JP2008120679A5 - - Google Patents

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リチウム含有複合酸化物およびその製造方法、並びに非水二次電池
本発明は、非水二次電池の正極材料などに用いることのできるリチウム含有複合酸化物およびその製造方法、並びに非水二次電池に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型軽量でかつ高容量の二次電池が必要とされるようになってきた。現在、この要求に応える高容量二次電池として、LiCoO2を正極に用い、炭素系材料を負極に用いたリチウム二次電池に代表される非水二次電池が商品化されている。前記リチウム二次電池はエネルギー密度が高く、小型、軽量化が図れるということで、ポータブル電子機器の電源として注目されている。
このリチウム二次電池の正極材料として使用されているLiCoO2は製造が容易であり、かつ取り扱いが容易なことから、好適な活物質として多用されている。しかしながら、LiCoO2は希少金属であるCoを原料として製造されるために、今後、資源不足が深刻になると予想される。また、コバルト自体の価格も高く、価格変動も大きいために、安価で供給の安定している正極材料の開発が望まれる。
このため、リチウム二次電池用の正極材料としては、LiCoO2に代えて、リチウムマンガン酸化物系の材料が有望視されている。その中でも、スピネル型構造のリチウムマンガン酸化物であるLi2Mn49、Li4Mn512、LiMn24などが注目されており、特にLiMn24がLiに対して4V付近の電圧領域で充放電が可能であることから、盛んに研究が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
特開平6−76824号公報 特開平7−73883号公報 特開平7−230802号公報 特開平7−245106号公報
一方、LiMn 2 4 とは異なる構造を有する、LiMnO 2 などの層状のリチウムマンガン酸化物や、非常に広い組成範囲の層状のリチウム含有複合酸化物を正極材料とする検討も行われている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照。)。
特開平5−283076号公報(特許第3064655号公報) 特開平9−199127号公報(特許第3613869号公報) 特開平10−69910号公報(特許第3130813号公報) 特開2000−294242号公報
ところで、LiCoO2の理論放電容量は274mAh/gであるが、深い充放電を行うとLiCoO2が相変化を起こしてサイクル寿命に影響を与えるため、実際のリチウム二次電池において実用的な放電容量は125〜140mAh/gの範囲になる。
これに対して、LiMn24の理論放電容量は148mAh/gであるが、このLiMn24もLiCoO2と同様に充放電中に相変化を起こし、また、負極活物質に炭素系材料を使用した場合には、炭素系材料の不可逆容量が大きいために、実際に電池とした場合に使用できる放電容量は90〜105mAh/g程度に減少してしまう。このことからも明らかなように、LiMn24を正極活物質として使用する場合には、LiCoO2を正極活物質として使用する場合よりも電池容量を大きくすることができない。
また、LiCoO2の真密度が4.9〜5.1g/cm3であるのに対し、LiMn24の真密度は4.0〜4.2g/cm3とかなり低い値であり、正極活物質としての充填性を考えると、容量面でより一層不利を生じることになる。
さらに、LiMn24を正極活物質として用いたリチウム二次電池では、充放電中におけるLiMn24自体の構造が不安定であるため、サイクル特性がLiCoO2系電池よりも悪いという問題もある。
例えば、スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn24)の組成が変動して、Mnの平均価数が3価に近づいた場合、上記酸化物の結晶構造に歪みが生じて立方晶のスピネル構造から正方晶へと相変化を起こし、LiMnO2が形成される。この立方晶から正方晶への相変化は、リチウムに対して3V付近の電位領域での充放電に伴い生じるため、4V近い電圧で充放電される上記リチウム二次電池と同様の使い方はできない。
また、LiとMnの構成モル比(Li/Mn)を1とした場合には、3価のMnによるヤーン・テラー効果のために、LiMnO2の結晶構造は斜方晶系を示す。
この斜方晶系のLiMnO 2 は、Li量比が0〜1.0の範囲で電気化学的に充放電が可能であり、理論上は約285mAh/gの放電容量となる。ところが、初期充電時に4価のMnの割合が増えるにしたがい、スピネル型構造へと相転移が起こるため、初期の充放電曲線と2回目以降の充放電曲線が異なる形状を示すだけでなく、3.5V以上の電圧で放電を終止した場合の放電容量は、理論値よりもかなり減少する。さらに、充放電でMnの移動を伴う構造変化を生じるため、サイクル耐久性に乏しく、また急速充放電ができないなどの問題を抱えている。
一方、本発明者らは、層状のLiMnO 2 などのリチウムマンガン酸化物や、前記層状のリチウム含有複合酸化物について詳細な検討を行った結果、化合物の組成、特にLiおよびMn以外に酸化物を構成する元素の有無とその種類や量比、その酸化物が形成されるまでの過程などにより、その構造や特性などの物性が顕著に変化することをつきとめた。
リチウムマンガン酸化物では、前述したように、3価のMnの割合が多くなると、ヤーン・テラー効果のために結晶構造に歪みが生じて充放電の電位が低下するという問題が生じる。そのため、Mnの価数を4価に近い値とする必要があるが、4価のMnの割合が増えるにしたがい、スピネル型構造へと相転移が起こりやすくなるため、結晶構造の安定化を実現することが必要とされる。
従って、LiMnO2などの層状のリチウムマンガン酸化物を実用化するためには、結晶構造の安定化と、充放電での可逆性の向上による高容量化、充放電サイクルでの耐久性をはじめとした課題を解決する必要があった。
本発明は前記従来の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果なされたものであり、構造が安定で、充放電の可逆性および充放電サイクルに対する耐久性に優れ、体積当たりのエネルギー密度が高いリチウム含有複合酸化物を提供すること、さらに、これを正極に用いたサイクル特性などの耐久性に優れた非水二次電池を提供することを特徴とするものである。
本発明者らは、上記課題に対しては、LiMnO 2 にLiを過剰に含有させてMnの平均価数を大きくするか、LiMnO 2 のMnを、層状のリチウム含有複合酸化物を安定に構成できる元素、例えばCoやNiなどで置換することが有効であると考え、Liの量比、置換元素の種類およびその量比、リチウム含有複合酸化物を合成する際の焼成条件などについて詳細に検討し、上記課題の解決をなし得た。
本発明の第1のリチウム含有複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、一般式Li1+x+αNi(1-x-y+δ)/2Mn(1-x-y-δ)/2y2〔ただし、0≦x≦0.05、−0.05≦x+α≦0.05、0<y≦0.4、−0.1≦δ≦0.1であって、MはTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群から選択された1種以上の元素〕で表される組成を有し、かつ前記Mnの平均価数が3.3〜4価であることを特徴とする。
また、本発明の第2のリチウム含有複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、一般式Li1+x+αNi(1-x-y+δ)/2Mn(1-x-y-δ)/2y2〔ただし、0≦x≦0.05、−0.05≦x+α≦0.05、0.2<y≦0.4、−0.24≦δ≦0.24であって、MはTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群から選択され、かつ少なくともCoを含む1種以上の元素〕で表される組成を有し、かつ前記Mnの平均価数が3.3〜4価であることを特徴とする。
また、本発明のリチウム含有複合酸化物の製造方法は、層状の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物を形成するリチウム含有複合酸化物の製造方法であって、少なくともNiおよびMnを構成元素とし、NiとMnの量比が1:1の近傍にある複合化合物を合成する工程と、前記複合化合物とLiの化合物とを混合し、これを焼成することにより、Mnの平均価数を3.3〜4価に調整する工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の非水二次電池は、上記本発明のリチウム含有複合酸化物を正極活物質として含む正極、負極および非水電解質を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、結晶構造の安定性が高く、充放電の可逆性が良好で、高密度のリチウム含有複合酸化物とその製造方法を提供することができる。また、上記リチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いることにより、高容量で耐久性に優れた非水二次電池が構成可能となる。
以下、本発明をより具体的に説明する。本発明において正極活物質となるリチウム含有複合酸化物は、一般式Li1+x+αNi(1-x-y+δ)/2Mn(1-x-y-δ)/2y2〔ただし、0≦x≦0.05、−0.05≦x+α≦0.05、0≦y≦0.4であり、−0.1≦δ≦0.1であって、MはTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群から選択された1種以上の元素〕で表され、少なくともNiとMnを構成元素として含有し、かつ、NiとMnの量比(モル比)が1:1となる組成を中心とした、ごく限られた組成範囲の複合酸化物である。
本発明において、リチウム含有複合酸化物として、上記のような限られた組成範囲のみが選択されるのは以下の理由による。すなわち、リチウムマンガン酸化物では、前述したように、3価のMnの割合が多くなると、ヤーン・テラー効果のために結晶構造に歪みが生じて充放電の電位が低下するという問題が生じる。そのため、Mnの価数を4価に近い値とする必要があるが、4価のMnの割合が増えるにしたがい、スピネル型構造へと相転移が起こりやすくなるため、結晶構造の安定化を実現することが必要とされる。
本発明者らは、上記課題に対しては、LiMnO2にLiを過剰に含有させてMnの平均価数を大きくするか、LiMnO2のMnを、層状のリチウム含有複合酸化物を安定に構成できる元素、例えばCoやNiなどで置換することが有効であると考え、Liの量比、置換元素の種類およびその量比、リチウム含有複合酸化物を合成する際の焼成条件などについて詳細に検討した。
その結果、NiとMnの量比が、1/2:1/2、すなわち1:1となるLiNi1/2Mn1/22の一般式で表される組成を基本として、NiおよびMnがそれぞれx/2ずつLiで置換され、NiとMnの量比が1/2:1/2からそれぞれδ/2および−δ/2だけずれ、Liの量比がαだけ幅を有し、かつ、NiおよびMnがそれぞれy/2ずつ元素M(ただし、MはTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群より選択された1種以上の元素)で置換された組成、すなわち、一般式Li1+x+αNi(1-x-y+δ)/2Mn(1-x-y-δ)/2y2〔ただし、0≦x≦0.05、−0.05≦x+α≦0.05、0≦y≦0.4であり、−0.1≦δ≦0.1であって、MはTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群から選択された1種以上の元素〕で表される組成範囲において、リチウム含有複合酸化物中のMnの平均価数が4価近傍の値(およそ3.3〜4価)をとる場合には、層状の結晶構造が安定化され、4V付近の電位領域での充放電の可逆性や充放電サイクルに対する耐久性に優れたリチウム含有複合酸化物が得られることがわかった。特に、y>0である場合、すなわち、元素Mが添加された場合に、より優れた特性を有するリチウム含有複合酸化物となることもわかった。
上記構成のリチウム含有複合酸化物では、充放電でのLiのドープおよび脱ドープの際に、結晶中のMnの移動が抑制され、結晶構造の安定化が実現されるものと思われる。なお、本発明においては、Mnの価数として、X線吸収分光(XAS)により測定した値を用いた。
また、上述したように、本発明において用いるリチウム含有複合酸化物は、LiNi1/2Mn1/22のように、NiとMnが1:1となる組成を基本としているが、さらに詳細に組成検討を行ったところ、Ni、MnおよびMの量比が1:1:1となる組成、すなわち一般式LiNi1/3Mn1/31/32で表されy=1/3となる組成の近傍において、特に優れた特性を有するリチウム含有複合酸化物が得られた
上記一般式Li1+x+αNi(1-x-y+δ)/2Mn(1-x-y-δ)/2y2(ただし、MはTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群より選択された1種以上の元素)において、NiとMnの量比のずれ(δ/2)は、−0.1≦δ≦0.1と小さい値しか許容されないが、0.2<y≦0.4の組成範囲では、結晶構造の安定性がより高くなり、単一相が形成されやすくなる。このため、0.2<y≦0.4の組成の場合は、−0.1≦δ≦0.1の範囲の組成に加え、NiとMnの量比のずれを、−0.24≦δ≦0.24と大きくすることができる。
また、上記組成を有し、Mnの平均価数が4価近傍にあるリチウム含有複合酸化物は、真密度が4.55〜4.95g/cm 3 と大きな値を有し、高い体積エネルギー密度を有する材料となる。Mnを一定範囲で含むリチウム含有複合酸化物の真密度は、その組成により大きく変化するが、上記の狭い組成範囲において構造が安定化され、単一相が形成されやすくなるため、LiCoO 2 の真密度に近い大きな値となるものと考えられる。特に、化学量論比に近い組成のときに大きな値となり、−0.015≦x+α≦0.015において、およそ4.7g/cm 3 以上の高密度複合酸化物となることがわかった。
さらに、0≦y≦0.2の組成範囲においてその真密度はおよそ4.55〜4.74g/cm 3 であるのに対し、0.2<y≦0.4の組成範囲においては、4.75〜4.95g/cm 3 であって、より高容量化に適した材料となる。
ここで、yの上限値を0.4としたのは、y>0.4の組成、すなわち元素Mでの置換量が0.4より多くなると、目的とする複合酸化物中に異相が形成され、化合物の安定性が損なわれるなどの問題を生じやすくなるからである。
また、上述したように、層状の構造を安定して有し、充放電の可逆性や充放電サイクルに対する耐久性に優れる、少なくともNiおよびMnを構成元素として含むリチウム含有複合酸化物に対し、CuKα線を用いたX線回折測定を行うと、以下の結果が得られた。すなわち、回折角2θが18°付近および44°付近には、LiNiO 2 の(003)および(104)の回折ピークに相当する回折ピークがそれぞれ1本ずつ存在し、かつ、63°〜66°の範囲には、(108)および(110)の回折ピークに相当する2本の回折ピークが存在するなど、その回折パターンはLiNiO 2 と同様の特徴を有する単一相の複合酸化物であることがわかった。
さらに、回折パターンを詳細に検討した結果、上記18°付近および44°付近の回折ピークの面積、すなわち積算強度をそれぞれI 18 およびI 44 としたときに、0≦y≦0.2の組成範囲においては、その比I 44 /I 18 が0.9<I 44 /I 18 ≦1.2であり、かつ、上記63°〜66°の範囲にある2本の回折ピークの回折角(2θ)の差θaが、0.3°≦θa≦0.6°であるが、0.2<y≦0.4の組成範囲においては、I 44 /I 18 が0.7≦I 44 /I 18 ≦1であり、かつ、θaが0.55°≦θa≦0.75°であるという特徴を有することもわかった。
このようなリチウム含有複合酸化物の充放電曲線は、スピネル型の構造を有するLiMn 2 4 と同様に、4V付近の電圧領域での充放電が可能であり、従来の正極活物質であるLiMn 2 4 やLiCoO 2 の代替として使用することが可能となる。
ところで、上記リチウム含有複合酸化物は、単純にLi化合物、Mn化合物およびNi化合物などを混合して焼成するだけでは、その単一相を得ることは非常に困難である。
これは、NiおよびMnなどの固体中での拡散速度が遅いため、合成反応においてこれらを均一に拡散させることが困難で、生成した酸化物中に前記元素が均一に分布しないことが原因と考えられる。
そこで、本発明者らは、上記酸化物を合成する方法についても詳細に検討を重ねた結果、少なくともNiおよびMnを構成元素として含む複合化合物と、Liの化合物とを焼成することにより、本発明のリチウム含有複合酸化物の単一相を比較的容易に合成できるという知見を得た。すなわち、あらかじめNiおよびMnなどの構成元素の複合化合物を合成しておき、これをLiの化合物と共に焼成することにより、酸化物形成反応において前記金属元素が均一に分布し、単一相の形成が容易化されるのである。もちろん、本発明のリチウム含有複合酸化物の合成方法は上記の方法に限定されるものではないが、どのような合成過程を経るかによって、生成する複合酸化物の物性、すなわち構造の安定性や、MnあるいはNiの価数、充放電の可逆性、真密度などが大きく変化するものと思われる。
ここで、少なくともNiおよびMnを構成元素として含む複合化合物としては、例えば、少なくともNiおよびMnを含む共沈化合物、水熱合成された化合物、メカニカル合成された化合物およびそれらを熱処理して得られる化合物などを用いればよく、Ni0.5Mn0.5(OH)2、NiMn24、Ni0.5Mn0.5OOHなど、NiとMnの酸化物または水酸化物を好ましく用いることができる。なお、構成元素としてM(MはTi、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Al、GeおよびSnからなる群より選択された1種以上の元素)を含有するリチウム含有複合酸化物を合成する場合には、少なくともNiおよびMnを含む複合化合物と、Liの化合物と、Mを含有する化合物とを混合して焼成することにより目的の酸化物を得ることはできるが、可能であれば、NiおよびMnとさらにMが含有された複合化合物を初めから用いることが好ましい。また、上記複合化合物におけるNi、MnおよびMの量比は、目的とするリチウム含有複合酸化物の組成に応じて適宜選択すればよい。
また、上記Liの化合物としては、種々のリチウム塩を用いることができ、例えば、水酸化リチウム・一水和物、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、乳酸リチウム、シュウ酸リチウム、リン酸リチウム、ピルビン酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウムなどが挙げられ、それらの中でも、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物などの環境に悪影響を及ぼすガスが発生しない点で水酸化リチウム・一水和物が最も好ましく用いられる。
上記の少なくともNiおよびMnを構成元素として含む複合化合物と、Liの化合物とは、ほぼ目的とするリチウム含有複合酸化物の組成に応じた比率で混合され、例えば、前記混合物を、酸素を含む雰囲気中でおよそ700〜1100℃で1〜24時間焼成することにより、本発明のリチウム含有複合酸化物を合成することができる。
上記焼成にあたっての加熱処理としては、一気に所定温度まで昇温するよりも、いったん焼成温度よりも低い温度(およそ250〜850℃)まで加熱し、その温度で保持することにより予備加熱を行い、さらに焼成温度に昇温して反応を進行させることが好ましい。これは、本発明のリチウム含有複合酸化物の生成過程においては、Liの化合物と少なくともNiおよびMnを構成元素として含む複合化合物との反応が段階的に生じ、中間生成物を経由して最終的にリチウム含有複合酸化物が生成すると考えられるからである。すなわち、一気に焼成温度まで昇温する場合には、Liの化合物と少なくともNiおよびMnを構成元素として含む複合化合物とが部分的に最終段階まで反応してしまい、それによって生成したリチウム含有複合酸化物が未反応物の反応を妨害したり、組成の均一性が損なわれるといった問題が生じることがある。また、反応工程に要する時間を短縮し、均質なリチウム含有複合酸化物を得るためにも、段階的に加熱を行うのが有効である。この予備加熱の時間は特に制限されるものではないが、通常、0.5〜30時間程度で行えばよい。
また、前記Liの化合物と少なくともNiおよびMnを構成元素として含む複合化合物との混合物を焼成する工程では、乾式混合された混合物をそのまま用いてもよいが、混合物をエタノールなどの溶媒で分散してスラリー状にし、遊星型ボールミルなどで30〜60分間程度混合し、これを乾燥させたものを用いることにより、合成されるリチウム含有複合酸化物の均質性がさらに高まるので好ましい。
上記加熱処理の雰囲気としては、酸素を含む雰囲気、すなわち空気中や、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガスと酸素ガスとの混合雰囲気中、あるいは酸素ガス中で行えばよい。雰囲気中の酸素の割合は、体積比で10%以上にすることが好ましい。
上記ガスの流量としては、前記混合物100g当たり1dm3/分以上にするのが好ましく、1〜5dm3/分がより好ましい。ガス流量が少ない場合、すなわちガス流速が遅い場合には、反応が不均一に進行し、Mn23やLi2MnO3などの不純物が生成しやすくなる。
以上述べたような方法により得られる、Mnの平均価数が3.3〜4価であり、かつ層状の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いることにより、例えば以下のようにして非水二次電池が作製される。
正極は、上記リチウム含有複合酸化物に、要すれば、鱗片状黒鉛、アセチレンブラックなどの導電助剤と、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを加えて混合した正極合剤を、そのまま用いるか、あるいは集電体としての作用を兼ねる基体に塗布または含浸させ、基体と一体化して用いる。基体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属の網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、フォームメタル、金属箔などを用いることができる。
なお、正極活物質としては、上記リチウム含有複合酸化物のみを用いてもよいが、他の活物質と混合するか、あるいは他の活物質との複合体として用いることもできる。例えば、上記リチウム含有複合酸化物は、LiCoO2のようなリチウム含有コバルト酸化物に比べて電子伝導性が劣っているため、大電流放電や放電末期での電圧降下が大きくなるという問題が発生しやすい。しかし、電子伝導性に優れるリチウム含有コバルト酸化物に、上記リチウム含有複合酸化物を混合して用いることより、上記電圧降下が抑制され、放電特性を向上させることができる。このリチウム含有コバルト酸化物としては、LiCoO2の他、Coの一部を他の元素、例えばNiで置換したLiCo1-tNit2などの化合物も用いることができる。この場合、リチウム含有コバルト酸化物の割合を多くしすぎると、高温貯蔵特性などの耐久性が低下しやすくなるため、高温貯蔵特性の点からは、リチウム含有コバルト酸化物の割合を、質量比率で活物質全体の50%以下とする必要がある。
また、上記正極と対向させる負極の活物質としては、通常はリチウムまたはリチウム含有化合物が用いられるが、そのリチウム含有化合物としては、Li−Al合金、Li−Pb合金、Li−In合金、Li−Ga合金などのリチウム合金や、Si、Sn、Mg−Si合金など、リチウムと合金を形成することが可能な元素、またはそれらの元素を主体として含む合金が挙げられる。さらに、Sn酸化物、Si酸化物などの酸化物系材料のほか、黒鉛や繊維状炭素などの炭素質材料、リチウム含有複合窒化物などを用いることができる。また、上記の複数の材料を複合化したものを用いてもよく、炭素質材料とSiとの複合体なども好ましく用いられる。なお、負極の作製についても、上記正極の場合と同様の方法を用いることができる。
上記正極と負極における活物質の比率としては、負極活物質の種類によっても異なるが、一般的には、(正極活物質の質量)/(負極活物質の質量)=1.5〜3.5とすることにより、上記リチウム含有複合酸化物の特性をうまく利用することができる。ただし、負極活物質として、リチウムと合金を形成することが可能な元素、それらの元素を主体として含む合金、リチウム含有複合窒化物、またはそれらの材料と炭素質材料など他の構成要素との複合体を用いる場合には、上記比率では負極の容量が大きくなりすぎるため、(正極活物質の質量)/(負極活物質の質量)=4〜7とするのが望ましい。
本発明の非水二次電池における非水電解質としては、有機溶媒に電解質を溶解させた有機溶媒系の液状電解質、すなわち電解液や、前記電解液をポリマー中に保持させたポリマー電解質などを用いることができる。その電解液あるいはポリマー電解質に含まれる有機溶媒は特に限定されるものではないが、負荷特性の点からは鎖状エステルを含んでいることが好ましい。そのような鎖状エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートに代表される鎖状のカーボネートや、酢酸エチル、プロピロン酸メチルなどの有機溶媒が挙げられる。これらの鎖状エステルは、単独でもあるいは2種以上を混合して用いてもよく、特に低温特性の改善のためには、上記鎖状エステルが全有機溶媒中の50体積%以上を占めることが好ましく、特に鎖状エステルが全有機溶媒中の65体積%以上を占めることがより好ましい。
ただし、有機溶媒としては、上記鎖状エステルのみで構成するよりも、放電容量の向上を図るために上記鎖状エステルに誘率の高い(誘率:30以上)エステルを混合して用いることが好ましい。このようなエステルの具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートに代表される環状のカーボネートや、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールサルファイトなどが挙げられ、特にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状構造のエステルがより好ましい。
そのような誘電率の高いエステルは、放電容量の点から、全有機溶媒中10体積%以上、特に20体積%以上含有されることが好ましい。また、負荷特性の点からは、40体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましい。
また、上記誘電率の高いエステル以外に併用可能な溶媒としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが挙げられる。そのほか、アミンイミド系有機溶媒や、含イオウまたは含フッ素系有機溶媒なども用いることができる。
有機溶媒に溶解させる電解質としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiC49SO3、LiCF3CO2、Li224(SO32、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiCn2n+1SO3(n≧2)などが単独でまたは2種以上混合して用いられる。中でも、良好な充放電特性が得られるLiPF6やLiC49SO3などが好ましく用いられる。電解液中における電解質の濃度は特に限定されるものではないが、0.3〜1.7mol/dm3、特に0.4〜1.5mol/dm3程度が好ましい。
また、電池の安全性や貯蔵特性を向上させるために、非水電解液に芳香族化合物を含有させてもよい。芳香族化合物としては、シクロヘキシルベンゼンやt−ブチルベンゼンなどのアルキル基を有するベンゼン類、ビフェニル、あるいはフルオロベンゼン類が好ましく用いられる。
セパレータとしては、強度が充分でしかも電解液を多く保持できるものがよく、そのような観点から、5〜50μmの厚さで、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、プロピレンとエチレンとの共重合体などのポリオレフィン製の微孔性フィルムや不織布などが好ましく用いられる。特に、5〜20μmと薄いセパレータを用いた場合には、充放電サイクルや高温貯蔵などにおいて電池の特性が劣化しやすくなるが、本発明のリチウム含有複合酸化物は安定性に優れているため、このような薄いセパレータを用いても安定して電池を機能させることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
反応容器内に水酸化ナトリウムの添加によりpHを約12に調整したアンモニア水を用意し、これを強攪拌しながら、この中に硫酸ニッケルおよび硝酸マンガンをそれぞれ1mol/dm3ずつ含有する混合水溶液、および25質量%のアンモニア水をそれぞれ46cm3/分および3.3cm3/分の割合で定量ポンプを用いて滴下し、NiとMnの共沈化合物を生成させた。このとき、反応液の温度は50℃に保持し、また、反応液のpHが約12付近に維持されるように、3.2mol/dm3の濃度の水酸化ナトリウム水溶液の滴下も同時に行った。さらに、反応に際して、反応液の雰囲気が不活性雰囲気となるように、窒素ガスを1dm3/分の割合でパージしながら反応させた。
得られた生成物を水洗、濾過および乾燥させ、NiとMnを1:1の割合で含有する水酸化物とし、この水酸化物0.2molと、0.198molのLiOH・H2Oとを秤量し、その混合物をエタノールで分散してスラリー状にした後、遊星型ボールミルで40分間混合し、室温で乾燥させて混合物を調製した。次いで、その混合物をアルミナ製のるつぼに入れ、1dm3/分の空気気流中で800℃まで加熱し、その温度で2時間保持することにより予備加熱を行い、さらに1000℃に昇温して12時間焼成することによりリチウム含有複合酸化物を合成した。調製した化合物は、乳鉢で粉砕して粉体としてデシケーター中で保存した。
上記酸化物の粉体について、原子吸光分析装置で組成を測定したところ、Li0.99Ni0.5Mn0.52で表される組成であることがわかった。また、上記化合物の状態分析を行うために、立命館大学SRセンターの超電導小型放射光源"オーロラ"(住友電工製)のBL4ビームポートを用いて、MnのX線吸収分光(XAS)を行った。得られたデータの解析は、文献〔Journal of the Electrochemical Society,146 p2799-2809(1999)〕に基づき、解析ソフト"REX"(リガク電機製)を用いて行った。また、上記化合物のMnの価数を決定するために、標準サンプルとして、MnO2およびLiNi0.5Mn1.54(どちらも平均価数が4価のMnを有する化合物としての標準サンプル)、LiMn24(平均価数が3.5価のMnを有する化合物としての標準サンプル)、LiMnO2およびMn23(どちらも平均価数が3価のMnを有する化合物としての標準サンプル)およびMnO(平均価数が2価のMnを有する化合物としての標準サンプル)を用いた。各標準サンプルのMnのK吸収端位置とMnの価数との関係を表す回帰直線を求め、上記化合物のMnのK吸収端位置が、MnO2およびLiNi0.5Mn1.54のK吸収端位置とほぼ同じであったことから、上記化合物のMnの平均価数はほぼ4価と求まった。
Niについては、3価以上のNiを有する標準サンプルとして適当な化合物が入手できなかったため、その価数を正確に求めることはできなかったが、平均価数が2価のNiを有する化合物であるNiOおよびLiNi0.5Mn1.54とK吸収端位置がほぼ同じであったことから、上記化合物のNiの平均価数はほぼ2価であることが推定された。
(実施例2)
実施例1と同様にして合成したNiとMnを1:1の割合で含有する水酸化物0.198molと、0.202molのLiOH・H2Oとを秤量し、以下実施例1と同様にしてLi1.01Ni0.495Mn0.4952で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例3)
実施例1と同様にして合成したNiとMnを1:1の割合で含有する水酸化物0.196molと、0.204molのLiOH・H2Oとを秤量し、以下実施例1と同様にしてLi1.02Ni0.49Mn0.492で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例4)
実施例1と同様にして合成したNiとMnを1:1の割合で含有する水酸化物0.194molと、0.206molのLiOH・H2Oとを秤量し、以下実施例1と同様にしてLi1.03Ni0.485Mn0.4852で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例5)
実施例1と同様にして合成したNiとMnを1:1の割合で含有する水酸化物0.192molと、0.208molのLiOH・H2Oとを秤量し、以下実施例1と同様にしてLi1.04Ni0.48Mn0.482で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例6)
実施例1と同様にして合成したNiとMnを1:1の割合で含有する水酸化物0.19molと、0.21molのLiOH・H2Oとを秤量し、以下実施例1と同様にしてLi1.05Ni0.475Mn0.4752で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例7)
硫酸ニッケル、硝酸マンガンおよび硫酸コバルトをそれぞれ0.9mol/dm3、0.9mol/dm3および0.2mol/dm3の割合で含有する混合水溶液を滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Ni、MnおよびCoを4.5:4.5:1の割合で含有する水酸化物を得た。以下実施例1と同様にしてLi0.99Ni0.45Mn0.45Co0.12で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例8)
硫酸ニッケル、硝酸マンガンおよび硫酸コバルトをそれぞれ0.75mol/dm3、0.75mol/dm3および0.5mol/dm3の割合で含有する混合水溶液を滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Li0.99Ni0.375Mn0.375Co0.252で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例9)
硫酸ニッケル、硝酸マンガンおよび硫酸コバルトをそれぞれ0.67mol/dm3、0.66mol/dm3および0.66mol/dm3の割合で含有する混合水溶液を滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Li0.99Ni0.34Mn0.33Co0.332で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(実施例10)
硫酸ニッケル、硝酸マンガンおよび硫酸コバルトをそれぞれ0.6mol/dm3、0.6mol/dm3および0.8mol/dm3の割合で含有する混合水溶液を滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Li0.99Ni0.3Mn0.3Co0.42で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(比較例1)
0.2molのLiOH・H2Oと、0.2molのMnOOHとを秤量し、遊星型ボールミルで30分間混合して混合物とし、これをアルミナ製のるつぼに入れ、1dm3/分の窒素気流中で450℃で10時間焼成し、LiMnO2で表される斜方晶リチウムマンガン酸化物を合成した。
(比較例2)
実施例1と同様にして合成したNiとMnを1:1の割合で含有する水酸化物0.18molと、0.22molのLiOH・H2Oとを秤量し、以下実施例1と同様にしてLi1.1Ni0.45Mn0.452で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(比較例3)
硫酸ニッケル、硝酸マンガンおよび硫酸コバルトをそれぞれ0.5mol/dm3、0.5mol/dm3および1mol/dm3の割合で含有する混合水溶液を滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Li0.99Ni0.25Mn0.25Co0.52で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(比較例4)
硫酸ニッケル、硝酸マンガンおよび硫酸コバルトをそれぞれ0.4mol/dm3、0.4mol/dm3および1.2mol/dm3の割合で含有する混合水溶液を滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Li0.99Ni0.2Mn0.2Co0.62で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(比較例5)
硫酸ニッケルおよび硝酸マンガンをそれぞれ0.5mol/dm3および1.5mol/dm3の割合で含有する混合水溶液を滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Li0.99Ni0.25Mn0.752で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
(比較例6)
実施例7における硫酸ニッケルと硝酸マンガンの割合をそれぞれ1.2mol/dm3、0.6mol/dm3としたこと以外は実施例7と同様にして、Li0.99Ni0.6Mn0.3Co0.12で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。すなわち、比較例6のリチウム含有複合酸化物は、実施例7とはNiとMnの量比のみが異なるものである。
(参考例)
0.2molのLiOH・H2Oと、0.1molのNi(OH)2と、0.1molのMnOOHとを秤量し、遊星型ボールミルで30分間混合して混合物とし、これをアルミナ製のるつぼに入れ、800℃の空気中で10時間焼成し、LiNi0.5Mn0.52の組成で表されるリチウム含有複合酸化物を合成した。
合成した上記実施例1〜10、比較例1〜6および参考例の各リチウム含有複合酸化物の一覧を表1に示した。
Figure 2008120679
上記の本発明の実施例1〜10、比較例1〜6および参考例のリチウム含有複合酸化物について、CuKα線によるX線回折測定を行った。本発明の実施例1〜10、比較例2〜6および参考例のリチウム含有複合酸化物は、層状の構造を有するLiNiO2と類似のX線回折パターンを示したが、比較例3〜5および参考例のX線回折パターンには、異相の生成を示すピークも認められた。また、比較例1のX線回折パターンは、LiNiO2とは異なる斜方晶のパターンであった。本発明の実施例1〜10、比較例2および比較例6については、異相の生成に起因するピークが認められなかったこと、すなわち、回折角2θが18°付近および44°付近に存在する回折ピークがそれぞれ1本ずつであり、63°〜66°の範囲に存在する回折ピークが2本であったことから、得られた酸化物は、LiNiO2と類似の構造を有するリチウム含有複合酸化物の単一相であることが確認された。なお、63°〜66°の範囲に存在する回折ピークには、CuのKα1線によるピークに隣接して、Kα2線によるピークも認められたが、本発明においては、63°〜66°の範囲内に存在する回折ピークとしては、前記Kα1線によるピークのみを考える。
上記のうち、実施例1、実施例8、実施例9、比較例4および比較例5のX線回折パターンを図1〜図5として例示した。
また、18°付近および44°付近の回折ピークの積算強度I18およびI44の比(I44/I18)と、63°〜66°の範囲に存在する2本の回折ピークの回折角の差θaについて測定した値を表2に示した。なお、比較例1のリチウム含有複合酸化物は本発明のものとは結晶構造が異なっており、また比較例3〜5および参考例のリチウム含有複合酸化物では、異相の生成により、63°〜66°の範囲には3本以上の回折ピークが存在していたため、表2にはそれらの化合物のデータを記載していない。
Figure 2008120679
0≦y≦0.2である実施例1〜7のリチウム含有複合酸化物では、積算強度比I44/I18は0.9〜1.2の範囲にあり、かつ、回折角の差θaは0.3°〜0.6°の範囲にあった。また、0.2<y≦0.4である実施例8〜10では、I44/I18は0.7〜1の範囲で、θaは0.55°〜0.75°の範囲であった。一方、組成が本発明の範囲から外れた比較例2および比較例6では、I44/I18またはθaのいずれかが上記範囲を逸脱しており、比較例3〜5および参考例では、前述のように、63°〜66°の範囲に3本以上の回折ピークが存在していた。
次に、本発明の実施例1〜10、比較例1〜6および参考例のリチウム含有複合酸化物について、真密度測定装置を用いて真密度を測定した。その結果を表3に示した。なお、測定誤差は最大で±0.03g/cm3であった。
Figure 2008120679
本発明の実施例1〜10のリチウム含有複合酸化物では、真密度は4.57〜4.82g/cm3となり、特に、ほぼ化学量論組成、すなわち−0.015≦x+α≦0.015である実施例1、実施例2および実施例7〜10において、真密度は4.7g/cm3以上の大きな値となった。中でも、元素Mでの置換量yを0.2<y≦0.4とした実施例8〜10では、4.76g/cm3以上の最も大きな値が得られた。
一方、従来の斜方晶の複合酸化物である比較例1や、化学量論組成から大幅にずれた組成の比較例2は、4.5g/cm3以下の小さな値であり、NiとMnの比率が本発明の範囲外となった比較例5および比較例6では、ほぼ化学量論組成であるにもかかわらず、本発明の上記実施例1、実施例2および実施例7〜10に比較して真密度が低下した。さらに、参考例のリチウム含有複合酸化物も、異相の生成または未反応物の残存などにより均質性が劣るため、実施例1のリチウム含有複合酸化物よりも真密度が低下した。
ここで、比較例3および比較例4のリチウム含有複合酸化物の真密度は、本発明の実施例のものより高くなっているが、これは真密度が約5.1g/cm3のLiCoO2が異相として生成したためであり、単一相として表3に示す真密度の複合酸化物が得られたわけではない。
次に、本発明の実施例1〜10および比較例1〜2のリチウム含有複合酸化物について、以下に示す方法により放電容量を測定した。
バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン20質量部に、N−メチル−2−ピロリドンを250質量部加え、60℃に加熱してポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、バインダー溶液を調製した。このバインダー溶液に上記のリチウム含有複合酸化物を正極活物質として450質量部加え、さらに導電助剤としてカーボンブラック5質量部とグラファイト25質量部を加え、攪拌してスラリー状の塗料を調製した。この塗料を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥した後、ローラープレス機により加圧成形し、ついで裁断して、平均厚さが190μmで横483mm、縦54mmの帯状正極を作製した。
上記のようにして作製した正極と、リチウム箔よりなる負極を用い、各電極との間に厚さ25μmの微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを配置し、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒にLiPF6を1.0mol/dm3の濃度で溶解させた非水溶液を電解液として用い、リチウムの参照電極を配置して、正極の放電容量評価用の電池を組み立てた。
正極の面積に対する電流密度を0.2mA/cm2として、上記電池を4.3Vまで充電し、同じ電流密度で3.1Vまで放電させて放電容量を測定した。測定された放電容量を、正極活物質の単位質量当たり(mAh/g)および単位体積当たり(mAh/cm3)に換算した値として表4に示した。なお、実施例1、実施例6、実施例8、比較例1および比較例2のリチウム含有複合酸化物を用いた電池の正極の放電曲線を図6に示した。
Figure 2008120679
本発明の実施例1〜10のリチウム含有複合酸化物は、3.5V以上の高い放電電位での作動が可能であり、136〜153mAh/gと大きな放電容量を示したが、比較例1、2では130mAh/g以下の放電容量であり、また、本発明のリチウム含有複合酸化物の方が真密度が大きいことから、単位体積当たりの放電容量に換算するとその差はより顕著となった。
さらに、上記リチウム含有複合酸化物の非水二次電池としての特性を評価するため、以下の構成で非水二次電池を作製した。
(実施例11)
正極活物質として実施例1および実施例9のリチウム含有複合酸化物をそれぞれ単独で用いて非水二次電池を作製した。正極は、正極活物質92質量部、人造黒鉛4.5質量部、カーボンブラック0.5質量部、ポリフッ化ビニリデン3質量部を混合して作製したペーストをアルミニウム箔基材上に塗布し、乾燥後に加圧成形することにより得た。
負極は、天然黒鉛92質量部、低結晶性カーボン3質量部、ポリフッ化ビニリデン5質量部を混合して作製したペーストを銅箔基材上に塗布し、乾燥後に加圧成形することにより得た。
上記正極および負極を、厚みが16μmの微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して捲回し、電解液として、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒にLiPF6を1.2mol/dm3の濃度で溶解させたものを用い、600mAhの容量の円筒型非水二次電池を作製した。なお、正極活物質と負極活物質の質量比率〔(正極活物質の質量)/(負極活物質の質量)〕は1.9とした。
(実施例12)
正極活物質として、実施例1のリチウム含有複合酸化物を70質量%、LiCoO2を30質量%の割合で混合して用いたこと以外は実施例11と同様の構成で非水二次電池を作製した。
(比較例7)
正極活物質として、比較例6のリチウム含有複合酸化物、市販の非水二次電池に使用されているLiCoO2およびLiNi0.8Co0.22をそれぞれ単独で用いたこと以外は実施例11と同様の構成で非水二次電池を作製した。
上記実施例11、実施例12および比較例7の非水二次電池について、サイクル特性および高温貯蔵特性を評価した。サイクル特性は、1C(600mA)の電流値で充放電を行ったときの、サイクル初期の放電容量に対する100サイクル後の放電容量の割合〔容量維持率(%)〕で評価した。高温貯蔵特性は、電池を60℃で20日間保持する貯蔵試験を行ったときの貯蔵前後での放電容量の変化、すなわち、1Cの電流値で充放電を行ったときの放電容量を貯蔵前後で比較し、貯蔵前の放電容量に対する貯蔵後の放電容量の割合〔容量維持率(%)〕で評価した。これらの特性評価の結果を表5に示した。
Figure 2008120679
本発明のリチウム複合酸化物を正極活物質として用いた実施例11および実施例12の非水二次電池は、厚みが16μmと薄いセパレータを用いたにもかかわらず、サイクル特性および高温貯蔵特性に優れていたが、本発明の範囲外の組成となる比較例6や、市販の非水二次電池で用いられているLiCoO2あるいはLiNi0.8Co0.22を正極活物質として用いた比較例7の非水二次電池は、サイクル特性および高温貯蔵特性が本発明のものより劣っていた。
また、実施例11と実施例12の電池を2C(1200mA)で放電させ、大電流放電での特性を調べたところ、実施例11の電池の放電容量が525mAhであったのに対し、実施例12の電池では573mAhと特性の顕著な向上が認められた。これは、リチウム含有コバルト酸化物を本発明のリチウム含有複合酸化物に混合して用いたことによるものである。
(実施例13)
さらに、負極活物質として、Siと炭素質材料とを複合化した材料を用いて非水二次電池を作製した。Si粉末と人造黒鉛とを遊星ボールミルで混合して複合化し、得られた複合体をふるい分けして負極活物質とした。正極活物質として、実施例1のリチウム含有複合酸化物を用い、他は実施例11と同様の構成で非水二次電池を作製した。ただし、正極活物質と負極活物質の質量比率は6.6とした。この電池では、負極活物質として高容量材料を用いたことにより、正極活物質の質量比率を高めることができたため、実施例11と同一サイズで放電容量を約7%大きくすることができた。
上記非水二次電池について、2C放電での放電容量を測定したところ605mAhとなり、大電流放電でも優れた特性を有する電池を実現することができた。これは、正極活物質の質量比率を高めたことにより、放電時の正極活物質への負荷が軽減され、電圧降下が減少したためと考えられる。
本発明の実施例1で合成したリチウム含有複合酸化物のX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例8で合成したリチウム含有複合酸化物のX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例9で合成したリチウム含有複合酸化物のX線回折パターンを示す図である。 本発明の比較例4で合成したリチウム含有複合酸化物のX線回折パターンを示す図である。 本発明の比較例5で合成したリチウム含有複合酸化物のX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例1、実施例6、実施例8、比較例1および比較例2で合成したリチウム含有複合酸化物を正極に用いた電池の正極の放電曲線を示す図である。
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