JP2002363602A - 金属フレーク製造方法 - Google Patents

金属フレーク製造方法

Info

Publication number
JP2002363602A
JP2002363602A JP2001167384A JP2001167384A JP2002363602A JP 2002363602 A JP2002363602 A JP 2002363602A JP 2001167384 A JP2001167384 A JP 2001167384A JP 2001167384 A JP2001167384 A JP 2001167384A JP 2002363602 A JP2002363602 A JP 2002363602A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
platinum
particles
heat treatment
platinum group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001167384A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3694254B2 (ja
Inventor
Atsushi Nagai
淳 長井
Hideyuki Tomita
秀幸 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd filed Critical Noritake Co Ltd
Priority to JP2001167384A priority Critical patent/JP3694254B2/ja
Publication of JP2002363602A publication Critical patent/JP2002363602A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3694254B2 publication Critical patent/JP3694254B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 白金族元素またはこれを主体とする合金から
なる金属粒子から効率よく金属フレークを製造する方法
を提供すること。 【解決手段】 本発明は、白金族元素または白金族元素
を主体とする合金からなる金属フレークを製造する方法
であって、(a).白金族元素または白金族元素を主体とす
る合金からなる金属粒子にその金属粒子の平均結晶子サ
イズが50nm以上となるように熱処理を施す工程と、
(b).その熱処理された金属粒子をフレーク化する工程
と、を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、白金族元素また
は白金族元素を主体とする合金からなる金属フレークを
製造する方法に関する。特に、平均粒径の比較的小さな
金属粒子を原料として金属フレークを製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】 金属顔料、導体ペースト用材料、粉末
冶金用材料等として、フレーク状の金属粉末(金属フレ
ーク)が用いられている。この種の従来技術としては、
特開平9−95651号公報、特開平8−186049
号公報、特開平9−194659号公報、特開平7−2
63210号公報、特開平8−134511号公報およ
び特開平8−134512号公報に記載のもの等があ
る。このような金属フレークを製造する方法としては、
冷却液中に溶融金属を投入する方法、金属を水性媒体中
で適当な粉砕助剤を用いて粉砕(湿式粉砕)する方法等
が知られている。例えば特開平8−134511号公報
には、白金合金を溶融噴霧して得られた白金合金粉末を
湿式微粉砕処理してフレーク状とする強化白金材料の製
造方法が開示されている。また、特開平8−13451
2号公報には、白金合金の溶融液滴を扁平状に固化させ
る工程を含む強化白金材料用粉末の製造方法が開示され
ている。この固化物は、さらに微粉砕された後に強化白
金材料の製造に使用される。しかし、白金のように高融
点の金属を溶融させるためには特殊な装置を必要とし、
またエネルギーコストも嵩む。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 一方、あらかじめ調
製された比較的小さな金属粒子から金属フレークを製造
する方法も知られている。例えば、白金粒子から白金フ
レークを製造する従来技術として、特開昭63−266
003号公報には、平均粒径の比較的小さな白金粉末を
焼成して所定の平均粒径となるまで大型化した後、これ
を物理的に(振盪ミル等を用いて)フレーク化するフレ
ーク状白金粉末の製造方法が開示されている。しかし、
前記公報に記載の方法では、白金粉末がフレーク化に適
した状態まで焼成されたかどうかを判断することが難し
かった。このため、焼成後の白金粉末を十分にフレーク
化することができなかったり、このフレーク化に長時間
を要したりする場合があった。また、白金族元素は延性
や展性(以下、延展性という。)に乏しい。したがっ
て、この方法により白金族元素からなる金属フレークを
製造することは基本的に困難であった。さらに、前記公
報に記載の方法により得られるフレークは、金属顔料等
のように高い光沢性が求められる用途には必ずしも適さ
ないものであった。
【0004】そこで本発明は、白金またはその他の白金
族元素あるいはこれらを主体とする合金からなる金属粒
子から効率よく金属フレークを製造する方法を提供する
ことを目的とする。本発明の他の目的は、白金族元素ま
たはこれらを主体とする合金からなる光沢の高い金属フ
レークおよびその製造方法を提供することである。関連
する他の目的は、白金またはその他の白金族元素あるい
はこれらを主体とする合金をベースとするフレーク状金
属顔料およびその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、白金族元
素(典型的には白金)または白金族元素を主体とする合
金からなる金属粒子を熱処理し、その後この熱処理され
た金属粒子をフレーク化する金属フレーク製造方法にお
いて、金属粒子の所定の特性値を指標として熱処理を行
うことにより、あるいは熱処理条件を適当に定めること
によって、上記課題が解決できることを見出して本発明
を完成した。
【0006】本発明により提供される、白金族元素また
は白金族元素を主体とする合金からなる金属フレークの
製造方法は、(a).白金族元素または白金族元素を主体と
する合金からなる金属粒子にその金属粒子の平均結晶子
サイズが50nm(500Å)以上となるように熱処理を
施す工程と、(b).その熱処理された金属粒子をフレーク
化する工程と、を包含する。なお、本明細書中において
「平均結晶子サイズ」とは金属粒子中の結晶子(cry
stallite)径の平均値をいう。この結晶子径
は、X線回折データに基づいて(例えばSchelle
rの式を用いて)算出することができる。また、「白金
族元素からなる金属粒子」とは、白金族元素(Pt、P
d、Rh、Ru、IrおよびOs)の一種または二種以
上からなる金属粒子をいい、「白金族元素を主体とする
合金からなる金属粒子」とは、白金族元素の一種または
二種以上を主体とし、これに白金族以外の元素(白金族
以外の貴金属元素および卑金属元素のいずれでもよい)
を含有する合金からなる金属粒子をいう。この製造方法
では、前記(a).工程終了後において、白金族元素または
白金族元素を主体とする合金からなる金属粒子(以下、
白金族粒子ともいう。)の平均結晶子サイズが50nm以
上とされている。この範囲の平均結晶子サイズを有する
白金族粒子は、その結晶性が良好であることから、フレ
ーク化に対して十分な延展性を示す。したがって、この
ような形態となるように熱処理された白金族粒子を前記
(b).工程において効率よくフレーク化することができ
る。なお、前記(a).工程は、例えば予備実験の結果等に
基づいて、目標とする平均結晶子サイズが得られると推
察される条件で行うことができる。すなわち、本発明の
実施にあたって、その都度前記(a).工程終了後における
白金族粒子の平均結晶子サイズが実際に50nm以上であ
ることの確認を必要とするものではない。
【0007】本発明の製造方法では、前記(a).工程にお
ける熱処理温度を600〜1000℃とすることが好ま
しい。この温度範囲であれば、比較的短時間の熱処理に
よって白金族粒子の平均結晶子サイズを50nm以上とす
ることができる。
【0008】また、本発明により提供される、白金族元
素または白金族元素を主体とする合金からなる金属フレ
ークの他の製造方法は、(a).白金族元素または白金族元
素を主体とする合金からなる金属粒子に700〜900
℃で5分〜1時間の熱処理を施す工程と、(b).その熱処
理された金属粒子をフレーク化する工程と、を包含す
る。この熱処理条件であれば、比較的短時間の熱処理に
よって白金族粒子のサイズを適度に増大させ得、結果と
してこの粒子の平均結晶子サイズをフレーク化に対して
十分な延展性を示す大きさとすることができる。すなわ
ち、白金族粒子を熱処理する際の処理効率がよい。この
ように熱処理された白金族粒子は、前記(b).工程におい
て効率よくフレーク化することができる。また、前記熱
処理条件であればこの白金族粒子の過剰な焼結を防止す
ることができる。さらに、このように比較的高い温度で
熱処理を行うことにより、光沢性に優れた金属フレーク
が得られる。
【0009】上述した本発明の金属フレーク製造方法の
いずれかにおいて、前記金属粒子の熱処理前における平
均粒径は0.1〜2μmの範囲にあることが好ましい。
本方法によると、平均粒径がこの範囲にある白金族粒子
を熱処理した後にフレーク化することにより、金属顔料
用、導体ペースト用等として好適な形状を有する金属フ
レークを製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好適な実施形態
について詳細に説明する。本発明の製造方法に用いる原
料としての金属粒子および本発明の方法により製造され
る金属フレークは、いずれも白金族元素または白金族元
素を主体とする合金からなる。原料としての金属粒子に
は、製造目的である金属フレークの組成に対応した組成
を有する金属粒子を用いることが好ましい。本発明の製
造方法に用いる金属粒子および/または本発明の方法に
より製造される金属フレークは、副成分としてさらに非
金属元素を含有することができる。この金属粒子および
/または金属フレークは、その組成において白金族元素
の占める割合が90wt%以上であることが好ましく、9
5wt%以上であることがより好ましく、実質的に白金族
元素のみからなることが特に好ましい。また、本発明の
製造方法に用いる金属粒子および/または本発明の方法
により製造される金属フレークは、実質的に白金または
白金を主体とする合金からなることが好ましく、白金か
らなることが特に好ましい。
【0011】本発明の製造方法における原料としての金
属粒子(以下、原料粒子ともいう。)には、平均粒径の
比較的小さなものを用いることが好ましい。具体的に
は、平均粒径が10μm以下にある金属粒子(白金族粒
子)を用いることが好ましく、平均粒径が0.05〜5
μmの範囲にある金属粒子がより好ましく、平均粒径が
0.1〜2μm(より好ましくは0.2〜1μm)の範囲
にある金属粒子がさらに好ましい。このような金属粒子
を原料とすることにより、金属顔料用、導体ペースト用
等として好適な形状を有する金属フレークを製造するこ
とができる。
【0012】この原料粒子の粒径分布は比較的シャープ
であることが好ましい。また、この原料粒子は、粒径が
過大な粒子を実質的に含まないことが好ましい。具体的
には、例えば平均粒径が0.1〜2μmの範囲にある原
料粒子を用いる場合であれば、この原料粒子の全粒子の
70個数%以上の粒径が0.1〜2.0μmの範囲にあ
ることが好ましい。また、この平均粒径が0.1〜2μ
mの範囲にある原料粒子は、粒径10μm以上(より好ま
しくは粒径5μm以上)の粒子を実質的に含まないこと
が好ましい。原料粒子の形状はほぼ球状であることが好
ましい。具体的には、原料粒子の70個数%以上が球状
であることが好ましい。なお、ここで「球状」とは、粒
子の長径に対する短径の比(アスペクト比)が0.8以
上、より好ましくは0.9以上であることをいう。この
ような粒径分布および/または形状を有する白金族粒子
を原料に用いることにより、この白金族粒子のフレーク
化を均一に実施することができる。また、形状(形およ
び大きさ)の比較的揃った金属フレークを製造すること
ができる。なお、これらの粒径、粒径分布および粒子形
状は、例えば走査型電子顕微鏡写真を解析することによ
り測定することができる。
【0013】原料粒子の調製方法は特に限定されない
が、平均粒径の比較的小さな原料粒子が得られやすいこ
とから、湿式還元法または噴霧熱分解法が好ましく用い
られる。本発明の製造方法においては、噴霧熱分解法に
より調製された原料粒子が特に好ましく用いられる。こ
の噴霧熱分解法によると、ほぼ球状でかつ粒径分布の比
較的シャープな粒子を得ることができるためである。こ
の原料粒子の平均結晶子サイズは特に限定されず、例え
ば平均結晶子サイズが1〜50nmの範囲にある原料粒子
を使用することができる。この原料粒子の熱処理が比較
的短時間ですむこと、また熱処理による効果(すなわ
ち、フレーク化に対する適性の向上)がよく発揮される
ことからは、原料粒子の平均結晶子サイズが3〜30nm
の範囲にあることが好ましく、6〜12nmの範囲にある
ことがさらに好ましい。
【0014】本発明の製造方法では、このような原料粒
子に対してまず前記(a).工程、すなわち熱処理工程を実
施する。なお、この熱処理条件は、上述のとおり、
(1)平均結晶子サイズ、または(2)熱処理の温度お
よび時間、の少なくとも一方により規定される。
【0015】前記(1)による規定につきさらに説明す
る。金属粒子を適当な条件で熱処理すると、金属粒子を
構成する結晶の配列がこの熱処理により整えられる。す
なわち、適当な条件で熱処理を行うことにより金属粒子
の結晶性が向上する。この結晶性の向上は、金属粒子の
平均結晶子サイズの上昇として観察される。また、金属
粒子の結晶性が向上すると、一般にこの金属粒子の延展
性が向上する。したがって、フレーク化に対して十分な
延展性を示すに足る平均結晶子サイズに到達するまで白
金族粒子を熱処理することにより、この熱処理された白
金族粒子を後続する工程((b).工程)において効率よく
フレーク化することができる。本発明者の検討によれ
ば、白金族粒子のフレーク化を行うために適した平均結
晶子サイズは50nm(500Å)以上であり、より好ま
しくは60nm(600Å)以上であった。なお、平均結
晶子サイズの上限は特に限定されない。熱処理に要する
時間を短縮して製造効率を高めるという観点から、通常
は200nm(2000Å)以下とすることが好ましい。
【0016】かかる範囲の平均結晶子サイズを有する白
金族粒子が得られる限りにおいて、この熱処理の具体的
な条件(処理温度および処理時間等)は特に限定されな
い。好ましい熱処理温度としては600〜1000℃が
例示され、より好ましくは700〜900℃である。熱
処理温度が600℃よりも低すぎると、目標とする平均
結晶子サイズに到達するまでに長時間を要するため金属
フレークの製造効率が低下したり、目標とする平均結晶
子サイズにまで到達させられなかったりする場合があ
る。一方、熱処理温度が1000℃よりも高すぎると、
この熱処理により十分に大きな平均結晶子サイズが得ら
れなかったり、白金族粒子の焼結が進みすぎてフレーク
化が困難となったりする場合がある。なお、高光沢の金
属フレークを得るという観点からは、熱処理を比較的高
温で行うことが好ましい。高光沢の金属フレークを得る
ための好ましい熱処理温度は600℃以上、より好まし
くは700℃以上、さらに好ましくは750℃以上であ
る。また、金属フレークの製造効率を向上させるととも
に過剰な焼結を防止するという観点から、熱処理時間は
6時間以下とすることが好ましく、より好ましくは3時
間以下、さらに好ましくは1時間以下である。熱処理時
間の下限は特に限定されないが、目標とする平均結晶子
サイズに到達するまでの時間は通常5分以上である。
【0017】次に、前記(2)による規定につき説明す
る。本発明に用いる原料粒子は、700〜900℃で5
分〜1時間の熱処理を施すことにより、フレーク化に適
した特性(例えば延展性)を有する状態とすることがで
きる。この条件で熱処理を行った後において、金属粒子
の平均結晶子サイズは50nm以上であることが好まし
く、60nm以上であることがより好ましい。前記熱処理
条件に比べて条件が緩やか過ぎる場合には、熱処理後の
白金族粒子を後続する工程で十分にフレーク化すること
ができなかったり、フレーク化に長時間を要したりする
場合がある。一方、前記熱処理条件に比べて条件が厳し
すぎる場合には、この白金族粒子のフレーク化に対する
適性(例えば延展性)が再び低下したり、白金族粒子の
焼結が進みすぎてフレーク化が困難となったりする場合
がある。なお、高光沢の金属フレークを得るという観点
からは、熱処理温度を750℃以上とすることが好まし
い。特に、原料粒子として白金または白金を主体とする
合金からなる金属粒子を用いる場合には、熱処理温度を
750〜900℃とし、熱処理時間を15分〜1時間と
することが適当である。
【0018】前記(a).工程は、酸化性雰囲気および非酸
化性雰囲気のいずれの雰囲気で行ってもよい。通常は、
酸化性雰囲気(典型的には大気中)で熱処理を行うこと
が簡便であり好ましい。なお、通常この(a).工程におい
て白金族粒子は軽く焼結される。ただし、後続する工程
で問題(例えば、過度の焼結によりフレーク化が困難と
なる等)を生じない限りにおいて、この焼結の程度は特
に限定されない。
【0019】次いで、前記(b).工程において、前記(a).
工程で熱処理された白金族粒子をフレーク化する。この
フレーク化には、らいかい機、ポットミル、振盪ミル、
ビーズミルあるいはボールミル等の装置を用いることが
できる。これらの装置を適当な条件で振盪または回転さ
せればよい。フレーク化の際、白金族粉末とともにこれ
らの装置に入れる粉砕子(ボール等)の材質は特に限定
されず、例えばステンレス、アルミナ、メノウ、ジルコ
ニアおよびガラス等からなるものを使用することができ
る。粉砕子の使用量は、熱処理後の白金族粉末の重量に
対して例えば1〜20倍程度とすることができる。粉砕
子の使用量が少なすぎると、フレーク化の進行が不均一
となったり、フレーク化に長時間を要したりする場合が
ある。
【0020】このフレーク化は、乾式および湿式のいず
れの方法でも行うことができる。湿式法による場合の媒
体としては、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒
が好ましく用いられる。この混合溶媒における水溶性有
機溶媒の好ましい含有量は50容量%以下である。水溶
性有機溶媒としては、フレーク化を行った後に得られた
金属フレークから除去しやすいものが好ましい。例え
ば、低級アルコール、低級ケトン、低級カルボン酸およ
びそのエステル類から選択される一種または二種以上を
用いることが好ましい。操作性等の点から、特に好まし
い水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、
プロパノール等の低級アルコールが挙げられる。なお、
フレーク化の終了後に媒体を除去する工程を省略できる
ことから、本発明の製造方法においては乾式法によりフ
レーク化を行うことが好ましい。
【0021】本発明の製造方法により得られる金属フレ
ークの形状は、原料粉末の粒径、前記(a).工程(熱処理
工程)の処理条件、前記(a).工程終了後の平均結晶子サ
イズ、前記(b).工程(フレーク化工程)の実施条件等に
より調節することができる。この製造方法により得られ
る金属フレークの好適な形状としては、その平均長径が
20μm以下(より好ましくは10μm以下)、平均厚さ
が5μm以下(より好ましくは3μm以下)であるものが
挙げられる。得られた金属フレークの形状は均一に近い
ことが好ましい。例えば、得られた金属フレークの全重
量のうち、長径5〜20μm、厚さ1〜5μmの金属フレ
ークがその70wt%以上を占めることが好ましい。
【0022】本発明の製造方法によると、光沢性に優れ
た金属フレークを得ることができる。このような金属フ
レークは金属顔料(例えば、食器その他のセラミックス
製品の装飾に用いられる金属顔料)として好適である。
具体的な光沢の程度としては、例えば平均長径20μm
以下の金属フレークにおいてL値45以上を達成するこ
とができ、さらに好ましい条件ではL値50以上の金属
フレークを得ることができる。なお、この「L値」は色
差計により測定することができる。金属顔料用途の金属
フレークを製造する場合には、前記(a).工程において平
均結晶子サイズが60nm以上(より好ましくは65nm以
上)となる条件で熱処理を行うことが好ましい。また、
このときの処理温度は700〜900℃(より好ましく
は750〜900℃)とすることが好ましい。
【0023】また、本発明の製造方法によると、平均結
晶子サイズが比較的大きい(結晶性が高い)金属フレー
クを得ることができる。このような金属フレークは、そ
の充填性が良好であることから、電子部品の製造等に用
いられる導体ペーストの構成材料として好適である。す
なわち、この金属フレークを用いて調製された導体ペー
ストによると緻密な導体膜等を形成することができる。
その他、本発明の製造方法により得られた金属フレーク
は、従来の方法により得られた白金族元素またはこれを
主体とする合金からなる金属フレークあるいは他の組成
の金属フレークと同様の用途、例えば粉末冶金材料等に
も用いることができる。
【0024】
【実施例】 以下、本発明に関するいくつかの実施例を
説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定す
ることを意図したものではない。
【0025】<実施例1:本発明の方法による金属フレ
ークの製造例(1)>原料粒子としては、一般的な湿式
還元法により調製された平均粒径0.5μm、平均結晶
子サイズ8nmの白金粉末を用いた。この白金粒子(原料
粒子)に対し、大気雰囲気において900℃で45分の
熱処理を施した。この熱処理された白金粒子の平均結晶
子サイズは55nmであった。その後、熱処理された白金
粒子をポットミルによりフレーク化した。このフレーク
化は乾式法により行い、処理時間は概ね24〜120時
間とすることが好ましいが、ここでは48時間程度とし
た。このようにして白金フレークを製造した。
【0026】<実施例2:本発明の方法による金属フレ
ークの製造例(2)>熱処理条件を800℃で45分と
した点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造
した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは
65nmであった。
【0027】<実施例3:本発明の方法による金属フレ
ークの製造例(3)>熱処理条件を700℃で45分と
した点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造
した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは
60nmであった。
【0028】<実施例4:本発明の方法による金属フレ
ークの製造例(4)>熱処理条件を600℃で45分と
した点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造
した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは
50nmであった。
【0029】<比較例1:熱処理が不十分な製造例
(1)>熱処理条件を500℃で45分とした点以外は
実施例1と同様にして白金フレークを製造した。熱処理
後における白金粒子の平均結晶子サイズは45nmであっ
た。
【0030】<比較例2:熱処理が不十分な製造例
(2)>熱処理条件を400℃で45分とした点以外は
実施例1と同様にして白金フレークを製造した。熱処理
後における白金粒子の平均結晶子サイズは40nmであっ
た。
【0031】<比較例3:熱処理条件が厳しすぎる製造
例>熱処理条件を1100℃で45分とした点以外は実
施例1と同様にして白金フレークを製造した。
【0032】<実施例5:得られた金属フレークの評価
>実施例1〜4および比較例1、2で得られた白金フレ
ークにつき、色差計を用いてその光沢性(L値)を測定
した。その結果を、各製造例の熱処理温度および熱処理
後における平均結晶子サイズとともに以下の表1に示
す。図1は、表1に示す結果をプロットしたものであっ
て、熱処理温度に対する平均結晶子サイズ(実線のプロ
ット)および光沢性(破線のプロット)の関係を示す特
性図である。この図1から判るように、400〜900
℃の範囲では、熱処理温度が高いほど光沢性に優れた白
金フレークが得られた。
【0033】
【表1】
【0034】さらに、実施例1〜4および比較例1〜3
により得られた白金フレークを走査型電子顕微鏡により
観察した。図2は、実施例3により得られた白金フレー
クの走査型電子顕微鏡写真である。この走査型電子顕微
鏡写真から判るように、実施例3により得られた白金フ
レークは滑らかな表面を有し、その形状は平均長径1.
0〜10.0μm、平均厚さ0.5〜3μmであってほぼ
均一であった。さらに、粒子やフレークの凝集等はみら
れず、分散性も良好であった。実施例1、2および4に
より得られた白金フレークについても同様であった。
【0035】図3は、比較例2により得られた白金フレ
ークの走査型電子顕微鏡写真である。この走査型電子顕
微鏡写真から判るように、比較例2により得られた白金
フレークは十分にフレーク化されていなかった。比較例
1により得られた白金フレークについても同様であっ
た。また、これらの比較例により得られた白金フレーク
は、実施例により得られた白金フレークに比べて光沢性
に劣るものであった。なお、比較例3では白金粒子の一
部が団子状に凝集しており、均一な白金フレークを得る
ことができなかった。
【0036】以上のように、前記実施例および比較例の
製造条件(原料粒子の形状、熱処理時間等を含む総合的
な条件)においては、熱処理温度を600〜900℃の
範囲とすることにより良好な性状の白金フレークを製造
することができた。このとき、熱処理された白金粉末の
平均結晶子サイズは50〜65nmとフレーク化に適した
大きさであった。一方、この製造条件において熱処理温
度400〜500℃では、白金粉末の平均結晶子サイズ
を十分に大きくすることができず、良好な性状の白金フ
レークを得ることはできなかった。また、この製造条件
において熱処理温度1100℃では、白金粒子の焼結が
進みすぎたためこれを均一にフレーク化することができ
なかった。
【0037】
【発明の効果】本発明の金属フレーク製造方法では、原
料粉末が適切な状態となるまで熱処理を施した後にフレ
ーク化を行うことにより、白金族粒子から効率よく金属
フレークを製造することができる。本発明の方法により
得られた金属フレークは、金属顔料、導体ペースト用材
料等として好適に用いられる。前記熱処理を比較的高温
(例えば600℃以上)で行った場合には、特に光沢性
に優れた金属フレークを得ることができる。このような
金属フレークは金属顔料として特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱処理温度に対する平均結晶子サイズおよび
光沢性の関係を示す特性図である。
【図2】 実施例3により得られた白金フレークの走査
型電子顕微鏡写真である。
【図3】 比較例2により得られた白金フレークの走査
型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨田 秀幸 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 Fターム(参考) 4K018 BA01 BC01 BC08 BD04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金族元素または白金族元素を主体とす
    る合金からなる金属フレークを製造する方法であって、 (a).白金族元素または白金族元素を主体とする合金から
    なる金属粒子にその金属粒子の平均結晶子サイズが50
    nm以上となるように熱処理を施す工程と、 (b).その熱処理された金属粒子をフレーク化する工程
    と、 を包含する金属フレーク製造方法。
  2. 【請求項2】 前記(a).工程における熱処理温度が60
    0〜1000℃である請求項1に記載の金属フレーク製
    造方法。
  3. 【請求項3】 白金族元素または白金族元素を主体とす
    る合金からなる金属フレークを製造する方法であって、 (a).白金族元素または白金族元素を主体とする合金から
    なる金属粒子に700〜900℃で5分〜1時間の熱処
    理を施す工程と、 (b).その熱処理された金属粒子をフレーク化する工程
    と、 を包含する金属フレーク製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属粒子の熱処理前における平均粒
    径が0.1〜2μmの範囲にある請求項1から3のいず
    れか一項に記載の金属フレーク製造方法。
JP2001167384A 2001-06-01 2001-06-01 金属フレーク製造方法 Expired - Fee Related JP3694254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167384A JP3694254B2 (ja) 2001-06-01 2001-06-01 金属フレーク製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001167384A JP3694254B2 (ja) 2001-06-01 2001-06-01 金属フレーク製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002363602A true JP2002363602A (ja) 2002-12-18
JP3694254B2 JP3694254B2 (ja) 2005-09-14

Family

ID=19009774

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001167384A Expired - Fee Related JP3694254B2 (ja) 2001-06-01 2001-06-01 金属フレーク製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3694254B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006302848A (ja) * 2005-04-25 2006-11-02 Noritake Co Ltd 白金ペースト
JP2008174698A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Nippon Koken Kogyo Kk 平滑薄片状粉体、高光輝性顔料及びそれらの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006302848A (ja) * 2005-04-25 2006-11-02 Noritake Co Ltd 白金ペースト
JP4571009B2 (ja) * 2005-04-25 2010-10-27 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 白金ペースト
JP2008174698A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Nippon Koken Kogyo Kk 平滑薄片状粉体、高光輝性顔料及びそれらの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3694254B2 (ja) 2005-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI295597B (en) Metal power for electrically conductive paste and electrically conductive paste
CN105855566B (zh) 一种钽、铌或其合金增材的制造方法
TWI778997B (zh) 銅粉、該銅粉的製造方法、使用該銅粉之導電性糊、及使用該導電性糊之導電性膜的製造方法
CA2506367A1 (en) Copper flake powder, method for producing copper flake powder, and conductive paste using copper flake powder
DE60208360T2 (de) Verfahren zur herstellung eines sputtertargets aus manganlegierung
FR2784690A1 (fr) Poudres metalliques microniques a base de tungstene et/ou de molybdene et de materiaux de transition 3d
CN109843479A (zh) 金属增材制造用金属粉以及使用该金属粉制作的成型物
JP2006265585A (ja) 銅粉の製造法および銅粉
CN108911707A (zh) 高密度ito靶材的制备方法
WO2018123809A1 (ja) 銅粉およびその製造方法
CN107427925A (zh) 一种微细钽粉及其制备方法
TWI265062B (en) Electrode for discharge surface treatment, method for making an electrode for discharge surface treatment, discharge surface treatment apparatus and method
US20220243083A1 (en) Aqueous monodisperse starch-gold nanoparticles and process for producing the same
JP7124645B2 (ja) 酸化ルテニウム粉の製造方法及び酸化ルテニウム粉、並びに酸化ルテニウム粉を有する厚膜抵抗ペースト
JP4111425B2 (ja) 導電ペースト用の銅粉及びその銅粉を用いた導電ペースト並びにその導電ペーストを用いた導体を含んだチップ部品
JP5757759B2 (ja) アルミニウムインク組成物及びそれを用いた印刷物
JP5046044B2 (ja) 酸化マグネシウムナノ粒子の製造方法及び酸化マグネシウムナノゾルの製造方法
CN111097916B (zh) 一种超细高纯铼粉的制备方法
JP2002363602A (ja) 金属フレーク製造方法
JPH01501062A (ja) 金属酸化物バリスター前駆粉末の製造方法
JP2001294910A (ja) ナノサイズCu−Al2O3複合粉末の製造方法
JP3368420B2 (ja) 均粒モリブデン粉及びその製造方法
TW201113236A (en) Fabricating method of nano-powder and application thereof
JP6186156B2 (ja) 銀粉およびその製造方法並びにペースト、電子回路部品、電気製品
JPS59119713A (ja) 蓄電器及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040518

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040715

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040715

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050623

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090701

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090701

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100701

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110701

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120701

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120701

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130701

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees