JP2008115899A - ダイヤフラム弁および基板処理装置 - Google Patents

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尾 勝 利 杢
Naoyuki Okamura
村 尚 幸 岡
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利 信 彦 毛
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Abstract

【課題】ダイヤフラム近傍に静電気が蓄積してこの静電気による火花放電によって当該ダイヤフラムに絶縁破壊が生じることを抑止することができるダイヤフラム弁およびこのダイヤフラム弁を備えた基板処理装置を提供する。
【解決手段】ダイヤフラム弁30は、バルブ本体30aの弁室36内に設けられたダイヤフラム40を有している。このダイヤフラム弁30には、一端が弁室36内に位置するとともに他端がバルブ本体30aの外部まで延びるよう当該バルブ本体30aを貫通して導電性部材50が設置されている。導電性部材50には当該導電性部材50に発生する静電気を取り除くためのアース線51が接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイヤフラム弁およびこのダイヤフラム弁を備えた基板処理装置に関し、とりわけ、ダイヤフラム近傍に静電気が蓄積してこの静電気による火花放電によって当該ダイヤフラムに絶縁破壊が生じることを抑止することができるダイヤフラム弁およびこのダイヤフラム弁を備えた基板処理装置に関する。
基板、具体的には例えばウエハ上に塗布されているレジストを除去するために、オゾンガスを利用した基板処理装置が用いられる。この基板処理装置の例において、ウエハをチャンバーに収納し、このチャンバーにオゾンガスおよび水蒸気の混合気体を送ることにより、ウエハの表面に塗布されているレジストを水溶化させて後のウェット洗浄により除去する処理が行われるようになっている。
チャンバーには流体の排出管が接続されており、この排出管からチャンバー内の流体が排出されるようになっている。また、排出管には流体の制御を行うための開閉弁やリリーフ弁が介設されている。チャンバーの排出管に設けられる開閉弁やリリーフ弁としては、例えば特許文献1、2等に開示されるようなダイヤフラム弁が使用される。
而して、ダイヤフラム弁に送られる被制御流体にオゾンガスが含まれる場合には、このオゾンガスは腐蝕性のものであるので、ダイヤフラム弁の耐蝕性および耐薬品性を向上させるために、ダイヤフラムや弁体部、バルブ本体の材料を例えばフッ素樹脂のような耐蝕性および耐薬品性に優れた樹脂とすることが好ましい。
特開2004−19792号公報 特開2001−99344号公報
しかしながら、ダイヤフラム弁のダイヤフラムや弁体部、バルブ本体を例えばフッ素樹脂のような耐蝕性および耐薬品性に優れた樹脂から形成した場合には、当該樹脂と、オゾンガスおよび水蒸気の混合気体との摩擦により静電気が発生し、電荷がダイヤフラムや弁体部等に蓄積されてしまう。ここで、ダイヤフラム弁のダイヤフラムや弁体部、バルブ本体が非導電性樹脂である場合には、ダイヤフラムや弁体部の近傍に蓄積された電荷を十分に逃すことができず、例えばダイヤフラムの下面に蓄積された電荷がダイヤフラムの上方に移動しようとして、当該電荷がダイヤフラムを打ち破ってこのダイヤフラムに小穴が形成されてしまうという問題がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ダイヤフラム近傍に静電気が蓄積してこの静電気による火花放電によって当該ダイヤフラムに絶縁破壊が生じることを抑止することができるダイヤフラム弁およびこのダイヤフラム弁を備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、被制御流体の流入部および流出部に連通する弁室を内部に有するバルブ本体と、前記バルブ本体の弁室内に設けられたダイヤフラムと、前記ダイヤフラムに取り付けられ前記弁室内で往復移動自在となっている弁体部であって、前記弁室の一部を選択的に塞いで前記流入部から前記流出部までの被制御流体の流れを遮断する弁体部と、一端が前記弁室内に位置するとともに他端が前記バルブ本体の外部まで延びるよう当該バルブ本体を貫通して設けられた導電性部材と、前記導電性部材の他端に接続され、当該導電性部材に帯電した静電気を取り除くためのアース線と、を備えたことを特徴とするダイヤフラム弁である。
このようなダイヤフラム弁によれば、弁室内にある電荷を導電性部材およびアース線により除去することができ、ダイヤフラム近傍に静電気が蓄積されることを抑制することができる。このことにより、ダイヤフラム近傍に蓄積された静電気により当該ダイヤフラムが絶縁破壊されてしまうことを防止することができる。
本発明のダイヤフラム弁においては、前記導電性部材の一端は、前記弁室における前記弁体部により選択的に塞がれる箇所よりも上流側の領域に位置することが好ましい。ダイヤフラム弁においては一般的に、弁室における弁体部により選択的に塞がれる箇所よりも上流側の領域にダイヤフラムが配置されているので、ダイヤフラム近傍に蓄積される静電気をより確実に除去することができる。
あるいは、前記導電性部材は2つ設けられているとともに各導電性部材に前記アース線がそれぞれ接続されており、一の導電性部材の一端は、前記弁室における前記弁体部により選択的に塞がれる箇所よりも上流側の領域に位置し、他の導電性部材の一端は、前記弁室における前記弁体部により選択的に塞がれる箇所よりも下流側の領域に位置することが好ましい。このことにより、弁室において弁体部により選択的に塞がれる箇所を挟む2つの領域にそれぞれ導電性部材の一端を位置させているので、弁室内にある電荷をまんべんなく除去することができる。
本発明のダイヤフラム弁においては、前記バルブ本体に断面が略円形である貫通孔が設けられており、前記導電性部材は当該貫通孔に適合する略円柱形状となっていることが好ましい。このことにより、バルブ本体に対する導電性部材のシール性能を向上させることができるとともに、バルブ本体における貫通孔の加工や導電性部材の製造を容易に行うことができるようになる。
本発明のダイヤフラム弁においては、前記導電性部材は単結晶シリコンから形成されることが好ましい。
本発明のダイヤフラム弁においては、前記導電性部材と前記バルブ本体との間にシール部材が設けられていることが好ましい。このことにより、弁室内にある被制御流体が貫通孔を介してバルブ本体の外部へ流出することを確実に抑止することができるようになる。
本発明のダイヤフラム弁においては、前記導電性部材は、その先端が前記弁室内に位置する先端部分と、前記アース線に接続された基端部分と、前記先端部分と前記基端部分との間に設けられた弾性体とを有することが好ましい。このことにより、導電性部材をバルブ本体の貫通孔に嵌合させる際に先端部分の位置決めにおいて、部品の寸法バラツキを吸収することができ、より精度良く当該位置決めを行うことができるようになる。
本発明は、上述のダイヤフラム弁と、前記ダイヤフラム弁の上流側に設けられ、基板の処理を行うための基板処理室と、前記基板処理室にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部と、を備え、前記ダイヤフラム弁は、前記基板処理室から排出されるオゾンガスの流量を調整することによりこの基板処理室内のオゾンガスの圧力を調整するようになっていることを特徴とする基板処理装置である。
本発明のダイヤフラム弁によれば、ダイヤフラム近傍に静電気が蓄積してこの静電気による火花放電によって当該ダイヤフラムに絶縁破壊が生じることを抑止することができる。
また、本発明の基板処理装置によれば、ダイヤフラム弁のダイヤフラム近傍に静電気が蓄積してこの静電気による火花放電によって当該ダイヤフラムに絶縁破壊が生じることを抑止することができる。
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。
〔基板処理装置の全体構成〕
まず、図6を参照して、本発明の一の実施の形態における基板処理装置の全体構成を説明する。図6は、本実施の形態における基板処理装置の構成を示す説明図である。
基板処理装置1は、レジストが塗布されたウエハWに対してレジスト水溶化処理を施すためのものである。具体的には、この基板処理装置1において、オゾンガスおよび水蒸気の混合気体を用いることにより、ウエハWの表面に塗布されているレジストを水溶化させる処理が行われる。
図6に、基板処理装置1における流体の供給回路および排出回路を示す。基板処理装置1は、ウエハWが収納される密閉構造のチャンバー10と、チャンバー10内に供給する水蒸気を発生させるための水蒸気発生ユニット12と、チャンバー10内に供給するガスの供給源であるガス供給源13とを備えている。また、基板処理装置1は、チャンバー10内に供給するオゾンガスを発生させるためのオゾンガス発生ユニット11を備えている。オゾンガス発生ユニット11、水蒸気発生ユニット12およびガス供給源13は、切替混合弁15を介してチャンバー供給管16に接続されている。なお、オゾンガス発生ユニット11はオゾンガスまたは酸素を選択的に供給することができる。ガス供給源13から供給されるガスとしては、例えば窒素ガス等の不活性ガスや、空気等が用いられる。また、チャンバー供給管16には、当該チャンバー供給管16の形状に沿って管状に設置される温度調節器17が設けられており、チャンバー供給管16を通過するオゾンガス、水蒸気等の流体は、当該チャンバー供給管16を通過する間、温度調節器17によって温度調節されるようになっている。
さらに、基板処理装置1は、チャンバー10から流体を回収し、この流体から液体を分離するためのミストトラップ20と、チャンバー10から回収した流体中のオゾンガスを分解するためのオゾン分解ユニット21とを備えている。チャンバー10とミストトラップ20との間にはチャンバー排出管22が設けられており、このチャンバー排出管22は、チャンバー10から排出された流体をミストトラップ20に送出するようになっている。また、チャンバー排出管22には開閉弁24およびダイヤフラム弁30が介設されており、開閉弁24を開くことによりチャンバー10から混合気体等を排出してミストトラップ20に送出する状態にする。
ダイヤフラム弁30は、通常は弁を閉じているが、被制御流体の圧力が設定値以上になると自力で弁が開放されるものであり、チャンバー10内の混合気体等の流体を設定圧力以下に保つようなリリーフ弁として機能するようになっている。具体的には、ダイヤフラム弁30は、チャンバー10から排出されるオゾンガスやオゾンガスと水蒸気との混合気体の流量を調節することによりこのチャンバー10内の気体の圧力を調整するようになっている。ダイヤフラム弁30の詳細については後に説明する。
ミストトラップ20とオゾン分解ユニット21はミストトラップ排気管23によって接続されている。チャンバー10内のオゾンガスは、チャンバー排出管22、ミストトラップ20およびミストトラップ排気管23を順に通過してオゾン分解ユニット21で分解され、オゾン分解ユニット排気管27へ排出されるようになっている。
ウエハWに塗布されたレジストを水溶化する処理を行うときは、ウエハWを収納して密閉状態としたチャンバー10の内部に、オゾンガスと水蒸気との混合気体を充填させて処理を行う。すなわち、オゾンガス発生ユニット11により生成されるオゾンガスと水蒸気発生ユニット12により生成される水蒸気とをこれらのユニットからそれぞれ送出し、切替混合弁15においてオゾンガスと水蒸気との混合気体を生成して、チャンバー供給管16によってチャンバー10の内部に供給する。
また、例えばチャンバー10内から混合気体等を排出するときは、切替混合弁15を切り替えてガス供給源13とチャンバー供給管16を接続する状態とし、ガス供給源13からチャンバー10内にガスを供給するとともに、開閉弁24を開くことによりチャンバー排出管22から混合気体が排出されるようにする。そして、チャンバー10内の混合気体をガスによってチャンバー排出管22に押し出す。
以下、このような基板処理装置1の各構成要素の詳細について説明する。
オゾンガス発生ユニット11は、酸素中に放電を行うことによりオゾンガスを発生させるものである。また、放電を停止させることにより、酸素を供給することができるようになっている。オゾンガス発生ユニット11から供給されるオゾンガスまたは酸素は、オゾンガス供給管11aによって切替混合弁15に供給されるようになっている。
水蒸気発生ユニット12は、内部に熱源12dを有し、純水供給回路19から当該水蒸気発生ユニット12に供給される純水(DIW)を高温に熱することにより、チャンバー10内に供給するための水蒸気を発生させるようになっている。水蒸気発生ユニット12内で発生した水蒸気は、水蒸気供給管12aを通過して切替混合弁15に送出される。切替混合弁15に送られた水蒸気は、この切替混合弁15においてオゾンガスと混合して混合気体となり、チャンバー供給管16を通過して、チャンバー10に供給される。混合気体は、チャンバー供給管16を通過する間、温度調節器17により所望の温度に調整される。
また、水蒸気発生ユニット12には、ミストトラップ20に接続する水蒸気排気管12bと、ダイヤフラム弁30の下流側においてチャンバー排出管22の途中に接続する純水排液管12cとがそれぞれ接続されている。ウエハWに供給されない水蒸気を水蒸気発生ユニット12から排出するとき、または水蒸気発生ユニット12内の圧力を低下させるときに、水蒸気排気管12bによって水蒸気をミストトラップ20内に排気する。また、水蒸気発生ユニット12内の純水を排液するときは、当該水蒸気発生ユニット12の下部から純水排液管12cによって排出し、チャンバー排出管22を通過させてミストトラップ20内に排液する。
ミストトラップ20には、このミストトラップ20内から液体を排液するためのミストトラップ排液管20aが接続されている。また、ミストトラップ20には、当該ミストトラップ20内の流体を冷却するための冷却水循環ライン20bが設けられている。チャンバー10内からチャンバー排出管22によって排出された流体、水蒸気発生ユニット12から水蒸気排気管12bによって排気された水蒸気、および水蒸気発生ユニット12から純水排液管12cとチャンバー排出管22によって排液された純水は、ミストトラップ20内部に貯留される。そして、ミストトラップ20外部に巻回された冷却水循環ライン20bに冷却水を通過させることにより、これらのミストトラップ20内部に貯留された流体を冷却する。すなわち、水蒸気を凝縮して液化し、ミストトラップ20の下部に貯留させることにより、ミストトラップ20内に貯留されたオゾンガスと水蒸気との混合気体を、オゾンガスを含む気体と液滴とに好適に分離することができるようになっている。これにより、チャンバー10内から排出された混合気体から水蒸気を分離することができる。オゾンガス等のミストトラップ20内の気体はミストトラップ排気管23によってミストトラップ20内部から排気される。また、ミストトラップ20内で混合気体から分離された液滴はミストトラップ排液管20aからドレンとして排液される。
オゾン分解ユニット21は、ヒータ21aによってオゾンガスを高温にして分解するオゾンキラー25と、オゾンキラー25を通過した気体を冷却する冷却部26とを備えている。また、オゾンガスを分解して冷却することにより得られる気体をオゾン分解ユニット21から排気するためのオゾン分解ユニット排気管27が設けられている。ミストトラップ排気管23を通過してオゾン分解ユニット21に回収されるオゾンガスは、まずオゾンキラー25内でヒータ21aの加熱により酸素に熱分解され、次に冷却部26によって冷却される。冷却部26には、当該冷却部26に冷却水を循環供給する冷却水供給回路28が接続されている。すなわち、冷却水を循環供給することにより、冷却部26内の気体を冷却するようになっている。冷却水供給回路28には、ミストトラップ20の内部を冷却する冷却水循環ライン29が介設され、冷却水供給回路28内を循環する冷却水の一部はミストトラップ20の内部を冷却するために冷却水循環ライン29内に供給されるようになっている。このように、オゾン分解ユニット21は、オゾンキラー25を通過する際にオゾンガスを除去することにより、基板処理装置1から排気する気体の無害化を図るようになっている。
〔ダイヤフラム弁の構成〕
次に、ダイヤフラム弁30の構成の詳細について図1乃至図4を用いて説明する。ここで、図1は、本実施の形態におけるダイヤフラム弁30の構成を示す縦断面図であり、図2は、図1のダイヤフラム弁30における導電性部材50の構成の詳細を示す拡大縦断面図であり、図3は、図1のダイヤフラム弁30における導電性部材50の他の構成の詳細を示す拡大縦断面図であり、図4は、図1のダイヤフラム弁30における導電性部材50の更に他の構成の詳細を示す拡大縦断面図である。
図1に示すように、ダイヤフラム弁30は、上蓋体31および下蓋体32と、これらの上蓋体31および下蓋体32の間に配設された弁座33とを備えている。ここで、上蓋体31、下蓋体32および弁座33から、ダイヤフラム弁30のバルブ本体30aが構成されている。弁座33は、被制御流体の流入部34および流出部35にそれぞれ連通する弁室36を内部に有している。また、流入部34および流出部35はそれぞれチャンバー排出管22(図6参照)に連通している。
弁座33の弁室36内にはダイヤフラム40が配設されており、このダイヤフラム40はダイヤフラム保持部材41によりその端縁が保持されている。図1に示すように、ダイヤフラム保持部材41は上蓋体31と弁座33との間に取り付けられている。ダイヤフラム40には、上下方向に往復移動可能な弁体部38が気密に取り付けられている。弁体部38は、被制御流体が弁室36内に流れないときあるいはこの被制御流体の圧力が予め設定された設定圧力以下のときには、図1に示すように下方に位置しており、このことにより当該弁体部38によって弁室36に形成された貫通孔36cを塞ぐようになっている。また、ダイヤフラム弁30は調圧部37を有しており、この調圧部37は、上蓋体31と弁体部38との間の領域である調圧気体通過領域36bに調圧気体を送ることにより当該弁体部38に対してエアコントロール等の制御を行うようになっている。
以下、このようなダイヤフラム弁30の各構成要素の詳細について説明する。
上蓋体31および下蓋体32はそれぞれ例えば非導電性フッ素樹脂等の非導電性樹脂から構成されている。上蓋体31および下蓋体32がフッ素樹脂等から構成される理由は以下の通りである。すなわち、ダイヤフラム弁30は、チャンバー10から送出されたオゾンガスやオゾンガスと水蒸気との混合気体を被制御流体とするため、耐蝕性および耐薬品性に優れた材質のものから構成されることが望まれる。もし上蓋体31や下蓋体32が金属から構成されていた場合には、オゾンガスがダイヤフラム弁30を通過する際にこれらの上下蓋体31、32を腐蝕させてしまうおそれがある。このように、上蓋体31および下蓋体32がフッ素樹脂等から構成されることにより、当該上下蓋体31、32の耐蝕性等を向上させることができる。
弁座33は例えば非導電性フッ素樹脂のような非導電性樹脂から構成されており、前述のように内部に弁室36を有している。
ダイヤフラム40は、例えば中心部に開口を有する円形の非導電性フッ素樹脂等のような非導電性樹脂から構成されている。このダイヤフラム40は弁座33の弁室36内で横方向に配設されており、その端縁がダイヤフラム保持部材41により保持されている。図1に示すように、ダイヤフラム40は、弁室36を被制御流体通過領域36aと調圧気体通過領域36bとに区画するようになっている。すなわち、流入部34から流入した被制御流体はダイヤフラム40の下方にある被制御流体通過領域36aを通過して流出部35に送られるようになっており、調圧気体通過領域36bには進入しないようになっている。
ここで、弁座33およびダイヤフラム40がフッ素樹脂等から構成されることにより、これらの弁座33およびダイヤフラム40の耐蝕性等を向上させることができ、被制御流体としてオゾンガスやオゾンガスと水蒸気との混合気体を用いた場合であっても弁座33およびダイヤフラム40の腐蝕が抑制されることとなる。
上蓋体31には、調圧部37から調圧気体通過領域36bに空気や窒素ガス等の調圧用の気体を送るための調圧気体流入部45およびこの調圧気体通過領域36bから調圧気体を排出するための調圧気体流出部46が設けられており、調圧部37から調圧気体流入部45を介して調圧気体が調圧気体通過領域36bに流入し、この流入した調圧気体は調圧気体流出部46から排出されるようになっている。このため、流入部34から被制御流体通過領域36aに送られた被制御流体(とりわけオゾンガス)がダイヤフラム40を透過してこのダイヤフラム40の背面側(上面側)に浸出した場合であっても、この浸出した被制御流体を調圧気体により押し流すことができる。
弁体部38は、例えばフッ素樹脂等のような非導電性樹脂から構成されている。図1に示すように、この弁体部38は、調圧部37から調圧気体通過領域36bに送られた調圧気体により下方に押圧されるようになっている。この調圧部37から供給される調圧気体の圧力は当該調圧部37において自在に設定することができるようになっている。
また、この弁体部38はダイヤフラム40の中心部の開口に嵌設されており、当該弁体部38とダイヤフラム40とは気密にシールされている。このため、図1に示すように、弁室36の被制御流体通過領域36aと調圧気体通過領域36bは完全なシール状態で区画されることとなる。
弁体部38がフッ素樹脂等から構成されることにより、この弁体部38の耐蝕性等を向上させることができ、被制御流体としてオゾンガスやオゾンガスと水蒸気との混合気体を用いた場合であっても弁体部38の腐蝕が抑制されることとなる。
さらに、図1、2等に示すように、ダイヤフラム保持部材41の近傍において断面が略円形である貫通孔33aが弁座33に形成されている。そして、この貫通孔33aには、当該貫通孔33aに適合する略円柱形状の導電性部材50が配設されている。この導電性部材50の一端は弁室36内に位置し、その他端はバルブ本体30aの外部まで延びている。具体的には、導電性部材50の一端は、弁室36における弁体部38により選択的に塞がれる貫通孔36cよりも上流側の領域に位置している。
また、導電性部材50の他端には、当該導電性部材50に帯電した静電気を取り除くためのアース線51が接続されている。このアース線51は、例えば基板処理装置1のフレーム(図示せず)等に接続されている。
導電性部材50の更に具体的な構成について図2乃至図4を用いて説明する。
図2に示すように、導電性部材50は、その先端が弁室36内に位置する先端部分50aと、この先端部分50aよりも径が大きく、バルブ本体30aの外部まで延びるような基端部分50bとを有している。ここで、先端部分50aと基端部分50bとの間で径が異なることにより、貫通孔33aは図2等に示すようにいわゆる段差形状(すなわち、互いに大きさが異なる2種類の略円形断面からなる孔が組み合わされたもの)となっている。基端部分50bにおけるバルブ本体30aから外方に突出する部分はキャップ部50dにより覆われている。また、この基端部分50bにおけるキャップ部50d側の端部はアース線51に接続されている。
ここで、弁座33に形成される貫通孔33aの断面が略円形であり、導電性部材50は貫通孔33aに適合する略円柱形状となっているので、弁座33に対する導電性部材50のシール性能を向上させることができるとともに、貫通孔33aの加工や導電性部材50の製造を容易に行うことができるようになる。
先端部分50aは、略円柱形状のものであるが、その先端(弁室36側)は先鋭形状となっている。基端部分50bの外周面は雄ネジとなっており、この基端部分50bに対応する弁座33の貫通孔33aは雌ネジとなっている。このことにより、基端部分50bを貫通孔33aに着脱自在に嵌合させることができるようになっている。なお、先端部分50aと基端部分50bとは互いに分離することができるようになっていてもよく、あるいは図4に示すように先端部分50aと基端部分50bとが一体となっていてもよい。ここで、図4において、導電性部材50を回転させながら当該導電性部材50を白抜きの矢印方向に移動させることにより、この導電性部材50を弁座33の貫通孔33aに嵌合させることができるようになっている。
また、先端部分50aは例えば単結晶シリコン材料から形成されており、基端部分50bは例えばステンレス材料から形成されている。このことにより、導電性部材50に導電性を確実に持たせることができるようになる。ここで、単結晶シリコンは、金属、導電性のあるセラミックまたは単結晶シリコンのくずを溶かして固めた多結晶シリコンと比較して、不純物が少なく、パーティクル発生のおそれが少ないという点で、より有効である。
基端部分50bにおけるキャップ部50dとは反対側の端部と、弁座33の貫通孔33a内の段差部分との間にはシール用のOリング50cが設けられている。このことにより、弁室36内にある被制御流体が貫通孔33aを介してバルブ本体30aの外部へ流出することを確実に抑止することができるようになる。
なお、先端部分50aと基端部分50bとが分離しているようなタイプの導電性部材50が用いられる場合には、図3に示すように先端部分50aと基端部分50bとの間にスプリング50e等の弾性部材を設置してもよい。具体的には、基端部分50bにおけるキャップ部50dとは反対側の端部にスプリング50eが取り付けられ、このスプリング50eの先端には貫通孔33aの断面よりもわずかに小さな表面を有する導電性の略円盤形状の当て板50fが取り付けられている。ここで、図3において、導電性部材50を回転させながら当該導電性部材50を白抜きの矢印方向に移動させることにより、当て板50fが先端部分50aに接触するよう導電性部材50を弁座33の貫通孔33aに嵌合させることができるようになっている。このようなスプリング50eが設けられていることにより、導電性部材50を弁座33の貫通孔33aに嵌合させる際に先端部分50aの位置決めにおいて、部品の寸法バラツキを吸収することができ、より精度良く当該位置決めを行うことができるようになる。
〔基板処理装置の動作〕
次に、このような構成からなる基板処理装置1の動作について説明する。
チャンバー10内にあるオゾンガスまたはオゾンガスと水蒸気との混合気体は、チャンバー排出管22を通ってミストトラップ20に送られる。この際に、上記混合気体等は開閉弁24およびダイヤフラム弁30を通過する。すなわち、開閉弁24が開状態となっており、さらに、弁室36に送られる混合気体等の圧力が予め設定された圧力以上でありダイヤフラム弁30が開状態となっているときのみにおいてチャンバー10内にある混合気体等がミストトラップ20に排出される。ダイヤフラム弁30がチャンバー排出管22に介設されていることにより、チャンバー10内の混合気体等の圧力を、大気圧よりも大きな圧力で一定に保つことができる。このことにより、ウエハWに対する所望の処理を行うことができるようになる。
具体的には、ダイヤフラム弁30において、開閉弁24が閉状態となっておりチャンバー10から混合気体等が送られないとき、あるいはチャンバー10から流入部34へ送られる混合気体等の圧力が設定圧力以下であるときには、図1に示すように、弁体部38は調圧部37から調圧気体通過領域36bに送られた調圧気体の圧力に逆らって上方に移動することができず、この弁体部38によって弁室36の貫通孔36cを塞ぐような状態となる。このため、流入部34から流出部35への混合気体等の流れが遮断される。一方、チャンバー10から流入部34へ送られる混合気体等の圧力が設定圧力を超えたときには、弁体部38は調圧気体通過領域36bにある調圧気体の圧力に逆らって上方に移動し、この弁体部38の下端部分は貫通孔36cから退避する。このことによって、流入部34から流出部35へオゾンガスまたは混合気体が流れるようになる。
〔作用効果〕
以上のように本実施の形態のダイヤフラム弁30によれば、一端が弁室36内に位置するとともに他端がバルブ本体30a(弁座33)の外部まで延びるよう当該バルブ本体30aを貫通して導電性部材50が設置され、さらに、この導電性部材50には当該導電性部材50に発生する静電気を取り除くためのアース線51が接続されている。このため、弁室36内にある電荷を導電性部材50およびアース線51により除去することができ、ダイヤフラム40近傍に静電気が蓄積されることを抑制することができる。このことにより、ダイヤフラム40近傍に蓄積された静電気により当該ダイヤフラム40が絶縁破壊されてしまうことを防止することができる。
〔変形例〕
本発明によるダイヤフラム弁は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、図5に示すように、一つのダイヤフラム弁30における導電性部材の個数を2つとしてもよい。この場合、一方の導電性部材50については図1に示すものと同様の位置に配置させ、他方の導電性部材52については、その一端が弁室36における貫通孔36cよりも下流側の領域に位置するよう配置させるようになっている。この他方の導電性部材52の他端(バルブ本体30aの外部に延びる側)には、アース線53が接続されている。このアース線53は、導電性部材52に帯電した静電気を取り除く機能を有している。
図5に示すようなダイヤフラム弁30によれば、弁室36において貫通孔36cを挟む2つの領域にそれぞれ導電性部材52の一端を位置させているので、弁室36内にある電荷をまんべんなく除去することができる。
また、ダイヤフラム弁の弁体部を制御する機構としては、上述のようなダイヤフラム40の上面側の調圧気体通過領域36bに調圧気体を供給する調圧部37に限定されることはなく、代わりに、弁体部38の上面にバネ機構を取り付け、このバネ機構のバネの反発力により弁体部38を下方に押圧するような構成となっていてもよい。
また、本発明に係るダイヤフラム弁は、上述のようなリリーフ弁に限定されることはない。すなわち、本発明のダイヤフラム弁は、例えば図6のチャンバー排出管22に配設される開閉弁24のような、リリーフ弁以外のものであってもよい。本発明のダイヤフラム弁が例えば開閉弁として用いられる場合には、弁体部の上方に弁体作動部が取り付けられるようになる。この弁体作動部は、弁体部の上面に接続された作動連結部材と、作動連結部材の更に上方に設けられたピストン部材とから構成され、ピストン部材が作動連結部材を上下方向に往復運動させることにより、弁体部が弁室の貫通孔を塞ぐ状態およびこの弁体部が貫通孔から退避する状態を切り替えることができるようになる。このようにして、弁の開閉を調整することが可能となる。このような開閉弁として使用されるダイヤフラム弁においても、本発明のような特徴を有することによって、弁室内にある電荷を導電性部材およびアース線により除去することができ、ダイヤフラム近傍に静電気が蓄積されることを抑制することができるようになる。
本発明の一の実施の形態におけるダイヤフラム弁の構成を示す縦断面図である。 図1のダイヤフラム弁における導電性部材の構成の詳細を示す拡大縦断面図である。 図1のダイヤフラム弁における導電性部材の他の構成の詳細を示す拡大縦断面図である。 図1のダイヤフラム弁における導電性部材の更に他の構成の詳細を示す拡大縦断面図である。 本発明のダイヤフラム弁の他の構成を示す縦断面図である。 本実施の形態における基板処理装置の構成を示す説明図である。
符号の説明
1 基板処理装置
10 チャンバー
11 オゾンガス発生ユニット
11a オゾンガス供給管
12 水蒸気発生ユニット
12a 水蒸気供給管
12b 水蒸気排気管
12c 純水排液管
12d 熱源
13 ガス供給源
15 切替混合弁
16 チャンバー供給管
17 温度調節器
19 純水供給回路
20 ミストトラップ
20a ミストトラップ排液管
20b 冷却水循環ライン
21 オゾン分解ユニット
21a ヒータ
22 チャンバー排出管
23 ミストトラップ排気管
24 開閉弁
25 オゾンキラー
26 冷却部
27 オゾン分解ユニット排気管
28 冷却水供給回路
29 冷却水循環ライン
30 ダイヤフラム弁
30a バルブ本体
31 上蓋体
32 下蓋体
33 弁座
33a 貫通孔
34 流入部
35 流出部
36 弁室
36a 被制御流体通過領域
36b 調圧気体通過領域
36c 貫通孔
37 調圧部
38 弁体部
40 ダイヤフラム
41 ダイヤフラム保持部材
45 調圧気体流入部
46 調圧気体流出部
50 導電性部材
50a 先端部分
50b 基端部分
50c Oリング
50d キャップ部
50e スプリング
50f 当て板
51 アース線
52 導電性部材
53 アース線

Claims (8)

  1. 被制御流体の流入部および流出部に連通する弁室を内部に有するバルブ本体と、
    前記バルブ本体の弁室内に設けられたダイヤフラムと、
    前記ダイヤフラムに取り付けられ前記弁室内で往復移動自在となっている弁体部であって、前記弁室の一部を選択的に塞いで前記流入部から前記流出部までの被制御流体の流れを遮断する弁体部と、
    一端が前記弁室内に位置するとともに他端が前記バルブ本体の外部まで延びるよう当該バルブ本体を貫通して設けられた導電性部材と、
    前記導電性部材の他端に接続され、当該導電性部材に帯電した静電気を取り除くためのアース線と、
    を備えたことを特徴とするダイヤフラム弁。
  2. 前記導電性部材の一端は、前記弁室における前記弁体部により選択的に塞がれる箇所よりも上流側の領域に位置することを特徴とする請求項1記載のダイヤフラム弁。
  3. 前記導電性部材は2つ設けられているとともに各導電性部材に前記アース線がそれぞれ接続されており、一の導電性部材の一端は、前記弁室における前記弁体部により選択的に塞がれる箇所よりも上流側の領域に位置し、他の導電性部材の一端は、前記弁室における前記弁体部により選択的に塞がれる箇所よりも下流側の領域に位置することを特徴とする請求項1記載のダイヤフラム弁。
  4. 前記バルブ本体に断面が略円形である貫通孔が設けられており、前記導電性部材は当該貫通孔に適合する略円柱形状となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のダイヤフラム弁。
  5. 前記導電性部材は単結晶シリコンから形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のダイヤフラム弁。
  6. 前記導電性部材と前記バルブ本体との間にシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のダイヤフラム弁。
  7. 前記導電性部材は、その先端が前記弁室内に位置する先端部分と、前記アース線に接続された基端部分と、前記先端部分と前記基端部分との間に設けられた弾性体とを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のダイヤフラム弁。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のダイヤフラム弁と、
    前記ダイヤフラム弁の上流側に設けられ、基板の処理を行うための基板処理室と、
    前記基板処理室にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部と、
    を備え、
    前記ダイヤフラム弁は、前記基板処理室から排出されるオゾンガスの流量を調整することによりこの基板処理室内のオゾンガスの圧力を調整するようになっていることを特徴とする基板処理装置。
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