JP2008073957A - 帯電防止作用と光触媒作用とを兼ね備えた積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電防止作用及び光触媒作用を備えた積層体において、表面層における光触媒の密度をより一層高めることができる積層体を提供する。
【解決手段】基材上に、帯電防止層、プライマー層、及び光触媒層を順次積層してなる構成を有し、表面抵抗値が1011Ω/□以下である積層体を提案する。かかる積層体は、帯電防止層と光触媒層とを別々に設けたことにより、表面層における光触媒の密度を顕著に高めることができる。この際、光触媒層にひび割れを形成することにより、帯電防止作用を積層体表面に十分に伝達させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯電防止作用と光触媒作用とを兼ね備えた積層体に関する。
例えば照明器具の反射板の表面層に光触媒が存在すると、汚れが付着しても光触媒の作用によって或る程度の汚れであれば分解除去できる。しかし、その反射板が静電気によって表面に埃が集まる状態にあると、光触媒の作用が効果的に発揮されなくなり、次第に汚れが付着して黒ずむようになる。こうなると光触媒の作用は益々低減し、汚れる速度は益々大きくなってしまう。そこで、この種の用途に用いる板材には、光触媒作用と共に帯電防止作用を望まれている。
従来、帯電防止作用と光触媒作用とを備えた板材として、例えば特許文献1には、基材上に、光触媒活性を失活させる金属(Al、Fe、Zr)を含むSiO膜を介して、光触媒と導体微粒子とを含み、帯電防止作用及び光触媒作用を備えた光触媒膜を積層してなる積層板が開示されている。
特開平10−314598号公報
しかし、特許文献1に示されたような積層板は、表面層としての光触媒膜に導体微粒子と光触媒の両方を含有させる構成であるため、導体微粒子の密度との関係で、光触媒膜における光触媒密度を高めることができず、十分な光触媒効果を発揮させることが難しいという課題を抱えていた。
そこで本発明は、帯電防止作用と光触媒作用とを兼ね備えた積層体であって、しかも表面層における光触媒の密度をより一層高めることができる積層体を提供せんとするものである。
本発明は、基材上に、帯電防止層、プライマー層、及び光触媒層を順次積層してなる構成を有し、光触媒層表面の表面抵抗値が1011Ω/□以下であることを特徴とする、帯電防止作用と光触媒作用とを兼ね備えた積層体を提案する。
本発明の積層体は、帯電防止剤を含有する帯電防止層と、光触媒を含有する光触媒層とを別々に設けて積層するため、帯電防止層と関係なく光触媒層を形成することができるから、上記の先行技術に比べ、表面層における光触媒の密度を顕著に高めることができ、光触媒作用を十分に得ることができる。
また、本発明の積層体は、積層体表面、すなわち光触媒層表面の表面抵抗値が1011Ω/□以下であるから、十分な帯電防止作用を備えている。ただし、帯電防止層上にプライマー層を介して光触媒層を積層する構成であるため、プライマー層の組成や厚みによっては、帯電防止層の帯電防止作用が遮断される可能性がある。そこで本発明は、光触媒層にひび割れを形成することにより、光触媒層に導電材料を含ませなくても、帯電防止層の帯電防止作用を積層体表面に及ぼせしめ、十分な帯電防止作用を表面に付与できるようにした。
なお、本発明の積層体は、板状、シート状、フィルム状を呈するものであってもよく、本明細書では、これらを区別することはしないこととする。例えば一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
発明を実施するための形態
次に、実施形態に基づいて本発明を説明する。但し、次に説明する実施形態は本発明の好ましい例であって、決して本発明がこの実施形態に限定されるものではない。
なお、以下の説明において「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
また、本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意図し、「Xより大きくYよりも小さいことが好ましい」旨の意図も包含する。
本実施形態に係る積層体(以下「本積層体」と称する)は、基材上に、帯電防止剤を含有する帯電防止層、光触媒の作用を軽減するプライマー層、及び光触媒を含有する光触媒層を順次積層してなる構成を有する。
<基材>
本積層体は、光触媒層と基材との間に、光触媒の作用が基材側に影響するのを軽減乃至遮蔽する作用を備えたプライマー層を備えているため、基材の材質に関して光触媒の影響を考慮する必要がない。よって、基材の材質としては、無機材料はもちろん、有機材料でも採用可能である。すなわち、金属材料はもちろん、プラスチック材料、紙製材料或いは布製材料の基材でも採用可能である。例えば炭素を構造中に含む有機系樹脂からなる基材であっても採用することができる。
基材の形状も任意であり、シート状、フィルム状、板状の他、棒状体、筒状体、箱状体、ボトル体、各種積層体その他各種形状の基材を採用可能である。
また、基材の厚さも特に限定するものではない。
<帯電防止層>
帯電防止層は、帯電防止作用を発揮すれば特にその組成及び構成を限定するものではなく、現在公知の帯電防止作用を発揮する膜乃至層に採用されている組成及び構成を任意に採用することができる。
例えば帯電防止剤、バインダー成分、必要に応じて界面活性剤を混合してコーティング液を調製し、これを塗布又は噴霧し、乾燥させることにより帯電防止層を形成することができる。
この際、帯電防止剤としては、酸化錫などの金属微粒子や、導電性高分子化合物などを好ましく用いることができる。
帯電防止剤の粒径は、特に限定するものではなく、通常は2nm〜10nm程度である。
バインダー成分としては、例えばアクリル酸若しくはメタクリル酸を含むアクリルエステルの共重合物、アクリル系ウレタン樹脂からなる水系エマルジョン、ポリカーボネート系ウレタン樹脂からなる水系エマルジョンなどを挙げることができる。また、熱硬化性樹脂をバインダー成分とすることもでき、この際の熱硬化樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられる。
帯電防止層の厚さは、特に限定するものではないが、0.05μm〜1μm程度であるのが好ましい。
<プライマー層>
プライマー層は、光触媒層の接着性を高めると同時に、光触媒層の光触媒作用を軽減乃至遮蔽して、光触媒層の影響で基材が劣化するのを保護する作用を有する層である。
プライマー層の組成としては、例えば無機酸化物粒子、シリコーン樹脂、シリコーン樹脂の前駆体、或いはシリカ前駆体、或いはこれらを主成分とする組成物等から形成することができる。中でも、アクリルシリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、金属アルコキシドアルコキシランのいずれか或いはこれらの2種類以上の組み合わせからなる成分を主成分とするのが好ましい。但し、これらの組成に限定するものではない。
プライマー層の厚さは、0.01μm〜2μmとするのが好ましく、特に0.02μm〜1.5μmとするのが好ましい。プライマー層の厚さが2μmより大きくなると、光触媒層にひび割れを形成したとしても、帯電防止層の帯電防止作用がプライマー層によって遮断され、積層体表面、すなわち光触媒層の表面まで到達し難くなる。
プライマー層の形成手段としては、例えば、プライマー層形成組成物を含むコート液を、グラビアコート、スプレーコート、デイップコート等の各種塗布方法で塗布した後、乾燥させればよい。
<光触媒層>
光触媒層は、バインダーからなる膜中に光触媒が分散固定されてなる構成を備えた層であり、光触媒層にはひび割れを形成するのが好ましい。
プライマー層が組成的に導電性が極めて低かったり、或いはプライマー層や光触媒層の厚みが比較的大きかったりすると、帯電防止層の帯電防止作用がプライマー層乃至光触媒層によって遮断され、積層体表面、すなわち光触媒層の表面まで到達し難くなる。しかし、光触媒層にひび割れを形成することにより、光触媒層に導電材料を入れることなく、積層体表面、すなわち光触媒層の表面まで帯電防止層の帯電防止作用を及ぼすことができ、十分な帯電防止作用を発揮させることができる。具体的には、積層体表面、すなわち光触媒層の表面の表面抵抗値を1011Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下、特に好ましくは108Ω/□以下にすることができる。
光触媒層に形成するひび割れは、積層体表面の表面抵抗値が1011Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下、特に好ましくは108Ω/□以下になるように形成するのがよく、ひび割れの目安としては、光学顕微鏡による5000倍又は電子顕微鏡による10000倍にて視認できる程度であればよく、特に細かなひび割れを光触媒層全面に均一に形成するようにするのが好ましい。
光触媒層は、例えば少なくとも光触媒とバインダーと分散媒とを含有する光触媒コーティング液を被積層面上に塗布し、乾燥させることによってバインダー成分を硬化させて形成することができる。
以下、詳細に説明する。
(光触媒)
光触媒としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉛、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等の金属酸化物を挙げることができる。中でも、二酸化チタンは、無害で、化学的に安定しておりかつ安価であるため好ましい。
なお、前記金属酸化物にFe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Pt、Au等を付加していてもよい。
光触媒の粒子の粒径は、特に限定するものではないが、動的散乱測定法による平均粒径が1nm〜500nm、特に3nm〜400nm、中でも特に5nm〜300nmの範囲内のものが好ましい。この範囲であれば、光触媒薄膜層の透明性を確保することができる。
二酸化チタンとしては、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ブルックライト型二酸化チタンのいずれも使用可能であるが、光触媒反応の高活性なアナターゼ型二酸化チタンを用いるのが好ましい。
二酸化チタンの結晶化度は特にこだわらないが、粉末X線回折で全く回折ピークを示さないようなアモルファス構造では光触媒効果への寄与が乏しいから、少なくとも乾燥粉の粉末X線回折において二酸化チタンの回折ピーク位置にピークが確認できる程度の結晶性を備えていることが好ましい。
(バインダー成分)
光触媒を固定するバインダー成分としては、シリカ化合物(Si−O結合を有する化合物)、アルキルチタネート(−R−O−Ti−O−を備えた化合物)などを好ましい例として挙げることができる。
シリカ化合物としては、4、3、2官能のアルコキシシラン、これらアルコキシシラン類の縮合物、加水分解物、シリコーンワニス等が使用可能であるが、中でもテトラエトキシシラン、テトラメトキシシランが好ましい。
3、2官能のアルコキシシランは、一般的にはシランカップリング剤と呼ばれることも多いが、本発明ではシリコン1分子に1つ以上のアルコキシ基が結合している化合物をアルコキシシランと称する。具体的に例示すると4官能アルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、3官能のアルコキシシランとしてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドプロポキシトリメトキシシラン、グリシロプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2官能のアルコキシシランとしてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
アルコキシシラン類の縮合物としては、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51等の4官能アルコキシシランの縮合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
アルコキシシラン類の加水分解物としては、アルコキシシラン類を有機溶媒と水及び触媒を使用して加水分解させたものが使用できる。これらのシリカ化合物の内、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51及びそれらの加水分解生成物であるアルコール性シリカゾルは膜を強固に固定でき、かつ比較的安価であることから特に好適である。かかるアルコール性シリカゾルの製造方法は、特に限定されることはなく、光触媒コート液内でアルコキシシランの加水分解反応を行ってもよいし、アルコキシシランを加水分解又は部分加水分解し、既にアルコール性シリカゾルとなったものを光触媒コート液に添加してもよい。
このシリカ化合物の溶解性を上げるために、溶液を酸性或いは塩基性に調整したシリカ化合物含有溶液として調製することもできる。
他方、アルキルチタネートとしては、チタン(Ti)に結合する有機鎖(上記R)の炭素鎖がC30以下であるものが好ましく、中でもC2〜C10であるのがより好ましい。具体的には、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラキス(2−エチルヘキシル)オルソチタネートなどを好ましい例として挙げることができる。
(光触媒層の厚さ)
光触媒層の厚さは、特に限定するものではないが、光触媒層が顕著に厚いと透明性が損なわれるばかりか、帯電防止層の帯電防止作用が光触媒層の表面まで到達し難くなるため、2.0μmより薄く、特に1μm以下、特に0.01μm〜0.5μm、中でも特に0.03μm〜0.1μmとするのが好ましい。
光触媒層の厚さが2μm以上になると、光触媒層にひび割れを形成したとしても帯電防止作用が遮断され、積層体表面、すなわち光触媒層の表面まで到達し難くなる。
(形成方法)
光触媒とバインダー成分と分散媒とを混合して得られる混合成分を含有してなる光触媒コーティング液を被積層面上に塗布し、乾燥させることにより光触媒層を形成することができる。
光触媒は、粉末状態で混合することも可能であるが、分散性を高めるために沈降性の少ないスラリーやゾルの状態に調整して添加・混合するのが好ましい。
また、粒子の凝集による粒子径の変化および沈降を防ぐために分散安定剤を共存させるのが好ましい。これらの分散安定剤は、粒子の調整時から共存させることもできるし、光触媒コーティング液を調整する際に添加してもよい。
分散安定剤としては、二酸化チタンは中性付近では凝集しやすいので、酸性又はアルカリ性の分散安定剤が好ましい。酸性の分散安定剤としては硝酸、塩酸等の鉱酸、カルボン酸、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸などの有機酸などが挙げられる。アルカリ性の分散安定剤としてはカルボン酸、ポリカルボン酸類のアルカリ金属塩やアンモニア、1〜4級のアミン類及びそれらにヒドロキシ基を付加したアルカノールアミン類から選ばれた一種類以上の化合物が好例として挙げられる。特に、有機酸を利用すると、後述する有機溶媒との混和性が良好である上、pHが極端に低くならずかつ製造時に使用する設備を腐食しにくいので好ましい。有機酸としては酢酸、シュウ酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸などを好ましく用いることができる。
バインダー成分は、予めアルコール、水或いはこれらの混合液に分散乃至溶解させておき、光触媒などと混合するのが好ましい。
分散媒は、バインダー成分及び光触媒を分散乃至溶解させることができ、加熱乾燥によって揮発するものが好ましく、有機溶媒、水、或いは有機溶媒と水との混合溶液を用いることができる。
有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピレンアルコール等の一価低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類及びそれらのエステルであるセルソルブ、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、メチルエチケトン、トルエン、キシレン等を好適に使用できる。一価低級アルコール、中でもイソプロピルアルコール及びエタノールを用いるのが好ましい。
光触媒コーティング液における光触媒(例えば二酸化チタン)の固形分濃度は、0.2〜20質量%、特に5〜10質量%とするのが好ましい。5%以上であれば塗布後の光触媒の効果が特に大きく、汚れ防止といった効果をより一層得ることができる。他方、光触媒の量が多すぎると、外観が白くなる(透明でなくなる)ほか、温度が高くなると二酸化チタンが脱落したり、粘度が高くなり過ぎることが懸念されるため、前記範囲の量が好ましい。
また、バインダーとしての固形分濃度は、0.05〜5質量%、特に1.25〜2質量%であるのが好ましい。バインダーが多過ぎると光触媒コーティング液の安定性を阻害するだけでなく、二酸化チタンの表面を覆ってしまい光触媒効果を低下させることになる。
また、分散媒の量は、光触媒コーティング液全量に対して5〜90質量%で調整可能である。
光触媒コーティング液の粘度を上げるために、更に水溶性高分子(例えばポリビニルアルコール)などの増粘剤等を添加してもよい。
増粘剤としては多糖類やポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドなどが例示できる。
なお、光触媒とバインダー成分と分散媒とが予め混合された市販品を使用することもできる。例えばアナターゼ型2酸化チタンを含むコート液(多木化学社製「CZK−MP3」)等を挙げることができる。
上記光触媒コーティング液の塗布方法は、特に限定するものではない。例えば、グラビアコート、スプレーコート、ディップコート等、各種の塗布方法を選択することができ、中でもグラビアロールコーターを用いて塗布し乾燥させるのが好ましい。この際、塗布(コーティング)は、一回のみならず、複数回行ってもよい。
塗布後、急激に加熱乾燥させることにより、光触媒層にひび割れを形成することができる。
この際の乾燥条件は、材料や厚さ等によっても異なるが、120℃以上の環境下に置いて、好ましくは120℃以上の環境下に30秒以上置いて、中でも130℃以上の環境下に30秒以上置いて乾燥させるのが好ましい。このように乾燥させると、光触媒層全面に細かいひび割れを均一に形成することができ、所望の表面抵抗値を得ることができる。
なお、本積層体は、基材、帯電防止層、プライマー層及び光触媒層を積層してなる積層体であるが、各層の作用効果を消滅させない範囲で、他の層を形成することは任意に可能である。
<本積層体>
本積層体は、積層体表面、すなわち光触媒層表面の表面抵抗値が1011Ω/□以下、特に1010Ω/□以下、中でも特に108Ω/□以下であるのが好ましい。
本積層体は、帯電防止作用及び光触媒作用の両方を兼ね備えているから、例えば照明器具(特に反射板)、電飾広告板(特に反射板)、オフィス用具資材(例えば間仕切り部材など)、その他、農業用資材、包装用資材、漁業用資材、その他の各種産業用資材などに利用可能であるが、光触媒作用を考えると、太陽光、室内光のいずれでもよいが光が当る箇所に設置される物、特にその表面材として好適に利用することができる。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(「PET」という)からなる厚さ50mmのフィルムの片面に、帯電防止剤としての酸化錫を含有する厚さ0.5μmの帯電防止層が積層してなる製品(ユニチカ社製帯電防止コートPET『AST−25』)の帯電防止層上に、プライマーコート液(;アクリル変性シリコン含有プライマーコート液、多木化学社製「タイノックプライマーA」)を、メイヤーバー#4番を用いて塗布した後、135℃下に30秒おいて乾燥させ、プライマー層を形成した。
次に、上記プライマー層上に、平均粒子径300nmのアナターゼ型2酸化チタンを含むコート液(多木化学社製「CZK−MP3」)をメイヤーバー#4番を用いて塗布し、135℃下に30秒おいて乾燥させて光触媒層を形成し、図1に示す積層体を得た。光学顕微鏡による5000倍にて光触媒層の表面を観察したところ、細かな無数のひび割れが観察された。
乾燥後の各層の厚みは、プライマー層0.2μm、光触媒層0.5μmであった。
(実施例2)
ポリエチレンテレフタレート(「PET」という)からなる厚さ50mmのフィルムの片面に、帯電防止剤としての酸化錫を含有する厚さ0.5μmの帯電防止層が積層してなる製品(ユニチカ社製帯電防止コートPET『AST−25』)の帯電防止層上に、プライマーコート液(;アクリル変性シリコン含有プライマーコート液、多木化学社製「タイノックプライマーA」)を、グラビアコーターにより#230線を用いて塗布した後、135℃下に30秒置いて乾燥させ、プライマー層を形成した。
次に、上記プライマー層上に、平均粒子径300nmのアナターゼ型2酸化チタンを含むコート液(多木化学社製「CZK−MP3」)を、グラビアコーターにより#150線を用いて塗布した後、135℃下に30秒おいて乾燥させて光触媒層を形成し、図1に示す積層体を得た。光学顕微鏡による5000倍にて光触媒層の表面を観察したところ、細かな無数のひび割れが観察された。
乾燥後の各層の厚みは、プライマー層0.2μm、光触媒層0.5μmであった。
(実施例3)
厚さ50mmのポリエチレンテレフタレート(「PET」という)からなるフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製『マットダイアホイルE158C』)上に、帯電防止コート液(酸化錫80質量部に対してポリビニルアルコール20部を固形分濃度として5%の濃度で含む帯電防止コート液、多木化学社製『セラメースSC−820』)を、メイヤーバー#6番を用いて塗布した後、135℃下に1分間置いて乾燥させて帯電防止層を形成した。
次に、プライマーコート液(;アクリル変性シリコン含有プライマーコート液、多木化学社製「タイノックプライマーA」)を、グラビアコーターにより#230線を用いて塗布してプライマー層を形成した。
このプライマー層上に、平均粒子径300nmのアナターゼ型2酸化チタンを含むコート液(多木化学社製「CZK−MP3」)をメイヤーバー#4番を用いて塗布し、135℃下に30秒おいて乾燥させて光触媒層を形成し、図1に示す積層体を得た。光学顕微鏡による5000倍にて光触媒層の表面を観察したところ、細かな無数のひび割れが観察された。
乾燥後の各層の厚みは、帯電防止層0.5μm、プライマー層0.2μm、光触媒層0.5μmであった。
(比較例1)
光触媒層の厚さを変化させた以外の点は、実施例1と同様に図1に示す積層体を作製した。光学顕微鏡による5000倍にて光触媒層の表面を観察したところ、細かな無数のひび割れが観察された。
乾燥後の各層の厚みは、帯電防止層0.5μm、プライマー層0.2μm、光触媒層2.0μmであった。
(比較例2)
光触媒層を形成する際の乾燥条件を、110℃で2分間とした以外の点は、実施例1と同様に図1に示す積層体を作製した。
光学顕微鏡による5000倍にて光触媒層の表面を観察したところ、細かな無数のひび割れは観察されなかった。
乾燥後の各層の厚みは、帯電防止層0.5μm、プライマー層0.2μm、光触媒層0.5μmであった。
(比較例3)
プライマー層の厚さを変化させると共に、光触媒層を形成する際の乾燥条件を、110℃で2分間とした以外の点は、実施例1と同様に図1に示す積層体を作製した。
光学顕微鏡による5000倍にて光触媒層の表面を観察したところ、細かな無数のひび割れは観察されなかった。
乾燥後の各層の厚みは、帯電防止層0.5μm、プライマー層2.0μm、光触媒層0.5μmであった。
<積層体の表面抵抗値>
積相体の表面抵抗値をJIS K6911に準拠して測定した。
<曝露試験>
実施例及び比較例で得た各積層体を、下記環境下にて30日間放置し、放置後の表面状態を観察した。
曝露環境:フォークリフト2台が平均10回/時間の頻度で行き交い且つ平均10人/時間の頻度で人が通る環境。空気中埃量(パーティクルカウンター「KR-11A」;RION社製)による測定)は、10〜1010(粒径0.3μm〜0.5μm)個/リットルであった。温度は20〜30℃、湿度は40〜70%であった。
<表面帯電性能の測定>
スタティックオネストメーター(シシド静電気社製『S−5109』;高圧直流コロナ放電式チョッパー型)を用いて、積層体(光触媒層側)の表面帯電性能を評価した。
測定条件は、温度:23℃、湿度:50%、印加電圧:10kVに於いて、減衰比率50%となるまでの時間を測定した。
減衰時間が短い程、帯電防止性に優れ、埃の付着を抑制できることを示す。
<膜硬度試験>
上記実施例、比較例で作製した積層体の光触媒層側表面に対して、プラスチック消しゴム((株)トンボ鉛筆製MONO PE−01A)に1kg/cmの加重をかけながら反復スクラッチを実施した。
200回のスクラッチで膜が消失していないものをAA、100〜200回のスクラッチで膜が消失したものをA、50〜100回で膜が消失したものをB、50回未満で膜が消失したものをCとした。その結果を表1に示す。
Figure 2008073957
実施例及び比較例で作製した積層体の断面図である。

Claims (6)

  1. 基材上に、帯電防止層、プライマー層、及び光触媒層を順次積層してなる構成を有し、光触媒層表面の表面抵抗値が1011Ω/□以下であることを特徴とする、帯電防止作用と光触媒作用とを兼ね備えた積層体。
  2. 基材上に、帯電防止層、厚さ0.01μm〜2μmのプライマー層、及び厚さ1μm以下の光触媒層を順次積層してなる構成を有し、光触媒層表面の表面抵抗値が1011Ω/□以下であることを特徴とする、帯電防止作用と光触媒作用とを兼ね備えた積層体。
  3. 上記光触媒層には、ひび割れが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 上記のひび割れは、光学顕微鏡による5000倍又は電子顕微鏡による10000倍にて光触媒層の表面を観察した際に視認できるものであることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
  5. 上記光触媒層は、少なくとも光触媒とバインダーと分散媒とを含有する光触媒コーティング液を塗布し、120℃以上の環境下に置いて乾燥させて形成されるものである請求項1乃至4の何れかに記載の積層体。
  6. 帯電防止剤は、金属微粒子又は導電性高分子化合物であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の積層体。
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