JP3544329B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板を処理する基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)のフォトリソグラフィ処理においては,ウェハに対してレジストを塗布し,次いでパターンの露光を行い,その後現像を行う処理が行われる。その後,ウェハからレジストを除去する。
【0003】
かかるレジスト除去の際には洗浄装置が用いられており,この洗浄装置では,SPM(HSO/Hの混合液)と呼ばれる薬液が充填された洗浄槽内にウェハを浸漬させてレジストの剥離を行う。一方,今日においては,環境保全の観点から,廃液処理が容易なオゾンが溶解した溶液を用いてレジスト除去を行うことが要望されている。この場合,オゾンが溶解した溶液が充填された洗浄槽内にウェハを浸漬させ,溶液中の酸素原子ラジカルによってレジストを酸化反応させて二酸化炭素や水等に分解する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,通常,高濃度のオゾンガスを純水にバブリングして溶解させることにより前記溶液を生成し,その後,この溶液を洗浄槽内に充填しているので,その間に,溶液中のオゾンが消滅していきオゾン濃度が低下していく場合があった。オゾンが溶解した溶液の洗浄能力は,オゾン濃度の高低によって影響を受けるので,低濃度の溶液では洗浄能力が低く,レジスト除去が十分に行えない場合があった。また,オゾンとレジストの反応は非常に速いため,ウェハを前記溶液に浸漬させた状態では,レジスト表面へのオゾン供給が不十分となり,高い反応速度を得ることができなかった。
【0005】
従って,本発明の目的は,高い処理能力を得ることができる,基板処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明によれば,基板を処理する装置であって,前記基板を収納する処理容器と,溶媒の蒸気を発生する蒸気発生器と,前記処理容器内に溶媒の蒸気を供給する蒸気供給回路と,前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と,前記処理容器内に収納された基板を加熱する加熱手段と,前記処理容器内の排気を行う排気回路に設けられた流量調整弁と,前記溶媒の蒸気と前記処理ガスによる基板の処理中に,前記処理容器内を加圧雰囲気にするように,圧力センサからの信号に基いて前記流量調整弁の絞りを制御する制御部と,を備えていることを特徴とする,基板処理装置が提供される。
前記排気回路はミストトラップへ接続され,前記ミストトラップは,気体と液体との分離を行う気液分離部と,気体を排気させる第2の排気回路と,排液回路とを備えていても良い。
前記ミストトラップは,液体を溜める排出部を備え,前記排出部の底面に前記排液回路が接続され,前記排出部は,液体が空になるのを防止するように構成されても良い。
前記蒸気供給回路に,開閉弁を介して溶媒の蒸気を前記ミストトラップへ排気する蒸気排気回路を設けても良い。
前記蒸気発生器から排出された溶媒を前記ミストトラップへ導入する排液回路を設けても良い。
前記ミストトラップの気液分離部には,冷却水を供給する冷却水供給回路と,冷却水を排液する冷却水排液回路が接続されていても良い。
前記溶媒が純水であり,前記処理ガスがオゾンガスであっても良い。
前記溶媒が純水であり,前記処理ガスがオゾンガスであり,前記第2の排気回路にオゾンキラーを設けても良い。
【0007】
また,本願では以下の発明が開示される。
基板を処理する装置であって,前記基板を収納する処理容器と,前記処理容器内に溶媒の蒸気を供給する溶媒蒸気供給手段と,前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と,前記処理容器内に収納された基板を加熱する加熱手段とを備えていることを特徴とする,基板処理装置を提供する。
この基板処理装置によれば,溶媒蒸気供給手段により溶媒の蒸気を供給する一方で,処理ガス供給手段により処理ガスを処理容器内に供給する。また,加熱手段により処理容器内に収納された基板を例えば所定温度に加熱する。このとき,溶媒の露点温度よりも低く,かつ処理が最適に行われる範囲内に所定温度を設定すれば,基板上に溶媒の蒸気を適切に凝縮させて微細な(膜厚の薄い)溶媒の液膜を形成することができる。そして,微細な(膜厚の薄い)溶媒の液膜に処理ガスを溶解させて基板を処理可能な液体の液膜に変質させる。このような液体の液膜は,処理直前で生成されることになるので,濃度低下等が起こらず,処理能力が高い。さらに処理中は,新規な処理ガスを引き続き供給して液膜に溶解させるので,基板上に,処理能力が高い液体の液膜を常時形成することができる。なお,処理ガスには,例えばオゾンガス,塩素ガス,フッ素ガス,水素ガス,各種反応種(ラジカル,イオン)を有するオゾンガス,塩素ガス,フッ素ガス,水素ガス等がある。
【0008】
また処理容器内では,溶媒の蒸気と処理ガスを衝突させて混合させ,混合ガスを生成する,そして,この混合ガスを基板上に適切に凝縮させることによっても,処理理可能な液体の液膜を形成することができる。さらに基板に対して混合ガスを迅速に供給するので,処理を活発に行うことができる。
【0009】
この基板処理装置において,前記加熱手段は,加熱されたガスを吐出するガスノズルを備えていることが好ましい。かかる構成によれば,加熱手段は,加熱されたガス(例えばエア,N等の不活性ガス)をガスノズルにより吐出させて基板を加熱するので,基板を迅速に加熱することができる。このとき,請求項3に記載したように,前記ガスノズルの吐出方向は,可変であると良い。そうすれば,ガスノズルの吐出方向を適宜変えて加熱されたガスを基板全体に行き渡らせることができる。従って,基板を均一に加熱することができる。なお,ガスノズルの吐出方向を上下に振ると良い。
【0010】
前記加熱手段は,前記処理容器の外周面に設けられた発熱体を備えていることが好ましい。かかる構成によれば,発熱体の熱により処理容器内を加熱雰囲気にする。これにより,基板を加熱することができる。
【0011】
前記処理容器内に常温又は冷却されたガスを供給するクールガス供給手段を備えていることが好ましい。かかる構成によれば,クールガス供給手段により常温又は冷却されたガス(例えばエア,N等の不活性ガス)を供給し,処理容器内を常温雰囲気や冷却雰囲気にすることができる。
【0012】
前記溶媒蒸気供給手段は,溶媒の蒸気を吐出する溶媒蒸気ノズルを備えていることが好ましい。この場合,前記溶媒蒸気ノズルの吐出方向は,可変であると良い。また,前記処理ガス供給手段は,処理ガスを吐出する処理ガスノズルを備えていることが好ましい。この場合,前記処理ガスノズルの吐出方向は,可変であると良い。かかる構成によれば,例えば処理容器内の天井部を指向するように溶媒蒸気ノズルの吐出方向を設定し,同様に処理容器内の天井部を指向するように処理ガスノズルの吐出方向も設定すると良い。そうなると,溶媒蒸気ノズルから吐出された溶媒の蒸気は,天井部より処理容器内の底部に向かって流下する。同様に処理ガスノズルから吐出された処理ガスも天井部より流下する。さらに溶媒の蒸気と処理ガスの混合ガスも流下する。このように,溶媒の蒸気,処理ガス,混合ガスが処理容器内を流下するので,基板に対する溶媒の蒸気,処理ガス,混合ガスの供給を十分に行うことが可能となる。
【0013】
前記処理容器内の雰囲気を排気する排気手段を備え,前記排気手段の排気量を調整する排気量調整機構を備えていても良い。かかる構成によれば,排気量調整機構により排気手段の排気量を絞って処理容器内を所定の加圧雰囲気にする。そうすれば,溶媒の液膜に対する処理ガスの溶解量を増加させることができ,処理能力の更なる向上を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照して,例えば25枚のウェハを一括して洗浄するように構成された洗浄装置に基づいて説明する。この洗浄装置は,オゾンガスを利用してウェハWからレジストを除去するものであり,図1は,本発明の実施の形態にかかる洗浄装置1にかかる配管系統を示した説明図である。
【0015】
図1に示すように,洗浄装置1は,ウェハWを収納する処理容器2と,処理容器2内に水蒸気3を供給する溶媒蒸気供給手段としての水蒸気供給手段4と,処理容器2内にオゾンガス5を供給する処理ガス供給手段としてのオゾンガス供給手段6と,処理容器2内に収納されたウェハWを加熱する加熱手段7と,処理容器2内に冷却されたエア(ガス)を供給するクールガス供給手段としてのクールエア供給手段8と,処理容器2内の雰囲気を排気する排気手段9と,処理容器2内の液滴を排液する排液手段10とを備えている。
【0016】
図2に示すように,処理容器2は,50枚のウェハWを十分に収納可能な大きさを有する容器本体11と,容器本体11の上面開口部を開放・閉鎖する容器カバー12と,容器本体11の下面開口部を閉鎖する容器ボトム13の3つに大別される。図示の例のように,容器カバー12が容器本体11の上面開口部を閉鎖した際には,容器本体11と容器カバー12の間の空隙は,リップ式のOリング14により密閉される。容器本体11と容器ボトム13の間の空隙は,ガスケット15により密閉される。こうして,処理容器2内の雰囲気が外に漏れない構成となっている。なお,容器本体11,容器カバー12,容器ボトム13には,ステンレス(SUS316L)などの板材が用いられ,熱容量を小さくするために,板厚は極力薄くなるように設計されている。また,処理ガスから処理容器2内壁を保護するために,板材の表面に耐薬品性を強める処理が施されている。
【0017】
図3に,容器本体11の斜視図を示す。図3に示すように,まず容器本体11の上端周縁部には,Oリング溝16が形成されている。そして,容器本体11の内周面には,水蒸気ノズル装着口17と,オゾンガスノズル装着口18と,ガスノズル装着口19,20と,ガスサンプリングポート21と,排気ボックス接続口22がそれぞれ形成されている。水蒸気ノズル装着口17は後述する水蒸気ノズル43を,オゾンガスノズル装着口18は後述するオゾンガスノズル92を,エアノズル装着口19,20は後述するエアノズル104,104をそれぞれ容器本体11の内部に設置するように構成されている。また,ガスサンプリングポート21にサンプリングパイプ(図示せず)を外部から接続し,処理容器2内の雰囲気をサンプリングするようになっている。排気ボックス接続口22は,後述する第1の排気回路157を処理容器2内に導入して排気ボックス150,150に接続させるように構成されている。また,容器本体11の外周面に,後述するラバーヒータ130が張り付けられている。
【0018】
図2に示すように,容器カバー12の外周面(上面)に,後述するラバーヒータ131が張り付けられている。また,処理容器2内の様子を観察できるように,パイレックスガラスからなる窓23が設置されている。
【0019】
図2及び図4に示すように,容器ボトム13に,4面に分割された底面13a,13b,13c,13dが形成されている。各底面13a〜dは,周縁側が高く中央側に向かって次第に低くなるように傾斜されている。中央に処理容器2内の液滴を排液する後述する第1の排液回路190が接続されている。この場合,傾斜角度を15゜以上にすると良い。液滴が各底面13a〜dを伝って第1の排液回路190に容易に流れ込むようになるからである。第1の排液回路190は,後述する第1の排気回路157に接続されており,液滴は後述するミストトラップ151に排液されることになる。また,容器ボトム13の外周面には,後述するラバーヒータ132が張り付けられている。
【0020】
図2及び図5に示すように,処理容器2に,ウェハガイド30が設けられている。ウェハガイド30は,上下方向(図5中のZ方向)に昇降自在に構成されている。ウェハガイド30は,シャフト部31と,ガイド部32と,ガイド部32に水平姿勢で固着された3本の平行な保持部材33a,33b,33cとを備えている。各保持部材33a〜cに,ウェハWの周縁下部を保持する溝34が等間隔で25箇所形成されている。従って,ウェハガイド30は,25枚のウェハWを等間隔で配列させた状態で保持する構成となっている。なお,耐薬品性や硬度等の観点から,シャフト部31は,PP(ポリプロピレン)パイプにSUSパイプを挿入した構造となっている。また,ガイド部32,各保持部材33a〜cは,PCTFE材(3フッ化エチレン樹脂)にSUSの芯を入れた構造となっている。
【0021】
シャフト部31は容器カバー12を貫通して処理容器2の上方に突き出ているため,この貫通部分には,エアグリップシール35が設けられている。エアグリップシール35にはエア導入回路(図示せず)が接続されており,エア導入回路からエアグリップシール35内にエアが導入されると,エアグリップシール35が膨らみ,シャフト部31と容器カバー12の間の空隙が密閉される。
【0022】
図6に示すように,水蒸気供給手段4は,純水(DIW)を供給する純水供給回路40と,純水供給回路40から供給された純水を気化して水蒸気3を発生させる水蒸気発生器41と,水蒸気発生器41内の水蒸気3を供給する水蒸気供給回路42と,水蒸気供給回路42から供給された水蒸気3を処理容器2内に吐出する水蒸気ノズル43とを備えている。
【0023】
純水供給回路40の入口側に,純水供給源(図示せず)が接続されている。純水供給源から例えば20cm/min(最大で50cm/min)程度の流量で純水が供給される。純水供給回路40に圧力計46,開閉弁47,流量コントローラ48,フィルタ49が順次介装され,純水供給回路40の出口側は,水蒸気発生器41の上部に接続されている。
【0024】
図6及び図7に示すように,水蒸気発生器41は,筒体50と,筒体50にフランジ51を介して接続された底筒52と,筒体50の外周面に張り付けられたラバーヒータ53と,筒体50内に挿入されたカートリッジヒータ54とを備えている。
【0025】
筒体50に,内部温度監視センサ55が取り付けられている。内部温度監視センサ55により検出された内部温度は,制御部56に送信されて監視される。なお,内部温度監視センサ55には,例えばK型熱電対が使用されている。
【0026】
ラバーヒータ53は,制御部56に接続され,制御部56の給電により発熱する。ラバーヒータ53に温度コントロールセンサ57と,オーバーヒートセンサ58が取り付けられている。これら温度コントロールセンサ57,オーバーヒートセンサ58は,制御部56に接続されている。制御部56は,温度コントロールセンサ57からの信号に基づいて,現在のラバーヒータ53の加熱温度を感知して管理し,オーバーヒートセンサ58からの信号に基づいてラバーヒータ53の過加熱を監視する。なお,ラバーヒータ53には,例えば単位面積当たりの出力が大きいものが選定されている。温度コントロールセンサ57,オーバーヒートセンサ58には,例えばK型熱伝対などが使用されている。またラバーヒータ53の外周面は断熱材(図示せず)で覆われている。従って,ラバーヒータ53の熱的影響が周囲に及ぶのを防止することができる。断熱材には,例えば耐熱温度が200℃以上のものが選定され,シリコンラバーなどが使用されている。
【0027】
カートリッジヒータ54は,ヒータパイプ60と,ヒータパイプ60の外周面に取り付けられた複数のヒータ円盤61とを備え,制御部56の給電により発熱する。純水供給回路40により筒体50内に導入された純水は,熱を帯びたヒータパイプ60やヒータ円盤61上に滴下される。純水は気化し,水蒸気3が発生する。カートリッジヒータ54に,温度コントロールセンサ62と,オーバーヒートセンサ63とが取り付けられている。これら温度コントロールセンサ62,オーバーヒートセンサ63は,制御部56に接続されている。従って,先のラバーヒータ53と同様に,カートリッジヒータ54に対して制御部56による適切な加熱制御が行われる。
【0028】
一方,底筒52に純水排液回路65が接続されている。純水排液回路65は,後述する水蒸気排気回路80に接続され,水蒸気発生器41内で気化できなかった純水をミストトラップ151に排液するようになっている。純水排液回路65に流量調整弁66が介装されており,排液量を適宜調整できるようになっている。
【0029】
また水蒸気発生器41に,筒体50内の液面を目視するための液面目視パイプ67が設けられている。液面目視パイプ67の一端は純水排液回路65に,他端は筒体50の上部に接続されている。液面目視パイプ67に液面上限センサ68が取り付けられ,この液面上限センサ68は制御部56に接続されている。例えば気化できなかった純水の発生量に対して純水排液回路65の排液,ひいてはミストトラップ151の排液が追いつかない場合,水蒸気発生器41内に純水が溜まり,液面が上昇して液面上限センサ68に達する。そうなると,液面上限センサ68が制御部56に警告信号を送信するようになっている。また,液面目視パイプ68は,接続回路69を介して純水排液回路65に接続されている。接続回路69には,安全弁70が介装されている。安全弁70は,一定以上の圧力がかかると開き,例えば筒体50内から純水を逃がすようになっている。なお,純水供給回路40から純水を滴下させて水蒸気3を発生させる場合について説明したが,例えば筒体50内に純水を一旦溜めてからカートリッジヒータ54を発熱させて水蒸気3を発生させるようにしても良い。この場合,流量調整弁66が閉じ,筒体50内に純水が溜まる。そして,液面が上昇して液面上限センサ68に達すると,液面上限センサ68が信号を送信し,制御部56がラバーヒータ53,カートリッジヒータ54に給電するようになっている。
【0030】
水蒸気供給回路42は,水蒸気発生器41の上部に接続されている。水蒸気供給回路42に開閉弁75が介装され,開閉弁75にプレートヒータ76が設けられている。プレートヒータ76は,制御部56の給電により発熱する。プレートヒータ76の加熱温度は,最大で例えば150℃に設定されている。プレートヒータ76に温度コントロールセンサ77と,オーバーヒートセンサ78とが取り付けられている。これら温度コントロールセンサ77と,オーバーヒートセンサ78は,制御部56に接続されている。従って,プレートヒータ76に対して制御部56による適切な加熱制御が行われる。
【0031】
水蒸気供給回路42に前述した水蒸気排気回路80が接続されている。水蒸気排気回路80には,開閉弁81が介装されている。水蒸気排気回路80は,水蒸気発生器41の温度と蒸気吐出が安定するまで開閉弁81を開放し,水蒸気3をミストトラップ151に排気するように構成されている。
【0032】
水蒸気供給回路42にリボンーヒータ82が設けられている。リボンヒータ82は,制御部56の給電により発熱する。リボンーヒータ82の加熱温度は,例えば90℃〜120℃の範囲内に設定されている。リボンヒータ82に温度コントロールセンサ83と,オーバーヒートセンサ84とが取り付けられている。これら温度コントロールセンサ83と,オーバーヒートセンサ84は制御部56に接続されている。従って,リボンヒータ82に対して制御部56による適切な加熱制御が行われる。こうして,水蒸気供給回路42は,プレートヒータ76,リボンーヒータ82の加熱により,供給する途中で水蒸気3が液化する事態を防止するように構成されている。
【0033】
図8に示すように,水蒸気ノズル43は,内パイプ85と,該内パイプ85の周囲を包囲する外パイプ86とを備えている。内パイプ85には,孔87が,等間隔で5箇所形成されていると共に,最先端部に径0.8mmの孔88が形成されている。また外パイプ86において,前記孔87とは反対方向に,孔89が等間隔(例えば処理容器2内に保持されたウェハWと同じ等間隔の3.175mm)で56箇所形成されている。このため,水蒸気ノズル43は,内パイプ85内に流れ込んできた水蒸気3を外パイプ86内で均等に分散させ,各孔89から均一に吐出するように構成されている。
【0034】
さらに水蒸気ノズル43は,図8中のθ方向に回動自在になるように前述した水蒸気ノズル装着口17に装着され,例えば水平を中心に90゜に上下に振れる。従って,水蒸気ノズル43の吐出方向は可変である。なお,本実施の形態の処理容器2内では,処理容器2内の天井部を指向するように水蒸気ノズル43の吐出方向を設定する。これにより,天井部に回った水蒸気3がウェハW上に流下するようになる。
【0035】
図9に示すように,オゾンガス供給手段6は,オゾンガス5を発生させるオゾナイザー90と,オゾナイザー90で発生したオゾンガス5を供給するオゾンガス供給回路91と,オゾンガス供給回路91から供給されたオゾンガス5を処理容器2内に吐出するオゾンガスノズル92とを備えている。オゾナイザー90は,例えばオゾン濃度が約141g/m(normal)[6.6vol%(体積百分率)]程度有するオゾンガス5を生成し,このオゾンガス5を流量,40L/min程度でオゾンガス供給回路91に流すように構成されている。また,オゾンガス供給回路91に開閉弁93が介装されている。
【0036】
オゾンガスノズル92は,前記水蒸気ノズル43と同様の構成を有しているので詳細な説明は省略する。またオゾンガスノズル92は,回動自在になるように前述したオゾンガスノズル装着口18に装着され,例えば水平を中心に90゜に上下に振れる。従って,オゾンガスノズル92の吐出方向は,可変である。本実施の形態の処理容器2内では,処理容器2内の天井部を指向するようにオゾンガスノズル92の吐出方向を設定する。これにより,天井部に回ったオゾンガス5がウェハW上に流下するようになる。さらに天井部で,オゾンガス5と前記水蒸気3とを衝突させて混合させた混合ガスを生成する。この混合ガスもウェハW上を流下する。
【0037】
図10に示すように,加熱手段7は,エアを供給するエア供給回路100と,エア供給回路100から供給されたエアを加熱してホットエア103を発生させるホットエアジェネレータ101と,ホットエアジェネレータ101内のホットエア103を供給するホットエア供給回路102と,ホットエア供給回路102から供給されたホットエア103をウェハWに吐出するガスノズルとしての前述したエアノズル104,104とを備えている。
【0038】
エア供給回路100の入口側に,エア供給源(図示せず)が接続されている。エア供給源から例えば500L/min程度の流量でクールエアが供給される。エア供給回路100に圧力計111,開閉弁112,流量コントローラ113,フィルタ114が順次介装され,純水供給回路40の出口側は,ホットエアジェネレータ101の下部に接続されている。
【0039】
図10及び図11に示すように,ホットエアジェネレータ101は,筒体115と,筒体115の外周面に張り付けられたラバーヒータ116と,筒体115内に挿入されたカートリッジヒータ117とを備えている。
【0040】
図10及び図11に示すように,ラバーヒータ116は,制御部56の給電により発熱する。ラバーヒータ116に温度コントロールセンサ117と,オーバーヒートセンサ118が取り付けられている。これら温度コントロールセンサ117,オーバーヒートセンサ118は,制御部56に接続されている。従って,ラバーヒータ116に対して制御部56による適切な加熱制御が行われる。またラバーヒータ53の外周面は断熱材で覆われている。
【0041】
カートリッジヒータ117は,制御部56の給電により発熱する。前記エア供給回路100により筒体115内に導入されたクールエアは,カートリッジヒータ117により加熱される。カートリッジヒータ117に,温度コントロールセンサ119と,オーバーヒートセンサ120とが取り付けられている。これら温度コントロールセンサ119,オーバーヒートセンサ120は制御部56に接続されている。従って,カートリッジヒータ117に対して制御部56による適切な加熱制御が行われる。
【0042】
ホットエア供給回路102は,ホットエアジェネレータ101の上部に接続されている。ホットエア供給回路102にリボンーヒータ121が設けられている。リボンヒータ121は,制御部56の給電により発熱する。リボンーヒータ121の加熱温度は,例えば100℃〜200℃の範囲内に設定されている。リボンヒータ121に温度コントロールセンサ122と,オーバーヒートセンサ123とが取り付けられている。これら温度コントロールセンサ122と,オーバーヒートセンサ123は制御部56に接続されている。従って,リボンヒータ121に対して制御部56による適切な加熱制御が行われる。こうして,ホットエア供給回路102は,リボンーヒータ121の加熱により,供給する途中でホットエア103の温度が降下することを防止するように構成されている。
【0043】
エアノズル104,104は,前記水蒸気ノズル43,オゾンガスノズル92と同様の構成を有しているので詳細な説明は省略する。一方のエアノズル104はガスノズル装着口19に,他方のエアノズル104は前述したエアノズル装着口20に,それぞれ回動自在になるように装着され,例えば水平を中心に90゜に上下に振れる。従って,エアノズル104,104の吐出方向は,可変である。本実施の形態の処理容器2内において,エアノズル104,104の吐出方向は,ある一方向に固定されない。ホットエア103を吐出する場合,エアノズル104,104は往復回動する。これにより,エアノズル104,104の吐出方向は上下に振れ,ホットエア103をウェハW全体に行き渡らせることができるようになる。
【0044】
さらに加熱手段7は,先の図2〜4に示すように,前述したラバーヒータ130,131,132を備えている。ラバーヒータ130,131,132は,制御部56の給電により発熱する。図2及び図3に示すように,4枚のラバーヒータ130が直列に接続された状態で,容器本体11の外周面に設けられている。ラバーヒータ130は,制御部56の給電により発熱する。ラバーヒータ130の出力は,容器本体11の熱容量体が20分で120℃まで昇温可能なワット数にする。ラバーヒータ130の通常の発熱温度は80℃である。図12に示すように,ラバーヒータ130に温度コントロールセンサー133がネジ134,134により固定されている。温度コントロールセンサ133は制御部56に接続されている。従って,ラバーヒータ130に対して制御部56による適切な加熱制御が行われる。また,図3に示すように,各ラバーヒータ130の外周面は,断熱材135で覆われ,この断熱材135は,カバー136によりラバーヒータ130に固定される。断熱材には,150℃以上の耐熱温度を有するシリコンラバー(材質)などが使用されている。カバー136には,ステンレス(SUS304)などの板材が使用されている。
【0045】
ラバーヒータ131の外周面は,断熱材(図示せず)で覆われ,上部からの風により熱が奪われないようにする。この断熱材の材質には,シリコンスポンジなどが好ましい。また,図4に示すように,ラバーヒータ132は,容器ボトム13の外周面(下面)に設けられている。ラバーヒータ132には,前記第1の排液回路190を通すための穴137が形成されている。さらにラバーヒータ132の外周面は,断熱材カバー138で覆われている。断熱材カバー138にも穴139が形成されている。断熱材カバー138に,厚さ1.5mmのステンレス(SUS304)の板材などが使用されている。
【0046】
図13に示すように,前記水蒸気発生器41,前記ホットエアジェネレータ101,各配管部品等はボックス140にまとめて収納されている。これにより,収納スペースの節約やメンテナンス性の向上等が図れる。なお,ボックス140には,ステンレス(SUS304)の板材などが使用されている。ボックス140の内側に断熱材が設置され,ボックス140内の熱が周囲に拡散しないようになっている。
【0047】
図10に示すように,クールエア供給手段8は,クールエア供給回路145を備えている。クールエア供給回路145の一端は,前記エア供給回路100における圧力計111と開閉弁112との間に接続され,他端は前記ホットエア供給回路102に接続されている。クールエア供給回路145には,開閉弁146,流量コントローラ147,フィルタ148が順次介装されている。従って,クールエアを供給する際には,先ず前記開閉弁112を閉じさせる一方で開閉弁146を開かせ,リボンヒータ121の加熱を停止させる。そして,エア供給源からのクールエアは,ホットエアジェネレータ101を迂回した後に,ホットエア供給回路102に流入し,前記エアノズル104により吐出されて処理容器2内に供給される。なお,同じエア供給源からクールエアが供給されると共に,クールエアとホットエア103は,同じエアノズル104により吐出されていたが,クールエア供給手段8は,エア供給源やエアノズルを個別に備えていても良い。
【0048】
図14に示すように,排気手段9は,処理容器2内に設けられた前述した排気ボックス150,150と,気液分離を行うミストトラップ151と,オゾンキラー152と,処理容器2を収納して処理容器2の周囲雰囲気の排気をとるシンクボックス153(SINK BOX)と,処理容器2内の排気,シンクボックス153からの排気,装置全体の排気を集合して行う集合BOX154とを備えている。
【0049】
図15に示すように,各排気ボックス150の上面に,開口部155が形成され,各排気ボックス150の外面に,径10mmの孔156が,等間隔(例えば30mm)で複数形成されている。各排気ボックス150に前述した第1の排気回路157が接続されている。この第1の排気回路157は,前述したように排気ボックス接続口22を介して処理容器2内に導入されている。また第1の排気回路157の出口側は,ミストトラップ151に接続されている。従って,各排気ボックス150は,開口部155,各孔156を通して処理容器2内の雰囲気を取り込み,ミストトラップ151に排気するように構成されている。なお,各排気ボックス150には,ステンレス(SUS316L)などの板材が使用され,板材の表面に耐薬品性を強める処理が施されている。
【0050】
ミストトラップ151は,水蒸気発生器41から排気された水蒸気3及び処理容器2内から排気された雰囲気を冷却して凝縮し,気体と液体とに分離し,これら気体と液体とを個別に排出するように構成されている。即ち,図14及び図16に示すように,ミストトラップ151は,気液分離部160と排出部161に大別される。またミストトラップ151の上面に,前記水蒸気排気回路80と前記第1の排気回路157が接続されている。ミストトラップ151内に設けられた一方の配管162は水蒸気排気回路80に接続され,他方の配管163は第1の排気回路157に接続され,何れの配管162,163も,気液分離部160内を通り,排出部161内で開口している。さらに気液分離部160内における配管162,163の形態は,螺旋状に形成されている。なお,ミストトラップ151,配管162,163の材質には,耐食性の観点からPFA(四フッ化エチレンとパーフロロアルキルビニルエーテルの共重合樹脂)などが使用されている。
【0051】
気液分離部160に,冷却水を供給する冷却水供給回路165と,冷却水を排液する冷却水排液回路166とがそれぞれ接続されている。冷却水供給回路165に流量調整弁167が,冷却水排液回路166に流量調整弁168がそれぞれ介装されている。
【0052】
排出部161に,気体を排気する第2の排気回路170が接続されている。特に処理容器2内の雰囲気にオゾンガス5が含まれているので,第2の排気回路170には,前記オゾンキラー152が介装されている。このオゾンキラー152は,第2の排気回路170から排気された気体中から高濃度のオゾンガス5を触媒反応を利用して除外するように構成されている。
【0053】
ミストトラップ151では,先ず冷却水供給回路165により冷却水が気液分離部160内に供給される。水蒸気発生器41から排出された水蒸気3及び純水は,水蒸気排気回路80により,ミストトラップ151内に導入される。純水は,そのまま配管162内を流れて排出部161に滴下される。水蒸気3は,配管162内を流れている間に冷却水により冷却されて凝縮される。この場合,螺旋状に形成された配管162内を水蒸気3が流れることになるので,冷却水によって冷却される時間を十分に取ることができる。そして,水蒸気3が液化した液滴が排出部161内に滴下される。また,処理容器2内より排出された液滴及び雰囲気は,第1の排気回路157により,ミストトラップ151内に導入される。処理容器2内より排出された液滴は,そのまま配管163内を流れて排出部161に滴下される。処理容器2内より排出された雰囲気は,配管163内を流れている間に冷却水により冷却されて凝縮される。この場合も,冷却水によって冷却される時間を十分に取り,処理容器2内より排出された雰囲気を,オゾンガス5と液滴とに好適に分離することができる。排出部161中の気体は,第2の排気回路170により排気される。気体は,オゾンキラー152を通過してオゾンが除去される。なお,冷却水供給回路165から冷却水を供給し続ける一方で,冷却水排液回路166により排液を行い,気液分離部160内を常時新鮮な冷却水で満すようにすると良い。
【0054】
図17に示すように,シンクボックス153は,処理容器2内を収納するケース180を備えている。ケース180に,シンクボックス153に通じる排気管181が接続されている。従って,シンクボックス153は,排気をとり,処理容器2の開放時にオゾンガス5を含んだ雰囲気が装置外部に漏れるのを防止することができる。なお,シンクボックス153の材質には,例えばPVC(ポリ塩化ビニル)等が使用されている。
【0055】
図14及び図18に示すように,集合ボックス154には,前記第2の排気回路170,排気管181が接続されている。また,装置背面の雰囲気をボックス内に取り込むための配管182が複数設置され,オゾンガス5の拡散を2重に防止している。さらに集合ボックス154は,工場内の酸専用の排気系(ACIDEXTHAUST)に通じており,酸専用の排気系に流す前の各種排気の合流場所として機能する。このように,オゾンガス5の拡散を防止して排気管理を厳格に行っている。
【0056】
図14及び図16に示すように,排液手段10は,前記処理容器2の底部に接続された前述した第1の排液回路190と,前記排出部161の底部に接続された第2の排液回路191とを備えている。第1の排液回路190に,開閉弁192が介装されている。前述したように第1の排液回路190は,前記第1の排気回路157に接続されており,処理容器2内の液滴を第1の排気回路157に流す。また第2の排液回路191に,開閉弁193が介装されている。液体中にオゾンが残存することもあるので,第2の排液回路191は,工場内の酸専用の排液系(ACID DRAIN)に通じている。さらに排液手段10は,排出部161に下から順次設置された空防止センサ194,排液開始センサ195,液オーバーセンサ196を備えている。開閉弁193,空防止センサ194,排液開始センサ195,液オーバーセンサ196は,前記制御部56に接続されている。
【0057】
前述したように処理容器2内の液滴は,第1の排液回路190,第1の排気回路157を経由してミストトラップ151内に導入される。そして,排出部161内にある程度溜められてから,第2の排液回路191を通じて排液される。即ち,排出部161内に液体が溜められ,液面が前記空防止センサ194に達するまでは,少なくとも開閉弁193を開放しない。僅かな量の液体しか排出部161内に溜まっていない場合,開閉弁193を開放してしまうと,排出部161内は直ちに空になってしまう。そうなると,オゾンガス5は,第2の排液回路191を通じて工場内の酸専用の排液系に排気されてしまう。工場内の酸専用の排液系は,当然のことながら排気に対応して構築されているわけではないので,そこから人体等に有害なオゾンガス5が周囲に漏れるおそれがあり,好ましくない。しかしながら,このように排出部161の下部に空防止センサ194を設けて排出部161内が空になるのを防止するので,オゾンガス5が周囲に漏れる事態を防止することができる。そして,液面が排液開始センサ195に達すると,信号が制御部56に送信され,制御部56は,開閉弁193を開放させて排液を開始させる。また,液面の高さが,液オーバーセンサ196までオーバーすると,液オーバーセンサ196から警告信号が制御部56に送信されるようになっている。もちろん,水蒸気発生器41から排液された純水や水蒸気3が液化した液滴も,第2の排液回路191を通じて排液される。
【0058】
その他,図2に示すように,処理容器2には,内部温度を監視するための内部温度監視センサー197が設けられている。この内部温度監視センサー197は,排気ボックス150の上方で,かつウェハやウェハガイド30に干渉しない位置に設定され,反応空間に近い位置での温度を測定するようになっている。
【0059】
次に,以上のように構成された洗浄装置1で行われる本発明の実施の形態にかかる洗浄方法について,図19〜21に示す第1〜第3の工程説明図,図22に示すフローチャートに従って説明する。図19に示すように,例えばレジスト膜200が形成されたウェハW25枚を処理容器2内に収納する(処理開始)。
【0060】
次いで,加熱手段7によりウェハWを所定温度に加熱する。即ち,処理容器2のラバーヒータ130〜132を発熱させると共に,エアノズル104,104からホットエア103をウェハWに吐出させる(S1:ホットエア・オン)。この場合,所定温度は,少なくとも供給される水蒸気3の露点温度よりも低く,かつ処理が最適に行われる範囲内に設定されている。
【0061】
このとき,制御部56は,ラバーヒータ130〜132や,ホットジェネレータ101のラバーヒータ116,カートリッジヒータ117の発熱量を制御する。これにより,処理容器2内は,ウェハWを所定温度に加熱するのに適切な加熱雰囲気(例えば80℃)になり,同様にホットジェネレータ101内で適切な温度のホットエア103を発生させることができる。また,エアノズル104,104は上下方向に往復回動し,吐出方向を上下に振る。これにより,ホットエア103をウェハW全体に行き渡ることができ,ウェハWを均一に加熱することができる。また,ウェハWにホットエア103を直接吹きかけるので,ウェハWを所定温度に迅速に加熱することができる。
【0062】
所定の加熱時間が経過すると,ホットエア103の吐出は停止する。その後,水蒸気供給手段4が,処理容器2内に水蒸気3を供給する。この場合,制御部56は,カートリッジヒータ54の発熱量を制御し,水蒸気3の温度や発生量を調整する。また,水蒸気ノズル43の吐出方向は,処理容器2内の天井部を指向するように設定されている。このため,水蒸気3は,天井部より処理容器2内の底部を向かって流下する。従って,ウェハWに対する水蒸気3の供給を十分に行うことができる。
【0063】
ここで,図20に示すように,ウェハWを水蒸気3の露点温度よりも低い温度に加熱しているので,ウェハW上を流下する水蒸気3を適切に凝縮させ,膜厚の薄いな純水の液膜201を形成することができる。その後,オゾンガス供給手段6が,処理容器2内にオゾンガス5を供給する(S2:ホットエア・オフ 水蒸気,オゾンガス・オン)。この場合も,オゾンガスノズル92の吐出方向は,処理容器2内の天井部を指向するように設定されているので,オゾンガス5は,天井部より流下する。従って,ウェハWに対するオゾンガス5の供給を十分に行うことができる。
【0064】
図21に示すように,この微細な純水の液膜201にオゾンガス5を溶解させてオゾンが溶解した液膜202をウェハW上に生成することができる。そして,液膜中に酸素原子ラジカルや水素原子ラジカル等を多量に発生させる。これらラジカルは,消滅することなく,直ちに酸化反応を起こし,レジストをカルボン酸,二酸化炭素や水等に分解する。このようにオゾンが溶解した液膜202によりレジスト膜を十分に酸化分解して水溶性に変質させることができる。このように水溶性に変質したレジスト膜は,後のリンス洗浄で容易に除去できる状態にある。
【0065】
所定の処理時間が経過すると,水蒸気3及びオゾンガス5の供給を停止する一方で,エアノズル104からクールエアを吐出させる。(S3:水蒸気,オゾンガス・オフ クールエア・オン)。処理容器2内は,冷却されて常温雰囲気となり,作業上,安全な状態になる。そして,容器カバー12を開放してウェハWを搬出する(処理終了)。このとき,シンクボックス153により処理容器2の周囲雰囲気の排気を取っているので,処理容器2内を開放しても,オゾンガス5等は周囲に拡散することがない。
【0066】
その後,ウェハWをリンス洗浄装置に搬送し,純水によるリンス洗浄を施す。前述したようにレジスト膜200を水溶性に変質させているので,リンス洗浄装置では,ウェハWからレジストを容易に除去することができる。最後に,ウェハWを,リンス洗浄装置から乾燥装置に搬送して乾燥処理する。
【0067】
かかる洗浄装置1によれば,純水の液膜201をウェハW上に形成する一方で,純水の液膜201にオゾンガス5を溶解させるので,純水の液膜201を,レジスト膜200を除去可能なオゾンが溶解した液膜202に変質させることができる。オゾンが溶解した液膜202は,ウェハW上で,かつ反応直前で生成されることになるので,時間的経過によるオゾン濃度の低下等が起こらず,処理能力が高い。従って,ウェハWに対して効果的なオゾンを利用した処理を施すことができる。
【0068】
水蒸気3を凝縮させる際に,ウェハ温度と水蒸気3の露点温度の温度差が開いていると,水蒸気3を過大に凝縮させることになり,多量の水滴がウェハW上に付着してしまう。そうなると,膜厚の厚い純水の液膜201がウェハW上に形成されてしまう。しかしながら,本実施の形態によれば,制御部56の加熱制御により,加熱手段7はウェハWを所定温度に加熱する一方で,水蒸気供給手段4は温度や発生量が調整された水蒸気3を適宜供給することになるので,ウェハ温度と水蒸気3の露点温度の温度差を最適に保ち,ウェハW上に水蒸気3を適切に凝縮させて膜厚の薄い純水の液膜201を形成することができる。膜厚が薄ければ,純水の液膜201の上辺だけにしかオゾンガス5が溶解しないような事態を防止し,純水の液膜201の中までオゾンガス5を確実に溶解させることができる。また,高濃度のオゾンが溶解した液膜202を形成することも可能となり,除去効率の向上を図ることができる。また,加熱手段7は,ウェハWを,酸化反応が活発的に行える範囲内で水蒸気3の露点温度よりも低い温度に加熱するので,オゾンを利用した処理の促進を図ることができる。
【0069】
また,ウェハWを所定温度に加熱した後に水蒸気3を供給するので,例えば常温状態のウェハWに水蒸気3を供給し,多量の液滴がウェハW上に付着するような事態を防止でき,確実に膜厚の薄い純水の液膜201を形成して処理能力の低下を防止することができる。純水の液膜形成を迅速かつ容易に行うことができる。
【0070】
洗浄中,水蒸気供給手段4は,新たな水蒸気3を供給し続け,オゾンガス供給手段6も新たなオゾンガス5を供給し続ける。そして,液膜に対するオゾンガス5の溶解を継続的に行う。このため,反応により消滅した分のオゾンを補い,薄い液膜を通してレジスト膜200へ新たなオゾンを迅速かつ十分に供給し,高い反応速度を維持することができる。従って,オゾンを利用した処理を活発に行うことができる。なお,純水の液膜201やオゾンが溶解した液膜202等の液膜は,水滴を形成しない程度の薄さであると良い。
【0071】
さらに,ウェハWが搬出された洗浄装置1では,第1の排液回路190を通じて処理容器2内の液滴を排液すると共に,排気ボックス150を通じて処理容器2内の雰囲気を排気する。そして,クールエア供給手段8からクールエアを供給して,パージを行い,処理容器2内からオゾンガス5及び水蒸気3を追い出す。こうして,内部雰囲気が乾燥した後,次の常温状態のウェハWを処理容器2内に収納する。このように,水蒸気供給手段4と処理容器2とを個別に設けているので,処理容器2内に水蒸気3が残存することがなく,処理容器2内の水分量を調整して内部雰囲気を簡単に乾燥させることができる。従って,例えば処理容器2内に水蒸気3が残存し,これが凝縮して多量の水滴が次の常温状態のウェハW上に付着する事態を防止することができる。さらに,水蒸気供給手段4に備えられたカートリッジヒータ54の熱的影響は,処理容器2内のウェハWに及ばない。従って,ウェハWを過加熱することがなく,ウェハ温度が必要以上に上がらない。その結果,例えばウェハ温度が水蒸気3の露点温度を越えてしまい,水蒸気3が凝縮し難くなって純水の液膜形成が行われず,オゾンを利用した処理が行えなくなる事態を防止することができる。
【0072】
なお,本発明の実施の形態の一例ついて説明したが,本発明はこの例に限らず種々の態様を取りうるものである。例えば本発明の実施の形態におけるオゾンを利用した処理については,水蒸気3を供給した後に,オゾンガス5を供給した場合について説明したが,例えば水蒸気3及びオゾンガス5を処理容器2内に同時に供給しても良い。この場合,天井部において,水蒸気3とオゾンガス5を衝突させて混合させ,混合ガスを生成する。この混合ガス中には,熱分解や衝突により遊離した酸素原子ラジカルや水素原子ラジカル等が多量に発生する。混合ガスがウェハWと接触した際には,各種ラジカルは酸化反応を起こし,先のオゾンが溶解した液膜と同様に,レジストをカルボン酸,二酸化炭素や水等に分解する。このように,ウェハWと接触する直前に混合ガス中に各種ラジカルを多量に発生させ,これらラジカルを消滅させることなくレジスト膜と直接的に反応させるので,高い処理能力を得ることができる。さらに混合ガスを天井部により流下させても良い。これにより,ウェハWに対する供給を十分に行うことができ,一層の高い処理能力を得ることができる。さらに,処理容器2の天井部にて新規な混合ガスを継続的に生成し,ウェハWに対して混合ガスを迅速に供給するので,処理が活発に行うことができる。また,混合ガスをウェハW上で適切に凝縮させ,オゾンが溶解した液膜を直ちに形成することもできる。この液膜中に,酸素原子ラジカルや水素原子ラジカル等の反応種が多量に発生することになり,レジスト膜を十分に酸化分解して水溶性に変質させることができる。
【0073】
また,排気ボックス150及び第1の排気回路157を通じて排気手段9が,処理容器2内の排気を行う場合について説明したが,第1の排気回路157の排気量を調整しながら排気を行うようにしても良い。図23に示す排気手段210は,その例である。図23に示すように,第1の排気回路157に流量調整弁211が設けられている。流量調整弁211は,制御部56に接続されている。また,処理容器2に圧力制御センサ212が設けられている。この圧力制御センサ212は制御部56に接続されている。従って,制御部56は,圧力制御センサ212から送信されてくる信号に基づいて流量調整弁211の絞りを制御するよう構成されている。
【0074】
かかる構成によれば,処理中は,第1の排気回路157の流量調整弁211を絞って排気量を低くし,例えば処理容器2内を196kPaの加圧雰囲気にする。このような処理容器2内では,オゾンガス5の濃度を高めることができる。従って,純水の液膜201に対するオゾンガス5の溶解量を増加させることができる。ウェハW上に極めて高濃度のオゾンが溶解した液膜202を形成することが可能となる。その結果,処理能力の更なる向上を図ることができる。
【0075】
また,例えば,触媒ガスを処理容器2内に微量に供給し,液膜中で酸素原子ラジカルの生成を促進させて酸化反応をより活発的に行えるようにするのも良い。この場合,触媒ガスには,NOxガス等が挙げられる。
【0076】
また,オゾンガス5を利用してレジスト膜200を除去した場合について説明したが,他の処理ガスを利用してウェハW上に付着した様々な付着物を除去するようにしても良い。例えば,塩素(Cl)ガスを供給し,純水の液膜191を塩酸(HCl)が溶解した液膜に変質させて液膜中に塩素原子ラジカルを生成させ,ウェハW上から金属付着物,パーティクルを除去することが可能である。また,水素(H)ガスを供給し,純水の液膜191中に水素原子ラジカルを生成させ,ウェハW上から金属付着物,パーティクルを除去することも可能である。また,フッ素(F)ガスを供給し,純水の液膜192をフッ酸(HF)が溶解した液膜に変質させて液膜中にフッ素原子ラジカルを生成させ,ウェハW上から自然酸化膜,パーティクルを除去することが可能である。
【0077】
さらに,予め処理ガスに励起反応を起こさせて,ラジカルを有するようにしても良い。即ち,酸素原子ラジカルを有するオゾンガス,塩素原子ラジカルを有する塩素ガス,水素原子ラジカルを有する水素ガス,フッ素原子ラジカルを有するフッ素ガスを供給し,より多量のラジカルを生成させて洗浄の促進を図ることもできる。
【0078】
本発明は,複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の処理だけでなく,一枚ずつ基板を処理する枚葉式の処理の場合にも適用することができる。また,基板が,上記ウェハWに限定されずにLCD基板,CD基板,プリント基板,セラミック基板等であってもよい。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば,基板上に溶媒の蒸気を適切に凝縮させて膜厚の薄い溶媒の液膜を形成することができる。そして,溶媒の蒸気に処理ガスを溶解させ,処理直前に,基板上に処理能力が高い液体の液膜を生成するので,基板に対して効果的な処理を施すことができる。また,溶媒の蒸気と処理ガスの混合ガスを基板上に適切に凝縮させて,同様に基板上に処理能力が高い液体の液膜を生成することもできる。その結果,例えば基板から有機付着物,金属付着物,パーティクル,自然酸化膜等の付着物を十分に除去することができる。
【0080】
基板を直ちに加熱することができ,基板を均一に加熱することができる。処理容器内を加熱雰囲気にすることができ,処理容器内を常温雰囲気若しくは冷却雰囲気にすることができる。
【0081】
溶媒の蒸気を処理容器内に供給することができ,処理ガスを処理容器内に供給することができる。この場合,処理容器の天井部に指向するように溶媒蒸気ノズル及び処理ガスノズルの吐出方向を設定すれば,基板に対する溶媒の蒸気,処理ガス,混合ガスの供給を十分に行うことが可能となる。
【0082】
溶媒の液膜に対する処理ガスの溶解量を増加させることができ,処理能力の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる洗浄装置の配管系統図である。
【図2】処理容器を拡大して示した断面説明図である。
【図3】容器本体の斜視図である。
【図4】容器ボトムの斜視図である。
【図5】ウェハガイドの斜視図である。
【図6】水蒸気発生手段の配管系統図である。
【図7】水蒸気発生器の斜視図である。
【図8】水蒸気ノズルの側面図である。
【図9】オゾンガス供給手段の配管系統図である。
【図10】加熱手段及びクールエア供給手段の配管系統図である。
【図11】ホットエアジェネレータの斜視図である。
【図12】温度コントロールセンサーがラバーヒータに取り付けられた様子を示す説明図である。
【図13】水蒸気発生器,ホットエアジェネレータ,各配管部品等がボックスに収納された状態を示す説明図である。
【図14】排気手段及び排液手段の配管系統図である。
【図15】排気ボックスの斜視図である。
【図16】ミストトラップの斜視図である。
【図17】シンクボックスの斜視図である。
【図18】集合ボックスの斜視図である。
【図19】図1の洗浄装置で行われる処理を説明する第1の工程説明図である。
【図20】図1の洗浄装置で行われる処理を説明する第2の工程説明図である。
【図21】図1の洗浄装置で行われる処理を説明する第3の工程説明図である。
【図22】図1の洗浄装置で行われる処理を説明するフローチャートである。
【図23】排気手段の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 洗浄装置
2 処理容器
3 水蒸気
4 水蒸気供給手段
5 オゾンガス
6 オゾンガス供給手段
7 加熱手段
8 クールエア供給手段
9 排気手段
43 水蒸気ノズル
92 オゾンガスノズル
103 ホットエア
104 エアノズル
130 ラバーヒータ
W ウェハ

Claims (8)

  1. 基板を処理する装置であって,
    前記基板を収納する処理容器と,
    溶媒の蒸気を発生する蒸気発生器と,
    前記処理容器内に溶媒の蒸気を供給する蒸気供給回路と,
    前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と,
    前記処理容器内に収納された基板を加熱する加熱手段と
    前記処理容器内の排気を行う排気回路に設けられた流量調整弁と,
    前記溶媒の蒸気と前記処理ガスによる基板の処理中に,前記処理容器内を加圧雰囲気にするように,圧力センサからの信号に基いて前記流量調整弁の絞りを制御する制御部と,
    を備えていることを特徴とする,基板処理装置。
  2. 前記排気回路はミストトラップへ接続され,
    前記ミストトラップは,気体と液体との分離を行う気液分離部と,気体を排気させる第2の排気回路と,排液回路とを備えることを特徴とする,請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記ミストトラップは,液体を溜める排出部を備え,前記排出部の底面に前記排液回路が接続され,前記排出部は,液体が空になるのを防止するように構成されたことを特徴とする,請求項2に記載の基板処理装置。
  4. 前記蒸気供給回路に,開閉弁を介して溶媒の蒸気を前記ミストトラップへ排気する蒸気排気回路を設けたことを特徴とする,請求項2又は3に記載の基板処理装置。
  5. 前記蒸気発生器から排出された溶媒を前記ミストトラップへ導入する排液回路を設けたことを特徴とする,請求項2,3又は4に記載の基板処理装置。
  6. 前記ミストトラップの気液分離部には,冷却水を供給する冷却水供給回路と,冷却水を排液する冷却水排液回路が接続されていることを特徴とする,請求項2,3,4又は5に記載の基板処理装置。
  7. 前記溶媒が純水であり,前記処理ガスがオゾンガスであることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5又は6に記載の基板処理装置。
  8. 前記溶媒が純水であり,前記処理ガスがオゾンガスであり,前記第2の排気回路にオゾンキラーを設けたことを特徴とする,請求項2,3,4,5又は6に記載の基板処理装置。
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