JP3544341B2 - 基板処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)のフォトリソグラフィ処理においては,ウェハに対してレジストを塗布し,次いでパターンの露光を行い,その後現像を行う処理が行われる。その後,ウェハからレジストを除去する。
【0003】
かかるレジスト除去の際には洗浄装置が用いられている。従来の洗浄装置では,SPM(HSO/Hの混合液)と呼ばれる薬液が充填された洗浄槽内にウェハを浸漬させてレジストの剥離を行う。一方,今日においては,環境保全の観点から,廃液処理が容易なオゾンが溶解した溶液を用いてレジスト除去を行うことが要望されている。この場合,オゾンが溶解した溶液が充填された洗浄槽内にウェハを浸漬させる,いわゆるディップ方式の洗浄により,溶液中の酸素原子ラジカルによってレジストを酸化反応させて二酸化炭素や水等に分解する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,通常,高濃度のオゾンガスを純水にバブリングして溶解させることにより前記溶液を生成し,その後,この溶液を洗浄槽内に充填しているので,その間に,溶液中のオゾンが消滅していきオゾン濃度が低下し,レジスト除去が十分に行えない場合があった。さらにウェハを前記溶液に浸漬させた状態では,レジストと反応してオゾンが次々と消滅する一方で,レジスト表面へのオゾン供給が不十分となり,高い反応速度を得ることができなかった。
【0005】
そこで,ウェハを溶液に浸漬させるディップ方式の洗浄装置の代わりに,オゾンガスと水蒸気を用いた処理を行い,ウェハからレジストを除去する洗浄装置を提案している。
【0006】
従って,本発明の目的は,オゾンガスと水蒸気を用いた処理を行い,ウェハからレジストを除去する基板処理装置を提案する際に,基板の昇温時間の短縮や温度の均一性を可能とし,さらに基板の処理時間を短縮することができる,基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明によれば,処理容器内に収納した基板を処理する方法であって,前記処理容器をヒータで加熱すると共に,前記処理容器内に加熱されたガスを供給する工程と,加熱されたガスの供給を停止後,処理容器内で基板を一定時間放置し,温度安定化を図る工程と,前記処理容器内に溶媒の蒸気と処理ガスを供給し,基板を処理する工程とを有することを特徴とする,基板処理方法が提供される。
前記処理容器内に加熱されたガスを供給する工程においては,処理容器の内部雰囲気を第2の排気回路により排気し,前記基板を処理した後においては,有害物質除去機構が設けられた第1の排気回路により処理容器の内部雰囲気を排気しても良い。
前記温度安定化を図る工程において,前記ヒータを制御し前記処理容器の内部雰囲気を一定温度に維持しても良い。
【0008】
なお,本出願では併せて以下の発明が提供される。
基板を処理する装置であって,前記基板を収納する処理容器と,前記処理容器内に溶媒の蒸気を供給する溶媒蒸気供給手段と,前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と,前記処理容器の内部雰囲気を所定の温度に加熱する第1の加熱手段と,前記処理容器内に収納された基板を所定の温度に加熱する第2の加熱手段とを備えていることを特徴とする,基板処理装置を提供する。
この基板処理装置によれば,第1の加熱手段により例えば処理容器の壁部を熱し,処理容器の内部雰囲気を所定の温度に加熱すると共に,第2の加熱手段により処理容器内に収納された基板を所定の温度に加熱する。また,溶媒蒸気供給手段により溶媒の蒸気を供給する一方で,処理ガス供給手段により処理ガスを処理容器内に供給する。溶媒の蒸気と処理ガスを用い,所定の温度で基板を好適に処理する。ここで,一つの加熱手段により処理容器の壁部,内部雰囲気及び基板の全てを加熱して所定の温度に昇温させるのではなく,処理容器の内部雰囲気を第1の加熱手段により加熱し,内部雰囲気及び基板を第2の加熱手段により加熱するようにしたので,基板を迅速に所定の温度に昇温させることができる。
【0009】
この基板処理装置において,第2の加熱手段は,加熱されたガスを吐出するガスノズルを備えていることが好ましい。かかる構成によれば,第2の加熱手段は,例えば所定の温度以上に加熱されたガス(例えばエア,アルゴンやヘリウム等の比熱が良好なガス,Nガス等の不活性ガス)を,ガスノズルによりガスが供給されるように基板に吐出する。そうすれば,基板を集中的に加熱することができる。一つの加熱手段で加熱を行うと,基板を所定の温度に加熱するのに伴い,処理容器の壁部の温度がオーバーシュートしてしまう。処理容器の壁部は,熱容量が大きいため所定の温度に安定させるのに時間を要する。しかしながら,本発明によれば,処理容器の壁部の温度がオーバーシュートしてしまう事態を未然に防ぐことができ,温度安定化にかかる手間を大幅に省くことができる。さらに基板が所定の温度に達すれば,ガスの吐出を停止する。ガスは熱伝導率が良好なため,ガスの熱エネルギーは,籠もらずに外部雰囲気に直ちに拡散していく。このため,ガスの吐出を停止すれば,基板を必要以上に加熱することがない。加熱されたガスを利用して加熱を行うので,所定の温度に対してオーバーシュートすることなく俊敏に応答することができる。なお,第2の加熱手段は,ガスノズル以外に,例えば熱エネルギーを基板に集中的に照射するランプヒータ等を備えていても良い。
【0010】
前記ガスノズルの吐出方向を,前記処理容器の内周面に向けることが好ましい。例えばガスノズルから吐出されたガスは,処理容器の内周面に沿って天井部に流れ,その後に処理容器内の底部に向かって流下する。この流下する際に,基板全体にガスを供給することができ,基板を均一に加熱することができる。また,処理容器内にガスの対流を形成することができる。このガスの対流により,特に複数枚の基板を処理容器内に収納する場合には,各基板を漏れなく所定の温度に均一に加熱することができる。
【0011】
前記処理容器の内周面に,前記ガスノズルから吐出されたガスを拡散させるための拡散板を設けても良い。そうすれば,ガスノズルから吐出されたガスを拡散板に当てて,処理容器内の天井部に向かって拡散させることができ,処理容器内の底部に向かって流下する際に,基板全体にガスをより好適に供給することができる。
【0012】
前記処理容器の内部雰囲気を排気する排気手段を備え,前記排気手段は,前記処理容器内に供給された溶媒の蒸気と処理ガスとを排気する第1の排気回路と,前記処理容器内に供給された加熱されたガスを排気する第2の排気回路とを備えていても良い。この基板処理装置においては,例えば溶媒の蒸気には例えば水蒸気が,処理ガスには例えばオゾンガス等が適宜に用いられている。かかる構成によれば,加熱されたガスを用いて基板を昇温させている間は,処理容器の内部雰囲気を第2の排気回路により排気する。基板を迅速に昇温させるためには,例えばガス流量は,100L/min以上要する。前述したように第2の排気回路を通して処理容器の内部雰囲気を逃がしているので,このような多量のガスが処理容器内に吐出されても,処理容器内の圧力が過大に上昇することを防止することができる。その後,水蒸気とオゾンガスを用いて基板を処理する。処理後,第1の排気回路により処理容器の内部雰囲気を排気してオゾンを排出する。第1の排気回路には,例えばオゾンキラー等の有害物質除去機構が設けられており,人体に有害なオゾンを除去している。ここで,加熱されたガスには,特に人体に有害な物質等が含まれていないので,第2の排気回路に,オゾンキラー等のような排気する際に圧力損失を生じる構成要素を設ける必要はない。このようにオゾンの排出には第1の排気回路を用い,ホットエアの排気には第2の排気回路を用いることで,オゾン排出時には安全を図ることができ,基板昇温中はガスを速やかに排気することができる。さらに第1の排気回路を通して多量の加熱されたガスを排気しようとすれば,圧力損失を抑えるために,有害物質除去機構の仕様を大きくする必要があり,製造コストが高騰してしまう。しかしながら,このように第2の排気回路を用いることで,有害物質除去機構を,有害物質を除去するのに最小限の仕様で済ますことができ,製造コストを抑えることができる。なお,処理ガスには,オゾンガス以外に,例えば塩素ガス,フッ素ガス,水素ガス,予め各種反応種(ラジカル)を有している塩素ガス,フッ素ガス,水素ガス等がある。
【0013】
基板を処理する方法であって,基板の周囲雰囲気を所定の温度に加熱する工程と,基板を所定の温度に加熱する工程と,前記基板の周囲雰囲気を所定の温度に安定させる工程と,基板に溶媒の蒸気と処理ガスを供給し,基板を処理する工程とを有することを特徴とする,基板処理方法を提供する。
【0014】
この基板処理方法によれば,基板の周囲雰囲気を所定の温度に加熱すると共に,基板を所定の温度に加熱する。基板の周囲雰囲気を所定の温度に安定させる。その後,溶媒蒸気供給手段により溶媒の蒸気を供給する一方で,処理ガス供給手段により処理ガスを処理容器内に供給する。溶媒の蒸気と処理ガスを用い,所定の温度で基板を好適に処理する。ここで,基板の周囲雰囲気を所定の温度に安定させる場合,例えば加熱後にしばらくの間,加熱ガスの供給を停止したり,または基板の周囲雰囲気を攪拌する等して,基板の周囲を均一な温度雰囲気にする。そうすると,基板の面内温度分布の均一性を向上させ,好適な処理を行うことができる。さらに複数枚の基板を処理する場合,各基板を漏れなく所定の温度にすることができる。また,この基板処理方法は,基板処理装置に好適に適用される。
【0015】
基板を処理容器内で処理する方法であって,前記処理容器を加熱する工程と,前記処理容器内を加熱する工程と,前記処理容器内の加熱を停止する工程と,前記処理容器内の加熱を停止後,一定時間経過後に,前記処理容器内に溶媒の蒸気と処理ガスを供給し,基板を処理する工程とを有することを特徴とする,基板処理方法を提供する。
【0016】
この基板処理方法によれば,処理容器を加熱すると共に,処理容器内を加熱し,短時間で基板を例えば所定の温度に加熱する。基板が所定の温度になると,処理容器内の加熱を停止する一方で,引き続き処理容器を加熱し,基板が過熱されるのを防ぐと共に,処理容器内及び基板を所定の温度に維持する。そして,処理容器内が均一な温度雰囲気になるのに一定時間経過すると,処理容器内に溶媒の蒸気と処理ガスを供給し,基板を処理する。従って,この基板処理方法は,同様に基板処理装置に好適に適用される。
【0017】
この基板処理方法において,前記処理容器内を加熱する工程が,加熱されたガスを用いて行われることが好ましい。かかる方法によれば,例えば処理容器内に設けられたガスノズルにより,基板に供給するように加熱されたガスを吐出すれば,基板を集中的に加熱することができる。また,加熱されたガスを利用するので,応答性の良い加熱を行うことができる。従って,この基板処理方法は,請求項2の基板処理装置に好適に適用される。
【0018】
また処理後,処理容器内を開放して基板を搬出することになるが,ここで,前記処理容器内に溶媒の蒸気と処理ガスを供給し,基板を処理する工程の後に,前記処理容器内から処理ガスを排気することが好ましい。例えば処理ガスがオゾンガスのように,人体に有害な物質を含んでいる場合には,一旦処理容器内から処理ガスを排気して有害物質を排出する。これにより,処理容器内を開放した際に,有害物質が外部に拡散するのを未然に防ぎ,安全を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照して,例えば50枚のウェハを一括して洗浄するように構成された洗浄装置に基づいて説明する。この洗浄装置は,オゾンガスを利用してウェハWからレジストを除去するものであり,図1は,本発明の実施の形態にかかる洗浄装置1にかかる配管系統を示した説明図である。
【0020】
図1に示すように,洗浄装置1は,ウェハWを収納する処理容器2と,処理容器2内に水蒸気3を供給する溶媒蒸気供給手段としての水蒸気供給手段4と,処理容器2内にオゾンガス5を供給する処理ガス供給手段としてのオゾンガス供給手段6と,処理容器2の壁部を熱することで処理容器2の内部雰囲気を所定の温度に加熱する第1の加熱手段としてのラバーヒータ7,8,9と,加熱されたエア(ガス)を供給して処理容器2内に収納されたウェハWを所定の温度に加熱する第2の加熱手段としてのホットエア供給手段10と,処理容器2内に冷却されたエアを供給するクールエア供給手段11と,処理容器2の内部雰囲気を排気する排気手段12と,処理容器2内の液滴を排液する排液手段13とを備えている。
【0021】
図2に示すように,処理容器2は,50枚のウェハWを十分に収納可能な大きさを有する容器本体20と,容器本体20の上面開口部を開放・閉鎖する容器カバー21と,容器本体20の下面開口部を閉鎖する容器ボトム22の3つに大別される。図示の例のように,略半円球状に形成された容器カバー21が容器本体20の上面開口部を閉鎖した際には,容器本体20と容器カバー21の間の空隙は,リップ式のOリング23により密閉される。容器本体20と容器ボトム22の間の空隙は,ガスケット24により密閉される。こうして,処理容器2の内部雰囲気が外に漏れない構成となっている。また,処理容器2には,内部の様子を観察できるように,パイレックスガラスからなる窓25が設置されている。
【0022】
容器本体20の外周面には前述したラバーヒータ7が,容器カバー21の外周面には前述したラバーヒータ8が,容器ボトム22の外周面には前述したラバーヒータ9がそれぞれ取り付けられている。これらラバーヒータ7,8,9は,制御部26に接続され,制御部26からの給電により発熱する。ラバーヒータ7,8,9の発熱により,処理容器2の壁部を熱して,処理容器2の内部雰囲気(ウェハの周囲雰囲気)を所定の温度として例えば80℃に加熱し,処理中もその温度に保温する。
【0023】
図3に示すように,処理容器2に,ウェハガイド30が設けられている。ウェハガイド30は,上下方向(図5中のZ方向)に昇降自在に構成されている。ウェハガイド30は,シャフト部31と,ガイド部32と,ガイド部32に水平姿勢で固着された3本の平行な保持部材33a,33b,33cとを備えている。各保持部材33a〜cに,ウェハWの周縁下部を保持する溝34が等間隔で50箇所形成されている。従って,ウェハガイド30は,50枚のウェハWを等間隔で配列させた状態で保持する構成となっている。なお,シャフト部31は容器カバー21を貫通して処理容器2の上方に突き出ているため,この貫通部分には,エアグリップシール35が設けられており,シャフト部31と容器カバー21の間の空隙が密閉される。
【0024】
図4に示すように,水蒸気供給手段4は,純水(DIW)を供給する純水供給回路40と,純水供給回路40から供給された純水を気化して水蒸気3を発生させる水蒸気発生器41と,水蒸気発生器41内の水蒸気3を供給する水蒸気供給回路42と,水蒸気供給回路42から供給された水蒸気3を処理容器2内に吐出する水蒸気ノズル43とを備えている。
【0025】
純水供給回路40の入口側には,純水供給源(図示せず)が接続されている。純水供給回路40には,圧力計46,開閉弁47,流量コントローラ48,フィルタ49が順次介装され,純水供給回路40の出口は,水蒸気発生器41の上部に接続されている。
【0026】
水蒸気発生器41の内部には,ヒータ50が設けられている。ヒータ50は,制御部26の給電により発熱する。また,水蒸気発生器41には,温度センサ51が取り付けられている。温度センサ51は,制御部26に接続されている。従って,制御部26は,温度センサ51からの入力される温度信号に基づいて,ヒータ50を適切に加熱制御する。純水供給回路40により水蒸気発生器41内に導入された純水は,熱を帯びたヒータ50に対して滴下される。純水は気化し,水蒸気3が発生する。
【0027】
水蒸気発生器41の底部には純水排液回路52が接続されている。純水排液回路52は,後述する水蒸気排気回路56に接続され,水蒸気発生器41内で気化できなかった純水を後述するミストトラップ102に排液するようになっている。純水排液回路52に流量調整弁53が介装されており,排液量を適宜調整できるようになっている。
【0028】
水蒸気供給回路42は,水蒸気発生器41の上部に接続されている。水蒸気供給回路42に開閉弁55が介装されている。水蒸気供給回路42には,前述した水蒸気排気回路56が接続されている。水蒸気排気回路56には,温度センサ57と,開閉弁58が介装されている。水蒸気排気回路56は,水蒸気発生器41の温度と蒸気吐出が安定するまで開閉弁58を開放し,水蒸気3をミストトラップ102に排気するように構成されている。
【0029】
図5に示すように,オゾンガス供給手段6は,オゾンガス5を発生させるオゾナイザー60と,オゾナイザー60で発生したオゾンガス5を供給するオゾンガス供給回路61と,オゾンガス供給回路61から供給されたオゾンガス5を処理容器2内に吐出するオゾンガスノズル62とを備えている。オゾナイザー60は,例えばオゾン濃度が約141g/m(normal)[6.6vol%(体積百分率)]程度有するオゾンガス5を生成し,このオゾンガス5を流量,40L/min程度でオゾンガス供給回路61に流すように構成されている。また,オゾンガス供給回路61に開閉弁63が介装されている。
【0030】
図6に示すように,ホットエア供給手段10は,エアを供給するエア供給回路70と,エア供給回路70から供給されたエアを加熱してホットエア71を発生させるホットエアジェネレータ72と,ホットエアジェネレータ72内のホットエア71を供給するホットエア供給回路74と,ホットエア供給回路74から供給されたホットエア71を吐出するガスノズルとしてのエアノズル75,75とを備えている。
【0031】
エア供給回路70の入口側には,エア供給源(図示せず)が接続されている。エア供給源から例えば100L/min以上の流量で例えば常温(装置内雰囲気の温度と同じ温度)のエアが供給される。エア供給回路70には,圧力計76,開閉弁77,流量コントローラ78,フィルタ79が順次介装され,エア供給回路70の出口側は,ホットエアジェネレータ72の下部に接続されている。なお,エアの流量は,処理容器2の容量やウェハの昇温時間等を考慮して決められる。
【0032】
ホットエアジェネレータ72の内部には,ヒータ80が設けられている。ヒータ80は,制御部26の給電により発熱する。また,ホットエアジェネレータ72には,温度センサ81が取り付けられている。温度センサ81は,制御部26に接続されている。従って,制御部26は,温度センサ81から入力される温度信号に基づいて,ヒータ80を適切に加熱制御する。エア供給回路70によりホットエアジェネレータ72内に導入されたエアは,ヒータ80により加熱される。ホットエアジェネレータ72内で発生したホットエア71は,ホットエアジェネレータ72の上部に接続されたホットエア供給回路74内を通って,エアノズル75に供給される。
【0033】
図7に示すように,エアノズル75,75の吐出方向は,処理容器2の内周面に向いている。エアノズル75,75から吐出されたホットエア71は,処理容器2の内周面に沿って処理容器2内の天井部に流れる。天井部を回ったホットエア71は,ウェハW上を流下し,ウェハW全体を均一に加熱するようになっている。
【0034】
図6に示すように,クールエア供給手段11は,クールエア供給回路90を備えている。クールエア供給回路90の一端は,前記エア供給回路70における圧力計76と開閉弁77との間に接続され,他端は前記ホットエア供給回路74に接続されている。クールエア供給回路90には,開閉弁91,流量コントローラ92,フィルタ93,温度センサ94が順次介装されている。従って,エアを供給する際には,先ず前記開閉弁77を閉じさせる一方で開閉弁91を開かせる。エア供給源からのエアは,クールエア供給回路90内を通ってホットエアジェネレータ72を迂回した後に,ホットエア供給回路74に流入し,前記エアノズル75,75により吐出されて処理容器2内に供給される。さらにクールエア供給回路90には,エアを逃がして後述する排気マニホールド105に導入するエア導入回路95が接続されている。エア導入回路95には,開閉弁96が接続されている。なお,ホットエア供給手段10とクールエア供給手段11は,エア供給源やエアノズルを共有して使用したが,それぞれ個別にエア供給源やエアノズルを備えていても良い。
【0035】
図8に示すように,排気手段12は,処理容器2内に設けられた排気部100,100と,冷却部101と,ミストトラップ102と,オゾンキラー103と,処理容器2を収納して処理容器2の周囲雰囲気を排気するシンクボックス104と,処理容器2内の排気,シンクボックス104からの排気,装置全体の排気が集合する排気マニホールド105とを備えている。
【0036】
排気部100,100は,処理容器2の内部雰囲気を取り込むように構成されている。排気部100,100の外面には,微細な孔(図示せず)が複数形成されている。各排気部100には,処理容器2内に供給された水蒸気3とオゾンガス5とを排気する第1の排気回路としてのガス排気回路106が接続されている。このガス排気回路106は,冷却部101内を通過した後に,ミストトラップ102に接続されている。ガス排気回路106には,三方弁107を介して,処理容器2内に供給されたホットエア71を排気する第2の排気回路としてのホットエア排気回路108が接続されている。
【0037】
冷却部101は,前記水蒸気発生器41から排気された水蒸気3及び処理容器2内から排気された水蒸気3を冷却して凝縮するように構成されている。即ち,冷却部101内を,前述した水蒸気排気回路56,ガス排気回路106が通過している。冷却部101に,冷却水を供給する冷却水供給回路110と,冷却水を排液する冷却水排液回路111とがそれぞれ接続されている。冷却水供給回路110に流量調整弁112が,冷却水排液回路111に流量調整弁113がそれぞれ介装されている。冷却水供給回路110から冷却水を冷却部101内に供給し続ける一方で,冷却水排液回路111により排液を行い,冷却部101内を常時新鮮な冷却水で満すようにすると良い。
【0038】
ミストトラップ102は,気体と液体とを個別に排出するように構成されている。ミストトラップ102には,ガス排気回路114が接続されている。特にオゾンガス5は人体等に有害なので,ガス排気回路114には,前記オゾンキラー103が介装されている。このオゾンキラー103は,加熱によりオゾンを酸素に熱分解するように構成されている。オゾンキラー103の加熱温度は,例えば400℃以上に設定されている。このような加熱方式のオゾンキラー103は,製品寿命が長く,長期に渡ってガス排気回路114内の気体中からオゾンを除去することができる。
【0039】
ホットエア71を吐出してウェハWを加熱する場合,三方弁107をホットエア排気回路108側に切り替え,処理容器2内のホットエア71を,ホットエア排気回路108を通じて外部に排気するようになっている。ここで,ホットエア71は人体等に無害なので,ホットエア排気回路108に,有害物質除去機構等を特別に設ける必要がない。このため,ホットエア排気回路108は,単に配管のみで構成され,ホットエア71を排気する際の圧損を極力低減する構成となっている。
【0040】
また,水蒸気3とオゾンガス5を用いてウェハWを処理する場合や,処理後に処理容器2の内部雰囲気を置換する場合には,三方弁107をミストトラップ102側に切り替え,各排気部100は,処理容器2内の水蒸気3及びオゾンガス5を,ガス排気回路106を通じてミストトラップ102に排気するようになっている。この場合,冷却部101には,冷却水供給回路110により冷却水が冷却部101に供給されているので,処理容器2内より排気された水蒸気3は,冷却部101内を通っている間に冷却されて凝縮される。水蒸気3が凝縮して液化した液滴は,ミストトラップ102内に滴下される。一方,オゾンガス5は,そのままミストトラップ102内に導入される。こうして,処理容器2から排気された内部雰囲気を,オゾンガス5と液滴に好適に分離することができるようになっている。さらにミストトラップ102中の気体を,ガス排気回路114により排気し,オゾンキラー103を通過する際にオゾンを除去して気体の無害化を図るようになっている。なお,水蒸気3とオゾンガス5を用いてウェハWを処理する場合において,三方弁107や後述する開閉弁122を閉じたり,ガス排気回路106に排気流量を可変にする弁を介在させ,処理容器2内を加圧雰囲気にして処理を実施することも可能である。
【0041】
また,水蒸気発生器41から排出された水蒸気3及び純水は,水蒸気排気回路56により,ミストトラップ102に導入される。純水は,そのまま水蒸気排気回路56内を流れてミストトラップ102に滴下される。水蒸気3は,冷却部101内を通っている間に冷却されて凝縮され,液滴になってミストトラップ102に滴下される。
【0042】
シンクボックス104は,処理容器2を収納するケース115を備えている。ケース115に,排気マニホールド105に通じる排気管116が接続されている。従って,シンクボックス104は,処理容器2の周囲から排気をとることで,オゾンガス5が装置外部に漏れるのを防止するようになっている。
【0043】
排気マニホールド105は,装置全体の排気を集合して行うように構成されている。即ち,排気マニホールド105には,前記ガス排気回路114,前記エア導入回路95,前記排気管116が接続されている。また,洗浄装置1背面の雰囲気をマニホールド内に取り込むための配管(図示せず)が複数設置され,洗浄装置1からオゾンガス5が周囲に拡散するのを防止している。さらに排気マニホールド105は,工場内の酸専用の排気系(ACID EXTHAUST)に通じており,酸専用の排気系に流す前の各種排気の合流場所として機能する。このように,オゾンガス5の拡散を防止して排気管理を厳格に行っている。
【0044】
排気マニホールド105には,オゾン濃度を検出するための濃度センサ117が取り付けられている。濃度センサ117の検出されるオゾン濃度により,オゾンキラー103のオゾン除去能力を把握し,例えばオゾンキラー103の故障による高濃度のオゾンガス5の排気を監視するようになっている。
【0045】
排液手段13は,前記処理容器2の底部に接続された第1の排液回路120と,ミストトラップ102の底部に接続された第2の排液回路121とを備えている。第1の排液回路120に,前述した開閉弁122が介装されている。第1の排液回路120は,ガス排気回路106に接続されており,処理容器2内の液滴をガス排気回路106に流す。また第2の排液回路121に,開閉弁123が介装されている。液体中にオゾンが残存することもあるので,第2の排液回路121は,工場内の酸専用の排液系(ACID DRAIN)に通じている。さらに排液手段13は, ミストトラップ102に下から順次設置された空防止センサ130,排液開始センサ131,液オーバーセンサ132を備えている。開閉弁123,空防止センサ130,排液開始センサ131,液オーバーセンサ132は,前記制御部26に接続されている。
【0046】
この場合,処理容器2内の液滴,水蒸気発生器41から排液された純水,水蒸気3が液化した液滴がミストトラップ102内に導入される。液滴が,ミストトラップ102内にある程度溜められ,液面が排液開始センサ131に達すると,排液開始センサ131から到達信号が制御部26に入力される。制御部26は,開閉弁123を開放させて排液を開始するように構成されている。また,液面の高さが,液オーバーセンサ132までオーバーすると,液オーバーセンサ132から警告信号が制御部26に入力される。一方,液面が空防止センサ130を下回っている場合には,空防止センサ130から禁止信号が制御部26に入力され,制御部26は,開閉弁123を閉じるように構成されている。空防止センサ130は,液滴が全て流れてミストトラップ102内が空になり,オゾンガス5が工場内の酸専用の排液系に漏出する事態を防止するようになっている。
【0047】
次に,以上のように構成された洗浄装置1で行われる本発明の実施の形態にかかる洗浄方法について, 図9,10に示す第1,第2の工程説明図,図11に示すフローチャート及び図12に示すグラフに基づいて説明する。なお,所定の温度は,例えば80℃〜120℃の範囲内に設定されているものとし,本実施形態では,所定の温度が80℃に設定されている場合を例にとって説明する。
【0048】
先ず図9に示すように,例えばレジスト膜130が形成されたウェハW50枚を,図示しない搬送機によりウェハガイド30に受け渡し,処理容器2内に収納し,容器カバー21を閉じる。次いで,制御部26の給電により,ラバーヒータ7,8,9が発熱し,処理容器2の壁部を熱し,処理容器2の内部雰囲気を80℃に加熱すると共に,一方,エアノズル75,75から例えば200℃〜300℃に加熱されたエアを例えば100L(リットル)/minの流量で吐出し,ウェハWを80℃に加熱する(図11中のS1,図12中の時刻T1〜T2)。なお,ラバーヒータ7〜9は,ウェハ収納以前から壁部を熱していることが望ましい。
【0049】
この場合,図7に示したように,各エアノズル75から吐出されたホットエア71は,処理容器2の内周面に沿って天井部に流れ,その後に処理容器2内の底部に向かって流下する。この流下する際に,ウェハW全体にホットエア71を供給することができ,均一かつ迅速にウェハWを加熱することができる。また,処理容器2内にホットエア71の対流を形成することができる。このホットエア71の対流により,50枚のウェハWをそれぞれ漏れなく80℃に均一に加熱することができる。
【0050】
また,ホットエア71を用いてウェハWを集中的に加熱することができるので,ウェハWの昇温時間を例えば2分(min)に短縮することができる。ラバーヒータ7〜9のみで加熱を行うと,ウェハWを所定の温度に急激に加熱するのに伴い,処理容器2の壁部の温度がオーバーシュートしてしまう。処理容器2の壁部は,熱容量が大きいため所定の温度に安定させるのに時間を要する。しかしながら,本発明によれば,処理容器2の壁部の温度がオーバーシュートしてしまう事態を未然に防ぐことができ,温度安定化にかかる手間を大幅に低減することができる。
【0051】
さらにウェハ昇温中は,三方弁107をホットエア排気回路108側に切り替え,処理容器2の内部雰囲気をホットエア排気回路108により排気している。前述したようにウェハWを迅速に昇温させるためには,エア流量は,100L/min程度要する。ホットエア排気回路108を通して処理容器2の内部雰囲気を逃がしているので,このような多量のホットエア71が処理容器2内に吐出されても,処理容器2内の圧力が過大に上昇することを防止することができる。その結果,例えば処理容器2に設置された窓25が割れる等の危険な事故を未然に防ぐことができる。
【0052】
次いで,ウェハWが80℃に昇温すると,ホットエア71の吐出を停止し,例えば1分間ウェハWを放置して温度安定化を図る(図11中のS2,図12中の時刻T2〜T3)。ホットエア吐出停止後も,制御部26は,ラバーヒータ7,8,9を適切に加熱制御し,処理容器2の内部雰囲気を80℃に維持する。この間に,処理容器2の内部(ウェハWの周囲)を均一な温度雰囲気にし,ウェハWの面内温度分布の均一性を向上させる。また,ホットエア71は,ホットエア排気回路108により排気される。エアは熱伝導率が良好なため,ホットエア71の熱エネルギーは,籠もらずに外部に直ちに拡散していく。このため,ホットエア71の吐出を停止さえすれば,ウェハWを必要以上に加熱することがない。ホットエア71を利用して加熱を行うので,所定の温度に対してオーバーシュートすることなく俊敏に応答することができる。
【0053】
次いで,処理容器2内に水蒸気3とオゾンガス5を供給し,オゾンを利用した処理を5分間行う(図11中のS3,図12中の時刻T3〜T4)。図10に示すように,ウェハWの表面に,水分子131とオゾン分子132とが混合した混合層を形成する。この混合層中で水分子131とオゾン分子132同士が反応し,ウェハWの表面に例えば酸素原子ラジカル(O・ Oxygen radical)や水酸基ラジカル(OH・ Hydroxy radical)等の反応物質が多量に発生する。ウェハWの表面で発生した水酸基ラジカルは,消滅することなく,直ちに酸化反応を起こし,レジストをカルボン酸,二酸化炭素や水等に分解する。図10に示すように,レジスト膜130を十分に酸化分解して水溶性の膜130aに変質させる。この水溶性の膜130aは,その後の純水によるリンス洗浄で容易に除去することができる。なお,処理中に,三方弁107をガス排気回路106側に切り替えて排気を行いながら,オゾンを利用した処理を行っても良い。
【0054】
次いで,水蒸気3及びオゾンガス5の供給を停止し,オゾン排出を2分間行う(図11中のS4,図12中の時刻T4以降)。三方弁107をガス排気回路106側に切り替え,エアノズル75から常温のエアを吐出させてパージを行い,処理容器2内から水蒸気3及びオゾンガス5を押し出して排気する。処理容器2の内部雰囲気を冷却部101で冷却し,水蒸気3が液化した純水をミストトラップ102に滴下する。また,オゾンガス5をミストトラップ102,ガス排気回路114に通して排気し,オゾンを排出する。ガス排気回路114には,例えばオゾンキラー等の有害物質除去機構が設けられており,人体に有害なオゾンを除去している。こうして,全処理時間(ウェハ昇温からオゾン排出までに要する時間)に,合計で10分間かかる。また,この場合,開閉弁122を開き,処理容器2内に貯まった水分を第1の排液回路120に排液する。なお,水蒸気3及びオゾンガス5を排気する際には,パージを行わずに,減圧雰囲気の状態で処理容器2内から排気を行うようにしても良い。
【0055】
その後,容器カバー21を開放してウェハWを搬出する(処理終了)。その後,ウェハWを,ウェハ搬送機によりリンス洗浄装置に搬送し,純水によるリンス洗浄を施す。前述したようにレジスト膜130を水溶性に変質させているので,リンス洗浄装置では,ウェハWからレジストを容易に除去することができる。最後に,ウェハWを,ウェハ搬送機によりリンス洗浄装置から乾燥装置に搬送して乾燥処理する。
【0056】
このように,処理容器2を加熱すると共に,処理容器2内を加熱し,短時間でウェハWを80℃に加熱する。ウェハWが80℃になると,処理容器2内の加熱を停止する一方で,引き続き処理容器2を加熱し,ウェハWが過熱されるのを防ぐと共に,処理容器2内及びウェハWを80℃に維持する。そして,処理容器2内が均一な温度雰囲気になるのに一定時間経過すると,処理容器2内に水蒸気3とオゾンガス5を供給し,オゾンを利用した処理を行う。
【0057】
かかる洗浄装置1によれば,一つの加熱手段により処理容器2の壁部,内部雰囲気及びウェハWの全てを加熱して80℃に昇温させるのではなく,処理容器2の壁部,内部雰囲気をラバーヒータ7,8,9により加熱し,内部雰囲気及びウェハWをホットエア供給手段10により加熱するようにしたので,ウェハWを迅速に80℃に昇温させることができる。従って,スループットを低下することなく,処理時間を十分に確保することができるようになり,歩留まりや生産性の向上を図ることが可能となる。
【0058】
また,ホットエア71には,特に人体に有害な物質等が含まれていないので,ホットエア排気回路108に,オゾンキラー103のような排気する際に圧力損失を生じる構成要素を設ける必要はない。オゾンの排出にはガス排気回路106,オゾンキラー103が介装されたガス排気回路114を用い,ホットエア71の排気にホットエア排気回路108を用いることで,オゾン排出時には安全を図ることができ,ウェハ昇温中はホットエア71を速やかに排気することができる。さらにガス排気回路114を通して多量のホットエア71を排気しようとすれば,圧力損失を抑えるために,オゾンキラー103の仕様を大きくする必要があり,製造コストが高騰してしまう。しかしながら,このようにホットエア排気回路108を用いることで,オゾンキラー103を,オゾンを除去するのに最小限の仕様で済ますことができ,製造コストを抑えることができる。
【0059】
エアノズル75の吐出方向を処理容器2の内周面に向け,ホットエア71をウェハW上に流下させると共に,処理容器2の内部雰囲気に80℃に安定させる時間を設けたので,処理容器2の内部を均一な温度雰囲気にし,50枚のウェハWを収納しても,各ウェハWの面内温度分布の均一性を向上させてオゾンを利用した処理を好適に行うことができる。
【0060】
なお,本発明の実施の形態の一例ついて説明したが,本発明はこの例に限らず種々の態様を取りうるものである。例えば処理容器2の内部雰囲気を均す際に,処理容器2内にエアを少量供給して内部雰囲気を攪拌するようにしても良い。この攪拌により,処理容器2内をより均一な温度雰囲気にすることができる。処理容器2の内部雰囲気を攪拌する他の手段として,羽根車等の攪拌機がある。処理容器2内に攪拌機を設け,処理容器2の内部雰囲気を安定させる際に,この攪拌機を動作させることで,均一な温度雰囲気を実現する。
【0061】
また,図13に示すように,処理容器2の内周面に,ホットエア71を拡散させるための拡散板としてのフィン140を設けても良い。そうすれば,エアノズル75から吐出されたホットエア71をフィン140に当てて,処理容器2内の天井部に向かって拡散させることができ,処理容器2内の底部に向かって流下する際に,ウェハW全体にホットエア71をより好適に供給することができる。
【0062】
また,オゾンガス5を利用してレジスト膜130を除去した場合について説明したが,他の処理ガスを利用してウェハW上に付着した様々な付着物を除去するようにしても良い。例えば,塩素(Cl)ガスと水蒸気を供給し,ウェハW上から金属付着物,パーティクルを除去することが可能である。また,水素(H)ガスと水蒸気を供給し,ウェハW上から金属付着物,パーティクルを除去することも可能である。また,フッ素(F)ガスと水蒸気を供給し,ウェハW上から自然酸化膜,パーティクルを除去することが可能である。また,この場合には,それぞれの状況に対応して,ガス排気回路114に各種の有害物質除去機構を設けると良い。また,酸素原子ラジカルを有するオゾンガス,塩素原子ラジカルを有する塩素ガス,水素原子ラジカルを有する水素ガス,フッ素原子ラジカルを有するフッ素ガスを供給して各種処理を行うようにしても良い。
【0063】
本発明は,複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の処理だけでなく,一枚ずつ基板を処理する枚葉式の処理の場合にも適用することができる。また,ホットエア71の代わりに,アルゴンやヘリウム等の比熱が良好なガス,Nガス等の不活性ガスを用いても良い。また,ホットエア供給手段10の代わりに,例えばランプヒータ等を設置し,熱エネルギーをウェハWに集中的に照射することにより,ウェハWの昇温時間の短縮を図るようにしても良い。また,基板が,上記ウェハWに限定されずにLCD基板,CD基板,プリント基板,セラミック基板等であってもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば,基板の昇温時間を短縮することができる。従って,スループットを低下することなく,処理時間を十分に確保することができるようになり,歩留まりや生産性の向上を図ることが可能となる。
【0065】
基板を集中的に加熱することができ,温度安定化の手間を大幅に省くことができる。さらに所定の温度に対して俊敏に応答した加熱を行うことができる。
【0066】
基板を均一に加熱することができる。さらに複数枚の基板を処理容器内に収納する場合には,各基板を漏れなく所定の温度に均一に加熱することができる。
【0067】
基板昇温時に,処理容器内の圧力が過大に上昇することを防止することができる。さらにオゾン排出時には安全を図ることができ,基板昇温中はガスを速やかに排気することができる。
【0068】
基板の昇温時間を短縮することができる。基板の面内温度分布の均一性を向上させ,好適な処理を行うことができる。さらに複数枚の基板を処理する場合には,各基板を漏れなく所定の温度にすることができる。
【0069】
基板を集中的に加熱することができ,応答性の良い加熱を行うことができる。また,安全を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる洗浄装置の配管系統図である。
【図2】処理容器を拡大して示した断面説明図である。
【図3】ウェハガイドの斜視図である。
【図4】水蒸気発生手段の配管系統図である。
【図5】オゾンガス供給手段の配管系統図である。
【図6】ホットエア供給手段及びクールエア供給手段の配管系統図である。
【図7】ホットエアがウェハ上を流下する際の様子を示す説明図である。
【図8】排気手段及び排液手段の配管系統図である。
【図9】図1の洗浄装置で行われる処理を説明する第1の工程説明図である。
【図10】図1の洗浄装置で行われる処理を説明する第2の工程説明図である。
【図11】図1の洗浄装置で行われる処理を説明するフローチャートである。
【図12】図1の洗浄装置で行われる処理を説明するグラフである。
【図13】フィンを処理容器の内周面に設けた場合における,ホットエアがウェハ上を流下する際の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 洗浄装置
2 処理容器
3 水蒸気
4 水蒸気供給手段
5 オゾンガス
6 オゾンガス供給手段
7,8,9 ラバーヒータ
10 ホットエア供給手段
12 排気手段
71 ホットエア
75 エアノズル
106,114 ガス排気回路
108 ホットエア排気回路
W ウェハ

Claims (3)

  1. 処理容器内に収納した基板を処理する方法であって,
    前記処理容器をヒータで加熱すると共に,前記処理容器内に加熱されたガスを供給する工程と,
    加熱されたガスの供給を停止後,処理容器内で基板を一定時間放置し,温度安定化を図る工程と,
    前記処理容器内に溶媒の蒸気と処理ガスを供給し,基板を処理する工程とを有することを特徴とする,基板処理方法。
  2. 前記処理容器内に加熱されたガスを供給する工程においては,処理容器の内部雰囲気を第2の排気回路により排気し,前記基板を処理した後においては,有害物質除去機構が設けられた第1の排気回路により処理容器の内部雰囲気を排気することを特徴とする,請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 前記温度安定化を図る工程において,前記ヒータを制御し前記処理容器の内部雰囲気を一定温度に維持することを特徴とする,請求項1又は2に記載の基板処理方法。
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