JP2008095956A - 断熱材を有する管継手成形部材およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】分岐配管の場合にも簡単な方法で生産でき、最良の断熱性及び可能な限り低い熱膨張を確実にし、変形に対して高い剛性を備え、水密で可能な限り蒸気密である管継手成形部材を得る。
【解決手段】内側パイプ部分４と、断熱層７と、プラスチックの外側ケーシング８とを備えた断熱材を有する管継手成形部材１において、外側ケーシング８と断熱層７とを、例えばポリウレタンのような同一の材料から形成する管継手成形部材１及び管継手成形部材１を製造する方法。
【選択図】図１

Description

本発明は、内側パイプ部分と、断熱層と、外部ケーシングとを備えた、断熱材を有する管継手成形部材に関する。

例えば、冷却媒体を送給するパイプライン（配管）システムにおいて、予め断熱したパイプライン部分がますます必要となっているように、配管構造においては、特に周囲の環境に関する、媒体の高い断熱性が必要となっている。冷却した配管を断熱するための非常に適切な材料は、反応性発泡ポリウレタン（＝ＰＵＲ）である。発泡の断熱効果に悪影響を与える浸透性のある水からの保護として、および断熱層への機械的損傷からの保護として、断熱配管部分に外側ケーシングを設ける構成とする。

外側管または管状外側ケーシングを、配管部分の外側壁から一定距離で、配管部分中心に同心で配置する。外側ケーシングの内壁と配管部分の外壁との間の管状スペースに、完全に発泡ポリウレタンで充填する。発泡ポリウレタンは、反応性発泡形成液とともに注入し、発泡したポリウレタンを硬化させる。発泡体は確実に配管部分と外側ケーシングとの表面に接着し、これにより、高い剛性を伴って配管部分に断熱性を与える。

異なる特性を有する複数の構成要素を互いにまとめなければならないため、断熱配管部分の製造は比較的複雑である。同様に様々な処理工程で、断熱ケーシングおよび配管分を露出させ、これらを分岐配管に接続し再び断熱しなければならないため、断熱配管網における分岐配管の取り付けも難しい。

特許文献１（欧州特許出願公開第０５９０１７号）は、一般的なタイプの断熱配管の分岐接合部について記載している。特別に設計した断熱分岐配管部分を、分岐配管部へ嵌合する。この目的のために、断熱分岐配管部分を分岐配管部周辺に変位可能に配置し、また断熱分岐配管部分には主配管（パイプライン）の方向に走行する縦溝孔を設ける構成とする。断熱分岐配管部分を分岐配管部へ嵌合することによって、縦溝孔を、主配管部上に変位可能とした特別に設計した断熱外部ケーシングによって、きつく固定し保持する構成とする。最後に配管分岐を、熱収縮チューブを有するスリーブを使用し、蒸気密状態で閉じる。
欧州特許出願公開第０５９０１７号明細書

この従来の技術に基づいて、本発明の目的は、分岐配管のレイアウトの場合にも簡単な方法で生産でき、最良の断熱性および可能な限り低い熱膨張を確実にし、変形に対して高い剛性を備え、水密で可能な限り蒸気密である断熱材を有する管継手成形部材を得るにある。この管継手成形部材を製造する間、外側ケーシングは可能な限り、断熱層に加圧または損傷を与えない。

この目的は、内側パイプ部分と、断熱層と、プラスチック製の外側ケーシングとを備え、外側ケーシングおよび断熱層を、例えばポリウレタンのような同一の材料から形成することを特徴とする断熱材を有する管継手成形部材により達成することができる。

また、この目的は、請求項１２に記載の管継手成形部材を製造する方法により達成することができる。

本発明の好ましい実施形態は、従属請求項から得られる。

管継手成形部材に可能な限り高い剛性をもたせることは、利点になる。これは、第２のポリウレタン層を、第１のポリウレタン発泡層と接触させ第１のポリウレタン発泡層の外壁に接合できる構成とし、更に注入可能なポリウレタン注型系から形成するという事実によって成し遂げられる。またこれは、管継手成形部材を第１のポリウレタン発泡層でカプセル化すること、およびこの第１のポリウレタン発泡層の周りに第２のポリウレタン注型材を注入することを、２個の非常に類似した成形型または類似した成形ユニットにおける同一成形型で、順次に実行するという事実によって達成することができる。

特に、個々の部品だけを組み立てるために大量のマニュアルや様々な部品における作業量を必要とする複雑な管エルボ、管ベンドおよび／または管分岐の場合には、同一部品内に断熱層及び外部ケーシングを製造することにより、多くの時間や作業量を削減できる。

本発明の実施例を、添付図面につき説明する。

図１において、断熱材を有する管継手成形部材１の中心線に沿う断面図を示す。図１に示す管継手成形部材１は、例えばパイプ分岐部３を有する主パイプライン２から組み立てる。内側から外側に向って見て、管継手成形部材１は、例えばアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体（＝ＡＢＳ）により形成した内側パイプ部分４と、断熱層７と、外側ケーシング８とにより構成する。

管継手成形部材１の断熱材は、閉じたセルを有する発泡体で製造した第１ポリウレタン発泡層７、および注入可能なポリウレタン系から製造する第２ポリウレタン層（外側ケーシング）８を有する。外側ケーシング８は、また、可能な限り低い圧力で注入可能な他のプラスチック系により形成することもできる。この場合、外側ケーシングは、例えば鋳造によって製造する間、内側断熱層、すなわち第１ポリウレタン発泡層７を圧縮して損傷を与えないようにすることがとくに重要である。外側ケーシング８は、さらに、断熱層７に可能な限り圧力をかけないようにしなければならない。外側ケーシング８は、また、収縮プロセスにより第１ポリウレタン発泡層７に強固に接合することができるようにする。ポリウレタン層７、８は互いに強固に結合し、また内側パイプ部分４と連結する。管継手成形部材１は一体ピースとして製造し、高い剛性を有するよう形成する。

製造方法における順次の２段階工程による管継手成形部材１を、図２および３に断面図で示す。管継手成形部材１を、第１の成形型９において発泡工程と鋳造工程との組み合わせにより製造する。パイプ分岐部３を有する内側パイプ部分４をこの成形型９内に挿入する。内側パイプ部分４は、また、プラスチックの代わりに金属製とすることもできる。内側パイプ部分４と成形型９の内壁とのクリアランス空間に、第１の工程で閉じたセルを形成する反応性ポリウレタン発泡材を充填し、発泡させる。

第１ポリウレタン発泡層７が完全に反応した後に、管継手成形部材１を第１の成形型９より僅かに大きい第２の成形型９′に配置する。第２の成形型９′で、ポリウレタン注型材または他の非発泡性注型プラスチック系またはそれほど発泡性に富まない注型プラスチック系による第２の層８を、鋳型９′に注入する。外側ケーシング８の注型材のための材料は、外側ケーシング８により断熱層７に僅かな圧力しかかからないものを選択する。ポリウレタン系の代わりに、例えばポリエポキシ系または他の熱可塑性系を選択する。原則として、第１および第２の成形型９、９′の寸法差が僅かしかない場合には、調節可能な内壁を有する単独の成形型でも可能である。

第１ポリウレタン発泡層７および注型する第２ポリウレタン材層（外側ケーシング）８は、接着により互いに接合し、一方では良好な断熱性を、他方では管継手成形部材１の充分な剛性および強度を保証する断熱ケーシング５を形成する。第１ポリウレタン発泡層７は、例えば、注型ポリウレタン材または注型樹脂よりなる外側ケーシング８の２倍〜６倍の厚さとする。ポリウレタン発泡体による断熱層７は、例えば、ポリウレタン注型材よりなる外側ケーシング８の密度よりもほぼ１０％低い密度を有するものとする。

管継手成形部材１は、例えば、冷却材のための配管システムに使用する。管継手成形部材１は、製品の断熱層および外側ケーシングに同一の部品を使うことができるため、製造が極めて簡単であるという特徴が得られる。断熱層およびケーシングに同一の材料を使用することにより、可能な限り低い熱膨張が達成される。外側ケーシングは防水性であり、管継手成形部材は高い剛性を有する。特に管エルボまたは管分岐を有する管継手成形部材において、この製造方法は、既存の製造方法よりも多くの時間と作業量とを節約することができる。本発明方法によれば、内側パイプ部分４の外側ケーシング８に対する向き決め、および／または他の成形型への移し替えはなくて済む。収縮嵌合ユニットにおける熱収縮チューブ収縮も省くことができる。

本発明による管継手成形部材の断面図である。 第１製造工程により図１に示す管継手成形部材を製造する成形型の断面図である。 後続製造工程により図１に示す管継手成形部材を製造する成形型の断面図である。

符号の説明

１ 管継手成形部材
２ 主パイプライン
３ パイプ分岐部
４ 内側パイプ部分
５ 断熱ケーシング
７ 断熱層（第１ポリウレタン発泡層）
８ 外側ケーシング（第２ポリウレタン層）
９ （第１）成形型
９′（第２）成形型

Claims (13)

1. 内側パイプ部分（４）と、断熱層（７）と、プラスチックの外側ケーシング（８）とを備えた断熱材を有する（１）において、前記外側ケーシング（８）および前記断熱層（７）を、ポリウレタンのような同一材料から形成することを特徴とする管継手成形部材。
2. 前記断熱層（７）を、前記内側パイプ部分（４）に接触させ、前記内側パイプ部分（４）の外壁に接合することができ、発泡系から形成することを特徴とする請求項１に記載の管継手成形部材。
3. 前記断熱層（７）を、前記内側パイプ部分に接触させ、前記内側パイプ部分（４）の外壁に接合することができ、閉じたセルを形成するポリウレタン発泡系から形成することを特徴とする請求項１または２に記載の管継手成形部材。
4. 前記外側ケーシング（８）を、前記断熱層と適合性のある注入可能な材料から形成することを特徴とする請求項１〜３のうちいずれか一項に記載の管継手成形部材。
5. 前記外側ケーシング（８）を、前記断熱層（７）に接触させ、第１の発泡層（７）の外壁に接合することができ、それほど発泡しない注入可能な注型材系から形成することを特徴とする請求項１〜４のうちいずれか一項記載の管継手成形部材。
6. 前記外側ケーシング（８）を、前記断熱層（７）に接触させ、第１の発泡層（７）の外壁に接合することができ、基本的に圧力のかからない状態で注入可能な注型材系から形成することを特徴とする請求項１〜５のうちいずれか一項に記載の管継手成形部材。
7. 前記外側ケーシング（８）を、前記断熱層（７）に接触させ、第１の発泡層（７）の外壁に接合することができ、それほど発泡しない注入可能なポリウレタン注型系から形成することを特徴とする請求項１〜６のうちいずれか一項に記載の管継手成形部材。
8. 前記内側パイプ部分（４）を、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体（＝ＡＢＳ）から形成することを特徴とする請求項１〜７のうちいずれか一項に記載の管継手成形部材。
9. 前記内側パイプ部分（４）を、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニルのような、いずれかの所望のプラスチックから形成することを特徴とする請求項１〜８のうちいずれか一項に記載の管継手成形部材。
10. 前記管継手成形部材（１）は、少なくとも１回のパイプ分岐部を有することを特徴とする請求項１〜９のうちいずれか一項に記載の管継手成形部材。
11. 前記管継手成形部材（１）は、少なくとも１個の管エルボを有することを特徴とする請求項１〜１０のうちいずれか一項に記載の管継手成形部材。
12. 請求項１〜１１のうちいずれか一項に記載の断熱材を有する管継手成形部材（１）を製造する方法において、少なくとも以下の工程、すなわち、
    ａ）内側パイプ部分（４）を第１の成形型（９）に挿入する工程と、
    ｂ）閉じたセルを生ずるポリウレタン発泡系の発泡系よりなる第１の断熱層（７）で、前記内側パイプ部分（４）を包囲する発泡カプセル化工程と、
    ｃ）前記断熱層（７）で発泡カプセル化した前記内側パイプ部分（４）を、第１の成形型より僅かに大きい第２の成形型（９′）に挿入する工程と、
    ｄ）前記外側ケーシング（８）は注入可能な非発泡材系よりなり、この非発泡材系は前記断熱層（７）に適合可能であり、低い内圧しか生じないで前記断熱層（７）に対して損傷を与えたりまたは加圧したりすることがない前記外側ケーシング（８）の注型材を、前記断熱層（７）周囲に外部ケーシング（８）を注型する工程と
    よりなる管継手成形部材の製造方法。
13. 前記工程ｂ）、ｃ）およびｄ）を、同一の成形型で連続的に実行することを特徴とする請求項１２に記載の管継手成形部材の製造方法。

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