JP2008150625A - ポリブチレンテレフタレートの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異物生成が少なく靭性の優れたポリブチレンテレフタレートを連続直接エステル化による方法で製造する。
【解決手段】 テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを連続的にエステル化反応し、次いで重縮合反応することによりポリブチレンテレフタレートを製造するに際し、エステル化反応を、ジカルボン酸に対するジオールのモル比(P)を1.1〜1.6で、有機チタン化合物の存在下又は有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で、かつ、ジカルボン酸成分に対する有機チタン化合物の量を、下記式
有機チタン化合物量(モル%)≦0.08×P−0.07
(P=ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比)
を満たす量として行ない、次いで重縮合反応を行なう。
【選択図】なし
【解決手段】 テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを連続的にエステル化反応し、次いで重縮合反応することによりポリブチレンテレフタレートを製造するに際し、エステル化反応を、ジカルボン酸に対するジオールのモル比(P)を1.1〜1.6で、有機チタン化合物の存在下又は有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で、かつ、ジカルボン酸成分に対する有機チタン化合物の量を、下記式
有機チタン化合物量(モル%)≦0.08×P−0.07
(P=ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比)
を満たす量として行ない、次いで重縮合反応を行なう。
【選択図】なし
Description
本発明は、品質に優れたポリブチレンテレフタレートを、連続直接エステル化し重縮合することにより製造する方法及び靭性に優れたポリブチレンテレフタレートに関するものである。
ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称する)は優れた成形性や耐熱性、機械的性質、耐薬品性などを有しているため、電気部品や自動車部品などの成形材料として、またソフト性やストレッチ性を生かして繊維用としても広く用いられている。
このようなPBTの製造法の1つとして、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールからPBTオリゴマーを製造するエステル化工程と、生成したPBTオリゴマーを高重合度化する重縮合工程とからなる直接重合法がある。かかるPBTの直接重合法におけるエステル化工程では触媒の存在が不可欠であり、その触媒としては有機チタン触媒が最も一般に用いられている。
PBT製造における連続重合法は、品質の安定したポリマーが得られることから有用な方法であり、特許文献1にはチタン触媒を用いた連続直接重合法が、また、特許文献2には、1,4−ブタンジオール/テレフタル酸のモル比が2以上で、チタン触媒またはスズ触媒のいずれか一方を用いた連続直接重合法が開示されている。これらの方法はテレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比を2以上としてエステル化を行う場合には有効である。
特開昭52−51495号公報
特開昭62−195017号公報
一方、副反応の抑制やエーテル鎖のポリマーへの組込を防止するためには、そのモル比は小さい方が望ましい。しかし、上記した従来の連続直接重合法の条件では、モル比を小さくして連続重合を行うと、エステル化工程において有機チタン化合物(例えばチタン酸エステル)の失活により多量の異物生成が起こり、得られるPBTの機械特性が大きく悪化する問題などが生じ、工業製品として望ましい品質のPBTを得ることが困難であった。
そこで、本発明は、異物が少なく靭性に優れたPBTが得られる連続直接重合法によるPBT製造法を提供すること、併せて、従来よりもさらに品質の向上したPBTを提供することを主な目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものであり、本発明のPBTの製造法は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとから連続的にエステル化反応し、重縮合反応することによりPBTを製造するに際し、エステル化反応を、ジカルボン酸に対するジオールのモル比(P)を1.1〜1.6で、有機チタン化合物の存在下又は有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で、かつ、有機チタン化合物の量をジカルボン酸成分に対して下記式有機チタン化合物量(モル%)≦ 0.08 × P − 0.07(P=ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比)を満たす量として行ない、次いで重縮合反応を行なうことを特徴とする。
なかでも、エステル化反応を、有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で行なうことが好ましく、有機チタン化合物がテトラブトキシチタンであることが好ましい。また、有機スズ化合物がモノアルキルスズ化合物及び/又はアルキルスタンノン酸であることが好ましく、有機スズ化合物の添加量が、生成するPBT100重量部に対して0.02〜0.15重量部であることが好ましい。さらにまた、エステル化反応を200〜240℃の温度かつ100〜600mmHgの減圧下で行なうことが好ましい。
さらに、本発明に係るPBTは、降温結晶化温度が170℃〜180℃であり、溶液ヘイズが20%以下であり、かつ、射出成形による成形品中の平均球晶半径が4μm以下となることを特徴とするものであり、さらに、請求項1〜6のいずれかに記載の製造法により得られるPBTであることが好ましい。併せて、これらPBTにより得られる靭性に優れたPBT成形品を提供する。
本発明のPBTの製造法によると、異物が非常に少なく靱性の優れたPBTを連続直接エステル化による方法で製造することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリブチレンテレフタレート(PBT)とは、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、主たるグリコール成分として1,4−ブタンジオールを用いた、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステルを指すが、その他の酸成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などを、また、その他のグリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを用いることもできる。これらの共重合成分はそれぞれ、テレフタル酸または1,4−ブタンジオールに対して40モル%以下であることが好ましい。
また、酸成分とグリコール成分の比は、テトラヒドロフランの副生などの副反応を抑制するために、グリコール成分の酸成分に対するモル比(P)が1.1〜1.6である必要がある。
本発明で用いられる有機チタン化合物は、(R1O)nTi(OR2)4−n(ただし、R1、R2は炭素数1〜l0の脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基、nは0〜4の数字(小数を含む)である。)で表されるチタン酸エステルおよび縮合物で代表される。
具体的には、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどがある。これらのうちでもチタン酸のテトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステルなどが好ましく、特にチタン酸のテトラ−n−ブチルエステルが好ましい。これらの有機チタン化合物は一種でもよく、二種以上を併用することもできる。
この有機チタン化合物の添加量は、ジカルボン酸成分に対して、下記式
有機チタン化合物量(モル%)≦0.08×P−0.07
(Pはジオール成分のジカルボン酸成分に対するモル比)
を満たす量とする。それを超える量を添加した場合にはポリマー中の異物が急増するので本発明の目的を達成することができない。また、有機チタン化合物の添加量は少なくとも、ジカルボン酸成分に対して0.01モル%以上であることが好ましい。
有機チタン化合物量(モル%)≦0.08×P−0.07
(Pはジオール成分のジカルボン酸成分に対するモル比)
を満たす量とする。それを超える量を添加した場合にはポリマー中の異物が急増するので本発明の目的を達成することができない。また、有機チタン化合物の添加量は少なくとも、ジカルボン酸成分に対して0.01モル%以上であることが好ましい。
本発明で用いることができる有機スズ化合物は、下記一般式
(ただし、Rはアルキル基またはアリール基、X1〜X4はアルキル基、アリール基、アリルオキシ基、シクロヘキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン等を含む1価の基を示し、同一であっても異なっていてもよい。また、X5は硫黄または酸素原子を示す。)で表される化合物およびその縮合体で代表される。
その具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイドなどをあげることができる。その中でもモノアルキルズズ化合物が好ましい。
また、他の有機スズ化合物としては、スタノキサンも用いることができ、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸が好ましい。これらの有機スズ化合物は1種でもよく、2種以上併用することもできる。
本発明におけるエステル化工程の触媒として有機スズ化合物は必須ではないが、有機チタン化合物とともに有機スズ化合物を併用することがエステル化工程における反応率を高め後工程におけるヘイズ抑制を図るために好ましく、その添加量は生成するPBT100重量部に対して0.02〜0.15重量部が好ましく、更に0.03〜0.1重量部が好ましい。
本発明を実施に用いる連続エステル化装置は、特に限定されるものではないが、完全混合槽型エステル反応器であることが好ましい。エステル化反応は、反応温度180〜250℃、好ましくは200〜240℃で、圧力760mmHg以下、好ましくは100〜600mmHgの減圧下で行うことが好ましい。(1mmHg=1.33322×102Pa) さらに、結晶化特性に優れるPBTを得るためには、反応温度200〜240℃かつ圧力100〜600mmHgでエステル化反応を行うことが好ましい。また、全エステル化反応後のPBTオリゴマーの反応率は97%以上であることが好ましい。
連続エステル化反応で製造したPBTオリゴマーは次に重縮合反応させるが、その方法は特に限定されるものではなく、回分法でも連続法でもよく、通常のPBTの製造に用いられる重合条件をそのまま適用することができ、例えば反応温度としては230〜260℃が好ましく、240〜255℃がさらに好ましい。
本発明の方法でPBTを製造するに際し、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、染料および顔料を含む着色剤などの1種または2種以上を添加することができる。特に本発明において、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、リン酸トリアミド、リン酸モノアンモニウム、リン酸トリメチル、リン酸ジメチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリフェニル、ホスホン酸ジメチルフェニル等のリン化合物を添加すると、ポリマー色調改善に著しい効果がある。
本製造法でPBTを製造した場合、従来の方法で製造した場合よりも樹脂靱性に優れたPBTを得ることができる。即ち、本製造法で製造したPBTは、示差走査熱量計(DSC)で測定した降温結晶化温度が170℃〜180℃であり、さらに、溶液ヘイズが20%以下、好ましくは15%以下である。これら値は従来の方法によるPBTでも得られるが、射出成形による成形品中の平均球晶半径が4μm以下と、従来の方法で製造したPBTを成形した場合よりも小さな平均球晶半径の成形品を与えることができる。
このように平均球晶半径が小さい成形品は靱性、特に長期熱時の靱性に優れるという従来にない特徴を有する。球晶サイズの小さな成形品は核剤などを用いることでも得ることができるが、同時に靱性の低下や長期特性の悪化という問題を伴う。それに対し、本製造法で製造したPBTはそのような問題がなく、各種の自動車部品や電気・電子部品などに有用に用いることができる。
本発明における上記物性値は次の測定方法による。
降温結晶化温度:示差走査熱量計(DSC)により、試料ポリマーを250℃で溶融後、20℃/分で降温し、降温時の結晶化温度(Tc)を測定する。
溶液ヘイズ:試料ポリマー5.4gをフェノールと四塩化エタン(60:40wt%)の混合溶媒40mLに加熱溶解し、この溶液を30mmのセルにいれて積分式ヘーズメーター(日本精密光学製)で測定する。この値が大きいほど異物が多いと言える。
射出成形による成形品中の平均球晶半径:試料ポリマーをスクリュー式射出成形機を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度40℃、成形サイクル25秒でASTM1号ダンベル試験片を成形する。試験片の平均球晶サイズは、試験片の8カ所からサンプリングし撮影した電子顕微鏡写真から求める。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例中、得られたオリゴマーの反応率は、反応物の酸価、ケン化価から次式に従って求めた。
反応率={(ケン化価−酸価)/ケン化価}×100(%)
酸価: 反応物をo−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解し、エタノール性水酸化カリウムで滴定して得た値
ケン化価: 反応物をアルカリ加水分解し、酸で逆滴定した値。
また、副生したテトラヒドロフラン(THF)の量はガスクロマトグラフにより定量した。
反応率={(ケン化価−酸価)/ケン化価}×100(%)
酸価: 反応物をo−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解し、エタノール性水酸化カリウムで滴定して得た値
ケン化価: 反応物をアルカリ加水分解し、酸で逆滴定した値。
また、副生したテトラヒドロフラン(THF)の量はガスクロマトグラフにより定量した。
実施例1〜3
予め反応率90%のPBTオリゴマーを充填した完全混合槽型第1エステル化反応器に、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを、テレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比(P)が表1に示す値になるようにスラリー状にして連続的に供給した。また同時に、ブチルヒドロキシスズオキサイドを、生成するポリマー(PBT)に対する重量%が表1の値となるように、さらに、テトラブトキシチタネートを、生成するポリマー(PBT)に対する重量%、テレフタル酸に対するモル%が表1の値となるような量で、添加した。
予め反応率90%のPBTオリゴマーを充填した完全混合槽型第1エステル化反応器に、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを、テレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比(P)が表1に示す値になるようにスラリー状にして連続的に供給した。また同時に、ブチルヒドロキシスズオキサイドを、生成するポリマー(PBT)に対する重量%が表1の値となるように、さらに、テトラブトキシチタネートを、生成するポリマー(PBT)に対する重量%、テレフタル酸に対するモル%が表1の値となるような量で、添加した。
第1エステル化反応器は温度220℃、圧力500mmHgに維持した。ただし、モル比が1.4の場合には圧力を400mmHgに、モル比が1.2の場合には圧力を300mmHgに維持した。第1エステル化反応器のPBTオリゴマーを連続的に取り出し、予め反応率98%のPBTオリゴマーを充填した完全混合槽型の第2エステル化反応器に供給した。
第2エステル化反応器は、反応温度230℃、圧力300mmHgになるように制御した。ただし、モル比が1.2の場合には圧力を200mmHgに制御した。第2エステル化反応器のPBTオリゴマーを連続的に取り出し、フレーク状に粉砕した。
スラリーの供給速度及びオリゴマーの取り出し速度は、第1エステル化反応器の滞留時間が240分、第2エステル化反応器の滞留時間が60分になるように調整した。反応が18時間後に定常状態に達した後、6時間留出液、オリゴマーのサンプリングを行い、反応率、テトラヒドロフラン副生量の測定を行った。
さらに、第2エステル化反応器から取出したオリゴマーにテトラブトキシチタネートを生成ポリマーに対して0.03wt%添加し、250℃、減圧下(1mmHg以下)で3時間回分法で重縮合反応を行ってPBTを得、その溶液ヘイズを測定した。それらの結果を表1に示す。
比較例1〜3
エステル化工程で添加するテトラブトキシチタネートの量を、表1の値となるように変更した以外は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
エステル化工程で添加するテトラブトキシチタネートの量を、表1の値となるように変更した以外は実施例1と同様に行なった。その結果を表1に示す。
比較例4〜5テレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比(P)、添加するブチルヒドロキシスズオキサイドとテトラブトキシチタネートの量を、表1の値となるようにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に行った。ただし、比較例4では第1エステル化反応器は温度210℃、滞留時間は120分とした。その結果を表1に示す。
さらに、上記の実施例、比較例で得られたポリマーについて、降温結晶化温度(Tc)、固有粘度を測定した。ポリマーの固有粘度は、試料をo−クロロフェノールに溶解後、25℃で測定した。
また、得られたポリマーをスクリュー式射出成形機を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度40℃、成形サイクル25秒でASTM1号ダンベル試験片を成形した。試験片の平均球晶サイズを電子顕微鏡写真から求めた。この試験片を用いて、ASTM・D638に準拠して、引張降伏強度及び破断伸度を測定した。また、この試験片を150℃の熱風オーブン中で100時間乾熱処理したもの、及び80℃、95%RHの恒温恒湿槽で500時間湿熱処理したものについても同様に引張降伏強度と破断伸度を測定した。
また、エステル化からバッチ法で製造したPBT(東レ“トレコン”、溶液ヘイズ8%)についても同様に評価した(比較例6)。結果を表2に示す。
上記の結果から明らかなように、本発明のPBT製造法によるポリマーは、溶液ヘイズの値が小さく、異物となった触媒の量が非常に少ないものであった。また、エステル化反応時のTHF副生量が少なく、ポリマーの結晶化温度が高いものであった。さらに、成形品中の平均球晶半径が小さく靭性が優れたものであった。
これに対し、エステル化工程におけるチタン触媒量が多過ぎた比較例1〜3の場合は特に溶液ヘイズが大きく、異物量が多く靭性が劣るものであった。また、テレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比(P)が大き過ぎる比較例4の場合は、エステル化反応時のTHF副生量が多く、また成形品中の平均球晶半径が大きくなり、靭性特に乾熱処理や湿熱処理後の靭性が劣っていた。さらにまた、エステル化工程でチタン触媒を用いなかった比較例5の場合は、エステル化反応が十分に進まず、また溶液ヘイズが高く所望の靭性を得ることができなかった。比較例6のとおり、バッチ法で製造した従来のPBTの場合は成形品中の平均球晶半径が大きく、特に乾熱処理後や湿熱処理後の靭性が、本発明によるポリマーよりも劣っていた。
Claims (6)
- テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとを連続的にエステル化反応し、次いで重縮合反応することによりポリブチレンテレフタレートを製造するに際し、エステル化反応を、ジカルボン酸に対するジオールのモル比(P)を1.1〜1.6で、有機チタン化合物の存在下又は有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で、かつ、ジカルボン酸成分に対する有機チタン化合物の量を、下記式
有機チタン化合物量(モル%)< 0.08 × P − 0.07
(P=ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比)
を満たす量として行ない、次いで重縮合反応を行なうことを特徴とするポリブチレンテレフタレートの製造法。 - エステル化反応を、有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で行なうことを特徴とする請求項1記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
- 有機チタン化合物がテトラブトキシチタンであることを特徴とする請求項1又は2記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
- 有機スズ化合物がモノアルキルスズ化合物及び/又はアルキルスタンノン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
- 有機スズ化合物の添加量が、生成するポリブチレンテレフタレート100重量部に対して0.02〜0.15重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
- エステル化反応を200〜240℃の温度かつ100〜600mmHgの減圧下で行なうことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
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