれらに限定されない。
上記助剤の添加量としては板状粒子に対してそれぞれ0.1〜10%の範囲内であり、0.1%を下回る場合にはその効果は発揮されず、10%を超える場合には真珠光沢顔料の性能に影響を及ぼす恐れがある。
また、前記平滑薄片状粉体を用いた高光輝性顔料によれば、平滑性が高いため、高い光輝性を得ることができる。
また、本発明にかかる平滑状粉体の製造方法によれば、粉砕段階で水溶性ポリマーに代表される粉砕助剤を用いることにより、平滑度が高い薄片状粉体を得ることができる。
予め合成マイカ100Kgをジョークラッシャで粗粉砕し、2メッシュの篩を通過させ10メッシュの篩未通過品70Kgを得た。該粗粉砕品を用いて、横型回転式ポットミル20Lに、粗粉砕合成マイカ2.0Kgと粉砕助剤液と長径10mmの球状アルミナボール16Kgを入れて、毎分100回転で36時間粉砕した。分級助剤液を用いてポットミルを洗浄しながら、粉砕合成マイカを高さ1mの容器に移した。プロペラ撹拌して、十分に分散させた後静置し、360分間放置後水面からの高さ80cm迄の上澄みを回収した。再び分級助剤液を加えてプロペラ撹拌して、十分に分散させた後静置し、360分間放置後高さ80cm迄の上澄みを回収した。同様な操作を3回繰り返した。回収した分散液を濾過水洗して微細粒子とした。
なお、各試験例の粉砕助剤液及び分級助剤液は表1に示すとおりである。また、得られた分級品粒度分布は、レーザー回折による粒度分布とその粒度分布定数として表2に示した。
そこで、本発明者らはさらに粉砕助剤の種類と粒度分布の関係について検討を行った。各試験例に用いた粉砕助剤液の内容を表3に、また各試験例の粒度分布測定値を表4に示す。
さらに本発明者らは、分級で得られる微細粒子、中粒子、及び大粒子の割合には、各試験例とも大きな相違はなく、それぞれの分級区分内での粒度分布が大きいことに着目した。すなわち、粉砕助剤は、粉砕程度に影響を与えているのみではなく、分級時の粒子間の再凝集が粒度分布定数に大きな影響を与えていることが考えられる。
そこで、本発明者らはさらに、微細粉砕物が大粒子ないし中粒子に再付着するのを防止するため、分級時に分級助剤を添加することを試みた。
以上のことから、水溶性ポリマーは粉砕助剤として用いた場合に顕著であり、さらに分級時にヘキサメタリン酸ナトリウム等の分級助剤を用いることにより粒度分布の改善効果が一層改善される。
また、図1,2,3はそれぞれ試験例3−1,3−4,3−5で得られた粉体の電子顕微鏡写真である。
同図より明らかなように、試験例3−4の粉体は単に粒度分布の改善が認められるばかりでなく、粒子表面上への破砕残渣の再付着が防止されていることが裏付けられる。したがって、本発明における水溶性ポリマーの添加効果は、分級された薄片状粉体の平滑度を示すものといえる。
前記試験例で得られた、合成マイカの粉砕分級品に金属酸化物及び/又は金属水酸化物を被覆し高光輝性顔料を製造した、その製造例について記載する。
粉砕分級した合成マイカの微細粒子200gを3Lのビーカーに秤、これに上水2Lと塩酸12mlとを加え撹拌しながら加熱して、80℃とした。これに塩酸と苛性ソーダーとを加えてpHを2.2とした。撹拌しながら温度、pHを一定に保ち、四塩化チタン塩酸水溶液と苛性ソーダー水溶液を加え、四塩化チタン塩酸水溶液を300g添加した。添加後苛性ソーダーを加えてpHを7とし、冷却後、濾過・水洗・乾燥した。乾燥粉末を大気中800℃で2時間焼成し、銀色の光沢微細粉末約280gを得た。
上記で得られた各光沢粉末1gとクリアーラッカー15gとを混合して、白黒の隠蔽率試験紙にアプリケーター4ミルで塗布し、塗膜の白地上の光沢度をGloss Checker IG−330で入射角60°受光角60°と入射角20°受光角20°にて測定し、その値の比を光沢指数とした。表7にはそれら光沢の測定値とその指数を示した。
製造例1で粗粉砕した合成マイカ50Kgを500Lのポットミルに投入し、これに0.1%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液50Kg及びポリカルボン酸ナトリウム(NSA−400L)5Kgを添加して、直径15mmの球状アルミナボール350Kgを入れ、40時間粉砕した。0.05%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液1300Kgを用いてポットミルを洗浄しながら、粉砕合成マイカを高さ2mの容器に移した。プロペラ撹拌して、十分に分散させた後静置した。675分間静置後水面からの高さ150cm迄の上澄みを回収した。再び0.05%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を加えて、同じ時間静置後、水面からの高さ150cm迄の上澄みを回収した。同様な操作を3回繰り返した。回収した分散液を濾過水洗して微細粒子とした。
粉砕分級した合成マイカの微細粒子25Kgを500Lのジャケット付ガラスライニング反応釜に秤、これに上水300Lと塩酸9L、塩化スズ400gを加え撹拌しながら加熱して、80℃とした。これに塩酸と苛性ソーダーとを加えてpHを2.0とした。撹拌しながら温度、pHを一定に保ったまま、四塩化チタン塩酸水溶液と苛性ソーダー水溶液を加え、四塩化チタン塩酸水溶液を22.5Kg添加した。添加後苛性ソーダーを加えてpHを7とし、冷却後濾過水洗乾燥した。乾燥粉末を大気中800℃で2時間焼成し、銀色の光沢微細粉末31Kgを得た。
合成マイカを基板とし、この粒子表面に酸化チタンや酸化鉄を被覆した市販真珠光沢顔料について、本発明と同様の粒度分布、輝度評価を行った。
結果を次の表10及び11に示す。
電着塗膜上に中塗り塗膜が形成された鋼板を用意し、カラーベース塗料を塗装後、145℃で30分間焼き付け乾燥した。次に、アクリル樹脂とメラミン樹脂からなる樹脂液中に上記試験例3−5に準じて得られた、微細合成マイカを基板として銀色干渉色を有する高光輝性顔料を5重量%含むベース塗料を用意し、カラーベース塗膜表面に膜厚15μmになるようにスプレー塗装した。該塗膜が乾燥後アクリル・メラミン系クリア塗装をさらに膜厚40μmとなるようにWet−on−Wetにてスプレー塗装し、145℃で30分間焼き付けてベース塗膜とクリア塗膜を一体的に硬化させた。
用途例1と同様な方法で、前記試験例3−4に準じて得られた微細合成マイカを基板とした、銀色干渉色を有する高光輝性顔料を配合した。塗料の種類や塗膜の厚さ等については用途例1と同一条件で塗装した。
用途例1と同様な方法で、前記試験例1−1に準じて製造した、微細合成マイカを基板とした銀色干渉色を持った真珠光沢顔料を配合した。塗料の種類や塗膜厚さ等用途例1と同一条件で塗装した。
用途例1と同様な方法で市販の銀色干渉色の酸化チタン被覆合成マイカ(SKY社製SK−R901D Reflex Rutile Fine)を配合した。塗料の種類や塗膜厚さ等は用途例1と同一条件で塗装した。
下記成分を混合し、サンドミルで混練して印刷用インキ組成物を得た。
配合成分 配合量(重量部)
1.本発明の製造例1の中粒子合成マイカを基板
とした青色干渉色を持った高光輝性顔料 12.5
2.アクリル樹脂 25.0
3.ナフサ 30.0
4.ブチルセロソルブ 32.5
この用途例の印刷インキ組成物を用いて、乾燥後の塗膜厚さ50μmになるように白紙上に印刷を行ったところ、塗装体は青色の鮮やかな光沢のある干渉色を有していた。
下記1〜9の粉末部を秤取り、ヘンシェルミキサーで混合して、これに10〜14を加熱溶解混合した液を、混合した粉末部に添加し、再びヘンシェルミキサーで混合した。該混合組成物をパルベライザーで粉砕混合した。この粉砕混合品を中皿に成型し、所望する粉末固形ファンデーションをえた。
配合成分 配合量(重量部)
1.本発明の製造例1の中粒子合成マイカを基板
とした青色干渉色を持った高光輝性顔料 15.0
2.タルク 20.0
3.セリサイト 20.0
4.白雲母 20.0
5.ナイロンビーズ 9.2
6.窒化ホウ素 1.0
7.赤酸化鉄 0.7
8.黄酸化鉄 1.0
9.黒酸化鉄 0.1
10.ジメチルポリシロキサン 5.0
11.2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
12.ソルビタンセスキオレート 1.0
13.パラベン 適量
14.香料 適量
この用途例の粉末固形ファンデーションは、伸びが軽く、顔料色と本発明の高光輝性顔料から生じる青色干渉色の補色の作用により、塗布した肌色を美しく改善する効果が認められた。
下記の1〜8の粉末部を秤取り、ヘンシェルミキサーで混合した、これに9〜13の各成分を混合したものを加えて再びヘンシェルミキサー混合し、中皿に成型してアイシャドーを得た。
配合成分 配合量(重量部)
1.本発明の製造例1の大粒子合成マイカを基板
とした緑色干渉色を持った高光輝性顔料 8.0
2.タルク 残余
3.セリサイト 6.0
4.合成マイカ 12.0
5.球状PMMA粉末 3.0
6.板状硫酸バリウム 2.0
7.酸化鉄 2.0
8.窒化ホウ素 3.0
9.スクワラン 2.0
10.ジメチルポリシロキサン 3.0
11.モノオレイン酸ソルビタン 1.0
12.防腐剤 適量
13.香料 適量
Claims (14)
- 粉砕にて得た平滑かつ薄片状な板状粒子であって、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置による累積粒子分布測定値を基にした次式1:
粒度分布定数=(90%径−10%径)/50%径(メジアン径) …式1
に規定する粒度分布定数が0.9〜1.2の粒子であることを特徴とする平滑薄片状粉体。 - 請求項1記載の粉体において、板状粒子の厚さが0.05〜1ミクロンであることを特徴とする平滑薄片状粉体。
- 請求項1又は2記載の粉体において、板状粒子は合成雲母、天然雲母、タルク、セリサイト、薄片状金属酸化物からなる群より選択される一種又は二種以上であることを特徴とする平滑薄片状粉体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の平滑薄片状粉体を、金属酸化物及び/又は金属水酸化物で被覆し、下記条件にて測定した光沢指数が1.0〜1.8であることを特徴とする高光輝性顔料。
光沢指数:
顔料を白黒の隠蔽率試験紙にニトロンクリア(ニトロセルロースラッカー:武蔵塗料製)と顔料1部対ニトロン15部の割合で混合し4ミルのアプリケーターにてコーティングした塗膜を白地上にて測定した光沢度について次式2:
光沢指数=(60°−60°)/(20°−20°) …式2 - 無機板状粒子を湿式粉砕する際に粉砕助剤を共存させることを特徴とする平滑薄片状粉体の製造方法。
- 請求項5記載の方法において、前記粉砕助剤が水溶性ポリマーであることを特徴とする平滑薄片状粉体の製造方法。
- 請求項6記載の方法において、水溶性ポリマーはポリカルボン酸塩及び/又はポリエチレングリコール誘導体であることを特徴とする平滑薄片状粉体の製造方法。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の方法において、用いられる粉砕機は摩砕型粉砕機でかつ湿式であることを特徴とする平滑薄片状粉体の製造方法。
- 請求項5〜8のいずれかに記載の方法において、粉砕助剤の添加量が無機板状粒子に対して0.05〜10.0重量%であることを特徴とする平滑薄片状粉体の製造方法。
- 請求項5〜9のいずれかに記載の平滑薄片状粉体を、金属酸化物及び/又は金属水酸化物にて被覆することを特徴とする高光輝性顔料の製造方法。
- 請求項10記載の方法において、金属酸化物ないし金属水酸化物の金属種は、チタン、鉄、亜鉛、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、コバルト、ニッケル、ビスマスからなる群より選択される一種または二種以上であることを特徴とする高光輝性顔料の製造方法。
- 請求項10又は11記載の顔料において、被覆した金属酸化物及び/又は金属水酸化物を500〜900℃で焼成することを特徴とする高光輝性顔料の製造方法。
- 請求項10〜12のいずれかに記載の高光輝性顔料を0.1〜10%含有することを特徴とする工業用塗料。
- 請求項10〜12のいずれかに記載の高光輝性顔料を0.1〜20%含有することを特徴とする化粧料。
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