JP2008139585A - 現像スリーブ及びこれを用いた現像ロール、現像装置並びに画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トナー及びキャリアが含まれる現像剤を保持搬送する現像スリーブ1であって、非磁性材料にて形成されるスリーブ本体2と、このスリーブ本体2の表面が粗面化され且つスリーブ本体2の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくする傾向に前記粗面状態が変化させられる表面粗面部3とを備える。これを用いた現像ロール7、更には現像装置12並びに画像形成装置をも対象とする。
【選択図】図1
Description
この種の現像装置において、現像ロールとしては、回転自在に設けられる現像スリーブと、この現像スリーブ内に設けられて所定数の磁極が配列された磁石部材とを備えたものが用いられるが、現像ロール上での現像剤の搬送性を良好に保つために各種の工夫を施したものが既に提案されている(例えば特許文献1〜5)。
特許文献2は、二成分現像方式の現像装置において、現像スリーブ軸方向での磁石体による磁気力に応じて、磁気力が大きい部分ほど表面粗さを小さくするように変化を持たせ、磁石体による磁気力が現像ロールの端部で大きくなるのを補正するものである。
特許文献3は、二成分現像方式の現像装置において、現像スリーブの端部の表面形状を、中央部に比べて現像剤搬送力が大きくなる形状とし、現像ロール端部での磁力低下に伴う現像剤低下を補正するものである。
特許文献5は、一成分現像方式の現像装置において、現像領域両端から中央部に向かって現像スリーブ表面の表面粗さが連続的に或いは段階的に小さくなるように処理されたものである。これにより、トナー消費量の少ない画像領域両端に対応した現像スリーブの表面粗さを大きくしてブレードとスリーブ表面の隙間をすり抜ける際のトナー搬送効果を改善してトナー凝集させずにトナー帯電量の過上昇を抑制するものである。この結果、画像領域両端部であっても、スリーブとトナーの吸引力が高いことによるトナー薄層部の肥膜化を回避することで、地肌かぶりを防止しようとするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る現像スリーブにおいて、前記表面粗面部が、スリーブ本体の軸方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像スリーブである。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る現像スリーブにおいて、前記表面粗面部が、表面粗さがスリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて大きくなるものであることを特徴とする現像スリーブである。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る現像スリーブにおいて、前記表面粗面部が、スリーブ本体の軸方向に沿って延び且つ現像剤が保持搬送可能な溝部を有し、この溝部の深さがスリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて深くなるものであることを特徴とする現像スリーブである。
請求項6に係る発明は、請求項1に係る現像スリーブにおいて、前記表面粗面部が、規則形状からなる凸状ブロックとこの凸状ブロック間に形成される凹溝とを有する規則性のある凹凸パターンからなり、この凹凸パターンがスリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて凹溝の比率を大きくすることを特徴とする現像スリーブである。
請求項7に係る発明は、請求項1に係る現像スリーブにおいて、前記表面粗面部が、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を段階的に変化させるものであることを特徴とする現像スリーブである。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る現像ロールにおいて、前記表面粗面部が、スリーブ本体の軸方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像ロールである。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る現像装置において、前記表面粗面部が、スリーブ本体の軸方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像装置である。
請求項12に係る発明は、請求項10に係る現像装置において、前記表面粗面部が、スリーブ本体に沿って変化する撓み量及び層厚規制部材の長手方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像装置である。
請求項13に係る発明は、請求項10に係る現像装置において、前記表面粗面部が、層厚規制部材の長手方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像装置である。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの軸方向に沿って変化する撓み量に対応する現像剤搬送能力差を調整することにより、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を簡単に小さくすることができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの表面粗面部の表面粗さ分布を調整することにより、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を簡単に小さくすることができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの表面粗面部としての溝部の深さを調整することにより、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を簡単に小さくすることができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの表面粗面部としての溝部幅を調整することにより、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を簡単に小さくすることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの表面粗面部としての凹凸パターン分布を調整することにより、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を簡単に小さくすることができる。
請求項7に係る発明によれば、連続的に変化させる態様に比べて、現像スリーブの表面粗面部を段階的に変化させることにより、現像スリーブを簡単に製造することができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの軸方向に沿って変化する撓み量に対応する現像剤搬送能力差を調整することにより、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を簡単に小さくすることが可能な現像ロールを提供することができる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を小さくし、これにより、現像スリーブの軸方向に沿って連続的に変化する画像濃度分布の不均一性が簡単に補正可能な現像装置を提供することができる。
請求項11に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの軸方向に沿って変化する撓み量に対応する現像剤搬送能力差を調整することにより、現像スリーブの軸方向での現像剤搬送能力差を簡単に小さくすることが可能な現像装置を提供することができる。
請求項12に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブ及び層厚規制部材の軸方向に沿った撓み量に対応する現像剤搬送能力差を小さくし、これにより、現像スリーブの軸方向に沿って連続的に変化する画像濃度分布の不均一性が簡単に補正可能な現像装置を提供することができる。
請求項13に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、層厚規制部材の軸方向に沿った撓み量に対応する現像剤搬送能力差を小さくし、これにより、現像スリーブの軸方向に沿って連続的に変化する画像濃度分布の不均一性が簡単に補正可能な現像装置を提供することができる。
請求項14に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、現像スリーブの軸方向に沿って連続的に変化する画像濃度分布の不均一性が簡単に補正可能な画像形成装置を容易に構築することができる。
◎実施の形態モデルの概要
図1(a)は本発明を具現化する実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を示す。
同図において、画像形成装置は感光体ドラム等の像保持体11と、この像保持体11に対向して設けられ且つ像保持体11上に形成される静電潜像をトナー及びキャリアが含まれる現像剤Gにて可視像化する現像装置12とを備えている。
ここで、現像装置12の代表的モデルの一つは、現像剤Gが収容可能な現像容器6と、この現像容器6に設けられ且つ前記現像剤Gを保持搬送可能な現像ロール7と、この現像ロール7に対向配置され且つ現像ロール7上の現像剤Gの層厚を規制する層厚規制部材8とを備えており、現像ロール7は、現像剤Gを保持搬送する現像スリーブ1と、この現像スリーブ1内に固定的に設けられ且つ複数の磁極が配列される磁石部材5とを備えている。
特に、本実施の形態では、現像スリーブ1は、非磁性材料にて形成されるスリーブ本体2と、このスリーブ本体2の表面が粗面化され且つスリーブ本体2の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくする傾向に前記粗面状態が変化させられる表面粗面部3とを備えたものである。
また、この表面粗面部3の粗面状態はスリーブ本体2の軸方向に沿って連続的若しくは段階的に変化するものであればよいが、スリーブ本体2の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくするように設定すればよい。
ここで、「スリーブ本体2の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差」は、スリーブ本体2の軸方向に沿って変化する撓み量や、層厚規制部材8の軸方向に沿って変化する撓み量による要因の他、画像形成装置固有の要因によって生ずるものを広く含む趣旨であり、本実施の形態モデルでは、表面粗面部3がこれらのいずれか一つあるいは複合的な要因によって生ずる現像剤搬送能力差を小さくする傾向に変化させられるものであればよい。
また、上述した現像剤搬送能力差が大きいと、現像剤搬送能力が軸方向においてばらつくことになるが、この現像剤搬送能力の軸方向ばらつきは「現像スリーブ1の軸方向に沿って連続的に変化する画像濃度分布の不均一性」につながる。
つまり、「現像スリーブ1の軸方向に沿って連続的に変化する画像濃度分布の不均一性」の要因としては、a.二成分現像装置で用いられる現像スリーブ1(現像ロール7)や層厚規制部材8の軸方向に沿って変化する撓み量によって連続的に変化する現像剤搬送能力の軸方向ばらつき、b.画像形成装置固有の特性(例えば露光光学特性)に起因する潜像電位分布の像保持体11の軸方向ばらつきに基づき、現像装置の現像域にて生ずる現像剤搬送能力の軸方向ばらつきが挙げられる。
より具体的に述べると、本実施の形態モデルにあっては、図1(b)に示すように、例えば現像スリーブ1(現像ロール7)が軸方向に沿って撓むことに伴って現像スリーブ1と層厚規制部材8との間の隙間が不均一になる。具体的には、現像スリーブ1の中央部の隙間gcが現像スリーブ1の現像領域内端部の隙間geよりも広くなる。このとき、現像スリーブ1の表面粗面部3は、前記現像スリーブ1の撓み量に伴って連続的に変化する現像剤搬送能力を小さくするように、現像スリーブ1の軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力Wを大きくするように設定すればよい。このようにすれば、現像スリーブ1の表面性による現像剤搬送能力Wが現像スリーブ1の撓み量に伴って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくし、もって、現像スリーブ1の軸方向各部における現像剤搬送量Mが略一定に調整される。
◎実施の形態1
図2は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、画像形成装置は、静電潜像が保持可能な感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、この感光体ドラム20が予め帯電させられる帯電装置21と、帯電された感光体ドラム20に静電潜像が書き込まれるレーザー走査装置などの潜像書込装置22と、感光体ドラム20上に書き込まれた静電潜像が現像剤にて可視像化される現像装置30と、感光体ドラム20上の可視像化された像が記録材25に静電的に転写させられる転写装置23と、感光体ドラム20上に残留した現像剤が清掃させられる清掃装置24とを順次配設したものである。
更に、この現像装置30は、現像容器31の現像ロール32の背面側には仕切壁36にて仕切られ且つ仕切壁36の長手方向両端部に通孔(図示せず)が開設された循環搬送経路37を設け、この循環搬送経路37の各直線経路内には夫々現像剤撹拌搬送用の撹拌搬送部材34,35を配設し、更に、現像ロール32と撹拌搬送部材34との間には現像ロール32への現像剤供給用の例えばパドル状の供給部材38を必要に応じて配設したものである。
ここで、磁石ロール42には図示外の複数の磁極(例えば5磁極)が配列されている。例えば層厚規制部材33と略対向する部位には層厚規制用の層厚規制磁極(例えばN1磁極)が配置され、感光体ドラム20に対向する部位には所定範囲の現像域nを形成する現像磁極(例えばS1磁極)が配置され、この現像磁極の下流側には搬送磁極(例えばN2磁極)、この搬送磁極の下流側には現像剤剥離用の剥離磁極(例えばS2磁極)及び現像剤ピックアップ用のピックアップ磁極(例えばS3磁極)が配置されている。
本実施の形態では、表面粗面部46は、スリーブ本体45を複数の領域、例えば中央部を含むA領域、スリーブ本体45の端部を含むC領域、A領域とC領域との中間に位置するB領域に分け、夫々の領域A〜Cの表面粗さをRz(A)、Rz(B)、Rz(C)とした場合に、Rz(A)<Rz(B)<Rz(C)を満たすように段階的に設定されている。
ここで、サンドブラスト法で表面粗さを変化させるには、研磨粒の吹き付け圧力を変化させたり、吹き付け時間を変化させるようにすればよい。
尚、本実施の形態では、表面粗面部46はスリーブ本体45を三つの領域に区分しているが、これに限定されるものではなく、より多くの区分領域に分け、表面粗さの変化を適宜調整するようにしてもよい。
図6(a)に示すように、スリーブ本体45の外表面に例えばサンドブラスト処理110にて表面粗面部46を形成し、現像スリーブ41を製造する。
この後、図6(b)に示すように、現像スリーブ41内に磁石ロール42を挿入配置する。尚、磁石ロール42には貫通するシャフト421が固定的に設けられている。
しかる後、図6(c)に示すように、現像スリーブ41の両端をフランジ111,112で固定し、各フランジ111,112には磁石ロール42のシャフト421を軸受114,115にて現像スリーブ41の周方向に回転可能に支持し、前記磁石ロール42のシャフト421を固定した状態で、フランジ112の軸113を図示外の駆動源からの駆動力にて駆動させることにより現像スリーブ41を回転させるようになっている。
今、図2において、感光体ドラム20上に図示外の静電潜像が形成されると、この静電潜像は現像装置30にて可視像化される。
このとき、現像装置30では、現像ロール32上の現像剤Gが層厚規制部材33にて層厚規制された後に感光体ドラム20との対向部位である現像域nに搬送され、現像に供される。
ここで、現像装置30の作動について説明すると、現像ロール32(現像スリーブ41)は軸方向に沿って撓み量が大きくなる(層厚規制部材33から離れる)ように撓むため、現像ロール32と層厚規制部材33との隙間(Gap)は、図7(a)に示すように、軸方向中央部をピークとして両端に向かって連続的に減少する傾向を示す。
本実施の形態では、現像ロール32(現像スリーブ41)の表面粗さは、図7(b)に示すように、現像ロール32と層厚規制部材33との隙間(Gap)の変化傾向とは逆の傾向に可変設定されていることから、現像ロール32と層厚規制部材33との隙間が広い箇所では、隙間を通る現像剤量は多く確保されるが、現像ロール32の表面粗さが抑えられる分現像剤の搬送量が抑制され、一方、前記隙間が狭い箇所では、隙間を通る現像剤量は少ないものの、現像ロール32の表面粗さが大きく設定される分現像剤の搬送量が促進される。
このため、現像ロール32の表面粗さ分布が前記隙間分布を相殺する傾向にあることから、現像ロール32軸方向位置での現像剤搬送量は、図7(c)に示すように、略一定に設定される。
尚、現像スリーブ41の表面粗さを一定にした比較の形態にあっては、現像ロール32軸方向位置での現像剤搬送量は、図7(d)に示すように、現像ロール32と層厚規制部材33との隙間分布と同様な不均一な傾向を示す。
図8は実施の形態2の画像形成装置の現像装置で用いられる現像スリーブ41の表面構造を示す。
同図において、現像スリーブ41は、図8及び図9(a)(b)に示すように、所定の外径D及び肉厚tの円筒状スリーブ本体45、このスリーブ本体45の表面に所定の配列ピッチp間隔で軸方向に沿って延びるように設けられる表面粗面部としての溝部46とを備えている。
ここで、スリーブ本体45の外径Dは例えば12〜20mm程度に適宜選定され、その肉厚tも曲げ剛性などを考慮して例えば0.4〜0.9mm程度に適宜選定される。
また、溝部46は、図9(b)に示すように、例えば断面略V字状のV字溝からなり、本例ではスリーブ本体45の径方向ラインを中心として対称配置される角度θ(例えば90°)のV字溝になっており、深さH(例えば0.01〜0.3mm)、溝幅S(例えば0.05〜0.3mm)の深溝構成である。そして、この溝部46の配列ピッチpは例えば0.3〜1.5mm程度に適宜選定される。
本実施の形態では、溝部46は、スリーブ本体45を複数の領域、例えば中央部を含むA領域、スリーブ本体45の端部を含むC領域、A領域とC領域との中間に位置するB領域に分け、夫々の領域A〜Cの溝幅SをS(A)、S(B)、S(C)とした場合に、S(A)<S(B)<S(C)を満たすように段階的に設定されている。
尚、本実施の形態では、溝部46はスリーブ本体45を三つの領域に区分しているが、これに限定されるものではなく、より多くの区分領域に分け、溝幅Sの変化を適宜調整するようにしてもよい。また、本実施の形態1では、溝幅Sを変えるようにしているが、これに限られるものではなく、溝部46の深さHを変えるようにしてもよいし、両者を変えるようにしてもよい。
同図において、符号101はスリーブ本体45の素管450を一次減径させるために絞り加工させる絞り型、102は絞り型101にて絞り加工された減径管451に溝加工を施す引抜き型である。
ここで、引抜き型102は引抜き開口103の縁部に各溝部46に対応した切込部材104を配置した態様になっているが、複数の切込部材104単位で径方向に移動可能な可動割型105を有し、可動割型105を適宜タイミングで移動させることにより、スリーブ本体45の表面に溝幅Sの異なる溝部46を順次形成するようになっている。そして、本例では、可動割型105を移動させる際に溝幅S及び深さHも変化させるようになっている。
尚、本実施の形態では、絞り型101,引抜き型102を用いているが、これに限られるものではなく、複数の引抜き型を用い、各溝部46の溝幅S及び深さHの少なくともいずれかを順次形成するようにしてもよい。また、本実施の形態では、現像スリーブ41は引抜き加工にて製造され、これ以外に振れ精度を向上させるための別の処理を施す必要は特には必要ないが、更に振れ精度を向上させる必要があるような場合には、引抜き加工の前後に切削や研磨などの前処理又は後処理を施すようにしても差し支えない。
このため、現像ロール32の溝部46による現像剤搬送量分布が前記隙間分布を相殺する傾向にあることから、現像ロール軸方向位置での現像剤搬送量は実施の形態1と略同様に略一定に設定される。
図11は実施の形態3に係る画像形成装置で用いられる現像装置の現像スリーブ41の表面構造を示す。
同図において、現像スリーブ41は、スリーブ本体45の表面に表面粗面部として凹凸パターン46が形成されている。この凹凸パターン46は例えばエッチング処理にて製造される。
この凹凸パターン46は、図12(a)(b)に示すように、規則形状からなる凸状ブロック51と、この凸状ブロック51間に形成される凹溝52とを有している。
本例では、凸状ブロック51は例えば正三角形状のものであって、6個をダイヤモンド状に配列したものであり、これらの凸状ブロック51間に形成される凹溝52には、現像スリーブ41の周方向成分を含む斜め方向(本例では現像スリーブ41の軸方向に対して所定角度α〔例えば60°又は120°〕傾斜した方向)に沿って連続的に配置される斜め方向凹溝52a,52bと、現像スリーブ41の軸方向に沿って連続的に延びる軸方向凹溝52cとがある。
ここで、凹溝52の深さhは凸状ブロック51の平面部から凹溝52の底部までの距離を指し、凹溝52の溝幅wはあくまで凹溝52の上端開口幅を指し、例えば凹溝52の底部幅が上端開口幅と異なるとしてもこの底部幅は無関係である。尚、図12(b)の凹溝52の縦壁は斜め下方に傾斜する傾斜部53になっているが、これは製造過程で残存する処理跡(本例ではエッチング処理による進行度合に依存する処理跡)である。
本実施の形態では、凹凸パターン46は、スリーブ本体45を複数の領域、例えば中央部を含むA領域、スリーブ本体45の端部を含むC領域、A領域とC領域との中間に位置するB領域に分け、夫々の領域A〜Cの凹凸パターン46を46(A)、46(B)、46(C)とした場合に、46(A)が最も粗く、46(B)、46(C)に向かって徐々に密になるように段階的に設定されている。
尚、本実施の形態では、凹凸パターン46はスリーブ本体45を三つの領域に区分しているが、これに限定されるものではなく、より多くの区分領域に分けるようにしてもよい。
このため、現像ロール32の凹凸パターン46による現像剤搬送量分布が前記隙間分布を相殺する傾向にあることから、現像ロール32軸方向位置での現像剤搬送量は実施の形態1と略同様に略一定に設定される。
図13は実施の形態4に係る画像形成装置の現像装置の要部を示す。
同図において、現像装置30は、図13(a)に示すように、現像ロール32に対向して板状の層厚規制部材33を備えているが、図13(b)(c)に示すように、この層厚規制部材33は現像剤の層厚規制時に現像剤を押し付ける力を受けるため、層厚規制部材33が現像ロール32の周方向に向かって撓み変形する。このように、層厚規制部材33が長手方向中央部をピーク(例えばδ)として撓み変形すると、層厚規制部材33と現像ロール32の磁石ロール42の磁極位置との相対位置関係が相違するため、その分、層厚規制部材33を通過する現像剤の通過量が異なってくる。
また、図13(d)に示すように、例えば層厚規制部材33が丸棒状の態様である場合には、この層厚規制部材33が長手方向中央部をピークとして現像ロール32の径方向に沿って撓み変形し、現像ロール32と層厚規制部材33との隙間(Gap)は現像ロール32の中央部と端部とで相違する(図13中、gc>ge)。
尚、現像スリーブ41の撓み量が小さく、層厚規制部材33の撓み量が大きいような場合には、図14(b)に示すように、層厚規制部材33の撓み量のみを考慮し、現像スリーブ41の表面性を可変設定するようにしてもよい。
図15(a)は実施の形態5に係る画像形成装置の作像プロセスを模式的に示す説明図である。
同図において、画像形成装置では、帯電装置による帯電工程、潜像書込装置による露光工程、そして、現像装置による現像工程(現像バイアスを印加し、現像コントラストを確保する)が行われる。
このとき、現像バイアスの直流成分(DC成分)は一定であるが、画像形成装置固有の特性に基づいて、例えば露光後のハーフトーン潜像に対応するハーフトーン電位は、図15(b)に示すような不均一な傾向が見られることがある。
これは、図15(c)に示すように、例えば潜像書込装置22がレーザー走査装置である態様では、レーザー光源22aからの照射ビームがポリゴンミラー22b及び結像用補正レンズ(fθレンズ)22cを経由して感光体ドラム20に導かれるが、ポリゴンミラー22bへの照射ばらつき、結像用補正レンズ22cによるばらつきなどに起因し、前記ハーフトーン電位が連続的に変化する不均一な電位になることがある。
本実施の形態では、図16に示すように、前記潜像書込装置22の露光特性を考慮し、これを補正するように現像スリーブ41の表面性を設定するようにしたものである。
尚、前記露光特性に加えて、図16に仮想線で示すように、現像スリーブ41の撓み量や層厚規制部材33の撓み量をも考慮して、現像スリーブ41の表面性を設定するようにしてもよいことは勿論である。
本実施例は実施の形態1に係る現像装置の現像スリーブを用い、表面粗さ分布、現像ロールと層厚規制部材との隙間分布、現像剤搬送量分布を測定したものである。
ここで、本実施例の使用条件は以下の通りである。
現像ロール:
外径:18mm
ブラスト幅:303mm
スリーブ長:343mm
スリーブ材料:アルミニウム
スリーブ肉厚:0.55mm
現像ロールの磁極パターン:層厚規制部材に対応して設けられる層厚規制磁極N1(ピーク値84mT、図中の●で示した層厚規制位置での値80mT)、現像域に対応して設けられる現像磁極S1(ピーク値120mT)、現像磁極S1の下流側に位置する搬送磁極N2(ピーク値77mT)、その下流側に位置する搬送磁極/ピックオフ磁極S2(ピーク値68mT)、更にその下流側に位置する搬送磁極/ピックアップ磁極S3(ピーク値45mT)の5磁極構成の磁石ロールを使用した(図17参照)。
層厚規制部材:
材質:ステンレス
形状:直径5mmの丸棒部材
画像形成条件:
帯電電位:700V
現像バイアスDC成分:590V
現像バイアス交流成分:矩形波、900Vp−p、6kHz
感光体ドラム−現像ロール隙間:0.40mm
感光体ドラム速度:158mm/s
スリーブ回転速度:316mm/s
また、この現像スリーブの表面粗さRzと現像剤搬送量との関係を調べたところ、図19に示すように、現像剤搬送量は表面粗さRzに略比例する傾向が理解される。
尚、現像剤搬送量の測定は、現像スリーブ上に層形成された現像剤を区画用治具(開口面積:10mm×50mm)を用いて現像スリーブの長手方向が50mmの辺と平行で、現像磁極が区画用治具の中心線上にくるように区画し、吸引器で現像剤を捕集して重量を測定し、単位面積当たりの重量を求めた。また、濃度の測定にはX−Rite(Spectrodensitometer;X-Rite社製)を用いて測定した。
更に、現像ロールが無回転の静的状態では、現像スリーブ(現像ロール)と層厚規制部材との隙間は、図20に示すように、現像ロールの軸方向に沿って略一定であるが、現像ロールが回転する動的状態では、両者間の隙間は軸方向中央部をピークとして両端部にかけて減少する傾向に変化する。
ところが、本実施例において、現像ロールが回転する動的状態で、現像ロールの軸方向各部(軸方向中央部(Center)と端部(In,Out))での現像剤搬送量を測定したところ、図21に示すように、現像剤搬送量は現像ロール32の軸方向に沿って略一定であることが把握される。
更にまた、現像ロールが回転する動的状態(例えば現像剤搬送量が450g/m2)で、現像ロールの軸方向各部に対応した画像濃度を測定したところ、図22に示すように、画像濃度は現像ロールの軸方向に沿って略一定であることが把握される。
実施例1の性能を評価するために、均一なブラスト条件の現像スリーブを用い、実施例1と同様な条件で性能試験を行ったところ、図23〜図25の結果が得られた。
図23によれば、現像スリーブの表面粗さRzは略一定であることが理解される。このとき、現像ロールが無回転の静的状態では、図24に示すように、現像ロールと層厚規制部材との隙間変化があまり変化のない状態でも、現像ロールが回転する動的状態では、実施例1と同様に、両者間の隙間は軸方向中央部をピークとして両端部にかけて減少する傾向に変化する。
この状態において、現像ロールが回転する動的状態で、現像ロールの軸方向各部(軸方向中央部(Center)と端部(In,Out))での現像剤搬送量を測定したところ、図25に示すように、現像剤搬送量が現像ロールの軸方向に沿って不均一になる傾向が確認される。
更に、現像ロールが回転する動的状態(実施例1と同様の現像剤搬送量)で、現像ロールの軸方向各部に対応した画像濃度を測定したところ、図26に示すように、画像濃度は現像ロールの軸方向に沿って不均一になる傾向が確認される。
本実施例は実施の形態3に係る現像装置の現像スリーブを用い、実施例1と同様な性能試験を行った。
尚、現像スリーブの凹凸パターンの条件は以下の通りである。
凹溝:図12(b)に示す凹溝
溝深さ:80μm
溝ピッチ:1.0mm
本実施例によれば、図27に示すように、現像スリーブの凹凸パターンの凹溝幅が現像ロール軸方向に沿って変化することが理解される。
このとき、凹溝の溝幅と現像剤搬送量との関係は、図28に示すように、略比例関係にあることが理解される。
そして、現像ロールが回転する動的状態で、本実施例の現像ロールの現像剤搬送量を調べたところ、図29に示すように、現像剤搬送量は現像ロールの軸方向に沿って略一定であることが理解される。
更に、現像ロールが回転する動的状態(例えば現像剤搬送量が550g/m2)で、現像ロールの軸方向各部に対応した画像濃度を測定したところ、図30に示すように、画像濃度は現像ロールの軸方向に沿って略一定であることが把握される。
本実施例は実施の形態2に係る現像装置の現像スリーブを用い、実施例1と同様な性能試験を行った。
尚、現像スリーブの溝部の条件は以下の通りである。
溝部:V字溝
溝角度:100°
溝ピッチ:0.75mm
本実施例において、溝部(V字溝)の溝幅と現像剤搬送量との関係を調べたところ、図31に示すように、略比例関係にあることが理解される。
よって、本実施例において、実施例2と同様に、現像スリーブの溝部(V字溝)の溝幅を現像ロールの軸方向に沿って変化するように設定したところ、現像剤搬送量、画像濃度は現像ロールの軸方向に沿って略一定であることが確認された。
Claims (14)
- トナー及びキャリアが含まれる現像剤を保持搬送する現像スリーブであって、
非磁性材料にて形成されるスリーブ本体と、
このスリーブ本体の表面が粗面化され且つスリーブ本体の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくする傾向に前記粗面状態が変化させられる表面粗面部とを備えたことを特徴とする現像スリーブ。 - 請求項1記載の現像スリーブにおいて、
前記表面粗面部は、スリーブ本体の軸方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像スリーブ。 - 請求項1記載の現像スリーブにおいて、
前記表面粗面部は、表面粗さがスリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて大きくなるものであることを特徴とする現像スリーブ。 - 請求項1記載の現像スリーブにおいて、
前記表面粗面部は、スリーブ本体の軸方向に沿って延び且つ現像剤が保持搬送可能な溝部を有し、この溝部の深さがスリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて深くなるものであることを特徴とする現像スリーブ。 - 請求項1記載の現像スリーブにおいて、
前記表面粗面部は、スリーブ本体の軸方向に沿って延び且つ現像剤が保持搬送可能な溝部を有し、この溝部幅がスリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて広くなるものであることを特徴とする現像スリーブ。 - 請求項1記載の現像スリーブにおいて、
前記表面粗面部は、規則形状からなる凸状ブロックとこの凸状ブロック間に形成される凹溝とを有する規則性のある凹凸パターンからなり、この凹凸パターンがスリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて凹溝の比率を大きくすることを特徴とする現像スリーブ。 - 請求項1記載の現像スリーブにおいて、
前記表面粗面部は、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を段階的に変化させるものであることを特徴とする現像スリーブ。 - トナー及びキャリアが含まれる現像剤を保持搬送する現像スリーブと、この現像スリーブ内に固定的に設けられ且つ複数の磁極が配列される磁石部材とを備えた現像ロールであって、
前記現像スリーブは、非磁性材料にて形成されるスリーブ本体と、
このスリーブ本体の表面が粗面化され且つスリーブ本体の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくする傾向に前記粗面状態が変化させられる表面粗面部とを備えたことを特徴とする現像ロール。 - 請求項8記載の現像ロールにおいて、
前記表面粗面部は、スリーブ本体の軸方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像ロール。 - トナー及びキャリアを含む現像剤が収容可能な現像容器と、この現像容器に設けられ且つ前記現像剤を保持搬送可能な現像ロールと、この現像ロールに対向配置され且つ現像ロール上の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを備えた現像装置であって、
前記現像ロールは、現像剤を保持搬送する現像スリーブと、
この現像スリーブ内に固定的に設けられ且つ複数の磁極が配列される磁石部材とを備え、
更に、前記現像スリーブは、非磁性材料にて形成されるスリーブ本体と、
このスリーブ本体の表面が粗面化され且つスリーブ本体の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくする傾向に前記粗面状態が変化させられる表面粗面部とを備えたことを特徴とする現像装置。 - 請求項10記載の現像装置において、
前記表面粗面部は、スリーブ本体の軸方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項10記載の現像装置において、
前記表面粗面部は、スリーブ本体に沿って変化する撓み量及び層厚規制部材の長手方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項10記載の現像装置において、
前記表面粗面部は、層厚規制部材の長手方向に沿って変化する撓み量に対応した現像剤搬送能力差を小さくするように、スリーブ本体軸方向中央部から端部にかけて現像剤搬送能力を大きくするものであることを特徴とする現像装置。 - 像が保持可能な像保持体と、この像保持体に対向して設けられ且つ像保持体上に形成される静電潜像をトナー及びキャリアが含まれる現像剤にて可視像化する現像装置とを備えた画像形成装置であって、
前記現像装置は、現像剤が収容可能な現像容器と、
この現像容器に設けられ且つ前記現像剤を保持搬送可能な現像ロールと、
この現像ロールに対向配置され且つ現像ロール上の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを備え、
更に、前記現像ロールは、現像剤を保持搬送する現像スリーブと、
この現像スリーブ内に固定的に設けられ且つ複数の磁極が配列される磁石部材とを備え、
更に、前記現像スリーブは、非磁性材料にて形成されるスリーブ本体と、
このスリーブ本体の表面が粗面化され且つスリーブ本体の軸方向に沿って連続的に変化する現像剤搬送能力差を小さくする傾向に前記粗面状態が変化させられる表面粗面部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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