JP2008100128A - 成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

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【課題】配管の内壁や噴射ノズルの内壁等に付着した凝集体が再飛散することによる圧粉体の形成や膜厚のむらを防止する。
【解決手段】この成膜方法は、エアロゾル生成部において原料粉をガス中に分散させることによりエアロゾルを生成する工程(a)と、エアロゾル生成部から搬送管に供給されるエアロゾルを、成膜室に配置されたノズルに搬送する工程(b)と、成膜室において、ノズルと基板との相対位置を変化させながら、ノズルから基板に向けてエアロゾルを噴射することにより基板上に原料粉を堆積させて膜を形成する工程(c)と、ノズルと基板との相対位置に応じて、エアロゾル生成部と搬送管とノズルとの内の少なくとも1つを間欠的に振動させる工程(d)とを具備する。
【選択図】図6

Description

本発明は、原料の粉体を分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付けることによって基板上に原料を堆積させる成膜方法及び成膜装置に関する。
近年、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)の分野においては、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電圧を印加することにより所定の機能を発現する電子セラミック等の機能性材料を含む素子を、成膜技術を用いて製造する研究が盛んに進められている。
一般に、基板の表面に脆性材料の膜を形成する方法として、エアロゾルデポジション法(以下、「AD法」ともいう)が知られている。AD法とは、原料の微小な粉体をガスに分散させることにより生成されたエアロゾルを基板に向けて噴射することによって、原料を基板上に堆積させる成膜方法である。ここで、エアロゾルとは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいう。なお、AD法は、噴射堆積法又はガスデポジション法とも呼ばれている。
AD法は、焼結プロセスが不要なので常温において電子セラミック等の機能性膜を形成できることや、基板に衝突し粉砕した原料の結晶粒子により非常に緻密な膜を実現できることといった特徴を有しているので、電子セラミック等の機能性膜の性能を向上できる可能性がある。
AD法を用いる成膜装置は、原料の微粒子をガスに分散させることによりエアロゾルを発生するエアロゾル発生器と、エアロゾルを基板に向けて噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルと基板とを格納する真空チャンバとによって構成される。従来、このような成膜装置によって成膜を行う場合に、エアロゾルに含まれている微粒子の凝集体が、エアロゾル発生器と噴射ノズルとを接続する搬送管の内壁や噴射ノズルの内壁等に付着するという問題があった。そのような凝集体は、配管や噴射ノズルを詰まらせる原因となるばかりでなく、凝集体が基板に衝突すると、膜厚のむらが発生する原因となる。また、そのような凝集体を配管や噴射ノズルから取り除く作業は、オペレータにとって負担が大きい。そこで、この問題を解決するために、様々な技術が開発されている。
関連する技術として、下記の特許文献1には、製膜室の内壁と、エアロゾル発生器の内壁と、配管の内面との内の少なくとも1つにフッ素樹脂又は導電性フッ素樹脂のコーティングを施して、ノック振動子による振動を与えることを特徴とする複合構造物作製装置が開示されている。この複合構造物作製装置によれば、構造物形成に寄与しなかった微粒子が製膜室の内壁等に付着し難く、かつ、除去され易くなるので、装置のメンテナンスを容易にすることができると記載されている。
しかしながら、成膜中に製膜室の内壁等にノック振動子による振動を与える場合には、配管の内面等に付着していた微粒子の凝集体が機能性膜に大量に吹き付けられ、その部分が圧粉体になったり、膜圧のむらが生じる原因となることが考えられる。また、ノック振動子により常に振動が配管に加えられていると、配管に加えられた振動がノズルに伝わり、ノズルがぶれてしまうおそれがある。そのようなノズルのぶれは、エアロゾルビームのぶれとなり、機能性膜のサイズが変動する原因となってしまう。
また、下記の特許文献2及び特許文献3には、ノズル又はエアロゾル搬送管を加熱する手段を配設した複合構造物作製方法及び複合構造物作製装置が開示されている。この複合構造物作製方法及び複合構造物作製装置によれば、ノズル内壁又はエアロゾル搬送管内壁を加熱することにより、ノズル内壁又はエアロゾル搬送管内壁への微粒子や凝集粒の付着を大幅に低減させることができ、付着した凝集粒の再飛散によって生じる構造物の欠陥も低減させることができると記載されている。しかしながら、ノズル内壁又はエアロゾル搬送管内壁を加熱するだけでは、微粒子や凝集粒の付着を完全に防止することはできない。
さらに、下記の特許文献4には、噴射ノズルを交差方向(走査方向と交差する方向)にずらしながら複数回走査させると共に、隣り合う堆積層が一部重なり合うようにして圧電膜を形成する際に、噴射ノズルの交差方向への移動距離を堆積層の膜厚分布に基づいて決定する圧電膜形成方法が開示されている。この圧電膜形成方法によれば、粒子の付着量が少ない領域同士が重なり合うように堆積層の重なり率が調整され、圧電膜全体として厚さを均一化することができると記載されている。しかしながら、配管の内壁や噴射ノズルの内壁等に付着した凝集体が再飛散することによって圧粉体が形成されたり膜厚のむらが発生する問題については、特に記載されていない。
特開2005−89826号公報(第4、6頁、図5) 特開2003−183847号公報(第1頁、図2) 特開2003−211030号公報(第1頁、図4) 特開2006−32485号公報(第1頁、図5)
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、エアロゾルデポジション法による成膜において、配管の内壁や噴射ノズルの内壁等に付着した凝集体が再飛散することによる圧粉体の形成や膜厚のむらを防止することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る成膜方法は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成する方法において、エアロゾル生成部において原料粉をガス中に分散させることによりエアロゾルを生成する工程(a)と、エアロゾル生成部から搬送管に供給されるエアロゾルを、成膜室に配置されたノズルに搬送する工程(b)と、成膜室において、ノズルと基板との相対位置を変化させながら、ノズルから基板に向けてエアロゾルを噴射することにより基板上に原料粉を堆積させて膜を形成する工程(c)と、ノズルと基板との相対位置に応じて、エアロゾル生成部と搬送管とノズルとの内の少なくとも1つを間欠的に振動させる工程(d)とを具備する。
また、本発明の1つの観点に係る成膜装置は、原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成する装置において、原料粉をガス中に分散させることによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成部と、基板が配置される成膜室と、エアロゾル生成部から供給されるエアロゾルを、成膜室に配置されたノズルに搬送する搬送管と、成膜室に配置され、搬送管を介して搬送されたエアロゾルを基板に向けて噴射するノズルと、ノズルと基板との相対的位置を変化させるために、ノズル又は基板の位置を移動させる移動手段と、エアロゾル生成部と搬送管とノズルとの内の少なくとも1つを振動させる加振手段と、ノズルと基板との相対位置に応じて、加振手段を間欠的に動作させる制御手段とを具備する。
本発明によれば、ノズルと基板との相対位置に応じて、エアロゾル生成部と搬送管とノズルとの内の少なくとも1つを間欠的に振動させることにより、配管の内壁や噴射ノズルの内壁等に付着した凝集体が再飛散することによる圧粉体の形成や膜厚のむらを防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、この成膜装置は、エアロゾルの生成が行われるエアロゾル生成部1〜4と、成膜部6〜9と、両者を接続しているエアロゾル搬送管5と、各部の動作を制御する制御部10とを含んでいる。
エアロゾル生成部は、エアロゾル生成室1と、振動台2と、巻上げガスノズル3と、圧力調整ガスノズル4とを含んでいる。エアロゾル生成室1は、原料の粉体(原料粉)11が配置される容器であり、ここで、エアロゾルの生成が行われる。また、エアロゾル生成室1は、原料粉11を攪拌することにより効率的にエアロゾルを生成するために、所定の周波数で振動する振動台2の上に設置されている。
巻上げガスノズル3は、外部のガスボンベから供給されるキャリアガスをエアロゾル生成室1内に導入することにより、サイクロン流を生成する。それにより、エアロゾル生成室1内に配置された原料粉11が巻き上げられて分散し、エアロゾルが生成される。
圧力調整ガスノズル4は、外部のガスボンベから供給されるキャリアガスをエアロゾル生成室1内に導入することにより、エアロゾル生成室1内のガス圧を調整する。それによりエアロゾル生成室1内の圧力と成膜室6内の圧力との差が調整される。
巻上げガスノズル3及び圧力調整ガスノズル4によって導入されるガスの流量は、流量調整部3a及び4aによって調節される。また、巻上げガスノズル3及び圧力調整ガスノズル4によって供給されるキャリアガスとしては、ヘリウム(He)、酸素(O)、窒素(N)、アルゴン(Ar)、若しくは、それらの混合ガス、又は、乾燥空気等が用いられる。なお、図1に示すエアロゾル生成部において、粉体供給装置として一般に知られているパウダーフィーダが用いられても良い。
エアロゾル搬送管5は、エアロゾル生成部から成膜部に向けてエアロゾルを搬送する経路である。成膜室6において、エアロゾル搬送管5は、エアロゾルを噴射するノズル7に接続されている。
成膜部は、成膜室6と、噴射ノズル7と、基板ステージ8と、排気管9とを含んでいる。成膜室6の内部は、排気管9に接続されている排気ポンプによって排気されており、それによって所定の真空度に保たれている。噴射ノズル7は、所定の形状及び大きさの開口を有しており、エアロゾル生成室1からエアロゾル搬送管5を介して供給される原料粉のエアロゾルを、基板12に向けて噴射する。なお、噴射ノズル7から噴射されるエアロゾルの速度は、エアロゾル生成室1と成膜室6との間の圧力差によって決定される。
基板12が固定されている基板ステージ8は、噴射ノズル7と基板12との相対位置及び相対速度を制御するための3次元的に移動可能なステージである。この相対速度を調節することにより、1往復あたりに形成される膜の厚さが制御される。また、基板ステージ8には、基板12を所定の温度に保つための加熱ヒータが搭載されていても良い。なお、本実施形態においては、基板ステージ8側を移動させることにより、ノズル7と基板ステージ8との相対位置を変化させているが、基板の位置を固定してノズル7側を移動させるようにしても良い。
ここで、図1に示す成膜装置の基本的な動作について説明する。
一般に、AD法においては、原料粉として、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やAl(アルミナ)等のセラミック粉が用いられる。本実施形態においては、原料粉11としてPZTを用いている。図1に示すように、原料粉11をエアロゾル生成室1に配置すると共に、基板12を基板ステージ8上に配置する。
成膜装置を起動すると、エアロゾル生成室1において生成されたエアロゾルが、エアロゾル搬送管5を通って成膜室6に導入され、ノズル7から噴射されて基板12に吹き付けられる。このエアロゾル中の原料粉11が、基板12に衝突してメカノケミカル反応を起こすことによって、基板12上に堆積する。その際に、制御部10の制御の下で、基板ステージ8を所定の速度で移動させることにより、ノズル7によって基板12が走査され、ノズル7と基板12との相対速度に応じたレートで、原料粉11と同じ組成を有する膜13が形成される。
本実施形態においては、キャリアガスとして酸素ガスが用いられ、また、ガスの流量は、流量調整部3a及び4aによって毎分6リットルに調整される。また、基板12としては、シリコン基板上に、スパッタリング法によって50nmのTiO(酸化チタン)と500nmのPt(白金)とを成膜することにより電極を形成したものが用いられる。そのような基板12上に、既に説明した成膜装置によって、PZTの膜が形成される。
図2は、AD法による成膜における一般的な膜厚の変化を模式的に示す図である。図2の(a)に示すように、5mmの幅を有するノズル7を用いて基板を走査すると、約5mmの幅を有する膜13が形成される。本実施形態においては、ノズル7の走査速度を0.5mm/秒とし、1回の走査距離を50mmとして、10往復、即ち、20回の走査を行う。1回の走査によって0.5μm程度の厚さで成膜されるので、20回の走査が終了すると、8〜12μmの厚さを有する圧電材料の膜が形成されることになる。
AD法において用いられる成膜装置は、その構造上、エアロゾル搬送管5やノズル7(図1参照)の内壁にエアロゾル中の原料粉が付着することがあり、成膜中に、そのような原料粉が凝集して生じた凝集体が基板12に向けて噴射されると、凝集体が基板12上に堆積し、図2の(b)に示すように、膜厚のむらが発生してしまう。
一方、本実施形態においては、図1に示すエアロゾル生成部とエアロゾル搬送管5とノズル7との内の少なくとも1つを所定のタイミングで振動させることにより(このような動作を「ノッキング」ともいう)、エアロゾル搬送管5やノズル7の内壁に付着した原料粉の凝集体を強制的にノズル7の外に排出する。例えば、エアロゾル搬送管5のノッキングポイント(1)又は(2)や、ノズル7のノッキングポイント(3)に衝撃を加えるようにしても良い。さらに、ノッキングを間欠的又は周期的に行うことによって、凝集体の成長を防ぎ、エアロゾル搬送管5やノズル7の詰まりを防ぐことができる。具体的な実施例としては、オペレータが、500gのハンマを用いて10mHzの周期でノッキングポイント(2)を叩くことによって、ノッキングポイント(2)に周期的に衝撃が加えられる。
図3は、図1に示す成膜装置を用いた成膜における膜厚の変化を模式的に示す図である。基板12上には、所定の成膜パターンを形成するために、金属材料又はレジスト等の有機材料を用いてマスクパターン14が形成されている。マスクパターン14が形成されているマスク領域においては、ノズル7から噴射される原料粉がマスクパターン14によって遮られるので、基板12上には圧電体膜が形成されない。図3の(a)に示すように、ノズル7がマスクパターン14に対向して位置するときにノッキングが行われて、ノズル7から原料粉の凝集体が排出される。従って、図3の(b)に示すような膜厚を有する圧電体膜が形成され、複数のマスクパターン間の成膜領域においては膜厚のむらが発生しない。
図4は、成膜中においてノッキングを行わない場合と周期的にノッキングを行う場合とにおける膜厚の変化を示す図である。図4において、横軸はノズルの走査距離を表し、縦軸は形成された膜の膜厚を表している。但し、走査距離としては、図3に示す走査距離50mmの内の5mm程度が示されている。なお、膜厚の測定は、Veeco社製の触針式表面形状測定器デックタック(Dektak)6M(登録商標)を用いて行われた。
図4において、図2の(a)に示すようにノッキングを行わずに形成された2つのロットの圧電体膜の膜厚変化を測定した結果が、サンプルA及びBである。サンプルA及びBの測定結果から分るように、ノッキングを行わない場合には、成膜領域において原料粉の凝集体が基板上に局所的に堆積するので、膜厚変化の最大値が15μmを超えて、膜厚のむらが発生してしまう。また、サンプルAとサンプルBとを比較すると、ロット間のばらつきも大きくなっている。
一方、図3の(a)に示すように周期的にノッキングを行いながら形成された2つのロットの圧電体膜の膜厚変化を測定した結果が、サンプルC及びDである。サンプルC及びDの測定結果から分るように、周期的にノッキングを行う場合には、マスク領域においてノズルから原料粉の凝集体が排出されるので、膜厚変化も3μm近傍で一定しており、膜厚のむらが発生しない。
このように、成膜中に周期的にノッキングを行うことにより、基板上に形成される圧電体膜の膜厚のむらを防ぐことができる。また、図3の(a)に示すマスクパターン14を利用してノッキングを行う際のノズル7の位置については、ノッキングを行ってから凝集体がノズル7から排出されるまでの時間を考慮して決定される。例えば、本実施形態においては、その時間は1秒未満であり、また、ノズル7の走査速度が0.5mm/秒であるので、マスクパターン14の端部から0.5mmの余裕を考慮した範囲内でノッキングが行われる。
図5は、成膜中において周期的にノッキングを行う場合と常にノッキングを行う場合とにおける膜厚を示す図である。図5においては、走査距離が2mmに達すると成膜を開始し、走査距離が8mmに達すると成膜を終了している。サンプルEは、図3の(a)に示すように、ノズル7がマスクパターン14に対向して位置するときにノッキングを行う場合の膜厚の測定結果であるが、走査方向における膜の長さ6mmが明確に表われている。また、膜厚も5.5μm近傍で一定していて、膜厚のむらが発生していない。
一方、サンプルFは、常にノッキングを行う場合の膜厚の測定結果であるが、ノッキングの振動がノズル7に伝わることにより、走査方向における膜の長さが7mmに広がってしまう。また、常にノッキングによりエアロゾル搬送管5又はノズル7に振動が加えられると、エアロゾル搬送管5又はノズル7の内壁に付着した原料粉が、凝集体に成長する初期の段階における凝集粒子として、ノズル7の外に排出されることになる。従って、全くノッキングを行わない場合と比べると、膜厚の均一化にある程度の効果はあるが、成膜を行っている間においても凝集粒子がノズル7の外に排出されるので、サンプルFは、サンプルEと比較すると、膜の表面が粗くなってしまう。以上のことから、ノズル7が成膜パターン以外の領域に対向して位置するときにノッキングを行うことが望ましい。
本実施形態においては、図3の(a)に示すように、ノズル7がマスクパターン14に対向して位置するときにノッキングが行われているが、ノズル7がマスクパターン14に対向して位置しなくても、凝集体が付着しても特に問題とならない領域に対向して位置するときに、ノッキングを行うようにすれば良い。例えば、マスクパターン14が形成されていない基板であっても、基板上に形成される膜が機能を果たさない領域や、基板上に形成される膜に使用されない端部領域が存在する場合がある。基板上に形成される膜が機能を果たさない領域とは、例えば、基板上に形成される膜の圧電定数d31が所望の圧電定数d31の1/10以下であるような領域や、膜の緻密度が所望の緻密度の85%以下であるような領域をいう。そこで、そのような領域に対向してノズル7が位置するときに、ノッキングを行うようにしても良い。あるいは、基板12の位置をノズル7の噴射方向からずらしている間に、ノッキングを行うようにしても良い。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。図1に示す第1の実施形態においては、オペレータがハンマを用いてノッキングポイントを叩くことによってノッキングを行っていたが、図6に示す第2の実施形態においては、ノッキング装置15を用いることにより、ノッキングが自動化されている。ノッキング装置15以外の構成は、図1に示す第1の実施形態におけるのと同じである。
ノッキング装置15は、ノッキング部15aを振動させることにより、図1に示すエアロゾル搬送管5の所定の位置を叩くことによってノッキングを行う。従って、オペレータによるノッキングと異なり、正確なタイミングでノッキングを行うことができる。図6においては、ノッキング部15aが、エアロゾル搬送管5を囲むリング状の形状を有しているが、ノッキング部15aは、棒やハンマ等の形状を有していても良い。
制御部10は、基板ステージ8とノッキング装置15とを制御する。従って、基板ステージ8の移動とノッキング装置15によるノッキング動作とを連動させることができる。例えば、制御部10は、図3の(a)に示すマスクパターン14がノズル7に対向して位置するときにノッキングを行うように、基板ステージ8とノッキング装置15とを制御することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。図7に示す第3の実施形態においては、ノズル7から基板12に噴射されるエアロゾルを遮蔽するために遮蔽機構16が設けられている。遮蔽機構16以外の構成は、図6に示す第2の実施形態におけるのと同じである。
遮蔽機構16は、制御部10の制御の下で、遮蔽板16aを、ノズル7の噴射方向の正面位置と正面からずらした位置との間で移動させることができる。ノッキングを行う場合には、図7に示すように、遮蔽機構16が遮蔽板16aをノズル7の噴射方向の正面位置に移動させることにより、遮蔽板16aをノズル7と基板12との間に挿入して、ノズル7から基板12に噴射されるエアロゾルを遮蔽する。一方、ノッキングを行わない場合には、遮蔽機構16が遮蔽板16aを矢印の方向に移動させ、ノズル7から噴射されるエアロゾルが基板12に吹き付けられるようにする。
このように、遮蔽機構16を設けることによって、基板12上にマスクパターン14が形成されていない場合や、基板12に余分な領域が存在しない場合であっても、ノッキングを行うことができる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。図8に示す第4の実施形態においては、成膜パターンを表す成膜データやマスクパターンを表すマスクデータを格納するハードディスク等の格納部17が設けられている。格納部17以外の構成は、図7に示す第3の実施形態におけるのと同じである。
本実施形態においては、基板上に膜が形成される領域を表す成膜データが格納部17に予め格納されており、制御部10が、格納部17から読み出された成膜データに基づいて基板ステージ8等を制御することにより、成膜が行われる。
成膜を行う際に、制御部10が、格納部17から読み出された成膜データに基づいてノッキング装置15を制御することにより、例えば、既に説明したような、基板上に形成される膜が機能を果たさない領域や、基板上に形成される膜に使用されない端部領域に対向してノズル7が位置するときに、ノッキング装置15がノッキングを行う。
また、遮蔽機構16が用いられる場合には、制御部10が、格納部17から読み出された成膜データに基づいてノッキング装置15及び遮蔽機構16を制御することにより、ノズル7が基板12の端部領域に対向して位置するときに、遮蔽機構16が遮蔽板16aをノズル7と基板12との間に挿入してエアロゾルを遮蔽し、その間にノッキング装置15がノッキングを行う。
次に、マスクパターンを利用してノッキングを行う場合について説明する。図3の(a)に示すように、ノズル7がマスクパターン14に対向して位置するときにノッキングを行う場合には、マスクパターン14が規則的に形成されていれば、周期的なノッキングが可能であり、各部の制御も容易である。
しかしながら、基板12上に形成されているマスクパターンが、図9に示すようなマスクパターン14a〜14jとなっている場合には、マスクパターン14aからマスクパターン14bに向けて走査する場合と、マスクパターン14cからマスクパターン14gに向けて走査する場合と、マスクパターン14hからマスクパターン14jに向けて走査する場合とにおいて、マスクパターンの位置が異なっており、マスクパターンが規則的に配置されていないので、ノッキングを周期的に行うことができない。
本実施形態においては、図9に示すようなマスクパターンが数値化されたマスクデータが、格納部17に格納されている。制御部10は、格納部17から読み出されたマスクデータに基づいてノッキング装置15を制御することにより、ノッキング装置15が、ノズル7がマスクパターン14a〜14jに対向して位置するときにノッキングを行う。図9において、矢印の向きはノズルの走査方向を表し、実線の矢印はノッキングを行うことを表し(ノッキングON)、破線の矢印はノッキングを行わないことを表している(ノッキングOFF)。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第5の実施形態において用いられるエアロゾル生成装置の構成を示す模式図である。先に説明した第1〜第4の実施形態においては、原料粉が配置された容器内にキャリアガスを導入することによってエアロゾルを生成している。しかしながら、それ以外にも様々な方法によってエアロゾルを生成することができ、いずれの方法でも、上記の実施形態に係る成膜装置に適用することができる。
例えば、図1及び図6〜図8に示すエアロゾル生成部の替わりに、図10に示すエアロゾル生成装置を用いても良い。図10の(a)は、エアロゾル生成装置の構成を示す断面図であり、図10の(b)は、エアロゾル生成装置の内部を示す平面図である。
図10に示すエアロゾル生成装置は、粉体収納室70及びエアロゾル生成部80を含んでいる。
粉体収納室70は粉体を収納するチャンバであり、その上底部には粉体供給口70aが設けられており、下底部には開口71が形成されている。この開口71を介して、粉体収納室70とエアロゾル生成部80とが接続されている。
粉体収納室70には、モータによって駆動されることにより回転する攪拌羽72が備えられている。この攪拌羽72の回転軸73にはO(オー)リング73aがはめ込まれており、それによって粉体収納室70内の気密が確保される。なお、図10の(b)には4枚の攪拌羽72が示されているが、攪拌羽の数は適宜変更しても構わない。攪拌羽72の材料としては、金属等の硬質な材料を用いても良いし、ゴム、シリコンゴム、テフロン(登録商標)等の柔軟性に優れた材料を用いても良い。或いは、金属羽の周縁部をゴムによって覆う等、それらの材料を組み合わせて用いても良い。そのような粉体収納室70に粉体を収納し、攪拌羽72によって粉体を攪拌する。それにより、粉体が開口71から落下し、エアロゾル生成部80に導出される。
また、粉体収納室70には、粉体が開口71から導出されるのを補助又は促進するために、アシスト(補助)ガス導入部74が設けられている。アシストガス導入部74は、配管及びバルブを含んでおり、配管の先には、例えば、ガスボンベが接続されている。なお、アシストガスの種類としては、後述する分散ガスと同じものを用いることが望ましい。
エアロゾル生成部80には、モータによって駆動されることにより回転する回転盤81が備えられている。回転盤81の回転軸82にはOリング82がはめ込まれており、それによってエアロゾル生成部80内の気密が確保される。回転盤81には、所定の幅及び深さを有する溝83が円周に沿って形成されている。回転盤81は、溝83が粉体収納室70の開口71に対向するように配置されている。このような回転盤81は、開口71から落下した粉体を溝83によって受けながら回転することにより、粉体を一定の割合で搬送する。なお、図10の(a)において、溝83の断面形状は半円となっているが、矩形やV字型のように、半円以外の形状であっても構わない。
さらに、エアロゾル生成部80には、分散ガス導入部84及びエアロゾル供給管85が設けられている。分散ガス導入部84は、配管及びバルブを含んでおり、配管の先には、例えば、ガスボンベが接続されている。分散ガスの種類としては、窒素(N)、酸素(O)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、又は、それらの混合ガス、或いは、乾燥空気等が用いられる。
図10の(a)に示すように、分散ガス導入部84によってエアロゾル生成部80内に導入される分散ガスの吹き出し口は、回転盤81の溝83に対向するように設けられている。エアロゾル供給管85は、先端の開口部が溝83に対向するように配置された管であり、その他端は、例えば、フレキシブルな材料によって形成された配管を介して、図1及び図6〜図8に示すエアロゾル搬送管5に接続される。
このようなエアロゾル生成装置において、粉体収納室70に所望の粉体を収納して攪拌羽72を駆動すると共に、エアロゾル生成部80において回転盤81を回転させ、回転盤81の溝83に対して分散ガスを吹き付ける。粉体収納室70に収納された粉体は、攪拌羽72によって攪拌されながら、開口71を通って溝83に落下する。その際に、粉体収納室70にアシストガスを導入することにより、開口71内に気流を形成する。この気流が、粉体の導出を補助又は促進する駆動力として作用する。それにより、粉体は、よりスムーズに開口71から溝83に落下する。溝83に落下した粉体は、回転盤82の回転速度に応じて堆積して搬送される。なお、アシストガスは、連続的に導入しても良いし、間欠的に導入しても良い。
一方、回転盤82の溝83においては、そこに吹き付けられた分散ガスが溝83に沿って流れることにより気流が形成されている。この分散ガスは、エアロゾル供給管85の先端部の開口からその内部に流れ込む。その際に、エアロゾル供給管85の周囲には、エアロゾル供給管85の内部に向かう吸引力が発生する。この吸引力により、溝83に堆積していた粉体が分散ガスと共にエアロゾル供給管85に流れ込む。このようにして生成されたエアロゾルは、エアロゾル供給管85からエアロゾル搬送管5(図1、図6〜図8)に供給され、エアロゾル搬送管5を介して成膜部に導入される。
このようなエアロゾル生成部80においては、エアロゾル供給管85の内壁にエアロゾル中の原料粉が付着することがあり、成膜中に、そのような原料粉が凝集して生じた凝集体が基板に向けて噴射されると、凝集体が基板上に堆積して膜厚のむらが発生してしまう。そこで、本実施形態においては、図10に示すエアロゾル生成部80を所定のタイミングで振動させることにより、エアロゾル搬送管やノズルの内壁に付着した原料粉の凝集体を強制的にノズルの外に排出する。
例えば、エアロゾル供給管85のノッキングポイント(4)に衝撃を加えるようにしても良い。さらに、ノッキングを間欠的又は周期的に行うことによって、凝集体の成長を防ぎ、エアロゾル搬送管やノズルの詰まりを防ぐことができる。このエアロゾル生成装置によれば、一定量の粉体をエアロゾル供給管85の端部に搬送することができるので、エアロゾルの濃度を一定に保つことが可能になる。また、回転盤81の回転速度を調節することにより、エアロゾルの濃度を所望の濃度に調節することもできる。
本発明は、原料の粉体を分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付けることによって基板上に原料を堆積させる成膜方法及び成膜装置において利用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 AD法による成膜における一般的な膜厚の変化を模式的に示す図である。 図1に示す成膜装置を用いた成膜における膜厚の変化を模式的に示す図である。 成膜中においてノッキングを行わない場合と周期的にノッキングを行う場合とにおける膜厚変化を示す図である。 成膜中において周期的にノッキングを行う場合と常にノッキングを行う場合とにおける膜厚を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 本発明の第4の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。 成膜において用いられるマスクパターンの一例を示す図である。 本発明の第5の実施形態において用いられるエアロゾル生成装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 エアロゾル生成室
2 振動台
3 巻上げガスノズル
3a、4a 圧力調整部
4 圧力調整ノズル
5 エアロゾル搬送管
6 成膜室
7 ノズル
8 基板ステージ
9 排気管
10 制御部
11 原料粉
12 基板
13 膜
14 マスクパターン
15 ノッキング装置
15a ノッキング部
16 遮蔽板
16a ホルダ
70 粉体収納室
70a 粉体供給口
71 開口
72 攪拌羽
72a 攪拌羽の最下部
73、82 回転軸
73a、82a O(オー)リング
74 アシストガス導入部
80 エアロゾル生成室
81 回転盤
83 溝
84 分散ガス導入部
85 エアロゾル供給管

Claims (14)

  1. 原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成する方法において、
    エアロゾル生成部において原料粉をガス中に分散させることによりエアロゾルを生成する工程(a)と、
    前記エアロゾル生成部から搬送管に供給されるエアロゾルを、成膜室に配置されたノズルに搬送する工程(b)と、
    前記成膜室において、前記ノズルと前記基板との相対位置を変化させながら、前記ノズルから前記基板に向けてエアロゾルを噴射することにより前記基板上に原料粉を堆積させて膜を形成する工程(c)と、
    前記ノズルと前記基板との相対位置に応じて、前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つを間欠的に振動させる工程(d)と、
    を具備する成膜方法。
  2. 工程(d)が、前記エアロゾル生成部のエアロゾル供給管と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つの内壁に付着した原料粉の凝集体を、前記ノズルから強制的に排出することを含む、請求項1記載の成膜方法。
  3. 工程(d)が、前記基板上に形成される膜が機能を果たさない領域に対向して前記ノズルが位置するときに、前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つに衝撃を加えることを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  4. 工程(d)が、前記基板上に形成される膜の端部領域に対向して前記ノズルが位置するときに、前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つに衝撃を加えることを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  5. 工程(d)が、前記基板の位置を前記ノズルの噴射方向からずらしている間に、前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つに衝撃を加えることを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  6. 工程(d)が、前記ノズルと前記基板との間に遮蔽板を挿入している間に、前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つに衝撃を加えることを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  7. 工程(d)が、前記基板上に膜が形成される領域を表すデータに基づいて、工程(c)の途中で実行される、請求項1〜6のいずれか1項記載の成膜方法。
  8. 前記基板の所定の領域にマスクパターンが形成されており、
    工程(d)が、前記マスクパターン領域に対向して前記ノズルが位置するときに、前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つに衝撃を加えることを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  9. 工程(d)が、前記基板上にマスクパターンが形成されている領域を表すデータに基づいて、工程(c)の途中で実行される、請求項8記載の成膜方法。
  10. 前記マスクパターンが、レジストを用いて形成されている、請求項8又は9記載の成膜方法。
  11. 前記基板の所定の領域の上部にメタルマスクが配置されており、
    工程(d)が、前記メタルマスクに対向して前記ノズルが位置するときに、前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つに衝撃を加えることを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  12. 原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、原料粉の組成を有する膜を形成する装置において、
    原料粉をガス中に分散させることによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成部と、
    基板が配置される成膜室と、
    前記エアロゾル生成部から供給されるエアロゾルを、前記成膜室に配置されたノズルに搬送する搬送管と、
    前記成膜室に配置され、前記搬送管を介して搬送されたエアロゾルを基板に向けて噴射するノズルと、
    前記ノズルと前記基板との相対的位置を変化させるために、前記ノズル又は前記基板の位置を移動させる移動手段と、
    前記エアロゾル生成部と前記搬送管と前記ノズルとの内の少なくとも1つを振動させる加振手段と、
    前記ノズルと前記基板との相対位置に応じて、前記加振手段を間欠的に動作させる制御手段と、
    を具備する成膜装置。
  13. 前記制御手段が、前記基板上に膜が形成される領域を表すデータ、又は、前記基板上にマスクパターンが形成されている領域を表すデータに基づいて、少なくとも前記移動手段及び前記加振手段を制御する、請求項12記載の成膜装置。
  14. 前記制御手段の制御の下で、前記ノズルと前記基板との間に遮蔽板を挿入する遮蔽機構をさらに具備する請求項12又は13記載の成膜装置。
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