JP4866088B2 - 成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原料の粉体を基板に向けて噴射することにより膜を形成する成膜方法に関する。
近年、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)の分野においては、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電界又は磁界を印加することにより所定の機能を発現する電子セラミックス等の機能性材料を含む素子を、様々な成膜技術を用いて製造する研究が盛んに進められている。
例えば、インクジェットプリンタにおいて高精細且つ高画質な印字を可能とするためには、インクジェットヘッドのインクノズルを微細化すると共に高集積化する必要がある。そのため、各インクノズルを駆動する圧電アクチュエータについても、同様に、微細化及び高集積化することが求められる。そのような場合に、バルク材よりも薄い層を形成でき、且つ、微細なパターン形成が可能な成膜技術が望まれている。
最近では、そのような成膜技術の1つとして、セラミックスや金属等の成膜方法として知られるエアロゾルデポジション法(以下において、「AD法」という)が注目されている。AD法とは、原料の粉体(原料粉)を含むエアロゾルを生成し、それをノズルから基板に向けて噴射することにより、原料を基板上に堆積させる成膜方法である。ここで、エアロゾルとは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいう。
AD法においては、高速のガス流により加速された原料粉が、基板や先に形成された堆積物等の下層に衝突して食い込み、衝突の際に原料粉が破砕することにより新たに生成された破砕面が下層に付着する。このような成膜メカニズムはメカノケミカル反応と呼ばれている。このAD法によれば、不純物を含まない、緻密で強固な厚膜を形成することができる。そのため、例えば、圧電体をAD法によって作製することにより、圧電アクチュエータ等の機器の性能を向上させることが期待されている。なお、AD法は、噴射堆積法又はガスデポジション法とも呼ばれている。
しかしながら、このようなAD法においては、原料粉である超微粒子(一次粒子)が、ファンデルワールス力、静電気力、又は、水分の架橋効果により凝集し易いという問題が生じている。このような凝集粒子(「二次粒子」とも呼ばれる)は、一次粒子に比較して質量が大きいので高速のガス流中においても加速され難く、十分な運動エネルギーを得ることができない。また、噴射された凝集粒子が基板に衝突しても、その運動エネルギーは凝集粒子の解砕に消費されてしまうので、一次粒子の破砕には至らない。そのため、エアロゾルに含まれる凝集粒子の割合が増えて、相対的に一次粒子の割合が小さくなると、基板上には原料粉が圧粉体として堆積するのみとなり、AD法の特徴である緻密で強固な膜を形成することができなくなってしまう。或いは、凝集粒子が基板に衝突することにより、既に形成された構造物がエッチングされて膜に欠損部分が生じる場合もある。さらに、凝集粒子が形成されることにより、ガス流によって原料粉を巻き上げることが困難となるので、エアロゾルにおける原料粉の濃度が不安定となり、それにより、成膜速度又は成膜率が不安定となってしまう。このように、原料粉が凝集することにより、形成された膜の緻密度や硬さの低下、膜厚の不均一、膜の欠損等の膜質の低下を招いてしまう。
特許文献1〜5には、それらの問題の原因となる原料粉の凝集を回避するための方法や装置が開示されている。
特許文献1には、焼成させることなく高密度の緻密質のセラミック構造物を得るために、セラミック超微粒子のエアロゾルを発生させ、分級あるいは解砕によりエアロゾル中の二次粒子を排除した後に、一次粒子あるいはそれに準じる粒径の粒子のみを基板上に吹き付ける複合構造物の作製方法が開示されている。その際に、連続的に安定した濃度のエアロゾルを発生させるために、振動する篩からセラミック超微粒子を落下させている。
特許文献2には、微粒子を含むエアロゾルを高速で基材に吹き付けてダイレクトに複合構造物を形成させる複合構造物作製方法及び複合構造物作製装置において、複合構造物を長時間安定的に生産性良く形成するために、上記複合構造物作製装置にエアロゾル搬送管及びノズルを加熱する手段を配設してエアロゾル搬送管内壁及びノズル内壁を加熱することにより、エアロゾル搬送管内壁及びノズル内壁への微粒子や凝集粒の付着を大幅に抑制させることが開示されている。
特許文献3には、欠陥部分の少ない均一な膜を速い成長速度で形成するために、超微粒子をガスと攪拌してエアロゾルを作製し、エアロゾル中の超微粒子を基板上に衝突させることで基板上に膜を成長させる成膜方法であって、エアロゾルを作製するエアロゾル形成室内に超音波を印加しながらエアロゾルを作製する超微粒子の成膜方法が開示されている。
特許文献4には、脆性材料粒子を高速で基板に衝突させ、この衝突により、基板上に脆性材料構造物を形成させる複合構造物の形成に関する不具合を解消してエッチングによる欠損部分をなくし、また、構造物の形成速度の向上するために、原料の脆性材料粒子粉体に熱や熱風等を加えて、それに含まれる水分量を0.45%以下に抑制することにより、原料粉体の凝集を少なくすることが開示されている。
特許文献5には、超微粒子をガスと攪拌してエアロゾルを作製し、エアロゾル中の超微粒子を基板上に衝突させることで基板上に膜を成長させる成膜方法において、エアロゾル形成室内に配置される超微粒子の凝集を防ぎ、成膜を高速で行い、欠陥の少ない均一な圧電膜を形成するために、上記超微粒子の粉体に分散剤を添加することが開示されている。
特開2001−181859号公報(第1頁) 特開2003−211030号公報(第1頁) 特開2003−293159号公報(第2頁) 特開2003−119574号公報(第1頁) 特開2003−321780号公報(第2頁)
上記特許文献1〜3においては、凝集した粒子の結合を解くために、分級器、解砕器、又は、振動する篩を用いて(特許文献1)、或いは、エアロゾル搬送管及びノズルを加熱して(特許文献2)、若しくは、エアロゾル形成室に超音波を印加又はエアロゾル形成室を加熱しながら(特許文献3)成膜を行っている。しかしながら、既に凝集している粒子を上記の方法により解砕することは容易ではなく、これらの方法では凝集粒子を十分に除去できない可能性がある。
また、特許文献4においては、原料粉の凝集性を制御するために、乾燥機やドライヤー等の手段を用いて原料粉を乾燥させているが、このような方法で凝集性を改善することは困難であると考えられる。
さらに、特許文献5においては、原料粉の凝集を抑制するために、原料粉に分散剤を添加しているが、原料粉と分散剤とを乾式で混合するだけでは、分散剤の効果を十分に発揮させることが困難である。
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、原料粉を基板に噴射することにより原料粉を堆積させるAD法において、原料粉の凝集を抑制することにより、高品質な膜を形成できる成膜方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る成膜方法は、界面活性剤をパラフィン又は脱水アルコールに溶解させた溶液に成膜原料の粉体を混合して攪拌することにより、成膜原料の粉体の表面に界面活性剤を付着させて、圧縮度が30%以下である原料粉を作製する工程(a)と、工程(a)において作製された原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成する工程()と、工程()において生成されたエアロゾルを、基板が配置された成膜室に導入する工程()と、該成膜室に設けられたノズルからエアロゾルを基板に向けて噴射することにより、原料粉を基板上に堆積させる工程()とを具備する
本発明の1つの観点によれば、パラフィン又は脱水アルコールを溶媒として用いることにより、水を排除しながら、界面活性剤を成膜原料の粉体に効果的に吸着させることができる。その結果、原料粉の凝集を抑制して、一次粒子の割合が高く、安定した濃度を有するエアロゾルを長時間に渡って供給することが可能となる。従って、緻密で強固な膜質を有し、且つ、そのような膜質及び膜厚が安定した高品質な膜を形成することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る成膜方法において用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。図1に示す成膜装置においては、エアロゾルデポジション(aerosol deposition:AD)法が用いられる。この成膜装置は、ガスボンベ1と、搬送管2a及び2bと、エアロゾル生成室3と、成膜室4と、排気ポンプ5と、噴射ノズル6と、基板ホルダ7とを含んでいる。
ガスボンベ1には、キャリアガスとして使用される窒素(N)、酸素(O)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、又は、乾燥空気等が充填されている。また、ガスボンベ1には、キャリアガスの供給量を調節するための圧力調整部1aが設けられている。
エアロゾル生成室3は、原料粉が配置される容器である。このエアロゾル生成室3に、ガスボンベ1から搬送管2aを介してキャリアガスを導入することにより、そこに配置された原料粉が吹き上げられて分散し、それによってエアロゾルが生成される。生成されたエアロゾルは、搬送管2bを介して噴射ノズル6に供給される。また、エアロゾル生成室3には、エアロゾル生成室3に振動等を与えることにより、その内部に配置された原料粉を攪拌するための容器駆動部3aが設けられている。
成膜室4の内部は、排気ポンプ5によって排気されており、それによって所定の真空度に保たれている。
噴射ノズル6は、所定の形状及び大きさ(例えば、長辺が5mm程度で、短辺が幅0.5mm程度の長方形)の開口を有しており、エアロゾル生成室3から供給されたエアロゾルを基板10に向けて高速で噴射する。
基板ホルダ7は、基板10を保持している。また、基板ホルダ7には、基板ホルダ7を3次元的に移動させるための基板ホルダ駆動部7aが設けられている。これにより、噴射ノズル6と基板10との相対位置及び相対速度が制御される。
このような成膜装置において、原料粉をエアロゾル生成室3に配置すると共に、基板10を基板ホルダ7にセットして所定の成膜温度に保つ。そして、成膜装置を駆動して噴射ノズル6からエアロゾルを噴射しながら、基板を所定の速度で移動させる。それにより、エアロゾルに含まれる原料粉が基板上の分離層に衝突してメカノケミカル反応が生じる。その結果、基板10上に膜が形成される。
次に、本実施形態において用いられる原料粉について詳しく説明する。
本実施形態においては、図1に示す成膜装置に配置される原料粉として、圧縮度が30%以下である原料粉が用いられる。ここで、圧縮度とは、粒子の流動性を評価する指標であり、所定の容器に圧縮することなく試料を満たしたときの試料の比重(ゆるめカサ密度)をρとし、同じ容器にタッピングにより圧縮した状態で試料を満たしたときの試料の比重(固めカサ密度)をρとした場合に、圧縮度C(%)=(ρ−ρ)/ρ×100によって表される。
本実施形態においては、製造目的とする膜の原料(成膜原料)の粉体に表面処理を施すことにより流動性を向上させたものを、原料粉として用いている。具体的には、成膜原料の粉体の表面に界面活性剤を被覆させている。
界面活性剤とは、油によく馴染む親油性部位と、水によく馴染む親水性部位とを有する物質のことをいう。親油性部位としては、例えば、直鎖のアルキル分岐鎖のアルキル、アルキルナフタレン、ペルフルオロアルキル、ポリプロピレンオキサイド、ポリシロキサン等が挙げられる。また、親水性部位は、アニオン系、カチオン系、両性、及び、非イオン系の4種類に分類される。界面活性剤は、この分類に従って、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び、非イオン界面活性剤の4種類に分類される。
次に、本実施形態において用いられる原料粉の作製方法について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る成膜方法において用いられる原料粉の作製方法を示すフローチャートである。
まず、図2の工程S1において、界面活性剤を溶媒に溶解させることにより、界面活性剤溶液を調整する。界面活性剤としては、例えば、以下に挙げる物質を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、アルキルスルフォン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフォン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、アルキルスルホカルボン酸塩(例えば、Aerosol OT)、アルキルスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンエーテルリン酸等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、ハロゲン化アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルイミダゾール、アルキルアミノ酸等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、カルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。また、味の素ファインテクノ株式会社製のKR TTS、KR46B、KR55、KR41B、KR38S、KR138S、KR238S、338X、KR44、KR9SA等のチタネートカップリング剤や、AL−M等のアルミネートカップリング剤や、信越化学工業株式会社製のシランカップリング剤等を界面活性剤として使用しても良い。
本発明においては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、又は、非イオン系界面活性剤のいずれを用いることができるが、粉末表面の化学吸着水や水酸基と反応を生じることにより、強固に表面被覆するものが好ましい。具体的には、脱水縮合反応を生じるカルボン酸や、加水分解後に脱水縮合を生じるカップリング剤が挙げられる。ここで、カルボン酸とは、カルボキシル基を有する物質のことであり、例えば、カプリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、オクチル酸等が含まれる。また、カップリング剤とは、親油性部位と親水性部位とが、シリコン(Si)、チタン(Ti)、又は、アルミニウム(Al)の元素を介して結合することにより、1分子を構成している物質のことをいう。
一方、溶媒としては、水、アルコール、パラフィン等の一般的な溶媒を用いることができる。水を排除して界面活性剤を効果的に吸着させるためには、オクタンやデカンのようなパラフィンや脱水アルコールを用いる事がより好ましい。
次に、図2の工程S2において、界面活性剤が溶解している溶液に、成膜原料の粉体を混合して攪拌する。成膜原料の粉体としては、セラミックス、酸化物(例えば、Pb(Zr,Ti)O等の鉛を含む酸化物)等を原料とする市販の製品を用いることができる。なお、界面活性剤を効果的に付着させるために、成膜原料の粉体を予め乾燥させておくことにより物理吸着水を除去しておくことが望ましい。
この工程S2により、成膜原料の粉体の表面に界面活性剤が付着する。その際には、既に凝集している粉体を分離させると共に、粉体の表面に界面活性剤を万遍なく付着させるために、凝集粒子を機械的にほぐす方法を併用することが望ましい。具体的には、界面活性剤が溶解している溶液に成膜原料の粉体と共にビーズを混合し、それらをボールミルで攪拌したり、超音波の振動を与えることによって攪拌する方法が挙げられる。前者の場合には、一般的な攪拌装置を用いることができる。
次に、工程S3において、表面に界面活性剤が付着した粉体から溶媒を蒸発させ、さらに粉体を乾燥させる。それにより、界面活性剤によって被覆された原料粉が得られる。
次に、工程S4において、乾燥させた粉体に加熱処理を施す。この工程S4は、界面活性剤の脱水縮合反応を促進すると共に、不要な界面活性剤成分を気散除去する効果もある。それにより、界面活性剤が強固に付着した原料粉が得られる。
加熱処理の最適温度は使用する界面活性剤によって異なるが、概ね80℃から500℃の範囲である。加熱温度が低すぎる場合には、脱水縮合反応の促進が充分で無く、反対に、加熱温度が高すぎる場合には、原料粉に付着した界面活性剤の分解が生じるおそれがある。また、加熱雰囲気は大気中でも構わないが、反応副生物である水分や過剰な界面活性剤を気散させるためには、真空中で行うことが望ましい。
(実施例1)
第1の実施例として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Zr,Ti)O)膜を形成するための原料粉を調整した。成膜原料としては、堺化学工業株式会社製のPZT粒子(製品名:PZT−LQ)を用い、界面活性剤としては、和光純薬工業株式会社製のステアリン酸を用い、溶媒としては、和光純薬工業株式会社製のオクタンを用いた。
まず、成膜原料のPZT粒子から物理吸着水を除去するために、120℃の大気圧雰囲気の下で24時間乾燥させた。次に、ステアリン酸0.4gを、25ccのオクタンに投入して溶解させた。この中に、予め乾燥させておいたPZT粒子と、直径10mmのアルミナビーズとを投入し、株式会社レッチェ製の遊星ボールミル(製品番号:PM100)を用いて約21分間攪拌した。その後で、その混合液を80℃の大気中に晒してオクタンを蒸発させることにより粉体を乾燥させ、さらに、真空中において120℃で24時間加熱した。
このようにして得られたステアリン酸被覆PZT粒子の圧縮度は25%であった。
(実施例2)
第2の実施例として、実施例1と同じ材料を用いて同様の処理を行うことにより、原料粉を調整した。ただし、PZT粒子とステアリン酸との混合液を遊星ボールミルによって撹拌した後にオクタンを蒸発させる乾燥工程は、室温で真空乾燥することにより行った。この乾燥PZT粒子の圧縮度は30%であった。
(比較例1)
第1の比較例として、実施例1と同じPZT粒子を未処理のまま用意した。このPZT粒子の圧縮度は、42%であった。
(比較例2)
第2の比較例として、実施例1と同じPZT粒子を用いて同様の処理を行うことにより、原料粉を調整した。ただし、PZT粒子を遊星ボールミルによって攪拌する工程においては、ステアリン酸を溶解させないオクタンを用いた。この乾燥PZT粒子の圧縮度は35%であった。
なお、実施例並びに比較例において、圧縮度の測定に際しては、ホソカワミクロン株式会社製のパウダテスタ(型式:PT−S)を使用し、各試料を3回測定し、その平均値を測定値とした。測定値のバラツキは、平均値に対して1.0以下であった。
実施例並びに比較例において得られたPZT粒子を原料粉として用い、図1に示す成膜装置によって成膜する実験を行った。成膜基板としては、日本ファインセラミックス株式会社製の厚さが300μmのYSZ(イットリア安定化ジルコニア)基板を用いた。
図3は、実験結果を示す図である。図3において、横軸は成膜時間を示しており、縦軸
は原料粉の消費量を示している。原料粉の消費量は、原料粉が配置されているエアロゾル生成室の重量を測定することにより求めた。
図3に示すように、実施例1及び2において得られた原料粉(ステアリン酸被覆PZT粒子:圧縮率30%以下)を用いた場合には、20分に渡ってほぼ一定の消費率で原料粉が消費されていた。それにより、濃度が安定したエアロゾルが噴射ノズル6(図1)から噴射されていたことがわかる。
一方、比較例2において得られた原料粉(圧縮率35%)を用いた場合には、成膜を開始して5分が経過した頃から原料粉の消費率が低下し始め、20分が経過すると原料粉があまり消費されなくなった。また、比較例1において得られた原料粉(未処理のPZT粒子:圧縮率42%)を用いた場合には、成膜を開始して3分後に搬送管2a及び2b(図1)に詰まりが生じたので、成膜を停止した。
以上の実験結果により、圧縮度が低いほど(望ましくは30%以下、さらに望ましくは25%以下)原料粉は順調に消費され、AD法による成膜装置において安定した成膜を行うことができることが確認された。
このように、PZT粒子を界面活性剤(ステアリン酸)によって被覆することにより粒子の圧縮度が低減するので、AD法による成膜装置内において粒子の凝集を抑制することができる。それにより、一次粒子を多く含み、濃度が安定したエアロゾルを、噴射ノズルに長時間に渡って供給することができるようになる。その結果、緻密で強固な膜質を有し、且つ、そのような膜質及び膜厚が安定した高品質な膜を形成することが可能となる。
以上説明した本発明の実施形態においては、AD法においてエアロゾルを生成する際に、原料粉が配置された容器(収納容器)にキャリアガスを導入しているが(図1参照)、エアロゾルを生成する機構は図1に示す構成に限定されない。即ち、原料粉がガス中に分散している状態を生成することができれば、様々な構成を用いることができる。例えば、収納容器から所定量の原料粉を取り出し、取り出された原料粉についてこれをエアロゾル化する構成としても良い。具体的には、原料粉の収納容器と、回転駆動することにより収納容器から所定のレート(供給速度)で連続的に原料粉の供給を受けてこれを搬送する原料粉供給部(粉末供給盤)と、原料粉供給部によって搬送された原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成するエアロゾル生成部(エアロゾル化部)とを含む構成が挙げられる。このような構成においては、原料粉供給部に、原料粉が投入される所定の幅の溝を形成することにより、安定した量の原料粉を供給することができると共に、原料粉供給部を回転駆動する速度を調整することにより、原料粉の供給量を制御することができる。そして、原料粉の搬送先においてその溝にキャリアガスを導入することにより、濃度の安定したエアロゾルを生成することができる。
或いは、原料粉の収納容器において原料粉を攪拌すると共に、この収納容器に圧縮ガスを導入することにより、圧縮ガスと混合された所定量の原料粉を収納容器から取り出し、これを細径の穴から外部に排出することにより、圧縮ガスの膨張を利用して原料粉を分散させる構成も挙げられる。さらに、キャリアガスの流路に原料粉を連続的に供給して原料粉をキャリアガスに分散させることにより、エアロゾルを生成する構成を用いても良い。
本発明は、原料の粉体を基板に向けて噴射することにより膜を形成する成膜方法において利用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る成膜方法が用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る成膜方法における原料粉の作製方法を示すフローチャートである。 原料粉の圧縮度に応じた成膜時間と原料粉の消費量との関係を示す図である。
符号の説明
1 ガスボンベ
1a 圧力調整部
2a、2b 搬送管
3 エアロゾル生成室
3a 容器駆動部
4 成膜室
5 排気ポンプ
6 噴射ノズル
7 基板ホルダ
7a 基板ホルダ駆動部
10 基板

Claims (7)

  1. 界面活性剤をパラフィン又は脱水アルコールに溶解させた溶液に成膜原料の粉体を混合して攪拌することにより、前記成膜原料の粉体の表面に界面活性剤を付着させて、圧縮度が30%以下である原料粉を作製する工程(a)と、
    工程(a)において作製された原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾルを生成する工程()と、
    工程()において生成されたエアロゾルを、基板が配置された成膜室に導入する工程()と、
    前記成膜室に設けられたノズルからエアロゾルを基板に向けて噴射することにより、原料粉を基板上に堆積させる工程()と、
    を具備する成膜方法。
  2. 工程(a)、界面活性剤をパラフィン又は脱水アルコールに溶解させた溶液に成膜原料の粉体を混合して、超音波の振動を与えることによって攪拌することを含む、請求項1記載の成膜方法。
  3. 工程()が、表面に界面活性剤が付着した前記成膜原料の粉体を、80℃〜500℃の雰囲気において加熱することを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  4. 前記界面活性剤が、カルボン酸を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の成膜方法。
  5. 前記界面活性剤が、シリコン(Si)、チタン(Ti)、又は、アルミニウム(Al)を含有するカップリング剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の成膜方法。
  6. 前記成膜原料の粉体が、酸化物を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の成膜方法。
  7. 前記成膜原料の粉体が、鉛を含有する酸化物を含む、請求項6記載の成膜方法。
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