JP3694254B2 - 金属フレーク製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属フレークを製造する方法に関する。特に、平均粒径の比較的小さな金属粒子を原料として金属フレークを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属顔料、導体ペースト用材料、粉末冶金用材料等として、フレーク状の金属粉末(金属フレーク)が用いられている。この種の従来技術としては、特開平9−95651号公報、特開平8−186049号公報、特開平9−194659号公報、特開平7−263210号公報、特開平8−134511号公報および特開平8−134512号公報に記載のもの等がある。
このような金属フレークを製造する方法としては、冷却液中に溶融金属を投入する方法、金属を水性媒体中で適当な粉砕助剤を用いて粉砕(湿式粉砕)する方法等が知られている。例えば特開平8−134511号公報には、白金合金を溶融噴霧して得られた白金合金粉末を湿式微粉砕処理してフレーク状とする強化白金材料の製造方法が開示されている。また、特開平8−134512号公報には、白金合金の溶融液滴を扁平状に固化させる工程を含む強化白金材料用粉末の製造方法が開示されている。この固化物は、さらに微粉砕された後に強化白金材料の製造に使用される。しかし、白金のように高融点の金属を溶融させるためには特殊な装置を必要とし、またエネルギーコストも嵩む。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、あらかじめ調製された比較的小さな金属粒子から金属フレークを製造する方法も知られている。例えば、白金粒子から白金フレークを製造する従来技術として、特開昭63−266003号公報には、平均粒径の比較的小さな白金粉末を焼成して所定の平均粒径となるまで大型化した後、これを物理的に(振盪ミル等を用いて)フレーク化するフレーク状白金粉末の製造方法が開示されている。しかし、前記公報に記載の方法では、白金粉末がフレーク化に適した状態まで焼成されたかどうかを判断することが難しかった。このため、焼成後の白金粉末を十分にフレーク化することができなかったり、このフレーク化に長時間を要したりする場合があった。また、白金族元素は延性や展性(以下、延展性という。)に乏しい。したがって、この方法により白金族元素からなる金属フレークを製造することは基本的に困難であった。さらに、前記公報に記載の方法により得られるフレークは、金属顔料等のように高い光沢性が求められる用途には必ずしも適さないものであった。
【0004】
そこで本発明は、白金またはその他の白金族元素あるいはこれらを主体とする合金からなる金属粒子から効率よく金属フレークを製造する方法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、白金族元素またはこれらを主体とする合金からなる光沢の高い金属フレークおよびその製造方法を提供することである。関連する他の目的は、白金またはその他の白金族元素あるいはこれらを主体とする合金をベースとするフレーク状金属顔料およびその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、白金族元素(典型的には白金)または白金族元素を主体とする合金からなる金属粒子を熱処理し、その後この熱処理された金属粒子をフレーク化する金属フレーク製造方法において、金属粒子の所定の特性値を指標として熱処理を行うことにより、あるいは熱処理条件を適当に定めることによって、上記課題が解決できることを見出して本発明を完成した。
【0006】
本発明により提供される、白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属フレークの製造方法は、(a).白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粒子原料にその金属粒子の平均結晶子サイズが50nm(500Å)以上となるように、750〜900℃で熱処理を施す工程と、(b).その熱処理された金属粒子をフレーク化する工程と、を包含する。
なお、本明細書中において「平均結晶子サイズ」とは金属粒子中の結晶子(crystallite)径の平均値をいう。この結晶子径は、X線回折データに基づいて(例えばSchellerの式を用いて)算出することができる。また、「白金族元素からなる金属粒子」とは、白金族元素(Pt、Pd、Rh、Ru、IrおよびOs)の一種または二種以上からなる金属粒子をいい、「白金族元素を主体とする合金からなる金属粒子」とは、白金族元素の一種または二種以上を主体とし、これに白金族以外の元素(白金族以外の貴金属元素および卑金属元素のいずれでもよい)を含有する合金からなる金属粒子をいう。
この製造方法では、前記(a).工程終了後において、白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粒子(以下、白金族粒子ともいう。)の平均結晶子サイズが50nm以上とされている。この範囲の平均結晶子サイズを有する白金族粒子は、その結晶性が良好であることから、フレーク化に対して十分な延展性を示す。したがって、このような形態となるように熱処理された白金族粒子を前記(b).工程において効率よくフレーク化することができる。なお、前記(a).工程は、例えば予備実験の結果等に基づいて、目標とする平均結晶子サイズが得られると推察される条件で行うことができる。すなわち、本発明の実施にあたって、その都度前記(a).工程終了後における白金族粒子の平均結晶子サイズが実際に50nm以上であることの確認を必要とするものではない。
また、前記 (a). 工程における熱処理温度は、750〜900℃の範囲内で行う。この温度範囲における熱処理によって、光沢性に優れる金属フレークを得ることができる。
【0007】
本発明の製造方法において、前記金属粒子原料の平均結晶子サイズは特に限定されないが、1〜50nmの範囲にあるものを使用することができる。
【0008】
特に、前記金属粒子原料が白金又は白金を主体とする合金からなる金属粒子である場合には、前記 (a). 工程における熱処理時間が、15分〜1時間の範囲にあることが適当である。
【0009】
また、平均結晶子サイズが200nm以下となるように、前記金属粒子原料に前記熱処理を施すことが好ましい。この平均結晶子サイズとすることにより、熱処理に要する時間を短縮して、製造効率を高めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の製造方法に用いる原料としての金属粒子および本発明の方法により製造される金属フレークは、いずれも白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる。原料としての金属粒子には、製造目的である金属フレークの組成に対応した組成を有する金属粒子を用いることが好ましい。本発明の製造方法に用いる金属粒子および/または本発明の方法により製造される金属フレークは、副成分としてさらに非金属元素を含有することができる。この金属粒子および/または金属フレークは、その組成において白金族元素の占める割合が90wt%以上であることが好ましく、95wt%以上であることがより好ましく、実質的に白金族元素のみからなることが特に好ましい。また、本発明の製造方法に用いる金属粒子および/または本発明の方法により製造される金属フレークは、実質的に白金または白金を主体とする合金からなることが好ましく、白金からなることが特に好ましい。
【0011】
本発明の製造方法における原料としての金属粒子(以下、原料粒子ともいう。)には、平均粒径の比較的小さなものを用いることが好ましい。具体的には、平均粒径が10μm以下にある金属粒子(白金族粒子)を用いることが好ましく、平均粒径が0.05〜5μmの範囲にある金属粒子がより好ましく、平均粒径が0.1〜2μm(より好ましくは0.2〜1μm)の範囲にある金属粒子がさらに好ましい。このような金属粒子を原料とすることにより、金属顔料用、導体ペースト用等として好適な形状を有する金属フレークを製造することができる。
【0012】
この原料粒子の粒径分布は比較的シャープであることが好ましい。また、この原料粒子は、粒径が過大な粒子を実質的に含まないことが好ましい。具体的には、例えば平均粒径が0.1〜2μmの範囲にある原料粒子を用いる場合であれば、この原料粒子の全粒子の70個数%以上の粒径が0.1〜2.0μmの範囲にあることが好ましい。また、この平均粒径が0.1〜2μmの範囲にある原料粒子は、粒径10μm以上(より好ましくは粒径5μm以上)の粒子を実質的に含まないことが好ましい。
原料粒子の形状はほぼ球状であることが好ましい。具体的には、原料粒子の70個数%以上が球状であることが好ましい。なお、ここで「球状」とは、粒子の長径に対する短径の比(アスペクト比)が0.8以上、より好ましくは0.9以上であることをいう。
このような粒径分布および/または形状を有する白金族粒子を原料に用いることにより、この白金族粒子のフレーク化を均一に実施することができる。また、形状(形および大きさ)の比較的揃った金属フレークを製造することができる。なお、これらの粒径、粒径分布および粒子形状は、例えば走査型電子顕微鏡写真を解析することにより測定することができる。
【0013】
原料粒子の調製方法は特に限定されないが、平均粒径の比較的小さな原料粒子が得られやすいことから、湿式還元法または噴霧熱分解法が好ましく用いられる。本発明の製造方法においては、噴霧熱分解法により調製された原料粒子が特に好ましく用いられる。この噴霧熱分解法によると、ほぼ球状でかつ粒径分布の比較的シャープな粒子を得ることができるためである。
この原料粒子の平均結晶子サイズは特に限定されず、例えば平均結晶子サイズが1〜50nmの範囲にある原料粒子を使用することができる。この原料粒子の熱処理が比較的短時間ですむこと、また熱処理による効果(すなわち、フレーク化に対する適性の向上)がよく発揮されることからは、原料粒子の平均結晶子サイズが3〜30nmの範囲にあることが好ましく、6〜12nmの範囲にあることがさらに好ましい。
【0014】
本発明の製造方法では、このような原料粒子に対してまず前記(a).工程、すなわち熱処理工程を実施する。なお、この熱処理条件は、上述のとおり、(1)平均結晶子サイズ、または(2)熱処理の温度および時間、の少なくとも一方により規定される。
【0015】
前記(1)による規定につきさらに説明する。
金属粒子を適当な条件で熱処理すると、金属粒子を構成する結晶の配列がこの熱処理により整えられる。すなわち、適当な条件で熱処理を行うことにより金属粒子の結晶性が向上する。この結晶性の向上は、金属粒子の平均結晶子サイズの上昇として観察される。また、金属粒子の結晶性が向上すると、一般にこの金属粒子の延展性が向上する。したがって、フレーク化に対して十分な延展性を示すに足る平均結晶子サイズに到達するまで白金族粒子を熱処理することにより、この熱処理された白金族粒子を後続する工程((b).工程)において効率よくフレーク化することができる。本発明者の検討によれば、白金族粒子のフレーク化を行うために適した平均結晶子サイズは50nm(500Å)以上であり、より好ましくは60nm(600Å)以上であった。なお、平均結晶子サイズの上限は特に限定されない。熱処理に要する時間を短縮して製造効率を高めるという観点から、通常は200nm(2000Å)以下とすることが好ましい。
【0016】
かかる範囲の平均結晶子サイズを有する白金族粒子が得られる限りにおいて、この熱処理の具体的な条件(処理温度および処理時間等)は特に限定されない。好ましい熱処理温度としては600〜1000℃が例示され、より好ましくは700〜900℃である。熱処理温度が600℃よりも低すぎると、目標とする平均結晶子サイズに到達するまでに長時間を要するため金属フレークの製造効率が低下したり、目標とする平均結晶子サイズにまで到達させられなかったりする場合がある。一方、熱処理温度が1000℃よりも高すぎると、この熱処理により十分に大きな平均結晶子サイズが得られなかったり、白金族粒子の焼結が進みすぎてフレーク化が困難となったりする場合がある。なお、高光沢の金属フレークを得るという観点からは、熱処理を比較的高温で行うことが好ましい。高光沢の金属フレークを得るための好ましい熱処理温度は600℃以上、より好ましくは700℃以上、さらに好ましくは750℃以上である。
また、金属フレークの製造効率を向上させるとともに過剰な焼結を防止するという観点から、熱処理時間は6時間以下とすることが好ましく、より好ましくは3時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。熱処理時間の下限は特に限定されないが、目標とする平均結晶子サイズに到達するまでの時間は通常5分以上である。
【0017】
次に、前記(2)による規定につき説明する。
本発明に用いる原料粒子は、700〜900℃で5分〜1時間の熱処理を施すことにより、フレーク化に適した特性(例えば延展性)を有する状態とすることができる。この条件で熱処理を行った後において、金属粒子の平均結晶子サイズは50nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましい。前記熱処理条件に比べて条件が緩やか過ぎる場合には、熱処理後の白金族粒子を後続する工程で十分にフレーク化することができなかったり、フレーク化に長時間を要したりする場合がある。一方、前記熱処理条件に比べて条件が厳しすぎる場合には、この白金族粒子のフレーク化に対する適性(例えば延展性)が再び低下したり、白金族粒子の焼結が進みすぎてフレーク化が困難となったりする場合がある。なお、高光沢の金属フレークを得るという観点からは、熱処理温度を750℃以上とすることが好ましい。
特に、原料粒子として白金または白金を主体とする合金からなる金属粒子を用いる場合には、熱処理温度を750〜900℃とし、熱処理時間を15分〜1時間とすることが適当である。
【0018】
前記(a).工程は、酸化性雰囲気および非酸化性雰囲気のいずれの雰囲気で行ってもよい。通常は、酸化性雰囲気(典型的には大気中)で熱処理を行うことが簡便であり好ましい。
なお、通常この(a).工程において白金族粒子は軽く焼結される。ただし、後続する工程で問題(例えば、過度の焼結によりフレーク化が困難となる等)を生じない限りにおいて、この焼結の程度は特に限定されない。
【0019】
次いで、前記(b).工程において、前記(a).工程で熱処理された白金族粒子をフレーク化する。このフレーク化には、らいかい機、ポットミル、振盪ミル、ビーズミルあるいはボールミル等の装置を用いることができる。これらの装置を適当な条件で振盪または回転させればよい。フレーク化の際、白金族粉末とともにこれらの装置に入れる粉砕子(ボール等)の材質は特に限定されず、例えばステンレス、アルミナ、メノウ、ジルコニアおよびガラス等からなるものを使用することができる。粉砕子の使用量は、熱処理後の白金族粉末の重量に対して例えば1〜20倍程度とすることができる。粉砕子の使用量が少なすぎると、フレーク化の進行が不均一となったり、フレーク化に長時間を要したりする場合がある。
【0020】
このフレーク化は、乾式および湿式のいずれの方法でも行うことができる。湿式法による場合の媒体としては、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。この混合溶媒における水溶性有機溶媒の好ましい含有量は50容量%以下である。水溶性有機溶媒としては、フレーク化を行った後に得られた金属フレークから除去しやすいものが好ましい。例えば、低級アルコール、低級ケトン、低級カルボン酸およびそのエステル類から選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。操作性等の点から、特に好ましい水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールが挙げられる。なお、フレーク化の終了後に媒体を除去する工程を省略できることから、本発明の製造方法においては乾式法によりフレーク化を行うことが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法により得られる金属フレークの形状は、原料粉末の粒径、前記(a).工程(熱処理工程)の処理条件、前記(a).工程終了後の平均結晶子サイズ、前記(b).工程(フレーク化工程)の実施条件等により調節することができる。この製造方法により得られる金属フレークの好適な形状としては、その平均長径が20μm以下(より好ましくは10μm以下)、平均厚さが5μm以下(より好ましくは3μm以下)であるものが挙げられる。得られた金属フレークの形状は均一に近いことが好ましい。例えば、得られた金属フレークの全重量のうち、長径5〜20μm、厚さ1〜5μmの金属フレークがその70wt%以上を占めることが好ましい。
【0022】
本発明の製造方法によると、光沢性に優れた金属フレークを得ることができる。このような金属フレークは金属顔料(例えば、食器その他のセラミックス製品の装飾に用いられる金属顔料)として好適である。具体的な光沢の程度としては、例えば平均長径20μm以下の金属フレークにおいてL値45以上を達成することができ、さらに好ましい条件ではL値50以上の金属フレークを得ることができる。なお、この「L値」は色差計により測定することができる。金属顔料用途の金属フレークを製造する場合には、前記(a).工程において平均結晶子サイズが60nm以上(より好ましくは65nm以上)となる条件で熱処理を行うことが好ましい。また、このときの処理温度は700〜900℃(より好ましくは750〜900℃)とすることが好ましい。
【0023】
また、本発明の製造方法によると、平均結晶子サイズが比較的大きい(結晶性が高い)金属フレークを得ることができる。このような金属フレークは、その充填性が良好であることから、電子部品の製造等に用いられる導体ペーストの構成材料として好適である。すなわち、この金属フレークを用いて調製された導体ペーストによると緻密な導体膜等を形成することができる。
その他、本発明の製造方法により得られた金属フレークは、従来の方法により得られた白金族元素またはこれを主体とする合金からなる金属フレークあるいは他の組成の金属フレークと同様の用途、例えば粉末冶金材料等にも用いることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0025】
<実施例1:本発明の方法による金属フレークの製造例(1)>
原料粒子としては、一般的な湿式還元法により調製された平均粒径0.5μm、平均結晶子サイズ8nmの白金粉末を用いた。この白金粒子(原料粒子)に対し、大気雰囲気において900℃で45分の熱処理を施した。この熱処理された白金粒子の平均結晶子サイズは55nmであった。その後、熱処理された白金粒子をポットミルによりフレーク化した。このフレーク化は乾式法により行い、処理時間は概ね24〜120時間とすることが好ましいが、ここでは48時間程度とした。このようにして白金フレークを製造した。
【0026】
<実施例2:本発明の方法による金属フレークの製造例(2)>
熱処理条件を800℃で45分とした点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは65nmであった。
【0027】
<実施例3:本発明の方法による金属フレークの製造例(3)>
熱処理条件を700℃で45分とした点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは60nmであった。
【0028】
<実施例4:本発明の方法による金属フレークの製造例(4)>
熱処理条件を600℃で45分とした点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは50nmであった。
【0029】
<比較例1:熱処理が不十分な製造例(1)>
熱処理条件を500℃で45分とした点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは45nmであった。
【0030】
<比較例2:熱処理が不十分な製造例(2)>
熱処理条件を400℃で45分とした点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造した。熱処理後における白金粒子の平均結晶子サイズは40nmであった。
【0031】
<比較例3:熱処理条件が厳しすぎる製造例>
熱処理条件を1100℃で45分とした点以外は実施例1と同様にして白金フレークを製造した。
【0032】
<実施例5:得られた金属フレークの評価>
実施例1〜4および比較例1、2で得られた白金フレークにつき、色差計を用いてその光沢性(L値)を測定した。その結果を、各製造例の熱処理温度および熱処理後における平均結晶子サイズとともに以下の表1に示す。図1は、表1に示す結果をプロットしたものであって、熱処理温度に対する平均結晶子サイズ(実線のプロット)および光沢性(破線のプロット)の関係を示す特性図である。この図1から判るように、400〜900℃の範囲では、熱処理温度が高いほど光沢性に優れた白金フレークが得られた。
【0033】
【表1】
Figure 0003694254
【0034】
さらに、実施例1〜4および比較例1〜3により得られた白金フレークを走査型電子顕微鏡により観察した。
図2は、実施例3により得られた白金フレークの走査型電子顕微鏡写真である。この走査型電子顕微鏡写真から判るように、実施例3により得られた白金フレークは滑らかな表面を有し、その形状は平均長径1.0〜10.0μm、平均厚さ0.5〜3μmであってほぼ均一であった。さらに、粒子やフレークの凝集等はみられず、分散性も良好であった。実施例1、2および4により得られた白金フレークについても同様であった。
【0035】
図3は、比較例2により得られた白金フレークの走査型電子顕微鏡写真である。この走査型電子顕微鏡写真から判るように、比較例2により得られた白金フレークは十分にフレーク化されていなかった。比較例1により得られた白金フレークについても同様であった。また、これらの比較例により得られた白金フレークは、実施例により得られた白金フレークに比べて光沢性に劣るものであった。
なお、比較例3では白金粒子の一部が団子状に凝集しており、均一な白金フレークを得ることができなかった。
【0036】
以上のように、前記実施例および比較例の製造条件(原料粒子の形状、熱処理時間等を含む総合的な条件)においては、熱処理温度を600〜900℃の範囲とすることにより良好な性状の白金フレークを製造することができた。このとき、熱処理された白金粉末の平均結晶子サイズは50〜65nmとフレーク化に適した大きさであった。一方、この製造条件において熱処理温度400〜500℃では、白金粉末の平均結晶子サイズを十分に大きくすることができず、良好な性状の白金フレークを得ることはできなかった。また、この製造条件において熱処理温度1100℃では、白金粒子の焼結が進みすぎたためこれを均一にフレーク化することができなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の金属フレーク製造方法では、原料粉末が適切な状態となるまで熱処理を施した後にフレーク化を行うことにより、白金族粒子から効率よく金属フレークを製造することができる。本発明の方法により得られた金属フレークは、金属顔料、導体ペースト用材料等として好適に用いられる。前記熱処理を比較的高温(例えば600℃以上)で行った場合には、特に光沢性に優れた金属フレークを得ることができる。このような金属フレークは金属顔料として特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱処理温度に対する平均結晶子サイズおよび光沢性の関係を示す特性図である。
【図2】 実施例3により得られた白金フレークの走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】 比較例2により得られた白金フレークの走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属フレークを製造する方法であって、
    (a).白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粒子原料に、その金属粒子の平均結晶子サイズが50nm以上となるように、750〜900℃で熱処理を施す工程と、
    (b).その熱処理された金属粒子をフレーク化する工程と、
    を包含する金属フレーク製造方法。
  2. 前記金属粒子原料の平均結晶子サイズが1〜50nmの範囲にある、請求項1に記載の金属フレーク製造方法。
  3. 前記金属粒子原料が白金又は白金を主体とする合金からなる金属粒子であって、
    前記(a)工程における熱処理時間が15分〜1時間の範囲にある、請求項1又は2に記載の金属フレーク製造方法。
  4. 平均結晶子サイズが200nm以下となるように、前記金属粒子原料に前記熱処理を施す、請求項1〜3のいずれかに記載の金属フレーク製造方法。
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