JP3689160B2 - 断熱構造部材の製造方法およびそれにより得られる部材 - Google Patents

断熱構造部材の製造方法およびそれにより得られる部材 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、断熱構造部材の製造方法およびその方法によって得られる部材に関する。より詳しくは、本発明は、冷却空気循環用の内側管を備えた、熱可塑性材料の断熱構造部材の製造方法、ならびにその方法により得られる構造部材に関する。
本説明および請求項で使用する“断熱構造部材”の表現は、輸送分野、家庭用機器、建設工業、自動車工業、通信、事務用機器、等、で使用する、成形された、剛体の、半剛体の、円形または多角形の物品、例えば、特に冷蔵庫や冷凍庫用のドア、キャップ、ケーシング、容器、例えば携帯用の保温バッグの断熱パネル、ボルスター、ライザー、容器、貨物自動車や鉄道客車用の仕切り壁、フリーザーセル、等を意味する。
現在、上に記載した様な構造製品は、2個の半分シェルを溶接または接着により機械的に組み立て、続いて2個の半分シェル間の中空部分に発泡ポリウレタンを充填することにより得られる。
断熱構造部材の製造で公知のその様な技術には、環境的ならびに技術的な幾つかの欠点がある。事実、断熱材として発泡ポリウレタンを使用することにより、生態学的な問題が引き起こされることが分かっている。というのは、膨脹CFCおよびHCFC剤は成層圏におけるオゾン層の変化と破壊、および温室効果の主な原因の一つであると考えられているからである。
その上、その様な断熱構造部材の製造に2または3種類の異なった材料を使用することにより、使用する材料の非相容性による循環使用の問題が生じる。
最後に、その様な構造部材の製造方法は、手間がかかり、したがって非常に経費がかかる。
【0002】
これらの欠点の幾つかを克服するために、発泡ポリウレタンの代わりにポリスチレンの様な熱可塑性材料の発泡焼結粒子を使用することが提案されているが、そこでは膨脹剤が公知の様に低沸点炭化水素である。熱可塑性材料の発泡焼結粒子を含む断熱構造部材の製造方法は、特許文献では良く知られており、例えば伊国特許第1,185,507号および第1,202,484号および公開ヨーロッパ特許出願第410,432および第512,609号に記載されている。
その様な製法により環境汚染ならびに材料循環使用の問題は解決されるが、それらの製法は幾つかの作業を含み、手間がかかるので、最終的な構造部材のコストに大きく影響する、という欠点がある。
その様な製法では、(i) 厚さが一定した層を形成するために、第一の熱可塑性半シェルの凹または凸部分に発泡または半発泡熱可塑性重合体の粒子層を施し、(ii)粒子を蒸気で焼結させ、(iii) 第一の半シェルを形成する材料と同じ熱可塑性材料からなるものでよい第二の半シェルを付け、固定する。
さらに、これらの製法では、成形工程で異なった機能を組み合わせることができず、順次行なう必要があるので、コストがさらに増加する。例えば、断熱構造部材は、冷却用途に使用される場合、追加の冷却空気管を備えていなければならない。その様な追加により、一般的にその様な管が構造部材と相容性がない異なった材料からなること、および組立て、の両方からさらに別の欠点が生じる。
【0003】
ここで本発明者は、冷却空気管を、発泡または半発泡粒子の焼結工程の際に、構造部材本体中に直接形成することにより、公知の方法におけるこれらの制限および欠点が解決されることを見出だした。この目的には、構築すべき管と同じ外側寸法および幾何学的構造を有する、可動の、中空の、穴の開いた部材を使用し、その部材を通して焼結用の蒸気を供給することにより、粒子の焼結を行なう。可動の、中空の、穴の開いた部材には、焼結蒸気の分配および管形成用の挿入物としての二重の役目がある。
したがって、本発明の目的は、冷却空気循環用の管を備えた断熱構造部材の製造方法であって、
a)熱成形により熱可塑性材料のセルを製造する工程、
b)該セルを、構造部材製造用の型の雄半シェル上に装着する工程、
c)該雄半シェルを該型の対応する雌半シェルの中に挿入して型を閉じ、該半シェル同士の間に中間キャビティを形成する工程、
d)構築すべき管と同じ外側寸法および幾何学的構造を有する、中空の、穴の開いた部材を、該キャビティ中の管を予定する位置に挿入する工程、
e)該キャビティを、熱可塑性材料の発泡または半発泡粒子または顆粒で充填する工程、
f)該中空部材を通して飽和蒸気または高温空気を供給し、粒子を焼結させる工程、
g)該可動部材を冷却し、型から引き出す工程、および
h)本体内部に管を備えた断熱構造部材を取り出す工程
からなる方法である。
【0004】
中空、可動で穴の開いた部材は、構築すべき管と数が等しく、管を予定する場所と同じ場所に挿入する。その様な中空部材の断面は、断熱構造部材の最終用途に応じて、長円形、円形、長方形、正方形または一般的に多角形でよい。
該中空部材は、アルミニウム、銅または銅合金、鋼、ステンレス鋼、テフロン加工した金属、熱硬化性樹脂からなり、焼結製品との摩擦を最小に抑えるために平滑で研磨した表面を有することができる。その様な中空部材の表面には、焼結工程用の蒸気または高温空気を通し、分配するための穴または“ペレット”を設ける。蒸気は、焼結すべき材料、型の全体的な重量、温度差および中空部材と焼結すべき粒子の接触面積、の様な幾つかのファクターの関数である圧力により、その様な中空部材内に供給される。一般的に、飽和蒸気の圧力は、0.1〜2バールでよく、等しくても、各中空部材毎に異なっていてもよい。
型の中に蒸気を注入する時間も、上記のパラメータおよび蒸気圧力に応じて変えることができ、部材毎に変えることができ、時間は公知の技術により調整することができる。この時間は5〜100秒間でよい。
熱可塑性材料のセルは、公知の熱成形法のいずれかにより、例えばセルの成形小室を規定する2個の半型からなる型の中で、熱可塑性重合体を吹込み成形することにより、製造することができる。型は、断熱構造部材の用途に応じて、ハト尾形の通路を成形するための弾性的でたわみ性のバーまたは可動ボスまたは他の公知の手段、パックドラフト部分、非対称部分を有するアンダーカット、中空または突出区域、等からなる可動部分を備えることができる。
セル壁は本発明の方法にとって重要ではなく、一般的に0.3〜10mmである。
【0005】
本発明の断熱構造部材を形成するセルならびに粒子または顆粒の製造には、発泡または半発泡粒子または顆粒を形成するのに適したすべての重合体熱可塑性材料を使用することができる。ポリスチレンおよび高衝撃ポリスチレン(HIPS)が好ましいが、他の熱可塑性重合体材料も使用できる。使用可能な他の重合体材料の例は、アクリロニトリルの様な極性モノマーで変性したポリスチレン、ABS樹脂、高、中および低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エチレン/プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、アクリルおよびメタクリル樹脂、例えばポリメタクリレート、等、およびそれらの混合物である。
熱可塑性重合体材料としては、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS)および/または極性モノマーで変性したポリスチレンを含む相容性混合物、ならびに少なくとも1種のテクノポリマー、例えばポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート、等のポリエステル、も使用できる。
すべて本発明者により製造され、EDISTIR R の商標で市販されている高衝撃ポリスチレンおよびEXTIR R およびECOSTYR R の商標で市販されているポリスチレン発泡顆粒が本発明の製法に好ましい。
【0006】
雄型および雌型の半シェルは、焼結および冷却工程の両方で容易に熱交換される様に、アルミニウム、銅またはそれらの合金で製造するのが好ましい。
雄半シェルを雌半シェル中に入れて中間キャビティを形成し、そのキャビティ中に中空部材を入れた後、公知の技術により、好ましくはキャビティに真空を作用させ、圧縮空気注入装置により、発泡および半発泡粒子または顆粒をキャビティ中に入れる。キャビティ中の粒子または顆粒間に含まれる空気を除去し、粒子または顆粒同士および半シェルの間の完全な密着を確保するために、蒸気流中で、好ましくは大気圧より高い圧力下で、飽和蒸気インパルスの形態でストリッピングを行なうことができる。
型キャビティの充填が完了した後、発泡または半発泡した粒子または顆粒に焼結工程を行なう。
焼結工程は、中空部材の穴を通してキャビティ中に、粒子または顆粒のガラス転移温度(Tg)より高温の飽和蒸気または熱空気を注入して行なう。
場合により、焼結工程の際に蒸気または空気を吸引し、真空にするのが有利である。この目的には、中空部材と同じ区域に吸引装置を設置するのが好ましい。蒸気または高温空気の吸引には、吸引装置の総表面を、中空部材の表面に少なくとも等しく、またはそれより大きくする。
焼結工程中、セル壁は、セルを形成する重合体材料のガラス転移温度(Tg)より少なくとも10℃低い温度に維持する。温度制御は、閉回路中の冷却水で、またはセル壁と直接接触する型壁に、調整量の水を散布することにより行なう。型壁に直接接触した温度計により制御される電気バルブにより、所望の温度および公知の技術により、散布または供給する水の量を調整することができる。一例として、ポリスチレンのガラス転移温度は80〜120℃であり、発泡または半発泡粒子または顆粒のガラス転移温度は70〜110℃である。
【0007】
以下に添付の図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の製法の最初の工程を概略的に示す図である。
図2は、本発明の製法の最後の工程を概略的に示す図である。
図3は、焼結時の型の断面を概略的に示す図である。
図4は、穴の開いた中空部材の側面図である。
図5は、図4の中空部材の、線A−Aを通る平面で見た断面図である。
図6は、別の中空部材の側面図である。
図7は、図6の中空部材の、線B−Bを通る平面で見た断面図である。
図面に示す本発明の製法では、本出願人により製造、販売されている、厚さ1mmで、少なくとも片側に平行な通路7を有する、押出しポリスチレンシートEDISTIR R SRL800を熱成形することにより、冷蔵セル3を製造する。
セル3を、通常の公知のサーモスタット機構を備えたアルミニウムダイの雄カバーダイ1の上に載せる。雄カバーダイ1も、少なくとも片側に沿って、セル3の上に載せた時にセルの通路7と噛み合う通路6を有する。
セルを載せた雄カバーダイ1を雌ダイ2の中に挿入する。雌ダイ2の寸法は、所望の絶縁層に対応する厚さの中空の空間または中間キャビティが2つのカバーダイ間に形成される様に、雄カバーダイ1の寸法と相関している。一般的に、その厚さは約2〜20cmである。
雌カバーダイ2は、対向する表面上で、中間キャビティに対応する周辺部分に貫通穴5を有する。貫通穴は単一でも対になっていてもよく、それらの形状および寸法は構築すべきパイプの形状および寸法と同じである。
雄半シェル1をセル3と共に雌シェル2の中に挿入した後、穴の開いた中空部材4を、貫通穴5を通して中間キャビティの内側に入れる。
その様な中空部材4のキャビティの中のパイプを通して飽和蒸気を導入する。
【0008】
図4、5、6および7に示す様に、穴の開いた中空部材4は、円形、長円形、正方形、長方形または多角形の断面を有し、貫通穴11または気化“ペレット”10を有することができる。穴11の直径は0.1〜10mm、ペレット10の直径は3〜20mmである。
中空部材4は、構築すべきパイプに応じて、側面から側面に型全体を横切るか、または中間キャビティ内に末端が位置することができる。
次いで中間キャビティに、本出願人により製造され、ECOSTIR R PD I 3000 の商標で市販されている、密度30 g/lを有するポリスチレンからなる発泡粒子を充填する。粒子を充填する際、キャビティ中に0.3〜0.5 kg/cm2 の真空を作用させる。次いで、中空部材4の穴11およびペレット10を通して0.65バールの飽和蒸気を注入し、発泡粒子を焼結させる。焼結工程中、雄カバーダイ壁1の温度を冷却水により55℃に維持する。
焼結サイクル後、中空部材4を冷却し、穴5から引き出す。続いて、2つのカバーダイ1、2を開き、完成した構造部材8を取り出す。
得られた断熱構造部材8は、粒子の焼結および焼結した発泡粒子のセル3に対する密着性が優れ、変形がまったく無く、縁部が明確に形成されている。
その上、この部材は、壁から得られるパイプ9および表皮効果により十分に焼結した内側表面を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法の最初の工程を概略的に示す図である。
【図2】本発明の製法の最後の工程を概略的に示す図である。
【図3】焼結時の型の断面を概略的に示す図である。
【図4】穴の開いた中空部品の側面図である。
【図5】図4の中空部品の、線A−Aを通る平面で見た断面図である。
【図6】別の中空部品の側面図である。
【図7】図6の中空部品の、線B−Bを通る平面で見た断面図である。

Claims (8)

  1. 冷却空気循環用の管を備えた断熱構造部材の製造方法であって、
    a)熱成形により熱可塑性材料からなるセルを製造する工程、
    b)前記セルを、構造部材製造用の型の雄半シェル上に装着する工程、
    c)前記雄半シェルを前記型の対応する雌半シェルの中に挿入して型を閉じ、前記半シェル同士の間に中間キャビティを形成する工程、
    d)構築すべき管と同じ外側寸法および幾何学的構造を有する、穴の開いた中空部材を、前記キャビティ中の管を予定する位置 に挿入する工程、
    e)前記キャビティを、熱可塑性重合体の発泡または半発泡粒子または顆粒で充填する工程、
    f)前記穴の開いた中空部材を通して飽和蒸気または高温空 気を供給し、粒子を焼結させる工程、
    g)可動する前記穴の開いた中空部材を冷却し、型から引き出す工程、および
    h)本体内部に管を備えた断熱構造部材を取り出す工程
    からなることを特徴とする方法。
  2. 前記の可動する穴の開いた中空部材が、構築すべき管と数が等しく、管を予定する区域に挿入される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記穴の開いた中空部材の断面が長円形、円形、長方形、正方形、または多角形である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記穴の開いた中空部材が、アルミニウム、銅、またはそれらの合金、鋼、ステンレス鋼、テフロン加工した金属または熱硬化性樹脂からなり、平滑で研磨した表面を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記穴の開いた中空部材の表面に、焼結工程用の蒸気または高温空気を通し、分配するための穴またはペレットを設けてある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 焼結工程の蒸気が、前記穴の開いた中空部材中に、0.1〜2バールの圧力で、粒子または顆粒のガラス転移温度より高い温度で、5〜100秒間注入される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 焼結工程中、熱可塑性材料からなるセル壁が、熱可塑性材料のガラス転移温度より少なくとも10℃低い温度に維持される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項1の方法により製造される断熱構造部材。
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