JP2008144078A - pH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液及びその製造方法 - Google Patents

pH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】等電点でも凝集することのないpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液を提供することを課題とする。
【解決手段】重合性ビニル系モノマー100重量部及び該重合性ビニル系モノマーと重合可能な特定の水溶性重合性モノマー5〜40重量部含む重合性モノマー混合物を、水性媒体中、ノニオン性界面活性剤及び水溶性アゾ系重合開始剤の存在下で、乳化重合させて重合体粒子の水系分散液を得る工程を含み、
前記ノニオン性界面活性剤が、16〜18.5のHLB値を有し、かつ前記重合性モノマー混合物100重量部に対して、5重量部より多く、かつ15重量部以下使用され、前記水系分散液中の重合体粒子が、0.01〜0.1μmの平均粒子径(水系分散液のpHが3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12の際の平均粒子径の平均値)を有することを特徴とするpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液の製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、pH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ノニオン性界面活性剤及び水溶性アゾ系重合開始剤の存在下での乳化重合法によって得られ、水系分散液のpH変化により重合体粒子表面の電荷の正負が変化する、いわゆるpH応答性を示し、かつpHが3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12の際の重合体粒子の粒子径の平均値が0.1μm以下であるpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液及びその製造方法に関する。
表面が正電荷(カチオン)、あるいは負電荷(アニオン)に帯電している重合体粒子は、イオン性化合物捕捉・放出剤、イオン交換カラム充填剤、ドラッグデリバリー用粒子等に利用されている。
上記重合体粒子は表面電荷が正又は負に固定されているが、重合体粒子の表面電荷を正電荷と負電荷の間で可逆的に操作できれば、一種類の重合体粒子で電荷状態の異なるイオン性化合物の捕捉・放出が可能になる。そのような重合体粒子として、特開2006−77037号公報(特許文献1)に記載の粒子が知られている。この公報は以下のような技術である。
例えば、これまでDNAの精製には、電気泳動によるバンドの切り出し、逆相、又はイオン交換クロマトグラフィーを用いるのが一般的あった。しかし、これらの方法では補足に時間がかかるのに加えて、有機溶媒を使用しなければならない等の理由から煩雑な作業が必要であった。
そこで、この公報では、水系分散液のpHの変化によって、水系分散液中の重合体粒子の表面電荷が正となったり、負となったりする、いわゆるpH応答性両性イオン重合体粒子水系分散液をDNAの精製に用いることが記載されている。
このようなpH応答性両性イオン重合体粒子水系分散液は、水系分散液のpHを変化させるだけで、DNAと不要物を簡便に分離できる。その結果、1つの水系分散液のpHを調整するだけで、その中の重合体粒子にアニオン又はカチオン性化合物を捕捉させること、かつ重合体粒子から放出させることが可能になる。
水系分散液中の重合体粒子には、その平均粒子径を0.1μm以下とすることが望まれている。これは、平均粒子径を0.1μm以下とすることで、水系分散液中の重合体粒子の全表面積を増大できるためである。その結果、水系分散液中で、イオン性化合物の捕捉・放出をより効率的に行える。
ところで、重合体粒子の水系分散液の製造方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等が知られている。これら製造方法は、目的とする重合体粒子の粒子径や表面電荷に応じて使い分けられている。これら製造方法の内、0.1μm以下の重合体粒子の水系分散液を得る方法は、乳化重合法が最も適している。
乳化重合法では、水性媒体中でイオン性界面活性剤の存在下、水溶性重合開始剤により非水溶性ビニル系モノマーの重合が行われ、平均粒子径が0.01〜0.1μmで粒子径の揃った重合体粒子の水系分散液が得られることが知られている(特許第3352692号公報:特許文献2、特開2000−109703号公報:特許文献3)
しかし、イオン性界面活性剤の存在下で得られる重合体粒子は、正又は負のどちらか一方の表面電荷であるため、pH応答電荷変動性イオン重合体粒子の水系分散液とはなり得ない。
特に、特開2000−109703号公報では、イオン性界面活性剤以外に、ノニオン性界面活性剤を使用できるという記載がある。しかし、この公報に具体的に例示されているノニオン性界面活性剤であるRN−20(第一工業製薬社製)やアデカリアソープNE−20(旭電化工業社製)を使用した場合、平均粒子径は0.5μm以上の重合体粒子しか得られないことが判った。その上、上記公報で具体的に例示されている重合開始剤との組合せでは、pH応答電荷変動性を有する重合体粒子の水系分散液を得ることができない。
一方、pH応答電荷変動性(pH応答性両性イオン)重合体粒子の水系分散液は、pHを変化させると、あるpHにおいて重合体粒子が電荷をもたない状態、すなわち、等電点が存在することが知られている(特開2006−77037号公報の図3A及びB)。
等電点では、重合体粒子が電荷を有していないため、重合体粒子間の電荷反発が消失している。そのため、重合体粒子が凝集しやすくなる。また、一度凝集してしまうと、重合体粒子は元の分散状態に戻らなくなることが判った。凝集すると重合体粒子の表面積が小さくなり、イオン性化合物捕捉・放出性が低下するため、捕捉・放出剤としての寿命が短くなる。従って、等電点でも凝集することのないpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液が求められている。
特開2006−77037号公報 特許第3352692号公報 特開2000−109703号公報
本発明の発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、HLB値が16.0〜18.5であるノニオン性界面活性剤、及び水溶性アゾ系重合開始剤を使用することで、平均粒子径が0.01〜0.1μmのpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液が得られることを見出し、本発明にいたった。
かくして本発明によれば、重合性ビニル系モノマー100重量部及び該重合性ビニル系モノマーと重合可能な一般式(I)又は(II):
Figure 2008144078
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基、Aは−O−又は−NH−、Eは炭素数2〜4のアルキレン基又はヒドロキシ置換アルキレン基である)で表される水溶性重合性モノマー5〜40重量部含む重合性モノマー混合物を、水性媒体中、ノニオン性界面活性剤及び水溶性アゾ系重合開始剤の存在下で、乳化重合させて重合体粒子の水系分散液を得る工程を含み、
前記ノニオン性界面活性剤が、16〜18.5のHLB値を有し、かつ前記重合性モノマー混合物100重量部に対して、5重量部より多く、かつ15重量部以下使用され、
前記水系分散液中の重合体粒子が、0.01〜0.1μmの平均粒子径(水系分散液のpHが3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12の際の平均粒子径の平均値)を有することを特徴とするpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記方法によって得られた重合体粒子の水系分散液であって、該水系分散液が、
(1)pH3〜12において、10〜50mVのゼータ電位の最大値の絶対値を有し、
(2)pH3〜12において、ゼータ電位が0mVの等電点を有し、かつ、
(3)pH3、等電点、pH12における平均粒子径をそれぞれ、D3、Di、D12、としたとき、
0≦|(D3−Di)|/D3×100≦15、
かつ、
0≦|(D12−Di)|/D12×100≦15
の式を満たすことを特徴とするpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液が提供される。
本発明の水系分散液は、
(1)水系分散液のpHの変化によってその表面電荷が正となったり、負となったりする、いわゆるpH応答電荷変動性重合体粒子を含んでいる、
(2)重合体粒子のpH3〜12の平均粒子径の平均値が0.1μm以下である、
(3)等電点においても重合体粒子が凝集せずに分散している
という特徴を有している。そのため、水系分散液としての、イオン性化合物捕捉剤、ドラッグデリバリー剤、水質浄化剤、診断検査薬等として適している。
本発明は、重合性ビニルモノマー混合物を、水性媒体中、ノニオン性界面活性剤及び水溶性アゾ系重合開始剤の存在下、乳化重合させることでpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液を得る方法である。
重合性ビニルモノマー混合物は、一般式(I):
Figure 2008144078
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基、Aは−O−又は−NH−、Eは炭素数2〜4のアルキレン基又はヒドロキシ置換アルキレン基である)で表される水溶性重合性モノマーと、該水溶性重合性モノマーと共重合可能な重合性ビニル系モノマーとからなる。本明細書において、「水溶性」とは、水100gに50g以上溶解することを意味する。
一般式(I)及び(II)中、R2及びR3としての炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルが挙げられる。これらの内、メチル、エチルが好ましい。
一般式(I)中、Eとしての炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、プロピレン等が挙げられる。
一般式(I)中、Eとしての炭素数2〜4のヒドロキシ置換アルキレン基としては、上記アルキレン基中の水素原子を1〜2個のヒドロキシ基で置換した基である。ヒドロキシ基の置換位置は、特に限定されない。具体的には、ヒドロキシエチレン、ヒドロキシトリメチレン、ヒドロキシテトラメチレン、ジヒドロキシテトラメチレン等が挙げられる。
上記Eの内、エチレン、トリメチレンが好ましい。
更に、一般式(I)において、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3はメチル又はエチル基、Aは−NH−、Eはエチレン又はトリメチレン基であることがより好ましい。また、一般式(II)において、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3はメチル又はエチル基であることがより好ましい。
水溶性重合性モノマーの具体例としては、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等の一般式(I)のモノマー、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等の一般式(II)のモノマーが挙げられる。これら水溶性重合性モノマーを単独で、又は組み合わせて使用してもよい。
水溶性重合性モノマーと共重合可能な重合性ビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、スチレン系モノマー、(メタ)アクリルエステル系モノマー等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
スチレン系モノマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらスチレン系モノマーを単独で、又は併用してもよい。
(メタ)アクリルエステル系モノマーとしては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これら(メタ)アクリルエステル系モノマーを単独で、又は併用してもよい。
また、上記スチレン系モノマーと(メタ)アクリルエステル系モノマーを併用してもよい。
重合性モノマー混合物中の水溶性重合性モノマーの割合は、重合性ビニル系モノマー100重量部に対して5〜40重量部である。5重量部未満の場合、重合性モノマー混合物の粒子の安定性が悪くなり、重合後に重合体粒子の凝集物が生じる場合があるので好ましくない。また、40重量部より多い場合、重合体粒子の耐熱性が低下して重合時に凝集物が生じる場合があるので好ましくない。好ましい混合割合は、10〜35重量部である。
重合性モノマー混合物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他のモノマーや添加剤が添加されていてもよい。
他のモノマーとしては、例えば、二官能性重合性ビニルモノマーが挙げられる。具体的には、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート(アルキレンは炭素数2〜4の範囲が好ましい)等が挙げられる。二官能性重合性ビニルモノマーの混合割合は、重合性ビニル系モノマー100重量部に対して50重量部以下であることが好ましく、0.1〜30重量部であることがより好ましい。
他の添加剤としては、光安定化剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
上記重合性モノマー混合物は、ノニオン性界面活性剤及び水溶性アゾ系重合開始剤の存在下、乳化重合に付される。
イオン性界面活性剤である、アニオン又はカチオン性界面活性剤を使用した場合、得られる重合体粒子は、等電点をもたず、pH3〜12において正か負のどちらか一方の表面電荷しかもたないため、pH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液を得ることができない。また、両性イオン界面活性剤を使用すると、等電点を有する重合体粒子を含む水系分散液が得られるが、重合体粒子の平均粒子径が0.1μm以上となり、かつ等電点で粒子が凝集する。
本発明で使用できるノニオン性界面活性剤としては、重合性モノマーとの反応性を示す反応性ノニオン性界面活性剤、又は重合性モノマーとの反応性を示さない非反応性ノニオン性界面活性剤を用いることができる。この内、重合後に界面活性剤が水系分散液中にほとんど残存しない反応性ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
本発明で使用できるノニオン性界面活性剤は、16〜18.5のHLB値を有する界面活性剤である。HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)は、界面活性剤における親水性基と親油性基との釣り合いを示す指数である。HLB値が16未満の場合、重合性モノマー混合物の粒子の分散安定性が悪くなり、重合後に重合体粒子の凝集物が生じる場合があるので好ましくない。18.5より大きい場合、界面活性作用が乏しく、重合性モノマー混合物の乳化が困難となり、乳化重合し難くなるため好ましくない。好ましいHLBは16.5〜18である。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン等の反応性ノニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非反応性ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製アクアロンRN−30(HLB値16.7)、RN−50(HLB値17.9)が挙げられ、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレンとしては、例えば、旭電化工業社製アデカリアソープNE−30(HLB値16.3)、NE−40(HLB値17.1)が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンTDS−200D(HLB値16.3)が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンXL−160(HLB値16.3)が挙げられ、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンEA−197D(HLB値17.5)が挙げられ、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルしては、例えば、第一工業製薬社製ソルゲンTW−20(HLB値16.7)が挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤は、重合性モノマー混合物100重量部に対して、5重量部より多く、15重量部以下で使用される。5重量部以下の場合、重合中の粒子の安定性が悪くなり、重合後の重合体粒子の凝集物が生じることがある。一方、15重量部より多い場合、重合系の粘度が大きくなることを防ぐために、水等の媒体を大量に使用する必要があり、工業的に適さないので好ましくない。好ましいノニオン性界面活性剤の使用量は、6〜10重量部である。
本発明では重合開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤が使用される。乳化重合で一般的に使用される過硫酸塩等の無機過酸化物やレドックス系重合開始剤では、イオン性が強いため、得られた重合体粒子がpH応答電荷変動性を示さない。また、水溶性アゾ系重合開始剤を使用せず、ノニオン性界面活性剤を使用した場合は、pH応答電荷変動性重合体樹脂粒子の分散安定性が悪くなり、凝集物が多くなる。しかし、ノニオン性界面活性剤と水溶性アゾ系重合開始剤を併用することで、pH応答電荷変動性重合体粒子を得ることができる。
水溶性アゾ系重合開始剤の具体例としては、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸二水和物、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩化水素、2,2−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩化水素、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩化水素、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等が挙げられる。
水溶性アゾ系重合開始剤は、その種類により相違するが、重合性モノマー混合物100重量部に対して、0.1〜5重量部使用することが好ましい。より好ましくは、0.3〜3重量部である。
乳化重合は、水性媒体中で行われる。水性媒体としては、特に限定されないが、水、水と水溶性有機溶媒(例えば、低級アルコール)との混合物等が挙げられる。この内、廃水処理の問題が少ない水が好ましい。
重合性モノマー混合物と水性媒体との使用割合は、1:30〜1:2の範囲であることが好ましい。1:30より重合性モノマー混合物の割合が少なくなると、生産性が悪くなる場合があるので好ましくない。1:2より重合性モノマー混合物の割合が多くなると、重合性モノマー混合物の粒子の分散安定性が悪くなり、重合後に重合体粒子の凝集物が生じる場合があるので好ましくない。より好ましい使用割合は1:25〜1:5である。
乳化重合は、特に限定されず、公知の手順で行うことができる。例えば、水性媒体中に、重合性モノマー混合物、ノニオン性界面活性剤及び水溶性アゾ系重合開始剤を一度に添加した後、攪拌することで乳化液を形成し、次いで、攪拌しつつ加熱することで重合体粒子を得る方法が挙げられる。また、水溶性アゾ系重合開始剤は、乳化液を形成した後、重合系に加えてもよい。
重合系の攪拌速度は、例えば、1リットル容量のフラスコを使用した場合、100〜500rpmであることが好ましい。また、重合温度は、使用するモノマーや重合開始剤の種類により相違するが、30〜100℃であることが好ましく、重合時間は、2〜12時間であることが好ましい。
本発明の水系分散液中の重合体粒子は、0.01〜0.1μmの平均粒子径(水系分散液のpHが3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12の際の平均粒子径の平均値)を有する。0.01μm未満の場合、重合体粒子を得るためにノニオン性界面活性剤や水性媒体を多量に使う必要があり、工業的に適さないので好ましくない。0.1μmを超える場合、重合体粒子の1g当たりの表面積が小さくなるために、イオン性化合物捕捉・放出剤等に利用したときの利用効率が悪くなることもある。より好ましい平均粒子径は0.03〜0.095μmである。なお、平均粒子径の測定方法は、実施例の欄に記載する。
更に、水系分散液中の重合体粒子は、pHが3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12のそれぞれにおいて、0.01〜0.1μmの平均粒子径を有していることが好ましい。それぞれのより好ましい平均粒子径は0.03〜0.095μmである。特に、これらpHにおける平均粒子径の変動割合が15%以下であることが好ましい。
重合体粒子は、10〜50mVの最大ゼータ電位の絶対値を有していることが好ましい。10mVより小さいと、イオン性化合物の捕捉効率が悪くなるため好ましくない。50mVより大きいと、ノニオン性界面活性剤の添加量を少なくし、かつ多量の水溶性アゾ系重合開始剤を添加することが必要となり、重合中の粒子の分散安定性が悪くなることがある。その上、重合体粒子の分子量が低下してしまい、粒子の強度が低下してしまうことがある。より好ましいゼータ電位の最大値の絶対値は12〜40mVである。
更に、重合体粒子は、水系分散液中において、pH3〜12の範囲内に等電点(ゼータ電位が0mVの点)を有する。つまり、等電点の前後のpHで重合体粒子の表面電荷の正負が逆になる、いわゆるpH応答電荷変動性を重合体粒子が有する。なお、等電点の測定方法は、実施例の欄に記載する。
また、重合体粒子の水系分散液は、pH3、等電点、pH12における平均粒子径をそれぞれ、D3、Di、D12、としたとき、
0≦T1=|(D3−Di)|/D3×100≦15
かつ
0≦T2=|(D12−Di)|/D12×100≦15
の関係を有する。なお、T1は、等電点での粒子の平均粒子径が、pH3での粒子に対してどれだけ変化したかを表しており、一方、T2は、等電点での粒子の平均粒子径が、pH12での粒子に対してどれだけ変化したかを表している。
T1が15より大きい場合は、等電点において平均粒子径が増大していることを意味する。すなわち重合体粒子が等電点で多量に凝集していることになる。重合体粒子が一度凝集してしまうと、元の分散状態に戻らないことが多く、凝集状態ではイオン性化合物捕捉・放出剤等に利用したときの使用効率が悪くなることもあるので好ましくない。なお、重合体粒子が多少凝集していても、T1が0〜15の範囲にあれば、本発明の水系分散液に使用可能である。0≦T1≦10がより好ましく、0≦T1≦5が更により好ましい。T1と同様の理由で、T2が15より大きいことは好ましくない。また、0≦T2≦10がより好ましく、0≦T2≦5が更により好ましい。
本発明の製造方法では、重合体粒子が水性媒体中に分散した水系分散液が得られる。重合体粒子の水系分散液は、そのままで所望の用途に用いることができる。そのような用途として、水系分散液としての、イオン性化合物捕捉剤、ドラッグデリバリー剤、水質浄化剤、診断検査薬等が挙げられる。
例えば、イオン性化合物捕捉剤、水質浄化剤、診断検査薬では、被検対象の水中に何らかのイオン性化合物が溶解している場合、その化合物の電荷が既知であれば、本発明の水系分散液を水中に添加することで、化合物を剤に吸着できる。
ドラッグデリバリー剤では、ドラッグ輸送対象液のpHでドラッグが剤から放出されるように、本発明の水系分散液を使用できる。なお、ドラッグには、医薬組成物、工業用薬剤等が含まれる。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の平均粒子径及び等電点の測定方法を下記する。
(平均粒子径)
ここでいう平均粒子径は、動的光散乱法あるいは光子相関法と呼ばれる方法を利用して測定した粒子径を意味する。つまり、十分に希薄な濃度に調製した重合体粒子の水系分散液にレーザー光を照射し、重合体粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定する。検出された重合体粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、平均粒子径を算出するためのキュムラント解析法により求めた平均粒子径である。この種の平均粒子径は、市販の測定装置で簡便に測定可能であり、本実施例ではマルバーン社から市販されている「ゼータサイザーナノZS」を測定に使用している。
上述の市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析できる。
具体的には、水系分散液に0.1mol/Lの塩酸を加えて、水系分散液のpHを3に調整する。その後、水系分散液に0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを4、5、6、・・・、12まで滴定していき、各pHでの平均粒子径の平均値を算出する。pHの調節は、マルバーン社から市販されている自動滴定装置「MPT−2」をゼータサイザーナノZSに備え付けることでおこなう。
また、上記方法で得られたpH3、等電点、pH12における平均粒子径をそれぞれ、D3、Di、D12として
T1=|(D3−Di)|/D3×100及び
T2=|(D12−Di)|/D12×100
の値を算出する。
(等電点)
ここでいう等電点とは、水系分散液中の重合体粒子のゼータ電位が0mVとなるときのpHを示す。ゼータ電位は、本実施例では、レーザードップラー速度測定法により測定している。重合体粒子が帯電している場合、水系分散液に電場をかけると、重合体粒子は電極に向かって移動する。重合体粒子の移動速度は、重合体粒子の荷電量に比例する。そのため、重合体粒子の移動速度を測定することによって、ゼータ電位を求めることができる。
等電点をもつ重合体粒子の水系分散液は、pHを変化させると、あるpHでゼータ電位が0mVとなる。従って、水系分散液に酸あるいはアルカリを添加してpHを連続的に変化させながらゼータ電位を追跡することで、等電点を実測できる。
等電点の測定は、重合体粒子の水系分散液に、0.1mol/Lの塩酸を用いてpHを3に調整する。その後、この水系分散液に0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを12まで1ずつ滴定していき、各pHでのゼータ電位及び平均粒子径が測定される。ゼータ電位の測定は市販の測定装置で簡便に測定可能であり、本実施例ではマルバーン社から市販されている「ゼータサイザーナノZS」で測定している。得られた測定データを、X軸にpH、Y1軸にゼータ電位をプロットし、得られたプロットを考慮して線を描き、ゼータ電位が0mVとなる点を重合体粒子の等電点とする。
なお、塩酸と水酸化ナトリウムの滴定は、マルバーン社から市販されている自動滴定装置「MPT−2」をゼータサイザーナノZSに備え付けて行い、水系分散液のpH調節した。
(実施例1)
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えた1リットルの3つ口セパラブルフラスコに、イオン交換水2000重量部、メタクリル酸メチル(MMA)80重量部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)20重量部、ノニオン性界面活性剤のオキシエチレンセグメント長が50のポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル10重量部(第一工業製薬社製アクアロンRN−50;HLB値17.9)を供給し、室温(約25℃)、250rpmの速度で攪拌することにより乳化液を調製した。この乳化液中に2、2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸二水和物(和光純薬工業社製、VA−046B、10時間の半減期を得るための分解温度:47℃)2.5重量部を添加した。次いで、乳化液を60℃に加熱し、60℃にて6時間に亘って攪拌を続けながら乳化重合を行なった。乳化液を室温まで冷却することで、重合体粒子の水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.3であり、重合体粒子の平均粒子径は0.05μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。また、図1に、pHと、ゼータ電位及び平均粒子径との関係を示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例2)
MMAを74.1重量部使用し、DMAPAAを18.5重量部使用し、重合前の乳化液に架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDM)を7.4重量部加えたこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.3であり、重合体粒子の平均粒子径は0.046μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例3)
ノニオン性界面活性剤を6重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.2であり、重合体粒子の平均粒子径は0.087μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例4)
ノニオン性界面活性剤として、オキシエチレンセグメント長が30のポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル、第一工業製薬社製アクアロンRN−30:HLB値16.7を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.4であり、重合体粒子の平均粒子径は0.079μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例5)
MMAを91重量部使用し、DMAPAAを9重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.3であり、重合体粒子の平均粒子径は0.079μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例6)
DMAPAAの代わりにN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.8であり、重合体粒子の平均粒子径は0.062μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例7)
重合開始剤として、2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩化水素(和光純薬工業社製、V−50、10時間の半減期を得るための分解温度:56℃)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.8であり、重合体粒子の平均粒子径は0.046μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例8)
ノニオン性界面活性剤を13重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.4であり、重合体粒子の平均粒子径は0.047μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(実施例9)
MMAを91重量部使用し、DMAPAAを9重量部使用し、ノニオン性界面活性剤を6重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.4であり、重合体粒子の平均粒子径は0.098μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において粒子径がほとんど変化しない、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液であった。
(比較例1)
MMAを99重量部使用し、DMAPAAを1重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.2であり、重合体粒子の平均粒子径は0.17μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。また、図2に、pHと、ゼータ電位及び平均粒子径との関係を示す。
得られた水系分散液は、等電点において、重合体粒子の凝集が見られた。
(比較例2)
MMAを66.7重量部使用し、DMAPAAを33.3重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体樹脂粒子は凝集が著しかった。
(比較例3)
ノニオン性界面活性剤を1重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.5であり、重合体粒子の平均粒子径は0.10μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において、重合体粒子の凝集が見られた。
(比較例4)
ノニオン性界面活性剤として、オキシエチレンセグメント長が20のポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル、第一工業製薬社製アクアロンRN−20:HLB値15.4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.5であり、重合体粒子の平均粒子径は0.19μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表4に示す。
得られた水系分散液は、等電点において、重合体粒子の凝集が見られた。
(比較例5)
2、2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸二水和物の代わりに過硫酸カリウム(KPS)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.9であり、重合体粒子の平均粒子径は0.090μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値を表4に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子は、等電点は存在しなかったため、pH応答電荷変動性を有していなかった。
(比較例6)
MMAを83.3重量部使用し、DMAPAAの代わりにアクリル酸を16.7重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径を表2に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値、等電点、T1、T2を表3に示す。
得られた水系分散液中の重合体樹脂粒子は凝集が著しかった。
(比較例7)
ノニオン性界面活性剤の代わりにアニオン性界面活性剤(花王製ラテムルS−180A)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系分散液を得た。得られた水性分散液のpHは4.8であり、重合体粒子の平均粒子径は0.052μmであった。使用した原料の種類及び使用量を表1に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子の3〜12の各pHにおける平均粒子径とゼータ電位を表2と3に、各pHの平均粒子径の平均値、ゼータ電位の最大値の絶対値を表4に示す。
得られた水系分散液中の重合体粒子は、等電点は存在しなかったため、pH応答電荷変動性を有していなかった。
Figure 2008144078
Figure 2008144078
Figure 2008144078
Figure 2008144078
実施例1〜9、比較例1と2から、水溶性重合性モノマーの使用量を5〜40重量部とすることで、凝集の少ないpH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液が得られることが示される。
実施例1〜9、比較例3から、ノニオン性界面活性剤の使用量を5重量部より多く、15重量部以下とすることで、凝集の少ないpH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液が得られることが示される。
実施例1〜9、比較例4から、ノニオン性界面活性剤のHLBを16〜18.5とすることで、凝集の少ないpH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液が得られることが示される。
実施例1〜9、比較例5から、水溶性アゾ系重合開始剤を使用することで、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液が得られることが示される。
実施例1〜9、比較例6から、一般式(I)及び(II)の水溶性重合性モノマーを使用することで、凝集の少ないpH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液が得られることが示される。
実施例1〜9、比較例7から、ノニオン性界面活性剤を使用することで、pH応答電荷変動性の重合体粒子を含む水系分散液が得られることが示される。
実施例1のpHと、ゼータ電位及び平均粒子径との関係を示すグラフである。 比較例1のpHと、ゼータ電位及び平均粒子径との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 重合性ビニル系モノマー100重量部及び該重合性ビニル系モノマーと重合可能な一般式(I)又は(II):
    Figure 2008144078
    (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基、Aは−O−又は−NH−、Eは炭素数2〜4のアルキレン基又はヒドロキシ置換アルキレン基である)で表される水溶性重合性モノマー5〜40重量部含む重合性モノマー混合物を、水性媒体中、ノニオン性界面活性剤及び水溶性アゾ系重合開始剤の存在下で、乳化重合させて重合体粒子の水系分散液を得る工程を含み、
    前記ノニオン性界面活性剤が、16〜18.5のHLB値を有し、かつ前記重合性モノマー混合物100重量部に対して、5重量部より多く、かつ15重量部以下使用され、
    前記水系分散液中の重合体粒子が、0.01〜0.1μmの平均粒子径(水系分散液のpHが3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12の際の平均粒子径の平均値)を有することを特徴とするpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液の製造方法。
  2. 前記重合性ビニル系モノマーが、スチレン系及び(メタ)アクリルエステル系モノマーから選択される請求項1に記載のpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液の製造方法。
  3. 前記ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンセグメント含有フェニルエーテル系ノニオン性界面活性剤である請求項1に記載のpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液の製造方法。
  4. 前記水系分散液中の重合体粒子が、pH3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12のそれぞれの水系分散液中で、0.01〜0.1μmの平均粒子径を有する請求項1に記載のpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法によって得られた重合体粒子の水系分散液であって、該水系分散液が、
    (1)pH3〜12において、10〜50mVのゼータ電位の最大値の絶対値を有し、
    (2)pH3〜12において、ゼータ電位が0mVの等電点を有し、かつ、
    (3)pH3、等電点、pH12における平均粒子径をそれぞれ、D3、Di、D12、としたとき、
    0≦|(D3−Di)|/D3×100≦15、
    かつ、
    0≦|(D12−Di)|/D12×100≦15
    の式を満たす
    ことを特徴とするpH応答電荷変動性重合体粒子の水系分散液。
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