以下、本発明の好ましい実施の形態を、被処理体の一例としてのウェハに対して、ウェハの表面に塗布されたレジストを水溶化して剥離する処理を施す処理システム1に基づいて説明する。図1は、本実施の形態にかかる処理システム1の平面図である。図2は、その側面図である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
この処理システム1は、ウェハWにレジスト水溶化処理及び洗浄処理を施す処理部2と、処理部2に対してウェハWを搬入出する搬入出部3を有しており、更に、処理システム1の各部に制御命令を与える制御コンピュータ19を備えている。なお説明のため、図1、図2においては、水平面内において処理部2と搬入出部3の幅方向をY方向、処理部2と搬入出部3の並び方向(Y方向と直交する方向)をX方向、鉛直方向をZ方向と定義する。
搬入出部3は、複数枚、例えば25枚の略円盤形状のウェハWを所定の間隔で略水平に収容可能な容器(キャリアC)を載置するための載置台6が設けられたイン・アウトポート4と、載置台6に載置されたキャリアCと処理部2との間でウェハWの受け渡しを行うウェハ搬送装置7が備えられたウェハ搬送部5と、から構成されている。
ウェハWはキャリアCの一側面を通して搬入出され、キャリアCの側面には開閉可能な蓋体が設けられている。また、ウェハWを所定間隔で保持するための棚板が内壁に設けられており、ウェハWを収容する25個のスロットが形成されている。ウェハWは表面(半導体デバイスを形成する面)が上面(ウェハWを水平に保持した場合に上側となっている面)となっている状態で各スロットに1枚ずつ収容される。
イン・アウトポート4とウェハ搬送部5との間には、ウェハ搬入出口である複数の窓部8aを備えた境界壁8が設けられている。キャリアCは、蓋体を窓部8aに合わせた状態で、載置台6上に載置される。
ウェハ搬送部5に配設されたウェハ搬送装置7は、Y方向とZ方向に移動可能であり、かつ、Z方向を中心軸として回転自在に構成されている。また、ウェハ搬送装置7は、ウェハWを把持する取出収納アーム11を有し、この取出収納アーム11はX方向にスライド自在となっている。こうして、ウェハ搬送装置7は、載置台6に載置された全てのキャリアCの任意の高さのスロットに窓部8aを通じてアクセスし、また、処理部2に配設された上下2台のウェハ受け渡しユニット16、17にアクセスして、イン・アウトポート4側から処理部2側へ、逆に処理部2側からイン・アウトポート4側へウェハWを搬送することができるように構成されている。
処理部2は、搬送手段である主ウェハ搬送装置18と、ウェハ搬送部5との間でウェハWの受け渡しを行うためにウェハWを一時的に載置する2つのウェハ受け渡しユニット16、17と、4台の洗浄ユニット12、13、14、15と、レジストを水溶化処理する6台の処理装置としての処理ユニット23a〜23fとを備えている。
また、処理部2には、処理ユニット23a〜23fに供給する処理流体としてのオゾンガスを発生させるオゾンガス発生装置40および処理流体(蒸気)としての水蒸気を発生させる水蒸気発生装置41を備える処理ガス発生ユニット24と、洗浄ユニット12、13、14、15に送液する所定の処理液を貯蔵する薬液貯蔵ユニット25とが配設されている。処理部2の天井部には、各ユニット及び主ウェハ搬送装置18に、清浄な空気をダウンフローするためのファンフィルターユニット(FFU)26が配設されている。
上記主ウェハ搬送装置18は、X方向とZ方向に移動可能であり、かつ、Z方向を中心軸として回転自在に構成されている。また、主ウェハ搬送装置18は、ウェハWを把持する搬送アーム18aを有し、この搬送アーム18aはY方向にスライド自在となっている。こうして、主ウェハ搬送装置18は、上記ウェハ受け渡しユニット16、17と、洗浄ユニット12〜15、処理ユニット23a〜23fの全てのユニットにアクセス可能に配設されている。
各洗浄ユニット12、13、14、15は、処理ユニット23a〜23fにおいてレジスト水溶化処理が施されたウェハWに対して、洗浄処理及び乾燥処理を施す。なお、洗浄ユニット12、13、14、15は、上下2段で各段に2台ずつ配設されている。なお、各洗浄ユニット12、13、14、15は概ね同様の構成を備えている。
一方、各処理ユニット23a〜23fは、ウェハWの表面に塗布されているレジストを水溶化する処理を行う。処理ユニット23a〜23fは、図2に示すように、上下方向に3段で各段に2台ずつ配設されている。左段には処理ユニット23a、23c、23eが上からこの順で配設され、右段には処理ユニット23b、23d、23fが上からこの順で配設されている。なお、各処理ユニット23a〜23fは概ね同様の構成を備えている。
また、各処理ユニット23a〜23fに対する処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気を供給する配管系統は、いずれも同様の構成を備えている。そこで次に、処理ユニット23aを例として、その配管系統と構造について詳細に説明する。
図3は、処理ユニット23aの配管系統に関する概略構成図である。処理ユニット23aには、ウェハWを収納する処理容器30が備えられている。処理容器30は、上面が開口した処理容器本体31と、この処理容器本体31の上面開口部を閉塞する蓋体32とを備えている。即ち、蓋体32によって処理容器本体31の上面開口部を閉塞することにより、処理容器30の内部に、ウェハWが収納され処理が行われる処理空間33が形成される構成になっている。処理容器30(処理空間33)には、前述した処理ガス発生ユニット24内に設置されたオゾンガス発生装置40及び蒸気発生装置としての水蒸気発生装置41から、処理流体としてのオゾンガスおよび水蒸気が供給されるようになっている。
オゾンガス発生装置40は、含酸素気体中で放電することによりオゾンガスを発生させる構造になっている。オゾンガス発生装置40は、処理システム1が備える各処理ユニット23a〜23fに対して共通であり、オゾンガス発生装置40に直接接続されたオゾン元流路45には、それぞれの各処理ユニット23a〜23fに対応して設けられたオゾン主流路46が、分岐するように接続されている。オゾン主流路46には、ニードル弁47と流量計48が設けられており、オゾンガス発生装置40で発生させたオゾンガスを、処理ユニット23aの処理容器30に対して所望の流量で供給できるようになっている。
オゾン主流路46の下流側は、切替弁50を介して、処理容器30にオゾンガスを供給する処理側オゾンガス流路51と、処理容器30を迂回させてオゾンガスを通すバイパス側オゾンガス流路52に接続されている。バイパス側オゾンガス流路52の下流側は、オゾンガスの逆流を防止する逆流防止オリフィス53を介して、後述する主排出流路171に接続されている。
図4、図5、図6は、水蒸気発生装置41の縦断面図をそれぞれ示している。図4、図5及び図6に示すように、水蒸気発生装置41は、タンク筐体60を備えており、タンク筐体60には、液体としての水を貯留する貯留空間61と、貯留空間61内の水を加熱するヒータ62が設けられている。また、タンク筐体60には、外部から貯留空間61に水(純水)を補給する液体補給路としての水補給路71と、貯留空間61から水蒸気を導出させる蒸気導出路としての水蒸気元流路72が接続されている。さらに、水蒸気発生装置41は、水補給路71による液体の補給を制御する水蒸気発生装置制御コンピュータとしての補給制御部73を備えている。即ち、補給制御部73の制御により水補給路71から補給された水を、ヒータ62の加熱により沸騰させることで、水蒸気を発生させ、水蒸気元流路72から導出させる構成になっている。また、タンク筐体60には、貯留空間61から水を排出させる排液路74が接続されている。タンク筐体60の外側は、水蒸気発生装置41のカバー75によって覆われている。タンク筐体60とカバー75との間には、カバー75の加熱防止と貯留空間61に補給する水の昇温を行う熱交換部としての熱交換器76が設けられている。なお、この水蒸気発生装置41は、貯留空間61内の水を例えば毎分約40cm3で水蒸気に気化させる性能、即ち、水蒸気を約40g/min程度の流量で連続的に導出させることが可能な性能を有している。
タンク筐体60は、円環状の外周壁91と内周壁92からなる二重壁、及び、略方形の平板状をなす2枚の側壁93、94(ヒータプレート)によって構成されている。外周壁91は、例えばアルミニウム(Al)等によって形成されている。内周壁92は、耐熱性、耐腐食性を有し、金属汚染物質が発生するおそれのない材質(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂等)によって形成されており、外周壁91の内周面に沿って設けられている。側壁93は、熱伝導率の良い材質、例えばアルミニウム等の金属によって形成されており、外周壁91及び内周壁92の一方の円形開口部を閉塞するように、略鉛直に設けられている。側壁94も、熱伝導率の良い材質、例えばアルミニウム等の金属によって形成されており、また、外周壁91及び内周壁92の他方の円形開口部を閉塞するように、略鉛直に(側壁93と略平行に)設けられている。各側壁93、94の内側面は、耐熱性、耐腐食性を有し、金属汚染物質が発生するおそれのない材質(例えば炭化シリコン(SiC)等)によって形成された被覆層93a、94aによってそれぞれ覆われている。そして、側壁93の内側面(被覆層93a)、側壁94の内側面(被覆層94a)、内周壁92によって囲まれた空間、即ち、正面視において略円形をなす密閉空間が、貯留空間61となっている。
側壁93、94には、ヒータ62がそれぞれ内蔵されている。即ち、側壁93、94は、貯留空間61内の水に熱を与えるヒータプレート(加熱板)として機能するように構成されている。ヒータ62は、例えば略直棒状に形成されたカートリッジヒータ(電気ヒータ)であり、各側壁93、94にそれぞれ複数本ずつ(例えば5本ずつ)内蔵されており、各側壁93、94に沿って略水平に、上下にほぼ等間隔を空けて、互いに略平行に並べて内蔵されている。即ち、ヒータ62は、貯留空間61内の水を、貯留空間61の外側から側壁93、94を介して間接的に加熱するように設けられている。
水補給路71、水蒸気元流路72、排液路74は、外周壁91と内周壁92を貫通して、貯留空間61に接続されている。水補給路71の下流端は、貯留空間61の下部に開口されている。排液路74の上流端は、貯留空間61の下端部に開口されている。水蒸気元流路72の上流端は、貯留空間61の上端部に開口されている。
また、貯留空間61の下部には、図6に示すように、水補給路71によって補給される水の流れを制御する2枚の整流板111、112が設けられている。水補給路71の下流端と排液路74の上流端は、整流板111、112よりも下方に開口されている。
整流板111は、貯留空間61の下部を上下に仕切るように、略水平に設けられている。整流板111には、水を下方から上方に通過させる通過孔111aが設けられている。この通過孔111aは、水補給路71の下流端が設けられている箇所に対して、正面視において貯留空間61の中央部を中心として対向する側に設けられている。
整流板112は、整流板111よりも上方において、貯留空間61の下部を上下に仕切るように、略水平に設けられている。整流板112にも、水を下方から上方に通過させる通過孔112aが設けられている。この通過孔112aは、下方の整流板111の通過孔111aが設けられている箇所に対して、正面視において貯留空間61の中央部を中心として対向する側に設けられている。
一方、貯留空間61の上部には、図6に示すように、水蒸気元流路72に水(ミスト)が流出することを防止する2枚の水流出防止板115、116が設けられている。水流出防止板115、116は、貯留空間61に貯留される水の液面(後述する補給停止時液面高さHE)よりも上方になるように設けられている。なお、水蒸気元流路72の上流端は、水流出防止板115、116よりも上方(整流板111、112よりも上方)に開口されている。
水流出防止板115は、貯留空間61の上部を上下に仕切るように、略水平に設けられている。水流出防止板115には、水蒸気を下方から上方に通過させる蒸気通過孔115aが、側壁93、94に沿った方向において複数並べて設けられている。
水流出防止板116は、水流出防止板115の上方において、貯留空間61の上部を上下に仕切るように、略水平に設けられている。水流出防止板116には、水蒸気を下方から上方に通過させる蒸気通過孔116aが設けられている。この蒸気通過孔116aは、水流出防止板116の中央部に設けられており、また、下方の蒸気通過孔115aに対して上下に重ならない位置、かつ、水蒸気元流路72の上流端の真下に設けられている。
なお、本実施形態においては、整流板112と水流出防止板115との間に挟まれた空間が、主貯留領域61aとなっており、水の液面(後述する補給開始時液面高さHS、設定高さHO、補給停止時液面高さHE等)は、主貯留領域61aの上部に位置するように構成されている。即ち、貯留空間61内の水は、主に主貯留領域61aにおいて沸騰させられ、主に主貯留領域61aの上部において、水蒸気が生成されるようになっている。整流板112の下方は、水補給路71から補給(導入)される水を整流させる導入領域61b、水流出防止板115の上方は、水蒸気を整流させながら導出させる導出領域61cとなっている。
また、図6に示すように、タンク筐体60には、貯留空間61に貯留されている水の水位を監視するための水位検出器120が設けられている。図示の例では、水位検出器120は、貯留空間61に接続されている水位検出用配管121を備えており、水位検出用配管121には、水位検出用配管121内の所定の設定高さHoに水が存在するか否かを検出する水位監視センサ122が設けられている。水位監視センサ122の下方には、所定の下限設定高さに水が存在するか否かを検出する下限水位センサ123が設けられている。水位監視センサ122の上方には、所定の上限設定高さ(例えば水流出防止板115と水流出防止板116の間)に水が存在するか否かを検出する上限水位センサ124が設けられている。
水位検出用配管121は、例えば略コの字状をなし、下端部は整流板111の下方において貯留空間61(導入領域61b)に連通しており、上端部は水流出防止板115、116の間において貯留空間61(導出領域61c)に連通している。即ち、貯留空間61(主貯留領域61a)内の液面の高さと、水位検出用配管121内の液面の高さが、互いに同じになるように構成されている。
水位監視センサ122は、例えば光センサであり、水位検出用配管121内の液面が設定高さHOより低い位置にある場合は、水の存在を検出しないが、設定高さHO以上の高さにある場合は、水の存在を検出するような高さに設けられている。なお、水位検出用配管121内(貯留空間61内)の液面が、この設定高さHOにあるときは、貯留空間61内の水の貯留量は、所定の設定貯留量VOになっている。即ち、水位監視センサ122は、貯留空間61に所定の設定貯留量VOの水があるか否かを検出する貯留量検出センサとして機能する。水位監視センサ122の検出結果は、補給制御部73に送信されるようになっている。
下限水位センサ123、上限水位センサ124も、例えば水位監視センサ122と同様の構成を有する光センサである。例えば下限水位センサ123によって水が検出されなくなったときは、貯留量が異常に不足していると判断される。また、上限水位センサ124によって水が検出されたときは、液面が水流出防止板115を超えた高い位置にあり、貯留量が過剰であると判断される。このように、下限水位センサ123、上限水位センサ124の検出結果によって貯留量が不足あるいは過剰であると判断されるようなときは、水蒸気発生装置41の異状と認識し、水蒸気発生装置41の緊急停止(ヒータ62の稼動停止、水の補給中止等)を行うようにしても良い。
水補給路71は、熱交換器76において螺旋状に形成された螺旋状配管130の内部流路(熱交換流路)、螺旋状配管130の上流側端部(下端部)に接続された上流側配管131の内部流路、螺旋状配管130の下流側端部(上端部)に接続された下流側配管132の内部流路によって構成されている。
上流側配管131の上流側(水補給路71の上流端)は、カバー75の外部において、水補給路71の開閉を行う開閉弁136を介して、水(純水)を供給する液体供給源としての純水供給源135に接続されている。開閉弁136の開閉は、補給制御部73から送信される制御信号によって制御される。上流側配管131の下流側は、カバー75の内部において、螺旋状配管130の下端部に連結されている。
螺旋状配管130は、例えば一定の内径及び外径を有する円管を、タンク筐体60とカバー75との間において、タンク筐体60の周囲を囲むように、螺旋状に配設したものである。螺旋状配管130の内部流路は、ヒータ62から発生する熱によって水補給路71内の水が加熱される熱交換流路となっている。
図示の例では、螺旋状配管130(熱交換流路)は、後述する熱交換部プレート141、142の間に挟まれた状態で保持されており、下方からみて左回転方向に向かうに従い次第に上昇する向き(左ねじ方向)に複数回(例えば7〜8回程度)巻回されている。さらに、貯留空間61の下端部やヒータ62が設けられている位置よりも低い高さから、貯留空間61の上端部やヒータ62が設けられている位置よりも高い高さまで、即ち、貯留空間61全体と総てのヒータ62全体を囲むように設けられている。
また、この螺旋状配管130の内部流路(熱交換流路)の体積、即ち、熱交換器76に保持可能な水の体積(保持体積Vh)は、後述する一回分の補給体積VI(水補給路71から貯留空間61に対して一回の補給において補給される水の体積)以上になるようにしても良い(VI≦Vh)。そうすれば、螺旋状配管130内の水をより確実に昇温できるようになる。本実施の形態では、熱交換器76の保持体積Vhと一回分の補給体積VIは、互いにほぼ等しく、それぞれ約20cm3程度である(VI=Vh=20cm3)。
下流側配管132も、カバー75の内部(タンク筐体60とカバー75との間)に配設されている。下流側配管132は、上流側が螺旋状配管130の上端部に連結されており、螺旋状配管130の外側に隣り合う位置において、螺旋状配管130の上端部から略鉛直に垂下され、その下流側は、貯留空間61の下部に対して接続されている。
なお、本実施形態においては、前述した開閉弁136を開状態にしたときに水補給路71を通過する水の流量、即ち、貯留空間61に対する水の補給流量は、一定の値になるように設定されている。さらに、かかる水の補給流量は、貯留空間61における水の蒸発速度(例えば約40cm3/min)よりも速い速度、例えば約50cm3/min程度に設定されている。かかる補給流量で水を補給することにより、補給時に水が蒸発し続けていても、貯留空間61内の水の貯留量を増加させることができる。
水蒸気元流路72は、後述するように、各処理ユニット23a〜23fの処理容器30に対して、各処理ユニット23a〜23fに対応する水蒸気主流路151、切替弁165、処理側水蒸気流路166を介して接続されており、かつ、各処理ユニット23a〜23fに対応するバイパス側水蒸気流路167に対して、各処理ユニット23a〜23fに対応する水蒸気主流路151、切替弁165を介して接続されている(図3参照)。また、水蒸気元流路72には、後述する圧力調節機構152、配管保温ヒータ158等が設けられている。
補給制御部73は、前述した水位監視センサ122の検出結果より、貯留空間61内の液面高さが設定高さHO以上あるか否か(貯留空間61内の水の貯留量が設定貯留量VO以上あるか否か)を監視する。また、水位監視センサ122の検出結果に基づいて、水補給路71に設けられている開閉弁136に対して、制御信号を送信することで、開閉弁136の開閉動作、即ち、水の補給を制御するようになっている。
なお、本実施形態においては、補給制御部73はシーケンサ(PLC:Programmable Logic Controller)であり、シーケンス制御により水の補給を制御する。即ち、例えば水位監視センサ122が水を検出しなくなった場合(貯留空間61内の貯留量が設定貯留量VOより少なくなった場合)に、水位監視センサ122が水を検出しなくなってから、補給制御部73に内蔵されているタイマにおいて設定された一定時間(例えば10秒〜20秒程度)が経過すると、開閉弁136を閉状態から開状態に切り替えるように設定されている。そして、補給制御部73の制御により開閉弁136を開状態にしてから、予め設定された所定の開放時間(補給時間)が経過すると、開閉弁136を開状態から閉状態に切り替えるように設定されている。
また、開閉弁136が閉状態から開状態に切り替えられるとき(水補給路71による水の補給が開始されるとき)の補給開始時液面高さHS(図6参照)は、設定高さHOより下方、かつ、下限設定高さ(下限水位センサ123)よりも上方に位置するように設定されている。開閉弁136が開状態から閉状態に切り替えられるとき(水補給路71による水の補給が停止されるとき)の補給停止時液面高さHEは、設定高さHOより上方、かつ、上限設定高さ(上限水位センサ124)や水流出防止板115よりも下方に位置するように設定されている。
また、前述したように、熱交換器76の保持体積Vhは、一回分の補給体積VIとほぼ同じ量になっているので、熱交換器76内の水は、一回の補給ごとに入れ替えられるように構成されている。即ち、補給制御部73は、水補給路71内の水を、熱交換器76において必ず一回は静止させた後、貯留空間61に補給させるように制御する構成となっている。なお、貯留空間61に補給されるときの水の温度を、所定の設定温度(本実施形態では約90℃以上)に調整するためには、熱交換器76の保持体積Vh、ヒータ62からの放熱量、熱交換器76に水が静止(滞留)させられる静止時間(即ち、水の補給を停止させる補給停止時間、本実施形態では約30秒)の関係を設定することにより、熱交換器76内の水に所定の熱量が与えられるようにすれば良い。因みに、保持体積Vhを補給体積VIよりも多くすると(VI<Vhの場合は)、水を更に長時間加熱できる。即ち、熱交換流路の上流側において静止状態で昇温した水を、熱交換流路の下流側において再び静止させ、さらに昇温させることができる。
前述のように、補給制御部73は例えば公知のシーケンサ(PLC)であり、CPU(中央演算装置)を備えた演算部73aと、演算部73aに接続された入出力部73bと、水蒸気発生装置41を制御する制御ソフトウェアを格納した記録媒体73cと、を有する。この記録媒体73cには、補給制御部73によって実行されることにより水蒸気発生装置41に水の補給、ひいては後述する水蒸気発生方法を行わせる制御ソフトウェア(プログラム)が記録されている。本実施の形態では、補給制御部73は、該制御ソフトウェアを実行することにより、水蒸気発生装置41の機能要素としての開閉弁136を制御する。
なお、補給制御部73はシーケンサには限定されず、実行するソフトウェアに依存して任意の機能を実現する他の汎用コンピュータであっても良い。補給制御部73の記録媒体73cは、補給制御部73に固定的に設けられるもの、あるいは、補給制御部73に設けられた図示しない読み取り装置に着脱自在に装着されて該読み取り装置により読み取り可能なものであっても良い。また、記録媒体73cは、例えばハードディスクドライブでも良いが、CD−ROM又はDVD−ROMのような、リムーバブルディスクであっても良く、さらに、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)のいずれの形式のものであっても良い。また、カセット式のROMのようなものであっても良い。要するに、コンピュータの技術分野において知られている任意のものを、補給制御部73の記録媒体73cとして用いることが可能である。なお、補給制御部73(水蒸気発生装置制御コンピュータ)の機能、記録媒体73cの機能等は、水蒸気発生装置41専用の制御手段ではなく、他の装置の制御も行う制御手段、例えば制御コンピュータ19等に備えても良い。
図6に示すように、排液路74には、カバー75の外側において、排液路74を開閉する開閉弁138が設けられている。
カバー75は、タンク筐体60及び熱交換器76を支持及び保護している外部部材であり、タンク筐体60及び熱交換器76の外側に設けられている。図示の例では、カバー75は、側壁93、94に対して略平行な側壁を有する略直方体状の箱状に形成されている。このカバー75の内部に、タンク筐体60と熱交換器76が収納されている。即ち、カバー75は、タンク筐体60と熱交換器76の周囲全体を囲むように形成されている。また、略密閉構造になっており、カバー75内の雰囲気がカバー75の外部(蒸気発生装置41の外部)に漏れることを防止するように構成されている。
熱交換器76は、前述した螺旋状配管130(タンク筐体60(貯留空間61及びヒータ62)を囲む螺旋状に形成された熱交換流路)と、螺旋状配管130を覆う熱交換部プレート141、142を備えている。内側の熱交換部プレート141は、側面視において略コの字状をなし、螺旋状配管130の内側(タンク筐体60の側壁93と螺旋状配管130の間、及び、タンク筐体60の側壁94と螺旋状配管130の間)に沿って略鉛直に、また、タンク筐体60の上方を覆うように設けられている。外側の熱交換部プレート142は、側面視において略コの字状をなし、螺旋状配管130の外側に沿って、熱交換部プレート141と略平行に、また、熱交換部プレート141の上方を覆うように設けられている。即ち、螺旋状配管130内の水は、螺旋状配管130の管体、熱交換部プレート141、142を介して、熱交換器76の周囲の雰囲気と間接的に接触し、熱交換するようになっている。これにより、螺旋状配管130内の水を昇温させ、また、タンク筐体60の周囲の雰囲気(カバー75の内側)を冷却するようになっている。
なお、熱交換部プレート141、142が設けられていなくても、螺旋状配管130内の水を熱交換器76の周囲の雰囲気と熱交換させることは可能であるが、熱交換部プレート141、142によってタンク筐体60の外側を覆うことにより、タンク筐体60から発生する熱が熱交換器76の外側に拡散することを、より効果的に抑制できる。即ち、熱交換部プレート141、142(遮蔽物)によってタンク筐体60とカバー75との間を遮蔽することにより、カバー75の温度上昇を、より効果的に抑制できる。
上記のような構成を有する水蒸気発生装置41は、図3に示すように、処理システム1が備える各処理ユニット23a〜23fに対して共通であり、水蒸気発生装置41(貯留空間61)に直接接続された蒸気導出路としての水蒸気元流路72には、それぞれの各処理ユニット23a〜23fに対応して設けられた水蒸気主流路151が、分岐するように接続されている。
図3に示すように、水蒸気元流路72には、水蒸気元流路72内と水蒸気発生装置41内(貯留空間61)の蒸気の圧力を一定に調節する圧力調節機構152が設けられている。圧力調節機構152は、水蒸気元流路72の途中に接続された逃がし路153、逃がし路153に介設された圧力スイッチ154とリリーフ弁155とを備えている。即ち、水蒸気元流路72(貯留空間61)の圧力が、圧力スイッチ154において設定された設定圧力値を超えた場合は、水蒸気元流路72内の水蒸気の一部が、逃がし路153を通じて外部に排出されるようになっている。これにより、水蒸気元流路72内と貯留空間61内の水蒸気圧が、常に一定の設定圧力値に保たれるように構成されている。
また、水蒸気元流路72には、配管保温ヒータ158が装着してあり、例えば110℃〜120℃程度に保温されている。これにより、水蒸気元流路72内における水蒸気の温度低下が防止されている。
水蒸気元流路72から分岐して設けられた水蒸気主流路151には、オリフィス161とニードル弁162が設けられている。これらオリフィス161とニードル弁162は、水蒸気発生装置41で発生させた水蒸気を、処理ユニット23aの処理容器30に対して所望の流量で供給させるための流量調節機構として機能する。
処理ユニット23aに対応して設けられた水蒸気主流路151の下流側は、蒸気供給切替弁としての切替弁165を介して、処理ユニット23aの処理容器30に水蒸気を供給する処理側蒸気流路としての処理側水蒸気流路166と、処理ユニット23aの処理容器30に水蒸気を供給せずに処理容器30を迂回させて排出させる排出側蒸気流路としてのバイパス側水蒸気流路167に接続されている。
切替弁165は三方弁であり、水蒸気元流路72を処理ユニット23aに対応する水蒸気主流路151を介して処理側水蒸気流路166に連通させる状態と、水蒸気元流路72を処理ユニット23aに対応する水蒸気主流路151を介してバイパス側水蒸気流路167に連通させる状態とを切り替えることが可能な構成になっている。
処理容器30から処理流体を排出させる主排出流路171には、図3に示すように、切替弁172、圧力スイッチ173、逆流防止オリフィス174、エアオペ弁175およびリリーフ弁176が順に設けられている。主排出流路171の下流端は、オゾンキラーなどを備えた排ガス処理装置177に接続されている。また、主排出流路171において、逆流防止オリフィス174とエアオペ弁175との間に、上述したバイパス側オゾンガス流路52と、上述したバイパス側水蒸気流路167の下流側とが接続されている。
加えて、この実施の形態では、処理側オゾンガス流路51の途中にN2ガス供給流路181が接続してある。このN2ガス供給流路181は、処理システム1外のN2供給源よりN2ガスを供給するN2ガス元流路182から分岐して設けられている。また、N2ガス供給流路181には、N2ガスの供給を制御するエアオペ弁183が設けられている。また、主排出流路171に設けられた切替弁172には、N2ガス排出流路185が接続してある。
なお、以上では代表して処理ユニット23aを例として説明したが、他の処理ユニット23b〜23fも同様の構成を備えている。
処理システム1の各機能要素は、処理システム1全体の動作を自動制御する制御コンピュータ19(図1参照)に、信号ライン等を介して接続されている。ここで、機能要素とは、例えば前述した搬入出部3に設けられたウェハ搬送装置7、窓部開閉機構10、処理部2に設けられた主ウェハ搬送装置18、4台の洗浄ユニット12、13、14、15、処理ガス発生ユニット24が備えるオゾンガス発生装置40および水蒸気発生装置41、薬液貯蔵ユニット25、更には、各処理ユニット23a〜23f、切替弁50、165、172等の、所定のプロセス条件を実現するために動作する総ての要素を意味している。制御コンピュータ19は、典型的には、実行するソフトウェアに依存して任意の機能を実現することができる汎用コンピュータである。
次に、上記のように構成された処理システム1におけるウェハWの処理時に水蒸気発生装置41おいて行われる水蒸気発生方法について説明する。水蒸気発生装置41においては、水補給路71によって補給された水が、タンク筐体60の貯留空間61に、所定範囲内の貯留量で貯留されている。また、ヒータ62は一定の出力で稼動しており、ヒータ62の発熱により、タンク筐体60の側壁93、94がそれぞれ昇温させられる。即ち、ヒータ62の発熱が、側壁93、94を介して貯留空間61内の水に伝達し、これにより、貯留空間61内の水が加熱及び気化させられ、水蒸気が生成される。
貯留空間61(主貯留領域61a)内に生成された水蒸気は、水流出防止板115の下方から、蒸気通過孔115aを通じて、水流出防止板115と水流出防止板116の間の隙間に上昇し、さらに、蒸気通過孔116aを通じて、水流出防止板116の上方に向かい、水蒸気元流路72の上流端に流入する。こうして、主貯留領域61aの水蒸気は、導出領域61cにおいて水流出防止板115、116によって整流されながら、貯留空間61から導出される。一方、貯留空間61内の沸騰状態の水は、ミスト状に飛散しても、水流出防止板115、116によって邪魔されることで、導出領域61cに上昇しないように、即ち、水蒸気元流路72の上流端に流入しないようになっている。従って、十分に気化された水蒸気のみを、円滑に導出させることができる。
水蒸気発生装置41からは、水蒸気が例えば約40cm3/min程度の流量で導出される。また、水蒸気元流路72内の水蒸気は、圧力調節機構152の作用によって、一定の水蒸気圧(例えば約80kPa〜90kPa程度)に保たれる。さらに、配管保温ヒータ158によって保温されながら、水蒸気元流路72内を通過し、各処理ユニット23a〜23fに対応する水蒸気主流路151に流入する。各水蒸気主流路151に供給された水蒸気は、各切替弁165の切り替えにより、処理側水蒸気流路166、バイパス側水蒸気流路167のいずれかに導入される。処理側水蒸気流路166に導入された水蒸気は、処理容器30に供給される。処理容器30においては、処理側オゾンガス流路51によって供給されたオゾンガスと処理側水蒸気流路166によって供給された水蒸気との混合ガスによって、処理容器30内のウェハWに対してレジスト水溶化処理、即ち、ウェハWの表面に塗布されたレジストを酸化させる処理が行われる。一方、バイパス側水蒸気流路167に導入された水蒸気は、処理容器30には供給されず、主排出流路171を通じて排出させられる。
このように水蒸気発生装置41おいて水蒸気が生成及び導出され、かつ、水補給路71からの水の補給が停止させられている間は、貯留空間61内の水の貯留量は、水が蒸発することにより、次第に減少していく。そして、貯留空間61内の貯留量が設定貯留量VOより少なくなり、液面が設定高さHOより低くなると、水位検出用配管121に設けられている水位監視センサ122において、水の存在が検出されなくなる。すると、補給制御部73は、水補給路71に設けられている開閉弁136を、閉状態から開状態にする制御を行う。これにより、水補給路71が連通させられ、水の補給が開始される。即ち、純水供給源135から供給された水が、例えば約50cm3/min程度の補給流量で水補給路71内を流れ、貯留空間61内に補給される。そして、所定の開放時間が経過すると、補給制御部73の制御により、開閉弁136が開状態から閉状態に戻される。これにより、水補給路71が再び遮断され、水の補給が停止される。
このように、一回の補給により(水の補給開始からその直後の補給停止までの間に連続的に)補給される水の補給体積VIは、約20cm3程度である。従って、貯留空間61内の貯留量は、一回の補給により約20cm3程度増加させられ、貯留空間61内の水の液面高さは、補給開始時液面高さHSから補給停止時液面高さHEに上昇させられる。
そして、開閉弁136が閉状態にされ、水の補給が停止させられると、貯留空間61内の水の貯留量が、再び次第に減少していき、設定高さHOより低くなると、上記と同様にして、補給制御部73の制御により、水の補給が再開される。
以上のようにして、水蒸気発生装置41においては、補給制御部73の制御により、水位監視センサ122の検出結果に応じて、開閉弁136の開閉(水の補給開始と補給停止)が交互に繰り返される。つまり、貯留空間61内の貯留量が設定貯留量Voより少なくなる都度、開閉弁136が開状態にされ、水の補給が開始され、補給体積VIの水が補充される。また、貯留空間61内の貯留量が設定貯留量Voより多くなると、開閉弁136が閉状態にされ、水の補給が停止される。このような貯留空間61に対する水の補給が、各処理ユニット23a〜23fにおいて処理が行われている間、断続的に複数回行われる。
上記のように水補給路71から貯留空間61に補給される水は、熱交換器76において予め昇温されており、常温よりも高い温度になっている。そのため、貯留空間61内において加熱されている水の温度と、水補給路71から補給される水の温度との温度差は、常温の水を補給する場合よりも小さくなっている。
即ち、水は純水供給源135からほぼ常温で供給され、上流側配管131の内部流路を通過した後、上流側配管131から螺旋状配管130の下端部に流入する。そして、螺旋状配管130において、タンク筐体60の周囲を螺旋状に周回しながら、下方から上方に向かう。このとき、タンク筐体60は、ヒータ62の発熱によって加熱されており、熱交換器76の熱交換部プレート141の内側(タンク筐体60の周囲)に存在する雰囲気は、タンク筐体60の熱により、高温状態になっている。この熱交換部プレート141の内側に存在する高温の雰囲気と、螺旋状配管130内の低温の水が、螺旋状配管130の管体及び熱交換部プレート141を介して、互いに熱交換する。すると、螺旋状配管130の管体、熱交換部プレート141、及び、熱交換部プレート141の内側の雰囲気(タンク筐体60の外部)は、螺旋状配管130内の水によって熱が奪われることにより冷却される。一方、螺旋状配管130内の水は、螺旋状配管130の管体、熱交換部プレート141、及び、熱交換部プレート141の内側の雰囲気から熱が与えられることにより、加熱される。即ち、ヒータ62から発生する熱によって水が昇温される。
こうして、水補給路71内の水は、螺旋状配管130内において昇温されながら螺旋状に通過(上昇)した後、下流側配管132に流入して下降する。そして、常温に対して高温になっている状態(例えば約90℃以上)で、貯留空間61の下部に導入される。そして、貯留空間61において、ヒータ62の発熱によってさらに加熱されることにより沸点に達し、蒸発するようになっている。
以上のように、水蒸気発生装置41においては、純水供給源135から供給される水を、貯留空間61に補給する前に、熱交換器75(タンク筐体60とカバー75との間)に供給し、ヒータ62から発生する熱を利用して予め加熱することにより、貯留空間61に既に貯留されている水の温度に近づけた状態(貯留空間61内の水の気化に影響を与えない温度にした状態)で、貯留空間61に補給するようになっている。そのため、貯留空間61内の高温の水に低温の水が混入することを防止できる。従って、貯留空間61内の熱量が損失すること、即ち、貯留空間61内の高温の水が低温の水によって冷却されることを防止できる。そのため、ヒータ62の熱を効率的に利用することができ、水の加熱効率を向上させることができる。また、貯留空間61内の気化が水の補給によって妨げられること、即ち、貯留空間61に水を補給しているときの気化効率が、水の補給を停止させているときの気化効率に対して大幅に低下することを防止できる。従って、水蒸気発生量にばらつきが生じることを防止でき、水蒸気元流路72によって導出される水蒸気の流量や、各水蒸気主流路151に供給される水蒸気の供給流量を、貯留空間61に水が補給されているか否かに関わらず、ほぼ一定に安定させることができる。
特に、熱交換器76においては、貯留空間61に補給する前の水を、ヒータ62の熱を利用して加熱できるため、貯留空間61に補給する前の水を加熱するための加熱手段をヒータ62の他に別途設ける必要がない。従って、装置コストの低減、装置のコンパクト化を図ることができる。また、ヒータ62の廃熱(即ち、貯留空間61内の水に与えられずタンク筐体60の外側に放散してしまった熱量)を、熱交換器76内の水によって回収することで、貯留空間61内の水に与えることができる。こうして、ヒータ62の廃熱を有効利用することにより、加熱効率をさらに向上させることができる。
また、ヒータ62の熱が熱交換器76において水の加熱に利用されることにより、熱交換器76の周辺の温度を冷却することができ、これにより、カバー75等の外部部材が加熱されることを抑制できる。そのため、カバー75等に高価な断熱材を設けなくても良い。従って、装置コストの低減を図りながらも、カバー75等の外部部材の温度上昇を抑制できる。また、水を熱交換器76から貯留空間61に送り出すことで、熱交換器76の熱を貯留空間61に回収するとともに、新たな低温の水を上流側配管131から熱交換器76に供給できる。即ち、熱交換器76の水を、冷却効果の高い新たな低温の冷却水に入れ替えることにより、タンク筐体60周辺の雰囲気や熱交換器76を再び効率的に冷却できる。従って、水蒸気発生装置41を長時間稼動させても、高い冷却効果を維持することができ、カバー75の温度上昇を効果的に防止し続けることができる。
特に、この水蒸気発生装置41においては、各回に補給される水の補給体積VIが、それぞれ熱交換器76の保持体積Vh(タンク筐体60の外部において静止させられヒータ62の熱によって昇温させられる水の体積)と等しくなるように設定されているので、純水供給源135から供給された水の流れは、熱交換器76において必ず一回は静止(滞留)させられた後、貯留空間61に補給される。このように、熱交換器76において保持体積Vh(補給体積VI)の量の水を静止させることにより、水を連続的に流しながら熱交換器76における熱交換を行う場合よりも、熱交換器76内の水に対して多くの熱量を確実に与えることができる。従って、熱交換器76内の水を、さらに高い温度まで確実に昇温させることができる。
また、この水蒸気発生装置41においては、貯留空間61に対する水の補給は、ほぼ一定の周期で間欠的に行われる。即ち、各ヒータ62の出力は一定であり、水蒸気元流路72内と貯留空間61内の圧力は、圧力調節機構152の作動により一定に制御されており、これにより、貯留空間61内の温度、圧力の条件は、水の貯留量の減少速度がほぼ一定(約40cm3/min)(水蒸気発生量がほぼ一定(約40g/min))になるように設定されている。この場合、水の補給停止時に液面高さが補給停止時液面高さHEから設定高さHOに下がるまでにかかる時間や、補給停止時液面高さHEから補給開始時液面高さHSに下がるまでにかかる時間(即ち、補給体積VI(約20cm3)に相当する量の水が気化する時間(20cm3÷40cm3/min=約30秒))も、ほぼ一定である。つまり、水の補給停止から次の補給開始までの間の時間間隔(補給停止時間)は、ほぼ一定(約30秒)である。この場合、水が熱交換器76の熱交換流路内に存在する静止時間も一定(約30秒)であるため、その間に熱交換器76において水に与えられる熱量も一定になる。従って、熱交換器76においては、水を常温から所定の設定温度(例えば約90℃以上)まで、均等に昇温させることができる。即ち、貯留空間61に補給される水の温度にばらつきが生じることを防止でき、これにより、貯留空間61での水蒸気発生量にばらつきが生じることを、より確実に防止できる。
なお、貯留空間61の下部において、水は下流側配管132から主貯留領域61aに対して直接的に導入されるのではなく、通過孔111a、112aを通過して、整流板111、112を迂回するようにして、間接的に導入される。そして、導入領域61bを通過する間にも、ヒータ62の熱によって加熱、保温される。従って、主貯留領域61aに既に貯留されている高温の沸騰水と、下流側配管132から導入された直後の水との温度差を、導入領域61bにおいてさらに小さくした状態で、主貯留領域61aに導入することができる。そのため、水の補給が貯留空間61内の気化に与える影響を、整流板111、112を設けない場合よりも、さらに小さくすることが可能である。
以上説明したように、かかる処理システム1の水蒸気発生装置41にあっては、貯留空間61内の水を加熱するために設けられているヒータ62の熱を利用して、貯留空間61に補給する前の水を昇温させることにより、貯留空間61において加熱されている高温の水に低温の水が混入することを防止できる。即ち、貯留空間61内の高温の液体に与えられている熱量が損失すること、貯留空間61内の温度が低下することを防止でき、これにより、水の補給を行っているときの貯留空間61における水の加熱効率や気化効率を向上させることができる。例えば水が貯留空間61に対して断続的に補給される場合も、水を補給しているときの気化効率が、水の補給を停止させているときの気化効率に対して低下することを防止できる。即ち、水を貯留空間61に補給する間も、貯留空間61内の気化を安定した状態で継続することができる。従って、水蒸気発生装置41の水蒸気発生量の安定化を図ることができる。さらに、各処理ユニット23a〜23fにおいて、処理容器30内のウェハWに対する水蒸気の供給流量が不安定になることを防止できる。ひいては、処理ユニット23a〜23fにおけるウェハWのレジスト水溶化処理の処理効率が悪化することを防止でき、また、ウェハWに対するレジスト水溶化処理の処理効果にばらつきが生じることを防止できる。即ち、レジスト水溶化処理の信頼性を高めることができる。
さらに、かかる水蒸気発生装置41にあっては、熱交換器76においてヒータ62の放熱を回収することにより、タンク筐体60(貯留空間61)の外部の雰囲気や、例えばカバー76などの外部部材が温度上昇することを防止できる。断熱材を設けなくても良いので、水蒸気発生装置41に要する装置コストの低減を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば処理システム1は、処理ユニット23a〜23fと洗浄ユニット12、13、14、15を備えるものには限定されず、レジスト水溶化処理や洗浄処理以外の他の処理を行う装置を備えた処理システムであっても良い。被処理体は半導体ウェハに限らず、例えば他の基板、即ち、LCD基板用ガラスやCD基板、プリント基板、セラミック基板などであっても良い。
以上の実施形態では、液体は水(純水)であるとし、蒸気は純水を気化させた水蒸気であるとして説明したが、勿論、本実施形態の水蒸気発生装置41の構成及び水蒸気発生方法は、水以外の他の種類の液体の蒸気を発生させる蒸気発生装置及び方法に適用することも可能である。この場合も、蒸気発生量の安定化を図ることができる。また、タンク筐体を覆うカバーなど、外部の温度上昇を防止できる。
また、水蒸気発生装置41の構造、例えば貯留空間61の形状、ヒータ62の種類や配置等も、以上の実施形態には限定されない。例えば貯留空間61は側面視において略円形としたが、方形などであっても良い。さらに、整流板111、112、水流出防止板115、116、通過孔111a、112a、蒸気通過孔115a、116aの配置や形状等も、以上の形態には限定されない。整流板111、112、水流出防止板115、116等は、必ずしも設けなくても良い。
水補給路71及び熱交換器76は、螺旋状配管130によって構成された螺旋状の熱交換流路を備えるとしたが、かかる熱交換流路は、タンク筐体60を囲む螺旋状には限定されず、他の任意の形状にしても良い。また、熱交換流路においては、下方から上方に向かって水が流れるとしたが、水の通流方向は、かかる方向には限定されず、例えば上方から下方に向かう方向であっても良い。
貯留空間61に対する水の補給は、断続的に行うとしたが、連続して行うようにしても良い。この場合も、貯留空間61に補給する前の水を適宜昇温させ、水蒸気発生量の安定化を図り、また、カバー75の温度上昇を防止できる。また、例えば螺旋状配管130を長くし、熱交換器76の保持体積Vhを多くすることにより、あるいは、熱交換器76における水の流量を小さくすること等により、熱交換器76を通過する水に対して、所望の熱量を与え、水蒸気発生量を安定させることが可能である。