JP2009161805A - エアロゾルデポジション法を用いた成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアロゾルデポジション法に基づいた成膜プロセスにおいて、リアルタイムでの膜厚の定量化を安定して行うことができ、所望の膜厚を有する薄膜を精度よく得ることができる成膜方法を提供する。
【解決手段】キャリアガスに材料粒子を分散させてエアロゾルを発生させるエアロゾル発生工程と、発生したエアロゾルを噴射ノズルからエアロゾル流として噴出し、基材及び水晶振動子に吹き付けることにより、前記基材及び前記水晶振動子上に成膜する成膜工程と、前記成膜工程の間、前記水晶振動子の共振周波数をリアルタイムで計測する計測工程と、前記計測工程で得られた前記共振周波数の変化量が、予め設定した特定値に到達しているか否かを判定する判定工程と、前記変化量が前記特定値に到達した時点で前記成膜工程を停止する停止工程と、を含む成膜方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアロゾルデポジション法において成膜される薄膜の膜厚を定量化しながら成膜を行うことによって所望の膜厚を有する薄膜を得る方法、及び成膜装置に関する。
圧電アクチュエータ等として用いられるセラミックス薄膜を形成する方法として、近年、エアロゾルデポジション法が注目されている。この方法は、気体中にセラミックス微粒子を分散してなるエアロゾルをノズルから噴射し、高速で基板表面に吹き付けることによって、当該基板上で微粒子を粉砕し堆積させてセラミックス薄膜を形成するものである。当該方法はセラミックス微粒子の常温衝撃固化現象を利用し、従来のセラミックス薄膜形成法において実施されていた1000℃以上での焼結プロセスを不要とする。そのため、寸法精度を考慮した薄膜設計を行う必要がなくなり、また、微粒子の破砕によって緻密なナノ結晶組織が形成され、きわめて平滑な表面を持つセラミックス薄膜を製造することができる。
このエアロゾルデポジション法では、エアロゾルの粒子密度や、エアロゾルの流速、ノズルの走査速度、基板に対するエアロゾルの傾斜角度など種々の要因によって成膜速度が大きく影響を受けやすい。なかでもエアロゾルの粒子密度は、エアロゾル発生装置での微粒子の減少や、微粒子同士の凝集による凝集巨大粒子の形成、エアロゾル供給管や噴射ノズル等の目詰まりなどによって、成膜の進行に伴って変動していくことが避けられないので、エアロゾルデポジション法において、成膜速度を予想し、所望の膜厚を有する薄膜を得ることは極めて困難であった。
この問題を解決するために、特許文献1では、エアロゾルデポジション法による成膜中に、成膜面の電位を測定することによって膜厚を精密に測定する方法が記載されている。この方法はセラミックス微粒子が基板に衝突することによって発生する電圧を直接計測するものである。
特開2006−159137号公報
しかしながら、電圧の計測による膜厚測定法では、膜厚の増加に伴い薄膜の電気的な絶縁性が変化することや、電圧が基板の電気的性質の影響を受けることから、測定される電圧値にバラツキが大きくなる傾向があった。その結果、リアルタイムでの膜厚の定量化を安定して行うことができず、正確に所望の膜厚を持つ薄膜を得ることは依然として困難であった。
そこで本発明は、エアロゾルデポジション法に基づいた成膜プロセスにおいて、リアルタイムでの膜厚の定量化を安定して行うことができ、所望の膜厚を有する薄膜を精度よく得ることができる成膜方法、及び当該方法を実施するための成膜装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、エアロゾルデポジション法において、水晶振動子を用いた発振式計測計を用いることによって、成膜中の薄膜の膜厚をリアルタイムで、間接的に計測する方法を採用し、当該膜厚が所望の値に達した時点で成膜作業を停止することを可能にした。
すなわち本発明は、キャリアガスに材料粒子を分散させてエアロゾルを発生させるエアロゾル発生工程と、
発生したエアロゾルを噴射ノズルからエアロゾル流として噴出し、基材及び水晶振動子に吹き付けることにより、前記基材及び前記水晶振動子上に成膜する成膜工程と、
前記成膜工程の間、前記水晶振動子の共振周波数を計測する計測工程と、
前記計測工程で得られた前記共振周波数の変化量が、予め設定した特定値に到達しているか否かを判定する判定工程と、
前記変化量が前記特定値に到達した時点で前記成膜工程を停止する停止工程と、を含む成膜方法に関する。
前記水晶振動子とは、水晶の圧電効果を利用した素子であり、発振回路に接続されることによってその固有振動数の発振出力を得ることができる。水晶振動子上に薄膜が形成されていくと、その付着量の増加に従って当該水晶振動子の共振周波数が変化していくが、付着量は膜厚に比例するので、共振周波数の変化量に基づいて成膜中の薄膜の膜厚をリアルタイムで、間接的に計測することが可能になる。
このために、実際の成膜を実施する以前に、試験的にエアロゾルデポジション法による成膜を繰り返して、成膜前後の共振周波数や、成膜された薄膜の膜厚を測定することによって、共振周波数の変化量(成膜前の共振周波数fと成膜終了後の共振周波数fとの差Δf)と薄膜の膜厚との関係についてデータを取得しておく。図5では、このようなデータの取得により示された共振周波数の変化量と膜厚との関係を表すグラフを示している。このグラフで示されているように、両者の関係は直線的な比例関係にある。
実際の成膜を行う過程ではリアルタイムで共振周波数を測定するが、測定されたその時点での共振周波数と、成膜前の同水晶振動子の共振周波数とのあいだの変化量から、前述した事前に取得しておいたデータを参照することによって、エアロゾルデポジション法における薄膜の膜厚をリアルタイムで、間接的に計測することが可能になる。
本発明では膜厚の測定を、電圧ではなく、付着した材料の質量に基づいて行うことから、基材の電気的性質の影響を排除することができ、リアルタイムでの膜厚の定量化を安定して行うことができる。所望の膜厚に対応する所定の共振周波数変化量に到達した時点で成膜工程を停止することによって、所望の膜厚を有する薄膜を、高精度に、かつ高い再現性で成膜することが可能になる。
本発明の好適な態様では、前記成膜工程は、前記基材と前記水晶振動子とを前記噴射ノズルに対して相対的に往復移動させながら実施する工程であり、
前記基材と前記水晶振動子は、前記往復移動の方向に沿って併置されている。
この態様によると、エアロゾルデポジション法に特有の、狭範囲での走査成膜において、基材への成膜と水晶振動子への成膜とを交互に実施することによって、薄膜の膜厚を効率よく定量化することが可能になる。
本発明の好適な態様では、前記計測工程において、前記往復移動における一往復毎の前記共振周波数の変化量が算出され、
当該変化量が一定に維持されるように、前記エアロゾルの粒子密度を制御する制御工程をさらに含む。
エアロゾルデポジション法では上述のようにエアロゾルの粒子密度が成膜の進行に伴って変動しやすい。これに起因して、成膜過程において材料粒子の付着速度、すなわち成膜の速度が一定に維持されず、初期の成膜速度と、終盤の成膜速度とが異なってくる場合が多い。このような場合、初期に成膜された部分と、成膜終了直前に成膜された部分とで膜質が異なってしまうことになり、薄膜の性能に対して悪影響を及ぼす。これを回避するには、エアロゾルデポジション法を実施するにあたって、薄膜の成膜速度を、成膜の途上において変動しないよう、一定に維持していくことが望まれる。
前記の態様によると、エアロゾルデポジション法の走査成膜において、1スキャン毎の共振周波数の変化量をリアルタイムで計測し、その値が一定に維持されるように、例えばキャリアガスの流量等の調整によってエアロゾルの粒子密度をコントロールすることによって、薄膜が一定の速度で成膜されるように制御することができる。これによって薄膜の膜質を均質化することが可能となる。
本発明の好適な態様では、前記往復移動において、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記基材の移動速度と、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記水晶振動子の移動速度とが、等速である。
この態様によると、基材への成膜と、水晶振動子への成膜が、交互に実施されるにもかかわらず、同一の走査速度で行われることになるので、水晶振動子の共振周波数の変化量と膜厚とをより精度よく関連づけることができ、より正確な膜厚の定量化が可能になる。
本発明の好適な態様では、前記往復移動の方向と垂直な方向において、前記噴射ノズルの噴出口の幅が、前記水晶振動子の幅よりも長い。
この態様によると、水晶振動子の幅全体に対してエアロゾル流が吹き付けられることになるので、水晶振動子に対して十分な成膜がなされることになり、膜厚のより正確な定量化が可能になる。
さらに本発明は上記の成膜方法の実施を可能にする成膜装置に係るものであってもよく、当該成膜装置は、キャリアガスに材料粒子を分散させてエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部と、
前記エアロゾル発生部に接続されて前記エアロゾルをエアロゾル流として基材に吹き付ける噴射ノズルと、
前記基材を保持するための保持手段と、
前記エアロゾル流の吹き付けが可能な位置に配置された水晶振動子と、
前記水晶振動子の共振周波数をリアルタイムで計測する計測手段と、を備えた成膜装置である。
成膜装置に係る本発明の好適な態様では、さらに、前記保持手段を前記噴射ノズルに対して相対的に往復移動させるための駆動手段を備えており、
前記水晶振動子は、前記往復移動の方向に沿って前記基材と並列するような位置に配置されている。
本発明の好適な態様では、前記計測手段が、前記往復移動における一往復毎の前記共振周波数の変化量をリアルタイムで算出し、
前記変化量が一定に維持されるように、前記エアロゾルの粒子密度を制御する制御機構をさらに備えている。
本発明の好適な態様では、前記駆動手段は、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記基材の移動速度と、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記水晶振動子の移動速度とを、等速とするように前記保持手段を駆動する。
本発明の好適な態様では、前記往復移動の方向と垂直な方向において、前記噴射ノズルの噴出口の幅が、前記水晶振動子の幅よりも長い。
本発明によれば、エアロゾルデポジション法に基づいた成膜プロセスにおいて、リアルタイムでの膜厚の定量化を安定して行うことができ、所望の膜厚を有する薄膜を精度よく得ることができる。
以下では、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるエアロゾルデポジション法に基づいた成膜装置を概略的に示した図である。この成膜装置は、キャリアガスに材料粒子を分散させてエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部たるエアロゾル生成器1と、内部で成膜を実施するためのチャンバ2とを備えている。
エアロゾル生成器1は材料粒子3を収納しており、外部からキャリアガス導入管4が敷設されている。キャリアガス導入管4は、エアロゾル生成器1の内部にキャリアガスを導入するものであるが、その導入量はマスフローコントローラ5によって制御されている。エアロゾル生成器1の上部にはエアロゾル供給管6の一端が挿入されている。エアロゾル供給管6の他端はチャンバ2の内部に配置され、噴射ノズル7が接続されている。エアロゾル生成器1は超音波加振装置8の上に配置されており、超音波加振装置8による振動はマスフローコントローラ9によって制御されている。
エアロゾル生成器1では、キャリアガス導入管4によって内部にキャリアガスが導入される際に巻き上げガスを発生させてサイクロン流を生成させるとともに、超音波加振装置8によって振動が加えられることによって、キャリアガスに材料粒子を分散させて、エアロゾルを発生させる。そのほか、エアロゾル発生のために、エアロゾル生成器1の床部から流動ガスを供給することもできる。
本実施形態では、エアロゾルの材料粒子を構成する材料として、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用する。チタン酸ジルコン酸鉛は通常数μm(例えば1.5μm程度)程度の膜厚で所望の圧電効果を達成することができる材料である。しかし、材料粒子を構成する材料はエアロゾルデポジション法に使用できるものであればPZTに限定されず、例えば、アルミナ等の各種セラミックス粉体、樹脂等の有機粉体も使用することができる。
前記材料粒子の粒径としても、エアロゾルデポジション法に使用可能な粒径であればよく、例えば、0.5μm〜5.0μm程度のものでよい。
前記キャリアガスとしては、エアロゾルデポジション法に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや、窒素、空気、酸素等を使用することができる。
チャンバ2には、図示していないがメカニカルブースターポンプとロータリーポンプ等が接続されており、チャンバ2の内部を減圧できるように構成されている。これによって、チャンバ2の内圧がエアロゾル生成器1の内圧と比較して低圧になるので、その差圧によって、エアロゾル生成器1内で発生したエアロゾルがエアロゾル供給管6に吸い込まれ、これを通過して噴射ノズル7に供給され、噴射ノズル7の射出開口からエアロゾル流10として噴射されることになる。
噴射ノズル7は、上下に開口部を有し、かつ内部に空洞を有する筒状のものである。図1で下方にある開口部は上述のようにエアロゾル供給管6の他端に接続されており、エアロゾルの導入開口となっている。上方にある開口部は図3で示すようにスリット状の形状を有し、ここからエアロゾル流10を噴射する射出開口である。当該射出開口は基板ホルダー11の下面に向けられている。図1では、噴射ノズル7の射出開口は、基板ホルダー11の下面に対して垂直方向に配置されているが、基板ホルダー11の下面に対して傾斜した方向で配置することもできる。
噴射ノズル7の内部の空洞は、導入開口から射出開口に向けて、横断面積が減少するような形状を有している。前記導入開口から噴射ノズル7の内部に進入したエアロゾルは、内部を進行するに従い横断面積が減少していくので加速がされたうえで、前記射出開口から、エアロゾル流10として成膜対象物に吹き付けられる。成膜対象物の表面に衝突した材料粒子は破砕し、堆積することによって、PZT薄膜が形成される。
チャンバ2の内部には、噴射ノズル7の射出開口の上方に、成膜対象物を下面に取り付けるための保持手段たる基板ホルダー11が配置されている。基板ホルダー11は矩形板状のものであり、駆動手段たる駆動装置12によって水平姿勢でチャンバ2の天井からつり下げられている。駆動装置12は、基板ホルダー11を、図1での左右方向に駆動するように構成されている。すなわち、基板ホルダー11が水平面内において左右方向に往復運動することによって、基板13に対する走査成膜が行われる。この走査成膜によって、基板13の所定の広範な範囲にPZT薄膜を形成する。
図1は、基板13の右端部にエアロゾル流10を吹き付けている状態を示しており、図2は、図1の状態が右方向への基板ホルダー11の移動により変化して、水晶振動子14にエアロゾル流10を吹き付けている状態を示している。ただし図2では、チャンバ2の内部のみを示している。
基板ホルダー11は、その下面側に、成膜対象物、すなわち、成膜が望まれる基材たる基板13と、その左横に、水晶振動子14とを保持している。基板13としてはステンレス板を使用しているが、これに限定されず、例えば、他の金属、シリコン、半導体、樹脂等の材料を使用してもよい。
図3は、基板ホルダー11を下から見た場合の、基板13と水晶振動子14との配置関係を示した図である。図3での矢印は、基板ホルダー11の往復運動の方向を示している。この図で示すように、基板13と水晶振動子14は、基板ホルダー11の左右方向の往復運動の方向に沿って並置されている。
図3では、水晶振動子14と噴射ノズル7の射出開口との大きさを比較するため、上方から見た噴射ノズル7の射出開口についても図示している。噴射ノズル7の射出開口はスリット状であるが、水晶振動子に対して十分な成膜がなされるよう、スリット状射出開口の長辺(すなわち図3での矢印に対して垂直な方向での射出開口の幅)が、水晶振動子14の幅よりも長くなっている。
本発明では基板13と水晶振動子14の双方にエアロゾル流10を吹き付けるが、その吹きつけは、基板ホルダー11が往復運動をすることによって、交互に行われる。図1の状態から基板ホルダー11の往復運動を開始するとした場合、まず、基板ホルダー11が右方向に移動することによって基板13の表面に左方向への走査成膜が行われる。基板13の左端がエアロゾル流10と衝突する地点を通過した後も、上記の右方向での移動が継続され、さらに水晶振動子14に対する成膜が行われる。水晶振動子14がエアロゾル流10との衝突地点を通過すると、基板ホルダー11は運動の方向を反転して左方向への移動を開始する。この左方向への移動によってまず水晶振動子14に対して再度の成膜がなされ、さらに基板13に対する2回目の走査成膜が右方向に行われた後、図1の状態に戻る。以上が、基板ホルダー11の往復運動による一往復での成膜の順序である。
基板ホルダー11の往復運動の速度に関しては、エアロゾル流10を基板13に吹き付けている時点の運動速度と、エアロゾル流10を水晶振動子14に吹き付けている時点の運動速度とが、等速になるように調整される。これによって、両者に対するエアロゾル流10の吹き付け条件を同一にする。
エアロゾル流10が基板13及び水晶振動子14に衝突することによってエアロゾル中の材料粒子が基板13及び水晶振動子14上に堆積する。基板ホルダー11の往復運動において一往復(二回の通過)のみでは材料粒子の付着量はわずかであり所望の膜厚に到達しないが、この往復運動を繰り返すことによって材料粒子の付着量は増加していく。よって、基板13上に形成される薄膜が所望の膜厚を有するまで、前記の往復運動を繰り返すことになる。
本発明では、時間の経過とともに増大していく膜厚が所望の値に到達したか否かを判定するために、水晶振動子14を用いる。ここで、水晶振動子14は圧電体である水晶片を2枚の電極で挟み込んだ水晶振動体を保持容器に収納したものである。水晶振動子14は、一方の電極を測定面として露出させた状態で下方に向けて配置されているので、水晶振動子14がエアロゾル流10との衝突地点(噴射ノズル7の射出開口の真上)に位置する時点(図2)で、エアロゾル流10が前記測定面に吹き付けられる。
水晶振動子14は発振素子として発振回路15に組み込まれており、発振回路15から水晶振動子14の共振周波数の発振出力が得られる。この共振周波数は水晶振動子14への成膜が進行するに伴い、すなわち水晶振動子14への材料の付着量が増加するに従い経時的に低下していく(図4)。発振回路15は、計測手段たる周波数測定器16に接続されており、周波数測定器16が、前記共振周波数をリアルタイムで計測する。周波数測定器16にはさらに判定手段17が接続されており、周波数測定器16によって測定された共振周波数が所定の時間間隔で判定手段17に出力されるように構成されている。
徐々に低下していく共振周波数の値が判定手段17に入力されると、判定手段17は、共振周波数の変化量(成膜開始前の共振周波数とその時点での共振周波数との差)が、所定の変化量の値に到達したか否かを判定する。所定の変化量は、図5で示したような共振周波数の変化量と薄膜の膜厚との関係についてデータを予め取得しておき、このデータから、所望の膜厚に対応する共振周波数の変化量として求められる。
判定手段17が、前記変化量が所定の値に到達したと判定した場合には、その時点で直ちに成膜工程を停止する。この停止は、エアロゾル供給管6の閉鎖、チャンバ2内の減圧の解消(メカニカルブースターポンプやロータリーポンプの作動停止)や、エアロゾル生成器1へのキャリアガスの導入停止等によって達成する。以上によって、所望の膜厚を有する薄膜を高精度に成膜することが可能になる。
図4では、基板ホルダー11の往復運動において1往復での共振周波数の経時変化を示している。1往復のあいだには水晶振動子14にエアロゾル流10が2回吹きけられることになるが、図4での2つのピークは、まさにエアロゾル流10が水晶振動子14に吹き付けられている最中に出現するピークである。これら2つのピークの前の平坦な部分が、水晶振動子14にエアロゾル流10が吹き付けられる前の時点に相当し、2つのピークのあいだの平坦な部分が、水晶振動子14にエアロゾル流10が一度吹き付けられた後で、水晶振動子14がエアロゾル10との衝突地点の右側に位置している時点に相当し、2つのピークの後の平坦な部分が、基板ホルダー11の運動の方向が反転して水晶振動子14への2回目の吹きつけが行われた後の時点を示している。
図4で示したΔfが、1往復での共振周波数の変化量である。周波数測定器16は、この1往復での共振周波数の変化量をリアルタイムで算出し、その結果を判定手段17に出力する。判定手段17は、この1往復での変化量が、基板ホルダー11の往復運動を実施しながら成膜を行っているあいだ、一定に維持されているか否かについても判定する。
判定手段17は制御機構たるマスフローコントローラ5及び9に接続されており、1往復での変化量に関する判定手段17による判定結果は、これらマスフローコントローラに出力される。判定手段17が1往復での共振周波数の変化量が変化したと判断した場合には、マスフローコントローラ5及び/又は9に制御信号が出力される。具体的には、1往復での変化量が増加したと判断した場合には、エアロゾルの粒子密度が減少するように、前記制御信号によって、キャリアガスの導入量や超音波の振動数が変更される。逆に、当該変化量が減少したと判断した場合には、エアロゾルの粒子密度が増加するようにキャリアガスの導入量や超音波の振動数が変更される。
これによって、成膜中の膜成膜速度を一定に維持することができるので、形成される薄膜の膜質を均質化することが可能になる。
なお、以上では、基板13と水晶振動子14とを噴射ノズル7に対して相対的に往復移動させるために、基板ホルダー11を往復移動させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。基板ホルダー11を固定し、噴射ノズル7を往復運動させる態様や、基板ホルダー11と噴射ノズル7の双方を動かすことによって噴射ノズル7に対する基板ホルダー11の相対的な往復運動を実現する態様も含まれる。
本発明の実施形態に係る成膜装置の構成を示す概略図 図1において基板ホルダー11が右方向に移動することによって水晶振動子にエアロゾル流が吹き付けられている状態を、チャンバの付近のみについて示した概略図 図1における基板ホルダーの下面図 基板ホルダーの往復運動において1往復での水晶振動子の共振周波数の経時変化を示すグラフ 共振周波数の変化量と薄膜の膜厚との関係を示すグラフ
符号の説明
1 エアロゾル生成器
2 チャンバ
3 材料粒子
4 キャリアガス導入管
5 マスフローコントローラ
6 エアロゾル供給管
7 噴射ノズル
8 超音波加振装置
9 マスフローコントローラ
10 エアロゾル流
11 基板ホルダー
12 駆動装置
13 基板
14 水晶振動子
15 発振回路
16 周波数測定器
17 判定手段

Claims (10)

  1. キャリアガスに材料粒子を分散させてエアロゾルを発生させるエアロゾル発生工程と、
    発生したエアロゾルを噴射ノズルからエアロゾル流として噴出し、基材及び水晶振動子に吹き付けることにより、前記基材及び前記水晶振動子上に成膜する成膜工程と、
    前記成膜工程の間、前記水晶振動子の共振周波数を計測する計測工程と、
    前記計測工程で得られた前記共振周波数の変化量が、予め設定した特定値に到達しているか否かを判定する判定工程と、
    前記変化量が前記特定値に到達した時点で前記成膜工程を停止する停止工程と、を含む成膜方法。
  2. 前記成膜工程は、前記基材と前記水晶振動子とを前記噴射ノズルに対して相対的に往復移動させながら実施する工程であり、
    前記基材と前記水晶振動子は、前記往復移動の方向に沿って併置されている、請求項1記載の成膜方法。
  3. 前記計測工程において、前記往復移動における一往復毎の前記共振周波数の変化量がリアルタイムで算出され、
    当該変化量が一定に維持されるように、前記エアロゾルの粒子密度を制御する制御工程をさらに含む、請求項2記載の成膜方法。
  4. 前記往復移動において、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記基材の移動速度と、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記水晶振動子の移動速度とが、等速である、請求項2又は3記載の成膜方法。
  5. 前記往復移動の方向と垂直な方向において、前記噴射ノズルの噴出口の幅が、前記水晶振動子の幅よりも長い、請求項2〜4のいずれかに記載の成膜方法。
  6. キャリアガスに材料粒子を分散させてエアロゾルを発生させるエアロゾル発生部と、
    前記エアロゾル発生部に接続されて前記エアロゾルをエアロゾル流として基材に吹き付ける噴射ノズルと、
    前記基材を保持するための保持手段と、
    前記エアロゾル流の吹き付けが可能な位置に配置された水晶振動子と、
    前記水晶振動子の共振周波数をリアルタイムで計測する計測手段と、を備えた成膜装置。
  7. さらに、前記保持手段を前記噴射ノズルに対して相対的に往復移動させるための駆動手段を備えており、
    前記水晶振動子は、前記往復移動の方向に沿って前記基材と並列するような位置に配置されている、請求項6記載の成膜装置。
  8. 前記計測手段が、前記往復移動における一往復毎の前記共振周波数の変化量を算出し、
    前記変化量が一定に維持されるように、前記エアロゾルの粒子密度を制御する制御機構をさらに備えている、請求項7記載の成膜装置。
  9. 前記駆動手段は、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記基材の移動速度と、前記エアロゾル流が吹き付けられている際の前記水晶振動子の移動速度とを、等速とするように前記保持手段を駆動する、請求項7又は8に記載の成膜装置。
  10. 前記往復移動の方向と垂直な方向において、前記噴射ノズルの噴出口の幅が、前記水晶振動子の幅よりも長い、請求項7〜9のいずれかに記載の成膜装置。
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